「はっぱビジネス」で全国的に知られる徳島県上勝町。その上勝町長が語る上勝のまちづくりについて書かれた本である。上勝町は人口が2000人ほどの町、そこに4000人ほどの視察が国内外からやってくる。これからの中山間地域の未来について重要な指摘をしてくれる一冊といえるだろう。
上勝町の取り組みで代表例は、何と言っても横石さんが中心になってやられている「いろどり」事業と、ゴミ分別の「ゴミゼロウェイスト」運動の2つがその代表格であるが、それ以外にもたとえばIターン者を誘致する取り組みなども紹介されており、持続可能な地域社会づくり(=地域づくり)の点でも参考になるべき点も多い。
たとえば、Iターン者やUターン者を誘致する取り組み(交流人口の受け入れ)としては、地球緑化センターがすすめる「緑のふるさと協力隊」と、上勝町が募集するワーキングホリデーがその代表格だ。
「緑のふるさと協力隊」とは、東京のNPO法人である「地球緑化センター」が実施している都会に住む若者を田舎に派遣する制度で、受け入れる自治体や企業は、隊員に対して住むところと、生活費などを負担し、隊員は派遣先で1年間作業や農家の手伝いを行って農林業体験を行うようになっている。上勝町では、2000年から2007年までに18人の隊員がやってきて、町の三セクが隊員の受け入れ先になっている。そのうち上勝が気に入って定住したのが8名いる。さらにそのうち2名が町内で結婚しているから悪くない確率と言える。
そして、町が受け入れをしているワーキングホリデーは、2005年3月から開始して2007年3月ですでに3回目を迎える。その間に町外から132人が参加し、二泊三日あるいは三泊四日の日程で、集落の環境美化や空き家の整備、季節の農作業などを行っている。参加者は旅行気分でやってくるが、上勝のいろどりやゴミゼロなどの取り組みについて知りたいという参加者も多く、上勝に対する視線は熱いものがあるという。そのあたりは上勝の地域づくりの魅力を肌で感じたいという人が多いと言うことと、魅力ある地域づくり活動こそが地域資源になっているという好循環の証といえる。
また、上勝町には、5つの三セクがある。このご時世、三セクといえば「赤字垂れ流し」の温床ともいうべきところであるが、上勝町では積極的に活用している。そうしなければ町に雇用が生まれないからと町長は述べられている。しかしながら、上勝町の三セク経営状況は悪いということもない。やはりそのあたりにやり方次第という見方もできるだろう。そういった三セクにIターン者が就職している例も多く、新しい地域づくりの担い手として活躍していることが多いそうだ。
限界集落という言葉に代表されるように、集落の維持が困難になってきている中、この本で紹介されている上勝町の取り組みはどうやって山里を元気にするのかというヒントをくれるかもしれない。
