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キャロル・キグリー「悲劇と希望」
Tragedy & Hope: A History of the World in Our Time


日本人が知らない 恐るべき真実

 次にご紹介する重要文献は1966年に公刊され、「世界の権力構造を解明した作品」と称されたキャロル・キグリー博士の『悲劇と希望(Tragedy and Hope)』です。

 キャロル・キグリー博士は、学生時代のビル・クリントンの指導教授であり、ハーバード大学教授、プリンストン大学教授から国務省のキャリア外交官を育成するエリートコース、ジョージタウン大学の外交学科歴史学教授という経歴をもつ、自他ともに認める“エスタブリッシュメント”の学者です。『悲劇と希望』というタイトルの意味は、「国際銀行家が支配する世界こそ“希望”であり、それに抗う人々は“悲劇”である」というところからきています。

 この『悲劇と希望』は1300ぺージもあり、まだ翻訳本がなく、私にはこの大書を読みこなしたり、翻訳できるだけの英語力がないので、この『悲劇と希望』から引用し、解説・注釈を加えた批判本『世界の歴史をカネで動かす男たち』(W・クレオン・スクーセン著)から、“インサイダー”であるキグリー博士が暴露した内容をご紹介していきたいと思います。

 ちなみに『世界の歴史をカネで動かす男たち』の著者であるスクーセン氏は、16年間、FBI(連邦捜査局)に在職、4年に及ぶ警察署長、10年に及ぶ警察雑誌編集長、17年に及ぶ大学教授といった経歴をもつ米国人文筆家・政治評論家です。本書の原書『裸の資本主義者(Naked Capitalist)』は1970年に出版されています。
〈金融資本主義権力が抱く遠大な計画は、各国の政治体系と全世界の経済をみずから牛耳ることができる世界的な金融支配体制の構築に他ならない。〉

〈少数の人間が潮の流れを戻そうとしても手遅れである。〉

〈私がこのネットワークの活動に通暁しているのは、20年におよぶ調査の賜物であり、1960年代初頭の2年間、彼らの極秘文書や記録を調査する許可をもらったからである。私はネットワーク自体もその目的のほとんども嫌いではないし、ながらくネットワークの中核メンバーやその手先と関わってきた。私は昔も今も、彼らの方針に反対している。しかし、意見の食い違いは、ネットワークが闇の存在でいたいと願ういっぽうで、歴史上きわめて重要な役割を果たしているのだから存在を公にするべきであると私が思い込んでいることくらいのものだ。〉

〈早晩彼らは、自分たちの金融ネットワークを各地の中心銀行に持ち込んで商業銀行や貯蓄銀行として組織し、保険会社並にこうした銀行を一括してひとつの国際金融システムをつくりあげる。そして、政府へあるいは産業へと、支配は無理としても影響力を行使できるように資金の量と流れを操作する。この当事者は-国際銀行家王国の確立を熱望した。そして、少なくとも政治支配者王国並みの成功を収めたといえよう。〉


〈こうした王国で最大なのは、もちろん、フランクフルトのマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの末裔である。彼の男系の子孫は少なくとも二世代間は、最初にできた女性の従姉妹あるいは姪と結婚する“ならわし”だった。ロスチャイルドの五人の息子はフランクフルトのみならず、ウィーン、ロンドン、ナポリ、パリに支店を創設して協力し合った。他の国際銀行家王国も見習ったものの、とうてい彼らに及ばなかった。

 こうした銀行一族の名前は誰でも知っているし、もっと身近な存在といえよう。例えば、ベアリング、ラザード、アーランガー、ウォーバーグ、シュロダー、シーリングマン、シュパイヤーズ、ミラボー、マレット、フォールド、前述のロスチャイルド、モルガンである。〉


〈彼らは次の点で普通の銀行家とちがう。

(1)彼らは世界主義かつ国際主義の立場をとる。

(2)政府と癒着し、政府の負債問題にきわめて関心が高い。

(3)彼らの関心の的は債券であり、実際の商品にはあまり関心を示さない。

(4)したがって彼らは熱烈なデフレ支持者である。

(5)彼らは徹底的に秘密主義を貫き、政界の裏に財政的影響力をもつ。

 こうした銀行家が「国際銀行家」と呼ばれるに至った。イギリスでは「マーチャントバンカー」、フランスでは「プライベートバンカー」、米国では「投資銀行家」として厳密に区別されている。世界各地で彼らはさまざまな銀行業務や為替業務をおこなったが、どの場所でも他の銀行-もっとはっきりいえば貯蓄銀行や商業銀行-とは一線を画していた。〉

