・反差別運動とキリスト教
Prof. Nemuro🏶
2020年09月15日
https://note.com/prof_nemuro/n/n3e2a6ce1e278
※西洋で激化しているBLMなどの反差別運動の本質を示す事例を二つ。
一つ目は、アメリカでコロナウィルスでの黒人の死亡率が高いことに、
Forbes JAPAN@forbesjapan
研究によると、米国の黒人男性に新型コロナウイルスの大きな被害が及んでいることが判明した─
→格差が浮き彫りに、米国のコロナ死者数、黒人が白人の2倍以上
タンパク質分解酵素のTMPRSS2の人種間の差異が関係している可能性を示した研究。
JAMA@JAMA_current
TMPRSS2が#SARSCoV2の侵入に不可欠な役割を果たしていることを考慮すると、TMPRSS2の鼻腔内での高い発現が、黒人個人の間で#COVID19の負担が高いことに寄与している可能性があります https://ja.ma/2Fk114m
これがracismだとして批判されている。 人種は生物学的な根拠が無いsocial constructとされているからである。
もちろん、そのような批判に対する批判もある。 一例がこちら(⇩)。
Geoffrey Miller@primalpoly
もし人種に遺伝的根拠がないとしたら、薬の臨床試験を一つの人種だけで行い、その結果が他のすべての人間の遺伝子型に一般化できると信頼することは問題ないと思いますか?
二つ目が、エディンバラ大学が"Equality, Diversity and Inclusion"の一環として、David Hume Towerを40 George Squareに改称するというもの。 地元出身の大哲学者がcancel cultureに業績を否定されてしまった。
Mail+@DailyMailUK
エディンバラ大学が18世紀の哲学者デビッド・ヒュームを記念するタワーの名前を変更したことで批判を浴びています https://trib.al/rKGBi26
BBC Scotland News@BBCScotlandNews
エディンバラ大学、哲学者の「人種に関するコメント」を理由にデビッド・ヒューム・タワーの名称を変更しました。https://https://t.co/hJUrEX
同団体は、ジョージ・フロイド氏の米国での死とブラック・ライブズ・マター運動によるキャンペーン以来、その活動は「活気づけられている」と述べた。
ジョージ・スクエア40番地がジョージ・フロイドにちなんで改名されたのは断固として事実ではない。大学は、1700年代からジョージスクエアとして知られてきた建物が置かれているスペースの命名に一切関与したことはありません https://t.co/OH8nxJ6i28。
— エジンバラ大学 (@EdinburghUni) 2020 年 9 月 16 日
大学側は否定しているが、George Floydを連想させる意図が隠されていると疑わても仕方がない。 ちなみに、ヒュームは"Reason is, and ought only to be the slave of the passions(理性は、そして、情念(感情)の奴隷であるべきだ)"が有名である。
週刊エコノミスト編集部
@EconomistWeekly
勝つための情報リテラシー:アメリカ黒人差別暴動の真実と「ジョージ・フロイド氏」の知られざる正体=立沢賢一(元HSBC証券会社社長、京都橘大学客員教授、実業家) | 週刊エコノミスト Online https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200622/se1/00m/020/002000d
Areo@AreoMagazine
「南軍の将軍たちの像は撤去されてもいい。しかし、デビッド・ヒューム・タワーはヒュームの哲学的業績を称え、その才能が報われなかった人物を讃えるため名付けられた」と@DJtotheS
が主張しています。
https://areomagazine.com/2020/09/15/david-hume-tower-a-tale-of-quiet-and-shameful-erasure/
しかし、私たちは目覚めた時代に生きており、抑圧と権力のレンズを通してすべてを見なければなりません。この塔は、本大学で最も有名な卒業生を祝うだけでなく、白人至上主義の声明であり、人種的抑圧の道具でなければなりませんでした。
フランスでもヴォルテールが奴隷貿易に関与したことで狙われている。
Foreign Policy@ForeignPolicy
著名な公人—生きているか死んでいるかに関わらず—が非常に問題視されているために疑問視されることが、フランスでますます強力な力となってきていると、
@NabilaRamdani
が書いています。
https://t/L3yNIWgCS2
これらは現代のリベラリズムが「アップデートされたキリスト教」だとすれば理解しやすい。
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「人種間の平等」がリベラルの”宗教“であるという考えを、私は直接的にはハーバード・ロースクールの憲法の授業で、ノア・フェルドマン教授に習った。
「そう、我々はいまだ消えぬ『原罪』を抱えている。道半ばに倒れた『キリスト』の意志を継いで『白人と黒人の平等』という教義を世に広めようと努力し続けている。 信仰にも似た熱心さと従順さで。 この『人種間の平等』が我々リベラルの心の拠り所だ。 この教えをリベラルの『信仰』としないで、他の何が信仰の名に値するだろう」
この教義は後に「すべての人間の平等」へと拡大した。 フェミニストはそこに「男女の平等」を入れ込み、LGBTは「セクシャリティの平等」を含めることを主張したからだ。
この絵(⇩)もキリスト教発想との関連を示す証拠の一つ。
ニューズウィーク日本版@Newsweek_JAPAN
日本人が知らない、アメリカ黒人社会がいま望んでいること
――BLM運動が起こり、「構造的差別」に対するアメリカ社会の意識が変わり始めた。日本まではなかなか伝わってこない黒人社会の慟哭を、ピュリツァー賞受賞ジャーナリストのウェスリー・ラウリーが長編ルポで描く。
一つ目の遺伝的要因の否定は、キリスト教が地動説や進化論を攻撃したことの現代版になる。
リベラリズムの信者を突き動かしているのは「差別という原罪とその贖罪」の意識で、それが「異教や異端を地上から消し去る」という十字軍的行動として表れる。
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十字軍の本質は「贖罪」であり、その目的地は聖地に限定されず(聖地十字軍と非聖地十字軍の同等性)、それは連続性を持つ運動であった。 贖罪、より正確に言うとローマ・カトリック教皇の認める贖罪である十字軍は、根本的に宗教・信仰とは不可分のものであった。
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ここにあるのは共存の思想ではない。 異教徒による「汚染」の「浄化」という排斥の思想である。 「聖地」エルサレムの聖性を貫くために、汚染された異教徒を「浄化」しなければならないという想念が、ここに見出される。 これが「平和」を求める参加者たちの琴線に触れたのは確かだろう。
この想念は左派/リベラルに受け継がれている。 リベラルが求める「差別解消」とは、自由で平和な世界を実現するために、教義の"Equality, Diversity and Inclusion"に反すると彼らが勝手に認定するものを地上から消し去ることである。 従って、反差別運動は必然的に暴力と流血を伴うことになる。
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左派は存在する限りずっと誰もが仲良くて、協力しあい、自由で平和に生きていける社会を追求してきたのだ。
二〇世紀に入り、人間は完全であるという夢は、スターリンのソ連、文化大革命下の中国、ポル・ポト政権下のカンボジアで大変な悪夢と化した。 そしてこの悪夢から目覚めた左派は大混乱に陥ったのである。
これら(⇧)の革命を、今度は西側諸国で起こそうというのが反差別運動である。 アップデートされた新左翼運動と考えればよい。
PolitiFact@PolitiFact
ブラック・ライヴズ・マターは、アメリカ人によって広く支持される全国的な運動にしたが、その中にはマルクス主義者を自認する人はほとんどいない。 https://bit.ly/2CqCUQA
ガルザとトメティが自分たちをマルクス主義者と呼んでいることは見つかりませんでした。しかし、書籍出版社のペンギン・ランダムハウスは、作家のガルザが「自分自身をクィアの社会正義活動家でありマルクス主義者と表現している」と述べた。
おそらく、大半の日本人は反差別を掲げるリベラルの暴力性・危険性を認識していないものと思われる。 朝日新聞、Huffpost、Buzzfeedなどが「十字軍」に日本を占領させるために必死で活動していることには要警戒である。
・共産主義の体験者だから分かる現代リベラリズムの本質
Prof. Nemuro🏶
2021年6月21日
https://note.com/prof_nemuro/n/na90454496342
※西洋リベラルの危険性については当noteで度々取り上げてきたが、それを裏付ける記事があったので紹介する。
クーリエ・ジャポン@CourrierJapon
脱北者で人権活動家のパク・ヨンミ(27) 。2韓国の大学から2016年に編入したアメリカの難関エリート校「コロンビア大学」での経験について、「北朝鮮と似ている」と発言し、物議を醸している。
この抄訳記事では"woke"を「お目覚め」と軽い調子に訳しているが適切とは言えない。Wokeとは、映画『マトリックス』でネオが人類がコンピュータに支配されているこの世の真実を知って救世主として覚醒するようなものである。コンピュータに相当するのが白人(straight white male)で、現代文明が差別が構造化されたものであることに気付き、それを破壊して差別される人々を解放する聖戦士(SJW)として覚醒するという意味合いである。
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Courier Japonの記事では割愛されている発言も重要である。
Fox News
@FoxNews
Grokによる英語からの翻訳
北朝鮮の脱北者がアイビーリーグの学校に通った後、「北朝鮮でさえこんなに狂ってなかった」と語る
https://foxnews.com/us/north-korean-defector-ivy-league-nuts
性は生まれつき決まっているのではなく、自分が決めるもので、他者はそれに従わなければならないという北朝鮮でもありえないクレイジーな思想が広まっている。
彼女はまた、性別と言語をめぐる問題にもショックを受け、混乱しており、すべてのクラスで生徒に好みの代名詞を発表するよう求めていました。
「英語は私の第三言語です。大人になってから学びました。今でも間違えて「彼」や「彼女」と言うことがありますが、今度は私に「彼ら」と呼んでほしいと頼まれるのでしょうか?一体どうやってそれを文章に組み込んでいけばいいのでしょうか?」
「混乱だった」とヨンミは語った。「文明の退行のように感じました。」
「北朝鮮ですら、これほど頭がおかしいわけではありません」と彼女は認めた。「北朝鮮はかなりクレイジーでしたが、これほどクレイジーではありませんでした。」
脱北者、キャンセルカルチャーと金政権の「マルクス主義的」類似点を警告
米国に亡命した北朝鮮の女性は「
www.foxnews.com
「私の敵はかつて金正恩でした。私は長年、金正恩氏の殺害リストに載っていました。私が声を上げたため、私の元の家族は罰せられましたが、皮肉なことに、今では多くのマルクス主義者、共産主義者、毛沢東主義者、レーニン主義者が私に殺害の脅迫を送っています」と彼女は続け、米国のキャンセル文化を悲しい「皮肉」と呼んだ。
旧共産圏からアメリカに来た人々が、アメリカが共産主義国家に似てきたことを指摘している。
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2015年の春、不安な見知らぬ人から電話がかかってきました。電話をかけてきたのは著名なアメリカ人医師でした。彼は、チェコスロバキアから米国に移住した年老いた母親が、若い頃の6年間を故郷で政治犯として過ごしたと私に語った。彼女はカトリックの反共産主義レジスタンスの一員でした。現在90代で息子とその家族と暮らしている老婦人は、最近、アメリカ人の息子に、今日の米国での出来事は、共産主義がチェコスロバキアに初めてやってきたときのことを思い出させたと語った。
その後数年間、私はかつて共産主義下で暮らしていた多くの男女と話をしました。私は彼らに、老婦人の宣言についてどう思うか尋ねました。彼らはまた、アメリカの生活がある種の全体主義に向かって流れつつあると考えていたのでしょうか?
彼らは皆、しばしば力強く答えました。彼らはアメリカ人がこのテーマに関して絶望的に世間知らずだと考えているため、私の質問に通常驚いていました。アメリカに避難した移民の何人かと長々と話をしたところ、彼らは同胞のアメリカ人が何が起こっているのかを認識していないことに心から怒っていることがわかりました。
更に詳しくはこちら👇を参照。
『「嘘によって生きるな」旧共産圏で迫害に耐えたクリスチャンたちの教え(1)』
https://ameblo.jp/tfjblog/entry-12664454958.html
旧ソ連・東欧出身クリスチャンたちの洒落にならない「警告」
「共産主義前夜」との不気味な相似形
私はふとしたことから Rod Dreher という人が書いた「Live Not By Lies」という本(↓)を知り、それを読んで衝撃を受けました。
https://www.amazon.co.jp/Live-Not-Lies-Christian-Dissidents/dp/0593087399
Amazon | Live Not by Lies: A Manual for Christian Dissidents | Dreher, Rod | Conservatism & Liberalism
この本は、著者が2015年、ある東欧出身移民の老女の息子から連絡を受けたというところから始まります。
彼女は以前共産政府に対する抵抗運動に従事した後、米国に移住したのですが、共産主義による弾圧をよく知る彼女は、息子に対して「今現在米国で起こっていることは自分の故国で昔起こっていたことを思い起こさせる」と語ったというのです。
それをきっかけに、筆者は数多くの共産圏出身のクリスチャンたちにインタビューしたが、全員が異口同音に現在米国および西欧で広がる全体主義の影に懸念を表明したということです。
政治的あるいは社会的意見を外で述べるときに、肩越しに後ろを振り返って誰かが聴いていないか気にしなければならない。政治的に「正しくない」とされる意見を述べたものはプラットフォームを奪われ、時には職を追われるという対価さえ強いられる。
彼らはこれを見て、「自分の故国で共産主義が支配を握る前に起こっていたことと同じだ」あるいはと警告するのです。
あるいは、「抑圧されていた人々を救う」という名目で、新たな用語が発明され、新たな基準が次々設けられることにより言論がコントロールされ、昨日までは通常に受け入れられていた言葉がその基準にひっかかるようになり、違反した者は極端なほどの罰を受ける。
旧ソ連で生活していたある人は「まさにソ連の政権がプロパガンダを運用していた方法と同じ」と指摘します。
また、共産主義の下で生きる経験を直接知っていたり、あるいは親から聞かされてきた彼らは、米国生まれの米国人たちが「まさかこの国でそんなことが起きるはずがない」と自分たちの警告を本気にしないことに、憤りさえ感じている、といいます。
加えて、著者はソルジェニーツィンという反共産主義活動家の言葉を引用し、「全体主義に抵抗するには霊的生活を整えねばならない」「共産主義を作り出したのは政治的危機ではなく霊的危機である」と断言するのです。
一体どういうことでしょうか?
