・【独自】安倍家と統一教会との“深い関係”を示す機密文書を発見 米大統領に「文鮮明の釈放」を嘆願していた岸信介(デイリー新潮 2022年7月20日)

※文鮮明の釈放を嘆願する文書
 
山上徹也容疑者(41)の凶行の背景には、安倍晋三元総理と統一教会の関係があることはすでに広く知られている。今回ご紹介する機密資料は、安倍元総理の祖父・岸信介元総理が1984年に当時の米大統領、ロナルド・レーガンに宛てた親書である。一族と統一教会の深い関係を物語る文書の内容とは――。

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「文尊師は誠実な男」 岸信介氏がレーガン大統領に宛てた驚きの文書

この書簡は、関連資料を保管する米カリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館のファイルに収められているもの。ジャーナリストの徳本栄一郎氏が5年前、本誌(「週刊新潮」)の依頼で同所を訪れた際に発掘した、この貴重な文書に登場するのは、統一教会の開祖・文鮮明の名前だ。

〈文尊師は、現在、不当にも拘禁されています。貴殿のご協力を得て、私は是が非でも、できる限り早く、彼が不当な拘禁から解放されるよう、お願いしたいと思います〉

出された日付は84年11月26日。差出人は岸信介。文鮮明はその前に、アメリカで脱税容疑にて起訴され、84年4月には懲役1年6カ月の実刑判決を受けて連邦刑務所に収監されていた。つまりこの書簡は、日本の元総理がアメリカの現職大統領に宛てて、韓国人「脱税犯」の逮捕が不当だとして釈放を依頼するという、極めて異例の内容なのだ。

文鮮明は「誠実な男」「希少かつ貴重」



手紙の後半に進むと、岸氏の懇願調は増す。

〈文尊師は、誠実な男であり、自由の理念の促進と共産主義の誤りを正すことに生涯をかけて取り組んでいると私は理解しております〉

〈彼の存在は、現在、そして将来にわたって、希少かつ貴重なものであり、自由と民主主義の維持にとって不可欠なものであります〉

この時点で日本では、既に教会による若者への強引な勧誘などが社会問題化していたが、その教団の首領を、「誠実で貴重」と評価しているというわけだ。

「この手紙を受け、アメリカ政府は対応を協議します。元総理で、その当時もなお自民党の実力者であった岸氏の依頼だけにむげにはできなかったのでしょう。返事も書いたようですが、それは今も機密解除されていません。国家安全保障上の理由とのことでした」(徳本氏)

結局、釈放は難しいと判断され、文鮮明が出所できたのは翌85年の夏だった。

嘆願書の3年後、岸氏は90歳で没するが、その後も岸・安倍一族と教会との関係は維持されていた――。

教会への恨みを安倍元総理に向けるというのは破綻した論理であるし、命を奪った行為は決して許されない。一方で岸・安倍一族と統一教会の間にあった深い関係は無視されるべきではないだろう。7月21日発売の「週刊新潮」では、安倍元総理、そして現役自民党議員と統一教会との関係性について詳しく報じている。




・安倍元総理と統一教会の“ズブズブ癒着”に新証言 「誰が統一教会の支援を受けるかは安倍さんの一存」(デイリー新潮 2022年8月3日)

※自民党と統一教会の関係が次々に報じられる中、選挙時の統一教会の支援対象は、安倍氏の一存で決まっていたという証言が。実際、統一教会内部の文書には、安倍氏の子飼い議員に対する選挙応援を〈首相からじきじき〉に依頼があった、との記述が見られるのだ。

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日米安保条約改定で嵐吹き荒んだ政治の季節。岸信介政権下の1950年代末、渋谷区南平台にあった岸邸で幼き安倍晋三氏は周囲の喧騒をよそに「アンポ、ハンターイ」と言って、祖父を苦笑いさせたという。かように有名なエピソードが語られる岸邸の隣にかつて統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連施設があった。そのことが岸家と統一教会を結ぶ一つのきっかけになったとされる。

そして2022年夏、その“ご近所付き合い”が、凶弾を放たれるきっかけになるとは――。岸家と安倍家の誰もが想像しえなかったに違いあるまい。

1968年に統一教会は「国際勝共連合」を設立。当時、岸氏の後ろ盾があったとされ、反共産主義の政治団体として活動してきた。また、「週刊新潮」7月28日号では、当誌の依頼でジャーナリストの徳本栄一郎氏がアメリカで発掘した1984年の知られざる書簡をご紹介した。それは当地で巨額脱税により実刑判決を受け、収監されていた統一教会の開祖・文鮮明の釈放を、岸氏がロナルド・レーガン大統領(当時)に懇願する内容だったのだ。


「安倍さんの一存で決まる」



(上)文鮮明

こうした密接な関係は安倍晋太郎、そして晋三へと引き継がれ、自民党の議員も巻き込みながら、現在まで連綿と続くことになる。

「選挙で誰が統一教会の支援を受けるかは、安倍さんの一存で決まるといわれていました」

と自民党のベテラン秘書。

「教会の組織票は約8万票といわれています。ただ、衆院選では1選挙区あたりの統一教会の票数はそれほどでもないので、参院の全国比例でその組織力が発揮されます。どの候補を応援するかは、安倍さんの意向がかなり反映される。落選しそうな意中の候補がいれば、安倍さんから“彼を頼む”といった具合です」