〈債券は、英国が世界支配の道具として用いるはるか以前からイタリア人やオランダ人に知られていた。にもかかわらず、1694年にウィリアム・パターソンと彼の友人たちの手になるイングランド銀行の設立は、世界史に燦然と輝く出来事である。

 金の唯一の欠点である重さを解消しようとする努力が何世代間も続けられ、金の価値に対応する紙幣を使うようになった。今日ではそうした紙幣を「金証券」と呼ぶ。

 この証券には持参金の要求に応じて金と交換できる価値があるが、紙幣を使う方が便利なので証券の所有者が交換を要求したためしはめったになかった。支払いに充てられる証券の一部の量の金だけ手元にあればいいということがすぐに判明した。したがって、残りの金を事業やそれ相応の目的に使うことができた。しかも、証券の量は支払い用に貯えてある金の量より多く発行できた-。準備金に対してそれ以上の支払いを請求できる紙幣は現在、「銀行券」と呼ばれている。

 供給できる準備高より紙幣銀行券に対する需要量が多いということは、銀行家が無から現金をつくりだしていることを意味する。同じことが別の方法でもできた-。預金銀行家は、預金から預金者が引き出して第三者に与える為替や小切手の大半が、第三者によって現金化されないまま口座に預金されることに気がついた。そうすると、資金は実質的に動かず、支払いは口座間取引だけですんでしまう。したがって、銀行家は引き出されたり、現金化されたりする可能性のある預金額の一部よりも多額の資金(金、証券、約束手形)を手元に置いておく必要がなかった。その残りは貸付金に転用できる。もしこの貸付が借り手のためにつくられた預金(口座)でおこなわれれば、借り手は現金を引き出す代わりに小切手を切ることになる。

 そのようにして“生み出された”預金あるいは貸付金は、貸付金の実質価値のわずか一部でも口座に預金があればそれなりに生まれることになる。こうして生み出された預金もまた無から資金をつくることができる。銀行家は業務内容を隠したがるが、約束手形の発行あるいは預金貸付はこの範疇に入る。だからウィリアム・パターソンは、海賊艦隊で得た資金を活用するために1694年にイングランド銀行の設立許可を申請したとき、こう語った。「銀行は無からつくりだされたあらゆる資金の利息をかせげる」〉

〈イングランド銀行とその支配者の力は一流の識者たちからも認められた。1924年1月、大蔵大臣を務めたミッドランド・バンク理事長のレジナルド・マッケンナは株主を前にしてこう語った。「銀行がお金をつくることができる。そして、現実につくっていることが一般市民には気に入らないのではないかと心配だ-。そして、国債を支配している人々が政府の政策に横槍を入れて、国民の命運を完全に掌握している」〉

〈英国金融界の内部では「何を知っているか」よりも「誰を知っているか」ということがいまだに重要である。仕事は家族、結婚、学校とのつながりから得られる。知識や技能より、素性がはるかに重視される。〉

〈こうしたシステムの一部として英国金融界を牛耳っていたのは、堅調で裕福な企業に資金を提供する私企業の「マーチャントバンカー」17社だった。合計100人たらずの意欲的な共同経営者を抱えたこれらマーチャントバンカー企業として、ベアリング・ブラザーズ、N・M・ロスチャイルド、J・ヘンリー・シュローダー、モルガン・グレンフェル、ハンブロス、ラザード・ブラザーズが挙げられる。〉


〈1884年から1933年にかけては金融資本主義全盛の時代であり、一方では商業銀行や保険に、他方では鉄道や重工業に進出した投資銀行家が莫大な富を結集して、経済、政治、社会において存分に権力を振るうことができた。

