・逃げ得は許さない 養育費未払いに刑事罰 4月から(Forbes Japan 2021年3月30日)
元榮 太一郎
※2021年4月1日に、改正民事執行法が施行されます。この改正によって、養育費の支払いを避ける、または不当に減額させようと「財産開示手続」に応じなかったり、嘘の回答をしたりした場合には刑事罰が課されるようになります。
これまで養育費の不払いは恒常化しており、厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によれば、半数以上の監護親(子どもを監護する親)が養育費を受け取れていない状態が続いていました。
なぜこのような状態が続いていたのか、改正民事執行法の施行で今後はどうなのか、考えてみましょう。
養育費を受け取れているのは4人に1人
2019年、日本では20万8496組の夫婦が離婚しました。2003年の28万3854組をピークに、徐々に減少傾向にあるとはいえ、毎年20万組超の夫婦が離婚しています。
離婚件数は徐々に減少しているにもかかわらず、逆に増加しているのが「審判、調停等で争われる離婚後の子の監護をめぐる事件」です。これは、裁判所に申し立てられた養育費の未払いや監護者の指定事件、子の引渡し事件、面会交流事件などを指します。
2005年の離婚件数26万1917件に対し、裁判所への審判及び調停件数は2万5728件で、総離婚件数の9.8%でした。それが、2016年には19.2%(総離婚件数21万7000件、審判及び調停件数4万1603件)と、約2倍に増加しています。
なかでも問題とされているのが、養育費の未払い問題です。前述の「全国ひとり親世帯等調査」によると、「養育費を受けている」と回答したのは24.3%。一方、「養育費を受けたことがない」と回答したのは56.0%と、圧倒的に養育費を受け取れていないのが現状です。
離婚後、監護親(子どもを監護する親)は、非監護親(子どもを監護していない親)に対して、子どもを育てていくための養育に要する費用を請求することができます。この費用が「養育費」です。
養育費は、離婚をしたとしても親として当然支払ってもらうべき費用のはず。にもかかわらず、なぜ日本では養育費の未払いが多いのでしょうか。
現在、日本には養育費の強制徴収を行う行政機関がありません。養育費の未払いについては、あくまでも「個人間の問題」と捉えられ、監護親による養育費交渉と非監護親のモラルに委ねられてきました。そのため、離婚時に養育費についての取り決めはするものの、未払いとなっても打てる手が少なく、あっても訴訟を起こすなど、ハードルが高いことが問題視されていました。
非監護親が養育費を支払わない理由については、収入によっても違いが生じています。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、年収200万円未満の非監護親が養育費を未払いになる主な理由は「支払い能力の欠如」です。一方、年収500万円以上の非監護親の場合は、再婚したことによる「新しい家族との生活優先」のためとのことです。
つまり、子どもを抱える監護親は、離婚した非監護親の収入が少なくても多くても、養育費を受け取りづらい状況に置かれているのです。このような現状になっている最大の理由は、これまで養育費を支払わなくても特に罰則がなかったことでしょう。
いわば「逃げ得」の状況に置かれている現状を、国も問題視しており、今回、養育費の未払いについて新たな手段を講じたわけです。2021年4月1日からは改正民事執行法が施行され、養育費の未払いについてより厳しい処罰が課せられることになります。
独自の手段を講じる自治体も全国に
では、改正民事執行法の施行によって、何がどう厳しく変わるのでしょうか。
養育費を回収するにあたって効果的なのは「財産の差し押さえ」です。裁判所の命令によって非監護親の財産を差し押さえ、その財産の中から未払いの養育費を回収する、これが比較的スムーズな措置でしょう。
改正前もこの手段は取れたのですが、実は差し押さえるために財産がどれくらいあるのかを開示させる「財産開示手続」で虚偽申告が行われる場合もあるなど、実態にそぐわない運用となっていました。財産開示手続の罪は行政罰(前科はつかない)で、罰則も最大30万円の科料で、「養育費を払うくらいなら罰金を払ったほうが安かった」からです。
この点が、今回の改正民事執行法によって、罪は刑事罰(前科がつく)で、罰則も6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金となり重くなりました。これで、それまで非監護親の財産がわからなかったがために泣き寝入りしていた監護親への救済が期待できます。
それでもなお、虚偽申告して財産を不当に少なく見せる非監護親がいることも想定されます。この点についても、虚偽申告や隠蔽を防ぐために「第三者からの情報取得手続き」も取れるようになりました。この措置によって、現在の勤務先に関する情報を取得して、給与債権の差押えにつなげることができ、より正確に非監護親の財産情報を把握できるようになることが期待されています。
養育費を受け取れない監護親の救済のため、独自の手段を講じる自治体も出てきました。兵庫県明石市は、2020年7〜8月に養育費を受け取れていない人の代わりに市が非監護親に催促。それでも支払われない場合には、明石市がその金額を立て替え、その分を非監護親から回収するという支援事業を行いました。
