・バイデンの「ヤバい破壊工作」が暴露された…ロシアの「パイプライン」を爆破した可能性(現代ビジネス 2023年2月17日)

長谷川 幸洋

※衝撃的な暴露記事

米国の著名な調査報道記者、シーモア・ハーシュ氏が北極海の天然ガス・パイプライン、ノルドストリーム爆破事件について「米国の仕業だった」という暴露記事を発表した。事実なら、米国はウクライナ戦争の舞台裏で大胆な軍事作戦を実行していたことになる。いったい、何があったのか。

ノルドストリームはロシアとドイツを海底で結んだパイプラインだ。延長は約1200キロ。ノルドストリーム1と2が、それぞれ2本ずつあり、1は2011年に開通、2は21年9月に完成した。ただし、ロシアのウクライナ東部2州の独立承認を受けて、ドイツは2の稼働を認めなかった。

1と2を合わせれば、ロシアから欧州に輸出する天然ガス輸出の約半分を供給する予定だった。ドイツにとっても、2だけで年間国内消費の半分以上が賄える量になる。


ノルドストリーム計画をめぐっては、当初から欧米で激しい賛否の議論があった。

ドイツは天然ガスの安定供給に期待する一方、米国のドナルド・トランプ前大統領や中東欧諸国は「欧州のロシア依存を強める」「既存のパイプラインの価値が下がる。安全保障上も戦略的に不安定になる」などと、強く反対していた。

ロシアによるウクライナ侵略戦争が始まった後の2022年9月26日、バルト海に面したデンマーク領のボーンホルム島沖でパイプラインが爆発し、4本のうち3本が損傷した。当時から、何者かによる破壊工作が指摘されていた。


バイデン大統領が爆破を指示した?

そんななか、ハーシュ氏が2月10日、自身のブログに「爆発はドイツのロシア依存を食い止めるために、ジョー・バイデン大統領の指示で実行された」という衝撃的な記事を発表したのである。この記事が無視できないのは、ハーシュ氏が世界的に知られた調査報道記者だからだ。

同氏は1969年、ベトナム戦争で起きた米軍中尉による「ソンミ村虐殺事件」のスクープでピューリッツァー賞を受賞したほか、イラク戦争中の2004年に起きた「アブグレイブ刑務所における捕虜虐待事件」など、数々の国際的スクープを放ってきた。

記事は長文だが、ごく一部を紹介する。

〈米国の政治的懸念は現実のものだった。プーチンはいまや、必要とされる収入源の大部分を手に入れ、ドイツと西欧はロシアが提供する低コストの天然ガス中毒になって、米国への依存を減らしている。実際、まさしく、それが起きたのだ〉

〈NATO(北大西洋条約機構)とワシントンから見て、ノルドストリーム1は十分、危険だったが、もしもノルドストリーム2がドイツの規制当局に承認されれば、ドイツと西欧が利用できる安い天然ガスの量は2倍になってしまうのだ〉

〈西欧が安い天然ガスのパイプラインに依存する限り、ワシントンは「ドイツのような国が、ロシアを打ち負かすために必要としている武器や資金を、ウクライナに提供するのを嫌がるようになる」という事態を恐れていた〉

こうした事情で、ロシアの侵攻が迫った21年12月ごろから、米政府は「秘密の爆破計画」を練っていった。

〈米国海軍は新たに認可された潜水艦を使って、パイプラインを直接、攻撃するよう提案した。空軍は外部から遅発的に起爆できる爆弾を投下する案を議論した。中央情報局(CIA)は「何をするにせよ、秘密が守られなければならない」と主張した。全員が重大さを理解していた。情報源は「これは子供の遊びじゃないんだ」と言った。もしも攻撃の痕跡が米国に辿りついてしまったら、それは「戦争行為」だった〉

〈ロシアによるウクライナ侵略まで3週間を切った2月7日、バイデン大統領はホワイトハウスでドイツのオラフ・ショルツ大統領と会った。…記者会見で、バイデンは断固として言った。「ロシアが侵攻すれば、ノルドストリーム2はない。我々が、それを終わらせる」〉

