・米ファイザー、ワクチン売上高4兆円超に 通期上方修正(日本経済新聞 2021年11月3日)

※米製薬大手ファイザーは2日、独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの2021年12月期通期の売上高が、360億ドル(約4兆1千億円)になるとの見通しを発表した。7月時点の従来予想(335億ドル)から引き上げ、21年通期の業績予想も上方修正した。追加接種(ブースター接種)や子どもへの接種に向けて、世界で需要が拡大した。

ファイザー製ワクチンは、昨年12月に米食品医薬品局(FDA)などが緊急使用を承認してから、今年10月末までに152カ国・地域に20億回分が供給されている。米国では累計2億4千万回超と、最も多く接種されているワクチンだ。各国・地域などと供給契約を結ぶ23億回分が、21年末までに供給されるとして見通しを引き上げた。生産量は21年に30億回分、22年に40億回分を見込む。

アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「ワクチン売上高の75%が米国外で、引き続き各国政府と契約を締結していく。今年の生産量30億回分のうち10億回分は中低所得国に供給する」と話した。

同日発表した21年7~9月期決算は、売上高が前年同期比2.3倍の240億ドル、純利益は5.5倍の81億ドルだった。新型コロナワクチンの売上高は129億ドルとなり、4~6月期の78億ドルから急増した。がん治療薬など主力の処方薬が好調だったほか、病院需要の回復も貢献した。

21年12月期通期の業績予想は、売上高が前期比93~96%増の810億~820億ドルを見込み、従来予想(780億~800億ドル)から上方修正した。ワクチン売上高予想の引き上げを反映したほか、経済回復により病院需要が引き続き好調に推移する。