宗教の欠如と宗教的熱意:リベラル全体主義
今米国のキャンパスを席巻している「ソーシャルジャスティス・ウォリアー(SJW)」。彼らは勉強そっちのけで、「社会セーギ」のため運動し、保守派の言説に対しては「アグレッションだ」として被害者ポーズをとりつつ徹底的に弾圧し、「デプラットフォーム(講壇→すなわち発言の場を奪うこと)」し、ひどい場合保守の学生運動家やジャーナリストを取り囲んで暴言を吐いたり威嚇したりします。
多くの保守米国人がこれらの運動を1990年代の大学左翼と同列に見ており、「世間知らずの彼ら(SJW)も、一度社会に出て働くようになれば変わるだろう」といった楽観論を抱いている現状を見て、著者はこれを完全に間違っていると断言します。
そうではなく、左翼青年たちはやがて職を得てビジネスマンになり、一部は企業の上層部に登ることになるのです。そうすると彼らの影響力により、ビジネス界は嫌が応でも彼らの思想により統制されるようになる。
著者は、現代米国の大企業の方針が奇妙なまでに「ウォーク」思想に親和的であることの背景に、このようなメカニズムを見ています。
上述のSJWたちもまた学校を卒業し、それぞれの就職先でその「ウォーク」思想を浸透させあるいはそれをもとに社会に影響を及ぼそうと活動するとしたらその影響は計り知れないのではないでしょうか?
しかも筆者は、「SJWは一つの宗教である」と断言し、論理的説得により彼らを退けられると安易に考える保守派の甘さを痛烈に批判しています。
SJWにとって彼らの「教義」はすでに「絶対的に正しいことが確定した」争いのないものであり、彼らにとって他者との対話は、相手が自らの「罪」を悟って「悔悟」するまでのプロセスに過ぎないというのです。
そして著者は、これら現象の背景にあるものとして、近代西欧における「神の死」を挙げています。
宗教を失った人々が、「神からの規律」よりもむしろ個人の「心理的心地よさ」に忠誠を誓うようになったのです。
人というものは、たとえ宗教が欠如した状態でも、生きることの目的や、他者との調和への渇望、「義しい世の中」への飢え渇きといったものを持ち続けているものであって、キリスト教の衰退によって、急進的左派リベラリズムが、リベラルのほとんど宗教的熱意に近いこういった渇望の受け皿になっているのではないか、と推測します。
「神の死」つまり、人々が神を拒絶しはじめたことに端を発しているというわけです。
「ウォーク・キャピタリズム」の到来
筆者はまた、個人の心地よい生活の向上へのあくなき志向が、消費者データを収集するビッグテックへの依存を生み出し、それが「ソフト」な全体主義への道を整えていると看破します。
ひとは心地よい円滑な生活を求めるあまり、テックカンパニーに個人情報の収集を許し、googleスピーカーなどで家庭内の会話の収集さえも許しています。
これらの企業群は大多数の国民の生活に入り込むことに加え、手にした莫大なリソースを活用し消費者の志向に影響を与えることさえし始めています。
彼らは、消費者の行動からその好みを予測して広告や検索結果の表示などを通じ消費者が求めるものを提供する、だけではなく「あなたに対して彼らが『欲しがってほしい』と思う商品を『欲しがるように仕向ける』」ために努力しているのです。
筆者は、前述の「SJW」的アジェンダが企業群の価値観さえも支配し始めたことと、ビッグテックがそのような力を持つようになったことがほぼ同時に起こっていることに着目し、これを「ウォーク・キャピタリズム」と呼んでいます。
もはや彼らは「社会を自分たちの思い通りに形作る」ことさえ可能な力、それこそレーニンやマルクスが夢に見ることしかできなかったほどの強力な力を手にしたのです。
なおつい最近のことですが、米バイデン大統領当選に伴い、トランプ氏はもちろん、多くの保守派人士のSNSアカウントが凍結あるいは削除されたり、彼らの受け皿となった「Parler」というSNSがアマゾンからサーバ契約を一方的にキャンセルされたりといった事件がありましたが、
著者が警告していた(本が書かれたのは大統領選より前ですが)とおり、ビッグテックはまさに全体主義思想統制の先駆けとなることが実証されたわけです。
新時代の全体主義支配は、あからさまな武力を使ったかつての共産圏での全体主義支配とは違います。今来つつある全体主義は、現在私達がメディアで見るような言論による集中攻撃やあからさまな偏向報道に加え、「アカウント削除」「サービス停止」といった企業による「村八分」により、真綿で首を絞めるように統制していくのです。
この動きはSNSにとどまらず、PayPalといったペイメント業者や、銀行界にまで広がってきています。そうすれば、ある思想についての支持不支持だけで、人が「売ることも買うこともできなようにする」といった未来は、そんなに遠くのものではないということになります。
現代社会の陥穽「癒し文化」とその根底にある「ポジティビズム」
ツイッターなどを見ていても、こういった事件から全体主義の影が近づいていることを感じている人たちがおり、
また、米国では、民主党による議会の優勢や彼らのなりふり構わない行状を見て、危機感に駆られた保守派人士たちがGabといった新たなSNSに集って活発に意見交換をしています。
EUでも、旧東側諸国が西側が主導するリベラル諸政策に抵抗している(その代表がハンガリーのオルバーン首相)。 このインタビュー記事👇では、スロバキアの元内務大臣が、西欧のリベラリズムは共産主義と同根の人類学的革命を目指すネオマルクス主義だと述べている。
Stiftung Zukunft CH@ZukunftCH
「ジェンダー、共産主義の新しい形」
https://zukunft-ch.ch/gender-eine-neue-form-des-kommunismus/ |
@ZukunftCH
財団は、結婚と家族、イスラムシステム、ジェンダーイデオロギー、生命の権利、トランスヒューマニズムなどについて、合理的かつ価値に基づいた視点から情報を提供しています。
共産主義に免疫が無いアメリカ人(特に若者)にはwoke cultureが進歩的な正義そのものに感じられるが、共産主義を実体験してきた人々は、その本質が共産主義と同じだと直観できるのである。
彼らにはアメリカ人が"hopelessly naive"に見えているが、日本人はそれ以上にnaïveだと思われる。 最大の争点はアメリカでは人種差別だが、日本では性差別(そのようなものが存在するかは別)で、最近ではそこに西洋から輸入されたLGBTという概念が加わっている。
それについては後日の記事で。
・WOKEとMATRIX
Prof. Nemuro🏶
2021年8月6日
https://note.com/prof_nemuro/n/n4f8cc4cf7ba9
※英語圏のリベラルの若者の攻撃的行動を理解するために必須の概念が"woke"である。
その理解に役立つのが映画『マトリックス』で、支配者をコンピュータからStraight White Male(白人の異性愛の男)に置き換えたものがwokeしたリベラルの世界観になる。
ネオがred pillを飲んで覚醒したように、白人異性愛男の支配構造を打倒するために立ち上がることがwokeである。
彼らが寛容を唱える一方で極めて攻撃的なのは、「誰もが仲良くて、協力しあい、自由で平和に生きていける社会」を実現するためには、リベラルに従わない「異教徒」を殲滅する必要があるからである。
ここにあるのは共存の思想ではない。異教徒による「汚染」の「浄化」という排斥の思想である。「聖地」エルサレムの聖性を貫くために、汚染された異教徒を「浄化」しなければならないという想念が、ここに見出される。これが「平和」を求める参加者たちの琴線に触れたのは確かだろう。
リベラル十字軍戦士のSocial Justice Warriorsに白人が多いのは、その本質が宗教的な「贖罪」だからである。
十字軍の本質は「贖罪」であり、その目的地は聖地に限定されず(聖地十字軍と非聖地十字軍の同等性)、それは連続性を持つ運動であった。贖罪、より正確に言うとローマ・カトリック教皇の認める贖罪である十字軍は、根本的に宗教・信仰とは不可分のものであった。
リベラリズムは一種の宗教であり、その国教化によって「あたかもリセットボタンを押したように、日本を一変させる」ことが安倍前首相をはじめとするリベラル勢力の目標になる。
・ドイツのWOKEと1968年世代
Prof. Nemuro🏶
2021年12月23日
https://note.com/prof_nemuro/n/n37fe40f46b8c
※ドイツ政治のwokeism(ウォーケイズム、覚醒主義。“wake=起きる/目を覚ます”という動詞から派生したこの言葉は、「常に社会・社会問題に対して政治的に覚醒した目を向けろ、そして行動しろ」という意味。要するに、日本語の「意識高い系」)への傾斜が鮮明になっている。
キリスト教系の保守政党を率いていたメルケル首相が退任し、新政権が発足したドイツ。新政権下ではマイノリティにやさしいリベラルな社会政策が多く約束され、今後ドイツ社会が大きく変わることが見込まれるという──。https://t.co/nRRyd6HCy6
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) December 13, 2021
ドイツでは16年も首相の座におり、影響力の強かったメルケル首相が退任し、オラフ・ショルツを首相とする新内閣が成立した。新たに発足した内閣では、なんと閣僚の半数が女性となった。なぜ、劇的な変化が起きたのか──。 https://t.co/U2U2fKbsq2
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) December 17, 2021
その遠因は「1968年」にあるという見方は恐らく正しい。
1968 パリに吹いた「東風」――フランス知識人と文化大革命
毛沢東はパリ・コミューンを1つの理想とし文化大革命を発動した。5月革命の闘士たちは文革に現状打破の理念を重ね合わせた。フェミニズム、エコロジー、第三世界革命主義、マイノリティ集団の権利、ポスト構造主義…。フランス現代思想の源流にあったマオイズムと文革の衝撃。
ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書)
(反戦デモが続いた)大学キャンパスの若者を思い出してください。当時の民主党は彼らを見て、「彼らの側につく政党であるべきだ」と悟った。当時、多くの労働組合がベトナム戦争を支持しました。労組メンバーには、キング牧師の公民権運動を支持する人々も大勢いましたが、人種差別主義者の白人も含まれていた。これを見て、民主党は「彼らとの関係はオシマイだ」と判断したのです。
70年代から90年代の民主党を眺めると、彼らは自己変革を繰り返していた。かなり詳しく調べました。この時代の各派が一致していたことは、「民主党はもはや労働者の政党ではない」であり、繰り返しになりますが「見識があり、高等教育を受け、裕福な人々の政党」をめざした。
西側諸国の急激なリベラル全体主義化は、1968年世代が毛沢東、若者たちが紅衛兵になったことによる。キリスト教的倫理観の有無が日独の若者の違いにつながっている。
緑の党の台頭にみるドイツの政治文化 - 高野弦|論座 - 朝日新聞社 #1968年世代 #ドイツ #政治教育 #緑の党 https://t.co/PzC9t7ZyFi
— 論座 (@webronza) December 22, 2021
なぜ多くのドイツの若者は革新系の緑の党を選び、日本の若者は現状維持を選択したのか。
私は、ベトナム戦争時に学生時代を送った「1968年世代」が、その後の世代の生き方に決定的な役割を果たしたと思っている。
『1968年~反乱のグローバリズム』の著者ノルベルト・フライ(イエナ大学教授)の分析👇。
ドイツの若者は研究者や教員、市民活動家となり、70代、80代になった今も政治的であることをやめていない。政治的であることは、もはや信念であり、かれらのライフスタイルになっている。企業のCEOになっても、それは同じ。
――なぜ、そうした感情を持ち続けることができたのでしょうか。
宗教的な倫理観に裏付けられているからだと思う。ドゥチュケはキリスト教のバックグラウンドを持っていて、「宗教的な社会主義」の信奉者だった。キリスト教徒でありながら、よりよき社会のためなら武器をとることも辞さない。特に第三世界ではそれが必要であると考えていた。
原始的な共産主義とキリスト教の教えには、つねに共通したものがある。それは、権威主義の克服であり、人間の解放だ。マルクス主義者でも、その倫理観は宗教的なものに基づいていた。1960年代の運動は、それぞれにとって生き方、信仰の問題でもあったのだ。
現代リベラリズムも「人間の解放」を目指すものだが、フライ教授の分析は、リベラリズムも共産主義やファシズム/ナチズムと同類の、キリスト教の「代用宗教とも言うべき全体主義的イデオロギー」であることを示唆している。
悪魔の神話学
20世紀にキリスト教の力が弱まると、ヨーロッパにはその代用宗教とも言うべき全体主義的イデオロギーが広まった。ファシズムとコミュニズムである。両者がそれぞれユダヤ人とブルジョワジーを悪魔のように敵視していたことに思いを馳せると、第2章で詳述するように、両者はじつはヨーロッパに固有のデモノロジーの新種であったと考えざるをえない。
西側で共産主義に影響された若者が暴れた1968年には、東側では「プラハの春」が起こった。現在、ハンガリーを筆頭とする東欧諸国が西側が押し付けるリベラリズムに激しく反発しているのは、その本質が共産主義と同じ全体主義的イデオロギーであることを肌で感じられるからである。
House Speaker: EU on course to be destroyed by people trying to protect it from Hungaryhttps://t.co/oGQCvQhpmv pic.twitter.com/khCeD5XCFp
— About Hungary (@abouthungary) July 12, 2021
… “after Nazis and Communists, a new totalitarian ambition is about to destroy Europe, sometimes called Liberalism, post-Humanism or whatever… green folly.”
...「ナチスと共産主義者の後、時にはリベラリズム、時にはポストヒューマニズム、そして時には何か...愚かなグリーン主義、などと呼ばれる新しい全体主義的野心が、ヨーロッパを破壊しようとしています...
