https://twitter.com/slightsight/status/1636389475986345985











・ソロスの傀儡だったティモシェンコは2014年3月に核兵器の使用を口にしていた

2023.06.30

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202306300000/

※アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行した。その時に手先として使ったのはネオ・ナチ。その時のため、彼らはNATOの軍事訓練を受けている。そのクーデターを東部や南部の住民は拒否、南部のクリミアはロシアと一体化し、東部のドンバスでは内戦が始まった。

クーデターの目的は、2010年の大統領選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチを排除すること。西側の私的権力はウクライナを植民地化、ドイツとロシアを分断し、NATO軍を入れてロシアへ軍事侵攻できる態勢を整えようとしていた。これは1991年12月のソ連が消滅した直後からネオコンが目論んできたことだ。


2010年の大統領選挙でヤヌコビッチと争ったユリア・ティモシェンコは2005年1月から9月まで、そして07年12月から10年3月までウクライナの首相を務めた人物。その当時の大統領は西側が支援していたビクトル・ユシチェンコだ。ユシチェンコを大統領にするため、アメリカの支配層は「オレンジ革命」を実行、ヤヌコビッチを引き摺り下ろした。

しかし、ユシチェンコ政権が実行した新自由主義的政策によって大多数の国民は貧困化、一部の腐敗勢力が巨万と富を築いてオリガルヒと呼ばれるようになる。ティモシェンコもそうしたオリガルヒのひとりだ。2008年に彼女はジョージ・ソロスからのアドバイスに基づく政策を実行すると発言している。

ユシチェンコ時代に新自由主義の実態を知ったウクライナの有権者は2010年の選挙でヤヌコビッチを選んだのだが、投票行動は地域によって大きな違いがある。東部と南部は圧倒的にヤヌコビッチであり、西部はティモシェンコ。西側の私的権力や有力メディアが大統領に据えようとしたティモシェンコが負けたため、オバマ政権はクーデターを実行したわけだ。




アメリカ/NATOやティモシェンコたちはクーデターでウクライナ全土を制圧するつもりだったのだろうが、ソ連時代から自分たちをロシア人だと考えていた東部や南部の住民は抵抗、全土制圧はできず、ティモシェンコは怒る。その怒りを彼女は電話で爆発させた。その電話による会話は2014年3月18日に行われたと言われている。

その会話を録音、3月24日にインターネットで公開した人物がいる。会話の相手は国家安全保障国防評議会のネストル・シュフリチ元次官。その中で​ティモシェンコはウラジミル・プーチンだけでなく、ウクライナに住む800万人のロシア人を核兵器で殺すべきだと語っている​。ティモシェンコはツイッターで電話が本物であることを認めたが、編集されていると弁明している。

クーデター後、ネオ・ナチのグループは街を威圧して歩き、暴力的に脅し回っている。そうした中には議会や検察事務所も含まれていた。そうした中、「選挙」が実施されるが、その直前の5月24日、​マデリーン・オルブライト元国務長官がティモシェンコと会談​している。それだけアメリカの支配層には好かれているティモシェンコだが、その悪事が広く知られていることもあり、西部地域でも嫌われていたようで、選挙では惨敗した。

しかし、その後もウクライナにおけるネオ・ナチの影響力は弱まらないまま現在に至っている。国民の意思には関係なく、アメリカ/NATOを後ろ盾とするウクライナの権力者はティモシェンコと同じ精神構造をしているようだ。


・ロシアより先に戦争を始めたのは米国とウクライナの可能性(JBpress 2022年11月23日)

※一歩間違えれば、ロシアと西側の核戦争が勃発し、人類は滅亡するかもしれない。

ウクライナ危機は地球の存続を左右する大惨事であるにもかかわらず、日本を含む西側諸国は停戦の努力を放棄し、戦争の一方の当事者であるウクライナを絶対正義とみなして全面支援し、徹底的にロシアを敗北させようとしている。