この会見の模様は、映像として、YouTubeに残っている。それを見ると、記事はそこまで触れていないが、記者に「どうやって、終わらせるのか」と問い詰められた大統領は「貴方に約束しよう。我々には、それができるのだ(I promise you, we will be able to do it)」とまで、断言していた。


〈この計画に関わっていた何人かの関係者は、発言が「攻撃に対する間接的な言及」のように見えることに困惑した。「それは、まるで東京の地下に原子爆弾を仕掛けて、日本人にオレたちは爆発させるぞ、と言っているようなものだった」と情報源は言った。「計画は侵攻後に実行される選択肢であり、公に宣伝するようなものではない。バイデンは、それが理解できなかったか、無視したのだ〉
大統領は、かねて失言癖が指摘されているが、これもまた明らかな失言である。いまにして思えば、自ら爆破予告したようなものだ。爆破計画には、ノルウェーも加担していた。

〈ノルドストリームの破壊は、もし米国にできるなら「ノルウェーが欧州に自国の天然ガスを大量に販売できるようになる」という話だった。…ノルウェー海軍はデンマークのボーンホルム島沖数マイルの浅い海に、いい場所を見つけた。だが、心配の種もあった。島の沖で変な動きを見せれば、スウェーデンとデンマークの海軍の注意を引いてしまうかもしれなかったのだ〉

〈ノルウェーは「BALTOP22」と呼ばれる、6月のNATO軍事演習が機雷を仕掛ける絶好のカモフラージュになると提案した。…ところが、ワシントンが考え直した。ホワイトハウスは「だれかが後から指令を受けて、パイプラインを吹き飛ばせないか」というのだ〉

〈計画を作っていたチームの中には、大統領の優柔不断に怒り出したり、フラストレーションを感じる人もいた。…(海軍のダイバー学校)であるパナマシティのダイバーは、パイプラインにC4爆弾を取り付けることを繰り返し練習していたが、いまや大統領が望む方法を考え出さなければならない〉

〈ノルウェーで働いていた米国人は、新しい問題、すなわち、バイデンの命令を受けて、どうやってC4爆弾を外部から離れて起動させるか、という問題に取り組んだ。ノルウェーのチームは、いつ大統領がボタンを押すか、知ることはできない。数週間か数カ月、それとも半年後なのか〉

〈パイプラインに取り付けたC4爆弾は、航空機から投下されたソノブイ(注・音波で海中の潜水艦を探知する装置)で起動できるが、それには最新の信号加工技術が必要だった。…別の信号が誤って爆弾を起動したりしないように、信号は十分に明確でなければならない。国防総省の海軍作戦科学顧問のセオドア・ポストル博士は私に言った。「爆弾が水に使っている時間が長くなればなるほど、ランダムな信号が起爆させてしまうリスクが大きくなる」〉

〈2022年9月26日、ノルウェー海軍のP8偵察機が、いつものルートを飛ぶようにみせかけて、ソノブイを投下した。信号は水面下に広がって、まずノルドストリーム2に、次にノルドストリーム1に届いた。それから数時間後、高性能のC4爆弾が起動し、4本のパイプラインのうち3本が使用不能になった。数分後、壊れたパイプラインに残っていたメタンガスが水面に広がり、世界は「何か取り返しのつかないことが起きた」と知ったのだ〉

以上である。


余波が広がりつつある

ハーシュ氏の記事は情報源について匿名の単数で記しているが、本当に1人なのか複数なのか、は分からない。記事が発表されると、ホワイトハウスの国家安全保障会議の報道官は、ロシアのタス通信に対して「記事は完全な誤りで、まったくの創作」と否定した。

