・あまりに酷い搾取!弱い者から金を奪い取る鬼の岸田政権…子ども家庭庁への質問で「国民から奪い取った金などどうでもいい」ことが判明(みんかぶマガジン 2024年4月24日)

※岸田文雄首相が見通しを語った少子化対策の「支援金」制度に批判が集まっている。事実上の増税なのに税金をあえて使わない姑息さにもウンザリする声も国民からは漏れている。国際政治アナリストで早稲田大学招待研究員の渡瀬裕哉氏がこの問題を切る。「国民のミスリードを誘うためでしかない。あまりにも酷すぎる」ーー。


現役世代の国民の財布からに手を突っ込んで強奪した金

国民の財布は俺のもの、俺の財布は俺のもの。まさにジャイアンのような主張が岸田政権の要人から発信された。

矢田稚子首相補佐官が少子化対策として社会保険料引き上げについて「全世代で協力して少子化を解決するための『大きな財布』を作る本制度は、大幅な前進である」というネットメディアの発言を引用して肯定したのだ。当然であるが、その直後に大炎上することになったのは言うまでもない。

一般常識として、国民の財布と政府の財布は別物だ。そして、社会保険料を支払う国民から奪った金で作られる政府の財布は、全世代で協力して支払うものではない。その財布の中身は、現役世代の国民の財布からに手を突っ込んで強奪した金だ。あまりにも不遜な政府関係者による発言に驚かざるを得ない。

上述の日本のリベラルメディアの政府寄りの掲載内容にも疑問は尽きないが、それを引用して肯定して何の疑問を持たない首相補佐官の存在に絶句する。


相も変わらず中抜きの公金チューチューに勤しむ

そもそも本当に必要な少子化対策は現役世代への減税(社会保険料引き下げも含む)を実行し、現役世代の国民の財布を潤すべきであることは間違いない。こんなことは誰でも分かることでもわかることだ。

しかし、政府に少子化対策を任せると、常人では思いつかない使途に使われるようだ。

現在、都道府県レベルで様々な少子化対策予算が検討されているが、岩手県はデート用の補助金を準備し、岡山県は同窓会に補助金交付を行うとしている。デート用の補助金などプライバシーの侵害にも繋がる上、補助金を貰わないとデートもしない相手と結婚したいだと思うだろうか。また、同窓会に補助金を出すことで子供が増えるという発想の根底にある幼馴染という存在に対する妄想自体が気持ち悪い。さらに中央政府主導でベビーシッター券のバラマキも新たに決まったが、相も変わらず中抜きの公金チューチューに勤しむだけで、その政策の少子化対策効果も何も示されていない。


無能すぎるこども家庭庁、衝撃的事実の判明

実際、浜田聡参議院議員事務所がこども家庭庁に問い合わせたところ、同庁にとって合計特殊出生率は単なる参考値に過ぎず、子育て政策と合計特殊出生率の統計上の有意性か否かは確認していない、という回答があったという。これは驚くべき実態であり、由々しき問題である。一体何のために政府は少子化問題を叫んでいるのか。政府という税金泥棒に金を渡して使わせれば子どもが増える、という状況は、風が吹けば桶屋が儲かるよりも根拠薄弱だと言えよう。何の根拠もないバラマキ政策が国民から奪った金で実行されようとしているのだ。

2月16日、支持率が下落して「無敵の人」になっている岸田政権は、増税である「子ども・子育て支援金」の創設を含む子ども・子育て支援法等の改正案を閣議決定した。同改正案には健康保険法や雇用保険法などの社会保険に関する18の法律が一本化されている。閣議決定された政府提出法案は95~100%成立するため、この増税案はほぼ成立することが決まったのも同然だ。

岸田政権は同支援金の徴収額について、健康保険料に対して2026年度に約6000億円(国民1人当たり月額300円弱)、2027年度に約8000億円(月額400円弱)、2028年度に約1兆円(月額500円弱)としていく方針を示している。


