NSAは、イスラムが性的に保守的な宗教であることを利用して、宗教的な人物の性癖を暴いて拡散すれば支援者の彼らへの信用を失墜させることができると考えて、性的な活動についてモニタリングを行なっていました。 - エドワード・スノーデン(元NSA,CIA局員)
— 付箋 (@KDystopia) November 10, 2021
・ワクチンはハラル? インドネシアで議論 宗教的見解は(朝日新聞DIGITAL 2020年12月15日)
※世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアで、新型コロナウイルスのワクチンが戒律に沿う「ハラル」かどうかが議論となっている。国内最大のイスラム教団体の総裁だったマアルフ副大統領は「仮にハラルでなくても、緊急時は接種しなければ害が大きい」と呼びかけている。
同国には、中国シノバック製のワクチンが今月に到着したばかり。保健省は国営製薬会社と協力して最終の臨床試験を始めた。同省の報道官は14日の会見で、「緊急使用の許可に加えて、ハラル認証を担うインドネシア・ウラマ評議会(MUI)による宗教的見解(ファトワ)を待っており、実用化がいつになるかはわからない」と述べた。
インドネシアでは2010年、髄膜炎が流行してメッカ巡礼にワクチン接種が必要となった時も、ワクチンとハラル認証をめぐる問題が注目された。欧州製のワクチンに「豚肉成分が含まれている」と判明し、国民的な議論に。MUIが「緊急事態では使用できる」との見解を出して落ち着いた。
最近も風疹ワクチンで同様の問題が起きている。マアルフ副大統領は髄膜炎を例に挙げ、「ファトワがあれば問題ない。(新型コロナでは)ワクチンを使わないと、害が出たり、病気を長引かせたりする可能性がある」と語った。
・新型コロナワクチンは「ハラル」か 東南アジアのイスラム教国で議論(産経新聞 2020年12月19日)
※東南アジアのイスラム教徒が多数派を占める国で、新型コロナウイルスのワクチンが、同教の戒律に従って信者の摂取が許される「ハラル」かどうかについて懸念が起きている。感染拡大の阻止を目指す各国政府は接種を推奨したい考えだが、戒律上の懸念が起きることで新型コロナ対策に影響する可能性がある。
イスラム教はアルコールや豚肉などの禁忌があるが、医薬品やワクチンなどでも製造過程や成分が戒律に沿うかどうか議論となることがある。
イスラム教徒が人口の約9割を占めるインドネシアのアミン副大統領は8月、新型コロナのワクチンは「ハラルであるべきだ」と指摘。その後、発言を修正したが、アミン氏は国内で権威を持つ聖職者組織「インドネシア・ウラマー評議会(MUI)」幹部でもあり、波紋が広がった。
政府の国民を対象にした調査によると、約35%がワクチン接種を拒否、または躊躇(ちゅうちょ)している。理由として、「ワクチンの信頼性」への懸念のほか、「宗教上の考え」が含まれている。ネット上ではワクチンが「ハラルではない」という主張もあり、不安を広げている可能性もある。
インドネシアの新型コロナ感染者は65万人を超え、東南アジアで最多。ジョコ大統領は16日、「ワクチンは自分が率先して接種する」と話し、国民の懸念払拭を目指している。
同様の懸念はイスラム教を国教とするマレーシアでも起きており、イスラム教団体が対応を協議している。
・イスラム教徒が多い国 コロナワクチン「問題なし」、政府や法学者の見解相次ぐ(毎日新聞 2020年12月27日)
※新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、イスラム教徒が多い国ではワクチン接種について政府やイスラム法学者が「問題ない」との見解を相次いで出している。
・コロナワクチンはイスラム教の禁忌に触れるのか?(日経ビジネス 2021年1月5日)
保坂 修司
日本エネルギー経済研究所理事・中東研究センター長
※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し始めた当初からイスラーム(以下、イスラム)世界の一部で話題になっていた興味深い議論が、ワクチン実用化が現実になりつつある現在、改めて注目されている。その議論の主役の1つは中国である。
さて、中国は新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生源とされ、米国などから激しい非難を浴びていた。その汚名返上の意味もあるのだろう、中国は発展途上国を中心に積極的な外交攻勢をかけた。まずは、マスク不足に悩む発展途上国に大量のマスクを配るマスク外交を展開。最近ではそれに加えて、中国が開発したワクチンを多くの国々に提供している。
すでに中東を含むイスラム世界ではバハレーン(以下、バーレーン)やアラブ首長国連邦(UAE)、エジプトなど、東南アジアではインドネシアやマレーシアなどで中国製ワクチンの承認・接種が始まっている。中国がこれを「健康シルクロード(健康丝绸之路)」と呼んでプレーアップするのに対して、欧米のメディアはこの「シルクロード」を「一帯一路」構想を医療の面で補強するものとして警戒感を強めてきた。
ただ、欧米メディアが指摘するのは、それだけではない。中国のワクチン開発や製造過程が不透明であり、国際的な基準を無視しているとも指摘している。したがって効果や副作用などでの不安は依然として払拭されていない。
コロナワクチンはハラールか?
