※ブログ主コメント:部分的に論者の認識に事実誤認が含まれるかもしれませんが、おおむね当たっていれば問題ないと思います。




































































・京王線で70代男性刺され重体 計17人けが、24歳男逮捕(共同通信社 2021年11月1日)

※31日午後8時ごろ、東京都調布市を走行中の京王線京王八王子発新宿行き特急(10両編成)で、男が刃物で乗客の70代男性を刺し、さらに油のような液体をまいて火を付けた。男性は意識不明の重体。転倒したり煙を吸ったりして10~60代の男女16人がけがをした。16人は軽傷とみられる。警視庁は殺人未遂容疑で住所、職業不詳の自称服部恭太容疑者(24)を現行犯逮捕した。「人を殺して死刑になりたかった」と供述している。

「2人以上殺せば死刑になると思った。(8月に起きた)小田急線の事件を参考にした。ライターオイルをまいた」とも話し、警視庁が詳しく調べている。


・京王線殺人未遂容疑者「死刑になりたくて、小田急事件を参考に」(毎日新聞 2021年11月1日)

※31日午後7時55分ごろ、東京都調布市の京王線布田―国領間を走行中の京王八王子発新宿行きの上り特急電車(10両編成)内で、男性が突然刃物を振り回した。その後、男性は6両目(5号車)に移って油のような液体をまいた後に火を放ったとみられる。車内で火災が発生し、床と座席が焼けた。

東京消防庁や警視庁によると、10~70代の乗客の男女17人(男性8人、女性9人)が病院に搬送され、このうち先頭から8両目で右胸を刺された70代男性が意識不明の重体。他の16人は液体をかけられるなどして目やのどの痛みなどを訴えているが、命に別条はないとみられる。

特急電車は通過予定だった国領駅に緊急停車した。警視庁は9両目にいた男性を確保し、殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。「服部恭太、24歳」と名乗り、「人を殺して死刑になりたかった。2人以上殺せば死刑になると思った。(8月に起きた)小田急線の事件を参考にした」と供述しているという。男性は刃物(刃渡り約30センチ)を所持しており、同庁が詳しい状況を調べている。

事件発生直後から一時、京王線つつじケ丘―飛田給間と、京王相模原線調布―若葉台間の上下線は運転を見合わせた。


・「死刑になりたかった」自称24歳 仮装の男を確保(テレ朝news 2021年11月1日)

※東京・調布市を走行中の京王線の電車内で男性が刃物で刺されて意識不明の重体となっている事件の続報です。男は8月に起きた小田急線の事件を参考にしたと供述しています。

火災は京王線新宿行きの特急列車5両目の車内で起きました。

10月31日午後8時ごろ、調布市の国領駅付近を走行する京王線の電車内で出火。男性が刺されました。男性は意識不明の重体です。他に16人がけがをしています。

男性を刺した男は殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されました。

捜査関係者によりますと、バットマンの悪役「ジョーカー」の仮装をしていたということです。

電車内にいた人:「ハロウィンだからそういう若者もいるんだなと思っていたけど、後ろを見たら様子がおかしくて、一番後ろの方に刃物を振り回している男性がいて」「(Q.持ち物は)長いナイフのようなものを持っていて、それに鮮血がついてるような感じ」

液体をかけられた男性の妻:「(Q.どういう状態で被害に遭った)座っていて、液体をかけられた」「(Q.ペットボトル)だと思う」「(Q.表情は)犯人は無表情だったことしか」

当時、車内は満席状態で、多くの人が乗車していたといいます。乗り合わせた乗客は。

電車内にいた人:「ちょっと逃げようということで、自分も上にあがって逃げてきました」「(Q.その時においとかは)においはどんどん強くなっていて、刺激臭みたいなツーンとするにおいが」

逮捕された男は容疑を認めていて、「人を殺して死刑になりたかった」「小田急線の事件を参考にした」と話しているということです。


・「ハロウィーンで人が多い電車狙った」京王線切りつけ、容疑の男供述(朝日新聞DIGITAL 2021年11月1日)

※東京都内を走る京王線の電車内で10月31日夜、乗客が切りつけられるなどして17人が重軽傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された男が「仕事を失って嫌になった。2人以上殺して死刑になりたかった」「ハロウィーンなので人がたくさん乗っていると思い、電車を狙った」などと供述していることが捜査関係者への取材でわかった。

警視庁によると、逮捕されたのは職業、住所不詳の服部恭太容疑者(24)。同日午後8時ごろ、京王八王子発新宿行きの特急電車(10両編成)で、70代男性の右胸を刃物で刺して殺そうとした疑いがある。男性は意識不明の重体。刃物は刃渡り約30センチで、洋風のナイフのような形状で、服部容疑者は「(ネット通販大手の)アマゾンで買った」などと話しているという。男性とは面識がなかったとみられる。

服部容疑者は男性を刺した直後に油をまいて火を放ったとみられ、車内には煙が充満した。警視庁によると、10~60代の男女16人が煙を吸ったり液体をかけられたりするなどして軽傷を負った。

服部容疑者は警視庁の調べに対し、「ハロウィーンでにぎわう渋谷を訪れた」と説明。供述や防犯カメラの映像から、京王井の頭線と京王線で調布駅(調布市)まで移動し、同駅から特急に乗ったとみられる。同庁は、服部容疑者が発車直後に先頭から8両目に座っていた男性を刃物で刺したとみている。車両を移動して6両目の座席シートに火を付けた後、緊急停車した国領駅(同市)で駆けつけた警察官に取り押さえられたという。

服部容疑者は「疲れた」などと供述し、渋谷に赴いた理由について「ハロウィーンに興味があった」といった説明をしたという。



・小田急事件車両はカメラ導入済み サリン事件きっかけに各社対策進める(日刊スポーツ 2021年8月7日)