実際、過去に統一教会系の団体から推薦を受けた元議員はこう語る。

「推薦を受けるにあたって団体のトップと面談をします。そこでは、不倫スキャンダルや金銭トラブルがないことが条件で、さらに安倍元総理が応援している候補であれば、ほぼ確実に支援してもらうことができます。選挙の直前になると、統一教会系の施設で泊りがけの研修を行います。自分の場合は妻同伴で2泊3日でした」


安倍氏が選挙応援を教団に依頼



(上)統一教会の文鮮明と握手する岸信介氏

そうした安倍氏肝いりの候補の一人だったのが、元産経新聞記者で、2013年の参院選全国比例で初当選した安倍派の北村経夫参院議員だ。

カルト宗教に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏によれば、

「初当選時、当時首相だった安倍氏が北村氏の選挙応援を教団に依頼しているのです」

教団の内部文書にはこう書かれていた。

「〈首相からじきじきこの方(北村氏)を後援してほしいとの依頼〉〈まだCランクで当選には遠い状況です〉〈今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です〉と。19年の参院選でも統一教会内部で北村氏を応援するビラが出回っていました。当時、大宮で行われた演説会では国際勝共連合の関係者が仕切っており、300人以上が入れる会場に半分から3分の2くらいは信者が動員されていました」

自民党山口県連の関係者が後を受ける。

「北村さんはいずれの選挙も盤石な地盤を築いていたとは言い難く、安倍さんが選挙直前になって慌てて、統一教会に支援を依頼したといわれています。“統一教会のおかげで当選できた”と地元ではまことしやかにささやかれているのです」

北村事務所は、

「旧統一教会から支援を受けたことも、見返りを求められたこともありません」

と回答するも実際、統一教会の推薦が決まると手厚い支援が受けられるようで、

「一般的に統一教会サイドから20~30人程度のボランティアが連日手伝いに来てくれます。電話作戦やチラシ配り、ポスター張りなどの機動部隊となってくれるので、貴重な戦力です。15~20人くらいの人員で選対事務所を切り盛りしているところもありますから、本当に助かります」(県連関係者)


細田衆議院議長の熱のこもったスピーチ
 
鈴木氏が再び言う。

「議員側が統一教会の支援を受けるメリットの一つはこのマンパワーです。候補者は選挙の時の支援スタッフや事務所スタッフを賄える。ほかにも、いきなり国政は難しくても、息のかかった地方議員を育て、国政に打って出させるといったケースもあります」

統一教会の「政界汚染」はこうした例にとどまらない。

鈴木氏は、統一教会の関連団体のイベントへの出席歴や献金を受けたりした議員を独自に調査し、100人を超えるリストを公表している。そこには、麻生太郎自民党副総裁をはじめ多くの“重鎮”が名を連ねている。

例えば、元安倍派の議員では、女性記者へのセクハラ疑惑が報じられている細田博之衆院議長。19年10月に、統一教会系の天宙平和連合(UPF)が主催する会合に出席し、披露したのは、以下のような熱のこもったスピーチだった。

〈韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの国際指導者会議の場は、大変意義が深いわけでございます。この会が大きな成果を上げ成功されることを念じまして、ごあいさつとさせていただきます〉


汚染は野党にも

ほかにも安倍元総理の「秘蔵っ子」と呼ばれた稲田朋美元防衛相は09年と10年に統一教会系の団体のイベントで講演を行っており、菅政権で官邸を仕切っていた前官房長官の加藤勝信氏は18年に関連イベントに秘書を代理出席させたほか、同氏が代表を務める自民党支部は関連団体に会費を支払っている。

汚染は野党にも及ぶ。国民民主党の玉木雄一郎代表は「世界日報」の元社長から計3万円の寄付を受け、前原誠司氏は統一教会系米紙「ワシントン・タイムズ」の全面意見広告に名を連ねている。

それぞれの事務所に見解を尋ねると、細田事務所は回答ナシ。稲田事務所は、

「両集会への参加は事実です。当日はひと言挨あいさつをし、途中退席しました。講演はしていません」

ほかの議員は、

「慶事や行事などの案内などを受けることもあり、適宜事務所で判断して対応しています」(加藤事務所)

「賛同者として名を連ねたとありますが、前原にその認識はなく、(中略)統一教会の活動には一切関わりはございません」(前原事務所)

「(寄付は)いずれも事実です」(玉木事務所)


「見破れなかったこと自体が問題」
 
前出の鈴木氏が教団側の意図を解説する。

「統一教会が政治家と付き合うメリットは、内部統制の意味合いが強いと思います。信者の中には霊感商法や過度の献金などで教団に不信感を抱いている人もいる。そこで名のある政治家がメッセージを寄せれば、教団への信頼を担保することができるのです」

政治家としては前述した“見返り”を期待してのことなのだろうが、統一教会による被害に詳しい弁護士の紀藤正樹氏は手厳しい。

「統一教会には数えきれないほどの関連団体、友好団体があり、専門家でもすべてを見分けることは難しい。そうやって自分たちの正体を隠して政治家に接近するのが、カルト宗教の手口です。そうと知らずに協力してしまった政治家もいるかもしれませんが、見破れなかったこと自体が問題です。結果的に統一教会へのお墨付きを与える格好となり、社会全体としてカルトを糾弾する状況が生まれなかったのですから」

