4月9日
「小が大に事える」と書いて「事大」。出典は孟子。「惟智者為能以小事大(ただ智者のみよく小を以て大に事うるを為す)」とあるように、本来は小国が生き残る為の知恵という事で悪い意味ではなかった。だが、「智者のみよく為す」という点に注意が必要である。智者に非ざる者が事大すると国を滅ぼす。
事大を外交上の伝統とするウクライナ指導者がロシアやポーランド等近隣の大国に事大せざるを得ない事情は理解出来るが、遥か遠く離れた米国やイスラエルのネオコン・シオニストに事大したのが間違いだった。彼らはウクライナがどうなろうと運命を共にする事はない。地政学戦略のコマとしか見ていない。
「ロシアと核戦争になるリスクを冒してまでウクライナと共にある必要はない」というのが、非ネオコン系の米国の尋常な保守の考え方だと思われる。国境を接している国だと否が応でも巻き込む事が出来るが、遠国だとそうはいかない。都合でいつでも切られる。遠交近攻政策は良い結果にはならないだろう。
NATOはネオコンが支配しているから同断である。EUはどうかというと、EU支配層はワンワールド主義の偽善者の集まりなので、事大すれば財政主権をはじめとした国家の主権を奪われるだけである。ネオコンのビクトリア・ヌーランドはEUを「クソッたれ」と罵ったが、ネオコンも同じである。両建に過ぎない。
「ロシアの戦争犯罪」という事で連日凄まじいプロパガンダ戦が行われている。通常は国際調査団を入れて客観的な調査結果を待つ必要があるが、一方的な主張が既成事実化されている。セルビア空爆前に喧伝されたコソボの「ラチャク虐殺」とよく似ている。完全に同一の方式が使われている事が推察される。
「ラチャク虐殺」も国際的調査が入る前から既成事実的に欧米や国連による「非難」が行われ、それがセルビア空爆へと繋がっていった。だが、今の事態がこれと異なるのはセルビアと違ってロシアが核武装国であるという点である。裏権力はあくまでウクライナを使う気である。その為に武器を供給している。
最近ロシアの下院議員が「ロシアは北海道に主権がある」などという愚劣な発言をしたと伝えられている。どういう議員かと思って調べてみると、つい先日までロンドンを本拠とする社会主義インターナショナルに加盟していた「公正ロシア」党の党首との事である。つまり西側の左翼勢力に近い人物のようだ。
日本の社民党も加盟する社会主義インターナショナルは、現国連総長であるアントニオ・グテーレスの出身組織でもある。ロンドンが本拠地なので、フェビアン主義的な国際組織だと分析する。公正ロシアのイデオロギーはフェビアン主義に近い社会民主主義。日本のメディアは保守政党とするが、誤りである。
戦前は第三インターナショナル=コミンテルンのスパイが政府中枢にも入り込み対中国強硬論に誘導した。公正ロシア党首は奇しくも社会主義インターナショナルに属していた人物。歴史に鑑み国際主義者が愛国主義者的に対外強硬発言をする時は要注意であろう。歴史に学ぶ事は独立的思考の確保に資する。
ロシアがウクライナと日本という東西で二正面作戦を取るとは思えない。日本軍と独逸軍が同時に北進していれば、ソ連は崩壊した可能性がある。それが分かっているはずなので、東西で当時に戦おうとする程愚かではないだろう。だが、今後日本を巻き込む戦争工作については十分に警戒しておくべきだろう。
ゾルゲの対日工作の目的の一つが日本に南進策を取らせる事だった。それ程スターリンは日本軍の北進を恐れていたという事である。公正ロシア党首は「関東軍を思い出せ」的な挑発的言辞を弄していたが、真に歴史に学んでいれば、逆にソ連が何を恐れたのか思い出すべしと申したい。挑発に煽られては駄目。
「ラチャク虐殺」に言及したが、1999年のコソボ紛争は21世紀の人工芝工作の原点とも言うべき事象だった。CIAが支援したコソボ解放軍(KLA)は、ウクライナだとアゾフなどに相当する。標的(ミロシェビッチ)の悪魔化・「大量虐殺」の喧伝・「ピープルパワー」の偽装など人工芝理論の全ての要素がある。
4月10日
大東社系左翼の妄言を頂戴した。「西側」は一枚岩ではない。欧米大手メディアだけが全てではない。西側の多様な言説を調べる事をお勧めする。アナーキズムなどのイデオロギーにとらわれたり、「西側VS東側」という単純な善悪二元論に陥ると、何も見えなくなる。視野が狭い。
https://twitter.com/Zafterdeath1/status/1512751782027735048
そういう決めつけこそがネオコンのプロパガンダの垂れ流し。虐殺の疑いがある場合は国際的な調査団を入れて客観的調査を行うのは当然の話。一方的に「ロシアのプロパガンダ」と決めつけブロックを推奨するという、呆れた全体主義脳・戦時脳。誰が危険かは言うまでもなかろう。https://twitter.com/Zafterdeath1/status/1512752960547471360
「アナーキスト」を自称する者に遭遇したのは、W氏以来である。アナキズムの思想家バクーニンは大東社メンバーだった。異論者を「ファシスト」と糾弾しているようだが、「ファシスト」は古くから大東社系左翼が敵対者を罵る時の決まり文句である。例えば「アンティファ」は「アンチファシズム」の意。
大東社系左翼の中でも言動の粗暴さ・「ファシスト」という罵倒句・自称アナーキストという点から、アンティファやブラックブロック系だと推測。イデオロギーや主義の色眼鏡で物を見る者には複雑な現象を複雑なままに理解する力が無い為、単純な二元論の枠組みで情報を処理する事しか出来ないのである。
両建が当たり前の「国際政治」の世界で、左のアンティファが右のネオナチを援護するなどごく「当たり前」の事象である。左右両建構造である。両極端は似てくる。両建を破るには、両極端にとらわれない思考が重要である。両極端の真ん中にもとらわれない。事理に則り最適解を探る。それが真の中道なり。
アゾフ・アンティファ・ブラックブロック・アルカイダ・ISなど、国際政治の世界には「保護される無法者」が存在する。アルカイダもその昔は「ソ連と戦う聖戦士」としてCIAが支援していた。ソ連のアフガン侵攻時のアルカイダは、丁度今のアゾフと同じポジションである。CIAの手口は昔から変わらない。
ウクライナのネオナチの発言を見るに、彼らはEUを信用していない。今のネオナチ部隊はソ連のアフガン侵攻時のアルカイダと同じく「西側」諜報機関によって支援されているが、情勢が変われば立場も変わる。ネオナチはいずれ「悪役」としての役割が与えられ、ISやアルカイダの位置になる可能性もある。
一日本人の視点・立場からネオコンやグローバリズムを批判しているのであり、親ロシアなのではない。ワンワールド化工作を行う連中を批判しているのである。ロシアについては、情勢によって日本と利害対立する事も友好する事もあり得る数多くの国の一つだと認識している。それが尋常な他国観だと思う。
ウクライナについても同様である。「ウクライナVSロシア」という構図で見ていない。ワンワールド化工作の一つの現れが2014年のネオナチ・クーデターだと認識し、NWO化・ワンワールド化を全世界で推し進める国際秘密力を批判しているのである。左右両建の走狗や群衆とは、認識の構図そのものが異なる。
両建に嵌められた者は二元論的思考をするのが特徴である。自分の陣営や自分が支持する陣営を批判されたと感じると、己と両建的に対立する他の陣営の者だと決めつける。「ネオコンへの批判をウクライナ人への批判だと改釈し親ロシアと決めつける」など。特に戦時下ではこういう狂信的な群衆が増殖する。
「認識の構図そのものが異なる」と書いたが、自己の認識枠組みを自覚する認識論的な視点は重要である。自他の認識の枠組みが違う事に気付かないと、他者の考えを理解する事すら覚束ない。メディアが押し付けるストーリーもまた認識の枠組みである。これを自覚し相対化する事から、思考の独立が始まる。
人間の思考は知識や情報だけでは機能しない。思考が機能する為には知識や情報を処理する認識の枠組みが必要である。だが、そうした枠組みが思考そのものを縛る事にもなる。その事を自覚し枠を相対化する事で凝り固まった思考がほぐれ出す。而して情報の暴流に飲み込まれず流されずに軸を持って生きる。
4月13日
キラ・ルディクというウクライナの国会議員が「我々はNWOの為に戦っている」旨の発言をしているが、実に正直である。実際そうなのである。マッキンダーが理論化した地政学戦略では、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を合わせた「世界島」を支配するには、まずは東欧を征服する事が大前提となるのである。
マッキンダー地政学が描くのは「東欧の支配→ハートランド(ユーラシア大陸の中央部分)の支配→世界島(ユーラシア大陸+アフリカ大陸)の支配→全世界の支配」という世界征服戦略である。裏権力のNWO戦略の中核にこれが据えられていると分析している。ウクライナはまさに東欧支配の為の要衝である。
ウクライナ情勢に関する見方が二分しているが、これは「親ウクライナ対親ロシア」ではなく、「親NWO対反NWO」と見るのが正確。後者は「二元論」ではない。何故なら「反NWO」といっても様々な立場があるからである。国・民族・思想などにより多種多様である。例えば、日本人とロシア人では立場も違う。
ワンワールド化・NWO化に反対するという点では同じでも、国が違えば国同士の利害対立もある。ウクライナ情勢で反NWOの立場を取る事は、親ロシアとイコールではなく、北方領土問題でロシアに譲る事でもない。米国の非ネオコンの愛国勢力と反NWOで一致しても、日米FTAに賛成する事はあり得ない。..等々。