「キリスト教を世界に広める」や「共産主義を世界に広める」と同種の情熱と使命感👇。
In which decidedly un-woke professor of economics @tylercowen comes to terms with — even appreciates — the movement's achievements https://t.co/0i48hjTuJr
— Bloomberg Opinion (@bopinion) September 19, 2021
日本の1968年世代とその後継者たちは、主に英語圏からリベラリズムを輸入して広めようとしているが、日本人はその本質が「性は自由に変更できる」というような狂信的イデオロギーであることをよく認識した上で断固拒否するべきだろう。リベラリズムは進んでいるのではなく狂っているのである。
・脱北者のWOKE批判
Prof. Nemuro🏶
2023年2月12日
https://note.com/prof_nemuro/n/n5f6c3bcb6ead
※北朝鮮から中国→モンゴル→韓国を経てアメリカに渡ったパク・ヨンミが新著を出すということで、ニューヨーク・ポストのインタビューに応じている。内容は以前に当noteで記事にしたものと被るが、改めて紹介する。
2月14日に出版された著書「While Time Remains」の中で、朴氏は、米国までたどり着いたが、アイデンティティ政治や被害者心理からエリートの偽善に至るまで、北朝鮮に残したと思っていたのと同じ自由の侵害に気付いた経緯を書いている。
今週のポスト紙とのインタビューで、朴氏は、専制政治と抑圧から逃れた脱北者として、被害者の地位を主張し、抑圧ポイントを獲得しようとする大学生に会ったことがどのようなものだったかを回想した。彼女は母校を「純粋な教化キャンプ」と呼び、ニューヨーク市の最エリート校のクラスメートの多くは「北朝鮮の学生と同じように洗脳されている」と語った。
パクはアメリカのエリートに浸透するwokeismの異常さと危険性を指摘しているわけだが、それを見抜けたのは北朝鮮の異常さを実体験してきたことに加えて、西洋文明の影響をあまり受けなかった東洋人だからだと考えられる。
Diversity・Equity・Inclusion(DEI)のwokeismは日本では平等や反差別といった人類普遍の「正しさ」と受け止められているためか警戒感が乏しく、マスコミも積極的に推進しているが(一例👇)、その本質はキリスト教やマルクス主義と同種の極めて危険なイデオロギーである。これについては後日に回すが、西洋独特の世界観を理解しなければその特異性も危険性も理解できない。
パクは"cultural revolution"が進行中と言っているが、wokeムーブメントは文化大革命の「破四旧」の西洋版と言える。このようなものを無警戒に受け入れれば、日本社会は取り返しのつかない打撃を蒙るだろう。
「私たちにはそんなに時間が残っていないと思います」と彼女は警告した。「すでにすべての主流機関は、北朝鮮が持っているのと同じイデオロギーを持っています。社会主義、集団主義、公平性です。私たちは文字通り、アメリカで文化革命を経験しています。私たちがそれに気付いたとき、それは手遅れかもしれません。」
確信的な知識人・活動家の目的は「社会を変える」、つまりは社会革命・文化革命することで、例えるなら、キリスト教徒が非キリスト教社会に乗り込んで習俗や宗教を強制的に変えてしまうようなもの。大して変わらないと思っていたら大間違いである。
岸田総理 同性婚で「社会が変わってしまう」 性的マイノリティの当事者の思いは?【news23】 https://t.co/AIOy37gLvP
— TBS NEWS DIG Powered by JNN (@tbsnewsdig) February 8, 2023
1990年代からの「改革」の総仕上げ
政治学者が政治改革→政治劣化
経済学者が構造改革→賃金停滞
社会学者が文化革命→社会崩壊
・男子禁制は差別か否か
Prof. Nemuro🏶
2023年3月2日
https://note.com/prof_nemuro/n/n9fce0f1e06bc
※マスコミや活動家は「トランスジェンダー=性同一性障害(GID)」のようにミスリードしようとしているがそうではない。その裏に隠された目的は一般人の想像を超えた社会革命である。
この問題が厄介なのは、トランス思想が大方の日本人の想像の範囲を超えているため、それが目指しているところを理解できず、社会的インパクトを過小評価してしまうことである。
古今東西の人間社会は男女の別があることを土台にして構築され、その別は肉体的(生物学的)なものであることは自明とされていたが、近年の西洋で生まれたトランス思想とは「性」は肉体的なものではなく精神的なものなので、当人の自己申告によって決まる(「気分」なので一定でなくてもよい=gender fluid)とコペルニクス的転回するものである。「自分は女」と宣言した人は生物学的な性とは関係なく社会的に女として扱われ、扱わない人は差別者としてキャンセルの対象になる。
これまでの社会では女用の浴場やトイレ、更衣室などは男子禁制というのが常識だったが、トランス思想を基に再構築された社会では男も「心は女」と自称すれば自由に出入りできるようになる。現実問題として、すべての施設で自己申告による性別確認をすることは困難なので、「男女の別」は有名無実になる。
男女の区別は本当に必要?, Taiwan Today
女性と男性は違う存在であり、区別がなければならないという「男女有別」は、中華古代の書物『礼記』にある古い考え方ではあるが、
jp.taiwantoday.tw
このように、社会秩序・構造を土台から作り変える(パラダイムシフトさせる)ことがトランス思想が目指すところだが、このような特異な思想が西洋の知的エリートに広がっている背景には"objectivity"に対する懐疑がある(←ポストモダニズム)。
しかし、ジャーナリズムの客観性という概念は現実の歪曲であると主張する記者、編集者、メディア評論家が増えています。彼らは、この基準は、主に白人のニュース編集室の男性編集者によって何十年にもわたって決定され、彼ら自身の世界観を強化したと指摘している。彼らは、客観性を追求することは、人種、女性の扱い、LGBTQ+の権利、所得格差、気候変動、その他多くのテーマに関する記事を報道する際に、誤ったバランスや誤解を招く「両面主義」につながる可能性があると信じています。そして、今日の多様化するニュース編集室では、それが自分自身のアイデンティティ、人生経験、文化的背景の多くを否定し、仕事の中で真実を追求することを妨げていると感じています。
強調は引用者
[…]、「客観性」が何を意味するのか理解できませんでした。私はそれが私たちのニュース編集室の標準だとは考えていませんでした。私たちのジャーナリズムに対する私の目標は、正確さ、公平性、超党派性、説明責任、そして真実の追求でした。
Objectivityが体の性、truthが心の性になる
デカルトは「我思う、故に我あり」と書いたが、トランス思想では「性は客観的に決められないが、自分が思う(感じる)性は疑えない」となる。このような論理から、性は他者によって男/女のどちらかに決めつけられるものではなく、自分の意志で選ぶもの(それも二種類とは限らない)であり、その選択が「抑圧からの解放」だという特異な観念が生じたわけである。
マスコミと活動家は「進んだ西洋に遅れるな」とトランス革命の旗を振っているが、バスに乗ってしまえばこれ👇を上回る社会混乱が起きることは間違いない。
ねとらぼ
@itm_nlab
【マンガ】かつて中国で「信号の赤を“進め”にしよう」という運動があった http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/12/news016.html
@itm_nlab
女湯に男が入れないのは自然の理か"WHITE ONLY"と同様の差別か。
ニューズウィーク日本版
@Newsweek_JAPAN
女性専用サービスを「女性以外」から守れ! 性別変更の簡易化改革をハリポタ作者が批判(スコットランド)
<法的な性別変更を簡易化する改革について、女性専用サービスや空間をトランスの人々にも使わせるのは「女性の権利の破壊」と批判>
https://newsweekjapan.jp/kimura/2023/01/post-201.php
#LGBTQ #ニューズウィーク日本版
ニューズウィーク日本版
@Newsweek_JAPAN
「性別変更簡易化」スコットランドでレイプ犯が女性に性別変更
トランスジェンダーの権利擁護のため性別変更を容易にする法案を進めるスコットランドで、2人の女性をレイプした男が裁判中に女性に性別変更するという珍事が(コリン・ジョイス)
ロウアーなアンチフェミ男がフェミ女(特にアッパー層)を叩くためにトランス思想を利用しているのは見苦しい。
・WOKEISMは新宗教
Prof. Nemuro🏶
2023年8月23日
https://note.com/prof_nemuro/n/n55d8ca6d3b45
※フランスの著名哲学者がアメリカ発祥のwokeismについて当noteと同じ分析をしていた(お墨付きを得たようなもの)。
Le wokisme, nouvelle religion ? - La Nef
Dans un essai de référence sur le sujet, Jean-François Brauns
lanef.net
https://lanef.net/2023/07/13/le-wokisme-nouvelle-religion/
Wokeism, A New Religion?
Jean-François Braunstein, philosopher and professor at the So
www.thepostil.com
https://thepostil.com/wokism-a-new-religion/
Wokeismはキリスト教系の新興カルト。
この本はまた、このポスト・プロテスタント、北米のカルトが、西洋の空いている霊的空間を完全に埋めるようになったという事実にも異議を唱えている。
"Woke"とは「目覚め」「覚醒」で、アメリカで繰り返されてきたキリスト教の「大覚醒」の現代版と言える。 MATRIXでネオがred pillを飲んだ状態だと考えればよい。
目覚めた人々は、私たちとは大きく異なる、新しいグローバルな世界観に「目覚め」ます。それはまた、18世紀と19世紀の偉大なアメリカのプロテスタントの「目覚め」(リバイバル)を彷彿とさせます。目覚めた者にとって、原罪に相当するのは「白人の特権」ですが、これは赦しのない罪です。そのアイデアは、「人種差別主義者」または「トランスフォビア」として非難される純粋なものと不純なものを根本的に区別することです。
ジェンダー理論の人間の本質は肉体ではなく精神(霊魂)という主張はグノーシス派のものと似ている。
ジェンダー理論は、男性性と女性性を区別するのは身体ではなく、男性であること、女性であること、または何であれという私たちの意識であると仮定しています。肉体は本質的ではないというこの考えは、肉体は私たちが自分自身から解放されなければならない悪であると説明したグノーシス主義の異端を彷彿とさせます。
アバターの性別を自由に決められるサイバー空間(imaginary world)が拡大したことが、性は生まれつき決まっているものではなく、自分で決めるもの、という異常な観念の広がりの一因になっている。
この架空のジェンダーの世界は、ボタンをクリックするだけで性別を変更できるビッグテックが提案するメタバースと完全に一致しているため、さらに魅力的です。自分の体を勝手に変えることができるという考えも、トランスヒューマニズムのユートピアを呼び起こす。これらのトランスジェンダーおよびトランスヒューマニズムの理論に対するビッグテックの取り組みは、この架空の世界に対する脅威をさらに悪化させています。
リアル世界に生きる普通の人々とヴァーチャル世界に生きる知的エリートの文化戦争が始まっている。
「普通の人々」は、奇抜な覚醒に反対するのに最適な立場にあります。…彼らはつながった「知識的」エリートの仮想世界に住んでいません。…これらの問題に関して真の「文化戦争」が始まっており、間違いなく次のアメリカ大統領選挙の中心となるだろう。
"Logic is racist”がwokeの基本スタンスなので、信者との議論は成り立たず、説得(脱洗脳)はほぼ不可能。
目覚めた人々は偏屈者です。彼らは、悪と見なす相手と議論することを拒否します。2017年のエバーグリーン大学買収の際、学生の一人が教授の一人に「論理は人種差別的だ」という理由で議論をやめるよう命じた。「キャンセル・カルチャー」は、西洋文化において、目覚めた信念に従わないものはすべて禁止したいと考えています。目覚めた人々はまた、改宗を強く行っており、現在は小中学校を標的にしています。
「ウォーケイズムは許しのない宗教である」
ウォーケイズムはどこから来て、その基盤は何ですか?それ
CNE.ニュース
https://cne.news/article/2095-wokism-is-a-religion-without-forgiveness
「その発展における学界の役割があいまいであるため、科学的で合理的な批判はほとんど不可能になります。いかなる議論も彼らに影響を与えません。私たちは彼らを止めようとすることはできますが、彼らを説得することはできません。」
著述家のドレーアーも同様の見解を示している。
Wokeナラティヴによると、黒人でレズビアンのハーバード大学教授は被抑圧者(弱者)、トレーラーハウスに住む白人のおっさんは抑圧者(強者)になる。
目覚めたイデオロギーのせいで周縁にいるクリスチャン
物語が新鮮で目覚めているように見える限り、人々は喜んで
CNE.ニュース
https://cne.news/article/1218-rod-dreher-warns-christians-get-to-the-margin-because-of-woke-ideology
「目覚めた人々が本当に不利な立場にあるなら、それは可能でしょう。目覚めた物語によると、ハーバード大学の黒人レズビアン教授はキャラバンに住む白人男性に抑圧されているという。実際には、彼女は犠牲者ではなく、特権階級の人です。彼女は現実世界ではなく、エリートの間で生きています。目覚めた人は、下からではなく、エリートから来ています。国家からではなく、強力なサークルから。CIAやFBIのような連邦組織でさえ、現在では求人広告で公然と目覚めていますが。」
旧共産圏からアメリカに来た人は、wokeismと共産主義の類似を感じ取る(北朝鮮出身のパク・ヨンミのその一人)。
しかし、米国にいるロシア人は周囲の光景にショックを受けている、とドレハー氏は言う。「ソ連では、彼らは真実ではないことを信じなければなりませんでした。今、彼らは西側世界でそれを見ています。それは彼らに全体主義世界を思い出させます。」
1960~70年代の先進国での「若者の反乱」や中学の文化大革命に似ているが、大学教員をはじめとする大人世代のエリートにもこの思想が浸透しているという根の深さを考慮すると、一過性のものに終わらず、16世紀の宗教改革のように長引く可能性が十分ある。
引用したのは一部なので、是非リンク先の全文を読んでもらいたい。
・トランス思想の源流
Prof. Nemuro🏶
2023年5月9日
https://note.com/prof_nemuro/n/nb577d6f86da4
※男女の性別は他の動物の雄雌と同じく生物学的に決まっているものではなく、本人の意思で決めるもの、というトランス思想の源流はフランスからアメリカに輸入されたポストモダニズムだと"Cynical Theories"/『「社会正義」はいつも正しい』では論じている。
この論証には説得力があるが、これほど突拍子もない観念が一部の知識人だけではなく、社会現象になるほど多くの人々に広まったのは、西洋、特にアメリカにそれに通底する世界観が元々あったからではないかと考えられる。
その世界観とはキリスト教(+ギリシャ哲学)で、これら👇が「性は肉体ではなく精神で決まる」という過激な性自認主義につながることは明らかに思える。加えて、人間は言語を用いた精神活動を行える点で他の動物とは一線を画した存在、という観念も、生物学的な性(sex)の否定につながっている。
キリスト教では人間存在を霊魂と肉体に峻別し、後者がなくても前者のみでやっていけるという世界観(イデオロギー)を構築しました。死とともに霊魂は肉体を離れますが、最後の審判をまって永遠の場(天国または地獄)を得ることになっていたわけです。
一方、肉体、特に女性の肉体は悪の宿る部署として蔑視されました。また、原罪すらも人間存在の全的在りように関わるのではなく、特にアウグスティヌス以後は端的に性と結びつけられるようになりました。キリスト教イデオロギーでは性を過大評価し、蔑視したために性の媒体としての人間の身体も貶められたのです。
森田秀二「吸血鬼の物語」
1960年代にはキリスト教の中で、魔法や超自然現象を信じるそれまでとは異なる方向性の宗派が爆発的に増えます。それらはカルト的なもので、幻覚や妄想と極端な興奮への欲求がありました。そこではキリスト教と陰謀論が重なり合います。
どちらも同じ種類の極端な個人主義と主観的考え方を持ち、「自分が真実だと感じることが真実なのだ」ということです。アメリカのキリスト教で重要なことは、この国を作った人たちが実際に極端な教派だったことです。つまり彼らは最初から宗教的過激派だったのです。
『アメリカ 流転の1950ー2010s』p.363-364
カート・アンダーセンの証言
信心深いか否かにかかわらず、アメリカ人なら「自分が感じて考えていることが真実だ。誰も何が真実かを自分に強要することはできない。何が真実かは自分が知っている」という初期のプロテスタントの信念がいくらか組み込まれているのだと思います。