同様の施策は、宮城県仙台市、東京都豊島区、千葉県船橋市、神奈川県横須賀市など全国へと拡大しています。
泣き寝入りが常態だった日本の養育費未払い問題ですが、こうして「逃げ得」はどんどん許されなくなっています。
今回の改正民事執行法の施行によって、養育費は受け取りやすくなるはずです。養育費未払いをめぐる問題には、まだ解決すべき点があるかもしれませんが、この4月から施行される法律が解決への大きな前進になることでしょう。
・■子を自分だけのものにできました日本最高
https://anond.hatelabo.jp/20170310105854
※子の教育方針などで夫と口論するうち、子を夫と切り離し自分だけの好みの方針で育てるために離婚したくなった。
我ながら我が儘だけど。
もともと夫とソリが合わず孫の顔さえ見てればいい人たちだから、実家は当然、全面的に私の味方。
しかも初孫だったし。
それで思い切って、ものごころつく前の子を連れて実家に戻った。
実家のサポートでいろいろ生活が成り立つようになったので、女性に寄り添い女性の言い分を通してくれることで有名な離婚弁護士さんに相談。
その弁護士はすぐに、事細かく作戦を教えてくれた。
まずやるのは離婚調停ではなく、敢えて「婚姻費用分担調停」。
こんな内容を書く。
1. 一方的に自分の意見を通そうとする我が儘で暴力的な夫から激しい言葉のDVを受けた
2. 子に対する具体的なDVはなかったが今後そのおそれは十分にあり、私に暴言を吐く姿を子が見てトラウマになっていること自体も含めて。子との面会は困難
3. 離婚は今のところ考えていない。婚姻費用の分担を求める
なぜこうするかはちゃんと理由があった。
離婚弁護士の説明はこう。
1. は事実と異なるが、こう書けば大丈夫。
家庭裁判所や調停委員は事実関係を調査せず双方の主張を聞くだけ。
夫からの反論は当然なされるが、参考にする程度。
明らかにこちらの言い分に嘘や矛盾があっても、それを指摘する夫の反論の激しさは「夫婦間の葛藤」の存在を証明することになるので、むしろ好都合。
それだけでは不安であれば、婦人相談所にDV被害の相談に行き「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」を発行してもらえばよい。
この証明書の発行には証拠不要。事実確認はおろか夫側の見解聴取もない。
これは「相談があったことの証明」だが、実務的には「DVがあったことの証明」として役所や裁判所で通用する。
(内閣府男女共同参画局通知 http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/kanrentsuchi/pdf/01/n_29_20140930.pdf ここには『この保護に関する証明書は、配偶者からの暴力を理由として保護した者に対して婦人相談所等が発行するものであり、配偶者からの暴力があった事実を証明するものではないことを、念のため申し添えます』と書いてあるが、調停委員が知らないばかりか家庭裁判所裁判官も知らないほど、この注記は知られていない。)
夫が裁判所で「そのようなDVはなかった」と証明することは不可能(悪魔の証明)。
2.も事実と異なっても大丈夫。
これから別居中にじっくりと子に夫の恐ろしさを教えておけばよい。試行面会の頃までには子が勝手に夫を怖がるようになってくれる。
どんなに夫が子煩悩だったとしても、3歳くらいまでの記憶は綺麗さっぱり消える(「幼児健忘症」。病気ではない)。
夫の写真も見せないようにする。仮に子が「パパは?」と訊いたとしても、キッと睨むだけで子は「この話を母親としてはいけないんだ」と学び、保護者である母親の気に入る子になる本能で、勝手に父親を嫌いになる。
裁判所に診断書を提出する必要はない。
夫からの激しい反論は当然なされるが、その激しさも「夫婦間の葛藤」の存在を証明することになるのでむしろ好都合。
3.は実入りを少しでも大きくするため。
離婚をしてしまうと受け取れるのは養育費だけになるが、婚姻をかたちの上で継続しておけば相互扶養義務に基づく婚姻費用の分担を請求できる。
婚姻費用には養育費部分も含まれているので、養育費単独よりも金額が大きい。
このアドバイスのとおりにやってみると、面白いように周りが全部こちらの味方になってくれた。
誰も私を疑わない。
いや、疑う流れにはときどきなったけど、疑うそぶりを少しでも感じたら
「私を疑うなんて酷い」
と泣いてみせればその話はぜんぶ立ち消えになった。
私の言い分の嘘や矛盾を夫が長々と説明しても、どんな証拠が出てきても、「そんなことはない」と言えばいい。
そう言うだけの方が良いのだ。
「証拠対証拠になると不利なので、こちらからは証拠を出さない」
という弁護士の作戦もピタリと当たった。
夫から見ると私の主張は嘘や矛盾ばかり。
夫がどんなに苦労して物的証拠を出しても、裁判官や調停委員はそれを採用せず、私の口頭の主張ばかり採用する。
子には何年も会わせてもらえない。・・・
夫が怒り始めるのも当然。
でも、
「すぐそうやって怒り始める人で大変だったんです」
と言えば1.や2.の間接的な証明にもなる。
しかも、
「夫婦間で葛藤がある」
という裁判所独特の言い回しで、面会させない理由にしてくれる。
いい気味w
裁判所って理屈の世界かと思ってたけど、ぜんぜん違った。
少なくとも離婚の家庭裁判所は、理屈の遙か以前に、
女>>>>>>>>>>>男
とあらかじめ決まってる。
おかげさまで今はかわいい子とふたり暮らし。
夫が年収高かったおかげで20万強の婚姻費用を毎月受け取ってる。