おまけに「反NWO」の中にも裏権力のひも付きがいる。「反NWO」に見せかけて「親NWO」「ワンワールド」に誘導するのはザラである。このように「親NWO対反NWO」は単純な二元論ではあり得ないのである。親NWO側にも各派閥がいて常に両建抗争を行っている。ウクライナ情勢では一致団結している模様だが。
ウクライナ情勢では裏権力の各派閥が一致団結しているのは、それだけこの問題が彼らにとって重要だからだろう。東欧は世界島支配戦略の要である。ウクライナを完全に掌握すれば、それだけ世界島支配、ひいては「世界支配」に近付く。だからウクライナ国会議員が「我々はNWOの為に戦っている」と言う。
同じ「反NWO」でも国や民族が違うと、その面では相互に対立関係もあり得るのである。そもそも完全な「親○○(pro○○)」というのはあり得ないだろう。完全に他国の立場に同調するのでもなければ。国同士の関係は一致する部分もあれば、対立する部分もあるのが普通である。そういう現実感覚が大事。
現実感覚に乏しく、物事を固定観念の枠内で捉えようとする者が、「メディアのウクライナ報道を疑うのは親ロシア派」などと短絡する。格闘ゲームの「スト2」で、全キャラクターが最終的にベガ(ラスボス)と戦うからといって、全員がザンギエフ(ロシアの愛国者)と立場が同じと言うようなものである。
「ベガ」と対決するからといって、日本代表「リュウ」とロシア代表「ザンギエフ」の立場は同じという訳ではない。「ザンギエフ」と言えば、チェチェン人の精鋭部隊の隊長はまるでザンギエフの如き風貌であった。チェチェン人軍団の前で、捕虜になったネオナチのもやしっ子が震えている映像があった。
「スト2」に関しては、分かる人には一瞬で分かる、分からない人にはまるで分からない喩えだと思うので、恐縮である。
4月17日
アゾフのシンボルマークは、「黒い太陽(ブラック・サン)と「狼の罠(ヴォルフスアンゲル)」を組み合わせたもの。どちらもナチス(特にSS=親衛隊)が用いていたシンボルである。タイム誌によると、このデザインはアンドリー・ビレツキーが考案した由。アゾフがネオナチでないというのは無理がある。
キエフでは毎年「アスガルズレイ・フェスティバル」というネオナチ系のイベントが開催されている。その主催者はアゾフと密接な関係にあるアレクセイ・レブキンなる人物。レブキンはA・ビレツキーと近い関係で、主催イベントには、アゾフのイデオローグであるオレナ・セメンヤカも参加したようである。
シンボルというものは、時に言葉以上に思想を表現する。だからこそ秘密結社はシンボリズムを多用する。末端走狗も然り。アゾフがナチスに共感している事は、そのシンボルを見ると一目瞭然である。ブラック・サンとヴォルフスアンゲルは、通常ネオナチ及びそのシンパ以外はほぼ使わないシンボルである。
公安忖度庁は「「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が「アゾフ大隊」なる部隊を結成した」と明確に書いていたが、後で削除するという醜態を演じた。「独自の評価はしていない」と言い訳をしていたが、「結成した」と断定的に書いている以上、それは通用しないだろう。実に見苦しい事である。
「内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたもの」であり、「独自の評価を加えたものではな」いというのが公安忖度庁の言い分である。なら、そのまま公開しておけばいいだろう。全く筋が通らない。忖度か圧力か知らないが、破落戸に忖度する諜報機関とは(笑)
無論、公安忖度庁が忖度したのは破落戸に対してではなく、破落戸の背後にいる連中に対してだろう。前にも申した「保護される無法者」というのが存在する。こういう連中は裏権力の国際謀略の道具。NWO工作の為に役立つ間は破落戸だろうが無法者だろうが支援され保護される。アゾフは今そういうモード。
国際秘密力が無法者を支援するか否かの基準は「NWOに役立つか否か」だと分析する。どれ程極悪の犯罪集団でも、NWO化工作に役立つなら支援する。役に立たなくなれば、切るか、「悪役」という役回りを与えて両建抗争の具とする。アルカイダはそういう経緯を辿った。アゾフもいずれ同じコースを辿るやも。
「世界中が対露制裁に参加している」というイメージになっているが、亜細亜の二大国である印度と中国は参加していない。意外なのは、あのイスラエルが参加していない事である。イスラエルの支配層はネオナチを支援しているが、一般の猶太人の目を気にして公然たる制裁には参加出来ないのかもしれない。
猶太支配層と一般猶太人には乖離がある。前者は両建戦術が常套手段であり平気でネオナチを支援するが、後者は純粋にナチスやネオナチを憎んでいる。その条件下では、猶太権力が公然とネオナチ側の味方をすると、立場が危うくなりかねない。これもイスラエルが対露制裁に消極的な理由だと推測している。
ウクライナにネオナチが蔓延している事は隠し通せるものではなく、広くバレた時に公然とネオナチ側を支援する猶太エリートに対する一般猶太人の反応はどうなるのか、という危惧が当然、シオニスト側にもあると思われる。実際イスラエルの人権活動家がイスラエル政府による武器支援の中止を求めている。
ロスチャイルド製の人造国家・イスラエルは「猶太人国家」という体裁になっている以上、ネオナチが蔓延しているウクライナ側に公然と立つ事を躊躇するのは無理もないだろう。猶太支配層は裏権力メディアによる「ウクライナにネオナチはいない」宣伝に限界が来る時の事をも想定していると推測される。
ウクライナのネオナチは「ナショナリスト」と名乗っているが、ウクライナの自主独立を求めている訳ではない。彼らの主張の中には「インターマリウム」構想への賛同が含まれている。インターマリウムとは、バルト海から黒海沿岸までの地域を一体化させて、一つの連合国家を形成しようという構想である。
インターマリウムはポーランドを中心に唱えられてきた広域国家構想である。アゾフ運動のイデオローグであるオレナ・セメンヤカやアンドリー・ビレツキーはインターマリウムに賛同しているようである。インターマリウムで想定される地域はカトリック圏なのでカトリック帝国創設運動と見る事が出来る。
中欧・東欧を統合した広域カトリック帝国は、かつての神聖ローマ帝国を彷彿とさせる。神聖ローマ帝国を支配したハプスブルク家の権力は、インターマリウム構想に含まれるポーランド、ハンガリー、ルーマニアなどにも及んだ。インターマリウムは、神聖ローマ帝国的な広域国家を部分的に再現するもの。
ウクライナをカトリック帝国の一部とすれば、ロシア正教系のスラブ系住民との衝突は必定。これはある意味、西ローマ帝国と東ローマ帝国の対立に遡る事が出来る。キエフ公国がビザンツ帝国の文化文明を受容した事が、後のロシアの形成に繋がった。ロシアは謂わば東ローマ=ビザンツ帝国を継承した国家。
一方、西ローマ帝国の後裔が神聖ローマ帝国。神聖ローマ帝国はナポレオンによって解体されたが、EU誕生である意味復活した。インターマリウム構想は、地域や宗教で見ると、EU以上に神聖ローマ帝国に近い印象がある。アゾフ運動の目標はウクライナを非スラブ化しカトリック圏に引き込む事だと分析する。
文明史的観点からは、アゾフ運動とは、ウクライナを東ローマ帝国を継承したロシア文明から切り離し、西ローマ帝国側の西欧文明圏に組み込もうとする思想運動と見る事が出来る。中東に於けるスンニとシーアの対立の如く、文化文明の違いを利用して対立を引き起こす両建戦略のコマの一つと規定され得る。
このように、アゾフ運動の理論家は、ウクライナの自主独立を目指す愛国者ではなく、ウクライナをより広域のカトリック帝国の一部として組み入れる事を目指す国際主義者の一種である。神聖ローマ帝国風の広域カトリック帝国樹立を目標とするアゾフは、カリフ制の復活を目指したISとよく似ていると思う。
インターマリウムの具体案の一つが「三海洋イニシアチブ」である。三海洋=アドリア海・バルト海・黒海。ポーランドとクロアチアが主導する三海洋イニシアチブの想定参加国は、旧ソ連圏の東欧諸国が中心で、西からロシアを囲む形になる。国際秘密力の対ロシア征略の有力な手駒になり得る構想と言える。
文明史的観点では、ウクライナの場合は東西ローマ帝国だけでなくカザール王国の存在も重要だと考える。カザール王国は7~10世紀にウクライナの一部を含む地域を支配したトルコ民族系の国家。カザールの支配層は猶太教に集団改宗した事で有名。東欧猶太人の祖先は地理的に見てカザールの可能性がある。
アシュケナージ系を含む猶太人の祖先は全てパレスチナ地域に住んでいたという神話に基いてイスラエルが作られた。だが、現実的には、アシュケナージ系の祖先は中東のセム族よりカザール人である可能性の方が高いと考える。裏権力がウクライナを狙う動機の一つとして「カザール王国の再興」を想定する。
アゾフは兵隊はチンピラ・ゴロツキもどきのならず者集団に見えるが、指導層は実はインテリである。ビレツキーは歴史学専攻、セメンヤカは哲学専攻でエルンスト・ユンガーを専門とする。彼らには彼らなりの思想論理があるので侮りは禁物。対象の思想論理を分析する事で正体や狙いを見極める事が出来る。
4月30日
ここ最近、メディアによるアゾフの持ち上げが目立ってきた模様である。曰く「アゾフはネオナチではない」「アゾフはウクライナを守る義勇兵」「自由と民主の戦士」...云々。マネーロンダリングやネームロンダリングという言葉があるが、善悪を塗り替える宣伝工作を何ロンダリングと呼ぶべきだろうか?