※日本の鉄道会社は1995年3月に発生した地下鉄サリン事件をきっかけとして、乗客乗員の安全を確保するため、駅構内への防犯カメラの設置やテロ対策訓練の実施などに乗り出した。

その後、東海道新幹線の放火事件(2015年)や、乗客3人が刃物で殺傷された事件(18年)が発生。客室内に防犯カメラを導入したり、乗務員らが使う護身用の盾や刃物を通さないベスト、催涙スプレー、止血パッドなど医療用品の配備が進んだりした。

また、JR東日本は主要駅や車両基地などに設置した防犯カメラをネットワーク化し、専門部署で一元管理。JR東海も新幹線全17駅の防犯カメラ画像を24時間体制で監視する取り組みを始めた。

近年は首都圏大手私鉄の在来線車両でも車内に防犯カメラ設置が進む。小田急電鉄は昨年から運用を始め、今回事件が起きた最新車両「5000形」でカメラを導入。東急電鉄も昨年、データ通信が可能な新型の防犯カメラを同社の車両約1200両全てに配備した。

一方、所持品チェックなどはプライバシー保護の観点や鉄道の利便性を損なう恐れが指摘されている。


・鉄道乗客の手荷物検査を可能に 国交省、省令を改正へ(朝日新聞DIGITAL 2021年5月11日)

※国土交通省は、鉄道会社が鉄道利用客に対して手荷物検査を行えるようにするため、関係省令を改正する方針を固めた。新幹線車内で乗客が刃物で殺傷されるなどの事件が続いたことを受け、危険物を持ち込ませないよう徹底を図る。東京五輪の期間中に主要駅で実施することも見据え、7月1日施行を目指すという。

検査を拒否した場合は列車や駅敷地からの退去を要求できる権限も鉄道会社に与える。ただ、海外で導入している先行例に比べ、日本の鉄道は分刻みの過密ダイヤで、大きな混雑や運行の妨げにつながりかねない。鉄道関係者には懸念する意見もあったが、国交省は利便性が損なわれない方策の検討を進めることで五輪前の改正に道筋をつけた。衣服の下に隠された物体を検出する装置などで不審者を絞り込んだうえで、手荷物検査を行うことを想定する。

鉄道への危険物の持ち込みは鉄道営業法に基づく鉄道運輸規程で禁止されている。だが、2018年6月に東海道新幹線の車内で乗客3人が刃物で殺傷されるなど、鉄道内で危険物による事件が相次いで発生。東京五輪・パラリンピックに向けてテロ対策の強化も求められる中で、国交省が実証実験をするなど検討を進めていた。

手荷物検査についてはこれまで法令の定めがなかったため、今回の省令改正で「手荷物等の点検を行うことができる」という規定を新設する。客が拒否した場合には「客車または鉄道地内からの退去を求めることができる」ことも明記。6月1日公布、7月1日施行を予定している。


・鉄道会社の「手荷物検査」、現実には高いハードル 省令改正で「拒否なら強制退去」も運用には課題(東洋経済ONLINE 2021年6月11日)

小島 好己 : 翠光法律事務所弁護士

※日本の鉄道は比較的安全とされるが、それでも時々世間を揺るがす凄惨な事態が起きる。1995年の地下鉄サリン事件は世間を震撼させたが、最近でも、2015年に走行中の東海道新幹線の車内で男が焼身自殺を図り、他の乗客が巻き添えになって死亡、車両も毀損するということがあった。2018年には同じく東海道新幹線の車内で刃物による殺傷事件が発生している。

これまでも、関係法令には駅や列車内での危険行為を予防するための規定があったが、手荷物検査に関しては明文化されていなかった。

国土交通省は6月8日、東京五輪・パラリンピックを前に、セキュリティーの一層の向上を目指し、省令である鉄道運輸規程の改正を公布した。施行日は7月1日。

持ち込みは以前から禁止

もともと、鉄道営業法第2条を根拠とする鉄道運輸規程の第23条では、列車内への持ち込みを禁止される物品として、爆発や自然発火の可能性のあるもの、銃砲、酒類や油のような引火しやすいもので少量ではないもの、刃物などが列挙されている。

禁止品を車内に持ち込んだり、持ち込もうとしたりする旅客がいる場合、鉄道係員はその旅客を列車外や敷地外へ退去させることができる(鉄道運輸規程第24条第1項)。

一方、追い出された旅客はすでに支払った運賃や料金を払い戻すことを請求できない(同規程第24条第2項)。列車に限らずサービス提供にあたっての禁止事項を破った場合にはサービスの対価として支払った料金の払い戻しをしないということはよくあることだ。

しかし、鉄道運輸規程が定めるペナルティーはこれにとどまらない。鉄道営業法上の刑罰規定に該当する場合にはその刑罰(同法第35条)を受ける可能性があるほか、

①旅客が有していた乗車券の区間に相当する荷物運賃と10倍以内の割増運賃を請求できる。ただし、有効な乗車券を持っていなかった場合には乗車列車の運転区間の運賃の10倍以内の割増運賃を請求できる

②危険物については1kgあたり1000円以内の割増運賃を請求できる

③損害が発生している場合にはさらに損害賠償請求をすることもできる
という3段重ねが用意されている(鉄道運輸規程第24条第3項、第4項)。

これを受けて、たとえばJR東日本の旅客営業規則第312条でも同様の規定が用意されている。ただし、②に関連した規定では、火薬類はkgあたり1000円、その他の危険品はkgあたり300円とされている。

手荷物検査のルールを明文化

しかし、冒頭に述べた地下鉄サリン事件では猛毒のサリンが、東海道新幹線での焼身自殺事件ではガソリンが、列車内に持ち込まれた。法令で禁止していても、実効性を担保する手段・制度が整っていなかった、というのが危険物の持ち込みを排除できなかった理由の1つであろう。

そのため今般、国交省は安全な鉄道輸送を確保するために手荷物等の点検のための規定を法令の中に盛り込み、鉄道事業者が必要な点検を適切に実施できる環境を整備することにした。

