・レジ袋 欧米は再び無料化の動き 新型コロナ感染対策で(NHK NEWS web
2020年7月1日)
※欧米では日本に先立ってレジ袋を有料化する取り組みが始まりましたが、同じ袋を使い回すと新型コロナウイルスの感染リスクが高まるなどとして、無料で提供する動きが再び広がっています。
アメリカ西部のカリフォルニア州は、2016年、全米で最も早く小売店などでのプラスチック製レジ袋の提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋を10セント、日本円で10円余りで販売する法律を導入しました。
しかし、州内での感染の拡大を受け、客が再利用できる袋を持ち込むと店員が感染するおそれが高まるなどとして、ことし4月、一転してレジ袋などを無料としました。
また、州内のサンフランシスコでは、客が再利用できるバッグやマグカップなどを店に持ち込むことを禁じる行政命令を出しました。
東部メーン州ではことし4月から、レジ袋の提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋に5セント以上、日本円で5円余りで販売する法律が施行される予定でしたが、やはり感染リスクを考慮して来年1月まで延期されることになりました。
また、イギリスのイングランドではゴミを減らすため、2015年からレジ袋を1枚5ペンス、日本円で6円余りで販売してきましたが、感染の拡大を受けネットスーパーを利用する人が増えたことから、配送作業に遅れが出たりしないよう、レジ袋を一時的に無料で提供することになりました。
・有料化「弱小企業をターゲットに」 憤るレジ袋メーカー(朝日新聞DIGITAL 2020年7月1日)
※7月1日からプラスチック製レジ袋が原則有料化された。分解されにくいプラごみを減らして海洋汚染を抑える目的で、消費者の意識改革もねらう。だがレジ袋をつくる業界にとっては、たまったものではない。レジ袋の原型を日本で初めて開発したとされる中川製袋(せいたい)化工(広島県大竹市)は、小売業界の発展を支えてきたと自負する。中川兼一社長に、胸の内を聞いた。
中川製袋化工
1929年、紙袋メーカーとして創業。包装用品の専門メーカー。中川兼一社長は3代目で、日本ポリオレフィンフィルム工業組合の常任理事も務める。
――容器包装リサイクル法の省令改正に伴い、すべての小売店でプラ製レジ袋の有料化が義務付けられました
「とうとう来たかという感覚だが、全く納得していない。小売業界の発展に、このレジ袋がどれだけ寄与してきたかと思うと、複雑な気持ちだ」
――その理由は
「なぜ、まずレジ袋なのか根拠を示してほしい。日本の廃プラの排出量は年900万トン。うち400万トンが容器の包装で、レジ袋はその中の20万トンにすぎない。政府は環境対策の大目玉としてレジ袋の有料化に踏み切ったが、残りの380万トンはどうするのか。議論はほとんど進んでいない」
――レジ袋だけ減らしても効果はわずかだと
「レジ袋がどれだけ環境に負荷を与えているか検証したうえで、環境政策を進めてほしい。ペットボトルや使い捨ての弁当箱を規制した方が、よほど廃プラは減る。大企業の食品や飲料メーカーではなく、私たちのような弱小企業をターゲットにした。環境対策のスケープゴートにされた気がしてしようがない。環境省の職員も私にこう言いました。レジ袋は身近で国民にわかりやすいんですと」
・本当にバカバカしい「レジ袋の追放運動」(MAG2 NEWS 2017年1月20日)
※ゴミの分別・リサイクルについて異を唱えてきた、中部大学の武田教授。今回は最近有料化されつつあるレジ袋や、ゴミを捨てるために有料のゴミ袋を買うという矛盾について持論を展開しています。
※家庭で有効活用できる「レジ袋」を削減する必要はあるのか?