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 1880から1933年の期間に“大銀行”や“大企業”の大物が構築した金融支配構造は並外れて複雑だった。ある事業の活動領域に別の事業が展開され、両者が半独立的に連携し、全体として二つの経済、金融権力の頂点ができあがった。一方はニューヨークに本拠を置いてJ.P.モルガン商会が率い、他方はオハイオに本拠を置いてロックフェラー一族が率いた。この二つが協力すると-たいていはそうだったが-米国の経済界をほぼ支配できたし、政界もいいなりだった、少なくとも連邦レベルまでは〉





http://provida0012.livedoor.blog/archives/7077131.html

キャロル・キグリー 悲劇と希望

1966年、米国で「世界の権力構造を解明した作品」と大書された『悲劇と希望(Tragedy and Hope)』が刊行された。「現実世界を牛耳っている人々の心を理解したいなら、その心を形づくっている著書を読むといい。金融資本主義権力が抱く遠大な計画は、各国の政治体系と全世界の経済をみずから牛耳ることができる世界的な金融支配体制の構築に他ならない」、そう語ったのは著者、ジョージタウン大学歴史学教授キャロル・キグリーである。だが、1300ページを超えるこの大著は、凡百の歴史書とは異なっていた。なぜならキグリー教授は、自他ともに認める「国際秘密ネットワーク」の一員であり、本書の執筆によってその権力構造の最高機密を暴露することになるのを自覚していたからである。ちなみにキグリー博士はビル・クリントン前大統領の学生時代の指導教授(メンター)であり、1990年代に復刊された新版には「私は、キャロル・キグリーという学者が解き明かしてくれた真実の言葉を聞いた」という推薦の辞を寄せている。

刊行後ほどなくして、『悲劇と希望』は全米の書店から姿を消した。権力の中枢がキグリー博士の暴露を時期尚早と判断したからだ。そして1970年、本書の原書である『裸の資本主義者(Naked Capitalist)』が、長年FBIに奉職し、「警察の化身」の異名をとるW・クレオン・スクーセンによって刊行された。『悲劇と希望』が端緒を開いた巨大な国際金融陰謀の全貌を暴き、そして第二次大戦前後から米ソ冷戦時代までの米国の対外政策に満ちみちた数々の欺瞞に筆誅をくわえたのである。

『世界の歴史をカネで動かす男たち』 国際エスタブリッシュメントの金融支配 W・クレオン・スクーセン(著)

渡部悌治著『ユダヤは日本に何をしたか』(成甲書房刊)に、「日支闘争計画」について述べられている。これは、第一次世界大戦後、日本のシベリア出兵時に陸軍が入手した資料にもとづく文書であって、一九一八年九月、モスクワで開催されたユダヤ=共産党の国際会議で採択されたという。日本と中国を衝突させ、両方共倒れに導き、ともにユダヤ=共産主義=イルミナティの支配下に置くとの長期化計画であるとされる。IPRは、この極秘の「日支闘争計画」を実行に移すべくウォール街中枢によって組織された、と見なさなければならない。


本書は日本の出版界、学術界から黙殺された米国の重要な書籍の邦訳である。ここに描かれたいわばハゲタカ外資の始祖ともいうべき国際エスタブリッシュメントの行状は、プラザ合意、金融ビックバン、バブル経済の崩壊、そして昨今の郵政民営化という虚名で覆い隠された郵便貯金の市場への開放と、今日までの日本経済の惨状を鮮やかに説明してくれる。そう、世界の歴史をカネで自在に操る人々が確かに存在するのである。(編集部)


【もくじ】

・誰が世界制覇を企てているのか

<「私が思うに、共産主義者の陰謀などというものは、もっと大がかりな謀略の枝葉にすぎない」―

数年前、私にこう語ったのは、アメリカ共産党全国委員会の元メンバーであるベラ・ドット博士である。

この言葉こそ、キャロル・キグリー博士の著作『悲劇と希望(Tragedy and Hope)』の内容を適切に言い当てている。

ドット博士がベールに包まれた“超指導力”にはじめて気づいたのは、第二次世界大戦直後にアメリカ共産党が緊急課題をモスクワから、なかなか得られないときのことだった。米国の共産党指導部は、緊急課題が発生するとニューヨークのウォルドルフ・タワーにいる三人のうちの誰かの指令を受けるようにと決められていた。ドッド博士によると、党がこの三人から受けた指令は必ずモスクワから事後承認された。

ドット博士にとって不可解だったのは、この三人ともがロシア人ではないという事実だった。三人は共産主義者でもなかった。実は三人とも、超富豪の米国人資本主義者だったのだ!