あの有名な猶太系圧力団体サイモン・ヴィーゼンタール・センターの資料に、「Azov Battalion’s (neo-Nazi Ukrainian National Guard regiment) latest channel has been online since May 2017.」と書かれている。アゾフ大隊は「ネオナチ ウクライナ国家親衛隊の連隊」と。https://wiesenthal.com/assets/pdf/swc-telegram-briefing-july.pdf
SWCはメディアが名前を聞いただけで震え上がるであろう猶太圧力団体である。そこの資料にアゾフ大隊は「ネオナチ」とはっきり書いてある。にも拘らず、今やメディアは「アゾフはネオナチに非ず」と大合唱している。そこに強力な「意志」が働いているのは明らかである。ネオコン・シオニストの都合が。
SWCの資料を使うのは究極の「立敵共許」(自他、特に他=敵が認める・認めざるを得ない根拠を用いるという東洋論理学上の原則)だと言える。だからこそ、文句も言えないだろう。メディアがネオナチアゾフを擁護するのは、裏権力(特にネオコン)の地政学戦略上必要だからである。故に猶太団体も沈黙。
何故、ネオナチアゾフの擁護が「裏権力の地政学戦略上必要」なのか?それは、ウクライナ戦争を完全な善と悪の物語として描く事が裏権力の情報宣伝戦略だからである。その構図を打ち出すには、残虐非道なネオナチが最大のネック。だからこそ、アゾフを善玉としてロンダリングする必要があるのである。
裏権力はアゾフが善玉として描かれるか、さもなくば余計な事をしゃべらない内に消える事を望んでいると見る。これが目下同時進行中に見える。メディアがアゾフを善玉として持ち上げる一方で、民間人を人質にとりアゾフタル製鉄所に立て籠ったアゾフに降伏を許さず実質的に殲滅を待っている状態である。
裏権力にとって、おそらくネオナチはアンビバレンツな存在である。彼らにとって、残虐非道を躊躇なく行える凶悪集団は物理的な武力闘争の為には役立つが、「善と悪の戦いの物語」を大衆に刷り込む情報宣伝戦ではネックになる。この矛盾を解決するには、善玉にするか・存在自体を消すか、の二択となる。
麻原彰晃をTV番組に出演させたり、オウムに関する批判的なコメントをオウム側に流したりした「前科」がある大手メディアが、こぞってネオナチを持ち上げ出しても何ら驚かない。主要メディアは今も昔も裏権力及びその走狗の都合で動く宣伝屋に過ぎない。問題は、それを鵜呑みにする人が未だにいる事。
オウム、コソボ解放軍、アルカイダ、IS、アンティファ、アゾフ…という走狗の系譜。オウムの早川紀代秀がウクライナに出入りしていたという情報もある。ウクライナは冷戦後武器の闇市場となった。オウムの武装化にも、これが関係した可能性があると見る。東欧にはオウムネットワークが今もあるようだ。
ウクライナは北朝鮮とも深い繋がりを持っていた。武器の闇市場や北朝鮮との関係を見ても、裏権力が知られてはまずい工作を行うには、うってつけの場所だと言える。故に米国の裏権力人脈がウクライナで生物兵器の研究を行っても何ら不思議はない。裏工作を行うのに最適なブラックボックスエリアである。
KCIAと密接な反共主義カルトの旧統一協会が冷戦後は北朝鮮と密接に結び付いた事を見るに、ウクライナと北朝鮮の関係がネオナチクーデターで切れたとは限らない。バンデラの副官が創設に加わった「世界反共連盟」で旧統一とバンデラ主義者が繋がる。似非保守がアゾフを応援する背後関係はこれだろう。
ウクライナのネオナチが崇拝するステパン・バンデラの副官だったヤロスラフ・ステツコは世界反共連盟(WACL)の役員になった。この団体がCIAの影響下なのは言うまでもない。日本の似非保守勢力を影響下に置く朝鮮半島系反共勢力とウクライナのバンデラ主義者の接点である。
「冷戦」という国際的両建構造の中で、片翼を担った反共勢力の中核部分=世界反共連盟にバンデラの副官ヤロスラフ・ステツコが幹部として名を連ねていたのは興味深い。つまり、ウクライナのバンデラ主義者は戦後すぐの時期には既に、CIA・旧統一人脈が関わる国際的反共ネットワークの一部だった。
似非保守がアゾフを応援する背後には、こうした歴史的経緯が存在する。ウクライナのバンデラ主義者と日本の朝鮮半島系似非保守勢力(CSISの手先)は国際的に見て同じ陣営であり、その接点の一つが「世界反共連盟」であり、背後にいるのがCIA...という構図である。両建の「右」はこれで全て説明がつく。
両建の「左」である自称リベラルもアゾフを擁護している。「左右両建」の一語で片付くと言えば片付くが、自称リベラルは米国民主党寄りで、NED(全米民主主義基金)やソロス財団系の人工芝運動の観点(彼らの多くは“市民運動”と思っているだろうが..)からアゾフを擁護していると見るのが妥当だろう。
かつてオウムや麻原を擁護するメディアや著名人が結構いた事を忘れてはならない。アゾフを持ち上げるのもそれと同じ事だと考える。「ネオナチ組織がアゾフ大隊を作った」旨の記述を削除した公安ソンタク庁の如く、権勢に阿り平気で変節するのが明治以来の欧化主義知識人の常態。曲学阿世の徒とも言う。
ロシアの金本位制構想。金本位制は世界の金市場を支配してきたロスチャイルドに有利な制度と言える。軍事力を究極の担保とする米ドル体制から金本位制へのシフトの動き?裏権力が対露攻撃から中露を中心とする“新秩序”への移行を策している可能性も考慮すべきだろう。それが両建・弁証法戦略の狡猾さ。
裏権力がこれまで熱心に支援・投資してきたのは中国である。米国からの「覇権」の移行計画があるならロシアより中国の可能性が高いと見る。欧米+金魚の糞による「経済制裁」はロシア経済を破壊する事は出来ないだろうが、多少損害を与える事は出来るだろう。ロシアが弱ると中国の力が相対的に上がる。
もしプーチン・ロシアが両建の一角だった場合、裏権力の狙いとしては、「欧米+金魚の糞の“経済制裁”でロシアが少し弱る→中国の立場が相対的に強化される→中露間で中国の方がロシアより立場が上になる→中国への覇権移動→デジタル・レーニン主義の拡散」という流れを目論んでいる可能性を想定した。
ウクライナ戦争に於ける裏権力の狙いとしては、2つのシナリオが想定出来ると考える。➀プーチンを排除しロシアを支配する。ハートランド(ユーラシア大陸の心臓部)を支配する為の地政学戦略。➁ロシアを多少なりとも弱らせて中国の風下に立たせる。それにより共産中国中心の新支配体制に移行させる。
真相追及ではあらゆる可能性(特に全方位的な両建の可能性)を考慮するのが基本。ウクライナ政府の背後関係に言及すると「親露派」と決めつける“アゾフ脳”な連中には永久に分からないかもしれない。ウクライナのみならずロシアも両建の一角である可能性を端から想定している。それが両建批判の基本。
5月1日
世界反共連盟はヤロスラフ・ステツコの反ボリシェビキ国家連合(ABN)とアジア反共人民連盟(APACL)が母体になった由。そして、発足当初の中心人物は、朴正熙・蒋介石・児玉誉士夫・笹川良一・文鮮明の5名の由。つまり、ウクライナのナチスと旧統一人脈は昔から仲間だった。
「似非保守」とは「中身はグローバリストやネオリベラルでありながら、表面は保守や愛国者を偽装する者」の事をいう。この陣営は前述の児玉誉士夫・笹川良一・文鮮明の影響下にある。彼らはヤロスラフ・ステツコと組んでいた。つまりウクライナネオナチと旧統一系人脈は大昔から繋がっていた訳である。
似非保守のあり方の原型の一つは「国士」を装いながら実はCIAエージェントだった児玉誉士夫だろう。ステパン・バンデラの副官ヤロスラフ・ステツコと児玉は世界反共連盟を創設した仲間だった。これが「日本の似非保守勢力とウクライナのネオナチ勢力が国際的に同じ陣営」という事の歴史的背景である。
5月3日
ヤロスラフ・ステツコの「反ボリシェビキ国家連合」は矛盾を含む名称である。何故ならウクライナをロシア帝国から独立させたのはレーニン率いるボルシェビキだったからである。反ロシアと反ボルシェビキは必ずしも両立しない。ボルシェビキと激しく戦ったのは帝政ロシアであり白系ロシア人であった。
ウクライナをロシア帝国から独立させたのがボルシェビキ。17世紀のボフダン・フメリニツキーの反乱以来ウクライナを支配したのがロシア帝国。こうした複雑な歴史的背景が存在する。確固とした自主独立思想の未成熟。そこにネオナチという外来思想が付け入る隙が生まれたと分析。裏権力の格好の標的。
ロシア・ボルシェビキ・ナチスなどあらゆる外来勢力からの自主独立意識の欠如。周囲を強国に囲まれキエフ公国以来国家の自主独立を殆ど経験出来なかった地政学的歴史的状況の中では腰を据えた思想的営為が中々難しいのも理解出来る。日本では太平の鎖国時代に自主独立の思想学問が熟成したのだった。
