中山間地域を取り巻く問題はさまざまな問題を含んでおり、ある意味において日本の社会問題の縮図だといっても過言ではない。そんな中山間地域対策として何をすべきかということについて、全国各地でさまざまな議論がなされ、そして事業を行っているが、大まかな流れとしては2つあるだろう。住民自身の立ち上がりと交流人口増大に代表される都市住民の力を借りるの2つである。


しかしながら、この2つであることはわかっているのであるが、具体的にどういったことを住民自身が考えているのかということについて、真正面からアンケートをとって考察しているレポートがないものかと思っていたところ、ふとしたきっかけで、最近、鳥取県のシンクタンクである「財団法人とっとり政策総合研究センター」の刊行物にちょうど書いていたのでそれをもとに簡単に考察していきたい。


そもそも思っていたのが、「限界集落」という言葉が一人歩きしているが、集落、ひいては住民一人一人の意見は異なるわけであるから、実際には最低でも集落単位で「住民自身が、中山間地域に住み続ける上で、どのような問題点を感じ、いかなるサポートを希望しているのか、さらに、地域活動や地域の将来についてどのような展望をもっているのかを把握する必要がある」という思いを持っていた。


つまり、「限界集落」という言葉やイメージだけがつっぱしっていて、実際に住む住民の姿を映し出せていないのではないかということであり、どうしたらいいのかということについて実態を調べなければわからないと思っていたのである。


また、これは中山間地域に限らず、「自分たちの住む地域課題を認識する」「自分たちの町の未来をどう考えるか」というまちづくりにおける根本的な作業であり、どの地域でもあてはまることだと私は思うので、何も中山間地域だけでやる必要は本来ないし、都市部をはじめどの地域でもどんどんやってしかるべきだと思う。


このアンケートが秀逸なのは、全戸調査であることはもちろんであるが、18才以上の住民全員にアンケートを記入してもらっていることである。これにより、性別や世代別の課題意識の違いについても比較分析を行えていることがたいへんすばらしい。


しかし最もすばらしいのは、住民である。アンケートに積極的に協力してもらっているからである。調査地域はおよそ人口が1100人で回答率がおよそ63%という結果だが、なかなか全戸配布による協力を依頼してここまでの回答率にはならない。やはりこのようなアンケート調査そのものを嫌がる住民がいる中で、これだけの回答率があるということは、それだけ地域の理解がないとできないことであると言える。


さて、気になるアンケートの結果をふまえた概要とその考察は以下のとおりである。(TORCレポート№31)より引用


①世代による生活実感と地域に対する思いや関わりの違いが析出

→特に若い世代の声は見過ごされがちであるが、集落維持の次世代を担う若者の声を十分に把握することが必要


②全世代を通じて所得の増加を求める声が強いが、その額は年間60~120万で住民の3/4が充足する

→月額にするとおよそ5万~10万くらいの、いわゆるパートで得られる収入レベルであるから、それにあわせた水準に応じた対策を検討していく必要があると言える。


③身近な都市住民として、地区出身者との連携強化を

→意外と近くに出身者の半数近くが、自動車で片道1時間程度の比較的近辺に居住


flogが一番驚いたのは、あと月収5万所得が増えれば、その集落で暮らせていけると思う人が多いという事実だ。つまるところ、さきほども記載したがパート収入で得られるレベルの所得なのである。ということは、これからの中山間地域に限らず地域づくり活動では女性の力を欠かすことはできない。むしろ女性の関与しない地域づくりは皆無であることから見ても、「女性が元気な地域は大丈夫」ということがこの所得要求額から見ても言えるのではないだろうか。