保育所には例の「証明書」を見せれば最優先で入れて貰えたので、自分の勤めの収入も十分。
((嘘扱いされるのが癪に障るので追記注釈。実家のサポートで暮らしていて収入ゼロのうちに婚費決めさせたのと、娘がDVトラウマで今後も働きに出られないかもという主張が通って、夫の年収1300ちょっとだったけど算定表ほぼ満額が取れたんですよ http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf 現実の裁判所が嘘みたいだからしかたないんだけど、無闇に嘘扱いしないでね))
さすがにこれは酷いということで国会でも「親子関係断絶防止法」が議論になってるけど、たぶん通らない。
裁判所の調停や審判に持ち込まれているような場合、夫婦間でかなりの葛藤があって、敵対関係があって、持ち込まれるのが大半なんではないですか?そういう場合に面会交流を継続するのが、本当に子どもの福祉にかなうのか、慎重に考えるべき
実はこの「夫婦間の葛藤」や「敵対関係」は私が作ってるだけで実際には夫に非なんか一切無いんだけど、勝手にこう解釈してくれて、私の我が儘じゃなく「子供の福祉のために」面会をやめろと言ってくれる。
夫はこれからどう出てくるのかな。
「会わせろ」と連絡してくるのを警察に相談したらストーカー扱いしてくれたので、今はそれもない。
婚姻費用は延滞もなく毎月振り込んでくる。
当たり前だよね。
少しでも振込を怠ったら私から会社に連絡がいき、給料を差し押さえられるんだから。
弁護士にきいたら、次の裁判ものらりくらりやってれば絶対に勝てるんだって。
親権も「100%大丈夫」と太鼓判を押してくれた。
ただ、一生ずっと面会ゼロにするためにはひと工夫必要らしいので、今それをやってるところ。
その中身は内緒だけどね。
死ねとか言ってた人がいたけど、そんなことない。
この国は最高。
※ブログ主コメント:上の話自体は創作らしいが、男性からすれば、いまや結婚はリスクが高いだけの何の得にもならないものとなっている。それは男性に、養育どころか結婚と生殖自体を忌避させ、さらなる少子化を招くであろう。(もちろん人口削減のためにわざと為政者がその方向に誘導している)。
そもそも男が女を養うのは、子育て費用だけでなく、セックスの代金も含まれているのである。離婚後は、セックスもできない、子供にも会えない(場合による)、だけど、金だけ払え、では、男には何の得もない。男の方は費用支払いのため、セックスを買うこともできず、新たな家族を作ることもできず、残りの人生をただのキャッシュディスペンサーとなって、永遠に幸せを掴めない。これでは男性が、リスクばかりが高く、何の得にもならない結婚自体をしなくなるのは当然であろう。離婚後に男性が金を払わないのは当然の理由があるのである。
ブログ主は養育費の支払い義務化に反対します。払えるのなら勝手に払っているであろう。真の解決策は、新自由主義とフェミニズムと安易な離婚を禁止し、安定的な(≒リスクの少ない)従来の結婚制度を復活することである。
・女を追い込むフェミ。男女平等を叫びシングルマザーを困窮させた女性解放論者どもの罪(MONEY VOICE 2021年2月21日)
鈴木傾城(すずき けいせい)
プロフィール:
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
※「何が何でも俺が妻子の面倒を見る」と断言する男は世の中から消えた。男が軟弱になったからではない。そのように決意すると、フェミニストが「男女は平等なのだから、男が面倒見るなんて考え方は傲慢だ」と攻撃する。だから男たちは「それなら、どうぞ」と喜んで道を譲った。
多くの場合は養育費が継続して払われることはない
現在、日本は子どもの6人に1人が貧困なのだが、貧困に堕ちる子どもたちの少なからずは「ひとり親」である。
ひとり親というのは、子どもにとって父か母のどちらかがいないという状態なのだが、それは父親と死別したとか母親と死別したというものではない。
ほとんどは、両親の離婚で一方が出ていって、片方の親が子どもを育てる事態となって「ひとり親」となっている。すでに「子はかすがい」とはならない。ドライに関係は切れる。
子どもはどうするのか。子どもは母親に懐くし、母親もまた子どもを離したがらないので、ひとり親と言えば多くが「シングルマザー」である。
日本の母子世帯数は推計だが、約123万2,000世帯もいる。母親の81.8%は働いているのだが、収入は通常の世帯の半分以下でしかない。
本来であれば、離婚したとしても父親は養育費を払って金銭的に子どもの面倒を見る必要がある。別れたとしても、自分の子どもには間違いないからである。血はつながっている。
しかし、多くの場合は養育費が継続して払われることはない。父親は最初から払わないか、途中で逃げてしまうのである。結局は、4人に3人は養育費をもらっていないような状況となっている。
そしてどうなるのか。シングルマザーの51.4%が貧困であるのを見ても分かる通り、母子ともども深刻な貧困の中に落ちていくことになる。
2020年のコロナ禍によって、この状況はますます悪化してしまっている。
母子家庭を支援するNPO法人によると、収入がなくなったシングルマザーは5.8%、減ったシングルマザーは48.6%に及んでいる。
※参考:新型コロナでの影響:シングルマザー世帯への支援策に関するアンケート結果(2020/04/13暫定版) – しんぐるまざあず・ふぉーらむ