消費税のように少しずつあげていく姑息

増税を首尾よく行うためのポイントは「小さく生んで大きく育てる」ことだ。そのためには、当初は増税決定だけを行い、その後に徐々に税率(保険料率)を引き上げていくことだ。すると、税金はスクスクと育っていき、やがては国民を押しつぶすほどの大きさに成長する。

その代表例として消費税を上げれば誰もが納得できるだろう。消費税は最初は小さく生まれて、現在まで税率が引き上げられ続けており、その適用事業者の範囲も拡大し続けている。岸田政権が子ども・子育て支援金でやろうとしていることは、第二・第三の消費税を新たに生み出そうとしているだけのことだ。(もちろん、現政権の発想だと社会保険料の本体も永遠に拡大し続けるだろう。)

そして、岸田政権の不誠実さは支援金の負担額の説明にも表れている。上記の通り、子ども・子育て支援金は月額負担300円、400円、500円という拡大していくとされているが、この数字ですら完全に無意味かつマヤカシの数字だ。


「岸田首相は増税してない」応援団は完全に沈黙

月額300~500円という数字は、負担総額を国民一人あたりで割った数字だが、実際に負担する組合健保の被保険者数で割ると1人当たり負担は月額900~1500円程度となる。割り算の母数に不適切な数字を当てはめているに過ぎない。したがって、そもそも国民のミスリードを誘うためでしかない。あまりにも酷すぎる。

その上で、上記の数字はあくまで「月額」であることもポイントだ。年間価格にすると、被保険者1人あたりの負担は1万円~2万円弱ということになる。このように年間価格にすると大きく見える数字を月額価格で「たったの数百円」と表示することで小さく見えるようにするテクニックを「シャルパンティエ効果」という。これは心理学のテクニックであり、主にマーケティングなどで消費者に錯覚を引き起こさせる際に使用する手段だ。国民に事実上の新たな税負担を課す際にそのよう手法を用いて説明する岸田政権は詐欺師そのものだろう。

今や昨年にSNS上で「岸田首相は増税してない」とポジショントークをしていた応援団は完全に沈黙している有様だ。社会保険料は海外では給与税または給与明細税と呼ばれており、しっかりと税金の一つとして考えられている。日本でも同支援金に対する疑問の声が多数上がっており、社会保険料引き上げは増税である、という当たり前のことを自然に理解できる国民が増えてきたことは望ましい。税金泥棒を税金泥棒だとハッキリと認識することが重要だ。



・岸田政権の「子育て支援金」は、むしろ「婚姻撲滅・少子化促進」という結果をもたらす最悪の政策である(PRESIDENT ONLINE 2024年2月29日)

荒川 和久

※支援金の「ステルス値上げ」は必至

「これでは、少子化対策という名を騙(かた)った増税ではないか」

2月16日に閣議決定された「異次元の少子化対策」の関連法案を受け、SNS上ではこうした大きな非難の声があがりました。

今回の法案では、児童手当の拡充や育休給付金の充実などのほか、「こども誰でも通園制度」の導入なども盛り込まれていました。同時に、これらの政策の財源として「子ども・子育て支援金制度」を創設することも明記されましたが、非難の的はまさにここに集中しました。
この「子育て支援金」について、岸田首相は「実質的な社会保険負担増にはならない」という旨の発言を繰り返していますが、誰がどう見ても「負担増」であり「増税」だからです。

この支援金分の徴収は、ひとり当たり月500円や初年度は300円などと言ったかと思えば、月1000円を超えるなどと少子化担当大臣の答弁がコロコロと変わり、一体何が正しいのかすらわからない状態てす。いずれにしても、支援金の徴収額は、これから毎年のように少しずつステルス値上げされていき、いつしか当初の何倍もの金額に膨れあがることだけは間違いないでしょう。

それは、今までの社会保険料の負担増の推移を見れば明らかです。「小さく始めて大きく徴収する絶対解約できないサブスク」のようなものです。


「異次元の少子化対策」で出生数は増えない

当初、政府の少子化対策として児童手当の拡充が喧伝された際に歓迎の声をあげた子育て世帯の人からでさえ、この政府のカラクリに対し「配った上で、その後徴収するのなら最初から配らなくていい」という声すらあがっています。

