・致死率高い「劇症型溶連菌」 最多の昨年上回るペースで広がる(毎日新聞 2024年3月6日)

※急速に症状が進み、致死率が3~7割と極めて高いことで知られる劇症型溶血性レンサ球菌感染症が、過去最多を記録した昨年を上回るペースで広がっている。患者数は今年に入ってからの2カ月間で既に昨年の4割に達した。拡大の背景は不明だが、厚生労働省は、病原性や感染力が強いことで知られる株の調査をするなど監視を強めている。

国立感染症研究所によると、昨年、全国で報告された患者は941人(暫定値)に上った。今年に入っても患者数は増えており、2月25日までに378人(速報値)に達した。秋田と岩手を除く45都道府県で確認されている。

複数ある病原菌のうち、子どもを中心に咽頭(いんとう)炎を起こすA群溶血性レンサ球菌が代表例だ。感染しても風邪のような症状が多いが、まれに、年齢を問わず劇症化するケースがある。劇症化すると、多臓器不全や筋肉周辺の組織が壊死(えし)することがある。

厚労省によると、劇症化するメカニズムは不明だという。ただ、子どもの間で咽頭炎が昨年夏から流行しており、劇症型も増えた要因の一つと指摘される。また、「A群」の中でも病原性が高いことが知られ、英国で多くの報告がある株が、国内でも確認されている。厚労省は1月、劇症型の患者から採取した株の解析を進めるよう自治体に依頼した。

同省は「飛沫(ひまつ)や接触から感染するため、手指の消毒やせきエチケットといった基本的な感染対策が重要だ」としている。


以下「In Deep」様より転載

https://indeep.jp/cause-of-the-mass-death-of-japanese/


・毒素性ショック症候群(TSS)

毒素性ショック症候群は,ブドウ球菌またはレンサ球菌の外毒素によって引き起こされる。臨床像としては,高熱,低血圧,びまん性の紅斑,多臓器不全などがみられ,重度かつ治療抵抗性のショックへと急速に進行することがある。

診断は臨床所見と起因菌の分離による。治療法としては,抗菌薬,集中的な支持療法,免疫グロブリン静注療法などがある。

…レンサ球菌によるTSSは黄色ブドウ球菌によるものと類似するが,積極的治療にもかかわらず,死亡率はより高くなっている(20~60%)。さらに,約50%の患者が化膿レンサ球菌菌血症を,50%が 壊死性筋膜炎を起こしている。患者は通常,基礎疾患のない小児または成人である。

MSDマニュアル


・危険な連鎖球菌感染症が記録的なレベルに急増する日本でのミステリー

Guardian 2024/03/15

※致死率30%の連鎖球菌による毒素性ショック症候群の増加の原因特定を日本の保健当局が急いでいる

専門家たちは、稀ではあるが危険な細菌感染症が日本で記録的な速度で拡大しており、当局が原因の特定に苦慮していると警告している。

2024年の症例数は、昨年の記録的な数字を上回ると予想されているが、その一方で、最も過酷で致死性の可能性があるA群レンサ球菌疾患であるレンサ球菌毒素性ショック症候群(STSS)が、高度な感染症の存在により拡大し続けるのではないかとの懸念が高まっている。日本でも強毒性株が確認された。

国立感染症研究所は「溶連菌の劇症化(重症化・突発化)のメカニズムにはまだ不明な点が多く、解明できる段階には至っていない」としている。

国立感染症研究所が発表した暫定統計によると、昨年報告された STSS 患者数は 941人だった。2024年は、最初の 2か月ですでに 378人の感染者が記録されており、日本の 47都道府県のうち 2つを除くすべての都道府県で感染が確認されている。

国立感染症研究所によると、高齢者のリスクはより高いと考えられているが、グループA株 (A群溶血性レンサ球菌)により 50歳未満の患者の死亡が増加しているという。朝日新聞の報道によると、2023年7月から 12月までに STSS と診断された 50歳未満の 65人のうち、約 3分の 1にあたる 21人が死亡した。

STSS のほとんどのケースは、化膿連鎖球菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる。より一般的には連鎖球菌Aとして知られている。

これは、主に子どもに喉の痛みを引き起こす可能性があり、多くの人が知らず知らずのうちに感染していて、病気にはならない。

しかし、感染症を引き起こす非常に伝染性の高い細菌は、場合によっては、特に 30歳以上の成人に重篤な病気、健康合併症、死亡を引き起こす可能性がある。STSS 症例の約 30%は致死的だ。

高齢者は風邪のような症状を経験することがあるが、まれに、連鎖球菌性咽頭炎、扁桃炎、肺炎、髄膜炎などの症状が悪化することがある。最も重篤な場合には、臓器不全や壊死を引き起こす可能性がある。

連鎖球菌感染症は、新型コロナウイルス感染症と同様、飛沫や物理的接触を通じて広がる。この細菌は手や足の傷からも感染する。

A型連鎖球菌感染症は抗生物質で治療されるが、より重篤な侵襲性の A群連鎖球菌症の患者は、集中的な治療とともに、抗生物質と他の薬剤の併用が必要になる可能性がある。