「週刊新潮」2022年8月4日号 掲載


・「マザームーン」発言や教団との関係、回答せず 自民・山本朋広氏(毎日新聞 2022年8月4日)

※世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が指摘されている自民党の山本朋広元副防衛相の議員事務所は3日、毎日新聞の取材に「日頃より、多くの個人、企業や各種団体とお付き合いしているところで、さまざまなご連絡やご案内を頂いている。相手方もあることなので答えを差し控える」と文書でコメントし、教団との関わりについて回答しなかった。

旧統一教会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏が主筆を務めるニュースサイト「やや日刊カルト新聞」によると、山本氏は2017年5月に東京都内で旧統一教会が開いた「1万人集会」に来賓として出席し、「日頃より世界平和統一家庭連合、(関連団体)世界平和連合の皆様には、我々自民党に対して大変大きなお力をいただいていますことを改めて感謝を申し上げたい」とあいさつ。教団の創始者・文鮮明氏(故人)の妻で現総裁の韓鶴子氏を「マザームーン」とたたえ、「(母の日の)カーネーションの花束をプレゼントさせていただいた」などと語ったとされる。


・旧統一教会の選挙活動を元“2世信者”が証言 「安倍さんは統一教会側の人」という身内意識(NEWSポストセブン 2022年8月5日)



(上)2021年9月には友好団体の集会にメッセージを送ったこともある安倍晋三氏

※安倍晋三・元首相の銃撃事件をきっかけに自民党と旧統一教会との親密な関係が次々に発覚し、議員たちが釈明に追われている。

安倍氏の実弟の岸信夫・防衛相が記者会見で、「選挙で個人のボランティアとして様々なお手伝いをいただいた。当時は問題がないという判断をしていた。それが正しかったのか、しっかり検討していく」。そう関係見直しに言及すれば、安倍派の末松信介・文科相も同教会関連のイベントに祝電を打ったことを認めたうえで、「パーティー券などを購入した事実がある」と明らかにした。

旧統一教会関連のイベントで講演などを行なっていた伊達忠一・元参院議長は地元・北海道テレビのインタビューに、2016年参院選の際、安倍派(当時は細田派)の比例代表候補を当選させるために安倍氏に旧統一教会の支援を依頼したことをこう証言している。

「『どうだろう?』と安倍さんが(聞いて)、『統一教会に頼んでちょっと(票が)足りないんだウチが』と言ったら、『わかりました、そしたらちょっと頼んでアレ(支援)しましょう』ということで、まあそりゃとにかく(票が)ナンボ入ったかわからんわね、そんなの。どっちにしても当選はしたんだわ」(HTB北海道ニュース)

一方の信者側にとっても、安倍氏は“特別な存在”だったようなのだ。本誌・週刊ポストは、両親とも旧統一教会という信者2世で、現在は脱会している元信者の20代女性Aさんから選挙活動の実態について重要な証言を得た。
 
旧統一教会の信者は熱心な選挙活動をすることで知られ、支援を受ける議員にとっては「手弁当のボランティアで票を持ってきてくれるから有り難い存在」(自民党ベテラン秘書)と積極的に受け入れてきた面がある。同教会の地区幹部を務めるAさんの母も、地元の市議選では選挙カーに乗って選挙運動をしていたという。Aさんが語る。

「選挙の時期になると、教会でも家でも、『今回はこの人に入れましょう』という話が出て、コンセンサスができていた。母もそうですが、熱心な信者ほど選挙応援も熱心でした。それというのも、現在の教会トップの韓鶴子・総裁は『政治の側から世界を変えていかなければいけない』と言っているし、文鮮明教祖も生前、そう言ってましたから。政党はやはり自民党。家庭では父から、『安倍さんは統一教会の原理を知っているんだよ』『安倍さんは(同教会の)神様側の人なんだよ』と教わりました」

旧統一教会の2世信者は高校を卒業すると「青年」と呼ばれ、選挙活動に参加できるようになるという。同地区の若い信者たちは、SNSを通じて選挙応援を呼びかける。

Aさんのスマホには、前回参院選(2019年)の投票日前に友人の2世信者からインスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)で送られてきた投票依頼のやりとりが残っている。



友人〈もしまだ投票しに行っていなければ、全国比例で応援してる議員がいて、協力してもらえないかな…??〉

Aさん〈ちなみに誰を応援してるのー?〉

すると安倍氏の地元・山口県出身で全国比例に出馬していた安倍派の北村経夫・参院議員のポスター画像が送られてきて、こんなメッセージがついていた。

友人〈あ、因みに、この北村さんは、安倍首相を支える側の人だよ〉

Aさんが続ける。

「『安倍首相を支える側の人だよ』というのは、『統一教会の側の人だよ』という意味になります。安倍さんが教会関連のイベントに祝電を送ってくれたことはみんな知っているし、うちの家族の間でも他の自民党議員に比べて安倍さんへの信頼は大きかった。安倍さんが(2度目の)総理になって以降、より影響力は大きくなったと思います。ですから、今回の事件で『安倍さんは(旧統一教会と)関係ないのに』という議論ばかりになるのは個人的には違和感があります」

