【 1.台詞表現 】
洋楽の歌詞には、大きく分けて下記の文章構成のタイプの曲が存在しています。
1 【 I 】で表現されていたキャラクターが、ミュージシャン本人である曲
2 【 I 】で表現されていたキャラクターが、架空のキャラクターである曲
3 【 I 】で表現されていたキャラクターが、複数存在する台詞の掛け合いで構成されている曲
西洋の言語における人称代名詞の種類は、だいたいどこの国でも五種類程度にしかなりません。
英語の場合は、【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】の五種類だけです。
西洋の言語では、どんなに原文に含まれているキャラクターの総数が多くても、一人称の表現は【 I 】で統一され、二人称の表現は【 You 】で統一されるため、どの【 I 】とどの【 I 】が同一人物で、どの【 I 】とどの【 I 】が別人であるのかの識別ができなければ、まともに文章が読めなくなってしまいます。
洋楽和訳においては、
3 【 I 】で表現されていたキャラクターが、複数存在する台詞の掛け合いで構成されている曲
の文章構成の曲が多いため、このタイプの曲を訳す場合、人称代名詞の訳し方に注意が必要です。
そのため、洋楽の歌詞を翻訳する場合、下記の項目を理解している状態で訳文を作成する必要があります。
【 人称代名詞の理解 】
1.翻訳対象となる原文に含まれているキャラクターの総数が理解できる
2.原文に含まれているキャラクターの性格が理解できる
3.原文に含まれているキャラクターの性別が理解できる
4.それぞれのキャラクター同士の人間関係が理解できる
5..原文に含まれているキャラクターの識別ができる
6..翻訳対象となる原文が複数のキャラクターによる台詞の掛け合いで構成されていた場合、その台詞が誰の台詞で、ダレに対してのどんな感情を込めた台詞であるのかを理解できる
【 魔 王 】
【 魔 王 】
【 登場人物別 意訳 】
【 この曲の構成 】
【 曲の主人公 】=【 語り手 】+【 父 親 】+【 子 供 】+【 魔 王 】
【 I 】で表現されている人物が その曲の作詞家の創作上のキャラクターである曲
【 I 】で表現されている人物が複数存在する セリフの掛け合いで構成されている曲
【 歌詞の内容 】=【 地獄の魔王が 幼い子供の魂を奪っていくという物語 】
登場人物
一人目 … この曲の語り手
二人目 … 父親
三人目 … 子供
四人目 … 魔王
五人目 … 魔王の母親
六人目 … 魔王の娘たち
※人目 … 魔王と 魔王の娘たちと 魔王の母親
赤文字 … 冠詞と代名詞を含む表現に文脈の流れから読み取れる言葉を代入して訳す
【 魔 王 】
【 登場人物別 意訳 】
【 語り手 】 Wer reitet so spat durch Nacht und Wind ?
【 語り手 】 夜風の中 こんな夜更けまで走っている方は誰か?
【 語り手 】 Es ist der Vater mit seinem Kind;
【 語り手 】 それは ( 彼の )子供と共にいる父親
【 語り手 】 Er hat den Knaben wohl in dem Arm,
【 語り手 】 彼は ( 彼の )幼い少年を 彼の腕の中に抱いているに違いない
【 語り手 】 Er fabt ihn sicher, Er halt ihn warm,
【 語り手 】 彼は 子供の安全を確保しながら 子供を暖めているのだろう
【 父 親 】 Mein Sohn,
【 父 親 】 俺の息子よ
【 父 親 】 Was birgst du so bang dein Gesicht ?
【 父 親 】 何故 そこまで不安そうに顔を隠しているのか?
【 子 供 】 Siehst, Vater,
【 子 供 】 見てよ お父さん
【 子 供 】 Du den Erlkonig nicht ?
【 子 供 】 お父さんには あの魔王の姿が見えないの?
【 子 供 】 Den Erlenkonig mit Kron’ und Schweif ?
【 子 供 】 王冠と裾の長い服を身に付けた あの魔王が見えないの?
【 父 親 】 Mein Sohn, Es ist ein Nevelstreif.
【 父 親 】 俺の息子よ それは一筋の霧だ
【 魔 王 】 Du liebes Kind, Komm, Geh mit mir !
【 魔 王 】 キミは魅力的な男の子 こっちへ来て 私と一緒に行きましょう!
【 魔 王 】 Gar schone Spiele spiel’ ich mit dir;
【 魔 王 】 私が キミと楽しいゲームをしてあげるよ
【 魔 王 】 Manch’ bunte Blumen sind an dem Strand;
【 魔 王 】 私の庭園の浜辺には 色とりどりの華が咲き乱れているよ
【 魔 王 】 Meine Mutter hat manch’ gulden Gewand.