同上p.364
トランスする=精神(霊魂)が肉体から解放されて高いステージに上がるという認識(妄想)が、自称トランスの自信の根底にある。
トランス思想やLGBTQ教はキリスト教系の新興カルト宗教で、人類が普遍的に「正しい」と感じる思想ではなので、非キリスト教文明国の日本が受容する必要は全くない。
・西洋リベラルのVR的世界観
Prof. Nemuro🏶
2024年1月4日
https://note.com/prof_nemuro/n/nc9281faf33da
※LGBTQフィーバーに代表される最近の英語圏(特にアメリカ)のリベラルの言説を奇異に感じたり抵抗感を持つ人もいるのではないかと思われるが、日本人には理解が難しいのは、その言説がギリシャ哲学~キリスト教~啓蒙思想という西洋独特の世界観をベースにしているためである。
共和党支持者のなかには、聖書を字義通り信じて、ダーウィンの進化論を否定する人々がいます。民主党支持者のなかには、男性を女性に、女性を男性に意識的に変えられるという「トランスジェンダー」の信奉者がいます。私に言わせれば、双方とも、本来受け入れるしかない“現実”を受け入れない狂信者です。このうちのどちらかを選べというのは、「地球は平らである」と「地球は四角い」のどちらかを選べというようなものでしょう。
👆双方に共通しているのは、人間は自然の一部ではなく独立した(しかも上位の)存在だという二元論的な基本認識(世界観)である。民主党支持者≒リベラルの世界観は👇のような構築主義的なもので、人間社会は自然界とは別の法則・コード体系によって構成されたVirtual Realityのようなものになる。「本来受け入れるしかない“現実”を受け入れない」のは、現実世界ではなく(映画『マトリックス』のような)VRの中で生きているためである。なお、VRは「仮想現実」ではなく「人工現実」に近い(詳しくはコメント欄のリンク先を)。
現実に存在していると考えられる対象や現象は、客観的もしくは物理的に存在しているのではなく、人々の認識によって社会的に構築されていると考える社会学の理論的立場。社会構築主義、構成主義、社会構成主義ともいう。たとえば、多くの人々は「地球は丸い」ということを体験的に確認しているわけではなく、物理的計算や史実に基づいて共有された社会的な現実として認識している。このように、客観的かつ物理的な現実として存在すると考えられている「丸い地球」も、人々が共有する「地球は丸いものだ」という認識によって構築された現実として理解される。
構築主義の特徴は、対象や現象の実体がなくても、人々の認識があれば現実として構築されると考える点である。
https://kotobank.jp/word/%E6%A7%8B%E7%AF%89%E4%B8%BB%E7%BE%A9-262217
共和党支持者≒キリスト教徒の世界観では、人間社会というVRを律している法則を決めているのは神なので、人間は勝手に変更できない。しかし、リベラルの世界観ではVRの法則を決めているのは人間なので、いくらでも良いものへとアップデートしていくものになる(→進歩主義)。
例えば、現実世界では人間の男と女には哺乳類の雄と雌としての違いがあるが、VR空間では「男と女は生殖機能を除くと全く同じ」と定めればその通りになるものとされる。もしそうなっていなければ、「正しい状態(gender equality)」にするために「システム管理者(≒リベラルエリート)」が強制力を発動する(例:クォータ制度)。人間の脳内でメタフィジカルなレベルで決められたことがフィジカルに実現するというわけである・
性の場合、自然界(リアルの世界)ではsex(男/女)は生まれつきのもので変更は不可能だが、VRにおけるgenderは男/女に限らずいくらでも変更が可能なものになる(non-binary, questioning, etc.)。
いま、西側の世界で何が起きているかというと、ひじょうにある意味、冒険的な社会的実験が行われているというような状況なんです。
たとえば、ホモセクシュアリティー。これはもう、完全に広く認められている話なわけですが、それよりもむしろ「男女の違いを超える」といったような、そういったディスクール(言説)、考え方が出てきています。
生物学的、遺伝学的に定められた「男女」というものは、そもそもないと考えたり、それを超えられたり、あるいは変えたりすることができるといったような考え方が生まれてきているわけです。
おそらくだが、米ソ冷戦時代はアメリカのエリートの世界観は現実にアンカーされたものだったのだが、ソ連が崩壊して一極体制になったことでアンカーが外れて地が出るようになり、VRの中で狂信化が止まらなくなったのではないだろうか。
👇は中世の十字軍フィーバーを思わせるが、VR的世界観(妄想)を肥大化させた英語圏のエリートが世界中に迷惑をかけているわけである。
私は来年1月にフランスで新著を刊行する予定で、そのために、米国の地政学者や安全保障の専門家の本を数多く読みました。米国のエスタブリッシュメントの現実認識や世界戦略を理解しようとしたのです。
そこから見えてきたのは、世界一の大国を率いているはずの米国のエリート集団が、実は真面目でも有能でもない、ということです。彼らの言動は、合理的な戦略に基づいているわけではなく、抑制が利かない一種の興奮状態にあります。とりわけ“大人”であることが要求される安全保障問題で“子供”のように振舞っている。「バイデンという老いぼれに率いられた子供っぽい集団」というのが、「世界一の大国」であるはずの、この国の指導層の実態なのです。“現実”を直視できない彼らは、何をしでかすか分かりません。彼らの攻撃性こそ、世界にとって一番の不安定要因となっています。
『文藝春秋』
強調は引用者
ヨーロッパの進歩思想の決定的な問題点はここにあります。自分たちの変化を進歩と信じて疑わない。非ヨーロッパ世界に対する力による支配を正当化し、非道な行為にも目をつぶってしまう。右手で握手しながら、左手では相手をひっぱたくようなものです。
西欧は、100年前とは変わった。10年前とは変わった。その変化が退行であるはずがない、進歩だ。だからおまえたちも進歩しろ。自分たちについてこい。ついてこないなら、力ずくで張り倒すぞ。西欧のイスラム世界に対する態度は、わかりやすく言うならこういうことです。
19世紀以来、「進歩」を確信してきた西欧は、中東・イスラム世界に対する態度を変えることなく、自分たちが進歩の末に到達した「普遍的価値」を執拗に押し付けようとしています。
👆中東・イスラム世界だけではなく、日本を含むすべての非西洋世界に対するスタンス。
・ドゥーギンのシン・リベラリズム分析
Prof. Nemuro🏶
2024年5月10日
https://note.com/prof_nemuro/n/nb57ffcbefcff
※ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギンのリベラリズムの変異についての分析が的確なので簡単に紹介する。西洋(特に英語圏)のエリートが普通の日本人には理解不能な狂気に取りつかれていることがわかるはず。
本題に入る前に前提知識を。
インタビューの始めに出て来るnominalismとはsocial nominalism(社会名目論、社会唯名論)のことで、individualism(個人主義)と密接に関係している。
社会の存在は認めるが、究極的に社会は実在していないと考え、本来社会は個々の独立した個人から成立しているのであって、社会とは個人の集合に与えた名称にすぎないとする考え方。つまり、実在的なものは原子的個人であり、社会はこれらの個人が非本質的に形成した所産で、個人は発生的にも論理的にも社会に優先していると考える。この立場は原子論的社会論ともいわれ、方法論としては個人主義を導き出す。
社会名目論
サッチャーの有名な言葉👇はこれから来ている。
There is no such thing as society.
There are individual men and women and there are families…
社会などというものはありません。
個々の男性と女性があり、家族がいます...
ドゥーギンのリベラリズムの本質は個人主義という見解はミアシャイマーと一致する("liberalism is all about individualism")。
ドゥーギンの分析を要約すると、
20世紀には(キリスト教の後継として)ファシズム、共産主義、リベラリズムが生まれたが、アングロサクソンのリベラリズムだけが生き残った。
リベラリズムの本質は個人主義であり、集合的アイデンティティからの解放(属性のカテゴリの解体や無効化)を志向する。永続的な解体運動がリベラリズムの基本原理とも言える。【⇒サッチャーが存在を認めていた男女の性別や家族も解放・解体の対象となる】
永続解放という進歩の結果、現代のリベラリズムは、ファシズム、共産主義と争った頃のリベラリズムとは別物のwokeismへと変異している。
ニュー リベラリズム(wokeism)では残った「解放」の対象が二つあり、その一つの「性」からの解放がtransgenderismである。性を肉体から解放して選べるもの(optional)にする。
最後に残った「肉体からの解放」がtranshumanismで、人間を超える存在を目指す。【(⇒Dioの「おれは人間をやめるぞ!」のようなもの)】
オールド リベラリズムの政治体制は多数派による支配のデモクラシーだがニュー リベラリズムでは少数派による支配の全体主義になるのは、多数派はヒトラーやプーチンを選ぶような誤りを犯すことがあるので、覚醒者にコントロールされなければならないから。
映画のMatrixやTerminatorなどのSFに描かれているのがニュー リベラルが目指す社会。
西側諸国がプーチンを敵視するのは、プーチンがwokeを拒否してロシアの伝統的価値観を守ろうとしているから。【(⇒文明の衝突、wokeismとゾンビ正教の宗教戦争、世界観を巡る闘争とも言える】
以下、補足。
👇は上野千鶴子だが、「カテゴリーを解体して個人に還元」がliberalismの本質の「集団的アイデンティティからの解放」のことである。
人種問題にしろ老人問題にしろ、ほとんどあらゆる差別反対運動は、カテゴリーを解体して個人に還元せよという要求をもっているように見える。
『女遊び』
個人主義という思想は、カテゴリーを解体しつくしそうとする。女の運動もまたそれに手を貸している。大人と子供、男と女、老人と若者というカテゴリーがすべて解体し、平等な個人がむき出された時に、一体どんな理想社会が実現するのか、私自身もそれに手を貸しながら、ふとアンビヴァレントな思いを避けることができない。
同上
ドゥーギンの分析は『西洋の敗北』の著者エマニュエル・トッドのものともほぼ一致している。
革命には政治・経済・文化の各側面があるが、👇はnew liberalismの経済面についての見立て。
まず自由主義を古典的・伝統的な自由主義と、「ウルトラ・リベラリズム」に区別して考えなければなりません。前者は許容できるもので、かつ必要な自由主義とは個人だけでなく、地方自治体や国家など個人を超えたものも大切にするものです。
私にとって聖なる自由主義は、ある程度国家の規制の下に成り立つ経済です。これに対して最近の自由主義はウルトラ・リベラリズムと呼べるもので、常軌を逸した自由主義。これが問題です。個人が一番で、国家は存在しない。そこには市場しかない、といった自由主義なのです。
https://toyokeizai.net/articles/-/3267
政治面の見立てもドゥーギンと一致。
私たちは民主主義の制度を持ってはいても、システムは「寡頭制」とも呼ぶべき何かに変質してしまったように思います。言うなれば、「リベラルな寡頭制」です。それはかなり重大なことになっています。
https://dot.asahi.com/articles/-/13250
👇は個人を原子化するリベラル革命において最重要となる文化革命の核心の性解放、transgenderismのこと。
それよりもむしろ「男女の違いを超える」といったような、そういったディスクール(言説)、考え方が出てきています。
生物学的、遺伝学的に定められた「男女」というものは、そもそもないと考えたり、それを超えられたり、あるいは変えたりすることができるといったような考え方が生まれてきているわけです。
https://dot.asahi.com/articles/-/194696
西洋が生み出しているイデオロギー、極端なフェミニズム、道徳的なリベラリズムの強要などは、西洋以外のより保守的な国の多くを不快にさせています。
https://dot.asahi.com/articles/-/214189
Individualismが他国への干渉・介入につながる"crusader impulse"を生じさせるメカニズムについてはミアシャイマーの説明👇を。
ミアシャイマーは、リベラリズムを「政治的リベラリズム」とみなして、「政治的リベラリズムとは、その核心が個人主義であり、不可侵の権利という概念を非常に重要視するイデオロギーである」としている。彼は、この権利への関心が、地球上のすべての人が同じ権利を持つという普遍主義の基礎となり、リベラルな国家が野心的な外交政策を追求する動機となると指摘している。
『ウクライナ戦争をどうみるか』p.95
日本人(のエリート)には根強い米英信仰があり、バブル崩壊後は政治、経済に続いて文化面でも米英を真似た「改革」を進めようとしているが、これほど狂った思想を「人類普遍の正しい思想」と本気で信じて受容するつもりだとすれば、馬鹿に付ける薬はないとしか言いようがない。
彼らが自国の民に何をしたかを見てほしい。家族、文化、国民のアイデンティティを破壊、(性的)倒錯、児童虐待、小児性愛に至るまでがノーマルなことだと宣言され、聖職者、神父は同性婚を祝福するよう強制されている。勝手にやるがいい。ここで何を言いたいか。大人は望むように生きる権利を持っている。ロシアもこのことには同じ態度をとってきたし、これからも常にそうする。誰も私生活に立ち入らないし、我々もそうするつもりはない。
西側世界の何百万人もの人々が、自分たちが正真正銘の精神的破局に導かれていることに気づいている。はっきり言ってエリートたちは気が狂っており、もう手の施しようがないようだ。それでも、前に言ったようにこれは彼らの問題であり、我々がすべきことは子どもたちを退廃と退化から守ることだ。
強調は引用者
付録
当noteでもドゥーギンと似たことを書いていた。
・西洋人には「信仰」が必要
Prof. Nemuro🏶
2024年5月25日
https://note.com/prof_nemuro/n/nc2e37434b571
※当noteではこれまでに西洋人の世界観・思想について書いてきたが、それらが普通の日本人には理解困難な根底には、日本人の世界観は「つくる」ではないことがある。
世界の神話では、「つくる」「うむ」「なる」という基本動詞によって世界の発生と神々の発生が説明されてきた。これらは一連の神々の動作のように見える。
しかしながら「つくる」では、往々にして作るもの(主体)と作られたもの(客体)が分離する。ユダヤ=キリスト教やギリシア自然哲学ではここが明快だ。そして、その分離した主体には「うむ」という自主行為も位置される。「つくる」と「うむ」とは一連なのである。生成とはそのことだ。
https://1000ya.isis.ne.jp/0564.html
世界を「つくる」ためには世界を統べる「律」あるいはコードの体系が必要であり、西洋のインテリが日本人から見れば異常なほど思想やイデオロギー、宗教にこだわるのはそのためである。彼らは確固とした思想体系が意識できなければ精神的に落ち着けないということでもある。フィクションではあるが、そのことが描かれているのがドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』で、無神論者を自認する次男イヴァンは精神不安定になってしまう。20世紀までは「西洋人には自分は無神論者だと言わない方が良い」と言われていたのも、彼らは人間には確固とした「信仰」が必要である(⇒それが無い人間はまともではない)という世界観・人間観を持っているためである。
キリスト教信仰が弱まると、その代替としてコミュニズム、ファシズム、ナチズムが登場し、それらが滅びると変異したリベラリズム(wokeism)が広まっているというのが現状である。
Prof. Nemuro🏶
2020年09月15日
https://note.com/prof_nemuro/n/n3e2a6ce1e278
※西洋で激化しているBLMなどの反差別運動の本質を示す事例を二つ。
一つ目は、アメリカでコロナウィルスでの黒人の死亡率が高いことに、
Forbes JAPAN@forbesjapan
研究によると、米国の黒人男性に新型コロナウイルスの大きな被害が及んでいることが判明した─
→格差が浮き彫りに、米国のコロナ死者数、黒人が白人の2倍以上
タンパク質分解酵素のTMPRSS2の人種間の差異が関係している可能性を示した研究。
JAMA@JAMA_current
TMPRSS2が#SARSCoV2の侵入に不可欠な役割を果たしていることを考慮すると、TMPRSS2の鼻腔内での高い発現が、黒人個人の間で#COVID19の負担が高いことに寄与している可能性があります https://ja.ma/2Fk114m
これがracismだとして批判されている。 人種は生物学的な根拠が無いsocial constructとされているからである。
もちろん、そのような批判に対する批判もある。 一例がこちら(⇩)。
Geoffrey Miller@primalpoly
もし人種に遺伝的根拠がないとしたら、薬の臨床試験を一つの人種だけで行い、その結果が他のすべての人間の遺伝子型に一般化できると信頼することは問題ないと思いますか?