1) レジ袋の追放運動
およそ多くある環境運動の中でも、「アホ」の部類に入るものの一つが「レジ袋の追放」です。これほど科学を無視し、現実から遠ざかった事をすると、その影響は単に環境を汚すばかりではなく、科学の発展を阻害し、子供たちにも悪い影響があるでしょう。
レジ袋は石油から作る「ポリエチレン」というものでできています。石油というのは動物の死骸が腐敗したものですから、決して「人間の生活に都合の良いように作られたもの」ではありません。人間が欲しいと思う材料(たとえばエコバッグの材料になるポリエステル)と比べてポリエチレンは大量にできてしまいます。だから、ポリエチレンでできたレジ袋をできるだけ使うようにして、ポリエステルを節約することが環境的には大切です。
石油からポリエチレンとかポリエステル(ペット)などを採る産業を石油化学と言いますが、石油化学は、これまでなんとか「あまり皆が欲しくないものの用途をなんとか作る」のに腐心してきました。その代表格がポリエチレンのレジ袋、ポリプロピレンで作る自動車のバンパーなどです。つまりレジ袋や自動車のバンパーは「石油を有効に使い、資源を大切にすることができる代表的な製品」であり、それに対して買い物袋などは貴重なポリエステルを使うので、「できるだけ使わないようにする」のが科学の合理性のある使い方です。
また、レジ袋は万引きの予防になるほか、数回使えば破れたりするぐらい薄いので石油をあまり消費せずにすみ、さらに家庭では子供に何かを持たせたり、汚いものをくるんだり、ゴミを出したりするのに役立っていました。つまり、「資源を繰り返し使える」という意味でも最優等生だったのです。
「ゴミを入れるために新品の袋を買う」という馬鹿な行為に気づいているか
2) 有料ゴミ袋
捨てるゴミを入れるのに新品の袋を強制的に使わせるという「有料ゴミ袋」も「アホ丸出し」の一つです。ゴミ袋もゴミを入れれば立派なゴミですから、まずは「ゴミとして捨てるものを買う」という馬鹿らしいことをしています。
もともとゴミを捨てるのは、レジ袋でも段ボールでも「使い古していて、もう使えないもの」を使うのがもっとも良いことは誰でもわかります。捨てるのですから、捨てる寸前の物をまずは使い、それがなければやむを得ず何かを利用するのが筋です。
本当に環境を大切にし、資源の枯渇を心配するならそうするでしょう。
でも、自治体は小遣いを儲けようとしています。専用のゴミ袋を指定し、それを使わせることによって、なにがしかの利権を得ます。それは天下り先を作ることもあります。そして、無意味な制限(カルシウムを入れるとか、色分けするなど)をして「官が認定する」という手続きを作ります。
分別・リサイクルをしているのに、片方では捨てる袋を有料で買わせるというバカらしさにそろそろ市民が気がつかなければならないでしょう。
3) 毒物のリサイクル
分別リサイクルが始まらない前、市役所は一括してゴミを集め、焼却していました。そうすると焼却炉の上から有毒なガスが発生し、灰の中にはこれも毒物が含まれます。それはもともと工業製品の中に鉛(ガラスなど)、水銀(蛍光灯など)、ヒ素(電子回路など)が含まれているからで、それをあらかじめ分別しておくことはできません。製品の中に溶け込んでいるからです。
そこで、煙突から出す前に有毒なガスを除き、灰の中に含まれる毒物は貯蔵所で除いたり、排出を止めたりしていました。
ところが、分別・リサイクルが始まると、主婦は分別するといってもその中にある毒物を除くことができませんので、毒物が原料としてリサイクルした製品の中に入ります。たとえば、紙のリサイクルをすると新品の紙よりもリサイクルした紙の方が若干、「色」がついていますが、これは着色する成分を完全に除くことができないことを示しています。色も毒物も除きにくい化合物ですから、リサイクル品というのは次第に毒物で汚染されていきます。
著者が計算してみると、家庭にある物を分別リサイクルする場合、毒物が増えないようにするための限界は8%で、それ以上リサイクルすると次第に汚染が蓄積する事がわかりました。
ものを「循環する」ためには、人間の体にも腎臓などがあるように「有害なものを定期的に除去する」というシステムが必要ですが、現在のリサイクルシステムにはそれがありません。でも、この問題は逆転ホームランがあり、「現実には分別はしていても、リサイクルはせずにそのまま焼却しているので有害物質は蓄積しない」という皮肉な状態にあります。
いずれにしても、レジ袋追放、有料ゴミ袋、リサイクルなどをしていると、私たちの子供はとても困ることになるでしょう。
・「レジ袋は環境を破壊する」という真っ赤な大嘘(MAG2 NEWS 2019年5月16日)
※環境破壊の要因のひとつとして槍玉に挙げられているポリエチレン製のレジ袋。つい先日もセブン&アイホールディングスが「2030年までのレジ袋全廃の方針」を発表するなど、その「包囲網」は着々と狭まりつつあります。こんな流れに異を唱えるのは、中部大学教授の武田邦彦先生。武田教授はレジ袋はプラスチック製品の中でも「環境に良い製品」としてその理由を記すとともに、なぜレジ袋が悪者に仕立て上げられたのかを暴露しています。
※環境に良い製品「レジ袋」をなぜ排除しようとするのか?