ドット博士は、「舵取りをしている張本人が誰なのか知りたくてたまらない」と語った。

私にしても、モスクワや北京をはるかに凌ぐ、強力な陰謀支配センターの存在を示す奇妙な出来事を数多く目にしてきた。たとえば、ハリー・デクスター・ホワイト(第二次世界大戦中の米国財務副長官)がソビエトのエージェントであるとしてFBIに摘発されたとき、ホワイトハウスはすぐさま報告を受けた。しかし、ホワイトは罷免も逮捕もされず、国際通貨基金(IMF)の米国代表部の上級理事に就任した。おまけにかなりの昇給までしたのである。J・エドガー・フーバーFBI長官は驚愕した。ハーバート・ブラウネル・ジュニア司法長官は、任命時にホワイトがすでにソビエトスパイであると認識していたと公式に認めた(キグリー『悲劇と希望』九九一ページ)。

世界的な金融問題を担う人々がハリー・デクスター・ホワイトのようにあきらかなソビエトエージェントを世界銀行の上級ポストに就任させたがるのはなぜか?しかも、慣例に名を借りて、米国大統領がそれを承認するのはなぜか?議会関係者も諜報関係者もいっせいに「一体どういうことなのか?」と首をかしげたはずだ。

連邦準備銀行の前総裁が中国経済支援を唱えだしたのはこの直後だった。米国国務省が六億の中国人同胞が中国の共産主義指導者に支配されるのを見てみぬ振りをした、あるいは、進んで手助けしたという事実が議会聴聞会で宣誓供述されて米国民が衝撃を受けるに及んで、彼の談話はなおさらショッキングだったといえる。

にもかかわらず、この米国人資本主義者―そして連邦準備銀行前総裁―は、私も出席した大きな会議で、米国の対中国貿易の即時拡大を主張した。彼はこう言った。「私たちは貿易相手国とは交戦しない」

私はこう思った。「ほう、第二次大戦直前まで石油や鉄を売っていながら、日本と戦うはめになったのに」。この著名な国際銀行家がそんな初歩的な教訓をあっさり忘れているはずなどありえない。

数年後、中南米を訪問した際に、私は、米国の有名銀行数行が多数のラテンアメリカ諸国の政治経済を牛耳っていることに気づいた。しかし、米国銀行が支援しているこうした政権の大半が、社会主義を推進し、米国企業を含む私有企業の没収を図る独裁者政権そのものであるという事実にとまどいを覚えた。銀行が支援する政権があきらかな親共産主義政権のことも多かった。

パラグアイ訪問時に、数年来の知人である米国有力銀行のパラグアイ支店長に独裁政権を支援する理由を尋ねた。「……安定だね」と彼は答えた。「こうした発展途上国には安定が必要だからね」。けれども私は、この国の独裁者が自由企業体制下で富を生み出す企業を抹殺して、何もかも政府所有もしくは厳格な社会主義体制に組み込もうと虎視眈々と狙っていることに気づいた。

米国人所有の銀行が、あちらこちらの社会主義政権に資金援助しているのはなぜか?

私にはラテンアメリカ政界の内幕に詳しい友人が数多くいるが、彼らは、中南米の左傾化路線を支援しているのが米国の銀行であるという確証を握っていた。まったく理解に苦しむことだ。

ワシントンにおける政治もまた理解に苦しむものだった。高級官僚の地位を「民主的行動のためのアメリカ人(ADA)」と呼ばれる民主社会主義者組織の中核メンバーや、排他的な「外交問題評議会(CFR)」のメンバーがほぼ独占しているのはなぜか?大統領はルーズベルト、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソンと替わっても、官僚には変化がない。顔ぶれは入れ替わっても、この二つの組織の成員であることが政府上級職の前提条件なのだ。

さらにいまいましいのは、こうした絶大な権力をもつ人々が政治的失態を演じて国民の怒りを買うと、そっと職を辞することが許されているばかりか、きわめて実入りのよい次の職場が用意されており、たいていが非課税財団に天下るルートができあがっていることだ。これでは「国民のための政府」どころか「特定の人々による政府」としか言いようがない。

私はベンジャミン・ディズレーリの言葉を思い出した。「世界は、舞台裏を知らない人々には想像もつかない別人によって支配されている」

私は、「世界中の出来事を意のままに操っている少数だが強力な支配者グループが舞台裏にいる」と指摘する英国情報部の報告書は傾聴に値すると思いはじめた。報告書を読むと内通者の存在が窺われる。そのためグループの人物特定がなされていない。支配中枢は「パワーX」と述べられているにすぎない。

