讒謗律【ざんぼうりつ】
太政官布告として1875年公布された,言論・出版を取り締まる法令。自由民権運動を抑圧するため新聞紙条例とともに制定された。言論・文書・図画などで事実の有無を問わず他人の名誉を害するようなことを公表したり,事実をあげずに悪名を流したりすることを取り締まった。現行刑法の名誉毀損(きそん)罪の原型をなす。1880年廃止。

1875年(明治8)6月28日に布告されたわが国最初の独立名誉毀損(きそん)法。全文8条からなり、乗輿(じょうよ)(天皇の乗り物、転じて天皇)、皇族、官吏(の職務)、華士族平民とそれぞれ対象になる人格によって刑の軽重(前記の順序)があった。だがこの罪は「著作文書若(もし)クハ画図肖像ヲ用ヒ展観シ若クハ発売シ若クハ貼示(ちょうじ)シテ人ヲ讒毀シ若クハ誹謗(ひぼう)スル者」(1条)に限られているところから、この布告は、同日に布告された新聞紙条例と並ぶ出版弾圧法であることは明らかで、事実、これ以後、政府の施策を批判した記事は、この讒謗律によって筆者が処罰されることになり、記者の恐怖時代を現出する。80年7月17日に(旧)刑法が布告されると同時に廃止された。


よろしければ過去記事も参照してください。
https://ameblo.jp/damedamewanko2/entry-12704550597.html


・ネット上の誹謗中傷は迅速削除、SNS大手に義務付けへ…法改正で削除基準の透明化も(読売新聞オンライン 2024年1月12日)



※インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷への対策を強化するため、政府はプロバイダー責任制限法を改正する方針を固めた。

SNSを運営する大手企業に対し、不適切な投稿の削除の申請があった場合に迅速な対応や削除基準の公表などを義務付ける。26日にも召集される通常国会に改正案を提出する。

同法は、ネット上で中傷を受けた被害者が、悪質な投稿者の身元の開示をSNSの運営企業に求める手続きなどを定めている。


改正案はX(旧ツイッター)などを念頭に、投稿の削除を申請する手続きや窓口の公表に加え、対応結果を一定の期間内に知らせることを運営企業に求める。投稿の削除を判断する基準を定めて公表することも義務付け、手続きの透明性を高める。

SNSの運営企業の大半は海外勢で、削除を求める手続きや窓口のわかりにくさなどが指摘されており、申請後も対応結果が分からないケースもあった。こうした問題を受け、総務省の有識者会議は昨年12月、運営企業への規制を強化し、対応の迅速化を促す報告書案をまとめた。報告書は意見公募を経て正式決定される予定で、政府はこれを踏まえて改正案を固める。

改正の趣旨を明確にするため、法律の名称も「特定電気通信による情報流通で発生する権利侵害等対処法」に改める。施行は公布から1年以内とし、詳細は政令で定める。

今回の法改正は、誹謗中傷など権利を侵害する違法な投稿を対象としている。同様に対応が急務になっている偽情報や誤情報への対策は引き続き検討する。