レジ袋というのはプラスチック製品の中でも格別、「環境に良い製品」です。理由は簡単で、
1.石油の中でもっとも安価(エネルギーが少なくてできる)
2.石油の中でつねに余り気味
3.製造工程が進歩していて無駄が少ない
4.3回から4回も使える
5.最初は買い物用、途中では子供に持たせたり、汚いものを包んだりでき、最後はごみ捨てにも使える
6.水を通さない
という特徴があります。
まず、科学的な面ですが、石油は大昔の生物の死骸が腐ったものなので、人間の希望通りの組成(構造)をしていません。石油から取れる大切なものとしては、ガソリン、軽油、BTX成分(化学原料)などですが、大切なものをとる時に他の成分も一緒に出てしまいます。レジ袋の原料はポリエチレン(PE)というものですが、昔はほとんど用途がなく、石油精製工場で燃やしていました。その結果、値段が極端に安く、それで「レジ袋はただ」という感じになったのです。
どこにでもいる利権を目当てにゴミ袋を追放する人々
最近では、徐々に技術が進み、用途も広がっていますが、それでも安い石油製品の一つです。それでいながら、生活面では、買い物を運び、子供に持たせ、汚いものを捨てるときにもゴミを捨てるときにも役立ちます。さらに焼却炉で燃やすときにも、毒物がでず綺麗に燃えますし、台所からでる生ごみはそのままでは燃えませんが、レジ袋などがあるとよく燃えます。
ところが、社会には悪い人がいて、「レジ袋を追放すれば、自分は環境を大切にする良い子に見えるし、利権も転がってくる」と思って追放運動を仕掛けました。もちろん、スーパーなどはそれまでタダで出していたものを、お金が取れるのですから、しめたものです。
また、ダイオキシンの問題は、これもかつてダイオキシンが問題になった時に炭酸カルシウムなどを一緒に燃やすとダイオキシンが出にくいという間違った論文がでて、ごみ袋は「指定」でなければならないということになったのです。
指定ごみ袋も意味がないのですが、業者はもうかる(場合によっては役所もメリットがある)、収集の時には大きさが決まっているので集めやすいということで、なくなりません。
普通に考えれば、実に奇妙なことをしているのです。第一に、レジ袋はプラスチック製品のうちのごく一部で、環境には影響がないこと、第二に、レジ袋ほど繰り返し使うものはないのに、それを追放すること、第三に新しい指定ごみ袋を買ってそこにレジ袋に包んだゴミをいれ、そのままパッカー車で粉々になる、という状態は誰が見ても奇妙です。
自治体でも心ある人が住民に「本当はレジ袋などに入れてゴミを出しても同じですよ」といっても、主としてお婆さんや主婦から「そんなことして環境に悪いじゃない!」と言われるそうです。
一回ウソをつくとなかなか否定するのは難しいのですね。
・レジ袋有料化は「新たな増税」、負担を強いるが環境問題とは無関係な理由(DIAMOND ONLINE 2020年7月3日)
室伏謙一(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント)
※7月1日から始まったスーパーやコンビニなどでの「レジ袋の有料化」。プラスチックごみの海洋流出などの防止や国民の環境意識の高まりを目的としているようだが、実際は環境問題とは無関係であり、人々に「無用の負担」を強いるだけの誤った政策である。総務省の元官僚であり、総務省の外局の公害等調整委員会で公害・環境問題も担当した筆者が解説する。
※7月から始まったレジ袋の有料化 日本のプラごみの再利用率は高い
7月1日からプラスチック製の買い物袋、いわゆるレジ袋の有料化が始まった。一方で、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の買い物袋やバイオマスプラスチックの配合率が25%以上の買い物袋、さらに厚さが50マイクロメートル以上の買い物袋は対象外とされている。