シングルマザーの苦境は世界共通。日本も例外ではない
シングルマザーが苦境に落ちる姿は、世界中どこを見ても存在する。
東南アジアでも、父親は他に女を見つけると、いとも簡単に妻と子どもを捨てて新しい女のところに行って帰ってこなくなる。だから、福祉も行政も頼りにならない東南アジアの女性たちは、離婚後には極貧に陥って売春ビジネスに足を踏み入れている。それしか生きる道がないからだ。
日本も風俗店に託児所があるとか、母親風俗嬢が仕事に行っている間は待機の女性が子どもの面倒を見ているとか、そんなケースも増えている。
それどころか、妊娠して臨月の状態なのにデリヘル店で働いているような女性すらもいる。日本のアンダーグラウンドでは、そのような光景が広がっているのである。
どんなにキャリアや能力や適性があっても無駄だった
何にしろ、父親がいない家庭は母親がひとりで子どもを育てることになるのだが、それは想像以上の重労働であり、難事業でもある。
子どもが幼ければ幼いほど、あるいは子どもの数が多ければ多いほど、母親は子どもから離れられない。そのため、仮にフルタイムの仕事があったとしても、フルタイムで働ける環境にない。
託児所と言っても無料ではないし、空いているわけでもない。また時間を過ぎても預かってくれるわけでもない。子どもに問題があれば、すぐに呼び寄せられる。
子どもの体調は変化しやすく、子どもも常に母親の庇護を求める。
つまり、シングルマザーはどんなにキャリアや能力や適性があっても仕事に全力投球できず、かと言って子育てのみに専念することもできない中途半端な状況に置かれて苦しむ。
実家には頼れず、養育費ももらえず、孤立無援に
そうしたシングルマザーが最終的に頼るのは自分の実家だが、その実家が遠く離れていたり、仲が悪かったり、疎遠になっていたり、実家の両親がそもそも貧困だったりすると、助けを求めることもできない。
日本社会の経済は1990年から停滞している。バブルが崩壊しているのに、当時の政府は消費税を取り入れたり、総量規制で不動産価格を一気に収縮させたりして経済成長の芽を徹底的に叩き潰してしまった。
2000年代以後はグローバル化が剥き出しのまま日本に取り入れたので非正規雇用者が爆発的に増え、格差と貧困が日本に定着するようになっていた。
少子高齢化もそのまま放置されて、深刻な少子高齢化の社会となった。
シングルマザーが親に頼ろうと思っても、親世代もまた日本社会の変化の中で余裕をなくしている。子どもたちが金銭的に困っても援助する余裕などなくなってしまっている。
貧困に苦しむシングルマザーの、そのほとんどが親に頼れない状況だ。かつてのように、母親の実家が子どもを預かって、母親が経済的にも精神的にも助かるような幸せな家庭は減ってしまっている。
しかも4人に3人のシングルマザーは、養育費をもらえていない。
シングルマザーの夫、すなわち子どもの父親が養育費を払わないのは、父親が無責任なこともあるが、その父親自身も経済的に問題を抱えているからだ。
うまく仕事が見付からなかったり、仕事を続ける能力がなかったり、そんな責任も感じなかったりするからである。だから払わずに逃げる。家庭内暴力で別れた場合、妻が身元を知られたくないので養育費をあきらめるケースもある。
そして、シングルマザーは孤立無援と化す。
男たちは「それなら、どうぞ」と喜んで道を譲った
社会が複雑化することによって、今の子どもたちは多くのことを学ばなければ生きていけない。
そのため、昔のように16歳で結婚するどころではなく、18歳まで学校で勉強するのは当たり前の社会となった。それでも足りずに大学に入るのも当然の義務になっている。
そして大学を出ても収入や生活は安定しないので、結婚はさらに先に延ばされる。結婚は20代後半や30代前半になる。しかし、身体的には思春期以後に性に芽生えて20代には性的にも活発になる。
身体はセックスを求めている。しかし、結婚はずっと後になる。そのため、社会が婚前交渉を黙認するようになるのは必然だった。セックスは多くの人と経験するものとなり、それが抵抗なくなっていくと、結婚もまた形骸化していくことになった。
それでも結婚という形が残っているのは、子どもが生まれたら夫婦で育てるという社会的な了解事項があるからである。
子どもが生まれたら女性の収入は途絶える。だから、夫は稼ぎ手としての役割を担う。それが結婚だったのだ。
ところが、結婚も簡単になったが離婚もまた簡単になると、男は子どもを作って飛んでしまい、後に子どもだけが残される。そういうケースが多くなった。
これでは女性が安心して子どもを産むことができない。あまりにもリスクが高すぎるのである。
「何があっても妻と添い遂げる。子どもも夫婦で立派に育ててみせる」という気概が男から消えたし、社会もそれを強制しなくなった。
「何が何でも俺が妻子の面倒を見る」と断言する男は世の中から消えたのだ。それは今の男が軟弱になったからではない。そう言うと、責められる時代になったので責任を持つのをやめたのだ。
誰が責めるのか。フェミニストだ。
フェミニストが「男女は平等なのだから、男が面倒見るなんて考え方は傲慢だ」と言うので、男は「面倒をみなくていいなら、それは都合がいい」と重荷を下ろした。
フェミニストは「女も働いて自立すべきだ」というので、男たちは「それなら、どうぞ」と喜んで道を譲った。
かくして、責任を取らなくてもよくなった男と、壊れた家族と、取り残される母親と、貧困に苦しむ子どもが出現するようになったのである。
こんな社会になった責任は誰も取らない。しかし、飢えたシングルマザーと子どもが日本のどん底(ボトム)に残されている。