それはそうでしょう。児童手当の金額や対象年齢が拡大されたところで、その給付金額を相殺するように、年少扶養控除などが廃止や縮小をされてきたわけです。その一方で、税金や社会保険料などを含む国民負担率は毎年のようにあがっているのですから。

今回の「子育て支援金」も各所から徴収したものを一度ブラックボックスに格納した上で分配されるお決まりのスキームになっていますが、徴収した金額のうちどれくらいが利権や中抜きのために無駄に使われるかわかったものではありません。そんなことをされるくらいなら、「最初から取るな」と言いたいのは当然でしょう。

私は、この「異次元の少子化対策」が言われ始めた当初から、子育て支援一辺倒の少子化対策は、本来の少子化対策としての出生増にはつながらないと当連載でも何度も書いてきました。


「少子化対策は北欧を見習え」は本当か

そもそも子育て支援は、少子化であろうとなかろうとやるべきもので、出生増を図るための少子化対策とはまったく別次元の話です。少なくとも今までの過去の実績からも、子育て支援を充実させれば、出生数が増えるという因果は見られません。

それどころか、2007年に少子化担当大臣が創設されて以降、いわゆる児童手当などの家族関係政府支出GDP比は右肩上がりに増え続け、対1995年比で2倍増にまで拡充されています。予算が2倍になったにもかかわらず、出生数は逆に4割減です。もし、これが民間会社の事業プロジェクトなら、大失敗の事業として見直されるし、責任者は交代でしょう。

何も、家族関係の政府支出を削れという話をしたいのではありません。しかし、「この家族関係政府支出予算が北欧に比べて低いから日本は少子化なのだ」とか「この予算を北欧並みの比率まであげれば少子化は解決する」などという根拠のない言説を「有識者の見解」などとしてさんざん取り上げてきたメディアの責任も大きいと思います。予算だけつけても、出生数が増えるわけがないのです。


政府支出は日本の1.7倍でも子供が増えない事実

ちなみに、さんざん見習えといわれてきた北欧のフィンランドの家族関係政府支出GDP比は2019年実績2.9%で、これは同年の日本の1.7倍ですが、それだけ予算を割いているはずのフィンランドの2023年の合計特殊出生率は、速報値でもはや日本と同じ1.26まで下がっています。これを見ても、予算をかければ出生増になるなどという話ではないことがわかります。

フィンランドの少子化について、同国の家族連盟人口研究所のアンナ・ロトキルヒ氏は「フィンランドの家族支援政策は子を持つ家族には効果があったのかもしれないものの、本来の目的である出生率の上昇には結びついていない」と述べており、これが正しい事実認識であると私も思います。

もちろん現在の日本の出生減の原因は、出産対象年齢の女性の絶対人口が減少しているという物理的理由が第一にあり、日本においては、1990年代後半からゼロ年代頭にかけて起きるはずだった第3次ベビーブーム(第2次ベビーブームで産まれた子どもたちが親になる時期で出生が増えると見込まれたこと)が起きなかった時点で、未来永劫(えいごう)出生数という観点では増えないことが確定しています。

加えて、絶対人口が減少している上に未婚化で子を産まない女性も増えており(2020年時点で日本の女性の生涯無子率は27%)、人口減と非婚化というダブルパンチによる「少母化」が現在の出生減の要因です。1985年に比べて、1人以上の子を産んだ女性の数は60%も減少しています。どう逆立ちしても、出生数は増えません。


20代の婚姻数を増やすしかないが…

そして、上記の話ともかぶりますが、出生減は婚姻減と完全にリンクしています。婚外子の極端に少ない日本では結婚をしないと出産をしないからです。逆にいえば、結婚して15年以上継続した夫婦は2021年出生動向基本調査によると、平均1.9人の子どもを産んでいます(完結出生児数)。