今回の有料化、経済産業省の説明資料によれば、その一番の背景はプラスチックごみの海洋流出問題であるとされている。そこでプラスチック製の買い物袋を有料化することで、「その袋が本当に必要か考えてもらうきっかけに」するとともに、「マイバッグの持参などの消費者のライフスタイルの変革を促し、過剰な使用を抑制」すること狙っているのだそうだ。
しかし、同じ資料によれば、日本の陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量は、2010年の推計で年2万~6万トンと、もっとも多い中国の年132万~353万トンと比べると、大幅に少ない。それでも出ていると言えば出ていることになるのだろうが、一般社団法人プラスチック循環利用協会による『プラスチックとリサイクル8つの「?」』によれば、廃プラスチックの総排出量に占める有効利用量(リサイクルに焼却灰の再資源化などを含む)の占める割合は、2018年の実績で84%と高い水準となっている。
プラスチックのリサイクル方法には、
(1)マテリアルリサイクル(リサイクルしてプラスチック製品化)
(2)ケミカルリサイクル(化学原料に再生)
(3)サーマルリサイクル(燃料化など)
があり、2018年の実績で、一般系廃プラスチックでは、
(3)が59%
(1)が17%
(2)が6%
となっており、単純焼却は12%、埋め立ては6%となっている。つまりは「燃料化して燃やすことが多い」ということだ。
これについて「リサイクルとは名ばかりで燃やしているだけではないか」といった批判があるようだ。
もっとも、ただ燃やしているのではなく、貴重なエネルギー源として使用しているのであれば、それも立派なリサイクルであるし、実際リサイクルの方向性として液化、燃料化というのは元々あり得たわけであり、「燃やす」という一点のみをもってそのリサイクル性を否定するのは、乱暴であり、批判のための批判としか言いようがないだろう。
従って、日本はプラスチックごみが、多くはないとはいえ海洋に流出してしまってはいるが、リサイクルなどの有効利用は高度に行われているといえる状況であり、プラスチック製のレジ袋を有料化してごみの大幅な減量などを図らなければならない状況にあるとは言い難いのではないか。
日本が率先してレジ袋を有料化する違和感
そもそもプラスチックごみの海洋流出は「プラスチック製品を使うかどうか」という問題ではなく、ごみになったプラスチック製品を「ごみとして、廃棄物として適正かつ効率的に処理する仕組みが整備され、機能しているのか」ということに関する問題である。
平たく言えば、「十分な規模のごみ処理場が整備され、滞りなく稼働し、分別なども含めたごみ収集制度が完備され、国民もそれを理解し、それを守っているかどうか」という話。別の言い方をすれば、「廃棄物処理行政がしっかりと機能しているのか」という話である。
つまり、プラスチックごみを大量に海洋に流出させてしまっている国というのは、それができていない可能性が高いということだ。
本来進めるべきはそうした国々がしっかりとした廃棄物処理の仕組みを導入するよう促し、それを支援することのはずである(政府の「インフラシステム輸出戦略」には「海洋プラスチックごみ対策にも資する廃棄物処理」も盛り込まれているが、これはどうなったのだろう?)。
それを「問題がない」とは言わないが、微小な日本が率先してレジ袋有料化を制度化するというのには非常に違和感を覚える。
「なぜなのか」と考えると、その原因の一つとして、日本において環境問題やごみ問題を考えるときに、両者が峻別(しゅんべつ)されず、混同されたままになっていることがあるように思う。
そこで、両者の関係性について、ごみ問題はどうしたら環境問題になりうるのかという観点から整理してみたい。
「レジ袋=環境問題」は「根拠なきイメージ論」の域を出ない