最近、イスラム世界で議論になっているのは、実はこれではない。中国製を含め、新型コロナウイルスに対するもろもろのワクチンがイスラム的に許されるかどうかという議論である。日本ではあまり報道されていない点だ。
要するに、コロナウイルス用ワクチンが「ハラール」なのか「ハラーム」なのか、だ。簡単にいえば、イスラム法(シャリーア)で許されているものがハラールであり、許されていないものがハラームである。日本でもハラール認証(日本ではハラル認証とも)などのかたちでだいぶ認知されるようになっている。ただし、日本でハラール認証というと、食品ばかりが取り上げられるが、実際には医薬品も含まれるし、もっと幅広く人間の行為全般に当てはめることができる。
ハラールと認定されていれば、イスラム教徒は安心して口にしたり、行動したりできるが、ハラームとされれば、敬虔(けいけん)なイスラム教徒は食べたりすることができなくなる。
この議論ははじめインドネシアやマレーシアなど東南アジアのムスリム諸国で活発になった。中東ではそれほど大きな議論にはなっていなかったが、さすがにここにきて、イスラム法の指導者たちから相次いで意見が出てくるようになった。
・中国製ワクチンは「ハラル」 イスラム教徒最多国で認証(朝日新聞DIGITAL 2021年1月15日)
※世界最多のイスラム教徒を抱えるインドネシアで新型コロナウイルスの中国製ワクチンが戒律に沿う「ハラル」と認証され、ジョコ大統領が第1号として13日に接種した。接種を義務化し罰則も設けた政府に、反発する声も上がっている。
首都の大統領宮殿でこの日の朝、マスク姿のジョコ氏が左腕の半袖をまくり、中国のシノバック製ワクチンの接種を受ける姿がテレビ中継された。ジョコ氏は「大流行から解放される努力が始まった。接種が順調に進むことを願う」とツイート。大臣らも接種し、国民の間にシノバック製ワクチンへの懸念が根強いなか、政権を挙げて効果や安全性をPRした。
同国では過去に、髄膜炎や風疹のワクチンが、原料に豚肉成分を使わないことなどイスラム教の戒律に沿う「ハラル」かどうかが国民的議論となった。政府は「仮にハラルでなくても緊急時は接種しなければ害が大きい」(副大統領)と強調。ハラル認証を担うインドネシア・ウラマ評議会(MUI)も中国で製造工程を確認した上で「戒律に反しない」との見解を示した。
同国では最近、新規感染者が連日1万人前後まで増加している。政府は接種を国民の義務とし「ワクチン接種は免疫を作る」「一緒に流行を抑え込もう」といった歌詞の歌も作って国民にアピールする一方、法務人権省副大臣は11日、接種を拒めば「最長1年の禁錮か最大1億ルピア(約73万円)の罰金が科せられる可能性がある」と述べた。
一方、政府が大量に輸入したシノバック製ワクチンは、国内の治験で確認された効果は65・3%にとどまる。効果や安全性への懸念から、ジョコ氏が所属する闘争民主党の議員が接種を拒み、「罰金を払う方がいい。人権侵害で強制すべきではない」と声明を12日に出すなど足並みの乱れも出ている。
・「不浄」とされるブタ成分含むワクチンも「戒律に反しない」 エジプトのイスラム教最高機関が接種呼び掛け(東京新聞web 2021年1月25日)
※エジプトのイスラム教最高権威機関「ダール・アル・イフタ」が、新型コロナウイルスのワクチンに関するファトワ(宗教見解)を相次いで出し、イスラム教徒に接種を呼びかけている。エジプトでは24日から、一般に先駆けて医療関係者の接種が始まった。
21日に出されたファトワでは、医師が必要であると判断した場合、「社会全体を守るため、ワクチン接種は義務」とした。先月末には、イスラム教で「不浄」とされるブタ由来の成分を含んだワクチンを接種しても、戒律に反しないとするファトワを発表。「加工されればブタとはみなされない」と説明している。
◆インドネシアやUAEでも接種進む
ワクチン接種を巡っては、一部にブタ由来の成分が含まれるとして、一部のイスラム教徒から接種を不安視する声が上がっていた。世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアやアラブ首長国連邦(UAE)でも「問題なし」とするファトワを出し、現在は接種が進んでいる。一方、インドメディアによると、インド南部ムンバイでは一部のイスラム法学者が接種に反対している。
