以下「In Deep」様より転載

https://indeep.jp/pfizer-vaccine-design-finished-in-just-a-few-hours/

・新たな中国ワクチンもまた抗体依存性増強を引き起こさないことを知る

2021年10月9日

※ADEを引き起こさないワクチンがまたも

臨床試験や新薬の研究状況などを報告している医療系メディアであるトライアルサイトニュースに、インドネシア政府が、新しいコロナワクチンを承認したということが報じられていました。

それは中国企業のワクチンで、「ジフィバクス (Zifivax)」という名前のものだそうですが、その試験報告の内容を伝える部分に以下のようにありました。


ジフィバクスとは?

ZF2001 としても知られ、SARS-CoV-2 ウイルスの無害な部位である抗原として受容体結合ドメイン RBD の二量体を使用するタンパク質サブユニットワクチンだ。

trialsitenews.com


これを読みまして、あくまで論文などからの推定なのですが、中国製のコロナワクチンは、ADE (抗体依存性増強)を引き起こさない作りになっているのではないか?

これは、先ほどの記事に、

> 受容体結合 ドメイン RBD の二量体を使用する

とありますが、ここがポイントなんです。


コロナのスパイクタンパク質にはいくつかの部位がありますが、その中に、

・RBD
・NTD

というふたつの部位があります。



大阪大学などの研究では、このうち、NTD というほうの部位が、「感染増強抗体」と関係していることを突き止めました。

平たくいえば、

「 NTD という部位がワクチンが作るスパイクタンパク質に含まれている場合、抗体依存性増強という状態と関係する可能性がある」

ということです。

抗体依存性増強とは、再感染した時に重篤になりやすく、そもそも「再感染しやすくなる」状態です。

ですので、NTD を含まないもの、すなわち、

「 RBD だけをコードするワクチンが望ましい」

ということになります。

大阪大学等のプレスリリースには、

> 感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。従って、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましい。

とありますが、現在、日本で使われているすべてのワクチンは、「抗体依存性増強を引き起こす可能性のある NTD 」が含まれています。

これは、それぞれのワクチンの厚生労働省部局による特例承認書に明確に記載されています。

「コミナティ筋注 ファイザー株式会社 特例承認に係る報告書」の22ページには、以下のように書かれています。

> なお、本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA であり… (特例承認書 22ページ)

この「全長体をコードする」というのは、「 RBD も NTD もすべて作り出す」という意味です。


モデルナ社のワクチンもそうです。全長をコードします。


アストラゼネカ社のワクチンは、特例承認書には、

> 本剤は、SARS-CoV-2 の S タンパク質をコードする非増殖型遺伝子組換えチンパンジーアデノウイルスベクターワクチンである。

とだけ書かれており、全長体、つまり RBD と NTD のどちらもコードするとは書かれていないのですが、しかし、動物試験での報告部分には以下のようにあり、試験では、「スパイクタンパク質の全長でおこなっている」ので、アストラゼネカ社のワクチンも全長体をコードするものだと思われます。

> 曝露後 1~7 日目に動物から採取した末梢血単核球を S タンパク質全長で刺激した結果… (特例承認書 12ページ)


つまり、現時点で日本で使われているワクチンは、「すべて」スパイクタンパク質の全長をコードするもので、ADE を引き起こす原因ともなり得る NTD 部位が含まれていることになります。ですので、理論的には、ADE が起きる可能性があるものです。

この ADE については、フォーブス日本語版の 9月10日の記事で、東京理科大学の村上康文名誉教授が、わかりやすく述べられています。

村上名誉教授は、以下のように述べていました。「免疫化」とは「ワクチンを接種すること」です。


「同一の抗原で繰り返し免疫化を行った場合、5回目から死亡する例が激増。7〜8回繰り返すと半分近くが死亡するという動物での研究結果もある」 (村上康文名誉教授)


また、村上名誉教授は、他のフォーブスへの寄稿文の中で、以下のように述べられていました。


「スパイクタンパク質そのものが様々な症状を引き起こしていることは米国のソーク研究所が既に著名な学術誌に論文発表しています。そのため、追加接種に用いる抗原はスパイクタンパク質の全長を用いず RBD の部分のみとする。このことは抗体依存的感染増強のリスクを下げるためにも重要です」 (村上康文名誉教授)


このように、

> 抗原はスパイクタンパク質の全長を用いず RBD の部分のみとする。

ことを強く提言しており、たとえばブースターショットを受けるとした場合、それは「 3回目」となりますが、現在の状態では、基本的に以前と同じ「全長をコードするワクチン」のはずです。

つまり、すでに、

・1回目の接種で NTD (感染増強抗体と関係する)を得ている
・2回目の接種でも NTD (感染増強抗体と関係する)を得ている

という状態で、ブースターショットを受けた場合、

・3回目の接種でも、また NTD (感染増強抗体と関係する)を得る

ということになってしまうのです。

村上名誉教授は、

> 5回目から死亡する例が激増。7〜8回繰り返すと半分近くが死亡する

という動物実験の例を挙げるという「死亡する」という具体例を挙げ、かなりお強い意志で「全長をコードするようなワクチンを何度も打っては危険だ」と述べているわけです。

しかし、こういう超専門家の言葉は、全然当局には通じていないようで、昨日だったか、以下のタイトルの報道がありました。


ファイザーワクチン 1億2千万回分を追加契約 3回目接種用 厚労省

厚生労働省は8日、米ファイザー社から新型コロナウイルスワクチンの追加供給を受ける契約を締結したと発表した。来年1月から1億2千万回分で、締結は7日付。すでに2回のワクチン接種を受けた人たちへの追加接種に使われる見通しだ。(朝日新聞デジタル 2021/10/08)


この追加接種用の「 1億2千万回分」のワクチンは、これまでのものと「同じ」ものであるはずです(仕様が変更するなら、特例承認もやり直さなければならないですが、その形跡はないため)。感染増強抗体を作る可能性のあるワクチン × 3回目です。