6月8日に公布した鉄道運輸規程の一部を改正する省令によれば、鉄道運輸規程に新たに第25条の2を設け、携帯品の点検についての規定を定めた。なお、原文は漢字カタカナ表記で堅苦しい言葉遣いになっているが、読みやすくして紹介する。

①鉄道係員は、旅客が第23条第1項第1号から第3号に掲げる物品を客車内に持ち込むこと、その他危害を他に及ぼすおそれのある行為を防止するために特に必要があると認めるときは、旅客または公衆の立会いのもとで携帯する物品を点検することができる。この場合には旅客または公衆に対しその点検に必要な協力を求めることができる(第25条の2第1項)

②旅客または公衆が前項の点検または協力の要求を拒否した場合には、鉄道係員は、その旅客または公衆に対し、車外または鉄道地外に退去することを求めることができる(第25条の2第2項)

実際には大規模イベント開催時の会場周辺駅での実施などに限られそうだが、どのように禁止品(とくに危険物)の持ち込みを阻止するための点検をするのだろうか。

航空機であれば搭乗前に手荷物検査を含めた保安検査があり、機内持ち込みに関しては厳格に管理されている。しかし、列車が駅を発着する本数は飛行機が離着陸する頻度と比較にならないくらい多い。乗降客数も考えると空港のような保安検査は事実上不可能である。厳格に行えば、鉄道の持つ利便性が損なわれるという意見もある。

行きかう多数の人全員を対象にして網をかけるのが困難ということであれば、たとえばAIなどの最先端技術を利用して「怪しい」と選定した人のみを対象に手荷物検査への協力を求めるのか、まったくランダムに抜き打ちで行うのか、という選定方法を定める必要もある。点検対象者の選定・特定の手法によっては、乗客のプライバシーなどを指摘する声が上がることも予想される。

国交省はこれまでにボディースキャナーや爆発物探知犬を使った実証実験を実施してきており、今後具体的な方法が検討されそうだ。

利用者の理解が不可欠

また、現場の対応として、これまで“乗る者拒まず”的な面の強かった公共交通機関たる鉄道の係員が、合理的な理由なく手荷物検査への協力を拒否した旅客に対して、現実に乗車拒否や敷地外への退去を強制するという毅然とした対応をとらせることができるのか、というのも具体的な運用上問題になるだろう。

いかに法令や制度を整えたとしても、それが適正かつ効果的に運用されなければ画竜点睛を欠くことになる。そして鉄道事業者や現場が安全確保のための手段を適正かつ効果的に運用するためには、市民や利用者がその手段へ理解を深め協力に応じるという社会的な素地が作られることも必要である。

もちろん、鉄道事業者や現場の係員が手荷物検査を行うにあたって、恣意的・差別的な運用をしたり旅客のプライバシーその他の利益を必要以上に侵害したりすることは許されない。省令の改正だけにとどまることなく、鉄道事業者と利用者が相互に理解を深め、より安全な鉄道輸送が担保されることを望む。
 

・電車内警備、制約多く 国交省担当者「解決策ない」(時事ドットコム 2021年11月01日)

※走行中の京王線車内で10月31日夜、乗客が男に刃物で刺されるなどした事件。8月には小田急線でも乗客らが男に刃物で切り付けられ、国土交通省が対策を取りまとめていた。ただ、制約の多い電車内の警備については従来の方針を踏襲するにとどまっており、担当者は「これをやれば解決するという策がない」と頭を悩ませている。

国交省は小田急線の事件を受け、大手鉄道事業者の安全統括管理者らと会議を開き、9月に対策を取りまとめた。ただ、内容は駅員や警備員による巡回強化や防犯カメラの増設など、東京五輪・パラリンピックに向けた警備強化方針と重なる部分も多かった。
 
国交省の担当者は取りまとめについて「制約がある中で現実的な対策を検討した結果」と話す。会議では、全駅全車両に警備員が乗るのが理想だがコスト面で難しく、車両内に防護装備品や医療器具を載せるにはスペースの制約があるなどの意見が出たという。
 
危険物の持ち込みについても、乗降客の多い鉄道路線で全ての手荷物を検査するのは難しいと指摘されてきた。五輪・パラ期間中にはJRの主要駅などで危険物探知犬による探知が行われたが、担当者は「在来線の全駅全改札で常に実施できるわけではない。解決策がない中で、事件をどう防いでいくかは課題と捉えている」と話した。


・鉄道各社、対策急ぐ 手荷物検査「非現実的」の声―京王線刺傷(時事ドットコム 2021年11月07日)



※京王線の電車内で乗客17人が無差別にナイフで刺されるなどした事件。8月には小田急線車内で乗客10人が襲撃される事件もあった。鉄道やバス会社は車両内の巡回強化や防犯用品拡充といった対策を急ぐが、手荷物検査の実効性など乗客の安全確保に向けた課題は多い。

京王電鉄は今回の事件を受け、長距離区間を停車せずに走る座席指定列車「京王ライナー」に新たに警備要員として社員1人を配置。京王線全体では、駅員や警備員に加え、本社社員も改札口やホームの巡回に当たらせるなど警戒強化に取り組む。
 
小田急電鉄は、乗務員用の防刃手袋や盾の車内配備を急ぐ。腕章を付けた社員を駅構内や車内の巡回に投入し、不審な人物への声掛けなどを始めた。臨海部を走る新交通システム「ゆりかもめ」も、防刃ベストやさすまたを調達する計画だ。
 
ただ、電車やバスに凶器を持ち込ませない対策には課題が多い。
 
国土交通省は東京五輪直前の7月から駅員が乗客の手荷物検査をできるよう省令を改正したが、鉄道会社関係者は「利用客の利便性などを考えると継続的な検査は現実的に難しい」と指摘。バス会社の担当者も「乗務員は運転士1人しかおらず検査は厳しい」と対策の難しさに頭を抱える。
 