二つ目が、エディンバラ大学が"Equality, Diversity and Inclusion"の一環として、David Hume Towerを40 George Squareに改称するというもの。 地元出身の大哲学者がcancel cultureに業績を否定されてしまった。
Mail+@DailyMailUK
エディンバラ大学が18世紀の哲学者デビッド・ヒュームを記念するタワーの名前を変更したことで批判を浴びています https://trib.al/rKGBi26
BBC Scotland News@BBCScotlandNews
エディンバラ大学、哲学者の「人種に関するコメント」を理由にデビッド・ヒューム・タワーの名称を変更しました。https://https://t.co/hJUrEX
同団体は、ジョージ・フロイド氏の米国での死とブラック・ライブズ・マター運動によるキャンペーン以来、その活動は「活気づけられている」と述べた。
ジョージ・スクエア40番地がジョージ・フロイドにちなんで改名されたのは断固として事実ではない。大学は、1700年代からジョージスクエアとして知られてきた建物が置かれているスペースの命名に一切関与したことはありません https://t.co/OH8nxJ6i28。
— エジンバラ大学 (@EdinburghUni) 2020 年 9 月 16 日
大学側は否定しているが、George Floydを連想させる意図が隠されていると疑わても仕方がない。 ちなみに、ヒュームは"Reason is, and ought only to be the slave of the passions(理性は、そして、情念(感情)の奴隷であるべきだ)"が有名である。
週刊エコノミスト編集部
@EconomistWeekly
勝つための情報リテラシー:アメリカ黒人差別暴動の真実と「ジョージ・フロイド氏」の知られざる正体=立沢賢一(元HSBC証券会社社長、京都橘大学客員教授、実業家) | 週刊エコノミスト Online https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200622/se1/00m/020/002000d
Areo@AreoMagazine
「南軍の将軍たちの像は撤去されてもいい。しかし、デビッド・ヒューム・タワーはヒュームの哲学的業績を称え、その才能が報われなかった人物を讃えるため名付けられた」と@DJtotheS
が主張しています。
https://areomagazine.com/2020/09/15/david-hume-tower-a-tale-of-quiet-and-shameful-erasure/
しかし、私たちは目覚めた時代に生きており、抑圧と権力のレンズを通してすべてを見なければなりません。この塔は、本大学で最も有名な卒業生を祝うだけでなく、白人至上主義の声明であり、人種的抑圧の道具でなければなりませんでした。
フランスでもヴォルテールが奴隷貿易に関与したことで狙われている。
Foreign Policy@ForeignPolicy
著名な公人—生きているか死んでいるかに関わらず—が非常に問題視されているために疑問視されることが、フランスでますます強力な力となってきていると、
@NabilaRamdani
が書いています。
https://t/L3yNIWgCS2
これらは現代のリベラリズムが「アップデートされたキリスト教」だとすれば理解しやすい。
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「人種間の平等」がリベラルの”宗教“であるという考えを、私は直接的にはハーバード・ロースクールの憲法の授業で、ノア・フェルドマン教授に習った。
「そう、我々はいまだ消えぬ『原罪』を抱えている。道半ばに倒れた『キリスト』の意志を継いで『白人と黒人の平等』という教義を世に広めようと努力し続けている。 信仰にも似た熱心さと従順さで。 この『人種間の平等』が我々リベラルの心の拠り所だ。 この教えをリベラルの『信仰』としないで、他の何が信仰の名に値するだろう」
この教義は後に「すべての人間の平等」へと拡大した。 フェミニストはそこに「男女の平等」を入れ込み、LGBTは「セクシャリティの平等」を含めることを主張したからだ。
この絵(⇩)もキリスト教発想との関連を示す証拠の一つ。
ニューズウィーク日本版@Newsweek_JAPAN
日本人が知らない、アメリカ黒人社会がいま望んでいること
――BLM運動が起こり、「構造的差別」に対するアメリカ社会の意識が変わり始めた。日本まではなかなか伝わってこない黒人社会の慟哭を、ピュリツァー賞受賞ジャーナリストのウェスリー・ラウリーが長編ルポで描く。
一つ目の遺伝的要因の否定は、キリスト教が地動説や進化論を攻撃したことの現代版になる。
リベラリズムの信者を突き動かしているのは「差別という原罪とその贖罪」の意識で、それが「異教や異端を地上から消し去る」という十字軍的行動として表れる。
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十字軍の本質は「贖罪」であり、その目的地は聖地に限定されず(聖地十字軍と非聖地十字軍の同等性)、それは連続性を持つ運動であった。 贖罪、より正確に言うとローマ・カトリック教皇の認める贖罪である十字軍は、根本的に宗教・信仰とは不可分のものであった。
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ここにあるのは共存の思想ではない。 異教徒による「汚染」の「浄化」という排斥の思想である。 「聖地」エルサレムの聖性を貫くために、汚染された異教徒を「浄化」しなければならないという想念が、ここに見出される。 これが「平和」を求める参加者たちの琴線に触れたのは確かだろう。
この想念は左派/リベラルに受け継がれている。 リベラルが求める「差別解消」とは、自由で平和な世界を実現するために、教義の"Equality, Diversity and Inclusion"に反すると彼らが勝手に認定するものを地上から消し去ることである。 従って、反差別運動は必然的に暴力と流血を伴うことになる。
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左派は存在する限りずっと誰もが仲良くて、協力しあい、自由で平和に生きていける社会を追求してきたのだ。
二〇世紀に入り、人間は完全であるという夢は、スターリンのソ連、文化大革命下の中国、ポル・ポト政権下のカンボジアで大変な悪夢と化した。 そしてこの悪夢から目覚めた左派は大混乱に陥ったのである。
これら(⇧)の革命を、今度は西側諸国で起こそうというのが反差別運動である。 アップデートされた新左翼運動と考えればよい。
PolitiFact@PolitiFact
ブラック・ライヴズ・マターは、アメリカ人によって広く支持される全国的な運動にしたが、その中にはマルクス主義者を自認する人はほとんどいない。 https://bit.ly/2CqCUQA
ガルザとトメティが自分たちをマルクス主義者と呼んでいることは見つかりませんでした。しかし、書籍出版社のペンギン・ランダムハウスは、作家のガルザが「自分自身をクィアの社会正義活動家でありマルクス主義者と表現している」と述べた。
おそらく、大半の日本人は反差別を掲げるリベラルの暴力性・危険性を認識していないものと思われる。 朝日新聞、Huffpost、Buzzfeedなどが「十字軍」に日本を占領させるために必死で活動していることには要警戒である。
・共産主義の体験者だから分かる現代リベラリズムの本質
Prof. Nemuro🏶
2021年6月21日
https://note.com/prof_nemuro/n/na90454496342
※西洋リベラルの危険性については当noteで度々取り上げてきたが、それを裏付ける記事があったので紹介する。
クーリエ・ジャポン@CourrierJapon
脱北者で人権活動家のパク・ヨンミ(27) 。2韓国の大学から2016年に編入したアメリカの難関エリート校「コロンビア大学」での経験について、「北朝鮮と似ている」と発言し、物議を醸している。
この抄訳記事では"woke"を「お目覚め」と軽い調子に訳しているが適切とは言えない。Wokeとは、映画『マトリックス』でネオが人類がコンピュータに支配されているこの世の真実を知って救世主として覚醒するようなものである。コンピュータに相当するのが白人(straight white male)で、現代文明が差別が構造化されたものであることに気付き、それを破壊して差別される人々を解放する聖戦士(SJW)として覚醒するという意味合いである。
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Courier Japonの記事では割愛されている発言も重要である。
Fox News
@FoxNews
Grokによる英語からの翻訳
北朝鮮の脱北者がアイビーリーグの学校に通った後、「北朝鮮でさえこんなに狂ってなかった」と語る
https://foxnews.com/us/north-korean-defector-ivy-league-nuts
性は生まれつき決まっているのではなく、自分が決めるもので、他者はそれに従わなければならないという北朝鮮でもありえないクレイジーな思想が広まっている。
彼女はまた、性別と言語をめぐる問題にもショックを受け、混乱しており、すべてのクラスで生徒に好みの代名詞を発表するよう求めていました。
「英語は私の第三言語です。大人になってから学びました。今でも間違えて「彼」や「彼女」と言うことがありますが、今度は私に「彼ら」と呼んでほしいと頼まれるのでしょうか?一体どうやってそれを文章に組み込んでいけばいいのでしょうか?」
「混乱だった」とヨンミは語った。「文明の退行のように感じました。」
「北朝鮮ですら、これほど頭がおかしいわけではありません」と彼女は認めた。「北朝鮮はかなりクレイジーでしたが、これほどクレイジーではありませんでした。」
脱北者、キャンセルカルチャーと金政権の「マルクス主義的」類似点を警告
米国に亡命した北朝鮮の女性は「
www.foxnews.com
「私の敵はかつて金正恩でした。私は長年、金正恩氏の殺害リストに載っていました。私が声を上げたため、私の元の家族は罰せられましたが、皮肉なことに、今では多くのマルクス主義者、共産主義者、毛沢東主義者、レーニン主義者が私に殺害の脅迫を送っています」と彼女は続け、米国のキャンセル文化を悲しい「皮肉」と呼んだ。
旧共産圏からアメリカに来た人々が、アメリカが共産主義国家に似てきたことを指摘している。
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2015年の春、不安な見知らぬ人から電話がかかってきました。電話をかけてきたのは著名なアメリカ人医師でした。彼は、チェコスロバキアから米国に移住した年老いた母親が、若い頃の6年間を故郷で政治犯として過ごしたと私に語った。彼女はカトリックの反共産主義レジスタンスの一員でした。現在90代で息子とその家族と暮らしている老婦人は、最近、アメリカ人の息子に、今日の米国での出来事は、共産主義がチェコスロバキアに初めてやってきたときのことを思い出させたと語った。
その後数年間、私はかつて共産主義下で暮らしていた多くの男女と話をしました。私は彼らに、老婦人の宣言についてどう思うか尋ねました。彼らはまた、アメリカの生活がある種の全体主義に向かって流れつつあると考えていたのでしょうか?
彼らは皆、しばしば力強く答えました。彼らはアメリカ人がこのテーマに関して絶望的に世間知らずだと考えているため、私の質問に通常驚いていました。アメリカに避難した移民の何人かと長々と話をしたところ、彼らは同胞のアメリカ人が何が起こっているのかを認識していないことに心から怒っていることがわかりました。
更に詳しくはこちら👇を参照。
『「嘘によって生きるな」旧共産圏で迫害に耐えたクリスチャンたちの教え(1)』
https://ameblo.jp/tfjblog/entry-12664454958.html
旧ソ連・東欧出身クリスチャンたちの洒落にならない「警告」
「共産主義前夜」との不気味な相似形
私はふとしたことから Rod Dreher という人が書いた「Live Not By Lies」という本(↓)を知り、それを読んで衝撃を受けました。
https://www.amazon.co.jp/Live-Not-Lies-Christian-Dissidents/dp/0593087399
Amazon | Live Not by Lies: A Manual for Christian Dissidents | Dreher, Rod | Conservatism & Liberalism
この本は、著者が2015年、ある東欧出身移民の老女の息子から連絡を受けたというところから始まります。
彼女は以前共産政府に対する抵抗運動に従事した後、米国に移住したのですが、共産主義による弾圧をよく知る彼女は、息子に対して「今現在米国で起こっていることは自分の故国で昔起こっていたことを思い起こさせる」と語ったというのです。
それをきっかけに、筆者は数多くの共産圏出身のクリスチャンたちにインタビューしたが、全員が異口同音に現在米国および西欧で広がる全体主義の影に懸念を表明したということです。
政治的あるいは社会的意見を外で述べるときに、肩越しに後ろを振り返って誰かが聴いていないか気にしなければならない。政治的に「正しくない」とされる意見を述べたものはプラットフォームを奪われ、時には職を追われるという対価さえ強いられる。
彼らはこれを見て、「自分の故国で共産主義が支配を握る前に起こっていたことと同じだ」あるいはと警告するのです。
あるいは、「抑圧されていた人々を救う」という名目で、新たな用語が発明され、新たな基準が次々設けられることにより言論がコントロールされ、昨日までは通常に受け入れられていた言葉がその基準にひっかかるようになり、違反した者は極端なほどの罰を受ける。
旧ソ連で生活していたある人は「まさにソ連の政権がプロパガンダを運用していた方法と同じ」と指摘します。
また、共産主義の下で生きる経験を直接知っていたり、あるいは親から聞かされてきた彼らは、米国生まれの米国人たちが「まさかこの国でそんなことが起きるはずがない」と自分たちの警告を本気にしないことに、憤りさえ感じている、といいます。
加えて、著者はソルジェニーツィンという反共産主義活動家の言葉を引用し、「全体主義に抵抗するには霊的生活を整えねばならない」「共産主義を作り出したのは政治的危機ではなく霊的危機である」と断言するのです。
一体どういうことでしょうか?