元榮 太一郎
※2021年4月1日に、改正民事執行法が施行されます。この改正によって、養育費の支払いを避ける、または不当に減額させようと「財産開示手続」に応じなかったり、嘘の回答をしたりした場合には刑事罰が課されるようになります。
これまで養育費の不払いは恒常化しており、厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によれば、半数以上の監護親(子どもを監護する親)が養育費を受け取れていない状態が続いていました。
なぜこのような状態が続いていたのか、改正民事執行法の施行で今後はどうなのか、考えてみましょう。
養育費を受け取れているのは4人に1人
2019年、日本では20万8496組の夫婦が離婚しました。2003年の28万3854組をピークに、徐々に減少傾向にあるとはいえ、毎年20万組超の夫婦が離婚しています。
離婚件数は徐々に減少しているにもかかわらず、逆に増加しているのが「審判、調停等で争われる離婚後の子の監護をめぐる事件」です。これは、裁判所に申し立てられた養育費の未払いや監護者の指定事件、子の引渡し事件、面会交流事件などを指します。
2005年の離婚件数26万1917件に対し、裁判所への審判及び調停件数は2万5728件で、総離婚件数の9.8%でした。それが、2016年には19.2%(総離婚件数21万7000件、審判及び調停件数4万1603件)と、約2倍に増加しています。
なかでも問題とされているのが、養育費の未払い問題です。前述の「全国ひとり親世帯等調査」によると、「養育費を受けている」と回答したのは24.3%。一方、「養育費を受けたことがない」と回答したのは56.0%と、圧倒的に養育費を受け取れていないのが現状です。
離婚後、監護親(子どもを監護する親)は、非監護親(子どもを監護していない親)に対して、子どもを育てていくための養育に要する費用を請求することができます。この費用が「養育費」です。
養育費は、離婚をしたとしても親として当然支払ってもらうべき費用のはず。にもかかわらず、なぜ日本では養育費の未払いが多いのでしょうか。
現在、日本には養育費の強制徴収を行う行政機関がありません。養育費の未払いについては、あくまでも「個人間の問題」と捉えられ、監護親による養育費交渉と非監護親のモラルに委ねられてきました。そのため、離婚時に養育費についての取り決めはするものの、未払いとなっても打てる手が少なく、あっても訴訟を起こすなど、ハードルが高いことが問題視されていました。
非監護親が養育費を支払わない理由については、収入によっても違いが生じています。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、年収200万円未満の非監護親が養育費を未払いになる主な理由は「支払い能力の欠如」です。一方、年収500万円以上の非監護親の場合は、再婚したことによる「新しい家族との生活優先」のためとのことです。
つまり、子どもを抱える監護親は、離婚した非監護親の収入が少なくても多くても、養育費を受け取りづらい状況に置かれているのです。このような現状になっている最大の理由は、これまで養育費を支払わなくても特に罰則がなかったことでしょう。
いわば「逃げ得」の状況に置かれている現状を、国も問題視しており、今回、養育費の未払いについて新たな手段を講じたわけです。2021年4月1日からは改正民事執行法が施行され、養育費の未払いについてより厳しい処罰が課せられることになります。
独自の手段を講じる自治体も全国に
では、改正民事執行法の施行によって、何がどう厳しく変わるのでしょうか。
養育費を回収するにあたって効果的なのは「財産の差し押さえ」です。裁判所の命令によって非監護親の財産を差し押さえ、その財産の中から未払いの養育費を回収する、これが比較的スムーズな措置でしょう。
改正前もこの手段は取れたのですが、実は差し押さえるために財産がどれくらいあるのかを開示させる「財産開示手続」で虚偽申告が行われる場合もあるなど、実態にそぐわない運用となっていました。財産開示手続の罪は行政罰(前科はつかない)で、罰則も最大30万円の科料で、「養育費を払うくらいなら罰金を払ったほうが安かった」からです。
この点が、今回の改正民事執行法によって、罪は刑事罰(前科がつく)で、罰則も6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金となり重くなりました。これで、それまで非監護親の財産がわからなかったがために泣き寝入りしていた監護親への救済が期待できます。
それでもなお、虚偽申告して財産を不当に少なく見せる非監護親がいることも想定されます。この点についても、虚偽申告や隠蔽を防ぐために「第三者からの情報取得手続き」も取れるようになりました。この措置によって、現在の勤務先に関する情報を取得して、給与債権の差押えにつなげることができ、より正確に非監護親の財産情報を把握できるようになることが期待されています。
養育費を受け取れない監護親の救済のため、独自の手段を講じる自治体も出てきました。兵庫県明石市は、2020年7〜8月に養育費を受け取れていない人の代わりに市が非監護親に催促。それでも支払われない場合には、明石市がその金額を立て替え、その分を非監護親から回収するという支援事業を行いました。
同様の施策は、宮城県仙台市、東京都豊島区、千葉県船橋市、神奈川県横須賀市など全国へと拡大しています。