警視庁鉄道警察隊の担当者は「駅と警察署の合同訓練を増やすなどして一層、警戒を強めていくしかない」と話している。



※類似例

・高速列車内に「刃物男」乗客切り付け3人重傷 ドイツ(テレ朝NEWS 2021年11月7日)

※ドイツの高速列車の車内で男がナイフで乗客を切り付け、3人がけがをしました。警察はシリア国籍の男を逮捕し、調べを進めています。 乗客の男性:「座っていたら突然、『刃物男だ』と叫びながら人が駆け込んできた。妻を捜しに行くと、床にけがをした男性が倒れていた」 現地メディアなどによりますと、ドイツ南部バイエルン州で6日午前、走行中の高速列車内でナイフを持った男が突然、乗客を切り付けて3人が重傷を負いました。3人の命に別状はないということです。 男はシリア国籍の27歳で、警察は事件の直後に殺人未遂の疑いでこの男を逮捕し、犯行の動機などを調べています。 列車は当時、200人から300人ほどの乗客を乗せ、バイエルン州のレーゲンスブルクとニュルンベルクの間を走行していました。


・こども園侵入男「2人殺せば死刑になると」(NNN24 2021/11/11)

※宮城県登米市の認定こども園に刃物を持った男が侵入した事件で、男は「2人殺せば死刑になると思った」などと供述していることが分かりました。

11日午前、銃刀法違反などの疑いで大槻渉容疑者(31)の身柄が仙台地検に送られました。

警察によりますと、大槻容疑者は9日午前、登米市の『豊里こども園』に刃渡り12センチの包丁を持って侵入した疑いが持たれています。事件当時、こども園には、園児と職員合わせて250人がいましたが、けが人はいませんでした。

これまでの調べに対し、大槻容疑者は「2人殺せば死刑になると思った」などと話しているということです。また、包丁は自宅から持ち込んだもので、警察は、計画的な犯行の可能性もあるとみて捜査しています。



・電車内の犯罪を防げ!不審者検知「ディフェンダーX」のスゴイ実力(FRIDAY DIGITAL 2021年11月15日)



(上)2013年に発生したボストンマラソン自爆テロ犯人映像の解析結果。リアルタイム監視映像だけでなく、過去の録画映像からも不審者の検知することが可能だという


※自爆テロ型犯罪…不審者を検知する「ディフェンダーX」

11月8日、九州新幹線の車内で男が液体を床にまき、火をつけるという事件が起きた。10月31日のハロウィーンの夜、東京都調布市の京王線国領駅付近を走行中の車内で、仮装した男が刃物で乗客を切りつけ、液体をまいて火をつけるという事件が起きている。九州新幹線の犯人は、この京王線での事件を真似したのだと言っている。11月6日、東西線門前仲町駅付近で刃物男が出現。電車を利用する人々を恐怖に陥れている。

こうした事件を防ぐ手立てとして脚光を浴びているのが「ディフェンダーX」だ。

人間は緊張すると、顔の皮膚に精神的なストレスによる一過性の“ふるえ”が現れる。「ディフェンダーX」は、その“ふるえ”を検知するソフトウェアだ。検知すると、画面上でその人物が赤い枠で囲まれる。ソ連時代のロシアで軍事用に開発されたもので、2014年に行われたソチオリンピックではすべての入場ゲートに設置され、期間中約2600人を検知し、そのうちの92%が危険物所持や薬物所持、あるいは入場券をもたない不正入場者だったという検証結果も得られている。

国内でも2018年の伊勢志摩サミットをはじめ、現在では小売業では万引きや盗撮の防止に、食品会社では異物混入の防止、製造業では物品の持ち出し防止、倉庫業では商品の抜き取り防止など、さまざまな業種で導入されている。東京オリンピックでも、観客を入れて自転車競技が行われた静岡・修善寺駅で導入された。

「日本では民間の警備会社や企業が導入しているようです。鉄道会社も導入すればいいのにと思います」

こう言うのは、日本人で初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了し、立正大学で犯罪学を教えている小宮信夫氏。

◆自殺のサインや困っている人を見つけることも…

「『ディフェンダーX』は不審者事前検知システムとも呼ばれていますが、僕は検知された人を『声かけ対象者』とするのがいいのではと考えています。人間はさまざまな理由で緊張します。何か困っていることがあるのかもしれないし、駅であれば、これから線路に飛び込もうとしているのかもしれない。それを人間の目で見極めるのは不可能。だけど、『ディフェンダーX』を使って、赤く囲まれた人がいたら、警備員や駅員が『大丈夫ですか?』『何かお困りのことがあるんですか?』などと声をかける。それだけで自殺や犯罪を防げる可能性があるんです」

ところが、新しいテクノロジーの導入を提案すると、必ずテクノロジー懐疑派が反対するという。理由は大きく分けて2つ。1つは「人権侵害になる」ということ。

「今、防犯システムの1つとして、顔認証システムが話題になっていますが、こちらのほうが、よほど人権を侵害する可能性があると思います。というのは、認証するためには、あらかじめ顔の画像を入れておかなければなりません。だれの顔を入れておくかといえば、前歴のある人でしょう。鉄道会社が防犯のために、犯歴のある人の顔を同意を得ることなく使って問題はないのでしょうか。

対して、『ディフェンダーX』は、その場の生理現象をチェックするだけ。何かと照合することはありませんし、データを保存することもないので、人権を侵害することはありません」

テクノロジー懐疑派が反対する理由は、もう一つ。「効果がないのでは」ということ。ソチオリンピックでは一定の効果があったようだが……。

「理論的にはあると思いますが、実際はわかりません。なぜなら、まだ鉄道会社では導入されていないから。僕は、人権を侵害しないのであれば、やってみればいいと思います。それでデータをとってみて、効果がないのであれば導入しなければいい。最初から『効果がない』と決めつけるのは科学的ではありません。新薬を開発するときも、安全性が確認されたら、次に有効性を確認するために治験に回します。それと同じです」

