・オミクロン株、風邪ウイルスの遺伝物質取得の可能性=米研究(ロイター 2021年12月6日)
※新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、同じ細胞内に存在する別のウイルスの遺伝物質の一部を取得することで、少なくとも一つの変異を獲得した可能性が高い、という見解を米国の研究者らが示した。
この遺伝子配列は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の従来株には見られないが、風邪の原因となるウイルスを含む他の多くのウイルスには普遍的に存在し、ヒトのゲノム(人間の全遺伝情報)にも存在するという。
査読前論文サイト「OSFプレプリント」に2日に掲載された研究を主導した米データ分析会社nferenceのベンキー・サウンダラジャン氏は、この遺伝物質を取得することでオミクロン株は自身を「より人間のように」見せ、ヒトの免疫システムによる攻撃を回避している可能性があると指摘している。
これは、ウイルスにより感染しやすくなる一方で、症状は軽症または無症状になることを意味する可能性がある。オミクロン株が他の変異株と比べて感染力が強いかどうか、より重篤な症状を引き起こすかどうか、デルタ株に代わって主流になるかどうかはまだ分かっておらず、解明には数週間かかる可能性がある。
これまでの研究によると、肺や消化器系の細胞は、SARS-CoV-2と風邪のコロナウイルスに同時に感染し得る。こうした同時感染が起きれば、同じ宿主細胞に存在する二つの異なるウイルスが相互に作用しながら複製し、双方の遺伝物質を持つコピーを生成する「ウイルス組み換え」の場ができることになる。
サウンダラジャン氏らは論文の中で、この新しい変異は、両方のウイルスに感染した人の体内でSARS-CoV-2がもう一方のウイルスの遺伝子配列を取得したことで最初に起きた可能性があると指摘。
この遺伝子配列は風邪の原因となるコロナウイルスの一つである「HCoV-229E」のほか、エイズウイルス(HIV)でも多く確認されているという。
オミクロン株が最初に確認された南アフリカはHIVの感染率が世界で最も高い。HIVは免疫力を低下させ、風邪ウイルスやその他の病原体に感染しやすくなる。サウンダラジャン氏は、広く存在するこの遺伝子配列がオミクロン株に加わる組み換えが起きた可能性のある人がこの地域には多数くいると指摘する。
時間とともに繰り返し組み換えが起き、オミクロン株の出現につながった可能性があるという。
オミクロン株の変異の起源や感染力などへの影響についてはさらなる研究が必要だ。
以下「In Deep」様より転載
https://indeep.jp/is-omicron-a-product-of-natural-mutation/
・オミクロンってのは本当に自然の変異の産物なのか? …と思わせる「別の遺伝子の断片が挿入している」ことを判明させた国際的研究の解析結果
2021年12月5日
※12月3日に、カナダ、アメリカ、そしてインドの研究者たちによるオミクロン株の詳細な分析の論文が発表されました。
論文は以下にあります。
SARS-CoV-2 オミクロン変異体は、ウイルスまたはヒトゲノム起源の独特な挿入変異を持っている可能性がある
Omicron variant of SARS-CoV-2 harbors a unique insertion mutation of putative viral or human genomic origin
このタイトルに、
「挿入変異 (insertion mutation)」
という言葉があります。これまでにない新たなものが「挿入」しているのです。
これは今までのすべての新型コロナの変異体になかったものです。
論文の概要には以下のように書かれています。
「SARS-CoV-2 オミクロン変異体は、ウイルスまたはヒトゲノム起源の独特な挿入変異を持っている可能性がある」 概要より
※大幅に変異した SARS-CoV-2変異体(B.1.1.529、オミクロン)の出現は、最初の発見から 1週間以内に 6大陸に広がることで、世界的な公衆衛生上の警告が発せられている。
オミクロンの変異プロファイルを特徴づけることは、他の SARS-CoV-2 変異体とのその共有または特徴的な臨床表現型を解釈するために必要だ。
オミクロンの変異を、以前の懸念のある変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)、関心のある変異株(ラムダ、ミュー、イータ、イオタ、カッパ)、および の SARS を構成するすべての SARS-CoV-2 系統と比較した。
その結果、オミクロンのスパイクタンパク質には 26のアミノ酸変異(23の置換、2つの欠失、1つの挿入)があり、他の懸念される変異株とは異なっていた。
以前の SARS-CoV-2 系統では置換および欠失変異が見られたが、オミクロン以外の SARS-CoV-2 系統では挿入変異はこれまで観察されていない。
