歩き方は誰もが最初は独学である。赤ちゃんはヒトの遺伝子情報に促されて、こけつまろびつ一心不乱に歩行訓練する。歩き方はその後、学校で学ぶことはない。ヒトの二足歩行は曲芸のような不自然さだが、何故か歩くのは当たり前すぎて誰も自分の歩き方が正しいかどうかなんて気にしていない。ほとんどの人が日々の姿勢や無意識の身体の癖を積み重ねたままの我流で歩いている。ウォーキングでも歩き方は人それぞれ。ずっと下向き歩きの人、腕振り過剰の人、軽やかに颯爽と歩く人。このウォーキングで良い効果がでる人もいれば、歩けば歩くほど悪い負担が関節の痛みに繫がる人もいる。出来ることなら関節に無理のない「歩いて治す骨格調整」を選んでは如何だろうか。

 

 正しい歩き方は 一、体の軸がぶれない。二、体重移動をスムーズにする(腰を引き上げる移動)。三、お尻を前に出すように移動する。ざっくりしたまとめ方だがポイントはこの三つである。私は二足歩行のポイントはお尻だと思う。人体の最大関節なのが股関節。更に最大筋肉がお尻の大殿筋だ。起き上がる、立ち上がる、歩くの生活動作を大きく担う股関節と大殿筋は全ての関節と筋肉の大黒柱になっている。お尻や腰を高い位置に引き上げて、骨の並びを正しく運ぶ事が出来たら、背骨や腰や膝に負担をかけないだけでなく、美しく歩く骨格調整になり、全ての関節痛を治す集大成になる。


 始めに二足歩行ありき。人はヨチヨチ歩きからヨボヨボ歩きまで「歩き続けるための機能」を持ち続ける。元々身体のつくりは歩くのを基本につくられていると私は思う。歩く機械は筋肉が動かしている。歩行には多くの抗重力筋群が働くがその筆頭なのが大殿筋と背筋であり、歩行と姿勢の原動力だ。歩く筋肉群が「我流歩き」でもし不調になったら、自分の筋肉で良くしていけるのではないだろうか。何歳からでも筋肉は裏切らないからだ。「じぶんで悪くしたものはじぶんで良くしていける」。歩いて絶えずリセットするのが一番理に適っていると思う。左右、上下の偏りや前後の強弱の感覚を自分で掴んで歩けば筋肉の再教育が可能になることだろう。これまで独学一辺倒だったウォーキングも、運動療法で新たな進化が期待出来るかもしれない。中古車もマメな点検や丁寧な車検で長持ちするように、歩いてお尻の機能点検と改善が出来れば、頼みの「お尻の筋運」も大いに上がることだろう。一生歩き続ける骨格調整が出番を待っている。さてはて今日もまた、歩かずにはいられないようだ。