この戦争は、ロシア・ベラルーシ対ウクライナ・NATO(北大西洋条約機構)の軍事紛争であり、ロシア対西側連合の経済・イデオロギー戦争だ。

岸田文雄政権はウクライナに攻撃兵器となるドローンを供与し、ヒステリックな対ロ制裁を実施し、ロシアの世界観を全否定している。

米国の正義を狂信するジョー・バイデン政権が極東でも事態をエスカレートさせれば、既に戦争の当事国となった日本は第3次世界大戦の戦場となる可能性がある。

一刻も早く停戦を実現させるために私たちができることは何か。

市民一人ひとりがロシア側の主張についても冷静かつ客観的に議論を深め、無責任な日本政府に戦争当事者であることをやめさせ、中立国として停戦協議の場を提供させることだ。

私は一政治学者として、中立・客観的な立場から、この戦争の本質を冷徹に分析する義務がある。

この間、日米欧の政治家・メディア・専門家の多くが「西側のリベラルな理想」と「国際社会の現実」を混同して議論していることに強い危機感を覚える。

彼らは集団催眠状態に陥ったかのように、「ウラジーミル・プーチン大統領は領土拡大のために一方的な侵略戦争を始め、無実のウクライナ人は祖国を守るために戦っているだけだ」というマントラを唱え続けている。

だが、これは「プーチンの戦争」ではない。

ロシア国民の大多数は「祖国防衛とロシア人解放のための軍事作戦」だと考えている。なぜか? 

日本では「ウクライナと西側の正義」は語り尽くされてきたので、「ロシアの正義」についても真剣に議論する必要があるだろう。


■ 戦争の根源とミンスク合意

誰がどうやってこの戦争を始めたのかを正確に理解することは重要だ。

なぜなら、西側の主要メディアの多くは、「2・24に大義もなく突然ウクライナを侵攻したロシアは処罰すべき悪い国だ」という確信に基づいて戦争報道を続けており、その大前提が崩れた時、彼らの報道の客観性が大いに疑われることになるからだ。

実は、ロシアが「特別軍事作戦」を開始する前から戦争は既に始まっていたという議論がある。

例えば、国連平和維持活動の政策責任者を務め、NATOではウクライナ支援プログラムにも参加したジャック・ボー(Jacques Baud)氏は、今年2月16日にウクライナが戦争を始めたと主張している。

以下、ボー氏がフランス情報研究センター(Centre Français de Recherche sur le Renseignement)『文献速報』第27号に寄稿した論文「ウクライナの軍事情勢:https://cf2r.org/documentation/la-situation-militaire-en-ukraine/」の内容を整理した上で、「2・16開戦説」について検証したい。

ボー氏はまず、ミンスク合意に至る過程について次のように指摘している。

 ・この紛争の根源は、2014年2月にヤヌコヴィッチ政権を転覆させた直後、新政府がロシア語を公用語から外し、ウクライナ東・南部のロシア語話者地域に対して激しい弾圧を実行し、オデッサやマリウポリなど各地で虐殺事件が発生したことにある。

 ・2014年5月に東部のドンバス地域で自称ドネツク・ルガンスク両共和国が行った住民投票は、プーチン大統領の助言に反して行われた。

 「親露派」という言い方はロシアが紛争の当事者だったことを示唆するが、それは事実ではなく、「ロシア語話者」と言った方が適切だろう。

 ・2014年、NATOで小型武器の拡散との戦いを担当していた時、ロシアから反政府勢力に兵器や軍装備品が渡されたことはなかった。

 ロシア語を話すウクライナ軍部隊が味方につき、反政府勢力の武装化が進んだ。ドンバスに対する大規模な反テロ作戦を開始したウクライナ政府がデバルツェボで完敗を喫し、2015年2月に「ミンスク2」協定が結ばれた。

 ・東部紛争をめぐる停戦協定である「ミンスク合意」は、ドネツク・ルガンスク両共和国の分離や独立ではなく、ウクライナ国内での自治を規定していた。

両共和国の地位は政府と両共和国の代表との間で交渉されると書かれており、ウクライナの国内問題なので、2014年以降、ロシアは交渉の当事者になることを拒否し、合意の履行を求め続けていた。