ロシア外務省の報道官はテレグラムに「米国はすべての事実についてコメントしなければならない」と投稿した。一方、中国共産党系の新聞、グローバル・タイムズも2月10日付の社説で「ワシントンはノルドストリームの爆発について、世界に説明する責任がある」と指摘した。中国はスパイ気球問題の仕返しとばかり、ノルドストリーム問題を追及する姿勢である。

米国の主要メディアは2月12日時点で、ほぼ黙殺している。ロイター通信がホワイトハウスの否定談話を中心にして、短く紹介したくらいだ。ロシアはノルドストリーム問題を国連安全保障理事会に持ち出す姿勢だ。いつまでも、沈黙はできないだろう。

私は、先に紹介したバイデン大統領の発言からみて「米国の仕業である可能性が高い」とみる。ポーランドのラドスワフ・シコルスキ元外相は爆発の直後「ありがとう、USA」とツイートしていた。ポーランドはノルドストリーム計画に反対していた。これも傍証の1つである。

ノルドストリームには、ドイツ企業も出資している。米国による爆破が事実なら、米国はロシアを追い込むためには、同盟国にとっての重要施設爆破も辞さなかったのだ。中国は米国の空にスパイ気球を放っていた。米中ロの対決は一段と、きな臭くなっている。


・ウクライナ戦争のウラに「CIAの工作」があっただと…?にわかに信憑性を増す「アメリカ陰謀説」の深層と「国際政治」のヤバすぎる現実(現代ビジネス 2023年3月15日)

藤 和彦

※ウクライナ戦争開戦から1年が経つが、その間に発生した事件のなかでも最も大きな謎とされるのが「ノルドストリームの爆破」だ。

そのミステリーに一定の見解を示しているのが、アメリカの著名ジャーナリストのシーモア・ハーシュ氏である。彼は2月8日「米国政府が爆発に関与していた」と主張したのだ。

この主張以降、非公開の米独首脳会談やニューヨーク・タイムズ(NYT)の不可解な報道が続いている。いったい、ハーシュ氏は「アメリカの関与」についてどのような主張をしているのだろうか。


著名ジャーナリストが指摘する「アメリカの関与」

ハーシュ氏はベトナム戦争のソンミ村での米軍の虐殺など、これまで何度も米国政府にとって都合の悪い事実をすっぱ抜いてきた。

ショルツ首相はハーシュ氏の主張についてコメントを避けてきたが、内心気になっていたことは間違いないだろう。計画に関わった匿名の関係者を徹底取材したハーシュ氏の主張は次の通りだ。

〈ノルドストリームの破壊工作は、ホワイトハウス中心となって、米軍、CIA、国務省などの担当者が参画した。米軍と関係が深いとされるノルウエー軍も関わった。実際の工作活動はバルト海で毎年行われている西側諸国の軍事演習「バルトップス」は2022年6月に行われた。演習に参加した米海軍のダイバーがC4爆弾と呼ばれる粘土形状の爆弾をパイプラインに仕掛けた。そして3ヵ月後の9月26日、ノルウエー軍が潜水艦探知のために使うソナーブイを投下し、C4爆弾を遠隔操作で爆破させた〉

以上がハーシュ氏の主な主張だが、注目すべきは、この計画がロシアのウクライナ侵攻の5ヵ月前(2021年9月)から検討されていたことだ。

この時点でウクライナ戦争は始まっていなかったが、ノルドストリーム2の稼働開始でドイツのロシア産天然ガスの依存度はさらに高まる状況にあった。

ハーシュ氏によれば、北大西洋条約機構(NATO)の団結が揺らぐことを懸念したバイデン政権は、冬を迎えるドイツが苦境に陥ることを承知の上でロシアからの天然ガス供給を途絶させることを画策したという。

これが事実だとすれば、米国は同盟国ドイツに対して明確な背信行為を犯していたことになる。

米国・ノルウエー両政府はハーシュ氏の主張を全否定しているが、ノルドストリームの爆破で得をしたのは米国とノルウエーであることは明白だ。

欧州では米国からの液化天然ガス(LNG)輸入量がロシアからのパインプラインによる天然ガス輸入量を大幅に上回る事態となり、米国はカタールを抜いて世界最大のLNG輸出国となった。

