愛媛県の西部に八幡浜市というところがある。この八幡浜には四国最大の水揚げ量を誇る八幡浜港があり、九州(別府・臼杵)への海の玄関口にもなっている人口4万人ほどの町である。


さて、そんな港町八幡濱には「八幡浜ちゃんぽん」と呼ばれる「ご当地麺」がある。ちゃんぽんといえば、長崎を思い出す方が多いと思うが、この八幡浜ちゃんぽんの特徴は「スープは鶏がら・とんこつ・いりこだし等をベースにあっさり味」であり、麺も太めのストレートで地元の製麺会社の麺を使用しているところが多いそうだ。また、具材にも特徴があって、通常のちゃんぽんの具(野菜や豚バラ肉など)の上に、八幡浜地方をはじめとする愛媛県西南部で食されている「じゃこてん」のほか、なると、かまぼこなどの練り製品が加わっている。


そんな八幡濱ちゃんぽんであるが、最近地元の商工会議所青年部がこの「八幡浜ちゃんぽん」で町おこしをしている。その中心的なものが、「八幡浜ちゃんぽんバイブル」と呼ばれる冊子である。


井の中の蛙、大海を知りたい!-ちゃんぽんバイブル

一昨年に売り出されたものであるが、かなり売れた。そして、まちおこしの代表格としてのし上がってきている。いずれB級グルメとしてB1グランプリなどにもでるかもしれない。B1グランプリで思い出すのは、静岡県富士宮市の「富士宮やきそば」だと思うが、そのやきそば学会の会長さんの話は非常に参考になった。


「地産地消でおいしく作れば地域ブランドと思っている人がいるが、それは違う。大切なのは行きたい、買いたいと思わせる情報発信の工夫の積み重ねである。うまいものであるのは大前提で、そこから脱却して【うまい話】をつくることの方が大切だ」


このうまい話とは、「天下分け目の戦い」にひっかけて、とある地域との対決シリーズで「天下分け麺の戦い」と名づけ、ストーリーをつくり、マスコミが報道したいネタをつくれば広告になるということを言いたいのだ。ものづくりには金をかけるが、ものがたりには金をかけていないという、このまちづくり活動の現状をよく見抜いた発言だったと思う。やはり、どうやってモノを売るか、売り込むか、という仕掛けが大切だということがよくわかった。


翻って、「八幡浜ちゃんぽん」の話に戻そう。八幡浜ちゃんぽんの発祥は昭和23年に営業を行った「丸山ちゃんぽん」だといわれている。ところが、この八幡浜式のちゃんぽんは八幡浜に限らず愛媛県の西南部ではわりとポピュラーな食べ物であり、特に宇和島市の麺処「菊屋」は明治からの営業をしている老舗で、毎日行列ができるほどの人気店で、一番人気がその「ちゃんぽん」である。


ということは八幡浜よりも古い可能性があり、「八幡浜ちゃんぽん」と名乗っていいのか、という疑問が生まれてくるわけであるが、このちゃんぽんバイブルはちゃんとそのことについても言及している、そういう八幡浜式のちゃんぽんを総称して「八幡浜ちゃんぽん」と呼ぶということなのだ。


何はともあれ、そういうライバルになりそうな町が近くにあるのであれば、「対決モノ」として勝手連的に「八幡浜ちゃんぽん」を盛り上げて地域活性化につなげていくのも一考だと思ったりもしている今日この頃である。