2022年2月23~24日より前にOSCE(欧州安全保障協力機構)の監視員がドンバスで活動するロシア軍部隊の痕跡を観測したことは一度もなかった。


■ 極右民兵の創設と2・16以降の集中砲撃

ボー氏は、ウクライナ政府が弱体化した軍の兵力不足を補うために準軍事組織の民兵に頼り、基本的に外国人傭兵から成る民兵の多くは極右過激派だと指摘する。

(ウクライナの軍事力をまとめたロイター通信によると、2020年、全兵力31万1000人の内、民兵は10万2000人)。

彼はウクライナの民兵の特徴について、次の点を明らかにしている。

 ・19カ国から集まった民兵は、米英仏・カナダによって武装化され、資金提供を受け、訓練された。西側は、2014年から民間人に対するレイプ・拷問・虐殺などの数多くの犯罪を犯してきた彼らに武器を与え続けた。

 ・西側諸国によって支えられた極右民兵は、2014年からドンバスで活動し続けた。彼らは暴力的で吐き気を催させるイデオロギーを伝え、猛烈な反ユダヤ主義者だ。

アゾフ連隊などの狂信的で残忍な過激派民兵は、ユーロマイダン革命を活気づけた極右集団から創設された。ロシアだけでなく、ユダヤ人団体、西側メディア、米陸軍士官学校の反テロセンターなどもウクライナの民兵を「ナチ」や「ネオナチ」と特徴付けている。

その上で、今年2月24日にロシアが軍事介入するまでのドンバスの状況について、次のように分析している。

 ・2021年3月24日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はクリミア奪還命令を出し、南部に軍を配備し始めた。

同時に黒海とバルト海の間でNATOの軍事演習が何度か行われ、ロシア国境沿いの偵察飛行が大幅に増加した。

その後、ロシアは軍事演習を実施した。同年10月、ウクライナはミンスク合意に違反し、ドンバスでドローン攻撃を行った。

 ・2022年2月11日、独仏露ウの補佐官級会合は具体的な成果が出ずに終わり、明らかに米国からの圧力の下で、ウクライナはミンスク合意の適用を拒否した。

プーチン大統領は、西側は空約束をするだけで合意を遵守させるつもりはないと言及した。ドンバスの両軍接触地帯での政府側の軍事的準備が進み、15日、ロシア議会は両共和国の独立を承認するようプーチン氏に求めたが、彼は承認を拒絶した。

 ・2月16日以降、OSCE監視団の日報が示す通り、ドンバスの住民に対する砲撃が激増した。当然のことながら、西側のメディアと政府、EU、NATOは何も反応せず、介入しなかった。

EUや一部の国々は、ドンバス住民の虐殺がロシアの介入を引き起こすことを知りながら、虐殺について故意に沈黙を保ったようだ。

 ・早ければ2月16日にバイデン大統領は、ウクライナ軍がドンバスの民間人を砲撃し始めたことを知っていた。

プーチン大統領は、ドンバスを軍事的に助けて国際問題を引き起こすか、ロシア語話者の住民が粉砕されるのを傍観するか、難しい選択を迫られた。

 ・プーチン氏は、介入すれば、「保護する責任」(R2P)の国際義務を呼び起こせること、介入の性質や規模にかかわらず制裁の嵐を引き起こすことを知っていた。

ロシアの介入がドンバスに限定されようが、ウクライナの地位について西側に圧力をかけるためにさらに突き進もうが、支払う代償は同じだろう。

2月21日、彼は演説でこのことを説明し、下院の要請に応じて2共和国の独立を承認し、彼らとの友好・援助条約に署名した。

 ・ドンバスの住民に対するウクライナ軍の砲撃は続き、2月23日、両共和国はロシアに軍事援助を求めた。24日、プーチン氏は、防衛同盟の枠組みの中での相互軍事援助を規定する国連憲章第51条を発動した。

 ・国民の目から見てロシアの介入を完全に違法なものとするために、西側諸国は戦争が実際には2月16日に始まったという事実を意図的に隠した。

一部のロシアと欧州の情報機関が十分認識していたように、ウクライナ軍は早ければ21年にドンバスを攻撃する準備をしていた。


■ 「2・16開戦説」を検証

米英の情報機関で訓練を受け、スイス戦略情報局員だったジャック・ボー氏は、主に西側の公開情報や国連・OSCE(欧州安全保障協力機構)の客観的なデータを提示しながらこの戦争を緻密に分析している。

