・ネット中傷抑止狙い 侮辱罪の厳罰化を閣議決定 公訴時効も延長(毎日新聞 2022年3月8日)

※政府は8日の閣議で、侮辱罪の法定刑を引き上げるほか、懲役刑と禁錮刑を一本化して「拘禁刑」を創設する刑法改正案と、民事裁判をIT化するための民事訴訟法改正案をそれぞれ決定した。

現在の侮辱罪の法定刑は「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」で、刑法で最も軽い。インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を抑止するため、「1年以下の懲役もしくは禁錮」と「30万円以下の罰金」を追加して厳罰化する。公訴時効は現在の1年から3年に延びる。

さらに、刑事施設に収容して刑務作業を科す懲役刑と、収容するが作業が科されない禁錮刑を一本化して「拘禁刑」を設ける。受刑者の特性に応じた処遇を実施することで、立ち直りを支援する狙いがある。

IT化によって民事裁判の迅速化と効率化を図るため、民事訴訟法も見直す。裁判所への書面のオンライン提出や、口頭弁論へのウェブ参加、訴訟記録の電子化が可能となる。当事者双方の同意があれば、6カ月以内に審理を終結し、そこから1カ月以内に判決を言い渡す制度の創設も盛り込んだ。




コトバンク

侮辱行為とは,他人の人格的価値を否定する判断を表示して,その名誉感情を害するような一切の行為をいい,口頭によると文書によるとを問わない。 名誉感情を有する一切の者 (法人を含む) について,この罪が成立するが,死者については成立しない。 なお,事実を摘示して他人の名誉を害する場合は,名誉毀損罪 (230条) となる。



・「拘禁刑」創設&侮辱罪を厳罰化へ 刑法改正案が審議入り(FNNプライムオンライン 2022年4月21日)

※刑法の改正案が、衆議院本会議で審議入りした。

改正案では刑務所などに収容する刑のうち、刑務作業の義務がある懲役刑と義務がない禁錮刑を廃止し、2つの刑を一本化する「拘禁刑」を新たに創設する。

拘禁刑では刑務作業のほか、再犯防止のための教育などを受けることが出来るようになる。刑の種類の変更は115年前に刑法が制定されて以降、初めて。

また、インターネット上の誹謗中傷対策として「侮辱罪」を厳罰化し、「1年以下の懲役または禁錮」などを加える。

一方、厳罰化に代わり「加害目的誹謗等罪」を新設する立憲民主党の対案も審議入りした。


・侮辱罪厳罰化、「3年後の検証」明記 衆院法務委で可決(朝日新聞DIGITAL 2022年5月18日)
 
※侮辱罪の法定刑を引き上げる刑法改正案が18日、衆院法務委員会で可決された。採決に先立ち、表現の自由を制約していないかを3年後に検証することなどを付則に明記する修正が行われた。

侮辱罪の厳罰化はネットでの誹謗(ひぼう)中傷の深刻化を受けた措置。公然と人を侮辱するという構成要件は変えず、「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」という現行の法定刑に「1年以下の懲役・禁錮か30万円以下の罰金」を加えた。

法定刑の引き上げに伴い、逮捕する際の「住居不定」といった条件はなくなる。野党の一部は「政治家を批判したら逮捕されかねず、表現の自由が脅かされる」と批判。法務省と警察庁は、正当な言論活動は処罰対象ではなく、現行犯逮捕は「実際上は想定されない」とする政府統一見解を提出した。

■表現の自由、不当に制約していないか

そのうえで採決前の法案修正で、施行3年後に「表現の自由を不当に制約していないかを外部有識者を交えて検証し、結果に基づいて必要な措置を講じる」という付則が追加された。

同時に付帯決議も可決された。表現行為が公益を図る目的なら罰しない除外規定を求める反対派の意見を踏まえ、3年後の検証では「公共の利害に関する場合の特例の創設も検討すること」と政府に求めた。

刑法改正案には、再犯防止を図るために懲役刑と禁錮刑を一本化して「拘禁刑」を創設することなども盛り込まれた。