健全な自主独立意識が育たず、極端なナショナリズムに走りがちなのは、独立国家としての歴史が浅い国に多い通弊と言える。ウクライナが真にナチスの外来極右思想を克服するには、欧米側に寄るのでもロシア側に寄るのでもなく、自国の歴史を踏まえて、自主独立の思想学問を鍛錬する道しかないであろう。
しかし、人様の国の事ばかりをとやかく言えないと反省。明治以来の欧化主義の進行、戦後、特に2000年代以降に増々深化する半植民地状態。日本人の多くに「健全な自主独立意識」があれば、こうした状態には陥ってないと言える。そうした状況下で思想ツールとしての「似非ナショナリズム」も横行しがち。
5月5日
ロシアのラブロフ外相が「ヒトラーには猶太人の血が入っている」と発言。一国の要人としては中々攻めた発言と言える。ヒトラーの父アロイスは民族主義者ではなく世界市民主義的思想の持ち主だったらしい。フランツ・イェッツインガーの説など昔はアロイスの父=猶太人説は結構有力だったようである。

ヒトラーの血筋を持ち出さずとも「猶太人だからネオナチになるはずがない」という主張を端的に覆す人物がいる。ナチス協力者だった「ティモシー・リンカーン」である。リンカーンはワイマール共和国時代に独逸右翼勢力に加わりカップ一揆の際にはヒトラーと会見した由である。
ティモシー・リンカーンは「カメレオン」の如く変貌し続けた。猶太教徒の家に生まれ、基督教に改宗。プロテスタントや英国国教会の牧師となり、英国上院議員に。詐欺を働いた後に国際スパイになる。やがて独逸の右翼勢力に加わりヒトラーとの知遇を得た。その後中華民国に渡り仏僧となり照空と名乗る。
そして上海で仏教系神秘主義カルト団体を創設。晩年はなんと日本の協力者となり反英宣伝に関わった。その間もゲシュタポのSS大佐から任務に関する激励を受けるなどナチス協力者であり続けた。猶太教、基督教、スパイ、カルト教祖、ナチス..。「猶太の両建と国際主義」を地で行った典型的人物と言える。
ティモシー・リンカーンの奇々怪々な生涯を見れば、「猶太人だからネオナチではない」とする判断が如何に単純極まりないものかが分かるであろう。偽装に継ぐ偽装、二重スパイ(両建)、思想宣伝、カルト団体設立などティモシー・リンカーンの生涯には裏権力工作員の謀略手法が網羅されている観がある。
不自然に日本を褒めそやす外国人がいたとしても「ティモシー・リンカーンの同類であるかもしれない」と頭の片隅ででも思っておけば簡単に引っ掛かる事はないだろう。戦後「日本は駄目」と刷り込まれてきた反動で外国人にちょっと褒められるとすぐに舞い上がって信用してしまう人は結構いると思われる。
日本人をグローバリズムに賛同させNWO化工作のコマとする為に「不自然に日本及び日本人を持ち上げ“親日”ぶりをアピールする」という手口があると分析。その元祖の一つが、戦前の日本政府に忠誠を誓い宣伝戦で協力したティモシー・リンカーンかもしれな
外国人コメンテーターのイロモノスキー氏がいるとする。イロ「日本は素晴らしい国。この国を守るには緊急事態条項が必要。」→単細胞「そうだ、そうだ!さすが親日家のイロモノスキーさん。これからも日本の為によろしくお願いします!」→イロ(...二ホンノミナサンチョロイデスネw)というパターン。
ティモシー・リンカーンに比べたらゼレンスキーなど只の道化に過ぎない。T・リンカーンの生涯を知れば、「何故猶太人がナチスに?」などという疑問は極めて単純な部類に属する事が理解される。異様にプッシュされる外国人はティモシー・リンカーンの類と疑っておけば安全。一般の外国人の事ではない。
T・リンカーンは上海にいたとの事だが、戦前の文献には西蔵(チベット)に草庵を設けていたとあった。オカルト雑誌の編集者だった事など神秘主義への傾倒がみられる事と合わせると、T・リンカーンが作った宗教団体はチベット密教系の可能性があると推測。ナチスがチベットに傾倒した事とも符合する。
神智学も教義体系の中でチベットを重視している。T・リンカーンがオカルト雑誌の編集者をしていた事があるなら、時代的に神智学を知らなかったとは考えにくい。また、神智学系カルトのオウムがチベットに傾倒していた事はよく知られている。思想工作史上もT・リンカーンには重要な要素が集まっている。
5月7日
「神智学も教義体系の中でチベットを重視」と書いたが、あくまで「神秘的なグルがチベットにいる」という空想的舞台設定としてである。思想哲学の中身については新プラトン主義以来の西洋神秘主義やイラン系二元論(霊性進化論)の影響が顕著で、印度中観派を重視するチベット仏教の影響はみられない。
中観派の哲学の基本は「空」である。「空」とは「物事には独立の実体はない」「物事は関係的に成立する」という考え方である。「空」の考え方は独立の「実体」を想定して形而上学を構築する西洋形而上学と相容れない。影響を受けると形而上学が解体されてしまう。故に取り入れる事は出来ない訳である。
自然の生成変化を基調とする日本文化では「空」の哲理を自然に取り入れる事が出来た。中村元氏の「(空とは)いかなるものにもとらわれないということです」という説明を見て「空」は日本語化即ち日本化されたのだと感じた。日本化とは日本語で表現出来るという事。「仁」は「思いやり」というように。
西洋の形而上学の徒が「空」を取り入れると、彼らの形而上学的世界観が解体されてしまう。故に取り入れる事は難しい。神智学が中観派だけは避ける理由である。一方、無理に取り入れようとすると「空」を実体視して改釈する。「空」が実体化して形而上学的概念として「とらわれる」対象になってしまう。
形而上学的体系を構築し世界に広めようとする事は、一つの「とらわれ」と言える。こうした「とらわれ」を否定するのが「空」。思想的世界統一を図るという志向を持つ限り、「空」の考えを拒否するのも当然と言える。神智学がチベットを“重視”しながら思想的影響がみられない理由をこのように分析する。
ティモシー・リンカーンは晩年に「照空」と名乗ったそうだが、実体論的な形而上学的思考に慣れ親しんだ西洋人の通弊として、ほぼ確実に「空」を理解していなかったと見てよいだろう。チベット仏教の基礎にある中観派は無視して、「密教」の方を西洋神秘主義的に改釈しカルト教義を作った可能性が高い。
5月8日
ティモシー・リンカーンは生涯に何度も改名したため「イグネイシャス・ティモシー・トレビッチ・リンカーン」とかなり長い名前になっている。「リンカーン」はあのエイブラハム・リンカーンから取っている。この中で「トレビッチ」が元々の名前なので、「トレビッチ・リンカーン」と表記する事にする。
トレビッチ・リンカーンのような西洋神秘主義者がチベット密教を好むのは、チベット密教が印度の「タントラ」の影響を受けているからだと分析する。彼らが好むのはあくまで「密教」の部分。西洋の秘密結社やオカルティストは密儀宗教を好んでおり、タントラ密教もその一種と受け取っていると思われる。
ヒトラーはチベットに傾倒する一面があったようである。オカルト・パワーが眠る「シャンバラ」がチベットにあると想定しベルリンにチベット僧の一派を招きオカルト儀式を行わせていたという説もある。彼らのチベット観は西洋近代オカルトのフィルターを通したものであり、後のオウム教義とも通底する。
ヒトラーを救世主として崇拝するサタニストの一派がオウムを肯定するのは、こうした西洋オカルト思想史の系譜から来ている事が分かる。「オカルト・パワーを得て世界を支配する力を得る」という誇大妄想的発想が共通している。晩年にチベット密教系カルトを主宰したトレビッチ・リンカーンもこの系統。
トレビッチ・リンカーンはダライラマ13世が亡くなった時に自ら「新しいダライラマ」と名乗ったそうである。この事からもトレビッチが主宰した宗教団体はチベット密教系を標榜した可能性が高いと見る。オウムは「反猶太」を標榜したが、彼らの思想的先行者には猶太人であるトレビッチがいた訳である。
「小が大に事える」と書いて「事大」。出典は孟子。「惟智者為能以小事大(ただ智者のみよく小を以て大に事うるを為す)」とあるように、本来は小国が生き残る為の知恵という事で悪い意味ではなかった。だが、「智者のみよく為す」という点に注意が必要である。智者に非ざる者が事大すると国を滅ぼす。
事大を外交上の伝統とするウクライナ指導者がロシアやポーランド等近隣の大国に事大せざるを得ない事情は理解出来るが、遥か遠く離れた米国やイスラエルのネオコン・シオニストに事大したのが間違いだった。彼らはウクライナがどうなろうと運命を共にする事はない。地政学戦略のコマとしか見ていない。
「ロシアと核戦争になるリスクを冒してまでウクライナと共にある必要はない」というのが、非ネオコン系の米国の尋常な保守の考え方だと思われる。国境を接している国だと否が応でも巻き込む事が出来るが、遠国だとそうはいかない。都合でいつでも切られる。遠交近攻政策は良い結果にはならないだろう。
NATOはネオコンが支配しているから同断である。EUはどうかというと、EU支配層はワンワールド主義の偽善者の集まりなので、事大すれば財政主権をはじめとした国家の主権を奪われるだけである。ネオコンのビクトリア・ヌーランドはEUを「クソッたれ」と罵ったが、ネオコンも同じである。両建に過ぎない。