ロシアの介入が始まる前の軍事情勢も踏まえつつ、中立機関のデータなどを基に2・16開戦説を検証してみよう。

「今年2月16日からウクライナ軍がドンバスの住民を集中砲撃し始めた」とボー氏が主張する根拠となっているのは、OSCEが作成した「ウクライナ特別監視団の日報・現地報告(Daily and spot reports from the Special Monitoring Mission to Ukraine):https://www.osce.org/ukraine-smm/reports/」だ。

日報では、ドネツク・ルガンスク地域における停戦違反と砲撃の回数・場所が報告されている。

実際にデータを確認してみたが、1日平均の停戦違反・砲撃数は、昨年は257回・約70発、今年は2月14日までは200回余り・約50発だった。

2月15日は153回・76発だったが、16日になると591回・316発と急増している。

その後は17日に870回・654発、18日に1566回・1413発、19~20日は3231回・2026発だった。プーチン大統領がドンバスの2共和国の独立を承認した21日には1927回・1481発、22日は1710回・1420発だった。

また、日報の停戦違反・砲撃地が示された地図を見ると、16日からドネツク・ルガンスクにおける政府管理地域と両人民共和国の境界線上で激しい戦闘が始まったことが分かる。

17日以降の地図からは、ロシアが介入するまで、ウクライナ軍が日を追うごとに両共和国内に攻め込んで激しく砲撃している状況が読み取れる。

1日の砲撃数が300発を超えた16日からドンバスでは戦争状態になったというボー氏の主張には説得力がある。

だが、OSCEの日報だけでは、戦争を始めたのがウクライナ軍だったのか共和国側だったのかは分からない。

米国・NATOの動き、ドンバスの軍事情勢、民間人死傷者に関するデータなどから、どのようにこの戦争が始まったのか分析を試みる。

ウクライナが独仏露ウ会合でミンスク合意の適用を拒否した2月11日、バイデン大統領はNATO・EUの指導者に「プーチン氏がウクライナの侵攻を決定し、16日にも攻撃する」と伝えた。

13日、OSCEウクライナ特別監視団が「最近、特定の参加国が、自国の監視員は数日以内にウクライナから退去すべきだという決定を下した」というプレス声明を出す。

同日、ロシア外務省のザハロワ報道官は「この決定には深刻な懸念を抱かざるを得ない。監視団は米国によって故意に軍事的ヒステリー状態に引きずり込まれ、今後起こりうる挑発の道具として利用されている」と反応した。

13日にはルガンスク人民共和国の幹部も「米英・EUの監視員の撤退はウクライナと西側が大規模な挑発を始めることを意味する」と発言し、ドネツク人民共和国の幹部は「米英・デンマークの監視員が共和国を去った」と話していた。

17日、米英などに拠点がある「戦争・平和報道研究所(IWPR)」も、「情報筋によると、2月16日時点で米英・カナダ・デンマーク・アルバニアがウクライナから監視員を撤退させ、オランダは政府管理地域へ団員を移動させた」と報じている。

実際に集中砲撃が始まる16日の前に米国と一部のNATO加盟国は自国監視員をウクライナあるいは共和国側から退去させ、バイデン氏の「予言」は西側メディアでも機能し続けていた。

一方、ロシアは監視活動の継続を訴え、国連安保理でもウクライナを侵攻する計画はなく、軍事的緊張を高めているのは米国率いる西側だと非難し続けていた。

このような状況下、まだ多くのOSCE監視員がミンスク合意の遵守を監視する中、まさに予言された日から共和国側が政府管理地域との境界線上で全面戦争を始めたとは考えにくい。

2月16日にはロシアのペスコフ大統領報道官が「全世界は既にウクライナ政府がドンバスで軍事作戦を始めたことを目撃した」と発言している。

また、昨年12月1日にロイター通信は、紛争地のドンバスに12万5000人の部隊を配備したウクライナをロシアが非難したと報じていた。

今年2月21日には国連安保理でロシアのネベンジャ国連大使が、ウクライナがドンバスの境界線に12万の部隊を配備していたと指摘した。

2・24前に西側メディアの多くは、10~15万のロシア軍がウクライナとの国境周辺にいると報道し続けたが、2・16から約12万のウクライナ軍と4万~4.5万と言われる2共和国の武装勢力が激しい戦闘状態に入ったという構図は伝えなかった。

プーチン氏が両共和国の独立を承認するか不明だった16日の段階で、共和国側が米国などの最新兵器を有するウクライナ軍12万に対して全面戦争を始めるだろうか? 