ノルウエーからのパインプラインによる天然ガス輸入量もロシアからの輸入量を上回るようになっている。

ハーシュ氏の主張に疑問を投げかける報道もなされているが、分析が詳細かつ具体的であることから、NYTの報道に比べてはるかに信憑性が高いと言わざるを得ない。


「国益のためなら同盟国も犠牲に」

前述の首脳会談でショルツ首相がハーシュ氏の主張を問いただしたのに対し、バイデン大統領は自らの責任を回避するための見立てを述べた可能性は排除できない。米国側の苦し紛れの言い訳がNYTの報道のベースになっていると思えてならないのだ。

今年は暖冬に恵まれたが、ドイツのエネルギー安全保障は危うくなるばかりだ。

ドイツの産業界が今年支払うエネルギーコストは2021年から約40%も高騰する見通しだ。安価なロシア産天然ガスを活用して高成長を遂げてきたドイツ経済の競争力が大きく損なわれるリスクが高まっている。

ノルドストリーム破壊という出来事が我々に突きつけるのは、「自国の国益のためには同盟国の利益をも犠牲にする」という国際政治の厳しい現実なのではないだろうか。

ドイツが「不都合な真実」に一刻も早く向き合い、独自路線に踏み出すことに期待したい。日本もドイツの苦い教訓を「他山の石」として肝に銘ずるべきだ。




















・パイプラインに対する破壊工作の真相を調べる必要はないと判断した国連安保理

2023.03.30
 
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202303300000/

※ロシアとドイツがバルト海に建設した2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が2022年9月26日から27日にかけての間に破壊され、天然ガスが流出した。

瞬間的に大きな穴が空いたと見られ、1カ所あたりの爆発エネルギーはTNTに換算して100キログラム以上だとされている。パイプの構造から考えて事故でそうしたことが起こる可能性は小さく、当初から爆破工作だと推測されていた。

この天然ガス流出について調査するように求める決議をロシアと中国は国連の安全保障理事会に求めたが、賛成したのはロシア、中国、ブラジルの3カ国にすぎず、アルバニア、イギリス、ガボン、ガーナ、マルタ、モザンビーク、アラブ首長国連邦、アメリカ、フランス、スイス、エクアドル、日本は棄権した。

国際的に大きな影響を及ぼした破壊工作が行われた可能性が高いにもかかわらず、真相を明らかにする必要はないと12カ国は考えたわけである。状況から考え、実行国はアメリカ、あるいはその従属国だと考えられているが、棄権した国々もそう判断したのだろう。

破壊直後、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込み、その後、ノードストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書いた。ロシアはバルブを締めれば天然ガスを止められるが、緩めれば再稼働できる。そうした状況ではロシアがEUへプレッシャーをかけられるわけで、そのことをシコルスキーは理解していた。

ロシアとヨーロッパは天然ガスを通じて関係を深めていた。輸送はパイプラインで行われ、その多くはウクライナを経由していたことから、アメリカの支配層はロシアとヨーロッパを分断するためにウクライナを完全な属国にしようとする。そこでバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでネオ・ナチを使い、クーデターを実行したわけだ。

しかし、ウクライナを迂回するため、ロシアとドイツはバルト海を経由する2本のパイプライン「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」を建設した。

NS1は2010年4月に建設が始まり、11年11月から天然ガスの供給が始められる。ウクライナの体制がクーデターで変わった後の2015年6月にガスプロムとロイヤル・ダッチ・シェルは共同でNS2の建設を開始、18年1月にドイツはNS2の建設を承認、21年9月にパイプラインは完成した。