【 魔 王 】 私の母親は 煌びやかな服を沢山持っているよ
【 作 詞 ゲーテ 作 曲 シューベルト 【 魔 王 】から引用 】
【 魔 王 】
【 登場人物別 直訳 】
【 この曲の構成 】
【 曲の主人公 】=【 ゲーテ本人 】
【 I 】で表現されている人物が その曲の作詞家本人である と仮定した場合の訳文
【 歌詞の内容 】=【 よく分からない 】
人称代名詞の凡例
一人目 … 【 Mein 】=【 I 】=【 私 】
二人目 … 【 Du 】=【 You 】=【 アナタ 】
三人目 … 【 Er 】=【 He 】=【 彼 】
四人目 … 【 Sia 】=【 She 】=【 彼女 】
五人目 … 【 They 】=【 彼等 】 もしくは【 They 】=【 それら 】
赤文字 … 冠詞と代名詞を含む表現は全て直訳して訳す
【 魔 王 】
【 登場人物別 直訳 】
【 ゲーテ 】 Wer reitet so spat durch Nacht und Wind ?
【 ゲーテ 】 夜と風の中 こんな夜更けまで走っている人は誰か?
【 ゲーテ 】 Es ist der Vater mit seinem Kind;
【 ゲーテ 】 それは 彼の子供と共にいる その父親
【 ゲーテ 】 Er hat den Knaben wohl in dem Arm,
【 ゲーテ 】 彼は恐らく その可愛い少年を その腕の中に抱いている
【 ゲーテ 】 Er fabt ihn sicher, Er halt ihn warm,
【 ゲーテ 】 彼は 彼の安全を確保しながら 彼は 彼を温めている
【 ゲーテ 】 Mein Sohn,
【 ゲーテ 】 私の息子よ
【 ゲーテ 】 Was birgst du so bang dein Gesicht ?
【 ゲーテ 】 何故アナタは そこまで不安そうにアナタの顔を隠しているのか?
【 ゲーテ 】 Siehst, Vater,
【 ゲーテ 】 見てよ お父さん
【 ゲーテ 】 Du den Erlkonig nicht ?
【 ゲーテ 】 アナタには あの魔王が見えないの?
【 ゲーテ 】 Den Erlenkonig mit Kron’ und Schweif ?
【 ゲーテ 】 王冠と裾の長い服を身に付けた あの魔王が見えないの?
【 ゲーテ 】 Mein Sohn, Es ist ein Nevelstreif.
【 ゲーテ 】 私の息子よ それは一筋の霧だ
【 ゲーテ 】 Du liebes Kind, Komm, Geh mit mir !
【 ゲーテ 】 アナタは魅力的な子供 こっちへ来て 私と一緒に行きましょう!
【 ゲーテ 】 Gar schone Spiele spiel’ ich mit dir;
【 ゲーテ 】 私が アナタと楽しいゲームをしてあげるよ
【 ゲーテ 】 Manch’ bunte Blumen sind an dem Strand;
【 ゲーテ 】 その浜辺には 色とりどりの華が咲いているよ
【 ゲーテ 】 Meine Mutter hat manch’ gulden Gewand.
【 ゲーテ 】 私の母親は 煌びやかな服を沢山持っているよ
【 作 詞 ゲーテ 作 曲 シューベルト 【 魔 王 】から引用 】
QUEEN
We Will Rock You
我等の意志が アナタ達を打ち砕く
【 登場人物別 意訳 】
【 この曲の構成 】
【 曲の主人公 】=【 歌 手 】+【 子供達 】+【 若者達 】+【 老人達 】
【 I 】で表現されている人物が複数存在する セリフの掛け合いで表現されている曲
【 歌詞の内容 】=【 意志を結束し 我等を差別・弾圧する連中に立ち向かえ 】
登場人物
一人目 … 歌 手
二人目 … 世界中の国のストリートで遊んでいる子供達
三人目 … 世界中の国のストリートで暴れている若者達
四人目 … 世界中の国の貧しい暮らしをしている老人達
※人目 … 世界中の差別・弾圧を受けた経験を持つ人々
五人目 … 立場の弱い人々を差別・弾圧している連中
赤文字 … 冠詞と代名詞を含む表現に文脈の流れから読み取れる言葉を代入して訳す
QUEEN
We Will Rock You
我等の意志が アナタ達を打ち砕く
【 登場人物別 意訳 】
【 歌 手 】 Buddy, You’re an old man, Poor man.
【 歌 手 】 同志達よ 貴方たち 一人一人の貧しい老人達よ
【 歌 手 】 Pleading that your eyes gonna get you some peace someday.
【 歌 手 】 いつか平和を目にすることができる日を夢見ている老人達よ
【 歌 手 】 You got mud on your face, Big disgrace.
【 歌 手 】 顔に泥を塗られ 大きな侮辱を受けてきた老人達よ
【 歌 手 】 Somebody better put you back into your place.