警察署でも、導入の動きはない。というより、話題にさえ上がっていないのではないかと小宮氏は言う。

「最新テクノロジーへのキャッチアップに遅れをとっているのではないでしょうか。アメリカではパトロールする警官は一人1台タブレットを持っていますが、日本では交番にパソコン1台入れるのもたいへん。情報が洩れたらどうするんだというわけです。しかし、リスクが考えられるなら、それを防ぐことを考えればいい。火を発明したから文明を築くことができました。

反面、火を使うことで今でも放火や失火のリスクはありますが、だれも火の使用を禁止せよとは言いません。最初から『リスクがあるからやらない』と言っていたら、新しいものは世の中に出てきません」

争いは、少ないものを奪い合うことから始まる。テクノロジーが進化すれば、たとえば水不足だって解決し、水をめぐる争いはなくなる。平和に、幸せに暮らすためにもテクノロジーは必要だと、小宮氏は言う。

その一つが「ディフェンダーX」。犯罪や自殺を防ぐ効果があるのなら、導入を一考してみてもいいように思う。

小宮信夫 立正大学教授(犯罪学)。社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。



@toyo_y_1126 11月6日

京王線の事件は、やはり『やらせ』だった!?


証拠になるかもしれない新情報が出ました!

火災が発生した社内の映像が撮られたのは、

10月31日、午後8時4分の調布駅。

一方、窓から逃げる人たちの映像が撮られたのは、

10月31日、午後8時4分の国領駅。

午後8時8分、犯人確保

午後8時10分、国領駅で避難指示です。




火災が発生した車内画像 (動画) をアップしたのは午後8時4分の調布駅




窓から逃げる人たちの画像 (動画) をアップしたのは午後8時4分の国領駅


わかりますか?

同時刻に、別の場所でtwitterにアップされています。


つまり、傷害事件が起こったのは7時54分頃、

8時4分に調布駅からその様子がツイートされ、

同時刻に車内から脱出する乗客の様子が国領駅からツイートされました。

8時8分に犯人確保、

調布駅を出てから犯人確保まで僅か14分。

これはいろいろな意味で不可能。

構内に救急隊員の姿もありません。





これらを総合すると、

この事件は実際には起こっていない、被害者もいない。

鉄道会社、警察、テレビ局、クライシスアクター、

彼らの共謀によって仕組まれたやらせ事件

ということになります。


『京王線で男性刺され重体、17人搬送、という報道を紐解く』

(Bottom)
https://bottomx.shibugaki.jp/?p=4100


概要
2021年10月31日20時頃、東京都調布市を走行中の京王線上り特急列車内で、乗客の24歳の男が刃物で他の乗客を切りつけた上、液体を撒いて放火し18人が重軽傷を負った。男は殺人未遂容疑で警視庁に現行犯逮捕された。

事件状況
事件が発生した10両編成の京王線新宿行特急電車の3号車に、男は調布駅から乗車した。19時54分に電車が調布駅を発車した直後、男は3号車に乗車していた72歳の乗客の男性の目に殺虫剤を噴きかけ、右胸をバッグに隠し持っていた刃渡り約30センチの刃物で刺した。

電車が布田駅を通過した後の19時56分頃、乗客によって車内非常通報装置を通じて通報が行われた。しかし、車掌が通話機能を通じて乗客に応答を求めるも聞き取れず、状況を把握することができなかった。男はその後、車両前方の5号車へ移動し、所持していた複数の2リットルペットボトル容器に入れられたライター用のオイルを撒いてライターで着火し、さらに殺虫剤スプレーにも引火させた。この火災によって車内で火災を感知する装置が作動し、座席が燃えた。電車は国領駅で緊急停車したが車両のドアとホームドアが開かなかったため、乗客が窓を開けホームドアを乗り越えて避難する事態となった。なお、後の国交省などとの緊急会議の中で、本事件で車掌がドアを開放しなかったことについて京王電鉄の担当者は、「窓から避難中の乗客がホームドアに足を掛けるなどしており、開けるのが危険な状況だった」と説明した。また、自社の規定に照らして「やむを得ない判断だった」との見解を示した。

なお、一時の報道では塩酸のような液体が撒かれたとの情報が出たが、警視庁は「そうした事実は確認していない」と答えている。

警視庁は殺人未遂容疑の現行犯で男を逮捕し、調布警察署に捜査本部を設置した。男は警察の調べに対し「小田急線の刺傷事件を参考にした。小田急線の事件ではサラダ油で火が着かなかったので、ライターオイルを使った」などと供述した。




・「駅のホームドア」が普及しているが、安全基準はどうなのか(ITmedia ビジネスONLiNE 2021年11月20日)

※2021年10月31日、京王電鉄京王線で発生した傷害放火事件は記憶に新しい。各メディアで報道されたから事件内容の詳細は控える。

犯人の動機などは社会学、心理学の範疇(はんちゅう)で鉄道側としてはなんともしがたい。無数の乗客がいる中で、悪意を持つ、危険な行動を取る人物を見分けられるはずもない。

ただし、鉄道については「防犯」と「防災」の議論が起きた。

●防犯――自動改札を使ったランダム検査が有効か

鉄道の防犯については荷物検査の是非、監視カメラの充実、警備員、警察官の配備などが取り沙汰されている。類似事件として21年8月6日に小田急小田原線で起きた無差別刺傷事件、18年6月の東海道新幹線車内殺傷事件、15年の東海道新幹線火災事件が想起された。

18年12月に国土交通省は「鉄道運輸規程」を改正した。持ち込み禁止物を定めた第23条について、改正前は「爆発物、酒やアルコールなど引火性のあるもの、動物、不潔、臭気、座席や通路を塞いだり壊したりするおそれのあるもの」だった。主に火災予防重視で定められていた。