ロシアが軍事介入した24日時点でも、総兵力31万以上のNATO化されたウクライナ軍と計約20万のロシア軍・共和国武装勢力が戦うという軍事情勢だったとも言える。

さらに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が今年1月27日に公表した「ウクライナにおける紛争関連の民間人死傷者(Conflict-related civilian casualties in Ukraine)」によると、2018年から21年までのドンバスでの激しい戦闘による民間人死傷者の81.4%は両共和国の管理地域内で発生しており、ウクライナ軍の攻撃の結果だと分かる(政府管理地域の民間人死傷者は、16.3%)。

少なくとも2018年から、事実上のNATO軍になりつつあったウクライナ軍がロシア語話者の民間人も激しく攻撃し続けていたと言える。

以上の状況から、断言はできないが、米国・NATOと一体化し、軍事力で反政府勢力を圧倒していたウクライナ政府が2月16日に戦争を始めた可能性が高いと言えるだろう。


■ なぜプーチン大統領は全面介入したのか

2・24にロシアがウクライナに軍事介入した理由は、ゼレンスキー政権がロシア語話者の住民を猛烈に砲撃し続けるのを傍観できなかったからだと思われる。

1日の砲撃数が1481発まで激増した2月21日にプーチン大統領は2共和国の独立を承認したが、ウクライナ政府はロシアが集団的自衛権を行使することを知りながら、22日もロシア語話者の住民を集中砲撃し、米国・西側諸国はそれを黙認していた。

プーチン氏が全面的な介入を選択した理由としては、以下の点が挙げられよう。

 ・マイダン革命後の8年間、米国・NATOに支えられたポロシェンコ・ゼレンスキー両政権は、ロシア系ウクライナ人のロシア語を使用する権利を奪い続け、自治の拡大と生存権を求めて闘っていたロシア語話者の自国民をテロリストと呼んで弾圧・攻撃・虐殺し続けた。

 ・2008年以降、米国はウクライナのNATO加盟だけは絶対に許容できないと訴えてきたロシアを無視し、14年からNATOと共に毎年約1万人のウクライナ兵を訓練し、2・24前までにウクライナ軍は最新兵器を備えた事実上のNATO軍になっていた。

 ・ネオナチとされる極右民兵などはロシア系ウクライナ人に対する拷問・虐殺などの犯罪を犯し続けたが、政府と裁判所だけでなくウクライナ社会全体に「ドンバスにいるロシア語話者のテロリストたち」に対する暴力を黙認するような「文化」が出現していた。

 ・ゼレンスキー大統領はミンスク合意で交渉当事者として認められた共和国側の代表との交渉を拒否し、両共和国の存在そのものを否定し、ロシアからクリミアを奪還すると公言し続けてきた。

西側メディアは「2014年にロシアはクリミアを一方的に併合した」と報道してきたが、18世紀から1991年までロシア・ソ連領であり続けたクリミアでは91年と94年にも住民投票が実施され、クリミアの住民の多くは一貫してウクライナから分離してロシアへ編入されることを望んでいた。

プーチン大統領は、NATOと一体化して年々強大化するウクライナ軍がドンバスのロシア語話者を全面攻撃し、ロシアにとって死活的に重要なクリミアにもいつ攻め込んでくるか分からない状況を「国家存続を脅かす事態」とみなし、「特別軍事作戦」を開始したと思われる。

そもそも、ウクライナ語話者とロシア語話者が共存する多民族国家ウクライナに米国が介入しなければ、この戦争は起こらなかった。

ロシアとも欧州とも協力し合わなければ、ウクライナが発展する道はなかった。にもかかわらず、2014年に米国は、ロシアを弱体化させて自らの絶対正義を世界に拡散させるために親欧米派を支援し、暴力的な政権転覆を成功させた。