そろそろリミットに近い回数に近づいています。



最初にご紹介しました中国の、

> 受容体結合ドメイン RBD の二量体を使用するタンパク質サブユニットワクチン

を読んで、今の日本の状況に落胆したのは、その点です。

中国企業は、それが感染抑制に効果があるのかどうかはさておいて(おそらくデルタ株以降には中和抗体が効かないと思われます)、「抗体依存性増強を引き起こさないワクチンを作成し続けている」という事実があります。

皮肉な話ですが、「中国が最も安全なワクチンを作っている」ということに愕然とするわけです。

他にもインドのワクチンとか、ロシアのスプートニクVとか、いろいろとあり、それらの仕様はよくわからないですが、しかしロシアのほうは、英アストラゼネカ社と同じタイプのものであるようで、DNA を使用しているとのこと。

それと関係しているのか他の要因があるのかどうかわからないですが、ロシアは他の国と比較しても、「死者数がどんどん増加」しています。


ロシア1日のコロナ死者、初めて900人超える

ロシアで6日、新型コロナウイルスによる1日の死者数が初めて900人を超えた。

政府の統計によると、過去24時間の死者数は929人で、流行開始後で最多となった。累計死者数は欧州で最多、世界で5番目に多い21万2625人となっている。 (AFP 2021/10/07)


ロシアの1日あたりの死者数の推移



ourworldindata.org


人口100万人あたりで日本と比較してみますと、以下のようになります。

10月6日の人口100万人あたりの死者数

ロシア 6.01人
日本  0.24人

日本の25倍です。

理由はわからないながらも大変なことになっているロシアですが、現在のことはともかく、仮にロシアのワクチンもまた「全長をコードする」ようなものだった場合、今後のほうが大変になりそうです。

そんなわけで、日本でもワクチンの研究開発が進んでいると思われますが、企業の方々は、先ほどの村上名誉教授や、大阪大学等の研究が示しますように、

「抗原はスパイクタンパク質の全長を用いず RBD の部分のみとする」

という方向で進んでいるはずだ、と思いたいところです。

国産のワクチンを心待ちにしている方々もたくさんいらっしゃると思いますので、そのあたりを善処された内容のワクチンが開発されることを願っています。

感染抑制に効果がなくても構いません。

後で人が死なないワクチンであれば、それでいいはずです。



以下「In Deep」様より転載

https://indeep.jp/knowing-that-chinese-corona-vaccines-do-not-cause-ade/

・ 中国ワクチンは、スパイクタンパク質の中和抗体部位の標的に特化した「ADE(抗体依存性増強)を引き起こさないもの」であることを今にして知る…。積み重なる「やられた感」…

2021年7月22日

※ああ……生物戦かあ……

今日、ちょっとショックなことを知りましてね……。

実は、いくつかの記事を見ている中で、読者のコメントで、

> 中国のワクチンは RBD をターゲットに絞ってるから

というような英語の投稿があったのです。

「え、マジ?」

と思い、ちょっと調べ始めたのでした。


ADE (抗体依存性増強)というのは、非常に平たく言えば、

「コロナワクチンを接種した後、コロナに再感染した時に重症化する」

というものです。

新型コロナワクチンが出るまでは、これまでのほぼすべてのコロナウイルスのワクチン研究で一度もこの ADE の問題がクリアされたことはなく、すべて失敗(ネコの動物実験では全滅)しているのです。

そのこともあり、「どうして新型コロナワクチンは、それをクリアしたのだろうな」と思っていたのですが、大阪大学などの日本の研究グループが 5月に発表した論文で明らかになったのですが、

「クリアされていない」

のでした。

大阪大学等の研究論文のプレスリリースには、以下のようにあります。

> 感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。従って、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましい。

と、ここに「現行のワクチン抗原にも含まれている」と明記されていることから、現在使われているファイザー社などのコロナワクチンは、

「 ADE の問題をクリアしないで実際のヒトへの接種が始まった」

ということになります。

場合によっては、数年後の全滅を引き起こすかもしれないような無謀な実験とも感じたのですが、まあしかし、すでに、実際に、世界で数億人、日本で数千万人が接種されていらっしゃるのですから、そういうことが起こらないように願うしかないです。

無謀な実験の件はともかくとして、上のプレスリリースに、

> 感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましい。

とあります。

「感染増強抗体の産生を誘導しない」というのは、つまり、「 ADE を引き起こさないようなワクチンの開発が望ましい」と書かれてあるということです。

そして、今回の話は、

「中国のコロナワクチンは、それを成し得ているっぽい」

という話です。

つまり、

「中国のワクチンは、 ADE を引き起こさない作りとなっている」

と。

中国のものについては、その詳細がわかるわけではないですので、確定した話ではないですが、その可能性は極めて高いです。

仮にこれが本当だったら、もうね……。

もう、本当に「やられた…」という話ですよ。

これは、そのワクチンが「予防に効くか効かないか」という選択の話ではないのです。

「人を殺すか殺さないか」という選択の話なのです。


スパイクタンパク質の重要な2つの部位

これに関しては、まず、コロナウイルスのスパイクタンパク質というものが、まあ感染の母体(あるいは実体そのもの)なんですけれど、そのスパイクタンパク質には「ヒトへの感染と関係する部位が2つある」のです。

そして、そのふたつの部位のうち、

・ひとつの部位は、中和抗体(感染を防ぐ抗体)を誘導する

もので、

・もうひとつは、感染増強抗体(感染状態を悪くする抗体)を誘導する

ものであることが大阪大学などの研究で判明しています。

現在のファイザー社やモデルナ社、おそらくはアストラゼネカ社のワクチンも、このスパイクタンパク質の「すべてをコードする」というタイプとなっていますので、つまり、

・中和抗体(感染を防ぐ抗体)を誘導する部位 (RBD といいます)
・感染増強抗体(感染状態を悪くする抗体)を誘導する部位 ( NTD といいます)