挿入変異をコードするヌクレオチド配列は、SARS-CoV-2 と同じ宿主細胞または SARS-CoV-2 に感染した宿主細胞のヒトトランスクリプトーム(細胞中に存在する全ての mRNA の総体)に感染する他のウイルスのゲノムを含むテンプレートスイッチングによって取得された可能性がある。
たとえば、季節性コロナウイルスによる COVID-19 患者の同時感染に関する最近の臨床報告を考えると、SARS-CoV-2 および季節性コロナウイルス侵入受容体の共発現を示す単一細胞 RNA シーケンスデータ、および季節性コロナウイルスをコードするヌクレオチド配列に相同な配列を含むゲノムでは、オミクロン挿入が同時感染した個体で進化した可能性がある。 (osf.io)
以下「In Deep」様より転載
https://earthreview.net/unnaturalness-in-the-evolution-process/
・SARS-CoV-2変異体の進化過程の不自然さと意図的な自然選択の可能性
zenodo.org 2023/08/05
概要
過去 3年間にわたり、SARS-CoV-2) はパンデミックを繰り返し、アルファからオミクロンまでのさまざまな変異型を生成した。
本研究では、SARS-CoV-2 分離株のうち、スパイクタンパク質に多くのアミノ酸変異を有するオミクロン変異体に焦点を当て、SARS-CoV-2 オミクロン変異体の形成に至る進化過程を解明することを目的とした。
SARS-CoV-2 オミクロン変異体の形成につながる変異の順序を決定するために、オミクロン BA.1 関連分離株 129株、BA.1.1 関連分離株 141株、BA.2 株 122株の配列を比較し、関連する分離株を見出し、SARS-CoV-2 オミクロン変異体の進化過程を解明しようと試みた。これには、SARS-CoV-2 オミクロン変異体の形成や相同組換えの発生につながる変異の順序が含まれる。
その結果、我々は、オミクロン分離株 BA.1、BA.1.1、BA.2 の一部の形成は、自然界で通常観察される突然変異や相同組換えの蓄積などのゲノム進化の産物ではないと結論付けた。
さらに、オミクロン BA.1 および BA.2 の 35の組換え分離株の研究により、オミクロン変異体が 2020年にすでに存在していたことが確認された。
ここで示された分析は、オミクロン変異体は、不可能なまったく新しいメカニズムによって形成されているということを示している。
SARS-CoV-2 の変異体がどのように形成されたかを知ることで、SARS-CoV-2 パンデミックの再考が促される。
※新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」は、同じ細胞内に存在する別のウイルスの遺伝物質の一部を取得することで、少なくとも一つの変異を獲得した可能性が高い、という見解を米国の研究者らが示した。
この遺伝子配列は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の従来株には見られないが、風邪の原因となるウイルスを含む他の多くのウイルスには普遍的に存在し、ヒトのゲノム(人間の全遺伝情報)にも存在するという。
査読前論文サイト「OSFプレプリント」に2日に掲載された研究を主導した米データ分析会社nferenceのベンキー・サウンダラジャン氏は、この遺伝物質を取得することでオミクロン株は自身を「より人間のように」見せ、ヒトの免疫システムによる攻撃を回避している可能性があると指摘している。
これは、ウイルスにより感染しやすくなる一方で、症状は軽症または無症状になることを意味する可能性がある。オミクロン株が他の変異株と比べて感染力が強いかどうか、より重篤な症状を引き起こすかどうか、デルタ株に代わって主流になるかどうかはまだ分かっておらず、解明には数週間かかる可能性がある。
これまでの研究によると、肺や消化器系の細胞は、SARS-CoV-2と風邪のコロナウイルスに同時に感染し得る。こうした同時感染が起きれば、同じ宿主細胞に存在する二つの異なるウイルスが相互に作用しながら複製し、双方の遺伝物質を持つコピーを生成する「ウイルス組み換え」の場ができることになる。
サウンダラジャン氏らは論文の中で、この新しい変異は、両方のウイルスに感染した人の体内でSARS-CoV-2がもう一方のウイルスの遺伝子配列を取得したことで最初に起きた可能性があると指摘。
この遺伝子配列は風邪の原因となるコロナウイルスの一つである「HCoV-229E」のほか、エイズウイルス(HIV)でも多く確認されているという。
オミクロン株が最初に確認された南アフリカはHIVの感染率が世界で最も高い。HIVは免疫力を低下させ、風邪ウイルスやその他の病原体に感染しやすくなる。サウンダラジャン氏は、広く存在するこの遺伝子配列がオミクロン株に加わる組み換えが起きた可能性のある人がこの地域には多数くいると指摘する。
時間とともに繰り返し組み換えが起き、オミクロン株の出現につながった可能性があるという。
オミクロン株の変異の起源や感染力などへの影響についてはさらなる研究が必要だ。
