先日、とある市役所を訪問した際に、市民課の窓口で転入者らしき人に一冊の本のようなものを職員の方が手渡していた。

聞くところによると、市民便利帳と呼ばれるもので、市役所の業務連絡先インデックスや、ごみ分別の曜日カレンダーなど、その市で生活していく上で必要な情報のほかに、その市のPR情報や観光情報、その他グルメ情報すらものっているスグレモノだ。あと企業広告もある。

役所の発行物に広告が載ることは特に珍しいことではないが、民間のグルメ情報すらも載っているのは私にとっては新鮮だったので、なぜそのようなことが可能だったのかということが知りたくて、私もその本をいただいて(ちなみに誰でも市役所でもらえるそうである)、くまなく読んでみると、県内の情報誌を発行している印刷会社との協働でつくっているらしく、グルメ情報などは市役所は一切関知しないというスタイルのようだ。また印刷製本費用についてはよく分からなかったが広告があることから考えると広告収入で賄っているのだろう。

またあるときに新聞を読んでいると、その市民便利帳を転入して間もない市民有志が集まって掲載内容を協議して発行しているところもあるそうで、転入者の視点にたった紙面記事が掲載出来ていると評判がよいそうである。

考えてみれば市役所の担当者が作る市民便利帳だと、実際にずっと住んでいる者の視点でなおかつ提供者側の視点になるが、利用するのは転入者であるから相手の立場に立って作るのは当たり前のことである。とはいうものの、なかなか同じところにずっと住んでいるとそのことに気が付かないものである。しかも新しい転入者にも自分達の町がどんな町か知ってもらう必要があるから、市役所の転入手続きのときがその自治体と転入者との最初の出会いでもあると考えた場合、その人が転入する自治体にいいイメージをもつか、悪いイメージをもつかはそこで九割がた決まるといっても過言ではない。

であるならば、市役所の市民課の窓口というのは市役所の顔でもあり、中々重要なセクションであるとも言うことはいうまでもない。