のどちらも含まれています。

ですので、「感染を予防する効果はあっても、後に ADE を引き起こす可能性」が含まれているものなのです。

新型コロナウイルス(のスパイクタンパク質)の部位は、

・RBD(受容体の結合部位)
・NTD (受容体の結合部位)

からなっています。

大阪大学などの研究から図をお借りしますと、以下のようになっています。



大阪大学などの研究のプレスリリースには以下のように書かれてあります。

> 中和抗体は RBD を認識するのに対して、

> 感染増強抗体は NTD の特定の部位を認識することが明らかとなった。

つまり、

ADE を起こす感染増強抗体は、上の図の「 NTD 」というほうの受容体の結合部位を認識する

ということで、この NTD というほうが、抗体依存性増強と関係する。

そして、 中和抗体、つまり感染予防となるとされる抗体のほうは「 RBD を認識する」とプレスリリースにはありまして、この RBD だけを認識するものであれば、抗体依存性増強は起きにくい可能性がある。

このふたつのことがわかります。

図で示しますと、以下のようなことになるでしょうか。



ここまでです。

このようなことは、少なくとも日本においては、今年 5月にはじめてわかったことです。

そして、厚生労働省の特例承認書の 22ページには以下のようにあります。「本剤」というのは、現在実際に使われているファイザー社ワクチンのことです。

> 本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA であり

この「全長体をコードする」というのは、先ほど書きました、

・中和抗体と関係するスパイクタンパク質の部位である RBD
・感染増強抗体と関係するスパイクタンパク質の部位である NTD

の「どちら」もコードする。つまり、どちらも作り出す。

ですので、一時的には感染予防になるかもしれないけれど、数カ月、数年後に深刻な事態(ADE)が起きる可能性がある「部位」が含まれているのです。

くどくど書きましたけれど、つまりは、

「コロナワクチンを開発するなら、RBD という部位だけを標的にするものがいい」

ということです。

これは、感染予防になるかどうかという問題よりも、「 ADE が起きにくい」(あるいは起きない)コロナワクチンを開発することができるということで、命と直結した話です。

というか、ファイザー社はそのような理想的なワクチンを実は開発していたのですね。

ただ、「実際には使われなかった」と。

理由はよくわかりません。

ここからいくつかの「中国」の論文をご紹介します。


2020年にすでに RBD に絞ったワクチン開発を進めていた中国

以下は、 2020年7月に科学誌ネイチャーに発表された論文のタイトルです。

SARS-CoV-2のスパイクタンパク質のRBDを標的とするワクチンは防御免疫を誘導する
A vaccine targeting the RBD of the S protein of SARS-CoV-2 induces protective immunity
nature 2020/07/29

当時から公開されている論文です。

この概要には以下のように書かれています。


中国人科学者たちによる2020年7月の論文より

スパイクタンパク質の SARS-CoV-2 受容体結合ドメインである RBD は、宿主細胞上の受容体アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と係合する。

ここでは、スパイクタンパク質の RBD の残基 319〜 545を含む組換えワクチンが、免疫化されたマウス、ウサギ、および非ヒト霊長類(アカゲザル)で強力な機能的抗体応答を誘導することを示した。

ワクチンの単回投与後、早くも 7日または 14日で、免疫化された動物の血清は、細胞表面に発現する ACE2 への RBD の結合をブロックし、 SARS-CoV-2 偽ウイルスおよび生 SARS-CoV-2 による感染を中和した。 (nature)


どこにも「スパイクタンパク質の全長」というような言葉は出ておらず、RBD だけをターゲットにしているワクチンであることがわかります。

さらに、以下のようなさまざまな中国人科学者による「 RBD をターゲットにした不活性ワクチン」についての論文が出ていました。

ヘルパーT細胞エピトープが組み込まれた組換SARS-CoV-2の RBD は強力な中和抗体応答を誘導した
Recombinant SARS-CoV-2 RBD with a built in T helper epitope induces strong neutralization antibody response (PMC 2021/02/22)

RBD ベースの COVID-19ワクチン 候補は、非常に強力な SARS-CoV-2 中和抗体反応を誘発する
RBD-Fc-based COVID-19 vaccine candidate induces highly potent SARS-CoV-2 neutralizing antibody response (nature 2020/11/27)

すべて中国人科学者たちによるものですが、「遺伝子ワクチン」の「遺」の字も出てきません。

ごく普通の不活性ワクチンを、単に「 ADE を誘発しない部位をターゲットにする」ということで作っている、原始的で「安全」なワクチンだと考えられます。


それにしても、最初にご紹介しましたネイチャーの論文ですが、

「普通の規模の研究ではない」

ことが、研究に携わった科学者たちの「人数」でわかります。

以下にスクリーンショットを載せておきます。



「これって……なんかちょっと国家的研究の規模じゃねえか?」

とも思いまして、研究者のお名前一覧を見ていましたら、

「お?」

と思ったお名前がありました。

ただ、ネイチャーは、中国人や、たとえば日本人にしても、表記に漢字はなく、英語だけとなりますので、異なる人物かもしれないのですが、

「 Wei Cheng 」 (チェン・ウェイ)

という人の名前があったのです。


思い出す人民解放軍 生物化学兵器部門最高責任者 チェン・ウェイ少将

この Wei Cheng という表記は、人民解放軍の生物化学兵器部門最高責任者の陳薇(チェン・ウェイ)さんの英語表記なんですよ。

チェン・ウェイさんとか気軽に書いてますが、人民解放軍の少将ですよ。最高クラスの将官です。女性の将官です。

このチェン・ウェイ少将は、昨年 1月に、中国政府から新型コロナウイルス対策の全権を委任されています。

中国に武漢ウイルス研究所っていうのがあるじゃないですか。

なんか、そこからコロナウイルスが流出したとか何とか変な話があるとかないとか聞いたことがありますけれど、そういう変な話とは関係なく、中国で新型コロナウイルスのパンデミックが始まった後、この武漢ウイルス研究所の所長は交代したのですが、パンデミックの際に所長として派遣されたのも、このチェン・ウェイ少将でした。