「ロシアの戦争犯罪」という事で連日凄まじいプロパガンダ戦が行われている。通常は国際調査団を入れて客観的な調査結果を待つ必要があるが、一方的な主張が既成事実化されている。セルビア空爆前に喧伝されたコソボの「ラチャク虐殺」とよく似ている。完全に同一の方式が使われている事が推察される。
「ラチャク虐殺」も国際的調査が入る前から既成事実的に欧米や国連による「非難」が行われ、それがセルビア空爆へと繋がっていった。だが、今の事態がこれと異なるのはセルビアと違ってロシアが核武装国であるという点である。裏権力はあくまでウクライナを使う気である。その為に武器を供給している。
最近ロシアの下院議員が「ロシアは北海道に主権がある」などという愚劣な発言をしたと伝えられている。どういう議員かと思って調べてみると、つい先日までロンドンを本拠とする社会主義インターナショナルに加盟していた「公正ロシア」党の党首との事である。つまり西側の左翼勢力に近い人物のようだ。
日本の社民党も加盟する社会主義インターナショナルは、現国連総長であるアントニオ・グテーレスの出身組織でもある。ロンドンが本拠地なので、フェビアン主義的な国際組織だと分析する。公正ロシアのイデオロギーはフェビアン主義に近い社会民主主義。日本のメディアは保守政党とするが、誤りである。
戦前は第三インターナショナル=コミンテルンのスパイが政府中枢にも入り込み対中国強硬論に誘導した。公正ロシア党首は奇しくも社会主義インターナショナルに属していた人物。歴史に鑑み国際主義者が愛国主義者的に対外強硬発言をする時は要注意であろう。歴史に学ぶ事は独立的思考の確保に資する。
ロシアがウクライナと日本という東西で二正面作戦を取るとは思えない。日本軍と独逸軍が同時に北進していれば、ソ連は崩壊した可能性がある。それが分かっているはずなので、東西で当時に戦おうとする程愚かではないだろう。だが、今後日本を巻き込む戦争工作については十分に警戒しておくべきだろう。
ゾルゲの対日工作の目的の一つが日本に南進策を取らせる事だった。それ程スターリンは日本軍の北進を恐れていたという事である。公正ロシア党首は「関東軍を思い出せ」的な挑発的言辞を弄していたが、真に歴史に学んでいれば、逆にソ連が何を恐れたのか思い出すべしと申したい。挑発に煽られては駄目。
「ラチャク虐殺」に言及したが、1999年のコソボ紛争は21世紀の人工芝工作の原点とも言うべき事象だった。CIAが支援したコソボ解放軍(KLA)は、ウクライナだとアゾフなどに相当する。標的(ミロシェビッチ)の悪魔化・「大量虐殺」の喧伝・「ピープルパワー」の偽装など人工芝理論の全ての要素がある。
4月10日
大東社系左翼の妄言を頂戴した。「西側」は一枚岩ではない。欧米大手メディアだけが全てではない。西側の多様な言説を調べる事をお勧めする。アナーキズムなどのイデオロギーにとらわれたり、「西側VS東側」という単純な善悪二元論に陥ると、何も見えなくなる。視野が狭い。
https://twitter.com/Zafterdeath1/status/1512751782027735048
そういう決めつけこそがネオコンのプロパガンダの垂れ流し。虐殺の疑いがある場合は国際的な調査団を入れて客観的調査を行うのは当然の話。一方的に「ロシアのプロパガンダ」と決めつけブロックを推奨するという、呆れた全体主義脳・戦時脳。誰が危険かは言うまでもなかろう。https://twitter.com/Zafterdeath1/status/1512752960547471360
「アナーキスト」を自称する者に遭遇したのは、W氏以来である。アナキズムの思想家バクーニンは大東社メンバーだった。異論者を「ファシスト」と糾弾しているようだが、「ファシスト」は古くから大東社系左翼が敵対者を罵る時の決まり文句である。例えば「アンティファ」は「アンチファシズム」の意。
大東社系左翼の中でも言動の粗暴さ・「ファシスト」という罵倒句・自称アナーキストという点から、アンティファやブラックブロック系だと推測。イデオロギーや主義の色眼鏡で物を見る者には複雑な現象を複雑なままに理解する力が無い為、単純な二元論の枠組みで情報を処理する事しか出来ないのである。
両建が当たり前の「国際政治」の世界で、左のアンティファが右のネオナチを援護するなどごく「当たり前」の事象である。左右両建構造である。両極端は似てくる。両建を破るには、両極端にとらわれない思考が重要である。両極端の真ん中にもとらわれない。事理に則り最適解を探る。それが真の中道なり。
アゾフ・アンティファ・ブラックブロック・アルカイダ・ISなど、国際政治の世界には「保護される無法者」が存在する。アルカイダもその昔は「ソ連と戦う聖戦士」としてCIAが支援していた。ソ連のアフガン侵攻時のアルカイダは、丁度今のアゾフと同じポジションである。CIAの手口は昔から変わらない。
ウクライナのネオナチの発言を見るに、彼らはEUを信用していない。今のネオナチ部隊はソ連のアフガン侵攻時のアルカイダと同じく「西側」諜報機関によって支援されているが、情勢が変われば立場も変わる。ネオナチはいずれ「悪役」としての役割が与えられ、ISやアルカイダの位置になる可能性もある。
一日本人の視点・立場からネオコンやグローバリズムを批判しているのであり、親ロシアなのではない。ワンワールド化工作を行う連中を批判しているのである。ロシアについては、情勢によって日本と利害対立する事も友好する事もあり得る数多くの国の一つだと認識している。それが尋常な他国観だと思う。
ウクライナについても同様である。「ウクライナVSロシア」という構図で見ていない。ワンワールド化工作の一つの現れが2014年のネオナチ・クーデターだと認識し、NWO化・ワンワールド化を全世界で推し進める国際秘密力を批判しているのである。左右両建の走狗や群衆とは、認識の構図そのものが異なる。
両建に嵌められた者は二元論的思考をするのが特徴である。自分の陣営や自分が支持する陣営を批判されたと感じると、己と両建的に対立する他の陣営の者だと決めつける。「ネオコンへの批判をウクライナ人への批判だと改釈し親ロシアと決めつける」など。特に戦時下ではこういう狂信的な群衆が増殖する。
「認識の構図そのものが異なる」と書いたが、自己の認識枠組みを自覚する認識論的な視点は重要である。自他の認識の枠組みが違う事に気付かないと、他者の考えを理解する事すら覚束ない。メディアが押し付けるストーリーもまた認識の枠組みである。これを自覚し相対化する事から、思考の独立が始まる。
人間の思考は知識や情報だけでは機能しない。思考が機能する為には知識や情報を処理する認識の枠組みが必要である。だが、そうした枠組みが思考そのものを縛る事にもなる。その事を自覚し枠を相対化する事で凝り固まった思考がほぐれ出す。而して情報の暴流に飲み込まれず流されずに軸を持って生きる。
4月13日
キラ・ルディクというウクライナの国会議員が「我々はNWOの為に戦っている」旨の発言をしているが、実に正直である。実際そうなのである。マッキンダーが理論化した地政学戦略では、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を合わせた「世界島」を支配するには、まずは東欧を征服する事が大前提となるのである。
マッキンダー地政学が描くのは「東欧の支配→ハートランド(ユーラシア大陸の中央部分)の支配→世界島(ユーラシア大陸+アフリカ大陸)の支配→全世界の支配」という世界征服戦略である。裏権力のNWO戦略の中核にこれが据えられていると分析している。ウクライナはまさに東欧支配の為の要衝である。
ウクライナ情勢に関する見方が二分しているが、これは「親ウクライナ対親ロシア」ではなく、「親NWO対反NWO」と見るのが正確。後者は「二元論」ではない。何故なら「反NWO」といっても様々な立場があるからである。国・民族・思想などにより多種多様である。例えば、日本人とロシア人では立場も違う。
ワンワールド化・NWO化に反対するという点では同じでも、国が違えば国同士の利害対立もある。ウクライナ情勢で反NWOの立場を取る事は、親ロシアとイコールではなく、北方領土問題でロシアに譲る事でもない。米国の非ネオコンの愛国勢力と反NWOで一致しても、日米FTAに賛成する事はあり得ない。..等々。
おまけに「反NWO」の中にも裏権力のひも付きがいる。「反NWO」に見せかけて「親NWO」「ワンワールド」に誘導するのはザラである。このように「親NWO対反NWO」は単純な二元論ではあり得ないのである。親NWO側にも各派閥がいて常に両建抗争を行っている。ウクライナ情勢では一致団結している模様だが。
ウクライナ情勢では裏権力の各派閥が一致団結しているのは、それだけこの問題が彼らにとって重要だからだろう。東欧は世界島支配戦略の要である。ウクライナを完全に掌握すれば、それだけ世界島支配、ひいては「世界支配」に近付く。だからウクライナ国会議員が「我々はNWOの為に戦っている」と言う。