アメリカやポーランドはNS1やNS2の建設や稼働に強く反対し、ドナルド・トランプ政権下の2020年7月には国務長官のマイク・ポンペオがNS2を止めるためにあらゆることを実行すると発言。2021年1月に大統領がジョー・バイデンに交代しても状況に変化はなく、22年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官はロシアがウクライナを侵略したらNS2を止めると発言している。2月7日にはジョー・バイデン大統領がNS2を終わらせると主張し、アメリカはそうしたことができると記者に約束した。

2022年2月24日にロシア軍はウクライナに対する軍事作戦を開始、アメリカ政府の圧力でEUは新パイプラインの稼働を断念。アメリカはさらにNS1も止めさせようとした。

パイプラインが爆破された1分後にイギリスの首相だったリズ・トラスはiPhoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送ったと伝えられている。携帯電話がハッキングされたようだ。

その当時、イギリスの閣僚が使っていた電話がハッキングされていたことを疑わせるできごとがあった。イギリスの​ベン・ウォレス国防相​は10月18日、アメリカの国務省や情報機関の高官と会うために同国を秘密裏に訪問しているのだ。

閣僚が使う通信手段はセキュリティーの信頼度が高いはずで、通常なら電話で済ませるはずなのだが、本人が出向いた。そこで通信のセキュリティーに不安があったと考える人もいたが、その推測は正しかったようだ。その直後、「ジョーカーDPR」と名乗るハッカー・チームがウクライナ軍の指揮統制プログラムにハッキングしたと主張している。

そして今年2月8日、調査ジャーナリストの​シーモア・ハーシュ​はアメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表した。

ハーシュによると、アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、その中には統合参謀本部、CIA、国務省、そして財務省の代表が参加している。12月にはどのような工作を実行するか話し合ったという。そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を具申している。

2022年1月27日にビクトリア・ヌランド国務次官は、ロシアがウクライナを侵略したらノード・ストリーム2を止めると発言、2月7日にはバイデン大統領がノード・ストリーム2を終わらせると主張、記者に実行を約束した。こうした発言の背後には爆破計画があったわけだ。

爆破計画の拠点として選ばれたのはノルウェー。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長の母国だ。ハーシュによると、3月にはサリバンのチームに属すメンバーがノルウェーの情報機関に接触、爆弾を仕掛けるために最適な場所を聞き、ボルンホルム島の近くに決まった。

プラスチック爆弾のC4が使われたが、仕掛けるためにはロシアを欺くためにカムフラージュが必要。そこで利用されたのがNATO軍の軍事演習「​BALTOPS22​」だ。その際にボーンホルム島の近くで無人の機雷処理用の潜航艇を使った訓練が行われた。


・パイプライン爆破 ウクライナ軍が計画、CIAも事前に把握か 米紙(AFPBB 2023年6月7日) によるストーリー

※米紙ワシントン・ポストは6日、天然ガスをロシアからドイツに輸送するパイプライン「ノルドストリーム」で昨年起きた爆発について、欧州の情報機関が3か月前にウクライナの特殊部隊による爆破計画を察知し米中央情報局と情報共有していたと報じた。

同紙は、今年流出した米機密文書を分析。その結果、欧州のある情報機関が昨年6月、CIAに対し、ウクライナ軍の総司令官直属の潜水部隊がパイプラインの爆破を計画していると伝えていたとしている。どの国の情報機関かは特定されていない。

昨年9月16日に発生したノルドストリーム1および2での爆発をめぐっては、ロシア、米国、ウクライナの関与が取り沙汰されたものの、いずれも関与を否定している。

ワシントン・ポストは匿名の当局者の話として、CIAが爆破計画を把握した後、米政府はドイツなどの同盟国に情報を提供していたと伝えている。

同紙によると、情報を入手した欧州の情報機関は、これはウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官が監督した作戦で、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領には知らされていないと明言したという。


