・休業要請違反、経営状況は「正当な理由」に当たらず明記(朝日新聞DIGITAL 2021年2月13日)

※新型コロナウイルス対応の改正特別措置法の施行に合わせ、内閣官房は12日深夜、新設された都道府県知事による命令や命令違反の際に科される過料についての手続きを、知事らに示した。命令は、同じ業態でクラスター(感染者集団)が多数発生しているときなどを想定。国会でも議論となった、違反に問われない「正当な理由」も例示した。

改正特措法の施行は13日。知事は緊急事態宣言のほか、新たに設けたまん延防止等重点措置の際も、命令を出せるようになった。営業時間短縮や休業などの要請に正当な理由なく応じない場合、命令を出し、違反者に過料を科せる。過料の額は緊急事態宣言時は「30万円以下」、重点措置時は「20万円以下」。

改正特措法で、命令は「特に必要があると認める時」に行えると規定。12日深夜に知事らに示された事務連絡の文書では、対象の店や施設でクラスターが発生していることは必要条件ではないとしつつ、同じ業態でクラスターが多数発生していることや起きるリスクが高まっていることなどを例示した。

違反に問われない「正当な理由」も示した。例として挙がったのは、近隣に食料品店がなく、地域の飲食店が休業すると住民の生活維持が困難になる場合。ほかにも、周辺にコンビニや食料品店がない病院で併設の飲食店が休業すると業務が困難となる場合、などが示された。

一方で、経営状況は「正当な理由」に当たらないことも明記。居座る客に退店を促さず、連日のように閉店すべき時間以降も飲食を提供している場合も同様の扱いとした。


※ブログ主コメント:ご都合主義。ウイルスには人間の都合など関係ない。付近に店がないと、ウイルスは感染しないのか?ふざけるな!これは医学的な防疫ではない!NWO建設のための、カルトの茶番劇である!


・過料30万円、ついに施行「改正特措法」の注意点 実効性を高めるための強い措置が可能に(東洋経済ONLINE 2021年2月16日)

岩﨑 崇 : 未来創造弁護士法人 弁護士

※新型コロナウイルス対策のための関連法が、2月13日に施行されました。2月3日の成立から改正法運用に必要な政令が急ピッチで整備されました。

今回改正された特措法は、報道などでは「新型コロナウイルス対策の特別措置法」などと呼ばれていますが、正式には「新型インフルエンザ等対策特別措置法」という名前がついています。新型インフルエンザが流行した際に、感染症対策のために制定された法律なので、このような名前になっています。

新型コロナウイルスは新しいウイルスですからこれを直接に想定していた法律はこれまで存在しませんでした。そこで、新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象に含めることで対策を講じているのです。

注目点は「命令」とその違反に対する「過料」

改正特措法の内容として注目されるのは、対策の実効性を高めるための「命令」と、命令違反に対する「過料」の制裁が定められたことです。

改正前は、緊急事態宣言が出されているときであっても、都道府県知事が事業者に対して休業を求めたい場合、要請にとどまっていました。要請は、事業者に任意の協力を求めるものにとどまり、あくまでも「お願い」でした。

「命令」は、これに従う法的な義務が生じます。報道では、「要請→命令→過料」という一連の流れで説明されることが多く、順序はそのとおりです。ただ、要請に応じないからといって、直ちに命令が出されるわけではありません。

最初に出す「要請」は、その業態や施設類型に含まれるすべての事業者に対して一律に出すことを想定しています。要請に応じていない事業者が確認されたときには、その特定の事業者に向けて再度個別に要請を出すこともできます。

また、命令を出すには、①(事業者が)要請に応じない「正当な理由」がないこと、②まん延防止、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱防止のため「特に必要があると認めるとき」にあたること、という2つの要件も必要です。

まず①について見ていきましょう。

要請に応じない「正当な理由」とは何を指すのでしょうか。改正法施行に先立ち、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長が各知事らに宛てた事務連絡(2月12日付)によれば、

・地域の飲食店が休業等した場合、近隣に食料品店が立地していないなど他に代替手段もなく、地域の住民が生活を維持していくことが困難となる場合
・新型インフルエンザ等対策に関する重要な研究会等を施設において実施する場合
・病院などエッセンシャルワーカーの勤務する場において、周辺にコンビニ店や食料品店などの代替手段がなく、併設の飲食店が休業等した場合、業務の継続が困難となる場合
といった例が挙げられています。

すなわち、当該店舗が地域において果たす役割や、コロナ対策の学術的、医学的見地から当該店舗の営業がコロナ対策にとって有用であるという、いわば「事業者外部の事情」が考慮されるものといえます。

経営状況などを理由に要請に応じないことや、客の居座りにより閉店できないことは、「正当な理由」に該当しないとされているので、注意が必要です。これらは当該店舗固有の、いわば「事業者内部の事情」ということになります。

客が居座ったら要請に従っていないことになる?