日本で「環境」や「環境問題」というものが意識されるに至ったきっかけは、昭和30年代から40年代の高度成長期に各地で発生した公害問題であろう。「公害」という言葉もこのころに生まれた。「公害」とは、環境基本法第2条第3項において次のとおり定義されている。
「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう」
簡単に言えば、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、悪臭および地盤沈下のことであり、これらを総称して「典型7公害」とも呼ばれている。
現在では「公害」という言葉よりも「環境問題」という言葉が多く使われるようになっているが、要するに、「環境問題」とは概念としては存在するが具体的な現象としては「典型7公害」であり、従って、ごみ問題についても、例えば、不法投棄されることによって悪臭、土壌汚染、水質汚濁などが生じて初めて「環境問題」になるのである。
大規模な産業廃棄物の不法投棄事件として注目を集めた豊島産業廃棄物不法投棄事件は、総務省の外局である公害等調整委員会に係属したが、その際の正式名称は「豊島産業廃棄物水質汚濁等調停申請事件」であった。
つまり、不法投棄によって瀬戸内海の豊島近海に水質汚濁が生じたことなどを具体的な被害として「環境問題」としたということである(なお、産業廃棄物の不法投棄は問題ではないということではなく、不法投棄によって生じた「公害」、「環境問題」を入り口として考えられているということである)。
よって、レジ袋が無料のままで、使用後従前どおり捨てられ、廃棄物として処理されること自体は「環境問題」とは直接関係はないのである。
仮に「環境問題」になるとすれば、ごみ焼却場でレジ袋を燃やすことによって、例えば大気汚染が発生して初めて「環境問題」になる。
しかし、ごみ焼却場は大気汚染物質の外部への飛散防止のための装置が早くから導入されており、関係法令の規制基準を超える大気汚染等が発生することは考えられない。現在ではごみ焼却場の性能も飛躍的に向上してきているようであり、なおさらである。
仮に大気汚染が発生したとすれば、それは一義的にはごみ焼却場の運営の問題、当該焼却場を管理運営する地方公共団体の廃棄物処理行政の問題であって、直ちにレジ袋による「環境問題」になるわけではないのである。
そもそもプラスチック製レジ袋の多くはそれ自体がリサイクル製品であるし、燃やしても有害物質を発生させないものもある。「レジ袋=環境問題」と短絡的に捉えるのは、「根拠なきイメージ論」の域を出ないものだと言ってしまった方がいいかもしれない。
「レジ袋の有料化」という誤った政策の施行を機に考えるべきこと
ここで少し日本の「公害」「環境問題」関係の行政機関や制度について触れておこう。
かつての「公害」と言えば、重厚長大型産業の事業所から垂れ流された汚水や排出された有害物質によるものであり、水俣病のように健康被害のみならず命を落とされた方々もいる。こうした「公害」による被害を防止するため、昭和46年に環境庁が設置され、環境に関するさまざまな規制法が制定、充実強化されていった。
一方で、「公害」は、加害者は大企業、被害者は一般市民、つまり「強者vs弱者」という構図であることが多く、被害と原因の因果関係の証明も容易ではなかった。
そうした弱者救済を、簡易迅速に行うことを目的として「公害紛争処理制度」が設けられ、環境庁発足より半年早く昭和45年に中央公害審査委員会が、47年にはこれが改組・機能強化されて公害等調整委員会が設置された(同委員会はかつては総理府の外局、現在は総務省の外局であり、筆者は総務省在籍時に同委員会事務局にも勤務したことがある)。