泣き寝入りが常態だった日本の養育費未払い問題ですが、こうして「逃げ得」はどんどん許されなくなっています。
今回の改正民事執行法の施行によって、養育費は受け取りやすくなるはずです。養育費未払いをめぐる問題には、まだ解決すべき点があるかもしれませんが、この4月から施行される法律が解決への大きな前進になることでしょう。
・■子を自分だけのものにできました日本最高
https://anond.hatelabo.jp/20170310105854
※子の教育方針などで夫と口論するうち、子を夫と切り離し自分だけの好みの方針で育てるために離婚したくなった。
我ながら我が儘だけど。
もともと夫とソリが合わず孫の顔さえ見てればいい人たちだから、実家は当然、全面的に私の味方。
しかも初孫だったし。
それで思い切って、ものごころつく前の子を連れて実家に戻った。
実家のサポートでいろいろ生活が成り立つようになったので、女性に寄り添い女性の言い分を通してくれることで有名な離婚弁護士さんに相談。
その弁護士はすぐに、事細かく作戦を教えてくれた。
まずやるのは離婚調停ではなく、敢えて「婚姻費用分担調停」。
こんな内容を書く。
1. 一方的に自分の意見を通そうとする我が儘で暴力的な夫から激しい言葉のDVを受けた
2. 子に対する具体的なDVはなかったが今後そのおそれは十分にあり、私に暴言を吐く姿を子が見てトラウマになっていること自体も含めて。子との面会は困難
3. 離婚は今のところ考えていない。婚姻費用の分担を求める
なぜこうするかはちゃんと理由があった。
離婚弁護士の説明はこう。
1. は事実と異なるが、こう書けば大丈夫。
家庭裁判所や調停委員は事実関係を調査せず双方の主張を聞くだけ。
夫からの反論は当然なされるが、参考にする程度。
明らかにこちらの言い分に嘘や矛盾があっても、それを指摘する夫の反論の激しさは「夫婦間の葛藤」の存在を証明することになるので、むしろ好都合。
それだけでは不安であれば、婦人相談所にDV被害の相談に行き「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」を発行してもらえばよい。
この証明書の発行には証拠不要。事実確認はおろか夫側の見解聴取もない。
これは「相談があったことの証明」だが、実務的には「DVがあったことの証明」として役所や裁判所で通用する。
(内閣府男女共同参画局通知 http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/kanrentsuchi/pdf/01/n_29_20140930.pdf ここには『この保護に関する証明書は、配偶者からの暴力を理由として保護した者に対して婦人相談所等が発行するものであり、配偶者からの暴力があった事実を証明するものではないことを、念のため申し添えます』と書いてあるが、調停委員が知らないばかりか家庭裁判所裁判官も知らないほど、この注記は知られていない。)
夫が裁判所で「そのようなDVはなかった」と証明することは不可能(悪魔の証明)。
2.も事実と異なっても大丈夫。
これから別居中にじっくりと子に夫の恐ろしさを教えておけばよい。試行面会の頃までには子が勝手に夫を怖がるようになってくれる。
どんなに夫が子煩悩だったとしても、3歳くらいまでの記憶は綺麗さっぱり消える(「幼児健忘症」。病気ではない)。
夫の写真も見せないようにする。仮に子が「パパは?」と訊いたとしても、キッと睨むだけで子は「この話を母親としてはいけないんだ」と学び、保護者である母親の気に入る子になる本能で、勝手に父親を嫌いになる。
裁判所に診断書を提出する必要はない。
夫からの激しい反論は当然なされるが、その激しさも「夫婦間の葛藤」の存在を証明することになるのでむしろ好都合。
3.は実入りを少しでも大きくするため。
離婚をしてしまうと受け取れるのは養育費だけになるが、婚姻をかたちの上で継続しておけば相互扶養義務に基づく婚姻費用の分担を請求できる。
婚姻費用には養育費部分も含まれているので、養育費単独よりも金額が大きい。
このアドバイスのとおりにやってみると、面白いように周りが全部こちらの味方になってくれた。
誰も私を疑わない。
いや、疑う流れにはときどきなったけど、疑うそぶりを少しでも感じたら
「私を疑うなんて酷い」
と泣いてみせればその話はぜんぶ立ち消えになった。
私の言い分の嘘や矛盾を夫が長々と説明しても、どんな証拠が出てきても、「そんなことはない」と言えばいい。
そう言うだけの方が良いのだ。
「証拠対証拠になると不利なので、こちらからは証拠を出さない」
という弁護士の作戦もピタリと当たった。
夫から見ると私の主張は嘘や矛盾ばかり。
夫がどんなに苦労して物的証拠を出しても、裁判官や調停委員はそれを採用せず、私の口頭の主張ばかり採用する。
子には何年も会わせてもらえない。・・・
夫が怒り始めるのも当然。
でも、
「すぐそうやって怒り始める人で大変だったんです」
と言えば1.や2.の間接的な証明にもなる。
しかも、
「夫婦間で葛藤がある」
という裁判所独特の言い回しで、面会させない理由にしてくれる。
いい気味w
裁判所って理屈の世界かと思ってたけど、ぜんぜん違った。
少なくとも離婚の家庭裁判所は、理屈の遙か以前に、
女>>>>>>>>>>>男
とあらかじめ決まってる。
おかげさまで今はかわいい子とふたり暮らし。
夫が年収高かったおかげで20万強の婚姻費用を毎月受け取ってる。