同じ「反NWO」でも国や民族が違うと、その面では相互に対立関係もあり得るのである。そもそも完全な「親○○(pro○○)」というのはあり得ないだろう。完全に他国の立場に同調するのでもなければ。国同士の関係は一致する部分もあれば、対立する部分もあるのが普通である。そういう現実感覚が大事。
現実感覚に乏しく、物事を固定観念の枠内で捉えようとする者が、「メディアのウクライナ報道を疑うのは親ロシア派」などと短絡する。格闘ゲームの「スト2」で、全キャラクターが最終的にベガ(ラスボス)と戦うからといって、全員がザンギエフ(ロシアの愛国者)と立場が同じと言うようなものである。
「ベガ」と対決するからといって、日本代表「リュウ」とロシア代表「ザンギエフ」の立場は同じという訳ではない。「ザンギエフ」と言えば、チェチェン人の精鋭部隊の隊長はまるでザンギエフの如き風貌であった。チェチェン人軍団の前で、捕虜になったネオナチのもやしっ子が震えている映像があった。
「スト2」に関しては、分かる人には一瞬で分かる、分からない人にはまるで分からない喩えだと思うので、恐縮である。
4月17日
アゾフのシンボルマークは、「黒い太陽(ブラック・サン)と「狼の罠(ヴォルフスアンゲル)」を組み合わせたもの。どちらもナチス(特にSS=親衛隊)が用いていたシンボルである。タイム誌によると、このデザインはアンドリー・ビレツキーが考案した由。アゾフがネオナチでないというのは無理がある。
キエフでは毎年「アスガルズレイ・フェスティバル」というネオナチ系のイベントが開催されている。その主催者はアゾフと密接な関係にあるアレクセイ・レブキンなる人物。レブキンはA・ビレツキーと近い関係で、主催イベントには、アゾフのイデオローグであるオレナ・セメンヤカも参加したようである。
シンボルというものは、時に言葉以上に思想を表現する。だからこそ秘密結社はシンボリズムを多用する。末端走狗も然り。アゾフがナチスに共感している事は、そのシンボルを見ると一目瞭然である。ブラック・サンとヴォルフスアンゲルは、通常ネオナチ及びそのシンパ以外はほぼ使わないシンボルである。
公安忖度庁は「「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が「アゾフ大隊」なる部隊を結成した」と明確に書いていたが、後で削除するという醜態を演じた。「独自の評価はしていない」と言い訳をしていたが、「結成した」と断定的に書いている以上、それは通用しないだろう。実に見苦しい事である。
「内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたもの」であり、「独自の評価を加えたものではな」いというのが公安忖度庁の言い分である。なら、そのまま公開しておけばいいだろう。全く筋が通らない。忖度か圧力か知らないが、破落戸に忖度する諜報機関とは(笑)
無論、公安忖度庁が忖度したのは破落戸に対してではなく、破落戸の背後にいる連中に対してだろう。前にも申した「保護される無法者」というのが存在する。こういう連中は裏権力の国際謀略の道具。NWO工作の為に役立つ間は破落戸だろうが無法者だろうが支援され保護される。アゾフは今そういうモード。
国際秘密力が無法者を支援するか否かの基準は「NWOに役立つか否か」だと分析する。どれ程極悪の犯罪集団でも、NWO化工作に役立つなら支援する。役に立たなくなれば、切るか、「悪役」という役回りを与えて両建抗争の具とする。アルカイダはそういう経緯を辿った。アゾフもいずれ同じコースを辿るやも。
「世界中が対露制裁に参加している」というイメージになっているが、亜細亜の二大国である印度と中国は参加していない。意外なのは、あのイスラエルが参加していない事である。イスラエルの支配層はネオナチを支援しているが、一般の猶太人の目を気にして公然たる制裁には参加出来ないのかもしれない。
猶太支配層と一般猶太人には乖離がある。前者は両建戦術が常套手段であり平気でネオナチを支援するが、後者は純粋にナチスやネオナチを憎んでいる。その条件下では、猶太権力が公然とネオナチ側の味方をすると、立場が危うくなりかねない。これもイスラエルが対露制裁に消極的な理由だと推測している。
ウクライナにネオナチが蔓延している事は隠し通せるものではなく、広くバレた時に公然とネオナチ側を支援する猶太エリートに対する一般猶太人の反応はどうなるのか、という危惧が当然、シオニスト側にもあると思われる。実際イスラエルの人権活動家がイスラエル政府による武器支援の中止を求めている。
ロスチャイルド製の人造国家・イスラエルは「猶太人国家」という体裁になっている以上、ネオナチが蔓延しているウクライナ側に公然と立つ事を躊躇するのは無理もないだろう。猶太支配層は裏権力メディアによる「ウクライナにネオナチはいない」宣伝に限界が来る時の事をも想定していると推測される。
ウクライナのネオナチは「ナショナリスト」と名乗っているが、ウクライナの自主独立を求めている訳ではない。彼らの主張の中には「インターマリウム」構想への賛同が含まれている。インターマリウムとは、バルト海から黒海沿岸までの地域を一体化させて、一つの連合国家を形成しようという構想である。
インターマリウムはポーランドを中心に唱えられてきた広域国家構想である。アゾフ運動のイデオローグであるオレナ・セメンヤカやアンドリー・ビレツキーはインターマリウムに賛同しているようである。インターマリウムで想定される地域はカトリック圏なのでカトリック帝国創設運動と見る事が出来る。
中欧・東欧を統合した広域カトリック帝国は、かつての神聖ローマ帝国を彷彿とさせる。神聖ローマ帝国を支配したハプスブルク家の権力は、インターマリウム構想に含まれるポーランド、ハンガリー、ルーマニアなどにも及んだ。インターマリウムは、神聖ローマ帝国的な広域国家を部分的に再現するもの。
ウクライナをカトリック帝国の一部とすれば、ロシア正教系のスラブ系住民との衝突は必定。これはある意味、西ローマ帝国と東ローマ帝国の対立に遡る事が出来る。キエフ公国がビザンツ帝国の文化文明を受容した事が、後のロシアの形成に繋がった。ロシアは謂わば東ローマ=ビザンツ帝国を継承した国家。
一方、西ローマ帝国の後裔が神聖ローマ帝国。神聖ローマ帝国はナポレオンによって解体されたが、EU誕生である意味復活した。インターマリウム構想は、地域や宗教で見ると、EU以上に神聖ローマ帝国に近い印象がある。アゾフ運動の目標はウクライナを非スラブ化しカトリック圏に引き込む事だと分析する。
文明史的観点からは、アゾフ運動とは、ウクライナを東ローマ帝国を継承したロシア文明から切り離し、西ローマ帝国側の西欧文明圏に組み込もうとする思想運動と見る事が出来る。中東に於けるスンニとシーアの対立の如く、文化文明の違いを利用して対立を引き起こす両建戦略のコマの一つと規定され得る。
このように、アゾフ運動の理論家は、ウクライナの自主独立を目指す愛国者ではなく、ウクライナをより広域のカトリック帝国の一部として組み入れる事を目指す国際主義者の一種である。神聖ローマ帝国風の広域カトリック帝国樹立を目標とするアゾフは、カリフ制の復活を目指したISとよく似ていると思う。
インターマリウムの具体案の一つが「三海洋イニシアチブ」である。三海洋=アドリア海・バルト海・黒海。ポーランドとクロアチアが主導する三海洋イニシアチブの想定参加国は、旧ソ連圏の東欧諸国が中心で、西からロシアを囲む形になる。国際秘密力の対ロシア征略の有力な手駒になり得る構想と言える。
文明史的観点では、ウクライナの場合は東西ローマ帝国だけでなくカザール王国の存在も重要だと考える。カザール王国は7~10世紀にウクライナの一部を含む地域を支配したトルコ民族系の国家。カザールの支配層は猶太教に集団改宗した事で有名。東欧猶太人の祖先は地理的に見てカザールの可能性がある。
アシュケナージ系を含む猶太人の祖先は全てパレスチナ地域に住んでいたという神話に基いてイスラエルが作られた。だが、現実的には、アシュケナージ系の祖先は中東のセム族よりカザール人である可能性の方が高いと考える。裏権力がウクライナを狙う動機の一つとして「カザール王国の再興」を想定する。
アゾフは兵隊はチンピラ・ゴロツキもどきのならず者集団に見えるが、指導層は実はインテリである。ビレツキーは歴史学専攻、セメンヤカは哲学専攻でエルンスト・ユンガーを専門とする。彼らには彼らなりの思想論理があるので侮りは禁物。対象の思想論理を分析する事で正体や狙いを見極める事が出来る。
4月30日
ここ最近、メディアによるアゾフの持ち上げが目立ってきた模様である。曰く「アゾフはネオナチではない」「アゾフはウクライナを守る義勇兵」「自由と民主の戦士」...云々。マネーロンダリングやネームロンダリングという言葉があるが、善悪を塗り替える宣伝工作を何ロンダリングと呼ぶべきだろうか?