犯罪的陰謀を調査する専門家の話では、こうした陰謀の秘密は厳重な警戒をかいくぐって漏れることがよくある。内部から不満分子や裏切り者が現れ、それぞれ検証可能な事実を携えて当局に駆け込んでくるからだ。政治的陰謀もまた大衆に知れ渡ることがある。内部の当事者が秘密をばらしたがるからだ。私は、現代の政治権力構造の内部にいる人物が口を割るのを三〇年間待っていた。そしてついに、その機会が訪れた。>

・キャロル・キグリー博士が世界の秘密権力構造を題材にした本を書く
・おそらく私たちにはそうした展開を予想できたはずだ
・銀行家一族は巨大ネットワークを構築して大型金融取引や政府業務を支配する
・主要な銀行一族王国を列挙する
・これは「ユダヤ人の陰謀」などという問題ではない
・国際銀行家は普通の銀行家と異なっている
・金融権力の中枢が秘密を守る方法
・独自の金融システムに対する政府の干渉を避ける作戦
・ロスチャイルド家──最古の銀行王朝のひとつ
・プライベートバンカーは無から債券をつくりだす手段としてイングランド銀行の設立を決める
・イングランド銀行は政治権力の秘密センターになる
・英国金融界に巣食う王朝権力について
・同じような金融王朝が米国でも発展した
・米国における王朝の独占的金融構造
・米国の銀行一族が連邦準備制度の組織を決める
・こうした「主だった実業界指導者」とは誰か?
・連邦準備制度の最初の試みが失敗する
・連邦準備制度がとうとう現実化する
・しかし、誰が連邦準備制度をコントロールするのか?
・世界的権力を秘かに操る人々の目標とは何か?
・驚くべき現象についてのキグリー博士の説明
・ジョン・ラスキンがオックスフォード大学にやってきた
・ジョン・ラスキンとは何者か?
・ラスキンは英国支配階級が世界的使命をおびていると教えた
・セシル・ローズは世界連邦を夢見た
・ローズは世界連邦を目指す長期戦略を開始した
・ローズは幅広い支援を受けて秘密ネットワークを組織した
・ローズの秘密ネットワークの原型
・ローズ死後も秘密ネットワークは永遠に続く
・秘密ネットワークはしだいに他国に広まった
・外交問題評議会と太平洋問題調査会の設立
・秘密ネットワークが英国の政府、メディア界、大学に巨大な影響力を獲得できた理由
・世界連邦の中心をアメリカに置くという提案
・ローズ~ミルナー秘密ネットワークが米国に影響力を広める
・J・P・モルガン、ロックフェラー等の米国人超富豪がローズの秘密ネットワークに加わる
・英米秘密ネットワーク同盟の形成
・秘密ネットワークの米国支部を機能させること
・強力な秘密社会ニューヨーク支部
・ニュー・リパブリック誌の創刊
・ウォルター・リップマンとニュー・リパブリック誌
・大学の世界で影響力を獲得すること
・秘密ネットワークにはニューヨークの有力な法律事務所が含まれていた
・米国新聞界におけるネットワーク権力構造のはじまり
・アングロ・アメリカ秘密ネットワークが英米のあらゆる社会階層に浸透した理由
・秘密社会は共産主義・社会主義陰謀グループとどう連繁したか
・秘密ネットワークが共産主義者の主要支援者になった理由
・秘密ネットワーク米国支部がかろうじて露見を免れた理由
・共産主義支援の背後にある理由付け
・ラモントはさまざまな共産主義プロジェクトでモルガンを代表した
・ラモント家は共産主義者の活動拠点を援助した
・ラモント家は活動を暴露しようとする米国政府をはねつけた
・モルガン~ロックフェラー~カーネギー財団は中国を共産主義陣営に売り渡した
・太平洋問題調査会は極東における米国の外交政策の決定権をどのようにして握ったか
・キグリー博士は事実を認めるが、明白な背徳行為による壊滅的結果を曖昧にする
・議会による太平洋問題調査会の審査であきらかになったこと
・中国人の利益については言うまでもない!
・キグリー博士は反共産主義者がまったく的外れであると語る
・ジェローム・グリーンはロンドン~ニューヨーク枢軸の頂点にいかにして登りつめたか
・ジェローム・グリーンこそ太平洋問題調査会というクモの巣の主である
・共産主義者の陰謀よりもさらに大きな謀略がある
・外交問題評議会の権力と人脈
・非課税財団は米国文化特有の憲法とイデオロギーの要素を弱体化し破壊する
・非課税財団が現行犯で捕まった
・スキャンダルが大衆の目に触れない理由
・議会のショッキングな発見にもキグリー博士は痛痒を感じなかった
・議会委員会は非課税財団の権力について述べたキグリー博士の言葉を証明する
・フォード財団が特別な関心を呼ぶ
・マクジョージ・バンディがフォード財団理事長になる
・米国の名士に対するキグリー博士の評価
・米国の教育が破壊されていく
・では結果として教育はどうなったか?
・眠れる巨人がゆっくりと目を覚ます
・ハリー・ホプキンスはロシアに原爆の秘密とウラニウムを渡す
・国務省はロシアの東欧乗っ取りに関与した
・国務省は共産主義の中国制覇を演出した
・国務省高官アルジャー・ヒスはソビエトスパイであることが発覚した
・朝鮮戦争、マッカーサー解任、ジェンナー委員会報告書
・米国民を覚醒させたマッカーシー聴聞会
・ジョゼフ・マッカーシーが単独キャンペーンを展開する
・1953年、マッカーシー委員会が明らかにした事実
・共産主義者を擁護したツウィッカー大将
・マッカーシー非難キャンペーンが開始された
・マッカーシーについてのキグリー博士の見解
・大詰めの前奏曲
・反撃の狼煙、ルーサー兄弟の覚書
・保守的教育計画を阻止するワシントンのキャンペーン
・ケネディ暗殺とエスタブリッシュメントの隠蔽工作
・1964年の共和党大会とゴールドウォーターのキャンペーン
・ハントリー・ブリンクリーはゴールドウォーターが勝ったはずだと認めている
・ゴールドウォーター現象に対するキグリー博士の驚くべき反応
・伝統的アメリカ精神の維持を求める人々に対するキグリー博士の意見
・キグリー博士によるプチブルの定義
・ゴールドウォーターキャンペーンが新旧富裕層の戦いであるというキグリー理論
・ビルダーバーグ・グループ──キグリー博士が示す国際エスタブリッシュメントの一例
・億万長者が開催したパグウォッシュ会議
・ワンワールド社会主義国家への圧力
・私たちに対抗策はあるのだろうか?
<何千万ものまっとうな米国人が、グローバル・エスタブリッシュメントに洗脳され操られて感覚がにぶっているが、私は、国民にはまだ十分な活力があり、超然とした世界的陰謀組織に敢然と挑む強い力を結集できると感じている。
早急に必要なのは、世界支配をもくろむ国際的陰謀が生々しい現実であって、悲しいほど目的達成にまぢかであるという事実を国民に訴えることのできる、キグリー博士のような内部当事者が書いた著作である。
もし私がこうした類の書を書いたとしても、とてつもない権力に無謀にも挑んで失敗した中流階級米国人の論説のひとつとして歯牙にもかけられないのがおちだろう。しかし、キグリー博士に限っていればそうでもない。内情を知る当事者として、彼はありのままを語る。したがって心から私は彼に感謝したい!