以下「In Deep」様より転載
https://indeep.jp/is-omicron-a-product-of-natural-mutation/
・オミクロンってのは本当に自然の変異の産物なのか? …と思わせる「別の遺伝子の断片が挿入している」ことを判明させた国際的研究の解析結果
2021年12月5日
※12月3日に、カナダ、アメリカ、そしてインドの研究者たちによるオミクロン株の詳細な分析の論文が発表されました。
論文は以下にあります。
SARS-CoV-2 オミクロン変異体は、ウイルスまたはヒトゲノム起源の独特な挿入変異を持っている可能性がある
Omicron variant of SARS-CoV-2 harbors a unique insertion mutation of putative viral or human genomic origin
このタイトルに、
「挿入変異 (insertion mutation)」
という言葉があります。これまでにない新たなものが「挿入」しているのです。
これは今までのすべての新型コロナの変異体になかったものです。
論文の概要には以下のように書かれています。
「SARS-CoV-2 オミクロン変異体は、ウイルスまたはヒトゲノム起源の独特な挿入変異を持っている可能性がある」 概要より
※大幅に変異した SARS-CoV-2変異体(B.1.1.529、オミクロン)の出現は、最初の発見から 1週間以内に 6大陸に広がることで、世界的な公衆衛生上の警告が発せられている。
オミクロンの変異プロファイルを特徴づけることは、他の SARS-CoV-2 変異体とのその共有または特徴的な臨床表現型を解釈するために必要だ。
オミクロンの変異を、以前の懸念のある変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)、関心のある変異株(ラムダ、ミュー、イータ、イオタ、カッパ)、および の SARS を構成するすべての SARS-CoV-2 系統と比較した。
その結果、オミクロンのスパイクタンパク質には 26のアミノ酸変異(23の置換、2つの欠失、1つの挿入)があり、他の懸念される変異株とは異なっていた。
以前の SARS-CoV-2 系統では置換および欠失変異が見られたが、オミクロン以外の SARS-CoV-2 系統では挿入変異はこれまで観察されていない。
挿入変異をコードするヌクレオチド配列は、SARS-CoV-2 と同じ宿主細胞または SARS-CoV-2 に感染した宿主細胞のヒトトランスクリプトーム(細胞中に存在する全ての mRNA の総体)に感染する他のウイルスのゲノムを含むテンプレートスイッチングによって取得された可能性がある。
たとえば、季節性コロナウイルスによる COVID-19 患者の同時感染に関する最近の臨床報告を考えると、SARS-CoV-2 および季節性コロナウイルス侵入受容体の共発現を示す単一細胞 RNA シーケンスデータ、および季節性コロナウイルスをコードするヌクレオチド配列に相同な配列を含むゲノムでは、オミクロン挿入が同時感染した個体で進化した可能性がある。 (osf.io)
以下「In Deep」様より転載
https://earthreview.net/unnaturalness-in-the-evolution-process/
・SARS-CoV-2変異体の進化過程の不自然さと意図的な自然選択の可能性
zenodo.org 2023/08/05
概要
過去 3年間にわたり、SARS-CoV-2) はパンデミックを繰り返し、アルファからオミクロンまでのさまざまな変異型を生成した。
本研究では、SARS-CoV-2 分離株のうち、スパイクタンパク質に多くのアミノ酸変異を有するオミクロン変異体に焦点を当て、SARS-CoV-2 オミクロン変異体の形成に至る進化過程を解明することを目的とした。
SARS-CoV-2 オミクロン変異体の形成につながる変異の順序を決定するために、オミクロン BA.1 関連分離株 129株、BA.1.1 関連分離株 141株、BA.2 株 122株の配列を比較し、関連する分離株を見出し、SARS-CoV-2 オミクロン変異体の進化過程を解明しようと試みた。これには、SARS-CoV-2 オミクロン変異体の形成や相同組換えの発生につながる変異の順序が含まれる。
その結果、我々は、オミクロン分離株 BA.1、BA.1.1、BA.2 の一部の形成は、自然界で通常観察される突然変異や相同組換えの蓄積などのゲノム進化の産物ではないと結論付けた。
さらに、オミクロン BA.1 および BA.2 の 35の組換え分離株の研究により、オミクロン変異体が 2020年にすでに存在していたことが確認された。
ここで示された分析は、オミクロン変異体は、不可能なまったく新しいメカニズムによって形成されているということを示している。
SARS-CoV-2 の変異体がどのように形成されたかを知ることで、SARS-CoV-2 パンデミックの再考が促される。