 安倍氏が好むか好まざるかに関係なく、旧統一教会の2世信者たちにとって、安倍氏は「統一教会側の人」という身内意識が共有されていたことがわかる。

※週刊ポスト2022年8月19・26日号


・旧統一教会と安倍氏の闇(AERA dot. 2022年8月9日)

古賀茂明

※「自民党として組織的関係がないことを既にしっかりと確認をしております」7月26日、自民党 の茂木敏充幹事長が、自民党と旧統一教会(以下、教会と呼ぶ)との関係について、こう断言する映像がテレビやネットで流れた。

そのわずか2日後、これを全面否定するようなニュースが報じられた。

「安倍さんが、『統一教会に頼んでちょっと足りないんだウチが』と言ったら『わかりました、そしたらちょっと頼んでアレ(支援)しましょう』ということで」

これは、伊達忠一元参議院議長の言葉だ(HTBの放送)。安倍さんとはもちろん、安倍晋三元首相のこと。伊達氏が2016年の参議院選挙で支援していた宮島喜文候補の得票が当選ラインに届かない状況だったので、安倍首相(当時)に頼んだら、安倍氏が教会の票を上積みしてくれたということを意味する。その結果、宮島氏は当選した。少なくとも、このケースでは、時の総理が、教会の票を割り振る役割をしていたということになる。

伊達氏は当時、細田派(現安倍派)に所属し、当選した宮島氏も同派に入会した。少なくとも、当時の細田派と統一教会は、組織的に結びついていた。そして安倍氏がそのトップとして君臨していたわけだ。

実は、それから6年後の今年、参議院選挙で奇妙なことが起きた。統一教会のおかげで当選したという宮島議員が、一度自民党の公認を受けたのに、なぜか、これを選挙前に辞退したのだ。極めて異例である。前出の伊達氏によれば、安倍氏から、今回の選挙では、教会の票を井上義行候補に割り振るので、宮島氏には回せないと言われ、それでは当選は難しいということで宮島氏が(表向き)自ら公認を辞退。立候補も取りやめたという。井上氏は、第一次安倍政権で安倍氏の秘書官を務めた人物だが、党内の評判はすこぶる悪い。しかし、安倍氏は、身内を優先して現職の宮島氏を切った。なんとも自分勝手な振舞いではないか。

安倍派のある議員に電話で話を聞くと、統一教会は、安倍派に限らず幅広く国会議員の選挙のボランティアをしているという。ただで一生懸命やってくれるので、誰も断る人はいない。しかし、組織的な票の割り振りまでやってくれるわけではない。

自民党の支持団体は、概ね派閥ごとの縄張りがあり、参議院選挙の場合は、ある団体が、常に同じ派閥を応援するケースや、3年ごとに二つの派閥を交替で応援するケースなどがある。統一教会は、安倍派の団体という仕切りで、参議院選挙では常に安倍氏の差配で教会側が票を割り当てることになっているという話だった。

自民党と教会の癒着の歴史は古い。しかし、今日のように、大手を振ってイベントに参加するなどの行為が横行したのは、時の総理がこの団体との関係を隠さず大っぴらにそれを宣伝する行為をしたことの影響が大きいようだ。ある議員は、総理が表で親密にしていて、選挙の応援までしてくれる団体から案内が来れば、これを断る方が難しい、問題があると知っていても、総理がやってるから大丈夫だろうという安心感もあったと語った。

これでも、岸田文雄首相は、安倍氏の国葬を強行するというのだろうか。

※週刊朝日  2022年8月19-26合併号から


・統一教会は安倍晋三元首相の「雨天の友」だった(文春オンライン 2022年8月9日)

※「統一教会の歴史は岸家、安倍家を抜きにしては語れない」

ジャーナリストの森健氏は、「安倍元首相暗殺と統一教会」(「文藝春秋」9月号掲載)のなかでこう書く。そして旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」会長の梶栗正義氏が、安倍氏と会食した際、「教祖文鮮明と岸信介」「安倍晋太郎と梶栗玄太郎(正義氏の父)」「安倍晋三と自分」の写真を見せながら、「これは3代のお付き合い、3代の因縁である」と教会の日曜礼拝で話したというエピソードを紹介している。

だが、安倍氏と統一教会との関係は「3代の因縁」ばかりではなかった。梶栗氏は「この8年弱の政権下にあって、6度の国政選挙において私たちが示した誠意というのも、ちゃんと本人(安倍)が記憶していた」とも語っており、選挙での協力が安倍元首相との縁を深めたことを認めていた。

ただ、安倍元首相が一貫して統一教会と親密だったわけではない。

〈この若き政治家(安倍氏)に対し、統一教会側は当初手ごわい印象をもっていた。古参の幹部が振り返る。

「岸先生のお嬢さん(洋子氏、安倍氏の母)から注意されていたようなんです。またご本人(安倍氏)も『自分はあまり関わりたくない』と仰っていた。霊感商法で叩かれた後は祝電などお願いしても打ってくれませんでした。それでも北朝鮮の拉致問題などもあり、我々とは仕方なく関わってきたんです」〉(森氏の記事より)