あの有名な猶太系圧力団体サイモン・ヴィーゼンタール・センターの資料に、「Azov Battalion’s (neo-Nazi Ukrainian National Guard regiment) latest channel has been online since May 2017.」と書かれている。アゾフ大隊は「ネオナチ ウクライナ国家親衛隊の連隊」と。https://wiesenthal.com/assets/pdf/swc-telegram-briefing-july.pdf
SWCはメディアが名前を聞いただけで震え上がるであろう猶太圧力団体である。そこの資料にアゾフ大隊は「ネオナチ」とはっきり書いてある。にも拘らず、今やメディアは「アゾフはネオナチに非ず」と大合唱している。そこに強力な「意志」が働いているのは明らかである。ネオコン・シオニストの都合が。
SWCの資料を使うのは究極の「立敵共許」(自他、特に他=敵が認める・認めざるを得ない根拠を用いるという東洋論理学上の原則)だと言える。だからこそ、文句も言えないだろう。メディアがネオナチアゾフを擁護するのは、裏権力(特にネオコン)の地政学戦略上必要だからである。故に猶太団体も沈黙。
何故、ネオナチアゾフの擁護が「裏権力の地政学戦略上必要」なのか?それは、ウクライナ戦争を完全な善と悪の物語として描く事が裏権力の情報宣伝戦略だからである。その構図を打ち出すには、残虐非道なネオナチが最大のネック。だからこそ、アゾフを善玉としてロンダリングする必要があるのである。
裏権力はアゾフが善玉として描かれるか、さもなくば余計な事をしゃべらない内に消える事を望んでいると見る。これが目下同時進行中に見える。メディアがアゾフを善玉として持ち上げる一方で、民間人を人質にとりアゾフタル製鉄所に立て籠ったアゾフに降伏を許さず実質的に殲滅を待っている状態である。
裏権力にとって、おそらくネオナチはアンビバレンツな存在である。彼らにとって、残虐非道を躊躇なく行える凶悪集団は物理的な武力闘争の為には役立つが、「善と悪の戦いの物語」を大衆に刷り込む情報宣伝戦ではネックになる。この矛盾を解決するには、善玉にするか・存在自体を消すか、の二択となる。
麻原彰晃をTV番組に出演させたり、オウムに関する批判的なコメントをオウム側に流したりした「前科」がある大手メディアが、こぞってネオナチを持ち上げ出しても何ら驚かない。主要メディアは今も昔も裏権力及びその走狗の都合で動く宣伝屋に過ぎない。問題は、それを鵜呑みにする人が未だにいる事。
オウム、コソボ解放軍、アルカイダ、IS、アンティファ、アゾフ…という走狗の系譜。オウムの早川紀代秀がウクライナに出入りしていたという情報もある。ウクライナは冷戦後武器の闇市場となった。オウムの武装化にも、これが関係した可能性があると見る。東欧にはオウムネットワークが今もあるようだ。
ウクライナは北朝鮮とも深い繋がりを持っていた。武器の闇市場や北朝鮮との関係を見ても、裏権力が知られてはまずい工作を行うには、うってつけの場所だと言える。故に米国の裏権力人脈がウクライナで生物兵器の研究を行っても何ら不思議はない。裏工作を行うのに最適なブラックボックスエリアである。
KCIAと密接な反共主義カルトの旧統一協会が冷戦後は北朝鮮と密接に結び付いた事を見るに、ウクライナと北朝鮮の関係がネオナチクーデターで切れたとは限らない。バンデラの副官が創設に加わった「世界反共連盟」で旧統一とバンデラ主義者が繋がる。似非保守がアゾフを応援する背後関係はこれだろう。
ウクライナのネオナチが崇拝するステパン・バンデラの副官だったヤロスラフ・ステツコは世界反共連盟(WACL)の役員になった。この団体がCIAの影響下なのは言うまでもない。日本の似非保守勢力を影響下に置く朝鮮半島系反共勢力とウクライナのバンデラ主義者の接点である。
「冷戦」という国際的両建構造の中で、片翼を担った反共勢力の中核部分=世界反共連盟にバンデラの副官ヤロスラフ・ステツコが幹部として名を連ねていたのは興味深い。つまり、ウクライナのバンデラ主義者は戦後すぐの時期には既に、CIA・旧統一人脈が関わる国際的反共ネットワークの一部だった。
似非保守がアゾフを応援する背後には、こうした歴史的経緯が存在する。ウクライナのバンデラ主義者と日本の朝鮮半島系似非保守勢力(CSISの手先)は国際的に見て同じ陣営であり、その接点の一つが「世界反共連盟」であり、背後にいるのがCIA...という構図である。両建の「右」はこれで全て説明がつく。
両建の「左」である自称リベラルもアゾフを擁護している。「左右両建」の一語で片付くと言えば片付くが、自称リベラルは米国民主党寄りで、NED(全米民主主義基金)やソロス財団系の人工芝運動の観点(彼らの多くは“市民運動”と思っているだろうが..)からアゾフを擁護していると見るのが妥当だろう。
かつてオウムや麻原を擁護するメディアや著名人が結構いた事を忘れてはならない。アゾフを持ち上げるのもそれと同じ事だと考える。「ネオナチ組織がアゾフ大隊を作った」旨の記述を削除した公安ソンタク庁の如く、権勢に阿り平気で変節するのが明治以来の欧化主義知識人の常態。曲学阿世の徒とも言う。
ロシアの金本位制構想。金本位制は世界の金市場を支配してきたロスチャイルドに有利な制度と言える。軍事力を究極の担保とする米ドル体制から金本位制へのシフトの動き?裏権力が対露攻撃から中露を中心とする“新秩序”への移行を策している可能性も考慮すべきだろう。それが両建・弁証法戦略の狡猾さ。
裏権力がこれまで熱心に支援・投資してきたのは中国である。米国からの「覇権」の移行計画があるならロシアより中国の可能性が高いと見る。欧米+金魚の糞による「経済制裁」はロシア経済を破壊する事は出来ないだろうが、多少損害を与える事は出来るだろう。ロシアが弱ると中国の力が相対的に上がる。
もしプーチン・ロシアが両建の一角だった場合、裏権力の狙いとしては、「欧米+金魚の糞の“経済制裁”でロシアが少し弱る→中国の立場が相対的に強化される→中露間で中国の方がロシアより立場が上になる→中国への覇権移動→デジタル・レーニン主義の拡散」という流れを目論んでいる可能性を想定した。
ウクライナ戦争に於ける裏権力の狙いとしては、2つのシナリオが想定出来ると考える。➀プーチンを排除しロシアを支配する。ハートランド(ユーラシア大陸の心臓部)を支配する為の地政学戦略。➁ロシアを多少なりとも弱らせて中国の風下に立たせる。それにより共産中国中心の新支配体制に移行させる。
真相追及ではあらゆる可能性(特に全方位的な両建の可能性)を考慮するのが基本。ウクライナ政府の背後関係に言及すると「親露派」と決めつける“アゾフ脳”な連中には永久に分からないかもしれない。ウクライナのみならずロシアも両建の一角である可能性を端から想定している。それが両建批判の基本。
5月1日
世界反共連盟はヤロスラフ・ステツコの反ボリシェビキ国家連合(ABN)とアジア反共人民連盟(APACL)が母体になった由。そして、発足当初の中心人物は、朴正熙・蒋介石・児玉誉士夫・笹川良一・文鮮明の5名の由。つまり、ウクライナのナチスと旧統一人脈は昔から仲間だった。
「似非保守」とは「中身はグローバリストやネオリベラルでありながら、表面は保守や愛国者を偽装する者」の事をいう。この陣営は前述の児玉誉士夫・笹川良一・文鮮明の影響下にある。彼らはヤロスラフ・ステツコと組んでいた。つまりウクライナネオナチと旧統一系人脈は大昔から繋がっていた訳である。
似非保守のあり方の原型の一つは「国士」を装いながら実はCIAエージェントだった児玉誉士夫だろう。ステパン・バンデラの副官ヤロスラフ・ステツコと児玉は世界反共連盟を創設した仲間だった。これが「日本の似非保守勢力とウクライナのネオナチ勢力が国際的に同じ陣営」という事の歴史的背景である。
5月3日
ヤロスラフ・ステツコの「反ボリシェビキ国家連合」は矛盾を含む名称である。何故ならウクライナをロシア帝国から独立させたのはレーニン率いるボルシェビキだったからである。反ロシアと反ボルシェビキは必ずしも両立しない。ボルシェビキと激しく戦ったのは帝政ロシアであり白系ロシア人であった。
ウクライナをロシア帝国から独立させたのがボルシェビキ。17世紀のボフダン・フメリニツキーの反乱以来ウクライナを支配したのがロシア帝国。こうした複雑な歴史的背景が存在する。確固とした自主独立思想の未成熟。そこにネオナチという外来思想が付け入る隙が生まれたと分析。裏権力の格好の標的。