また、15年継続しなくても、離婚があった分を含めても、婚姻がひとつ成立すれば、1.5~1.6人の子どもが産まれてくるという傾向は20年以上続いています(発生結婚出生数)。つまり、婚姻がひとつ増えれば1.5人出生されるということで、出生数を増やすには婚姻増を目指すことが正しいわけです。しかも、出生につながる婚姻という観点では20代の婚姻が増える必要があります。

よくフランスの出生率と比較されますが、日本とフランスの出生率の違いの大半は20代の出生率の差です。フランス20代出生率0.78に対し、日本は0.48しかありません。その差は0.3もあります。もし日本の20代の出生率がフランス並みなら、日本の出生率はそれだけで1.26から1.56にあがることになります。


「若者が20代のうちに結婚できない」問題

実際はもっと効果があります。20代で第1子を産むことが、早めの第2子、第3子出産へとつながるからです。それは、出生率が世界最下位の韓国の20代出生率が極端に低いことからも明らかです。日本の20代の婚姻・出生が減ることは韓国と同じ道を辿ることを意味します。

要するに、出生減とは「20代の若者が20代のうちに結婚できない問題」です。

しかし、婚姻数を増やすためにはまたそこで越えるべき別のハードルがあります。厳密には、社会環境面と経済環境面のふたつがありますが、本稿では文字数の関係上、後者の経済環境面のお話をします。

20代の婚姻減の理由としては、「これから結婚・出産をする20代の若者を取り巻く経済問題とその経済問題がゆえに発生する若者の心の問題」です。

1996年から2022年にかけて、20代の所得や婚姻数・出生数などの推移を、1996年の数値を1として見たものが以下のグラフです(図表2)。


経済的不安→将来への不安→恋愛どころではない

20代の可処分所得中央値は、1996年以降一度もその水準に戻っていません。その最大の理由は、税・社会保険料など額面給料から差し引かれる割合が2倍以上にあがっているからです。ただでさえ給料が少ない上に、引かれる割合が多く、手取りが減っています。

さらに、注目したいのは、内閣府「国民生活に関する世論調査」から「今後の収入など経済的不安を感じる」という20代の割合がこの期間に激増して、2022年には67%にも達しています。

この負担率と不安率が増えれば増えるほど、婚姻も出生も減るという完全に強い負の相関を生んでいることがわかります。満足に手取りが増えない状況、恋愛や結婚どころか自分ひとりの生活で精一杯の20代の若者が、その現状ゆえに自分の将来の経済的不安感を募らせている。

当然、20代の若者の中には、大企業に就職して、この20代中央値の倍以上の手取りのある恵まれた層もいるでしょう。しかし、それは一部であり、手取りの中央値がいまだ300万円にも達していないことのほうが異常です。


2020年代は「結婚氷河期」時代になるのか

いうまでもないことですが、結婚しないという選択的非婚の若者に無理に結婚を推奨するものではありません。その意思は尊重されるとして「結婚したいのにできない」という不本意未婚の若者には目配りが必要だと思います。

政府が2023年6月に出した「こども未来戦略方針」の中では、3つの基本理念の第一に「若い世代の所得を増やす」というものが掲げられていました。これはまったくその通りですし、その課題認識も間違っていません。

が、具体的にこの「若い世代の所得を増やす」方策は何一つ提示されず、逆に「子育て支援金」など、ただでさえ少ない若者の手取りをますます少なくしようとしている。理念とは真逆の「若い世代の所得を減らす」ことをしているのです。これでは「婚姻撲滅・少子化促進政策」でしょう。

これは決して現在20代の若者だけの問題ではなく、今子育て中の世帯の子どもたちが大人になった20年後に、その子たちを苦しめる大きな負担として立ちはだかるものになります。今、この問題を野放しにしてしまっては、後世2020年代は「結婚氷河期」と呼ばれる時代になると考えています。

---------- 荒川 和久(あらかわ・かずひさ) コラムニスト・独身研究家 ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。著書に『「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、『結婚しない男たち』(ディスカヴァー携書)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(中野信子共著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。 ----------