やねだんと聞いて、すぐにピンと来る人はかなりの地域づくりの世界にどっぷりつかっている人だろう。それくらい地域づくりの現場では有名な「やねだん」とは、鹿児島県鹿屋市串良町にある集落の通称名である。柳谷と書いて「やねだん」と読む。


その「やねだん」の自治公民館長さんこそが、いわゆる地域づくり世界のカリスマ豊重哲郎氏である。ちなみに自治公民館とは、通常の社会教育法で市町村で設置された公民館とは異なるもので、住民の自治により運営・設置されている公民館のことである。


「地域の自立」ということを学習する際、この「やねだん」の存在を抜きに語ることはできないくらい、やねだんの自治公民館活動はすばらしい。その活動の内容は多岐に渡るので省略するが、ここで注目したいのは「自治公民館活動」という公民館活動である。


生涯学習といえば、およそ公民館などの社会教育施設であるが、残念ながら行政の中で社会教育のしめる施策重要度は低い。文部科学省の予算を見ても、圧倒的に社会教育の予算は学校教育に比べて少ない。ところが、社会教育法の理念は確実に「新たな公」を意識したものであり、60年以上も前から、公というものを意識した法律であることがわかる。


にもかかわらず、社会的に社会教育の重要度が認識されていない。おそらく社会教育が誤解されているからであろう。単なるカルチャーセンターのような趣味のサークル活動が社会教育だと思われているからだ。そこをどのように克服するかが社会教育の課題であるが、やねだんの活動を見ていれば、社会教育とは地域づくり活動そのものであるということは一目瞭然であるし、住民自治の原点は社会教育であることがよくわかる。


行政は真の社会教育に力を入れれば、自然と住民自治が広がり、結果から見れば行政コストがさがるのであるが、残念ながらそのことはあまり行政関係者でも理解されておらず、これは国の役人でも同様である。


私はとある経済産業省の官僚の話を聞く機会があったが、その担当者は他の省庁とも連携して「新たな公」という新しい概念をつくりだし、そのための仕事をしているんだということを熱っぽく語っていたが、そんなもん、社会教育を少しかじっているものから聞いたら、ちゃんちゃらおかしいのである。そんなもん、60年以上前から言われているぞと。国の経済を動かすなら、もっと勉強してこいと言いたいのだ。


今こそ、社会教育の重要性をもう一度問いたい今日このごろである。