保育所には例の「証明書」を見せれば最優先で入れて貰えたので、自分の勤めの収入も十分。
((嘘扱いされるのが癪に障るので追記注釈。実家のサポートで暮らしていて収入ゼロのうちに婚費決めさせたのと、娘がDVトラウマで今後も働きに出られないかもという主張が通って、夫の年収1300ちょっとだったけど算定表ほぼ満額が取れたんですよ http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf 現実の裁判所が嘘みたいだからしかたないんだけど、無闇に嘘扱いしないでね))
さすがにこれは酷いということで国会でも「親子関係断絶防止法」が議論になってるけど、たぶん通らない。
裁判所の調停や審判に持ち込まれているような場合、夫婦間でかなりの葛藤があって、敵対関係があって、持ち込まれるのが大半なんではないですか?そういう場合に面会交流を継続するのが、本当に子どもの福祉にかなうのか、慎重に考えるべき
実はこの「夫婦間の葛藤」や「敵対関係」は私が作ってるだけで実際には夫に非なんか一切無いんだけど、勝手にこう解釈してくれて、私の我が儘じゃなく「子供の福祉のために」面会をやめろと言ってくれる。
夫はこれからどう出てくるのかな。
「会わせろ」と連絡してくるのを警察に相談したらストーカー扱いしてくれたので、今はそれもない。
婚姻費用は延滞もなく毎月振り込んでくる。
当たり前だよね。
少しでも振込を怠ったら私から会社に連絡がいき、給料を差し押さえられるんだから。
弁護士にきいたら、次の裁判ものらりくらりやってれば絶対に勝てるんだって。
親権も「100%大丈夫」と太鼓判を押してくれた。
ただ、一生ずっと面会ゼロにするためにはひと工夫必要らしいので、今それをやってるところ。
その中身は内緒だけどね。
死ねとか言ってた人がいたけど、そんなことない。
この国は最高。
※ブログ主コメント:上の話自体は創作らしいが、男性からすれば、いまや結婚はリスクが高いだけの何の得にもならないものとなっている。それは男性に、養育どころか結婚と生殖自体を忌避させ、さらなる少子化を招くであろう。(もちろん人口削減のためにわざと為政者がその方向に誘導している)。
そもそも男が女を養うのは、子育て費用だけでなく、セックスの代金も含まれているのである。離婚後は、セックスもできない、子供にも会えない(場合による)、だけど、金だけ払え、では、男には何の得もない。男の方は費用支払いのため、セックスを買うこともできず、新たな家族を作ることもできず、残りの人生をただのキャッシュディスペンサーとなって、永遠に幸せを掴めない。これでは男性が、リスクばかりが高く、何の得にもならない結婚自体をしなくなるのは当然であろう。離婚後に男性が金を払わないのは当然の理由があるのである。
ブログ主は養育費の支払い義務化に反対します。払えるのなら勝手に払っているであろう。真の解決策は、新自由主義とフェミニズムと安易な離婚を禁止し、安定的な(≒リスクの少ない)従来の結婚制度を復活することである。
・女を追い込むフェミ。男女平等を叫びシングルマザーを困窮させた女性解放論者どもの罪(MONEY VOICE 2021年2月21日)
鈴木傾城(すずき けいせい)
プロフィール:
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。
※「何が何でも俺が妻子の面倒を見る」と断言する男は世の中から消えた。男が軟弱になったからではない。そのように決意すると、フェミニストが「男女は平等なのだから、男が面倒見るなんて考え方は傲慢だ」と攻撃する。だから男たちは「それなら、どうぞ」と喜んで道を譲った。
多くの場合は養育費が継続して払われることはない
現在、日本は子どもの6人に1人が貧困なのだが、貧困に堕ちる子どもたちの少なからずは「ひとり親」である。
ひとり親というのは、子どもにとって父か母のどちらかがいないという状態なのだが、それは父親と死別したとか母親と死別したというものではない。
ほとんどは、両親の離婚で一方が出ていって、片方の親が子どもを育てる事態となって「ひとり親」となっている。すでに「子はかすがい」とはならない。ドライに関係は切れる。
子どもはどうするのか。子どもは母親に懐くし、母親もまた子どもを離したがらないので、ひとり親と言えば多くが「シングルマザー」である。
日本の母子世帯数は推計だが、約123万2,000世帯もいる。母親の81.8%は働いているのだが、収入は通常の世帯の半分以下でしかない。
本来であれば、離婚したとしても父親は養育費を払って金銭的に子どもの面倒を見る必要がある。別れたとしても、自分の子どもには間違いないからである。血はつながっている。
しかし、多くの場合は養育費が継続して払われることはない。父親は最初から払わないか、途中で逃げてしまうのである。結局は、4人に3人は養育費をもらっていないような状況となっている。
そしてどうなるのか。シングルマザーの51.4%が貧困であるのを見ても分かる通り、母子ともども深刻な貧困の中に落ちていくことになる。
2020年のコロナ禍によって、この状況はますます悪化してしまっている。
母子家庭を支援するNPO法人によると、収入がなくなったシングルマザーは5.8%、減ったシングルマザーは48.6%に及んでいる。
※参考:新型コロナでの影響:シングルマザー世帯への支援策に関するアンケート結果(2020/04/13暫定版) – しんぐるまざあず・ふぉーらむ
シングルマザーの苦境は世界共通。日本も例外ではない