また、「革命」後に新政府がロシア語話者を弾圧・虐殺し続けなければ、クリミア編入もドンバス紛争もロシアの軍事介入もなかっただろう。

2・24後に西側でロシアに対するヒステリー状態が生まれたのはなぜか。

西側の指導者とメディアの多くが、客観的な情報やデータを無視し、別の世界観を持つロシアに対して恐怖感を抱き、「侵略国家ロシア」という思い込みから抜け出せないからではないか。

ジャック・ボー氏や私の分析が絶対に正しいと主張するつもりはない。

ただ、日本を戦争当事国から停戦の仲介国に変えるためには、中立機関の客観的データなどを基に冷静に議論を深めることが重要ではないだろうか。

これからも一研究者として、常識や事実と宣伝される仮説について、一つひとつ丁寧に検証していきたい。


・スイス平和エネルギー研究所が暴露した「ウクライナ戦争の裏側」の衝撃 世界は真実の半分しか見ていない(2022年5月31日)

遠藤誉 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

※スイスのガンザー博士がウクライナ戦争に関してアメリカが国際法違反をしていることを証明している。日本はこれを完全に無視し事実の半分の側面だけしか見ていない。戦争はこうして起こる。犠牲になるのは日本だ。


◆スイス平和エネルギー研究所のガンザー所長が語るウクライナ戦争:真実の裏側
 
2022年4月12日、スイス平和エネルギー研究所の所長であるダニエル・ガンザー博士がRubikon.newsに寄稿し、「8年前のオバマ大統領の国際法違反がなければ、プーチンの違法な軍事侵攻はおそらく起こらなかったでしょう」と語った。

動画のタイトルは<ガンザー博士が語るウクライナ紛争:真実の裏側>で、日本語字幕が付いているので、非常にわかりやすい。

なぜ、この動画にたどり着いたかというと、実は映画監督オリバー・ストーンのトークを見て、彼がドキュメンタリー『ウクライナ・オン・ファイヤー』を制作していたことを知ったからだ。ところがこの映画は、「あまりに真実を語っている」ことからか、アメリカ政府が妨害して見られないようにしているため、規制がかかってなかなかアクセスできない。さまざまなルートがあり、こちらももアクセスしたが、うまくいかない。民主主義国家のはずなのに、偏った事実しか知らせず、もう一方のアメリカ政府にとって都合の悪い事実は知られないようにするという、まるで中国大陸のようなやり方だ。

そこで若手のパソコンに強い人にお願いしてやっとたどり着いたのが、このスイス平和エネルギー研究所の動画である。何時間もかけてようやく文字起こししたのだが、よくよく見ると動画の下に文字による解説があった。しかしせっかくなので、自分で文字起こししたものも参考にしながらガンザー所長が何を語っているかを、概略をご紹介したい。


◆ウクライナ戦争の出発点
 
2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領は軍隊にウクライナへの侵攻を命じたが、これは国連の暴力禁止規定に違反するため違法だ。一方、そのほぼ8年前の2014年2月20日、アメリカのバラク・オバマ大統領は、ウクライナをNATOに引き込むためにウクライナ政府を転覆させた。このクーデターがウクライナ戦争の出発点だ。 

プーチンの侵略と同じように、オバマの行動は国連の暴力禁止に違反し、したがって違法だ。現在、メディアではプーチンの侵攻について多く報道され、正しく批判されている。しかし、オバマのクーデターについては、ほとんど報じられていない。なぜ、物語の半分しか語られないのか?

ガンザー所長の著作『違法な戦争(ILLEGAL KRIEGE)』でもウクライナのクーデターについて述べている。「欧米が主導したクーデターであることは間違いない」と、元CIA職員のレイ・マクガバンは認めている。

ベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦が崩壊した後、ウクライナは1991年にソビエト連邦からの独立を宣言した。ロシア政府の弱体化は、米国の影響力を東欧に拡大し、かつてモスクワが支配していたワルシャワ条約加盟国をNATOに加盟させる最初のチャンスを米政府に与えた。