先ほどのネイチャーにある Wei Cheng さんが、チェン・ウェイ少将かどうかはわからないのですが、仮にそうだとしたら「やはりすごい」と思うのは、このチェン・ウェイ少将は、

「世界で初めて遺伝子エボラワクチンを開発した人物」

なんです。それがすごいのではないです。

「その最高クラスの遺伝子技術を、中国人に実際に使われるコロナワクチンに使用しなかった可能性がある」からすごいのです。

ワクチンに関係するチェン・ウェイ少将の業績は以下のようなものがあります。

・2003年 SARS コロナウイルスを抑制するための組換ヒトインターフェロン鼻スプレーを開発。1万4000人の医療スタッフを無感染に導く。

・2012年 炭疽菌の予防と制御の研究で画期的な進歩を遂げ、国家戦略準備剤に含まれる最初の遺伝子組み換えワクチンを開発する。

・2014年 西アフリカでエボラ熱が発生した後、世界初の遺伝子型エボラワクチンを開発。2017年に、新薬の承認を取得した世界初のエボラワクチンとなる。 (陳偉)

つまり、チェン・ウェイさんは、「遺伝子組み換えワクチンの世界的なトップ研究者」なのです。

ところが、仮に先ほどの Wei Cheng さんが、チェン・ウェイ少将だとすれば、「その遺伝子の技術をまるで使っていない」のです(組換えはしています)。

コロナウイルスに対しては、少なくとも自国民には実用化していない。

なお、チェン・ウェイ少将はパンデミックの当初に実にまともなことを述べています。

中国語版 Wikipedia には以下のようにあります。

> チェン・ウェイは「 12年以内にワクチンを開発する」と述べた。

このような期間がワクチン開発には常識的な期間なんだと、当時知りました。

なお、チェン・ウェイ少将は、その後さらに出世したようで、以下のように記されていました。「中国をコロナから救った軍事部門のトップ」として讃えられたようです。

> 2020年8月、チェン・ウェイは、中国の新型コロナウイルスに対する抵抗の過程で貢献し、「人民英雄」国家栄誉称号を獲得した。2021年5月30日、第10回中国科学技術協会第1次会議で副主席に選出された。 (陳薇)

まだ 55歳(私から見れば、ギャルの年齢ですよ)で、人民解放軍少将で、中国科学技術協会副主席で、人民英雄国家栄誉称号とかいうようなものを獲得しているということになっています。

ただし……チェン・ウェイ少将は、決して防疫担当者ではなく、あくまで軍隊の「生物化学兵器部門」の最高責任者です。

人民解放軍で微生物エンジニアリングの研究をはじめてから 30年近く、そして、アメリカ陸軍医科学アカデミーの微生物疫学研究所の副所長に就任したこともあり、アメリカの生物兵器事情にも大変詳しいはずです。

以前、チェン・ウェイ少将が 1988年に中国の浙江大学へ入学した時の写真を入手したことがあって、中国でパンデミックが始まってからのこの1年半、たまにそれを見ていました。

「この子は何かしそうだし」

と。

1988年 浙江大学へ入学した時のチェン・ウェイさん。30年後に人民解放軍少将に



どことなくテレサ・テンさん的な雰囲気も漂う少女は、この三十数年後に人民解放軍・生物兵器部門の文字通りトップとなり、そして新型コロナウイルス対策の全権を委任され、中国のパンデミックをあっという間に制圧することになります。

チェン・ウェイ少将に、新型コロナウイルス対策が委任されてからの中国の感染状況は以下のようになっています。



COVID-19 Data Explorer

確かに、中国の公式発表は信用できるものではないとはいえ、ここまで極端な数値ですと、どうこう言えない部分はあります。

そして、生物兵器部門のトップであるチェン・ウェイ少将は「他にも何かしているのかもしれないな」と、ふと思ったり。本職は、あくまでも「生物戦の最高指揮官」なのですから。


そんなわけで、確定的ではないながらも、どうやら「またしても中国にやられた」という可能性が高いという話でした。

ちなみに……英アストラゼネカ社が採用しているウイルスベクター型のコロナワクチンを最初に開発したのは、記録上ではこのチェン・ウェイ少将でした。

中国語版 Wikipedia に以下のようにあります。

> チェン・ウェイのチームとカンシノ・バイオロジクス社によって開発されたアデノウイルスベクター組換えワクチン(商品名「Kevisa」)は、3月16日に臨床試験への参加が承認され (陈薇)

しかし、どうやらこのアデノウイルスベクター組換えワクチンは、中国国内で使われているという話は聞きません。

同じメカニズムのアデノウイルスベクター組換えワクチンであるアストラゼネカ社のワクチンは欧州をはじめとして多くの国で使われていますが……。

複雑ですねえ。


以下「In Deep」様より転載

https://indeep.jp/three-women-made-incredible-thing/

・人民解放軍の生物化学兵器部門最高責任者の少将が武漢ウイルス研究所の新しい責任者に。そのことを調べるうちに浮かび上がる「優秀すぎた3人の中国人女性たち」

2020年2月11日

※あまりにも意外だった武漢ウイルス研究所を巡る状況

ちょっと今日少し驚きましてですね・・・。

えーと、新型コロナウイルスについては、まあ「陰謀論的」といわれればそれまでですが、共通するのは、舞台となっている場所が、新型コロナウイルスの発生源とされている中国武漢にある「武漢ウイルス研究所」であることです。