【 歌 手 】 冷血な誰かに 分相応の場所へ戻せと判断された老人達よ
【 歌 手 】 Do it ! !
【 歌 手 】 やってしまえ!!
【 子供達 】 We will, We will rock you.
【 子供達 】 僕たちの意志が 僕たちの意志が アナタ達を打ち砕く
【 歌 手 】 Yeah, Yeah, Come on ! !
【 歌 手 】 Yeah, Yeah, ついて来い!!
【 若者達 】 We will, We will rock you.
【 若者達 】 オレ達の意志が オレ達の意志が アナタ達を打ち砕く
【 歌 手 】 Alright, Louder ! !
【 歌 手 】 いいぞ もっと大きな声で!!
【 老人達 】 We will, We will rock you.
【 老人達 】 私たちの意志が 私たちの意志が アナタ達を打ち砕く
【 歌 手 】 One more time ! !
【 歌 手 】 もう一度!!
【 全 員 】 We will, We will rock you.
【 全 員 】 我等の意志が 我等の意志が アナタ達を打ち砕く
【 QUEEN News Of The World 】
【 We Will Rock Youからの引用 】
QUEEN
We Will Rock You
私たちの意志が アナタをロックする
【 登場人物別 直訳 】
【 この曲の構成 】
【 曲の主人公 】=【 歌 手 】
【 I 】で表現されている人物が ミュージシャン本人である曲 と仮定した場合の訳文
【 歌詞の内容 】=【 よく分からない 】
人称代名詞の凡例
一人目 … 【 I 】=【 私 】
二人目 … 【 You 】=【 アナタ 】
三人目 … 【 He 】=【 彼 】
四人目 … 【 She 】=【 彼女 】
五人目 … 【 They 】=【 彼等 】 もしくは【 They 】=【 それら 】
赤文字 … 冠詞と代名詞を含む表現は全て直訳して訳す
QUEEN
We Will Rock You
私たちの意志が アナタをロックする
【 登場人物別 直訳 】
【 歌 手 】 Buddy, You’re an old man, Poor man.
【 歌 手 】 仲間達よ アナタは一人の老人 貧しい人
【 歌 手 】 Pleading that your eyes gonna get you some peace someday.
【 歌 手 】 アナタの目が いつの日かアナタに幾らかの平和を齎してくれると訴えている
【 歌 手 】 You got mud on your face, Big disgrace.
【 歌 手 】 アナタは アナタの顔に泥を塗られた経験がある 大きな恥辱
【 歌 手 】 Somebody better put you back into your place.
【 歌 手 】 誰かに アナタの場所の中に アナタを戻しておいたほうが良い
【 歌 手 】 Do it.
【 歌 手 】 これをやれ
【 歌 手 】 We will, We will rock you.
【 歌 手 】 私たちの意志が 私たちの意志が アナタをロックする
【 歌 手 】 Yeah, Yeah, Come on.
【 歌 手 】 Yeah, Yeah, ついて来い
【 歌 手 】 We will, We will rock you.
【 歌 手 】 私たちの意志が 私たちの意志が アナタをロックする
【 歌 手 】 Alright, Louder.
【 歌 手 】 いいぞ もっと大きな声で
【 歌 手 】 We will, We will rock you.
【 歌 手 】 私たちの意志が 私たちの意志が アナタをロックする
【 歌 手 】 One more time.
【 歌 手 】 もう一度
【 歌 手 】 We will, We will rock you.
【 歌 手 】 私たちの意志が 私たちの意志が アナタをロックする
【 QUEEN News Of The World 】
【 We Will Rock Youからの引用 】
【 意 訳 】
原文に含まれているキャラクターの識別ができている状態で、
それぞれのキャラクターごとに人称代名詞の表現を変更して訳した状態の訳文
【 意 訳 】 下記の文章構成のタイプ、全ての曲に対応でき、
原文に含まれているキャラクターの総数が6人以上の曲でも訳すことができる
1 【 I 】で表現されていたキャラクターが、ミュージシャン本人である曲
2 【 I 】で表現されていたキャラクターが、架空のキャラクターである曲
3 【 I 】で表現されていたキャラクターが、複数存在する台詞の掛け合いで構成されている曲
【 直 訳 】
原文に含まれているキャラクターの識別ができていない状態で、
人称代名詞の【 I 】【 You 】【 He 】【 She 】【 They 】を
【 私 】【 アナタ 】【 彼 】【 彼女 】【 彼等 】と訳しただけの訳文
【 直 訳 】 下記の文章構成のタイプ1にしか対応できず、
原文に含まれているキャラクターの総数が5人以下の曲しか訳せない
1 【 I 】で表現されていたキャラクターが、ミュージシャン本人である曲
2 【 I 】で表現されていたキャラクターが、架空のキャラクターである曲
3 【 I 】で表現されていたキャラクターが、複数存在する台詞の掛け合いで構成されている曲
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