手始めに行動を起こすことだ。
おそらく今後一〇年が分かれ目になるだろう、その間に自由主義陣営の人々一般―とくに米国人―は流れを変える持続力と知性があるかどうか決断を迫られる。その後では、手遅れになるはずだ。
次の仕事は本質的に政治的なことである。それこそ整然と入念に、大衆のあり余る政治力の源をつなぎ合わせて「悪党を駆逐する」ことだ。
連邦政府のトップから地方レベルの末端役人に至るまで、グローバルネットワークの集産主義的政策や戦術を支持しつづけている民主党員、共和党員、無所属議員はいずれも選挙の洗礼を受けてただちに政治の場から去るべきだ。

「人がいい」「テレビ映りがいい」、あるいは単に公約するからという理由で公僕が選ばれる時代はもはや終わった。各人の経歴に基づいて冷静に判断しよう。もしエスタブリッシュメントの部下、シンパ、手先であることが判明すれば、公職から去るべきだ。
エスタブリッシュメントの子分はみな駆逐されるべきである。建国の父たちが思い描いたように、合衆国憲法の枠組みのなかで与えられた伝統的な地位には米国社会を戻そうと努力している男女が取って代わればいい。注意深く観察すれば、今日、米国が直面している大問題はいずれも憲法原則の違反(あるいは違反の積み重ね)と根底でつながっていることがよくわかるだろう。私たちの偉大な制度を誰かが裏切っているのだ。
国際ネットワークの手先となっている政治屋をすげ替えるだけでなく、私たちの行動を著しく阻害している政治的風土も改善すべきである。