安倍元首相と統一教会の関係が深まった経緯
 
では、なぜ両者の関係は深まったのだろうか。

2009年に統一教会は「新世事件」によって最大の危機に陥る。霊感商法に捜査のメスが入り、会長が辞任に追い込まれたのだ。森氏はこう記している。

〈この事件によって統一教会は二つの点で大きな方向転換を余儀なくされた。一つは霊感商法の見直し。もう一つは政治家との関係性の強化だ。

全国弁連の弁護士渡辺博は7月12日の会見の際こう指摘していた。

「後に統一教会の機関紙で、統一教会の責任者が登場して、『政治家との絆が弱かったから、警察の摘発を受けた。今後は政治家と一生懸命つながっていかないといけない』と語った。それが彼らの反省点でした。我々が国会議員に『統一教会の応援をするのはやめてください』と呼びかけている理由もそこにあります」

〈そのとき統一教会が接近した政治家の一人が安倍だった〉

一方、新世事件からまもなく自民党は総選挙に敗れ下野する。民主党に敗れたのは麻生政権時代だが、その前に政権を投げ出した安倍氏の責任も厳しく批判された。

〈第一次政権までの安倍は統一教会と距離を置いていたと複数の議員関係者は証言していた。にもかかわらず、民主党政権で下野して以降、安倍は急速に統一教会と近づくことになった。それはなぜだったのか。

安倍の後援会関係者は、やはり政権奪回、票のためだと見ている。

「晋太郎さんは3回目の選挙で落選していて、晋三さんはその苦労を知っている。選挙で負けたらただの人以下、だから勝たないといけないというのが晋三さんのポリシーでした。民主党政権のときに、とにかく政権を取るために統一教会を使った」〉(同前)

「統一教会は安倍にとって『雨天の友』だった」
 
森氏は「統一教会は安倍にとって『雨天の友』だった」とみる。そして、この野党時代以来の関係が山上徹也容疑者の動機となった安倍氏のビデオメッセージ出演につながったとしてこう指摘している。

〈全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の代表世話人山口広は統一教会に関わることそのものが、統一教会にエールを送ることに他ならないと強く批判する。

「新世事件以降、統一教会は資金的に厳しい状態になっています。彼らは今でも伝道をやっていますが、以前のようにはできない。だから政治の力を借りようとする。今回の参院選で組織推薦候補(安倍の元秘書官井上義行のこと)を出したのもその一つ。我々はそう認識しています」

その上でUPF(旧統一教会の関連団体)のイベントに安倍がビデオメッセージを送ったことには無念を覚えると言い添えた。

「統一教会によって家庭を崩壊させられた人々にとって、その総裁(韓鶴子)に向かって元首相が『敬意を表します』と言うのは大変な衝撃です。ですから全国弁連は登壇後すぐに安倍事務所に抗議文を送りました。しかし受け取りは拒否されました」〉(同前)

「文藝春秋」9月号「安倍元首相暗殺と統一教会」では、梶栗氏が語った安倍氏ビデオメッセージ出演の経緯や、山上家を襲った悲劇の詳細、また統一教会の組織や教義の知られざる実態まで深く掘り下げ、他のメディアが報じない事件の深層に迫っている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2022年9月号)


・〈内部資料入手〉統一教会 コンプライアンス宣言後も年間600億円の献金集め(文春オンライン 2022年8月9日)

※2009年に「コンプライアンス宣言」を行い、信者たちが法令を遵守し、公序良俗に反する行いが無いように教団が責任を持って指導する姿勢を打ち出した統一教会(現・世界平和統一家庭連合)。しかし、それ以降も変わらず多額の献金を集めていたことが、元「週刊文春」記者でフリーライターの石井謙一郎氏が入手した内部資料によってわかった。

ここに掲載するのは、2012年1月5日に開かれた、統一教会の「全国責任者会議」で配られた「復興局報告」と題する資料の一部である。

表紙を除いて15ページあるこの資料は、2009年から2011年までの日本人信者の献金の報告だ。作成したのは統一教会の復興局という部署。統一教会において復興とは、献金を意味する。以下、詳しく解説していこう。


目標を達成した教会がいくつあったかを示したランキング
 
表(1)は、2011年末における地区別献金のランキングだ。この頃、統一教会の組織は、北海道から九州まで12の地区(JK)に分けられ、その下に64の教区(KYK)があり、287の教会(CH)があった。

左側の表でランキングされているB%とは、地区や教区から本部へ送金される金額の目標に対する達成率。1位になっている第10地区は、四国のことで、最下位の第9地区は京阪神だ。

一番右は、目標の100%以上を達成した教会が、地区ごとにいくつあったかを示している。企業が、営業所のセールス実績を競わせているようにも見える

表(2)は2009年から2011年にかけての、年度ごとの献金額と支出の内訳を比較している。「年度別TD推移」の「TD」とは「Thanks Donation=感謝献金」の略だ。なお、以下に記す金額は、表内の2011年のものである。