シングルマザーが苦境に落ちる姿は、世界中どこを見ても存在する。
東南アジアでも、父親は他に女を見つけると、いとも簡単に妻と子どもを捨てて新しい女のところに行って帰ってこなくなる。だから、福祉も行政も頼りにならない東南アジアの女性たちは、離婚後には極貧に陥って売春ビジネスに足を踏み入れている。それしか生きる道がないからだ。
日本も風俗店に託児所があるとか、母親風俗嬢が仕事に行っている間は待機の女性が子どもの面倒を見ているとか、そんなケースも増えている。
それどころか、妊娠して臨月の状態なのにデリヘル店で働いているような女性すらもいる。日本のアンダーグラウンドでは、そのような光景が広がっているのである。
どんなにキャリアや能力や適性があっても無駄だった
何にしろ、父親がいない家庭は母親がひとりで子どもを育てることになるのだが、それは想像以上の重労働であり、難事業でもある。
子どもが幼ければ幼いほど、あるいは子どもの数が多ければ多いほど、母親は子どもから離れられない。そのため、仮にフルタイムの仕事があったとしても、フルタイムで働ける環境にない。
託児所と言っても無料ではないし、空いているわけでもない。また時間を過ぎても預かってくれるわけでもない。子どもに問題があれば、すぐに呼び寄せられる。
子どもの体調は変化しやすく、子どもも常に母親の庇護を求める。
つまり、シングルマザーはどんなにキャリアや能力や適性があっても仕事に全力投球できず、かと言って子育てのみに専念することもできない中途半端な状況に置かれて苦しむ。
実家には頼れず、養育費ももらえず、孤立無援に
そうしたシングルマザーが最終的に頼るのは自分の実家だが、その実家が遠く離れていたり、仲が悪かったり、疎遠になっていたり、実家の両親がそもそも貧困だったりすると、助けを求めることもできない。
日本社会の経済は1990年から停滞している。バブルが崩壊しているのに、当時の政府は消費税を取り入れたり、総量規制で不動産価格を一気に収縮させたりして経済成長の芽を徹底的に叩き潰してしまった。
2000年代以後はグローバル化が剥き出しのまま日本に取り入れたので非正規雇用者が爆発的に増え、格差と貧困が日本に定着するようになっていた。
少子高齢化もそのまま放置されて、深刻な少子高齢化の社会となった。
シングルマザーが親に頼ろうと思っても、親世代もまた日本社会の変化の中で余裕をなくしている。子どもたちが金銭的に困っても援助する余裕などなくなってしまっている。
貧困に苦しむシングルマザーの、そのほとんどが親に頼れない状況だ。かつてのように、母親の実家が子どもを預かって、母親が経済的にも精神的にも助かるような幸せな家庭は減ってしまっている。
しかも4人に3人のシングルマザーは、養育費をもらえていない。
シングルマザーの夫、すなわち子どもの父親が養育費を払わないのは、父親が無責任なこともあるが、その父親自身も経済的に問題を抱えているからだ。
うまく仕事が見付からなかったり、仕事を続ける能力がなかったり、そんな責任も感じなかったりするからである。だから払わずに逃げる。家庭内暴力で別れた場合、妻が身元を知られたくないので養育費をあきらめるケースもある。
そして、シングルマザーは孤立無援と化す。
男たちは「それなら、どうぞ」と喜んで道を譲った
社会が複雑化することによって、今の子どもたちは多くのことを学ばなければ生きていけない。
そのため、昔のように16歳で結婚するどころではなく、18歳まで学校で勉強するのは当たり前の社会となった。それでも足りずに大学に入るのも当然の義務になっている。
そして大学を出ても収入や生活は安定しないので、結婚はさらに先に延ばされる。結婚は20代後半や30代前半になる。しかし、身体的には思春期以後に性に芽生えて20代には性的にも活発になる。
身体はセックスを求めている。しかし、結婚はずっと後になる。そのため、社会が婚前交渉を黙認するようになるのは必然だった。セックスは多くの人と経験するものとなり、それが抵抗なくなっていくと、結婚もまた形骸化していくことになった。
それでも結婚という形が残っているのは、子どもが生まれたら夫婦で育てるという社会的な了解事項があるからである。
子どもが生まれたら女性の収入は途絶える。だから、夫は稼ぎ手としての役割を担う。それが結婚だったのだ。
ところが、結婚も簡単になったが離婚もまた簡単になると、男は子どもを作って飛んでしまい、後に子どもだけが残される。そういうケースが多くなった。
これでは女性が安心して子どもを産むことができない。あまりにもリスクが高すぎるのである。
「何があっても妻と添い遂げる。子どもも夫婦で立派に育ててみせる」という気概が男から消えたし、社会もそれを強制しなくなった。
「何が何でも俺が妻子の面倒を見る」と断言する男は世の中から消えたのだ。それは今の男が軟弱になったからではない。そう言うと、責められる時代になったので責任を持つのをやめたのだ。
誰が責めるのか。フェミニストだ。
フェミニストが「男女は平等なのだから、男が面倒見るなんて考え方は傲慢だ」と言うので、男は「面倒をみなくていいなら、それは都合がいい」と重荷を下ろした。
フェミニストは「女も働いて自立すべきだ」というので、男たちは「それなら、どうぞ」と喜んで道を譲った。
かくして、責任を取らなくてもよくなった男と、壊れた家族と、取り残される母親と、貧困に苦しむ子どもが出現するようになったのである。
こんな社会になった責任は誰も取らない。しかし、飢えたシングルマザーと子どもが日本のどん底(ボトム)に残されている。