例えば、敵陰謀者の力の根源を殲滅しなければならない。キグリー博士の『悲劇と希望』から何らかのヒントを得るとすれば、一枚岩に連合した国際金融資本の権力構造が米国民(世界中の他の人々はいうまでもない!)の福祉一般を破廉恥にも犯しているという驚くべき事実である。こうした経済力の一極集中は、例外なく、いかなる権力も国民の間に分散されなければならないという伝統的米国人の教訓と真っ向から対立する。
そこで、一握りの陰謀者の手に渡る資金力と信用という悪夢のような怪物を完全に排除できる法律の制定が急務となる。これには、連邦準備制度(実態は「連邦」でも「準備」でもない)を廃止して、アメリカ憲法第一条第八節に宣言されている、政府の定められた責任に抵触しない国会制度に置き換えることが大事である。
敵の金融力の根源を断てば、とりもなおさず他の多くの地域で失われた基盤の回復を進めることができる。それによって捕らわれの身となっていた新聞、ラジオ、テレビが解放されるので、人々は現実の真の姿を知ることができる。長年、集産主義者プロパガンダ機関として重用され、捕らわれの身となっていた公立学校の開放が進む。ネットワーク億万長者や非課税財団の途方もない財力に買収されて腐敗した宗教団体や大学をはじめとする世論形成役の解放が進む。

新しい政治的風土が生まれると、国家が一九四五年に犯した重大な政治的失敗を改めることができる。第二次大戦末、米国民は、将来の侵略戦争の芽を摘むために平和を希求する諸国間でなんらかの同盟をつくる必要性を感じた。私たちのためにエスタブリッシュメントが用意したのは、一枚岩のグローバル政府というみずから飽くなき夢に沿った政治、金融、軍事力の基盤構想をもくろんだ国際謀略の連合組織だった。
平和を希求する諸国家の連邦であるはずの国連は偽善的な茶番の場にすぎなく、その創設メンバーの米国は世界でもっとも戦争、破壊、世界制覇を擁護する存在であることが判明した。国連が小国を守るという約束事はみな破綻し、紛糾のあげく拒否権の発動によっていらだつ安保理が機能を果たさないために、国連みずからが自由主義世界の反共攻撃に備えて数十億ドルの資金を賄わねばならなかった。
たいていの米国人は、国連本部を米国内に置くべきだと主張したのがソ連だったことを忘れているかもしれないが、キグリー博士が指摘するように、それはローズとステッドの腹案だった(『悲劇と希望』一三二ページ)。国連本部の全部門がロックフェラー家の援助を受けていることも偶然の一致ではない。
米国民は、さまざまな論議が尽くされる公開の国際会議場のような場を見て喜んだにちがいない。それこそ彼らの思うつぼだった。しかし、国連憲章は結託する国務省とソ連の戦略家の手で書かれ、国連は加盟国がもつ至高の独立性よりも実質的に上の存在となり、加盟国はマルクス主義が支配する国際司法裁判所やマルクス主義者が指揮する国連軍の影響下に置かれるように構想されたのだ。

驚くことには、エスタブリッシュメントが支援する民主、共和両党出身の米国大統領は、米国を、(その国内問題を含めて)国際司法裁判所の権限下に置くというこの構想を是認した。J・ウィリアム・フルブライト上院議員(ローズ奨学生)といったエスタブリッシュメントのスポークスマンは憲法廃棄を唱え、一方、大統領顧問ウォルト・W・ロストウ(ローズ奨学生)は、米国には国家の尊厳を捨てる心構えが必要だと主張した。
(続く)>


・監訳者解説 太田龍

共産主義とは不倶戴天の敵対関係であるはずのウォール街の中に、国際共産主義を管理支配育成するセンターが存在するのではないか、スクーセンはずっと、そのことを疑っていた。

ところが一九六六年にジョージタウン大学教授キャロル・キグリーが千三百頁超の大著『悲劇と希望(Tragedy and Hope)』を公刊して、その推測を厖大な事実によって証明した。