◆NATOの東方拡大
 
米国はロシアにNATO不拡大を約束していたにもかかわらず、NATOは拡大され続けた。ロシアは激怒し、米国でも注意喚起の声が上がった。「もし中国が強力な軍事同盟を結び、カナダやメキシコを参加させようとしたら、そのときのワシントンの怒りを想像してみたらよい」と、シカゴ大学の政治学者ジョン・ミアシャイマー氏が警告した。ミアシャイマー氏によれば、欧米が不必要にロシアを刺激したため、ウクライナ危機を引き起こしたとぼこと。


◆マイダンでのジョン・マケイン上院議員
 
2013年末、ウクライナの首都キエフの中央広場「マイダン」では、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ大統領とニコライ・アザロフ首相の政権に反対するデモが行われていた。元ボクシング世界チャンピオンとして有名なビタリ・クリチコがデモを主導し、米国と緊密に打ち合わせた上で扇動的な演説をした。この緊迫した状況の中、米国の有力上院議員ジョン・マケインがウクライナに飛び、2013年12月15日、クリチコとともにマイダンの抗議者陣営を訪問した。米国の上院議員がデモ隊にウクライナ政府転覆促した。

もし、ロシアの有名な国会議員がカナダに飛び、首都オタワでカナダ政府を転覆させようとするデモ隊を支援したら、米政府はどれほど怒り狂うだろうか?

米国はまさにそのようなことをウクライナで行ったのだ。


◆駐キエフ米大使館が抗議行動をコーディネート
 
マイダンのデモのリーダーたちは、米大使館に出入りし、そこで指令を受けていた。一部のデモ隊は武装しており、警察に対して暴力を行使した。キエフの米大使館では、ジェフリー・パイアット米大使がデモ隊を支援し、ウクライナの不安定化を進めた。パイアット大使は、元ボクサーのクリチコと直接コンタクトをとっていた。マイダン広場の組織化されたデモはどんどん大きくなり、キエフの緊張は高まっていった。バイデン米大統領もマイダンのデモを支持し、クーデターに直接関与していた。2013年12月、当時オバマ政権下で副大統領だったバイデンは、夜中にヤヌコビッチ大統領に電話をかけ、「警察がマイダンの群集を排除したら、ただでは済まないぞ」と脅した。その後、ヤヌコビッチは予定していた排除行動を撤回した。


◆ビクトリア・ヌーランドの50億ドル
 
米国務省でクーデターを担当していたのは、ビクトリア・ヌーランドだ。ヌーランドはブカレスト首脳会議で合意されていたように、ウクライナをNATOに加盟させるため、アザロフ首相とヤヌコビッチ大統領を引きずり落とそうとしていた。マイダンのデモの指導者たちは、米大使館から指令を受けただけでなく、報酬も受けていた。2013年12月、ヌーランドは講演で「我々はウクライナの民主主義を保証するために50億ドル以上を投資してきた」と語った。これには、元米下院議員のロン・ポール氏など、米国でも批判が出た。ウクライナのデモ隊の中にお金をもらっている人がいることは、当時公然の秘密だった。米国の大富豪ジョージ・ソロスのように、革命に資金を提供する人たちがいた。(会話録音に関しては省略した。)


◆2014年2月20日、狙撃手が状況をエスカレートさせる
 
2月末、マイダンの状況がエスカレートした。2014年2月20日、正体不明の狙撃手が複数の建物から警察官やデモ隊に発砲し、40人以上の死者を出すという大虐殺が発生し、状況は混乱した。ただちに当時のヤヌコビッチ政権とその警察組織は虐殺の責任を負わされたが、彼らには事態をエスカレートさせることに何の得もない。彼らとしては政権の転覆を避けたかったからだ。

しかし政権打倒を目指していたボクサーのビタリ・クリチコはドイツのタブロイド紙『ビルト』に「国際社会は独裁者が国民を虐殺するのを傍観していてはならない!」とコメントし、政権転覆は成功した。ヤヌコビッチ大統領は失脚し、ロシアに亡命した。その後、億万長者のペトロ・ポロシェンコが大統領に就任し、ウクライナをNATOに導くと即座に宣言。


◆プーチンがクーデターについて語る
 
ロシア人は米国がクーデターを組織したことを知っており、激しい怒りを覚えていた。もし米国と欧州が違憲行為を行った者達に対して、「そんなやり方で政権を取っても決して支持しない」、「選挙をやって勝てばいいんだ」と告げていたら、 状況はまったく違っていただろうとプーチン大統領は語った。


