ドイツに来てから、どっぷりとダンサーの日々を送っている。

毎日リハーサル漬け。

響きは素敵に聞こえるかもしれないが、

「なんてダンサーって大変なんだろうかっ!!!!!」

とつくづくと心底感じるね。



ダンサーっていうのは、自分がいかに上手く見えたり、カッコよく見えたりを一番に考えてはいけない。

ダンサーは、振付家や演出家の絵の具の一部である。

何も描かれてない真っ白なキャンパスに、どうい絵を描きたいかは、振付家演出家の仕事であり、その色を出していくのかダンサーの仕事。

こうやって書くと、まぁ、頭では分かるよね!

これっては当たり前で知ってるよ!って!!


でもこの当たり前をやるのって難しい。

本当に難しい。

本当に。。。

特に私のような普通な人にとっては。





ダンサーというのは、ある程度の資質が必要!!と、自分がリハーサルをしてきて本気で思う。

私は普通の人なので、努力が必要。

もちろん資質がある人も努力してるよ!

でも、短い期間のリハーサルで結果を残すには、ベースとなる資質があるかないかで、振付家演出家の求める色をすぐ出せるから、より作品が膨らんでいく。

それが無いと、ひとつひとつ試しながらあーでもない、こーでもない、と時間がかかってしまう。

すると、振付家や演出家ももどかしくなる。 

「なんで当たり前の事が出来ないのだろうか。。」とね。


必死になって練習して考えて練習しても、間に合わないのである。

与えられた振付をこなすレベルとして1〜10あるとしたら、優貴さんは2のスピードで出来てしまう。

私はもちろん10のタイプ。

でも現場では、3.4を求められる。



もともと私は日本育ちなので、ヨーロッパのコンテンポラリーのベースが身体に入ってない。

(私が子供のときは、教える人がいないというのもあるけど、今でもそういう作品を創れる振付家も日本には数少ないのは確かかなあぁ。)



それももちろん分かっている故で、私は短期間で身につけないといけない、今回の公演。

だから、

「身体の一般常識がない!  だから素人なんだよ!  モダンみたいになるな! その癖はいつ直るの?!  何回言ったら同じ事出来るようになるの!?」

などなど、

ドイツに来てから、怒られる日々と言うと語弊があるので、ご指摘される日々。

もちろんひとつひとつ丁寧に指導して頂いてる。

本当に丁寧に。ありがたい。

こちらが申し訳なるくらい。

それでも、身体がそのムーブメントに理解出来ない時がある。



出来ない自分がいると、自分にも腹ただしいし、言われた事に落ち込み涙する日もある。

人というのは、毎日違う!違う!と言われると自分はダメなんだぁ。と思ってしまうところがある。

そんなの吹き飛ばして、私は前向きに頑張る!!みたい性格でないので、笑

そうなんだ。はい。と受け止めるしかない。





かの有名なお芝居の演出家の蜷川幸雄さんも、すごく怖いと有名であった。

リハーサル中、灰皿が飛ぶは、どんな俳優女優でも罵声を浴びせるなどは、日常茶飯事。

厳しい現場にも関わらず、みんな蜷川さんについていく。


それはなぜか。

振付家演出家は、いつも先を見ている。
私たちよりも先のはるか遠くを。


キャンパスに何色と何色を足したら良いのか?  構図はどうか?とかとかを常イメージしながら、仕上げていく。


それが見えているのである。


見えている景色が、私とは全く違うのだ。






だから厳しい言葉もでる。

それに落ち込んでも仕方ないけど、落ち込む時は、どん底までにもなる。

それで良い。と私は思う。

ダンサーとしての資質のないのだから。


資質がないと分かっている上で、

そこからひとつひとつ、言われた事をやるだけ。

出来るように自分を変える。

徹底的に自分を変えていくしかない。

変えていく。

練習して出来るようになればいい。

ただそれだけ。




例えば今回の振付では、手を出す振りを1秒で出すのか、0.7秒で出すかで全く違うニュアンスの振付になるし、音楽をどう捉えて踊っているのかなどなどを求められる。


とても細かい踊りの質にこだわっている。

0.7秒の手を出すにはどうしたら良いか?

速度だけの問題ではなく、小指から使うのか、アクセントの問題、手の軌道の仕方、その前の振りの力配分などなど。。。

全ては計算。

この計算した身体を自分に叩き込むしかない。

一か八かのような勢いではない。



私は、どれだけダンサーとしての資質を持ち合わせていたらと、無いものねだりで願うことか。




ダンサーの資質って、感受性、表現力、動きと音楽の理解性、もちろん運動神経も含めて直ぐに出来るかどうか。


これが、求められる。

というか、こちらのカンパニーダンサーは、当たり前のように持ち合わせている条件である。

カンパニーのリハーサルを見ていても、みんなすぐに出来るのである。


私みたいにそんこまで苦労はしてないよね!笑


だから私のような普通の人は、資質の持ち合わせている人の10倍努力が必要。






果たしてこの資質は伸ばせるのだろうか?

それは全て子供のときの教育にかかっているなぁと思う。

大人になってからは、ホント苦労が多いから。

資質の伸ばし方はあると思う!


それはまた次回!