日本農業新聞の5月27日付の論説に「アンテナショップ」に関する文章が掲載されていた。
「わが県はいいものを作っているのだが、PRが下手で・・・・・・」という半ば誇らしげに語る声を聞く。良いものを作っていれば、いつか消費者の目に留まり売れるという期待は、残念ながら実現することが少ない。日本農業新聞は4月から直売をテーマにしたページを新設し、売るために努力している事例やそのノウハウを紹介している。誇大宣伝になってはならないが、特産品を世に出す努力をするのは、生産に携わる者の大事な仕事だ。
消費者ニーズを探り、知名度を上げる前線基地として、アンテナショップが活発に動いている。都市農山漁村交流活性化機構の調べによると、東京のアンテナショップは30店を超える。都心に距離的に近い群馬県でも、常設のアンテナショップを設けて、特産の売り込みや観光情報の提供などに取り組んでいる。
山形県や奈良県は一層の発展を目指してショップを移転した。鳥取県は特産のテスト販売を始めるとともに、観光説明員を配置した。山梨県は民間館長を採用、北海道や福井県は民間に事業を委託している。民間のノウハウを導入して活気づく例が多い。
何が成功するか予測できない。例えばイベントで売る米は「こんな重いものをサラリーマンやOLが持ち帰るわけがない」と思いがちだが、結構売れる。もちろんブランド力や主催者、売り子の努力もあってのことだが、10キロ袋は無理にしても、5キロ、3キロの袋は平気で買う。「お試しの小袋」はあまり喜ばれないらしい。「今までの常識」で測りかねるのが今の時代だ。
アンテナショップでは耳に痛い厳しい意見を直接もらうことができる。おいしい漬物でも、大家族向けの大量パッケージは買われない。売れ筋の適切な量目を確認できる。地元では知られた地名をパッケージに書き込んでも、都会人にとっては意味のない地名ということがある。味付けもふるさと固有の味が良いのか都会向けの味がいいのか、そういったニーズを探れる。通りすがりの客よりも、さまざまな情報に接して催し物やアンテナショップを巡回する消費者が多い。こうした消費者は目が肥えている。だからこそニーズを探る意味がある。
自治体は財政が厳しい。アンテナショップを設ける経費がばかにならない。県単独で開設するのが本来であろうが、香川、愛媛両県が共同で設置した例がある。福島県いわき市や長野県木島平村は市町村単位で開いた。
常設する予算がないなら、各地の特産が並ぶ全国商工会連合会の「まちからむらから館」、地域活性化センターの「ふるさと情報プラザ」など公的機関のほか、民間でも板橋区のとれたて村や早稲田のこだわり商店など各地のアンテナショップ機能を果たす店を利用する手もある。安い経費でニーズを探る手立てを工夫し、積極的に挑戦したい。
もっともな意見である。第1次産業従事者をはじめとする、田舎の人たちは創る側の論理でモノを売ろうとするが、そうではなくて「買う側」からの視点が欠けていることが多いという。
それと「今日の儲け」ではなく、「明日の儲け」を考えることをしない傾向も強いそうだ。
このあたりは十分にマーケティングの価値があると言えるだろう。