「コンプライアンス宣言」以後の3年間にも、約600億円ずつの献金を集めていた
 
まず、左上の表は信者からの集金の内訳だ。

・TD in――感謝献金。498億円。

・KI――個人や金融機関からの「借り入れ」を示す。目標額の献金ができない場合、信者は借り入れをしてノルマを果たすことがある。32億円。

・1/10 収入の10%の献金で、31億円。

TD、KI、1/10、その他を合計した額がDで、集金の総額を示す。2011年の総額は、実に594億円に達している。

一方、左下の表は支出の内訳だ。

・KH――「経費」。人件費を含む運営費のこと。196億円。

・HS――上の表の借り入れに対する「返済」。105億円。「KI」に対する比率の高さから、多額の借金を抱えていることがわかる。

・HK――法的な問題が生じて支払った「返金」。訴訟や、弁護士からの返金請求に応じて払った額で、21億円。

以上の3つや、他の支出を除いた金額が、左下の表のTDで、本部へ送られる金額を示す。295億円。

右側の棒グラフは各年の合計額で、折れ線グラフは比率の推移を表している。

以上を読み解くと、2009年の「コンプライアンス宣言」以後の3年間にも、約600億円ずつの献金を集めていたことがわかる。


「当法人が作成した資料ではありません。」と統一教会側は回答
 
しかも資料にある献金額は、末端の教会から教区を通して本部へ送られる、いわば“正規ルート”のお金。下火になったとはいえ霊感商法の売上は、別にある。

この「復興局報告」の内容について統一教会に問うと、「当法人が作成した資料ではありません。また、当法人が『全国の地区や教会を献金額によってランキングしている』といった事実はありません」と答えた。

また、2009年のコンプライアンス宣言以降も多額の献金を集めている実態については、「当法人は収益事業を行っておらず、世界宣教の支援や信徒らの教化育成、教会運営などは全て信徒からの個人献金によって支えられていますので、これら活動のための献金を信徒に奨励することがあったとしても、問題があるとは考えていません」と回答した。


統一教会の本質は改まったといえるのか
 
しかし現役の信者は、こう打ち明ける。

「献金はノルマです。それぞれの信者がいくら献金したか記録されていて、不払い分は払い終えるまで追及される。今はみんな金欠病なので、過去に遡ってノルマをこなしている状態です」

統一教会の本質は改まったといえるのか、今後の活動を注視する必要がある。

8月9日(火)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および8月10日(水)発売の「週刊文春」では、誘拐殺人事件の遺族を冒涜する内容も含まれる、統一教会関連企業が作成した「霊感商法マニュアル」の内容や、韓国の裁判で教団幹部が明かした日本での献金の実態、現在も信者に課せられる苛酷な献金のノルマなどについて詳報する。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年8月18日・25日号)


・旧統一教会 韓鶴子総裁の高齢化で上がる“跡目争い”の火種…息子たちが続々追放で後継者は孫か直属秘書か(SmartFLASH 2022年8月9日)



(上)故・文鮮明氏(左)と韓鶴子氏

※「魔女のような詐欺女! 韓鶴子(ハン・ハクチャ)バビロン。アボニム(お父様=文鮮明氏)の敵たち!」

6月25日、東京都内で開かれたのは、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の創立者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の七男で、現在は「サンクチュアリ教会」の指導者となっている文亨進(ムン・ヒョンジン)氏(42)の十数年ぶりの来日を歓迎する式典だった。

集会に潜入したジャーナリストの藤倉善郎氏が明かす。

「会場内では、ときおり冒頭のように統一教会の韓鶴子総裁を名指しして非難の声が上がり、これに対して統一教会の信者と思しき4、5人が『お母様(韓鶴子氏)を悪く言うな』と声を上げ、会場の外につまみ出されていました。日本サンクチュアリ協会の江利川安栄会長や文亨進氏が登壇し、韓鶴子氏を『サタンと通じ堕落した』と非難したほか、文鮮明氏の四男・文國進(ムン・クッチン)氏(52)も参加していました」

文亨進氏が統一教会から分派し、母・韓鶴子氏と対立するきっかけとなったのが2012年、教祖・文鮮明氏の死だ。統一教会に詳しいジャーナリスト・鈴木エイト氏が語る。

「文鮮明氏の死後、莫大な遺産をめぐって後継者争いが繰り広げられ、息子たちが次々に離反し、妻である韓鶴子総裁の独裁体制となったのです」

文鮮明氏が生前、最初に跡を継がせようとした韓鶴子氏との長男・文孝進(ムン・ヒョジン)氏は、宗教に興味がなくヘヴィメタルの道へ進み、その後、心臓麻痺で死亡している。次男も、交通事故で早逝した。

そこで抜擢されたのが、三男の文顕進(ムン・ヒョンジン)氏(53)だった。だが顕進氏は、統一教会の宗教色を薄め、社会運動を志向。父親の逆鱗に触れて追放される。

「文鮮明氏の存命中に、四男の文國進氏が経済部門『統一教財団』を受け継ぎ、七男・文亨進氏が宗教部門『世界宣教本部』を統括していました。しかし、文鮮明氏の死後、相次いで韓鶴子氏から要職を解かれたのです」(鈴木氏)

息子たちは統一教会と母・韓鶴子氏に対抗するため、それぞれ分派を作った。

「三男・文顕進氏は、2010年に教団の資産管理団体UCIを手中に収め、2017年にはFPA(世界家庭教会)を創設。七男・文亨進氏は2015年にサンクチュアリ教会を設立し、文鮮明氏から銃砲会社を受け継いだ四男の文國進氏が同教会を経済的に支援しています」(同前)