この武漢ウイルス研究所は、バイオセーフティーレベル4(中国では「P4」と表記)の最高危険レベルの病原体を取り扱うことができる実験施設で、正式名称は、武漢国家生物安全研究所であるそうです。

これらの記事を書いていた時は、コウモリを使ってコロナウイルスについての研究を担当していた研究所の科学者のひとりである周鵬さんという男性などのことについてふれたりしていました。

現在、台湾やアメリカから発信されている中国語のメディアで、この「武漢ウイルス研究所」に関しての様々な報道が展開されています。それらの報道のほとんどが中国語であるということもありまして、あまり中国語は得意ではないですので敬遠していたのですが、最近この研究所に関係して、非常に注目を集める報道がありました。

それは、この武漢ウイルス研究所の新しい責任者に、

「中国人民解放軍の少将が着任した」

という報道でした。

この少将は、生物化学兵器部門の最高責任者だと記されています。

中国人民解放軍の階級も、他の各国の軍隊の階級とほぼ同じで、階級の最も高いのが、上将(他の国では大将)で、そして、中将、少将となります。つまり、少将は上から三番目の人民解放軍の非常に高い階級にある士官ということになります。

そういう士官が、武漢ウイルス研究所で直接指揮を執ることになったということらしいのですが、人民解放軍の機関紙「解放軍報」には、 1月31日に、この少将が武漢に入り、新型コロナウイルスによる肺炎の防疫対策に当たっていると報道していました。

ですので、武漢ウイルス研究所にも出向いていたとは思うのですが、そのまま責任者になったということのなのでしょうかね。

さて、この生物化学兵器部門の最高責任者の方は、陳薇(チェン・ウェイ)という名の少将なのですが、54歳の「女性士官」なのです。

人民解放軍・生物化学兵器部門の最高責任者 陳薇少将



まずは、その陳薇少将が、武漢ウイルス研究所の最高責任者になったことを報じる台湾の自由時報の報道をご紹介します。本日 2月11日の報道です。

漢字が読みにくいですので、チェン・ウェイ少将とカタカナで表記させていただきます。


・武漢ウイルス:武漢の P4 実験室に進駐する人民解放軍の女性少将(自由時報 2020年2月11日)



(上)武漢ウイルス研究所に派遣されたチェン・ウェイ少将。

※中国武漢での新型コロナウイルスによる肺炎の流行は深刻だ。最近、湖北省の常任委員会として中国国家保健委員会の副局長である王和生氏が任命されたほか、中国政府は武漢 P4 研究所(武漢ウイルス研究所)の研究員たちを率いる責任者に、特別なウイルス研究と生物学的保護の専門知識を持つ中国軍のチェン・ウェイ少将を割り当てた。武漢ウイルス研究所は軍の管理下状態にある。

チェン・ウェイ少将は生物学的保護の分野で国際的な評価を得ており、 SARS の流行期間中に SARS を予防するための鼻スプレーを開発したほか、 SARS のコントロールのために 14,000人以上の医療スタッフを予防措置に際して大胆に展開させた。

そして、結果として、その 14,000人の感染予防医療スタッフたちは、ひとりも SARS に感染しなかったため、チェン少将は、この SARS での最初の戦いで世界で最も著名な人物のひとりとなり、また、軍事科学アカデミーの医学研究メンバーから高い敬意を受けている。

武漢 P4 研究室の正式名称は、「中国科学院 武漢国家生物安全研究所」であり、これは、中国科学院と武漢市政府との共同建設であり、中国初のセーフティレベル 4 (最高レベル)の病原体を扱うことのできる研究所であり、セーフティレベル 4の施設はアジアでは、日本と台湾に次ぐものとなる。

中国新華社の公式レポートによると、チェン少将は、旧正月の 2日目(1月26日)に武漢の研究チームを率いるように命じられた。チェン少将が責任者となって以来、ウイルスの核酸検査の効率化により、検査時間が大幅に短縮され、診断件数は加速した。

現在流行している肺炎が、武漢 P4 研究所で研究されたウイルス流出に関連しているのではないかと疑う専門家たちが国際的に数多くいるが、中国当局はまだ反論するための強力な証拠を発行していない。

そのような中で、ウイルス研究のスペシャリストであるチェン・ウェイ少将の存在と、その着任は、両者の関係についての国際社会の疑念と、さまざまな推測を深めているようだ。


ここまでです。

SARS の予防活動の際に、1万4000人の防疫スタッフをひとりも感染させなかったというあたりにしても、すごい人だというのはわかります。

現状としては、このくらいのウイルスのスペシャリストが「何か」を進めないといけない状況にもなっているのですかね。


さて……。

このように、ウイルス研究に関して凄腕のチェン・ウェイ少将が武漢ウイルス研究所の研究員たちを率いることになったようなのですけれど、では、もともとの武漢ウイルス研究所の「所長」はどんな方なのか。

これがまた何と、女性なのです。

王延軼(ワン・ヤンイ)さんという 39歳の若き女性科学者なのでした。

武漢ウイルス研究所のワン・ヤンイ所長



ワン・ヤンイさんについての中国語 Wikipedia の冒頭は以下のようなものです。

ワン・ヤンイ(1981 - )は、中国人民共和国の生物学者。武漢大学のウイルス学者であり、中国科学院の研究者でありディレクター 、そして、武漢政協委員のメンバーであり、武漢市委員会の副所長を努める。

(Wikipedia)

という華麗な肩書きを持ちます。学歴としては、北京大学で学士号を取得した後、アメリカのコロラド大学で修士号を取得したという中国でのエリート中のエリート中のようです。

その後、武漢大学生命科学部の准教授にまで昇進した後、ワン・ヤンイさんは、2012年3月、武漢ウイルス研究所に異動となり、2018年10月に所長に就任したと書かれてあります。

