
(上)アメリカ合衆国国章の裏面。1ドル紙幣にも使われている。未完成のピラミッドは「バベルの塔」である。(聖書関連で未完成の建造物と言えば、「バベルの塔」に決まっている)。同時に、これは、エジプトのピラミッドでもある。(形状的にはまさにそうである)。錬金術(魔術)的に言えば「ヘルメス・トリスメギストスのピラミッド」である。頂上の「目」は、太陽と月のシンボルを合成したものであり、「金星神=光明神」を表す。(ただし、この場合は、「左目=月」を表す)。
グノーシス主義においては、「聖書の神=ヤハウェ」は「ヤルダバオート」と呼ばれる「偽りの神=邪神=悪魔」である。逆に「聖書の悪魔=蛇」こそが、人類に「知恵(理性)」を授けた「真の神」である。バベルの塔の建設者はニムロデとされ、彼もまた、「偽りの神=悪魔」に反逆し、バベルの塔を建設しようとしたことから、神に反逆して地に堕とされた「堕天使=悪魔」と同一視され、「真の神」とされる。
よって、当然の結果として、聖書の記述も、聖書の神の言葉は「偽りの神=悪魔」の言葉として、正反対に解釈することが正しいとされることになる。
グノーシス主義においては、聖書における「神」と「悪魔」の立場が入れ替わっている。それは即ち、聖書における「善」と「悪」の「規範・価値」が逆転・倒立することを意味する。
バベルの塔の記述に則して言えば、それは言語だけにとどまらず、バラバラになった言語・民族・宗教・思想・文明・文化・経済・通貨・国家・人種・身分・性別・家族・人間の自他の意識などを統一(=それらの区分区別の廃止=破壊)し、即ち、バベルの塔を建設し、人間が「偽りの神=悪魔=ヤルダバオート」に代わって神の座に就き、「真の神=聖書の悪魔」より与えられた「知恵(理性)」をもって、世界を支配することが正しい、という解釈になる。(つまり、これが「グローバリズム」の正体である。「グローバリズム」とは、イルミニズムに基づき、全てを統一・統合する、宗教運動そのものなのである)。
「神は我々の企てを支持される」
それは「偽りの神=悪魔=ヤルダバオート」が命じた「古き世界(時代)の秩序」を破壊し、「善」と「悪」の「規範・価値」を逆転し、「新しき世界(時代)の秩序」を作り上げることを意味する。
バベルの塔とは、その完成形は「人類の統合・統一」の象徴、「神と人の合一」の象徴、「神による直接統治=神を頂点とする組織・ヒエラルキー=教会」の象徴、であるが、それは、いきなり完成状態で現れるものではなく、「円環」である歴史の始まりから終わりまでの間に「積み上げるもの」「積み上げられるもの」であり、「同一の時空間上に存在する主体と客体の相互作用により相互に生じる変化、及び、相互に宿るその時間的全蓄積」の象徴でもある。それは「智慧」(知識・情報・記憶)であったり、「文明」であったり、「富」であったり、「罪業」であったり、「人口」であったり、する。つまるところ、バベルの塔とは、「世界」と「歴史」の象徴である。故にバベルの塔は数千年前の過去の話ではなく、現在も建設中なのである。
「円環の頂点」=「世界の終わりと始まり」のとき、下部構造(「真なる神」の体)にして「人」であり「地」である「四角錐台(ジッグラト)」が完成すると、その頂上に、「円環の頂点」に座す、上部構造(「真なる神」の頭)にして「不可視の三角形」である「神」(花嫁)が「天」より降りてくる。そして、「神」と「人」は、「天」と「地」は、「陽」と「陰」は、「頭」と「体」は、結合・合一し(聖婚)、完璧な形である「四角錐(ピラミッド)」となり、「完全なる神・真なる神」が復活する。(墓=死者の体の保管場所 兼 復活装置。)また、不完全な「人」が不完全な「神」と合一することで復活する「真なる神」は、同時に「真なる人」でもある。
「世界の終わりと始まり」のときを過ぎると(純原理的には、上部構造と下部構造が接触した瞬間に、つまり神が塔に降り立った瞬間に、塔は崩壊・消滅する。ゆえに、神(悪魔)が塔を破壊するとも言えるし、塔はこの「(零の)瞬間」にのみ完成するとも言えるし、塔は永遠に完成しないとも言える)、バベルの塔は崩壊し(バベルの塔が崩壊するということは、「世界」や「文明」が滅亡することと同義)、「神」と「人」に、「天」と「地」に、「陽」と「陰」に、「頭」と「体」に、再び分離する。「完全なる神」は体を失い、不完全な頭だけの存在となる。そして歴史は最初に戻って一から始まり、再びバベルの塔の建設が始まる。これが永遠に繰り返される。