・「ノルドストリームを爆破したのはウクライナ」と米ワシントンポストが報じる
2023年11月12日 NOFIA

https://nofia.net/?p=15607

こんなわかりきったことが報道に出てきたことが示しているのは、「ウクライナを見捨てる準備が西側体制にできた」ということで、報道管制が解けたということだと思います。


・ウクライナ人将校がノルド・ストリーム・パイプライン爆発で重要な役割を果たしたと国際メディアが報じた

2023/11/11

※バルト海の海底を走るノルド・ストリーム・ガス・パイプラインが爆発で損傷した際、ウクライナ人将校が中心的な役割を果たしたとアメリカの新聞ワシントンポストが報じた。

同紙はドイツのシュピーゲル紙と協力してこの問題を調査した。

ワシントンポストは、ウクライナとヨーロッパの複数の匿名の公式情報筋、およびこの問題に詳しい他の当事者に基づいてニュースを作成していると述べた。

同紙によると、問題の 48歳の警察官はウクライナ諜報機関と深いつながりがあるという。

ワシントンポストは、この士官はウクライナの特殊部隊で働いていたと書いている。同紙は、この警察官が海底のガスパイプラインに爆発物を運び込んだ 6人チームの後方支援と支援を担当したと主張している。

ロシアからドイツまで走っているガスパイプラインであるノルドストリーム1とノルドストリーム2は、2022年9月の爆発で大きな被害を受けた。

ワシントンポストは、収集した情報が、ウクライナ軍と治安当局とガスパイプライン爆破事件との間のこれまでで最も直接的なつながりであると確信している。

問題の警察官は爆発への関与を否定しており、自身に対する告発はロシアのプロパガンダであると述べている。


・ノルドストリーム破壊、ウクライナ軍将校関与か 米独調査報道(AFPBB 2023年11月12日)

※ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム」が昨年9月に爆破された事件について、米紙ワシントン・ポストと独誌シュピーゲルは合同調査の結果、ウクライナ軍将校が主要な役割を果たしていたと報じた。

11日付の両紙誌によれば、この将校はウクライナ特殊作戦軍のロマン・チェルビンスキー大佐。同国内および欧州の当局者や消息筋によると、大佐は破壊作戦の「コーディネーター(調整役)」を果たしていた。

ワシントン・ポストは大佐の役割について、後方支援および作戦実行要員6人の監督だったと指摘。実行部隊は偽名でボートを借り、潜水具を使ってパイプラインに爆発装置を設置した。作戦は大佐単独によるものではなく、ウクライナ当局の指示に基づくものとしている。
 
大佐は現在、別件で職権乱用の疑いで逮捕され、キーウで公判中。弁護士を通じて両紙誌に、「ノルドストリーム破壊に私が関与したとの臆測はロシアのプロパガンダによって広められたものであり、事実無根だ」とのコメントを寄せた。

訴追されていることについては、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領を批判したことへの政治的な報復だと主張しているという。

ワシントン・ポストは、ノルドストリーム破壊作戦はゼレンスキー氏には伏せて立案されたとしている。


・ウクライナ軍大佐が破壊に関与か 海底パイプライン、調整役と報道(共同通信 2023年11月12日)

※ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム」で昨年9月に起きたガス漏れを巡り、ドイツ有力誌シュピーゲルなどは11日、ウクライナ軍特殊部隊に所属していた大佐が破壊計画の調整役として中心的役割を担ったと報じた。ウクライナや欧州の当局者の話としている。

ガス漏れを巡っては、以前からウクライナの関与が取り沙汰されていたが、ウクライナ側は否定している。米紙ワシントン・ポストは6月、米当局の機密文書に基づき、ウクライナ軍のダイバーらによる破壊計画を米政府が事前に把握していたと報じた。

シュピーゲルなどの今回の報道によると、大佐はパイプラインに爆発物を設置したウクライナ軍のダイバーらの管理や後方支援を行った。軍高官からの命令を受けており、最終的にザルジニー総司令官に報告した。ゼレンスキー大統領は意図的に計画を知らされなかった可能性があるという。
 
大佐は軍事作戦にからみ、4月に逮捕され、現在は勾留中。弁護士を通じてノルドストリームの破壊計画への関与を否定した。