宗教の欠如と宗教的熱意:リベラル全体主義
今米国のキャンパスを席巻している「ソーシャルジャスティス・ウォリアー(SJW)」。彼らは勉強そっちのけで、「社会セーギ」のため運動し、保守派の言説に対しては「アグレッションだ」として被害者ポーズをとりつつ徹底的に弾圧し、「デプラットフォーム(講壇→すなわち発言の場を奪うこと)」し、ひどい場合保守の学生運動家やジャーナリストを取り囲んで暴言を吐いたり威嚇したりします。
多くの保守米国人がこれらの運動を1990年代の大学左翼と同列に見ており、「世間知らずの彼ら(SJW)も、一度社会に出て働くようになれば変わるだろう」といった楽観論を抱いている現状を見て、著者はこれを完全に間違っていると断言します。
そうではなく、左翼青年たちはやがて職を得てビジネスマンになり、一部は企業の上層部に登ることになるのです。そうすると彼らの影響力により、ビジネス界は嫌が応でも彼らの思想により統制されるようになる。
著者は、現代米国の大企業の方針が奇妙なまでに「ウォーク」思想に親和的であることの背景に、このようなメカニズムを見ています。
上述のSJWたちもまた学校を卒業し、それぞれの就職先でその「ウォーク」思想を浸透させあるいはそれをもとに社会に影響を及ぼそうと活動するとしたらその影響は計り知れないのではないでしょうか?
しかも筆者は、「SJWは一つの宗教である」と断言し、論理的説得により彼らを退けられると安易に考える保守派の甘さを痛烈に批判しています。
SJWにとって彼らの「教義」はすでに「絶対的に正しいことが確定した」争いのないものであり、彼らにとって他者との対話は、相手が自らの「罪」を悟って「悔悟」するまでのプロセスに過ぎないというのです。
そして著者は、これら現象の背景にあるものとして、近代西欧における「神の死」を挙げています。
宗教を失った人々が、「神からの規律」よりもむしろ個人の「心理的心地よさ」に忠誠を誓うようになったのです。
人というものは、たとえ宗教が欠如した状態でも、生きることの目的や、他者との調和への渇望、「義しい世の中」への飢え渇きといったものを持ち続けているものであって、キリスト教の衰退によって、急進的左派リベラリズムが、リベラルのほとんど宗教的熱意に近いこういった渇望の受け皿になっているのではないか、と推測します。
「神の死」つまり、人々が神を拒絶しはじめたことに端を発しているというわけです。
「ウォーク・キャピタリズム」の到来
筆者はまた、個人の心地よい生活の向上へのあくなき志向が、消費者データを収集するビッグテックへの依存を生み出し、それが「ソフト」な全体主義への道を整えていると看破します。
ひとは心地よい円滑な生活を求めるあまり、テックカンパニーに個人情報の収集を許し、googleスピーカーなどで家庭内の会話の収集さえも許しています。
これらの企業群は大多数の国民の生活に入り込むことに加え、手にした莫大なリソースを活用し消費者の志向に影響を与えることさえし始めています。
彼らは、消費者の行動からその好みを予測して広告や検索結果の表示などを通じ消費者が求めるものを提供する、だけではなく「あなたに対して彼らが『欲しがってほしい』と思う商品を『欲しがるように仕向ける』」ために努力しているのです。
筆者は、前述の「SJW」的アジェンダが企業群の価値観さえも支配し始めたことと、ビッグテックがそのような力を持つようになったことがほぼ同時に起こっていることに着目し、これを「ウォーク・キャピタリズム」と呼んでいます。
もはや彼らは「社会を自分たちの思い通りに形作る」ことさえ可能な力、それこそレーニンやマルクスが夢に見ることしかできなかったほどの強力な力を手にしたのです。
なおつい最近のことですが、米バイデン大統領当選に伴い、トランプ氏はもちろん、多くの保守派人士のSNSアカウントが凍結あるいは削除されたり、彼らの受け皿となった「Parler」というSNSがアマゾンからサーバ契約を一方的にキャンセルされたりといった事件がありましたが、
著者が警告していた(本が書かれたのは大統領選より前ですが)とおり、ビッグテックはまさに全体主義思想統制の先駆けとなることが実証されたわけです。
新時代の全体主義支配は、あからさまな武力を使ったかつての共産圏での全体主義支配とは違います。今来つつある全体主義は、現在私達がメディアで見るような言論による集中攻撃やあからさまな偏向報道に加え、「アカウント削除」「サービス停止」といった企業による「村八分」により、真綿で首を絞めるように統制していくのです。
この動きはSNSにとどまらず、PayPalといったペイメント業者や、銀行界にまで広がってきています。そうすれば、ある思想についての支持不支持だけで、人が「売ることも買うこともできなようにする」といった未来は、そんなに遠くのものではないということになります。
現代社会の陥穽「癒し文化」とその根底にある「ポジティビズム」
ツイッターなどを見ていても、こういった事件から全体主義の影が近づいていることを感じている人たちがおり、
また、米国では、民主党による議会の優勢や彼らのなりふり構わない行状を見て、危機感に駆られた保守派人士たちがGabといった新たなSNSに集って活発に意見交換をしています。
EUでも、旧東側諸国が西側が主導するリベラル諸政策に抵抗している(その代表がハンガリーのオルバーン首相)。 このインタビュー記事👇では、スロバキアの元内務大臣が、西欧のリベラリズムは共産主義と同根の人類学的革命を目指すネオマルクス主義だと述べている。
Stiftung Zukunft CH@ZukunftCH
「ジェンダー、共産主義の新しい形」
https://zukunft-ch.ch/gender-eine-neue-form-des-kommunismus/ |
@ZukunftCH
財団は、結婚と家族、イスラムシステム、ジェンダーイデオロギー、生命の権利、トランスヒューマニズムなどについて、合理的かつ価値に基づいた視点から情報を提供しています。
共産主義に免疫が無いアメリカ人(特に若者)にはwoke cultureが進歩的な正義そのものに感じられるが、共産主義を実体験してきた人々は、その本質が共産主義と同じだと直観できるのである。
彼らにはアメリカ人が"hopelessly naive"に見えているが、日本人はそれ以上にnaïveだと思われる。 最大の争点はアメリカでは人種差別だが、日本では性差別(そのようなものが存在するかは別)で、最近ではそこに西洋から輸入されたLGBTという概念が加わっている。
それについては後日の記事で。
・WOKEとMATRIX
Prof. Nemuro🏶
2021年8月6日
https://note.com/prof_nemuro/n/n4f8cc4cf7ba9
※英語圏のリベラルの若者の攻撃的行動を理解するために必須の概念が"woke"である。
その理解に役立つのが映画『マトリックス』で、支配者をコンピュータからStraight White Male(白人の異性愛の男)に置き換えたものがwokeしたリベラルの世界観になる。
ネオがred pillを飲んで覚醒したように、白人異性愛男の支配構造を打倒するために立ち上がることがwokeである。
彼らが寛容を唱える一方で極めて攻撃的なのは、「誰もが仲良くて、協力しあい、自由で平和に生きていける社会」を実現するためには、リベラルに従わない「異教徒」を殲滅する必要があるからである。
ここにあるのは共存の思想ではない。異教徒による「汚染」の「浄化」という排斥の思想である。「聖地」エルサレムの聖性を貫くために、汚染された異教徒を「浄化」しなければならないという想念が、ここに見出される。これが「平和」を求める参加者たちの琴線に触れたのは確かだろう。
リベラル十字軍戦士のSocial Justice Warriorsに白人が多いのは、その本質が宗教的な「贖罪」だからである。
十字軍の本質は「贖罪」であり、その目的地は聖地に限定されず(聖地十字軍と非聖地十字軍の同等性)、それは連続性を持つ運動であった。贖罪、より正確に言うとローマ・カトリック教皇の認める贖罪である十字軍は、根本的に宗教・信仰とは不可分のものであった。
リベラリズムは一種の宗教であり、その国教化によって「あたかもリセットボタンを押したように、日本を一変させる」ことが安倍前首相をはじめとするリベラル勢力の目標になる。
・ドイツのWOKEと1968年世代
Prof. Nemuro🏶
2021年12月23日
https://note.com/prof_nemuro/n/n37fe40f46b8c
※ドイツ政治のwokeism(ウォーケイズム、覚醒主義。“wake=起きる/目を覚ます”という動詞から派生したこの言葉は、「常に社会・社会問題に対して政治的に覚醒した目を向けろ、そして行動しろ」という意味。要するに、日本語の「意識高い系」)への傾斜が鮮明になっている。
キリスト教系の保守政党を率いていたメルケル首相が退任し、新政権が発足したドイツ。新政権下ではマイノリティにやさしいリベラルな社会政策が多く約束され、今後ドイツ社会が大きく変わることが見込まれるという──。https://t.co/nRRyd6HCy6
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) December 13, 2021
ドイツでは16年も首相の座におり、影響力の強かったメルケル首相が退任し、オラフ・ショルツを首相とする新内閣が成立した。新たに発足した内閣では、なんと閣僚の半数が女性となった。なぜ、劇的な変化が起きたのか──。 https://t.co/U2U2fKbsq2
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) December 17, 2021
その遠因は「1968年」にあるという見方は恐らく正しい。
1968 パリに吹いた「東風」――フランス知識人と文化大革命
毛沢東はパリ・コミューンを1つの理想とし文化大革命を発動した。5月革命の闘士たちは文革に現状打破の理念を重ね合わせた。フェミニズム、エコロジー、第三世界革命主義、マイノリティ集団の権利、ポスト構造主義…。フランス現代思想の源流にあったマオイズムと文革の衝撃。
ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書)
(反戦デモが続いた)大学キャンパスの若者を思い出してください。当時の民主党は彼らを見て、「彼らの側につく政党であるべきだ」と悟った。当時、多くの労働組合がベトナム戦争を支持しました。労組メンバーには、キング牧師の公民権運動を支持する人々も大勢いましたが、人種差別主義者の白人も含まれていた。これを見て、民主党は「彼らとの関係はオシマイだ」と判断したのです。
70年代から90年代の民主党を眺めると、彼らは自己変革を繰り返していた。かなり詳しく調べました。この時代の各派が一致していたことは、「民主党はもはや労働者の政党ではない」であり、繰り返しになりますが「見識があり、高等教育を受け、裕福な人々の政党」をめざした。
西側諸国の急激なリベラル全体主義化は、1968年世代が毛沢東、若者たちが紅衛兵になったことによる。キリスト教的倫理観の有無が日独の若者の違いにつながっている。
緑の党の台頭にみるドイツの政治文化 - 高野弦|論座 - 朝日新聞社 #1968年世代 #ドイツ #政治教育 #緑の党 https://t.co/PzC9t7ZyFi
— 論座 (@webronza) December 22, 2021
なぜ多くのドイツの若者は革新系の緑の党を選び、日本の若者は現状維持を選択したのか。
私は、ベトナム戦争時に学生時代を送った「1968年世代」が、その後の世代の生き方に決定的な役割を果たしたと思っている。
『1968年~反乱のグローバリズム』の著者ノルベルト・フライ(イエナ大学教授)の分析👇。
ドイツの若者は研究者や教員、市民活動家となり、70代、80代になった今も政治的であることをやめていない。政治的であることは、もはや信念であり、かれらのライフスタイルになっている。企業のCEOになっても、それは同じ。
――なぜ、そうした感情を持ち続けることができたのでしょうか。
宗教的な倫理観に裏付けられているからだと思う。ドゥチュケはキリスト教のバックグラウンドを持っていて、「宗教的な社会主義」の信奉者だった。キリスト教徒でありながら、よりよき社会のためなら武器をとることも辞さない。特に第三世界ではそれが必要であると考えていた。
原始的な共産主義とキリスト教の教えには、つねに共通したものがある。それは、権威主義の克服であり、人間の解放だ。マルクス主義者でも、その倫理観は宗教的なものに基づいていた。1960年代の運動は、それぞれにとって生き方、信仰の問題でもあったのだ。
現代リベラリズムも「人間の解放」を目指すものだが、フライ教授の分析は、リベラリズムも共産主義やファシズム/ナチズムと同類の、キリスト教の「代用宗教とも言うべき全体主義的イデオロギー」であることを示唆している。
悪魔の神話学
20世紀にキリスト教の力が弱まると、ヨーロッパにはその代用宗教とも言うべき全体主義的イデオロギーが広まった。ファシズムとコミュニズムである。両者がそれぞれユダヤ人とブルジョワジーを悪魔のように敵視していたことに思いを馳せると、第2章で詳述するように、両者はじつはヨーロッパに固有のデモノロジーの新種であったと考えざるをえない。
西側で共産主義に影響された若者が暴れた1968年には、東側では「プラハの春」が起こった。現在、ハンガリーを筆頭とする東欧諸国が西側が押し付けるリベラリズムに激しく反発しているのは、その本質が共産主義と同じ全体主義的イデオロギーであることを肌で感じられるからである。
House Speaker: EU on course to be destroyed by people trying to protect it from Hungaryhttps://t.co/oGQCvQhpmv pic.twitter.com/khCeD5XCFp
— About Hungary (@abouthungary) July 12, 2021
… “after Nazis and Communists, a new totalitarian ambition is about to destroy Europe, sometimes called Liberalism, post-Humanism or whatever… green folly.”
...「ナチスと共産主義者の後、時にはリベラリズム、時にはポストヒューマニズム、そして時には何か...愚かなグリーン主義、などと呼ばれる新しい全体主義的野心が、ヨーロッパを破壊しようとしています...