改正では一項目として「刃物」が明示され、ただし「同乗者に危害を及ぼすおそれのないように梱包したものを除く」とした。

「刃物」と「梱包」については別途「刃物を鉄道車内に持ち込む際の梱包方法についてのガイドライン(PDF)」が示された。「刃物」は「包丁類、ナイフ類(カッターナイフを含む)、牛刀、山刀、くり小刀、なた、鎌、はさみ、のこぎりなど。材質として鋼または同等のもの、とし、セラミック製も含む。

「梱包」については、刃渡り6センチメートルを超える刃物については「直ちに取り出して使用できない状態にしておく」とした。具体的には刃物全体を包装、刃先が露出しないように丈夫な袋や鞄にしまっておく。または小売店で購入した梱包状態を保持する。刃渡り6センチメートル以下の刃物は袋などに収納し、鉄道車内で使用しない。要するに刃を露出してはいけない。

この改正を受けて、鉄道各社も手回り品ルールを改正し、刃物は持ち込み禁止とした。ただし、ほかのお客様に危害を及ぼすおそれがないように梱包したものを除く。

さらに21年6月にも鉄道運輸規程第25条を改正した。第25条は第23条の禁止物のうち、「座席や通路を塞いだり壊したりするおそれのあるもの」について、加算運賃の請求や強制下車を定めている。ここに第2項として「手荷物検査」条項を追加した。

東京オリンピック・パラリンピックに向けたテロ対策の意味合いもあって、「鉄道係員は乗客に対し、旅客または公衆の立ち会いのもとで携帯する物品を点検できる」「点検または協力を拒否した場合、旅客を車外または鉄道用地外へ退去要求できる」だ。

旧第23条は発火性のあるものなどを「うっかり」持ち込まないように規定した規則。旧第25条も「うっかり」大きな物を持ち込んだ場合の罰則を定めている。そこに悪意を想定していない。

そして改正はどちらも「悪意ある人物の乗車」を想定している。しかし、規則を定めただけで、犯罪を防止できなかった。手荷物検査は行われず、小田急電鉄でも京王電鉄でも犯行が行われた。

手荷物検査については「鉄道利用の実態とそぐわない」という考え方だ。大勢の通勤客に手荷物検査は難しい。新幹線にしても、航空機のような手荷物検査、ボディーチェックを実施するには、新たに検査場を設け、検査済み乗客の待合室が必要になる。リニア中央新幹線の一般向け試乗会では手荷物検査とボディチェックが行われているけれど、これを新幹線でやるには場所の確保など莫大な投資が必要だ。

ただし犯罪抑止力を考えるならば、ランダムな検査でも効果があると思う。筆者は日本からサンフランシスコ国際空港に到着したとき、身に覚えがないのに係員に呼び止められ、カバンの中身をすべて開けるよう命じられた。初めは驚いたけれども複数の言語で書かれた「関税違反を防止するためのランダムなチェックです。ご協力をお願いします」というカードを見せられてホッとした。

「食べ物はもっていますか」「ないよ」「これは何ですか」「あ、ごめん、イカクンだ。イカの燻製」「イカクン? フード?」「ごめんフード、フィッシュみたいな」そんなやりとりをして解放された。大勢の旅客の前でやられたから恥ずかしい思いをしたし、これで禁止物が入っていたら面倒なことになっただろう。そして、今後、持ち込み物品には気をつけようと思った。公衆の面前だったから、私を見た人々も「あんな目に遭いたくない」と思うはず。つまりこのチェックは有効だと思う。

日本の大都市の鉄道では自動改札が普及している。新幹線改札も自動改札機だ。そこで、数百人に1人、つまり1列車につき1人程度の割合でランダムに改札機をふさぎ、検査を実施してはどうだろう。有人改札でやれば「風貌で選んだのか」とクレームになりそうだけど、自動改札なら「機械が選んだので」と言い訳もできる。

ほとんどの乗客はすり抜けてしまうけれども、検査で発覚するリスクが少しでもあれば、犯罪者は駅に近寄らないかもしれない。最も、そういう冷静な判断力がないから犯罪を起こすともいえるが……。

●防災――非常時の運用は要検証

京王線傷害放火事件は「非常時の扉扱い」が主題となった。こちらは犯罪とは別立てで考える必要がある。放火だろうと自然発火だろうと、車内で火災が起きた場合は緊急停止して避難する。事件では乗客が通報装置で乗務員に緊急事態を伝えた。しかし聞き取りにくく確認が遅れた。この場合、京王電鉄の規定は「前方の直近の駅に停車」だ。

報道をまとめると、運転士は規定に沿って国領駅で停車した。しかし何らかの事情で停車位置が1メートル後ろにずれた。ここで乗客が非常ドアコックを使った。非常ドアコックが操作されると列車は動かない。しかし運転士は停車位置を修正しようと操作したところ、非常状態でモーターは回らず、上り坂だったためさらに1メートル後退した。

国領駅にはホームドアがある。最新式のホームドアは電車の扉の位置が合ったときだけ開く。つまりズレていると開かない。これは「安全のため」である。ホームドアは乗客がホームから転落しないために作られている。電車に乗れないときには開かない。そこで、電車の扉もホームドアも開かなかった。

乗客が窓から脱出し、ホームドアを乗り越え始めたため、危険だと判断して車両のドアを開けなかった。ホームドアも非常時は手動で開けられるはずが、開かなかった。

窓またぎ、ホームドアまたぎは、老人には厳しいし、妊婦には危険。乳幼児など背の低い人は周囲の助けが必要になる。ただし、テレビ報道を見ていると列車とホームドアが両方とも開いている場面もあった。両方とも閉ざされた時間は短かったかもしれない。