この年齢で、バイオセーフティレベル 4の研究室の所長になるというあたり、本当に優秀なウイルス学者なのだと思います。

しかし、こちらの報道では、国際的に存在する疑惑(武漢研究所からウイルスが流出したのではないかという疑惑)と関係しているのかどうかわからないですが、中国科学アカデミーの判断としては、ワン・ヤンイ所長を辞任させるのではないかとあります。

人民解放軍のチェン・ウェイ少将が研究所を率いることが報じられている時期とリンクしていますので、そういうこともあるのかもしれません。

ところで、2月8日の世界日報には、この武漢ウイルス研究所が設立される経緯が記事となっています。

真偽はわからないですが、おおむね以下のような経緯だと述べられています。

武漢ウイルス研究所について世界日報の報道より



(上)武漢ウイルス研究所

2月7日に放送されたメディア「燕銘時評」の報道によると、中国科学アカデミーの中の「上海生命科学アカデミー」についての知識を持つ某氏の話が伝えられた。

某氏によると、1989年6月に江沢民が中国の政権を握った後、彼の息子の江綿恒は中国科学院に入学した(後に、中国科学院副院長に就任)。

江綿恒は、ハイテクノロジー研究所の研究開発を担当し、再編成を主導し、上海生命科学院(上海生物科学院)を設立した。これにより、中国科学院、上海生物科学院、上海大学、上海病院、軍事病院研究所で構成される上海のヘルパーシステムの輪を確立した。

その後、操作生物学の分野での主要な研究プロジェクトの設立と莫大な資金の配分により、医療バイオテクノロジーの分野で上海政府と企業の利益団体が形成された。それは、江綿恒により武漢大学に組入れられ、軍事、産業、および化学兵器を含む重要な施設である中国科学アカデミー武漢ウイルス研究所を間接的にコントロールした。


よくはわからないですが、ずいぶん以前から、この武漢の研究所は、医療においても軍事においても、重要な施設だったということなのかもしれません。


そして、さらにですね。

この武漢ウイルス研究所には、

「 SARS ウイルスとコウモリウイルスを組み合わせることによって、最初に、ヒトの気道に感染する新しいタイプのコロナウイルスを作成した科学者」

の存在があるということをアメリカのニューヨークに拠点を持つ中国語専門の報道メディアの「新唐人テレビ(NTD)」が報じていたのです。

それがまた・・・その方も女性で。

その方は、武漢ウイルス研究所の研究員である石正麗(シー・ツェンリ)という名の方なのでした。

2018年11月 上海でコロナウイルスについて講演を行うシー・ツェンリ研究員



この「 SARS とコウモリウイルスを組み合わせる研究」は、アメリカ人研究者と共に行ったもので、2015年の科学誌ネイチャーに論文が掲載されています。

タイトルは、

・A SARS-like cluster of circulating bat coronavirises shows potential for human emergence
(コウモリに流通している SARS 様コロナウイルスのクラスターが、ヒトにも出現する可能性を示した)



nature medicine

要するに、「コウモリにだけ蔓延しているコロナウイルスをヒトの気道に感染させられるメカニズムを見出した」という研究のようです。

そして、このシー・ツェンリ研究員たちによる研究も、かなりの懸念を巻き起こしたようです。

新唐人テレビの報道には以下のような下りがあります。


新唐人テレビの報道記事より

このコロナウイルスに対しての研究は、当時、学問的な懸念を引き起こした。科学誌ネイチャーは、他のウイルス学者たちが、この研究の必要性に疑問を呈していることを報告しており、そのような実験は、大きなリスクを伴うと主張した。

パリのパスツール研究所のウイルス学者は、「ウイルスが流出した場合、誰もその行き先を予測することはできないのです」と指摘した。

このようなタイプの研究は、バイオセキュリティ上のリスクを考慮して、長く非難されたため、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は 2013年10月以降、こうしたすべての研究への資金提供を停止した。しかし、上記の論文の研究は、アメリカが資金提供を停止するずっと以前に始まったため、国立衛生研究所はこの研究を発表したという経緯がある。


今流行している新型コロナウイルスが、今回ご紹介しましたようなことと関連しているかどうかはわかりようがないですし、そもそも、これらの報道の真偽もわかりようがないです。

ただ、以下のことは事実だと思われます。

・人民解放軍の生物兵器担当の最高専門家が今後の武漢ウイルス研究所の指揮を執る。

・武漢ウイルス研究所は、優秀な女性所長の下で、研究員たちと共に SARS とコウモリのウイルスを組み合わせたウイルスの研究を続けていた。

今回ここに出てきた主要な人物のすべてが女性だったということに、正直驚きました。

皆さん、優秀すぎる方々ですけれど、その優秀さが「善」に向かえば、きっと良い方向は見つかると思います。

願わくば、極めて優秀なウイルス専門家でもある中国軍のチェン・ウェイ少将などに突破口を見出していただけることを祈っております。


以下「In Deep」様より転載

https://indeep.jp/there-was-a-phantom-vaccine-did-not-cause-ade/

・幻のワクチン : ADE (抗体依存性増強)を誘発しないコロナウイルスワクチンが現行のファイザー社ワクチン以前に存在したことを明らかに示す厚生労働省の特例承認報告書