「キリスト教を世界に広める」や「共産主義を世界に広める」と同種の情熱と使命感👇。
In which decidedly un-woke professor of economics @tylercowen comes to terms with — even appreciates — the movement's achievements https://t.co/0i48hjTuJr
— Bloomberg Opinion (@bopinion) September 19, 2021
日本の1968年世代とその後継者たちは、主に英語圏からリベラリズムを輸入して広めようとしているが、日本人はその本質が「性は自由に変更できる」というような狂信的イデオロギーであることをよく認識した上で断固拒否するべきだろう。リベラリズムは進んでいるのではなく狂っているのである。
・脱北者のWOKE批判
Prof. Nemuro🏶
2023年2月12日
https://note.com/prof_nemuro/n/n5f6c3bcb6ead
※北朝鮮から中国→モンゴル→韓国を経てアメリカに渡ったパク・ヨンミが新著を出すということで、ニューヨーク・ポストのインタビューに応じている。内容は以前に当noteで記事にしたものと被るが、改めて紹介する。
2月14日に出版された著書「While Time Remains」の中で、朴氏は、米国までたどり着いたが、アイデンティティ政治や被害者心理からエリートの偽善に至るまで、北朝鮮に残したと思っていたのと同じ自由の侵害に気付いた経緯を書いている。
今週のポスト紙とのインタビューで、朴氏は、専制政治と抑圧から逃れた脱北者として、被害者の地位を主張し、抑圧ポイントを獲得しようとする大学生に会ったことがどのようなものだったかを回想した。彼女は母校を「純粋な教化キャンプ」と呼び、ニューヨーク市の最エリート校のクラスメートの多くは「北朝鮮の学生と同じように洗脳されている」と語った。
パクはアメリカのエリートに浸透するwokeismの異常さと危険性を指摘しているわけだが、それを見抜けたのは北朝鮮の異常さを実体験してきたことに加えて、西洋文明の影響をあまり受けなかった東洋人だからだと考えられる。
Diversity・Equity・Inclusion(DEI)のwokeismは日本では平等や反差別といった人類普遍の「正しさ」と受け止められているためか警戒感が乏しく、マスコミも積極的に推進しているが(一例👇)、その本質はキリスト教やマルクス主義と同種の極めて危険なイデオロギーである。これについては後日に回すが、西洋独特の世界観を理解しなければその特異性も危険性も理解できない。
パクは"cultural revolution"が進行中と言っているが、wokeムーブメントは文化大革命の「破四旧」の西洋版と言える。このようなものを無警戒に受け入れれば、日本社会は取り返しのつかない打撃を蒙るだろう。
「私たちにはそんなに時間が残っていないと思います」と彼女は警告した。「すでにすべての主流機関は、北朝鮮が持っているのと同じイデオロギーを持っています。社会主義、集団主義、公平性です。私たちは文字通り、アメリカで文化革命を経験しています。私たちがそれに気付いたとき、それは手遅れかもしれません。」
確信的な知識人・活動家の目的は「社会を変える」、つまりは社会革命・文化革命することで、例えるなら、キリスト教徒が非キリスト教社会に乗り込んで習俗や宗教を強制的に変えてしまうようなもの。大して変わらないと思っていたら大間違いである。
岸田総理 同性婚で「社会が変わってしまう」 性的マイノリティの当事者の思いは?【news23】 https://t.co/AIOy37gLvP
— TBS NEWS DIG Powered by JNN (@tbsnewsdig) February 8, 2023
1990年代からの「改革」の総仕上げ
政治学者が政治改革→政治劣化
経済学者が構造改革→賃金停滞
社会学者が文化革命→社会崩壊
・男子禁制は差別か否か
Prof. Nemuro🏶
2023年3月2日
https://note.com/prof_nemuro/n/n9fce0f1e06bc
※マスコミや活動家は「トランスジェンダー=性同一性障害(GID)」のようにミスリードしようとしているがそうではない。その裏に隠された目的は一般人の想像を超えた社会革命である。
この問題が厄介なのは、トランス思想が大方の日本人の想像の範囲を超えているため、それが目指しているところを理解できず、社会的インパクトを過小評価してしまうことである。
古今東西の人間社会は男女の別があることを土台にして構築され、その別は肉体的(生物学的)なものであることは自明とされていたが、近年の西洋で生まれたトランス思想とは「性」は肉体的なものではなく精神的なものなので、当人の自己申告によって決まる(「気分」なので一定でなくてもよい=gender fluid)とコペルニクス的転回するものである。「自分は女」と宣言した人は生物学的な性とは関係なく社会的に女として扱われ、扱わない人は差別者としてキャンセルの対象になる。
これまでの社会では女用の浴場やトイレ、更衣室などは男子禁制というのが常識だったが、トランス思想を基に再構築された社会では男も「心は女」と自称すれば自由に出入りできるようになる。現実問題として、すべての施設で自己申告による性別確認をすることは困難なので、「男女の別」は有名無実になる。
男女の区別は本当に必要?, Taiwan Today
女性と男性は違う存在であり、区別がなければならないという「男女有別」は、中華古代の書物『礼記』にある古い考え方ではあるが、
jp.taiwantoday.tw
このように、社会秩序・構造を土台から作り変える(パラダイムシフトさせる)ことがトランス思想が目指すところだが、このような特異な思想が西洋の知的エリートに広がっている背景には"objectivity"に対する懐疑がある(←ポストモダニズム)。
しかし、ジャーナリズムの客観性という概念は現実の歪曲であると主張する記者、編集者、メディア評論家が増えています。彼らは、この基準は、主に白人のニュース編集室の男性編集者によって何十年にもわたって決定され、彼ら自身の世界観を強化したと指摘している。彼らは、客観性を追求することは、人種、女性の扱い、LGBTQ+の権利、所得格差、気候変動、その他多くのテーマに関する記事を報道する際に、誤ったバランスや誤解を招く「両面主義」につながる可能性があると信じています。そして、今日の多様化するニュース編集室では、それが自分自身のアイデンティティ、人生経験、文化的背景の多くを否定し、仕事の中で真実を追求することを妨げていると感じています。
強調は引用者
[…]、「客観性」が何を意味するのか理解できませんでした。私はそれが私たちのニュース編集室の標準だとは考えていませんでした。私たちのジャーナリズムに対する私の目標は、正確さ、公平性、超党派性、説明責任、そして真実の追求でした。
Objectivityが体の性、truthが心の性になる
デカルトは「我思う、故に我あり」と書いたが、トランス思想では「性は客観的に決められないが、自分が思う(感じる)性は疑えない」となる。このような論理から、性は他者によって男/女のどちらかに決めつけられるものではなく、自分の意志で選ぶもの(それも二種類とは限らない)であり、その選択が「抑圧からの解放」だという特異な観念が生じたわけである。
マスコミと活動家は「進んだ西洋に遅れるな」とトランス革命の旗を振っているが、バスに乗ってしまえばこれ👇を上回る社会混乱が起きることは間違いない。
ねとらぼ
@itm_nlab
【マンガ】かつて中国で「信号の赤を“進め”にしよう」という運動があった http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/12/news016.html
@itm_nlab
女湯に男が入れないのは自然の理か"WHITE ONLY"と同様の差別か。
ニューズウィーク日本版
@Newsweek_JAPAN
女性専用サービスを「女性以外」から守れ! 性別変更の簡易化改革をハリポタ作者が批判(スコットランド)
<法的な性別変更を簡易化する改革について、女性専用サービスや空間をトランスの人々にも使わせるのは「女性の権利の破壊」と批判>
https://newsweekjapan.jp/kimura/2023/01/post-201.php
#LGBTQ #ニューズウィーク日本版
ニューズウィーク日本版
@Newsweek_JAPAN
「性別変更簡易化」スコットランドでレイプ犯が女性に性別変更
トランスジェンダーの権利擁護のため性別変更を容易にする法案を進めるスコットランドで、2人の女性をレイプした男が裁判中に女性に性別変更するという珍事が(コリン・ジョイス)
ロウアーなアンチフェミ男がフェミ女(特にアッパー層)を叩くためにトランス思想を利用しているのは見苦しい。
・WOKEISMは新宗教
Prof. Nemuro🏶
2023年8月23日
https://note.com/prof_nemuro/n/n55d8ca6d3b45
※フランスの著名哲学者がアメリカ発祥のwokeismについて当noteと同じ分析をしていた(お墨付きを得たようなもの)。
Le wokisme, nouvelle religion ? - La Nef
Dans un essai de référence sur le sujet, Jean-François Brauns
lanef.net
https://lanef.net/2023/07/13/le-wokisme-nouvelle-religion/
Wokeism, A New Religion?
Jean-François Braunstein, philosopher and professor at the So
www.thepostil.com
https://thepostil.com/wokism-a-new-religion/
Wokeismはキリスト教系の新興カルト。
この本はまた、このポスト・プロテスタント、北米のカルトが、西洋の空いている霊的空間を完全に埋めるようになったという事実にも異議を唱えている。
"Woke"とは「目覚め」「覚醒」で、アメリカで繰り返されてきたキリスト教の「大覚醒」の現代版と言える。 MATRIXでネオがred pillを飲んだ状態だと考えればよい。
目覚めた人々は、私たちとは大きく異なる、新しいグローバルな世界観に「目覚め」ます。それはまた、18世紀と19世紀の偉大なアメリカのプロテスタントの「目覚め」(リバイバル)を彷彿とさせます。目覚めた者にとって、原罪に相当するのは「白人の特権」ですが、これは赦しのない罪です。そのアイデアは、「人種差別主義者」または「トランスフォビア」として非難される純粋なものと不純なものを根本的に区別することです。
ジェンダー理論の人間の本質は肉体ではなく精神(霊魂)という主張はグノーシス派のものと似ている。
ジェンダー理論は、男性性と女性性を区別するのは身体ではなく、男性であること、女性であること、または何であれという私たちの意識であると仮定しています。肉体は本質的ではないというこの考えは、肉体は私たちが自分自身から解放されなければならない悪であると説明したグノーシス主義の異端を彷彿とさせます。
アバターの性別を自由に決められるサイバー空間(imaginary world)が拡大したことが、性は生まれつき決まっているものではなく、自分で決めるもの、という異常な観念の広がりの一因になっている。
この架空のジェンダーの世界は、ボタンをクリックするだけで性別を変更できるビッグテックが提案するメタバースと完全に一致しているため、さらに魅力的です。自分の体を勝手に変えることができるという考えも、トランスヒューマニズムのユートピアを呼び起こす。これらのトランスジェンダーおよびトランスヒューマニズムの理論に対するビッグテックの取り組みは、この架空の世界に対する脅威をさらに悪化させています。
リアル世界に生きる普通の人々とヴァーチャル世界に生きる知的エリートの文化戦争が始まっている。
「普通の人々」は、奇抜な覚醒に反対するのに最適な立場にあります。…彼らはつながった「知識的」エリートの仮想世界に住んでいません。…これらの問題に関して真の「文化戦争」が始まっており、間違いなく次のアメリカ大統領選挙の中心となるだろう。
"Logic is racist”がwokeの基本スタンスなので、信者との議論は成り立たず、説得(脱洗脳)はほぼ不可能。
目覚めた人々は偏屈者です。彼らは、悪と見なす相手と議論することを拒否します。2017年のエバーグリーン大学買収の際、学生の一人が教授の一人に「論理は人種差別的だ」という理由で議論をやめるよう命じた。「キャンセル・カルチャー」は、西洋文化において、目覚めた信念に従わないものはすべて禁止したいと考えています。目覚めた人々はまた、改宗を強く行っており、現在は小中学校を標的にしています。
「ウォーケイズムは許しのない宗教である」
ウォーケイズムはどこから来て、その基盤は何ですか?それ
CNE.ニュース
https://cne.news/article/2095-wokism-is-a-religion-without-forgiveness
「その発展における学界の役割があいまいであるため、科学的で合理的な批判はほとんど不可能になります。いかなる議論も彼らに影響を与えません。私たちは彼らを止めようとすることはできますが、彼らを説得することはできません。」
著述家のドレーアーも同様の見解を示している。
Wokeナラティヴによると、黒人でレズビアンのハーバード大学教授は被抑圧者(弱者)、トレーラーハウスに住む白人のおっさんは抑圧者(強者)になる。
目覚めたイデオロギーのせいで周縁にいるクリスチャン
物語が新鮮で目覚めているように見える限り、人々は喜んで
CNE.ニュース
https://cne.news/article/1218-rod-dreher-warns-christians-get-to-the-margin-because-of-woke-ideology
「目覚めた人々が本当に不利な立場にあるなら、それは可能でしょう。目覚めた物語によると、ハーバード大学の黒人レズビアン教授はキャラバンに住む白人男性に抑圧されているという。実際には、彼女は犠牲者ではなく、特権階級の人です。彼女は現実世界ではなく、エリートの間で生きています。目覚めた人は、下からではなく、エリートから来ています。国家からではなく、強力なサークルから。CIAやFBIのような連邦組織でさえ、現在では求人広告で公然と目覚めていますが。」
旧共産圏からアメリカに来た人は、wokeismと共産主義の類似を感じ取る(北朝鮮出身のパク・ヨンミのその一人)。
しかし、米国にいるロシア人は周囲の光景にショックを受けている、とドレハー氏は言う。「ソ連では、彼らは真実ではないことを信じなければなりませんでした。今、彼らは西側世界でそれを見ています。それは彼らに全体主義世界を思い出させます。」
1960~70年代の先進国での「若者の反乱」や中学の文化大革命に似ているが、大学教員をはじめとする大人世代のエリートにもこの思想が浸透しているという根の深さを考慮すると、一過性のものに終わらず、16世紀の宗教改革のように長引く可能性が十分ある。
引用したのは一部なので、是非リンク先の全文を読んでもらいたい。
・トランス思想の源流
Prof. Nemuro🏶
2023年5月9日
https://note.com/prof_nemuro/n/nb577d6f86da4
※男女の性別は他の動物の雄雌と同じく生物学的に決まっているものではなく、本人の意思で決めるもの、というトランス思想の源流はフランスからアメリカに輸入されたポストモダニズムだと"Cynical Theories"/『「社会正義」はいつも正しい』では論じている。
この論証には説得力があるが、これほど突拍子もない観念が一部の知識人だけではなく、社会現象になるほど多くの人々に広まったのは、西洋、特にアメリカにそれに通底する世界観が元々あったからではないかと考えられる。
その世界観とはキリスト教(+ギリシャ哲学)で、これら👇が「性は肉体ではなく精神で決まる」という過激な性自認主義につながることは明らかに思える。加えて、人間は言語を用いた精神活動を行える点で他の動物とは一線を画した存在、という観念も、生物学的な性(sex)の否定につながっている。
キリスト教では人間存在を霊魂と肉体に峻別し、後者がなくても前者のみでやっていけるという世界観(イデオロギー)を構築しました。死とともに霊魂は肉体を離れますが、最後の審判をまって永遠の場(天国または地獄)を得ることになっていたわけです。
一方、肉体、特に女性の肉体は悪の宿る部署として蔑視されました。また、原罪すらも人間存在の全的在りように関わるのではなく、特にアウグスティヌス以後は端的に性と結びつけられるようになりました。キリスト教イデオロギーでは性を過大評価し、蔑視したために性の媒体としての人間の身体も貶められたのです。
森田秀二「吸血鬼の物語」