詳しくは事故調査委員会も調査するだろうけれども、「非常ドアコックを操作したにもかかわらず、扉が開いていない」の理由も明らかにしてほしい。

これは機械の作動論理としておかしい。非常ドアコックを操作したら開かなくちゃいけない。誤動作だとしたら問題だし、仕様だとしたら役に立たない。非常ドアコックを操作しても、乗務員が確認しないと作動しないという仕組みだろうか。車内で火災が発生したときに逃げられない。

非常ドアコックは慎重に扱うべき装置だ。車両故障など線路上で停止した場合、非常ドアで脱出しても、鉄橋や高架橋などでは足下が安全だとは限らない。運悪く隣の列車がさしかかり跳ねられる危険もある。だからこそむやみに使うなと警告されている。しかし本当に危険なときに開かないという状態は間違っている。仕様であれば見直すべきだ。

次に、非常ドアコックが操作され、列車が動かないとしながらも、実際には1メートル後退している理由は何か。非常ドアコックは停車中に作動するのであれば、作動中はブレーキがロックされているべきではないか。

運用面はどうか。非常通報装置が聞き取りにくかったという。非常通報した人がパニックだったかもしれないけれど、刃物を持った犯罪者が近づいてくる。放火されて火の手が迫る。そんな状態で「その場でとどまって冷静に会話できるか」。私なら逃げる。非常通報システムの見直しが必要だ。通話器を取り外し、逃げながら伝えられる機器を検討したい。あるいは携帯電話から通報できるほうがいい。

●ホームドア――実験的なまま普及してしまった

そしてホームドアだ。ホームドアにも非常開閉スイッチがある。しかし、多くの乗客にとって存在は知らされていないし、私は趣味的に観察して知っているけれども「鉄道職員以外が触ってはいけない」という認識だ。電車内の通報装置や非常ドアコック、駅の非常ベルほど認知されていなかった。しかし、これは誰も責められない。鉄道職員だって、ホームドアの非常扉スイッチは「関係者以外操作厳禁」だと思っていただろう。

なぜなら、ホームドアは大前提として「電車がいないときにホームから線路へ落ちないために閉じている」。線路側からホームへ向かうような緊急事態は想定していなかった。車両火災については、日本の鉄道車両は難燃化素材を使うよう基準が定められている。地下鉄や長大トンネルを走る車両はもっと厳しい。だから特に考慮しなかったかもしれない。

平和ボケとまではいわないけれど、日本の鉄道設備は「性善説」に頼りすぎた。もし悪人がいたら。もしテロが発生したら……。鉄道以外の分野にもあるかもしれないけれども。

かくして、ホームにいる乗客を守るホームドアは、車内の危険から逃れる乗客を閉じ込めてしまった。今後、運用面に課題を残した。駅や車内のように、誰もが分かりやすい場所に非常装置の場所を示したほうがいい。

ホームドアは、乗客がホームから落下しないように作られ、普及してきた。スマートフォン歩きで線路に落下、酔っ払って線路に落下、目の不自由な人が落下する事故が相次ぎ、国としても対応を急いだ。国土交通省は16年に「利用者10万人以上が利用する駅には原則として2020年までにホームドアを設置せよ」と鉄道会社に通達した。

もちろん諸事情をかえりみて例外はあるとしても。新しい駅を作る場合は、バリアフリー設備と合わせてホームドアも組み込まれる。国や自治体がホームドア設置に補助する制度も作られた。

しかし、普及を急ぐあまり、ホームドアの様式は確定できていない。鉄道会社によって求める性能も違う。

特急と各駅停車で扉の数が違うから対応すべき、ホームが狭いからコンパクトに。空調を重視して天井まで届くガラスの壁のようなタイプもある。ドア本体もよくみられる板状、風通しの良いパイプ式、軽量で扉の数の変化にも対応するロープ型。解放方向も左右か上下か。さまざまな様式のホームドアが各メーカーから開発され、技術、コストの競争が始まった。

実は、ホームドアについては明確な設置基準が定まっていない。鉄道施設の設備は「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」で規定されている。例えば線路について「曲線では高速でも列車が転覆しないように傾き(カント)を作れ」とか、「高電圧の電車線の区間を走行する車両にあっては、異常時に電車線を強制的に停電させることができること。」など、11章120条の決まり事がある。

明治時代から昭和にかけて作られた5つの省令を01年にまとめており、法律ではないけれども、鉄道会社はこの省令に基づいて技術基準を策定し、国も実施されているか審査する。内容は「そんなの当たり前だろ」という決まり事だけれど、裏を返せば、過去にはその当たり前を守らないで事故を起こした歴史もあったということだ。

この「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」において、ホームドアに関する記述はない。ホームには基準があって、その路線を走る最長の列車より長くすること」(第36条の1)、「ホームの幅、柱、跨線橋口、待合所の壁などは旅客の安全かつ円滑な流動に支障を及ぼすおそれのないもの」(第36条の2)などがある。ホームドアに関する基準は「列車の速度、運転本数、運行形態などに応じ、プラットホーム上の旅客の安全を確保するための措置を講じたものであること」(第36条の3)だけだ。

 この省令は具体的な数値などは記載されていない。「安全かつ円滑な流動に支障」とは何かという話は、別途「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準(PDF)」という通達があって、例えばホームの幅は「両側を使うものは中央部3メートル、端部2メートル以上、片側を使うものは中央部2メートル以上、端部1.2メートル以上」と数値を明示している。

ホームドアに関しては、「列車が時速150キロメートル以上で通過するホームにはホームドアを設けること」「列車が通過する場合に旅客がホームにいないような措置を講ずる」「ホーム係員による旅客への注意喚起などにより旅客の安全を確保する」などがある。

また「ホームドア又は可動式ホーム柵の開口部とプラットホームの縁端との間は、旅客の居残りを防止する措置を講ずること。「可動式ホーム柵は、旅客が通常の使用において、プラットホームからの転落や列車への接触を十分に防止できる構造であること」とある。