2021年7月7日

※ADEが発生するほうが選ばれ

前回

> 要するに、「今は戦時だ」ということがお伝えできていれば幸いです。

と書きました。

こういうのを「比喩」だと思われる方がいらっしゃるかも知らないですが、これは比喩ではないです。

文字通りの意味において「戦時下」と書いています。

それで、その特徴を示す現実のひとつをご紹介させていただこうかと思います。

書かせていただく内容は、ファイザー社のコロナワクチンについてですが、

「臨床試験では、複数のバージョンが同時に試験されていて、《そのひとつ》が選ばれて、実際に人々に打つほうのワクチンとして採用となった」

という経緯があります。

ファイザー社の臨床試験書を見ていて気づいたことですが、最初に簡単に書きますと、

・ひとつのほうのバージョンは、「ADE (抗体依存性増強)を起こさない可能性のあるもの」だった

・もうひとつは、「ADEを起こす可能性があるもの」だった

のですが、本採用されたのは「 ADE を起こす可能性があるほう」となりました。

ADE とは、簡単に書けば、ある種類のウイルスなどのワクチンを接種した場合、その後、再感染した際に症状の度合いが非常に強くなる、というものです。

私は、 ADE という言葉さえ、このコロナワクチンが展開されてから初めて知ったことですが、医師や医学者ならどなたでもご存じのことのようで、デングウイルスなどいくつかのワクチンでは、この ADE があるために、ワクチン開発が停滞しています。

そして、

「コロナウイルスのワクチンも ADE を起こすもののひとつ」

でした。

新型コロナウイルスということではなく、すべてのコロナウイルスのワクチンが、ADE を防ぐことができずに開発が中止・延期されています。

そのために、これまで一度もいかなるコロナウイルスに対してのワクチンの開発も成功したことがありませんでした。

現在出回っているあらゆる種類のコロナワクチンも、そこに「抗体」を作る機能があるかぎり、 ADE を防ぐメカニズムはないと思われます。

これから出るものについてはわかりません。

ただし、抗体を作る機能がない「水ワクチン」なら ADE は起こりようがないです。

矛盾するように聞こえるかもしれないですが、「コロナウイルス感染症の最重症化を防ぐためには、ワクチンで予防しない」という方法しか現在までのところは存在していません。

「感染を防ぐ」ほうではなく、「最重症化を防ぐ」ほうの話です。

残念ながら、現行のコロナワクチンでは、その程度や、どのくらいの人たちに起き得るかということは今はわからないものの、数や規模を別にすれば「必ず起きると予測される」ものです。

ですので、ワクチン抗体によってのコロナウイルスの予防は、最も厄介な状態を導く可能性が高くなる方法でもあり、これを否定できる医学者はいないはずです。

それはもうメカニズムとして医学の歴史の中で確立されているものですから、否定しようがない。

大阪大学や免疫学フロンティア研究センターなどの共同研究である「新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見」というプレスリリースには、明確に以下のように書かれています。

> 感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。

「 ADE を誘発する部位は、現行のワクチン抗原にも含まれている」と書かれてあり、そして、それがどこのメーカーのワクチンと書かれているわけではないわけで「全部」です。

水ワクチン以外は全部 ADE が起き得る可能性を排除できないと思われます。

それはともかく、上の大阪大学などの共同研究のプレスリリースにおいての、先ほどの「感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている」の記述の後には、以下の表現が続きます。

> 感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましい。

> 本研究で明らかになった感染増強抗体の認識部位を改変することで、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン開発が可能になると期待される。

この「感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン」は、実は「開発されていた」のです。

ファイザー社によって。

残念なことは、「それが採用されなかった」ということだけです。

つまり、今でも、ADE を起こさないワクチンはファイザーの研究室(かどこか)にはあるはずです。

まあ、ポリエチレングリコールにくるまれた mRNA を打つという根本的な害悪性についてはそのバージョンも同じですが、少なくとも、

「副反応・副作用ではない二度目に遅いかかる ADE という悲劇を回避できた可能性のあるワクチン」

が、ファイザー社のどこかに眠っています。

そのことをご説明させていただきたいと思います。

「最終的に選ばれたのは ADE を起こすほうのワクチンだった」という可能性があることを知って頂ければと思います。

ここからです。


試薬 BNT162b「1」と試薬 BNT162b「2」

なかなかややこしい話となるかもしれないですが、基本的には、

「大阪大学などによる抗体依存性増強の研究の論文」



「厚生労働省のファイザー社コロナワクチン特例承認書類の内容」

を照らし合わせていきます。

大阪大学の論文のプレスリリースには、先ほども書きましたように、以下のように記されています。

> 感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。

つまり、現在使われているワクチンは、ADE を起こす可能性があると述べられています。

ここからがちょっと面倒くさい話ですが、新型コロナウイルス(のスパイクタンパク質)の部位は、

・RBD(受容体の結合部位)
・NTD (受容体の結合部位)

からなっています。

大阪大学などの研究から図をお借りしますと、以下のようになっています。



大阪大学などの研究のプレスリリースには以下のように書かれてあります。

> 中和抗体は RBD を認識するのに対して、

> 感染増強抗体は NTD の特定の部位を認識することが明らかとなった。

つまり、

・ADE を起こす感染増強抗体は、上の図の「 NTD 」というほうの受容体の結合部位を認識する

ということで、この NTD というほうが、抗体依存性増強と関係する。

そして、 中和抗体、つまり感染予防となるとされる抗体のほうは「 RBD を認識する」とプレスリリースにはありまして、この RBD だけを認識するものであれば、抗体依存性増強は起きにくい可能性がある。

このふたつのことがわかります。

図で示しますと、以下のようなことになるでしょうか。



さて、ここから、厚生労働省によるファイザー社ワクチンの特例承認書の内容に入ります。

その前に大前提として、現在、日本で接種が進んでいる実際に使用されているファイザー社ワクチンの正式名称の型番は、

BNT162b2

です。

末尾が「 2 」のものです。

この末尾の数字がとても大事になってきます。

末尾が「 1 」のものも出てくるからです。

日本で実際に使われているファイザー社ワクチンが、この末尾が「 2 」の BNT162b2 かどうかは、以下の国立感染症研究所の 5月10日時点の「新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech)を接種後のCOVID-19報告率に関する検討」というページの冒頭でわかります。