1960年代にはキリスト教の中で、魔法や超自然現象を信じるそれまでとは異なる方向性の宗派が爆発的に増えます。それらはカルト的なもので、幻覚や妄想と極端な興奮への欲求がありました。そこではキリスト教と陰謀論が重なり合います。
どちらも同じ種類の極端な個人主義と主観的考え方を持ち、「自分が真実だと感じることが真実なのだ」ということです。アメリカのキリスト教で重要なことは、この国を作った人たちが実際に極端な教派だったことです。つまり彼らは最初から宗教的過激派だったのです。
『アメリカ 流転の1950ー2010s』p.363-364
カート・アンダーセンの証言
信心深いか否かにかかわらず、アメリカ人なら「自分が感じて考えていることが真実だ。誰も何が真実かを自分に強要することはできない。何が真実かは自分が知っている」という初期のプロテスタントの信念がいくらか組み込まれているのだと思います。
同上p.364
トランスする=精神(霊魂)が肉体から解放されて高いステージに上がるという認識(妄想)が、自称トランスの自信の根底にある。
トランス思想やLGBTQ教はキリスト教系の新興カルト宗教で、人類が普遍的に「正しい」と感じる思想ではなので、非キリスト教文明国の日本が受容する必要は全くない。
・西洋リベラルのVR的世界観
Prof. Nemuro🏶
2024年1月4日
https://note.com/prof_nemuro/n/nc9281faf33da
※LGBTQフィーバーに代表される最近の英語圏(特にアメリカ)のリベラルの言説を奇異に感じたり抵抗感を持つ人もいるのではないかと思われるが、日本人には理解が難しいのは、その言説がギリシャ哲学~キリスト教~啓蒙思想という西洋独特の世界観をベースにしているためである。
共和党支持者のなかには、聖書を字義通り信じて、ダーウィンの進化論を否定する人々がいます。民主党支持者のなかには、男性を女性に、女性を男性に意識的に変えられるという「トランスジェンダー」の信奉者がいます。私に言わせれば、双方とも、本来受け入れるしかない“現実”を受け入れない狂信者です。このうちのどちらかを選べというのは、「地球は平らである」と「地球は四角い」のどちらかを選べというようなものでしょう。
👆双方に共通しているのは、人間は自然の一部ではなく独立した(しかも上位の)存在だという二元論的な基本認識(世界観)である。民主党支持者≒リベラルの世界観は👇のような構築主義的なもので、人間社会は自然界とは別の法則・コード体系によって構成されたVirtual Realityのようなものになる。「本来受け入れるしかない“現実”を受け入れない」のは、現実世界ではなく(映画『マトリックス』のような)VRの中で生きているためである。なお、VRは「仮想現実」ではなく「人工現実」に近い(詳しくはコメント欄のリンク先を)。
現実に存在していると考えられる対象や現象は、客観的もしくは物理的に存在しているのではなく、人々の認識によって社会的に構築されていると考える社会学の理論的立場。社会構築主義、構成主義、社会構成主義ともいう。たとえば、多くの人々は「地球は丸い」ということを体験的に確認しているわけではなく、物理的計算や史実に基づいて共有された社会的な現実として認識している。このように、客観的かつ物理的な現実として存在すると考えられている「丸い地球」も、人々が共有する「地球は丸いものだ」という認識によって構築された現実として理解される。
構築主義の特徴は、対象や現象の実体がなくても、人々の認識があれば現実として構築されると考える点である。
https://kotobank.jp/word/%E6%A7%8B%E7%AF%89%E4%B8%BB%E7%BE%A9-262217
共和党支持者≒キリスト教徒の世界観では、人間社会というVRを律している法則を決めているのは神なので、人間は勝手に変更できない。しかし、リベラルの世界観ではVRの法則を決めているのは人間なので、いくらでも良いものへとアップデートしていくものになる(→進歩主義)。
例えば、現実世界では人間の男と女には哺乳類の雄と雌としての違いがあるが、VR空間では「男と女は生殖機能を除くと全く同じ」と定めればその通りになるものとされる。もしそうなっていなければ、「正しい状態(gender equality)」にするために「システム管理者(≒リベラルエリート)」が強制力を発動する(例:クォータ制度)。人間の脳内でメタフィジカルなレベルで決められたことがフィジカルに実現するというわけである・
性の場合、自然界(リアルの世界)ではsex(男/女)は生まれつきのもので変更は不可能だが、VRにおけるgenderは男/女に限らずいくらでも変更が可能なものになる(non-binary, questioning, etc.)。
いま、西側の世界で何が起きているかというと、ひじょうにある意味、冒険的な社会的実験が行われているというような状況なんです。
たとえば、ホモセクシュアリティー。これはもう、完全に広く認められている話なわけですが、それよりもむしろ「男女の違いを超える」といったような、そういったディスクール(言説)、考え方が出てきています。
生物学的、遺伝学的に定められた「男女」というものは、そもそもないと考えたり、それを超えられたり、あるいは変えたりすることができるといったような考え方が生まれてきているわけです。
おそらくだが、米ソ冷戦時代はアメリカのエリートの世界観は現実にアンカーされたものだったのだが、ソ連が崩壊して一極体制になったことでアンカーが外れて地が出るようになり、VRの中で狂信化が止まらなくなったのではないだろうか。
👇は中世の十字軍フィーバーを思わせるが、VR的世界観(妄想)を肥大化させた英語圏のエリートが世界中に迷惑をかけているわけである。
私は来年1月にフランスで新著を刊行する予定で、そのために、米国の地政学者や安全保障の専門家の本を数多く読みました。米国のエスタブリッシュメントの現実認識や世界戦略を理解しようとしたのです。
そこから見えてきたのは、世界一の大国を率いているはずの米国のエリート集団が、実は真面目でも有能でもない、ということです。彼らの言動は、合理的な戦略に基づいているわけではなく、抑制が利かない一種の興奮状態にあります。とりわけ“大人”であることが要求される安全保障問題で“子供”のように振舞っている。「バイデンという老いぼれに率いられた子供っぽい集団」というのが、「世界一の大国」であるはずの、この国の指導層の実態なのです。“現実”を直視できない彼らは、何をしでかすか分かりません。彼らの攻撃性こそ、世界にとって一番の不安定要因となっています。
『文藝春秋』
強調は引用者
ヨーロッパの進歩思想の決定的な問題点はここにあります。自分たちの変化を進歩と信じて疑わない。非ヨーロッパ世界に対する力による支配を正当化し、非道な行為にも目をつぶってしまう。右手で握手しながら、左手では相手をひっぱたくようなものです。
西欧は、100年前とは変わった。10年前とは変わった。その変化が退行であるはずがない、進歩だ。だからおまえたちも進歩しろ。自分たちについてこい。ついてこないなら、力ずくで張り倒すぞ。西欧のイスラム世界に対する態度は、わかりやすく言うならこういうことです。
19世紀以来、「進歩」を確信してきた西欧は、中東・イスラム世界に対する態度を変えることなく、自分たちが進歩の末に到達した「普遍的価値」を執拗に押し付けようとしています。
👆中東・イスラム世界だけではなく、日本を含むすべての非西洋世界に対するスタンス。
・ドゥーギンのシン・リベラリズム分析
Prof. Nemuro🏶
2024年5月10日
https://note.com/prof_nemuro/n/nb57ffcbefcff
※ロシアの思想家アレクサンドル・ドゥーギンのリベラリズムの変異についての分析が的確なので簡単に紹介する。西洋(特に英語圏)のエリートが普通の日本人には理解不能な狂気に取りつかれていることがわかるはず。
本題に入る前に前提知識を。
インタビューの始めに出て来るnominalismとはsocial nominalism(社会名目論、社会唯名論)のことで、individualism(個人主義)と密接に関係している。
社会の存在は認めるが、究極的に社会は実在していないと考え、本来社会は個々の独立した個人から成立しているのであって、社会とは個人の集合に与えた名称にすぎないとする考え方。つまり、実在的なものは原子的個人であり、社会はこれらの個人が非本質的に形成した所産で、個人は発生的にも論理的にも社会に優先していると考える。この立場は原子論的社会論ともいわれ、方法論としては個人主義を導き出す。
社会名目論
サッチャーの有名な言葉👇はこれから来ている。
There is no such thing as society.
There are individual men and women and there are families…
社会などというものはありません。
個々の男性と女性があり、家族がいます...
ドゥーギンのリベラリズムの本質は個人主義という見解はミアシャイマーと一致する("liberalism is all about individualism")。
ドゥーギンの分析を要約すると、
20世紀には(キリスト教の後継として)ファシズム、共産主義、リベラリズムが生まれたが、アングロサクソンのリベラリズムだけが生き残った。
リベラリズムの本質は個人主義であり、集合的アイデンティティからの解放(属性のカテゴリの解体や無効化)を志向する。永続的な解体運動がリベラリズムの基本原理とも言える。【⇒サッチャーが存在を認めていた男女の性別や家族も解放・解体の対象となる】
永続解放という進歩の結果、現代のリベラリズムは、ファシズム、共産主義と争った頃のリベラリズムとは別物のwokeismへと変異している。
ニュー リベラリズム(wokeism)では残った「解放」の対象が二つあり、その一つの「性」からの解放がtransgenderismである。性を肉体から解放して選べるもの(optional)にする。
最後に残った「肉体からの解放」がtranshumanismで、人間を超える存在を目指す。【(⇒Dioの「おれは人間をやめるぞ!」のようなもの)】
オールド リベラリズムの政治体制は多数派による支配のデモクラシーだがニュー リベラリズムでは少数派による支配の全体主義になるのは、多数派はヒトラーやプーチンを選ぶような誤りを犯すことがあるので、覚醒者にコントロールされなければならないから。
映画のMatrixやTerminatorなどのSFに描かれているのがニュー リベラルが目指す社会。
西側諸国がプーチンを敵視するのは、プーチンがwokeを拒否してロシアの伝統的価値観を守ろうとしているから。【(⇒文明の衝突、wokeismとゾンビ正教の宗教戦争、世界観を巡る闘争とも言える】
以下、補足。
👇は上野千鶴子だが、「カテゴリーを解体して個人に還元」がliberalismの本質の「集団的アイデンティティからの解放」のことである。
人種問題にしろ老人問題にしろ、ほとんどあらゆる差別反対運動は、カテゴリーを解体して個人に還元せよという要求をもっているように見える。
『女遊び』
個人主義という思想は、カテゴリーを解体しつくしそうとする。女の運動もまたそれに手を貸している。大人と子供、男と女、老人と若者というカテゴリーがすべて解体し、平等な個人がむき出された時に、一体どんな理想社会が実現するのか、私自身もそれに手を貸しながら、ふとアンビヴァレントな思いを避けることができない。
同上
ドゥーギンの分析は『西洋の敗北』の著者エマニュエル・トッドのものともほぼ一致している。
革命には政治・経済・文化の各側面があるが、👇はnew liberalismの経済面についての見立て。
まず自由主義を古典的・伝統的な自由主義と、「ウルトラ・リベラリズム」に区別して考えなければなりません。前者は許容できるもので、かつ必要な自由主義とは個人だけでなく、地方自治体や国家など個人を超えたものも大切にするものです。
私にとって聖なる自由主義は、ある程度国家の規制の下に成り立つ経済です。これに対して最近の自由主義はウルトラ・リベラリズムと呼べるもので、常軌を逸した自由主義。これが問題です。個人が一番で、国家は存在しない。そこには市場しかない、といった自由主義なのです。
https://toyokeizai.net/articles/-/3267
政治面の見立てもドゥーギンと一致。
私たちは民主主義の制度を持ってはいても、システムは「寡頭制」とも呼ぶべき何かに変質してしまったように思います。言うなれば、「リベラルな寡頭制」です。それはかなり重大なことになっています。
https://dot.asahi.com/articles/-/13250
👇は個人を原子化するリベラル革命において最重要となる文化革命の核心の性解放、transgenderismのこと。
それよりもむしろ「男女の違いを超える」といったような、そういったディスクール(言説)、考え方が出てきています。
生物学的、遺伝学的に定められた「男女」というものは、そもそもないと考えたり、それを超えられたり、あるいは変えたりすることができるといったような考え方が生まれてきているわけです。
https://dot.asahi.com/articles/-/194696
西洋が生み出しているイデオロギー、極端なフェミニズム、道徳的なリベラリズムの強要などは、西洋以外のより保守的な国の多くを不快にさせています。
https://dot.asahi.com/articles/-/214189
Individualismが他国への干渉・介入につながる"crusader impulse"を生じさせるメカニズムについてはミアシャイマーの説明👇を。
ミアシャイマーは、リベラリズムを「政治的リベラリズム」とみなして、「政治的リベラリズムとは、その核心が個人主義であり、不可侵の権利という概念を非常に重要視するイデオロギーである」としている。彼は、この権利への関心が、地球上のすべての人が同じ権利を持つという普遍主義の基礎となり、リベラルな国家が野心的な外交政策を追求する動機となると指摘している。
『ウクライナ戦争をどうみるか』p.95
日本人(のエリート)には根強い米英信仰があり、バブル崩壊後は政治、経済に続いて文化面でも米英を真似た「改革」を進めようとしているが、これほど狂った思想を「人類普遍の正しい思想」と本気で信じて受容するつもりだとすれば、馬鹿に付ける薬はないとしか言いようがない。
彼らが自国の民に何をしたかを見てほしい。家族、文化、国民のアイデンティティを破壊、(性的)倒錯、児童虐待、小児性愛に至るまでがノーマルなことだと宣言され、聖職者、神父は同性婚を祝福するよう強制されている。勝手にやるがいい。ここで何を言いたいか。大人は望むように生きる権利を持っている。ロシアもこのことには同じ態度をとってきたし、これからも常にそうする。誰も私生活に立ち入らないし、我々もそうするつもりはない。
西側世界の何百万人もの人々が、自分たちが正真正銘の精神的破局に導かれていることに気づいている。はっきり言ってエリートたちは気が狂っており、もう手の施しようがないようだ。それでも、前に言ったようにこれは彼らの問題であり、我々がすべきことは子どもたちを退廃と退化から守ることだ。
強調は引用者
付録
当noteでもドゥーギンと似たことを書いていた。
・西洋人には「信仰」が必要
Prof. Nemuro🏶
2024年5月25日
https://note.com/prof_nemuro/n/nc2e37434b571
※当noteではこれまでに西洋人の世界観・思想について書いてきたが、それらが普通の日本人には理解困難な根底には、日本人の世界観は「つくる」ではないことがある。
世界の神話では、「つくる」「うむ」「なる」という基本動詞によって世界の発生と神々の発生が説明されてきた。これらは一連の神々の動作のように見える。
しかしながら「つくる」では、往々にして作るもの(主体)と作られたもの(客体)が分離する。ユダヤ=キリスト教やギリシア自然哲学ではここが明快だ。そして、その分離した主体には「うむ」という自主行為も位置される。「つくる」と「うむ」とは一連なのである。生成とはそのことだ。
https://1000ya.isis.ne.jp/0564.html
世界を「つくる」ためには世界を統べる「律」あるいはコードの体系が必要であり、西洋のインテリが日本人から見れば異常なほど思想やイデオロギー、宗教にこだわるのはそのためである。彼らは確固とした思想体系が意識できなければ精神的に落ち着けないということでもある。フィクションではあるが、そのことが描かれているのがドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』で、無神論者を自認する次男イヴァンは精神不安定になってしまう。20世紀までは「西洋人には自分は無神論者だと言わない方が良い」と言われていたのも、彼らは人間には確固とした「信仰」が必要である(⇒それが無い人間はまともではない)という世界観・人間観を持っているためである。
キリスト教信仰が弱まると、その代替としてコミュニズム、ファシズム、ナチズムが登場し、それらが滅びると変異したリベラリズム(wokeism)が広まっているというのが現状である。