・「内閣感染症危機管理統括庁」設置の改正案 衆院で可決(NHK NEWS web 2023年3月30日)

※感染症への対策を一元的に行う司令塔として「内閣感染症危機管理統括庁」を設置することを盛り込んだ内閣法などの改正案は、30日の衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られました。

改正案には、感染症対策を強化するため、総合調整などの司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」を内閣官房に新たに設置し、トップに「内閣感染症危機管理監」を置いて、官房副長官を充てることなどが盛り込まれています。

また、感染症の発生やまん延の初期段階から迅速・的確に対応できるように、現在は緊急事態宣言などが出されたときに限られている、総理大臣による都道府県知事などへの指示権を、政府対策本部を設置した段階で使えるようにすることも盛り込まれています。

改正案は30日の衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

法案をめぐっては、衆議院内閣委員会で、政府に対しこれまでの新型コロナ対策を検証して結果を公表することや、組織を不断に見直すことなどを求める付帯決議が賛成多数で可決されています。





・日本版CDCの議論で思うこと

http://www.saitamakinen-h.or.jp/news_head/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%89%88cdc%E3%81%AE%E8%AD%B0%E8%AB%96%E3%81%A7%E6%80%9D%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8/

※CDC = Centers for Disease Control (and Prevention) 疾病対策(予防)センターはアメリカの感染症対策の司令塔と言われています。

新型コロナウイルス感染症勃発直後から、日本の課題は日本版CDCがないことだと言われていました。私自身は必ずしもそういうことではないという思いがありました。司令塔さえできれば日本の感染症対策が進むのかという本質的なところで疑問を持っていました。

では何が問題なのでしょうか。

医師を含め医療側は感染症の基本的な教育を十分受けていないことが問題です。感染症の専門家があまりに少なすぎるのも大きな問題です。

日本の医学教育の中で感染症学がなおざりにされています。大学医学部に感染症の単独の講座が少なすぎる状況を憂いたのです。医学教育の中で感染症を研究する、教育する、その上で実践する体制がほとんどできていないのです。一般の人は驚かれると思いますが、事実です。

では新型コロナパンデミックの反省に立って、あらためて大学医学部に独立した感染症学講座を設けようという動きが生じたでしょうか。私の耳には届いていません。設置しようにも循環器・消化器・呼吸器などと異なり、人材不足が大きなネックになっているはずです。

大学附属病院に感染症を扱う部署は以前からありました。あくまでも病院のひとつの診療部門としてです。それでも附属病院のCOVID-19対応ではこうした部署が必死の努力を重ねていました。しかし附属病院の診療部門としての存在と、医学部の中で研究・教育・臨床を行う講座とは雲泥の差があります。研究力・教育力、したがって人材の輩出力が全然違うのです。

大学医学部教育の根幹を変えないことには、日本版CDCの将来にあまり期待できないように私には思えます。