> 国内に導入された新型コロナワクチン BNT162b2 の臨床的効果を迅速に評価することを目的として

とあるように、日本国内に導入され現在使われているファイザー社新型コロナワクチンは「 BNT162b2 」です。

ここで再び、厚生労働省の「特例承認書」を見てみます。

末尾が「 2 」のほうです。

さきほどの、RBD というものと NTD というものを思い出されて読まれて下さると幸いです。

特例承認書の 22ページには以下のようにあります。

> なお、本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA であり、BNT162b1 は SARS-CoV-2 の S タンパク質の RBD をコードする mRNA である。



(上)コミナティ筋注 ファイザー株式会社 特例承認に係る報告書 22ページ

とあります。

ここでの「本剤」というのが、現在、日本で使われているほうで、末尾が 2 のほうです。

文章をひとつずつもう一度書きます。

・本剤は SARS-CoV-2 の S タンパク質の全長体をコードする mRNA

・BNT162b1 は SARS-CoV-2 の S タンパク質の RBD をコードする mRNA

下のほうの文章には、

「 BNT162b1 」

と、末尾の数字が「 1 」とあり、現在日本で使われている末尾が「 2 」のファイザー社ワクチンとは「異なるワクチン」が、比較として臨床で使われていたことがわかります。

「 1 」とありますので、ごく普通に考えれば、現在使用されている「 2 」のひとつ前の開発バージョンか何かだとは思いますが、開発の順番はともかく、「異なる2種類のワクチンで比較された」ことになります。

この文書には、

> 18 歳以上 55 歳以下及び 65 歳以上 85 歳以下の健康人を対象に、本剤( BNT162b2 )の安全性、忍容性及び免疫原性の検討を目的とした無作為化観察者盲検、プラセボ対照並行群間比較試験が米国の 4 施設で実施された。

> 被験者は、各グループ(本剤又は BNT162b1 の用量別及びプラセボと年齢層別の組合せ計 13 グループ)ごとに、無作為化された。

とあり、これはアメリカでの試験であり、

・本剤(末尾が 2の BNT162b2で、現在日本で使われているほう)
・BNT162b1(末尾が 1の採用されなかったほう)

での比較試験とあります。

文書では、「本剤」とあり、やややこしいですので、それを正式名にして、もう一度、書きますと、

・BNT162b2 はスパイクタンパク質の全長体をコードする mRNA

・BNT162b1 はスパイクタンパク質の RBD をコードする mRNA

とあります。

ここで、大阪大学等の研究を思い出してみます。

現在日本で使われている BNT162b2 は、「全長体をコードする」とありますので、「すべて含まれている」ということになり、つまり、

「 RBD も NTD も含まれている」

ということになります。

以下の図をもう一度示させていただきますと、「感染増強抗体の産生を誘導する」部位、つまり ADE を引き起こす可能性と関係する部位である NTD も含まれているということです。



しかし、採用されなかったほうのワクチンである、末尾が「 1 」の BNT162b1には、「 RBD をコードする」とだけ書かれており、ADE を引き起こす可能性がある部位の NTD はコードしないと読めます。

ということは、

「この採用されなかったワクチンなら ADE が引き起こされない可能性がある」

ということで、大阪大学などの研究のプレスリリースには、

> 感染増強抗体の認識部位を改変することで、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン開発が可能になると期待される。

とありますが、くしくもファイザー社は、この

「感染増強抗体の認識部位を改変することで、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチンの開発に成功していた」

のでした。

つまり、「 ADE を引き起こさないコロナウイルスのワクチン」を、おそらく世界で初めて開発したということになるのです。

これは素晴らしいことです。

ただ、ひとつ残念だったことは、

「そのワクチンは現実には使われなかった」

と。

試験後に採用され、世界中で現在接種されているのは、

「スパイクタンパク質のNTD もコードする BNT162b2 」

であり、感染増強抗体の認識部位が含まれているほうで、つまり、

「 ADE を引き起こす可能性が、より高いほうが本採用となった」

のでした。

本採用されなかった BNT162b1 のほうなら、それ自体が有害であるスパイクタンパク質を産生する mRNA を接種することの有害性は変わらなくとも、ADE を引き起こす抗体が認識しない部位だけがコードされるものだったわけで、少なくとも ADE は回避された可能性が高いです。

試験の中で、 ADE を引き起こさない可能性があるほうのバージョンは最終的に採用されなかった。

なお、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構のページからリンクされている資料に、

・SARS-CoV-2 mRNA Vaccine 個々の試験のまとめ

というものがあり、ここには、各国の試験の状況が書かれていますが、ドイツでの試験では、これに加えて、さらに末尾の英数字が異なる、

・BNT162a1
・BNT162c2

という、ふたつの異なるバージョンが試験されていたことも記載されています。語尾が「 a1 」と「 c2 」のバージョンです。

こちらの BNT162a1 と BNT162c2 については、この文書では試験についてふれられていませんので、どのようなものかはわかりません。


いずれにしましても、「試験の段階では ADE を起こす可能性が低いワクチンは存在していた」と考えられます。

そして、今回のことでわかるのは、新型コロナのスパイクタンパク質を作り出すタイプのワクチンは、

1. RBD と NTD のどちらもコードするワクチン

2. RBD のみをコードするワクチン

3. NTD のみをコードするワクチン

という3つの種類のワクチンを作ることが可能であるということでした。

これはそれぞれ以下のようになります。

1. RBD と NTD のどちらもコードする → 感染抑制の効果が期待できるが、後に、抗体依存性増強が引き起こされる可能性がある

2. RBD のみをコードする → 感染抑制の効果が期待でき、抗体依存性増強を引き起こす可能性が低い

3. NTD のみをコードする → 感染抑制効果はなく、抗体依存性増強に特化したワクチン

「3」は、まるで完全な生物兵器ですが、幸いなことに、これはどの国でも使われていません(おそらく)。

実際に使われているのは「1」です。

試験での経緯の詳細はともかくとしても、「残念なほうが本採用となった」ということをご説明させていただきました。