ロシア・ボルシェビキ・ナチスなどあらゆる外来勢力からの自主独立意識の欠如。周囲を強国に囲まれキエフ公国以来国家の自主独立を殆ど経験出来なかった地政学的歴史的状況の中では腰を据えた思想的営為が中々難しいのも理解出来る。日本では太平の鎖国時代に自主独立の思想学問が熟成したのだった。
健全な自主独立意識が育たず、極端なナショナリズムに走りがちなのは、独立国家としての歴史が浅い国に多い通弊と言える。ウクライナが真にナチスの外来極右思想を克服するには、欧米側に寄るのでもロシア側に寄るのでもなく、自国の歴史を踏まえて、自主独立の思想学問を鍛錬する道しかないであろう。
しかし、人様の国の事ばかりをとやかく言えないと反省。明治以来の欧化主義の進行、戦後、特に2000年代以降に増々深化する半植民地状態。日本人の多くに「健全な自主独立意識」があれば、こうした状態には陥ってないと言える。そうした状況下で思想ツールとしての「似非ナショナリズム」も横行しがち。
5月5日
ロシアのラブロフ外相が「ヒトラーには猶太人の血が入っている」と発言。一国の要人としては中々攻めた発言と言える。ヒトラーの父アロイスは民族主義者ではなく世界市民主義的思想の持ち主だったらしい。フランツ・イェッツインガーの説など昔はアロイスの父=猶太人説は結構有力だったようである。

ヒトラーの血筋を持ち出さずとも「猶太人だからネオナチになるはずがない」という主張を端的に覆す人物がいる。ナチス協力者だった「ティモシー・リンカーン」である。リンカーンはワイマール共和国時代に独逸右翼勢力に加わりカップ一揆の際にはヒトラーと会見した由である。
ティモシー・リンカーンは「カメレオン」の如く変貌し続けた。猶太教徒の家に生まれ、基督教に改宗。プロテスタントや英国国教会の牧師となり、英国上院議員に。詐欺を働いた後に国際スパイになる。やがて独逸の右翼勢力に加わりヒトラーとの知遇を得た。その後中華民国に渡り仏僧となり照空と名乗る。
そして上海で仏教系神秘主義カルト団体を創設。晩年はなんと日本の協力者となり反英宣伝に関わった。その間もゲシュタポのSS大佐から任務に関する激励を受けるなどナチス協力者であり続けた。猶太教、基督教、スパイ、カルト教祖、ナチス..。「猶太の両建と国際主義」を地で行った典型的人物と言える。
ティモシー・リンカーンの奇々怪々な生涯を見れば、「猶太人だからネオナチではない」とする判断が如何に単純極まりないものかが分かるであろう。偽装に継ぐ偽装、二重スパイ(両建)、思想宣伝、カルト団体設立などティモシー・リンカーンの生涯には裏権力工作員の謀略手法が網羅されている観がある。
不自然に日本を褒めそやす外国人がいたとしても「ティモシー・リンカーンの同類であるかもしれない」と頭の片隅ででも思っておけば簡単に引っ掛かる事はないだろう。戦後「日本は駄目」と刷り込まれてきた反動で外国人にちょっと褒められるとすぐに舞い上がって信用してしまう人は結構いると思われる。
日本人をグローバリズムに賛同させNWO化工作のコマとする為に「不自然に日本及び日本人を持ち上げ“親日”ぶりをアピールする」という手口があると分析。その元祖の一つが、戦前の日本政府に忠誠を誓い宣伝戦で協力したティモシー・リンカーンかもしれな
外国人コメンテーターのイロモノスキー氏がいるとする。イロ「日本は素晴らしい国。この国を守るには緊急事態条項が必要。」→単細胞「そうだ、そうだ!さすが親日家のイロモノスキーさん。これからも日本の為によろしくお願いします!」→イロ(...二ホンノミナサンチョロイデスネw)というパターン。
ティモシー・リンカーンに比べたらゼレンスキーなど只の道化に過ぎない。T・リンカーンの生涯を知れば、「何故猶太人がナチスに?」などという疑問は極めて単純な部類に属する事が理解される。異様にプッシュされる外国人はティモシー・リンカーンの類と疑っておけば安全。一般の外国人の事ではない。
T・リンカーンは上海にいたとの事だが、戦前の文献には西蔵(チベット)に草庵を設けていたとあった。オカルト雑誌の編集者だった事など神秘主義への傾倒がみられる事と合わせると、T・リンカーンが作った宗教団体はチベット密教系の可能性があると推測。ナチスがチベットに傾倒した事とも符合する。
神智学も教義体系の中でチベットを重視している。T・リンカーンがオカルト雑誌の編集者をしていた事があるなら、時代的に神智学を知らなかったとは考えにくい。また、神智学系カルトのオウムがチベットに傾倒していた事はよく知られている。思想工作史上もT・リンカーンには重要な要素が集まっている。
5月7日
「神智学も教義体系の中でチベットを重視」と書いたが、あくまで「神秘的なグルがチベットにいる」という空想的舞台設定としてである。思想哲学の中身については新プラトン主義以来の西洋神秘主義やイラン系二元論(霊性進化論)の影響が顕著で、印度中観派を重視するチベット仏教の影響はみられない。
中観派の哲学の基本は「空」である。「空」とは「物事には独立の実体はない」「物事は関係的に成立する」という考え方である。「空」の考え方は独立の「実体」を想定して形而上学を構築する西洋形而上学と相容れない。影響を受けると形而上学が解体されてしまう。故に取り入れる事は出来ない訳である。
自然の生成変化を基調とする日本文化では「空」の哲理を自然に取り入れる事が出来た。中村元氏の「(空とは)いかなるものにもとらわれないということです」という説明を見て「空」は日本語化即ち日本化されたのだと感じた。日本化とは日本語で表現出来るという事。「仁」は「思いやり」というように。
西洋の形而上学の徒が「空」を取り入れると、彼らの形而上学的世界観が解体されてしまう。故に取り入れる事は難しい。神智学が中観派だけは避ける理由である。一方、無理に取り入れようとすると「空」を実体視して改釈する。「空」が実体化して形而上学的概念として「とらわれる」対象になってしまう。
形而上学的体系を構築し世界に広めようとする事は、一つの「とらわれ」と言える。こうした「とらわれ」を否定するのが「空」。思想的世界統一を図るという志向を持つ限り、「空」の考えを拒否するのも当然と言える。神智学がチベットを“重視”しながら思想的影響がみられない理由をこのように分析する。
ティモシー・リンカーンは晩年に「照空」と名乗ったそうだが、実体論的な形而上学的思考に慣れ親しんだ西洋人の通弊として、ほぼ確実に「空」を理解していなかったと見てよいだろう。チベット仏教の基礎にある中観派は無視して、「密教」の方を西洋神秘主義的に改釈しカルト教義を作った可能性が高い。
5月8日
ティモシー・リンカーンは生涯に何度も改名したため「イグネイシャス・ティモシー・トレビッチ・リンカーン」とかなり長い名前になっている。「リンカーン」はあのエイブラハム・リンカーンから取っている。この中で「トレビッチ」が元々の名前なので、「トレビッチ・リンカーン」と表記する事にする。
トレビッチ・リンカーンのような西洋神秘主義者がチベット密教を好むのは、チベット密教が印度の「タントラ」の影響を受けているからだと分析する。彼らが好むのはあくまで「密教」の部分。西洋の秘密結社やオカルティストは密儀宗教を好んでおり、タントラ密教もその一種と受け取っていると思われる。
ヒトラーはチベットに傾倒する一面があったようである。オカルト・パワーが眠る「シャンバラ」がチベットにあると想定しベルリンにチベット僧の一派を招きオカルト儀式を行わせていたという説もある。彼らのチベット観は西洋近代オカルトのフィルターを通したものであり、後のオウム教義とも通底する。
ヒトラーを救世主として崇拝するサタニストの一派がオウムを肯定するのは、こうした西洋オカルト思想史の系譜から来ている事が分かる。「オカルト・パワーを得て世界を支配する力を得る」という誇大妄想的発想が共通している。晩年にチベット密教系カルトを主宰したトレビッチ・リンカーンもこの系統。
トレビッチ・リンカーンはダライラマ13世が亡くなった時に自ら「新しいダライラマ」と名乗ったそうである。この事からもトレビッチが主宰した宗教団体はチベット密教系を標榜した可能性が高いと見る。オウムは「反猶太」を標榜したが、彼らの思想的先行者には猶太人であるトレビッチがいた訳である。