回復したから書いていきたいと思います。

Aクリニックに入社して2週間ほど過ぎた時だった。相変わらず、ボクシングでユウスケとコウジにボコボコにされる僕。そんなある時ユウスケから次のように告白される。

ユウスケ「ヒロ〜俺さぁ明日から入院する予定なんだよ〜お見舞い来てくれよ〜」

僕「マジで?どうしたのいきなり?こんな強いクセに何処か悪いの?」

ユウスケ「いやー実は昔足をやっちゃっててさ。その古傷ってかさその手術かな」

僕「まじかぁ。なんかうるさいやつがいなくなって嬉しいけど、ボクシングできないのは悲しいな。どのくらい入院するん?」

ユウスケ「そうなー2週間くらいの予定」

僕「OK!その時までにお前から習った左ジャブマスターしておくからな」

ユウスケ「お前は口だけだからなー。楽しみにしてる。〇〇病院入院してるからいつでも遊びに来て」

僕「わかったよ。必ず行く。」

ユウスケ「お前みたいのは口だけで絶対来ないタイプだよな」

というやり取りがあった。翌日ユウスケは入院し、手術を受けた。週末僕は休みだったが、その日は夜から僕の歓迎会というなの飲み会があり、どちらにしても診療所まで出勤しないといけなかった。どうせならユウスケのお見舞いも暇だから行ってみようかなと思い、ポテチとカップ麺を大量に買い差し入れしたのだ。見舞いに行くとユウスケは目茶苦茶喜んでくれた。本当に子供みたいな笑顔で。あの時の顔は今でも覚えてる。

ユウスケ「ヒロ本当に来てくれたんだ??お前意外といいやつだな笑」

僕「うるせえな。まぁ今日は休みだけど仕事があったのと、いつもボクシング教えてくれるの本当に感謝してるから。早く良くなれよデブ。」

こんなやり取りをしていた。僕はその時ユウスケから彼の過去を聞いた。それはそれは壮絶なものだった。こいつがこの年齢でこういう考えに行き着くのも納得だ。そして何かに依存したくなるのも当然だよなと思ってしまう自分がいた。自分もそれなりに大変な思いをしてきたと思っていたけど、実は凄く幸せな環境にいれたんだと実感した。人生が壊れるのにはそれなりの理由がある。それを思い知らされた。この日までユウスケの事をただのボクシングバカだと思っていたので、少し見る目が変わった。

過去を美化するわけでも正当化するわけでもないが、この時の自分が一番人間らしかった気がする。何も持っていなかった分、人とぶつかりあう勇気があったんだろう。