◆クリミアの分離独立
 
プーチン大統領は、手をこまねいたままウクライナを手放すつもりはなかった。ヤヌコビッチ政権崩壊直後、2014年2月23日未明にクリミアの「奪還」開始を指示した。2014年2月27日、クリミア半島最大の都市シンフェロポリで、記章のない緑の制服を着たロシア兵がすべての戦略地点を占拠し2014年3月16日、クリミアの人口の97%がウクライナから離脱し、ロシアに加盟することに票を投じた。それ以来、クリミア半島はウクライナではなく、ロシアに属している。

ウクライナ戦争では、米国もロシアも国際法を遵守していない。

まずオバマが2014年2月20日のクーデターで国際法を破った。

これに対し、プーチンは2014年2月23日にクリミアを占領して国際法を破った。

ロシアのクリミア占領は「現行の国際法に対する侵犯」であり、「ウクライナの主権と領土保全が侵害された」と、元連邦行政裁判所判事のディーター・デゼーロートは説明している。西側諸国は現在プーチンを厳しく批判しているが、西側諸国も数々のケースで現行の国際法に繰り返し違反している。プーチンを批判する資格に疑問符が付される。


◆ドンバスの分裂
 
キエフのクーデターとクリミアの分離独立後、ウクライナは内戦状態に陥った。新首相のヤツェニュク氏は、軍、諜報機関、警察の力で国全体を支配下に置こうとした。しかし、兵士、警察、シークレットサービス関係者は必ずしも全員がクーデター政府の指示に従ったわけではない。ロシアと国境を接するウクライナ東部のロシア語圏では、ドネツク地区とルガンスク地区がキエフのクーデター政権を承認しないことを宣言した。「分離主義者たちは警察署や行政庁舎を占拠し、新政府は不法に誕生したものであり正統性がない」と主張した。

ヤツェニュク首相はこれに激しく反発し、分離主義者はすべてテロリストであると断じた。CIA長官ジョン・ブレナンはクーデター実行者に助言するためにキエフに飛んだ。2014年4月15日、ウクライナ軍は米国の支援を得て「対テロ特別作戦」を開始し、ドネツク地区のスラビャンスク市を戦車や装甲兵員輸送車などで攻撃した。

これがウクライナ内戦の始まりで、8年間で1万3千人以上の命が失われ、それが2022年2月24日のプーチンによる不法侵攻につながったのだ。

キエフでのクーデターは、プーチンのウクライナ侵攻を正当化するものではなく、それが国際法の侵犯であることに変わりはない。しかし、私たち西側諸国が2014年のクーデターを無視するならば、ウクライナ戦争を理解することはできないだろう。

(ここまでがガンザー所長の分析の紹介。キエフなどは原文のママ)


◆基本軸で合致していた筆者の見解
 
このような動画を初めて見て驚き、激しい衝撃を受けた。

なぜなら、筆者の書いてきたものはガンザー所長の動画での分析の足元にも及ばないが、しかしこれまで書いてきたコラム(5月1日の<2014年、ウクライナにアメリカの傀儡政権を樹立させたバイデンと「クッキーを配るヌーランド」>や5月6日のコラム<遂につかんだ「バイデンの動かぬ証拠」――2014年ウクライナ親露政権打倒の首謀者>と一部重なっており、拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』で描いた軸とも一致していたからだ。

私ごときものが主張しても、日本政府は「聞く耳を持たない」かもしれないが、しかしスイス平和エネルギー研究所所長の主張やオリバー・ストーンが描いた映画であるなら、信用してくれるのではないだろうか。

真実はどこから斬り込んでも同じところに点を結ぶ。

日本はこの真実から目を逸らし、戦争に向かってまっしぐらに進もうとしていることに気が付いているだろうか?

今般のアメリカの対応を見れば、日本は自国の軍事力を強化する以外にないのは明らかだ。しかし、日本がどの文脈の中で戦争に巻き込まれようとしているのか、その真相を日本国民は自分自身のために直視しなければならないと思う。


遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』(2022年12月中旬発売。PHP新書)、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。