このように、日本では「公害」や「環境問題」に対して、規制と被害者救済の両面で比較的早い段階から必要な制度の整備が進められており、その点では日本は先進的な国であるといえよう。ちなみにこの公害紛争処理制度、同種同様の制度が設けられているのは、日本以外では台湾と韓国のみである。
「環境問題」を漠としてしか捉えられないというのは、「環境」教条主義や原理主義につながり、過激な「環境」活動にまで発展する危険性さえある。同時に、人の活動を過剰に(往々にして法令の根拠なく)規制したり、今回のレジ袋有料化のように「無用の負担」を強いたりすることにもつながるものである。
キャッシュポイント還元の終了と同時に実施されることから、レジ袋有料化は「新たな増税」とまで言われている。確かに、今回の有料化にかこつけて、プラスチック製のみならず紙製のものまで有料化するところもある。これではただの便乗値上げである。
「環境、環境」と唱えたり、レジ袋をもらわずにエコバッグやマイバッグなるものを持ち歩くのは悪いことではない。しかし、それらは「環境問題」とは無関係なのであるから、結果的に「自己満足の世界」にすぎない。本来なら、あくまでも「自分の世界」で完結していただきたいところだ。
その上で、今回の「レジ袋の有料化」という誤った政策の施行を機に、「公害」や「環境問題」について先進国といえる日本の歩んできた道も振り返りつつ、「環境問題」とは何なのか、その本質や実態についての認識を新たにしていただきたいものである。
・レジ袋製造会社の本音「ポリ袋、実はエコ」 その理由に納得(grape 2020年7月5日)
※2020年7月1日から全国で始まった、プラスチック製レジ袋の有料化。
経済産業省は、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があるとしてレジ袋の有料化の目的を「それが本当に必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけにしたい」としています。
有料化の対象となるのは、持ち手のついたプラスチック製の買物袋。
ですが、厚さが50マイクロメートル以上で繰り返し使えるもの、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの、バイオマス素材の配合率が25%以上のものは有料化の対象外となります。
また、有料レジ袋の価格、売り上げの使途は、事業者自ら設定することができます。
有料化の対象とならないのは、紙袋、布の袋、持ち手のない袋。そのため多くの店が紙袋へ切り替え、エコバッグの使用を推奨しています。
『ポリ袋は実はエコなんです』
ビニール袋やポリ袋のオリジナル印刷、製造を行う清水化学工業は、このレジ袋の有料化に異論を唱えています。
「ポリ袋から紙袋へ切り替えの際に、参考程度でいいですので弊社の声をお聞きください」と書かれたウェブサイトでは、レジ袋について勘違いされがちな点を13のポイントに絞って紹介。
1.ポリエチレンは理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱。ダイオキシンなどの有害物質は発生しない。
2.石油精製時に(ポリ)エチレンは必然的にできるので、ポリエチレンを使用する方が資源の無駄がなく、エコ。ポリエチレンは石油をガソリン、重油等に精製した残り・余りもの。
3.ポリ袋は薄いので、資源使用量が少量で済む。
4.ポリ袋は見かけほどごみ問題にはならない。目に見えるごみの1%未満、自治体のごみのわずか0.4%。
5.繰り返し使用のエコバッグより、都度使用ポリ袋は衛生的。
6.ポリ袋はリユース率が高い。例)レジ袋として使用した後ごみ袋として利用
7.自治体によってはサーマルリサイクルし、ごみ焼却燃料になり、重油燃料の使用量がその分減少し、無駄とならない。総二酸化炭素排出量は、サーマルリサイクルしても、そうしない場合と大差ない。