旅客設備についてはバリアフリー法に基づく「移動など円滑化のために必要な旅客施設又は車両などの構造及び設備並びに旅客施設及び車両などを使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令(移動円滑化基準)」がある。こちらはホームドアの基準があるけれども「ホームドア、可動式ホーム柵、内方線付き点状ブロックそのほかの視覚障害者の転落を防止するための設備が設けられていること」がある。

この省令にもガイドラインがあって「可動式ホーム柵は、柵から身を乗り出した場合及びスキー板、釣り竿など長いものを立てかけた場合の接触防止の観点から、柵の固定部のホーム内側の端部から車両限界までの離隔は40センチメートル程度を基本とする」「プラットホームの線路側端部において、列車が停車することがないなど乗降に支障のない箇所には、建築限界に支障しない範囲で高さ110センチメートル以上の柵を設置する」の数値や「ホームドアや可動式ホーム柵の可動部の開閉を音声や音響で知らせる」などがある。

ただし、これらの基準も「乗客がホームから落ちないように」という前提のみだ。ホームドアの高さは示されていても、ドア下辺の高さについては触れられていない。どの程度開口して良いか。ホームに接触すると水はけが悪くなる。しかし、開口部が高ければ白杖を使う人がホームドアを認知しにくいだろうし、幼児が這って通り抜けてしまう。

そして、これらの基準でまったく想定されていない「線路側からホームへの脱出」という事件が起きた。今後は、「車内非常時などに線路側からホーム側へ脱出できる措置をとること」「○メートルごとに非常扉スイッチの所在を明示する」などを盛り込む必要があると思う。天井まで届くガラス張りのホームドアは、非常時にどこから出られるか矢印がほしい。

もちろんそれを見越して、国土交通省も16年から「駅ホームにおける安全性向上のための検討会(PDF)」を開催したけれども、18年に中間とりまとめを作った段階で動きがない。

安全面の統一基準を定めておかないと、コストやデザインを優先した「危険なホームドア」が作られかねない。ホームドアの普及が急速に進むことは大いに良いことだが、それだけに安全基準の見直しを急いでほしい。新たな問題に直面したいま、検討会の再開を望みたい。


・列車内の防犯カメラ義務化へ 国交省、京王線事件受け(共同通信 2021年12月3日)
 
※京王線特急の乗客刺傷事件を受け、国土交通省が全国の鉄道会社に、新造する列車への防犯カメラ設置を義務付ける制度改正を検討していることが3日、同省への取材で分かった。JRや大手私鉄各社などと意見交換し、対策を協議していた。

今後の調整を踏まえ、省令の改正などを見据える。現行の省令には車内の不燃性に関する規定はあるが、防犯カメラについては定めていない。

10月31日に発生した京王線の事件では、車内に防犯カメラはなかった。乗客が複数の非常通報装置を使用したが、通話はできず、乗務員が車内の詳しい状況を把握できなかった。


・鉄道車内に防犯カメラ、新車両で義務化…京王線事件受け国交省方針(読売新聞オンライン 2021年12月3日)

※走行中の京王線の車内で乗客17人が重軽傷を負った事件を受けて、国土交通省は、鉄道各社が今後導入する新車両に防犯カメラの設置を義務付ける方針を固めた。車両の構造や設備を定める鉄道営業法の省令改正を検討する。

車両内の防犯カメラは、東京五輪・パラリンピックを機に首都圏を中心に普及し始めたが、設置率はJR東日本が100%なのに対し、東京メトロは40%。まだ数%の私鉄もある。事件が起きた京王線の車内には設置されておらず、国交省は、犯罪抑止に加え、乗客に危険が生じた時の早期の状況把握に必要だと判断した。

年度内にも有識者を集めた検討会で議論をスタートさせ、カメラの種類や設置箇所、撮影する範囲など具体的な基準を検討する。

導入費用については、新たな補助制度は設けず、各社に負担を求める方針だが、経営状況に応じて、車両購入に際しての既存の補助制度が利用できる可能性もあるという。


・電車内のカメラ義務化、手荷物検査も活用へ 京王線事件受け安全対策(朝日新聞DIGITAL 2021年12月3日)
 
※国土交通省は3日、鉄道車内で防犯カメラの設置を義務づけることなどを柱とする鉄道の安全対策を発表した。非常用設備の表示を共通化し、手荷物検査へ向けた環境整備も進める。

走行中の電車内で乗客が襲われる事件が相次いだことを受けた措置。

国交省がまとめた対策では、新規に導入する車両を対象に防犯カメラの設置を義務づける。専門家や鉄道会社が参加する検討会で費用負担のあり方も含めて議論し、早ければ来年度中にも関係省令を改正する。

また、車内の非常通報装置の機能向上を図るほか、ピクトグラムを活用して通報装置や非常用ドアコックなどの表示を共通化する。ドアコックは不用意に操作すると、車外転落や安全な場所に停車できないなどの危険が生じる恐れがあり、使った場合のリスクも含めた表示を検討する。

手荷物検査については、省令改正で今年7月から実施できるようになったが、乗客に理解を求め、より活用しやすくする。危険物を持ち込む恐れがあると駅係員らが判断した場合、個別に声をかけて検査することを想定するが、警察と連携し、声かけのノウハウや拒否された場合の立ち会いなどを求める。

国土交通省が対策をまとめたことを受け、警察庁は各都道府県警に対し、鉄道事業者との連携を強化するよう指示した。具体的には、警察官が鉄道に乗って警戒する「警乗」の効果的な実施▽不審者への積極的な職務質問▽鉄道事業者が実施する手荷物検査に関する助言・指導や訓練の協力――などに努めるよう求めた。(磯部征紀、田内康介)

■国がまとめた主な安全対策

・新規導入する車両に防犯カメラ設置を義務化

・非常通報装置の機能向上

・通報装置、非常用ドアコック、ホームドアの表示を共通化

・手荷物検査を実施しやすい環境整備。警察との連携