そして現在、新たな“お家騒動”の火種があるという。

「韓鶴子総裁は79歳という年齢もあり、糖尿病などの影響で一人で歩けない状態だともいわれています。もしもの事態になれば、後継者争いが再燃するでしょう」(同前)

宗教部門の後継者は、統一教会ナンバー2のポジションとされる世界会長を務めた五女の文善進氏とされてきた。だが、それは表向きだという。

「文善進氏は2019年に世界平和女性連合主席副会長に降格となっており、実際には韓鶴子氏直属である総裁秘書室長の鄭元周(チョン・ウォンジュ)氏と、秘書室事務総長兼秘書副室長の尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)氏という非血縁者の2人が、全グループの実権を握り、主導権を争ってきました」(同前)

2人の主導権争いが決着したのが、2020年におこなわれた「天の父母様聖会」だった。

「このとき韓鶴子総裁は、尹鍈鎬氏を宣教本部の本部長に任命しました。尹鍈鎬氏が鄭元周氏を追い落とした格好です。彼が後継者となれば、文鮮明氏の縁戚以外の人物として初めてトップとなります。信者の反発を避けるため、尹鍈鎬氏自身か彼の子供が韓鶴子氏の養子になるのではないかともいわれています」(同前)

さらに、統一教会問題を追及してきた渡辺博弁護士は、後継者候補に文鮮明氏の孫にあたる文信興(ムン・シンフン)氏(21)を挙げる。

「文鮮明氏の亡くなった長男の息子で、韓鶴子氏が彼を後継者にしたがっているのです。自分の子供は誰も言うことを聞かないから、自分の意のままになる孫を後継者にしようというのです」

霊感商法の実態は白日の下に晒されたというのに、勃発した跡目争い。まだ“うまみ”はたっぷり残っているのだろう。


・旧統一教会の”著作権違反主張”に「テレビ業界が戦々恐々中」(FRIDAYデジタル 2022年8月3日)

※《今後、当法人の許可なく、当法人の著作物である映像等を無断使用することは絶対にしないで下さい。この警告にもかかわらず、無断使用をした場合には、法的手段を講じる所存ですのでご注意下さい》

7月31日、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)が公式サイトに

《【報道機関各位】著作権映像の報道使用に関する注意喚起》

というマスコミの著作権違反を訴えるプレスリリースを発表した。

《報道機関(特に民放ワイドショー番組)が使用する映像コンテンツの中に、当法人(および韓国世界本部)に対して使用許可をとらない、明らかな著作権法違反とわかる報道内容が散見されるようになりました》

として、今後は無断使用には法的手段をとることを明言したのだ。

最近では『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)などをはじめ、統一教会関連の報道は過熱する一方だ。

その中には過去の合同結婚式や、政治家がイベントでスピーチする姿などが放送されている。では統一教会が主張する著作権のある映像とはどんなものか。このように詳細が書かれている。

《参考:PeaceTV、U-ONEニュース、家庭連合公式サイト、家庭連合公式 YouTube、当法人関連イベント盗撮映像 ほか》

ちなみに『PeaceTV』というのが、政治家がスピーチしているような映像が多くある媒体だ。

この注意喚起をマスコミはどのように捉えているのか。あるワイドショー関係者は、

「一部局の著作権の担当部署は弱気になってしまい、“統一教会の映像使用を控えてほしい”と各番組のプロデューサーに通達しました。追及していく深堀りの報道に関しては“報道引用”には当たらず、訴えられると負ける可能性が高いようです。ですので、生々しいイベントの映像などを使わずに、いかに関係者に取材したりスタジオなどでトーク展開したりできるかにかかっています。

正直言って強い映像が使えないとなると、視聴率が下がる可能性が高い。我々も本音を言うとピュアな正義感だけでやっている訳ではなく、視聴率が絶好調だからしつこく統一教会の報道をしている部分もある。数字が下がるようなことになれば、扱いはこれまでより減るかもしれません」

と現状を明かす。

とはいえ、“訴えるぞ”と構えられただけでテレビ局は“はい、わかりました。もう使いません”となるものなのだろうか。もしくは他局の使用状況を見ながら、他局が訴えられたかどうか確認してからというようなチキンレースに発展するのか。

「視聴率が良いということは、統一教会の在り方に疑問を抱いている人が多いという証です。日本の家庭が法外な献金によって崩壊したり、韓国の貧困家庭に日本人女性が嫁がされて困窮したりという現実があります。

政治家がそのような団体から支援してもらっているという状況は、やはり“報じるに値すること”であるのは間違いありません。国民の関心が高ければ高いほど、この報道は続くでしょうね」(テレビ局関係者)

このまま報道が尻すぼみになり、教団と政治家の“親密関係”が「無かったこと」になることだけは、避けたほうがいいと思うが…。


・安倍昭恵さん、加速するスピリチュアルへの傾倒に周囲困惑 安倍家から“追放”も(NEWSポストセブン 2022年8月3日)

※彼女の目は最初から泣きはらしているように見えた。8月1日、安倍昭恵さん(60才)は山口県の山口宇部空港に降り立った。夫で元首相の安倍晋三氏(享年67)が凶弾に倒れてから、初めての地元訪問となる。