8.ポリ袋は紙袋の70%のエネルギーで製造可能。
9.ポリ袋の輸送に必要なトラックの量は、紙袋の7分の1。
10.ポリ袋の製造に必要な水の量は、紙袋の25分の1。
11.ポリ袋は紙袋に比べ、ごみにしてもかさばらない。
12.紙袋は再生できるものと再生できないものがある。ラミネート加工されているものや紐の種類によっては再生処理できない。
13.紙袋は間伐材とはいえ森林資源を利用。
清水化学工業 ーより引用
さらに、環境省のデータでは海洋プラごみの容積で見ると、ポリ袋は全体の0.3%。
海洋プラゴミで最も多い飲料ペットボトルは12.7%を占めています。
清水化学工業は、「海洋プラごみ対策としてレジ袋を紙袋に代替しても限定的な効果」と訴えました。
ネット上では、清水化学工業の訴えにさまざまな意見が寄せられています。
・分かりやすいと思う。でも海や川にポイ捨てをする人もいるのが現実なんだよな…。
・環境保全をするのはいいことだけど、この事実は絶対に知っておくべきだと思う。しかも、この時期は新型コロナウイルス感染症があるからエコバッグは危険。
・優しい文章だけど本当は怒っていそう。衛生面を考えるとエコバッグは不安。
・0.3%を多いと感じるか、少なく感じるかは人それぞれ。レジ袋以外にもプラスチックを減らす取り組みをしないと意味がないのでは。
一部の店では、環境に優しいレジ袋に切り替えて無料で提供を続けているところもあります。
衛生面や、利用する機会によってエコバッグとレジ袋をうまく使い分けることができるといいですね。
・小泉進次郎環境相に杉村太蔵が直撃! 今なぜレジ袋有料化か(NEWSポストセブン 2020年8月9日)
※プラスチック製のレジ袋の有料化がスタートし、1か月が過ぎた。エコバッグを利用しつつ、「これがプラスチックゴミの削減に本当に役に立つのか」と疑問に思っている人は少なくないはず。元衆議院議員でタレントの杉村太蔵氏(40才)もその一人。なぜレジ袋は有料化されたのか? そんな疑問を抱いて太蔵氏が向かった先は環境省。旗振り役の小泉進次郎環境大臣(39才)を直撃した。
杉村:レジ袋は1枚3~5円ほどですが、いろんな用途に活用できますし、随分便利なものですよね。私は5円ぐらいなら払ってもいいと思っていたのですが、店で「レジ袋いりますか?」と毎回聞かれるので最近はちょっと申しわけない気持ちになってきました。見ていると、レジ袋を使う人は少し減ってきているのかなと思いますね。
小泉:それはうれしいですね。
杉村:ただ、はっきり言って、レジ袋を使わなくなるとどのくらいプラスチックゴミの削減につながるのかはピンときません。実際、どうなんでしょうか?
小泉:たいしてつながらないです。
杉村:そうなんですか?
小泉:推奨している大臣が「たいしてつながらないです」というコメントをすると、「えっ!?」と思われるかもしれませんが、レジ袋有料化の目的は量ではないんです。900万tあるプラスチックゴミのうち、レジ袋が占める割合は2、3%程度です。もともと、レジ袋を使わなくなったとしても、削減できるプラスチックゴミの量は微々たるものだということをわかった上で始まっているんです。
お菓子の“過剰包装廃止”を訴える女子高生に「感謝したい」
杉村:それなのになぜ始まったのですか?
小泉:目的が違うんです。目的は、レジ袋有料化をきっかけに、世界的な課題になっているプラスチックに問題意識を持ってもらうこと。杉村さんも「有料化して何の意味があるんだろう?」と疑問を持たれた時点でプラスチックゴミのことを考えているとも言えますよね。
杉村:なるほど。それが大事なんですね。プラスチックゴミと言えば、小泉大臣はある女子高生が「お菓子のプラスチックの過剰包装をなくしてください」という署名活動をやっていたのをご存じですか?
小泉:本当ですか?
杉村:2か月で1万8000人以上も署名が集まったんですよ。すごいと思いませんか?