ファトワはイスラム教徒の必要に応じ、権威的法学者が示す宗教見解。法的拘束力はなく、従うかどうかは個人の判断となる。
・インドネシア イスラム教のラマダン始まる ワクチン接種は可能(NHK NEWS web 2021年4月13日)
※新型コロナウイルスの感染者が東南アジアで最も多いインドネシアで、イスラム教徒が日中の飲食を断つ断食月、ラマダンが始まりました。断食中のワクチン接種について、飲食に当たるのではないかと不安の声が出ていたのに対し、イスラム教団体が問題ないとの見解を示すなど対応に追われました。
インドネシアでは、新型コロナウイルスの感染者と死者が東南アジアで最も多く、今月に入ってからも一日当たりの新規の感染者が4000人を超える日が続いています。
13日から日中の飲食を断つ断食月、ラマダンが始まりましたが、国民の9割近くを占めるイスラム教徒からは、ワクチン接種が飲食に当たるのではないかと不安の声が出ていました。
このため、国内のイスラム教団体は先月「筋肉に打つので断食を無効にするものではない」として、問題ないとの見解を示すなど対応に追われました。
首都ジャカルタの病院で、13日接種を受けた27歳のイスラム教徒の女性は「断食中にワクチンの接種を受けても大丈夫だという見解が示されていたので、安心しています」と話していました。
インドネシアでは、イスラム教団体がワクチンについて、イスラム教の戒律に反していない方法で製造されたものと認める「ハラル認証」をするなど、国と協力してワクチン接種を進めようとしています。
夜間に接種を
インドネシアのイスラム組織を統括する団体のアンワル・アバス事務局長は「口からワクチンを投与するのであれば断食を妨げることになるが、筋肉に注射する方法はイスラムの教えに反しない」と指摘しています。
そのうえで「ワクチンの目的はイスラム教徒とそのコミュニティーを守ることだ。非常に重要なもので、ラマダン中も接種を受けなければならない」と話しています。
また、接種を受ける時間帯については「体に異変を感じたとき飲食することができるので、夜間に受けたほうがよい」と述べ、ラマダン中でも飲食が許されている夜間に接種するよう呼びかけています。
・英製ワクチンは「非イスラム」 接種加速へ難題―インドネシア(時事ドットコム 2021年04月14日)
※人口の87%をイスラム教徒が占めるインドネシアで、英国製の新型コロナウイルスワクチンが有力イスラム団体から「非イスラム」と認定され、接種への影響が懸念されている。コロナ禍収束へ接種を加速したい政府は難題を抱え込んだ格好だ。
ワクチン接種は1月にスタート。当初は中国製だけだったが、英製薬大手アストラゼネカ製の111万回分が3月8日に到着した。政府はその2週間前に緊急使用許可を出し、接種の加速を期したが、海外での「血栓」報告を受け一時保留した。
政府がその後再び許可すると、イスラム指導者評議会(MUI)が「アストラ製ワクチンはハラム(イスラム教で禁忌の意味)」とするファトワ(宗教令)を出した。「製造過程で豚の成分が使われた」のが理由。同時に「緊急性やワクチン不足を考慮し使用を認める」との見解も示したものの、「もともと低いワクチンへの信頼感がさらに低下する」(野党議員)懸念が広がった。
国民の間ではワクチンに対する抵抗感が根強く、2月の世論調査では41%が「接種を拒否する」と回答。「ハラル(イスラム教で合法の意味)製品しか接種しない」は82%にも達していた。
「ファトワの影響に気をもんだ」(地元メディア)ジョコ大統領は、アストラ製の接種開始に立ち会い、MUIも使用を認めた点を強調。接種第1号には、イスラム教徒が94%を占める東ジャワ州のイスラム指導者が選ばれた。
MUI議長だったマアルフ副大統領の報道官も「ハラムか否かを問うべきでない」と接種を呼び掛けたが、不信感は消えない。東ジャワ州のイスラム学校長は「禁忌なのに使用許可はあり得ない」と反発し、同校教師1000人に接種を禁じた。
政府は「全人口の67%に当たる1億8150万人への接種を来年3月までに完了する」という目標を掲げるが、今月12日時点で2回の接種を終えた人は531万人と全人口の約2%にとどまる。アストラ製ワクチンは「生産国の禁輸」(保健省)で調達も遅れており、政府は今月から接種者数を減らしている。