地元後援者らと会食後、彼女は長門市にある安倍家の墓に向かった。墓前に現れた昭恵さんは傍目にも憔悴し、いまにも倒れそうだ。何度も夫と一緒に訪れた場所を、こんな形でひとりで訪問するとは夢にも思わなかっただろう。支援者らと話しながら、何度もハンカチで目頭を拭った。そして墓の前で、手を合わせて深く頭を垂れた。

悲しみに包まれた墓参り。それは「安倍家」へのお別れでもあったのかもしれない。《国葬反対53%》──9月27日に日本武道館で行われる予定の安倍氏の国葬が国論を二分している。共同通信が7月末に実施した全国電話世論調査では、国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占めた。

費用は全額国の負担で、世界中から弔問客が集まる。大規模な国葬の準備を進める岸田内閣の支持率は発足以来最低となる51%まで急落し、「中止しなければ濃硫酸を散布する」「全国の子供をスタンガンで気絶させた上で誘拐する」など、物騒なメールが各自治体に寄せられる事態にまで発展している。安倍家の知人が語る。

「官邸サイドも一応、安倍家に国葬についてお伺いを立てたようです。でも相手は晋三さんの母・洋子さん(94才)と実弟の岸信夫さん(63才)がメインで、昭恵さんの意見を聞くことはほぼなかった。それでもここまで国民の反対が強くなるとは予想外で、最終的に昭恵さんに判断してほしいという声もあがっているそうです」

なぜ国葬について、当初は昭恵さんの意見が聞き入れられなかったのか。

「昭恵さんの言動に周囲が困り果てているんです……」

そっと打ち明けるのは昭恵さんの知人だ。

「彼女は7月の参院選が終わったら、あちこち旅行に行く計画を立てていましたが、7月8日に晋三さんが凶弾に倒れたことで予定変更せざるを得なくなった。その1つが知人に誘われていた壱岐島への旅行でした。ところが、晋三さんが亡くなられて間もなく、再び壱岐島に行きたいと言い始めたんです。本人としては、夫を亡くした喪失感からの“逃避行”なのでしょうが、周囲は『四十九日法要も終わらないのに旅行は早すぎる』と必死でなだめて、壱岐島行きを諦めさせたそうです」

長崎県にある壱岐島は150を超える神社が点在し、島全体がパワースポットといわれている場所で、昭恵さんはこれまでも頻繁に訪れている。昭恵さんが“見えない力”に頼るのは、いまに始まったことではない。

「もともと昭恵さんの友人にはスピリチュアル系の人が多かったのですが、ここ数年はさらにスピリチュアル信仰が加速しました。安倍家や支援者のなかで昭恵さんのスタイルを理解できていたのは晋三さんだけで、彼が亡くなってからは昭恵さんをどうなだめればいいか、周囲が頭を抱えています。本来なら国葬についても妻の意見が尊重されるべきですが、いまは昭恵さんの意見を聞こうとの雰囲気ではありません」(前出・安倍家の知人)

安倍氏が亡くなる2週間前にも昭恵さんはパワースポットを訪れていた。

「奈良の最強パワースポットとされる天河神社です。芸能の神として人気を博し、ミュージシャンの細野晴臣さんや堂本剛さん、宗教学者の中沢新一さんら多くの著名人が参拝しています。昭恵さんはこの神社でお祓いを受けたのち、さらに和歌山の高野山を訪れて祈祷を受けたそうです。高野山では『ロシアとウクライナの戦争解決のため、主人が活動するのはよいことでしょうか』と高僧に尋ねたといいます」(前出・昭恵さんの知人)

さらに遡れば、新型コロナの流行初期で日本中が危機感を強めていた2020年3月、当時の首相だった安倍氏がコロナに関する緊急会見を開いた翌日に、昭恵さんは大分県のパワースポットである宇佐神宮を知人ら50人で参拝し、のちに国会で安倍氏が釈明する事態を招いた。前出・安倍家の知人が呆然とした表情でつぶやく。

「これまでは『いまはよくない』『それはやめておけ』と晋三さんがはやる妻を諫めていましたが、いまとなっては昭恵さんを止められる身内が誰もいません。洋子さんも匙を投げて、『昭恵さんには何も任せられない。もうあの子をこの家には置いておけませんね』と周囲にこぼしており、“追放”をほのめかしているのです」

安倍夫妻が住んだ東京・富ヶ谷の自宅は洋子さんが4分の3、安倍氏の兄の寛信さんが4分の1を所有し、昭恵さんの持ち物にはならない。また、法的には昭恵さんが安倍氏の資産の3分の2を相続する権利があるが、逆に言えば、相続のメドが立てば、昭恵さんと安倍家をつなぐ紐帯は消えてなくなる。

「秋の国葬や来年4月とされる補欠選挙を待って昭恵さんは自分の行き先を決めるだろうとの声が大きいですが、彼女も自分の立場はわかっているはず。このままでは、もっと早い段階で安倍家を去ることになるかもしれません」(前出・昭恵さんの知人)

冒頭の安倍家の墓参り。墓前に手を合わせて深々とお辞儀をしたのち、昭恵さんはさっと振り返って前を向いた。すでに彼女のなかでは、決別の覚悟ができているかのようだった。

※女性セブン2022年8月18・25日号