もう一つ押さえておきたいのは、どういう状態であれば要請に従っている、あるいは従っていないと判断されるのか、という点です。

知事からの時短要請に応じて営業時間を20時までにしている店に、ある日、店側から退店を強く促しているにもかかわらず、客が居座って20時に閉店することができなかった場合はどうでしょうか。

その事実だけでは「要請に応じていない」とは評価できないため、命令や過料の対象にはならないと考えられます。

ただ、実際は個別事例での判断になるでしょう。客が居座っていることを理由として、客に退店するよう促さず、連日のように20時以降も飲食サービスを提供しているような場合には、要請に応じずに20時以降も営業していると評価されてしまうとみられます。いずれにしても、個別の態様をみて判断すべきものといえます。

なお、店側から退店を要求しているにもかかわらず、客が居座り続ける場合には、不退去罪(刑法130条後段。3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)に当たる可能性もありますので、利用者は注意しましょう。

次に、②まん延防止、国民の生命・健康の保護、国民生活・国民経済の混乱防止のため「特に必要があると認めるとき」にあたること、について見ていきます。

「特に必要があると認めるとき」とは何を指すのでしょうか。各知事への事務連絡では、対象となる施設やその類似の業種が、クラスターが発生するリスクが高いものとして認識されているうえに、当該施設において、いわゆる「3密」に当たる環境が発生し、クラスターが発生するリスクが高まっていることが実際に確認できる場合などをいう、とされています。

つまり、その業種一般に共通するリスクと、当該施設の個別的なリスクがいずれも高い場合を想定しているといえるでしょう。

過料は前科にはならない

興味深いのは、先ほどの事務連絡において、「感染防止対策を講じていることについては、要請に応じない『正当な理由がある場合』には該当しないが、例えば命令の際に、『特に必要があると認めるとき』に該当するかどうかを判断する際の考慮要素とすることが考えられる」との記述があることです。

つまり、時短要請に反して営業していた事業者が、手指の消毒やマスク着用などの感染防止対策を徹底的に講じていた場合、それが要件①にある要請に応じない「正当な理由」にはならない一方で、当該施設の個別的なリスクを下げる効果は期待できますから、要件②の「特に必要があると認められるとき」に当てはまらず、結果として命令を回避できる可能性があるということです。

事務連絡でこのような記述があるということは、政府としても命令の発動にはなるべく謙抑的でありたい、謙抑的であるべきだ、と考えていることがうかがわれます。

そして命令に従わない事業者には、30万円以下の過料を科すことができるようになりました。過料とは法律違反についてお金を支払う制裁です。過料は、お金を支払う制裁である点で罰金と似ていますが、刑事事件で裁判所が科す罰金とは異なり、前科にはなりません。

今回の改正で、緊急事態宣言の前段階や解除後など、緊急事態宣言が出されていない状態であっても対策が講じられるように、「まん延防止等重点措置」が新設されました。事業者に対する要請、要請に従わない場合の命令を出すことが可能となり、この場合の命令違反には20万円以下の「過料」を科すことができます。

もっとも、まん延防止等重点措置としての命令を出す要件も、要請に従わないだけでなく、「正当な理由」がないことと、「特に必要があると認めるとき」にあたることが必要です。

なお、要請や命令に際しては必要な範囲で立ち入り検査ができるようになりました。拒んだ場合は20万円以下の過料を科すことができます。

罰則・過料の適用は「慎重に運用」となっている

過料は行政が実効性を担保するための仕組みとしてよく利用されています。身近な例ですと、たとえば、引っ越しをしたときは14日以内に転入届を出す義務が住民基本台帳法で定められていて、違反すると5万円以下の過料が科されることになっています。

特措法とあわせて改正された感染症法においても、感染者が宿泊療養などの要請に応じない場合は入院を勧告し、それでも応じない場合や入院先から逃げた場合には50万円以下の過料を科すことができるようになりました。また、保健所の調査に対して正当な理由なく虚偽の申告をしたり、調査を拒否したりした場合も30万円以下の過料を科すとしています。

今回の法改正では、特措法も感染症法も、実効性を担保するための方法として過料の罰則が導入されたことは注目に値しますし、報道でもその点がクローズアップされているように思います。

しかしながら、国会においても、「罰則・過料の適用に当たっては、国民の自由と権利が不当に侵害されることのないよう、慎重に運用すること。さらに、不服申立てその他救済の権利を保障すること」という附帯決議がなされています。要請に従わなかったからといって直ちに命令が出され、過料が科されるわけではありません。

法改正の意味を冷静に理解して、引き続き国民一人ひとりが感染予防、感染拡大防止に取り組むことが大切でしょう。