小泉:それは想像以上ですね。
杉村:ただ、率直に言って、この運動をしている女子高生に対して“包装をやめたら衛生上どうなのか”といった批判もあります。
小泉:今は何をしても批判されますからね。でも、彼女はプラスチックに問題意識を持ったから行動を起こしたわけですよね。行動していない人からの批判は気にすることはないし、ぼくはその女子高生にありがとうと伝えたいです。どうしてそういう問題意識を持ったのか聞いてみたいですね。民間企業も、ぜひその声を商品開発に取り入れてほしいですね。
ただ、プラスチックをゼロにすることは難しいと思います。やはりプラスチックのおかげで衛生面が維持されているところもありますし、今のところプラスチック全てを代替素材にできないのも事実です。大事なことは、減らせる部分は徹底的に減らす。代替できるところは徹底的に代替する、ということです。だから、その女子高生が問題意識を持ったお菓子の中で、プラスチックを使わなくても大丈夫なところは何なのか、代替可能なところは何なのか。より持続可能な商品を求める次世代の声を真剣に受け止める企業があったら、結果として、将来的にはそういう企業が成長するのではないでしょうか。
コロナ禍でのレジ袋有料化は正しかったのか
杉村:新型コロナウイルスの収束がまだ見えない中、欧米ではレジ袋の有料をやめて無料化するところが出てきました。フェイスシールドなどプラスチックでできているものは数多くあり、コロナ禍でプラスチックの需要が高まっているのも事実です。それについて小泉大臣はどうお考えですか?
小泉:おっしゃる通り一部の国でマイバッグ禁止など実施されていますが、マイバッグから感染するというエビデンスはないんです。大事なのは、きちんと感染対策を行い、外から帰ってきたときは手洗いとうがいをしっかり行う。マイバッグも汚れているなら洗っていただく。求められていることが「0リスク」だとしたら、それは議論できません。「0リスク」というのはないですから。その中でどうやって経済活動、社会活動を考えていくのか。そこは丁寧なコミュニケーション、まさにリスクコミュニケーションが大事です。丁寧に説明していきたいと思います。
杉村:それにしても、なぜ環境問題に取り組むと批判する人が出てくるのでしょうか。
小泉:結局、杉村さんが最初におっしゃった「これをやって意味があるんですか」ということだと思います。地球規模で解決しないといけない課題にもかかわらず、アクションが圧倒的に小粒に見える。だから、「それって自己満足なの?」と思われるし、「やっている感」のツッコミが入りやすい。そんな感じがしますでしょ?
杉村:ものすごくそう感じます。
「シリコン袋にフルーツを入れて持ち歩いている」
小泉:ぼくも環境大臣になり家庭を持って色々変わりました。エコバッグ、マイバッグはもちろん、できる限りペットボトルを使わないようにマイボトルを持ち歩いています。最近では食品用のラップや袋の代わりに、シリコン製の袋を使うようになりました。何回でも使えてデザインもいいですね。その容器にフルーツなどを入れ鞄の中に入れて持ち歩いて食べたりしています。
電子レンジで食品を温めるときも、知り合いからお皿をフタとして使ってラップ代わりにすればラップを使わなくて済むと聞いて、そうしています。こうしたことは、何も行動を取らない人たちからすれば修行僧のように我慢する、ストイックなことをしている、サスティナブルかぶれのように映る側面もあるかもしれません。ですが、ぼくからするとゲーム感覚なんです。1つひとつ自分が変わっていくことが楽しいんですよ。
杉村:楽しいですか?
小泉:楽しいですよ。“これもこうやって切り替えられた”という喜びがあります。自分が変化しているから環境大臣としての発言やアクションも、自分の中で力がこもるんですよ。「私、これやってますよ」と。
杉村:節約感覚と同じようなものでしょうか?
小泉:節約とは違いますね。単純に、できる限り環境に負荷をかけない生き方を選択するかどうか。確かに自分一人の行動が変わっただけで環境は変わらないと思います。だけど、自分だけでもそういったことを考えて行動しようと思えるかどうかは、最後は人生観だったり人生哲学だったりするのでは? そこをできる限り多くの人たちが取り組みやすいように、仕組みとしてやれるかどうかだと思っているんです。
杉村:でも、レジ袋が削減されました、プラスチックゴミが削減されたとしても、その先には一体どんなゴールがあるのですか?
小泉:わかりやすい例で言うと、ペットボトルです。ペットボトルはどんどん技術開発が進んで、1本で使うプラスチックの量もどんどん軽量化されています。杉村さんがテニス、ぼくが野球をしていた時代は、ペットボトルの底は樹脂でした。フタだけアルミというペットボトルもありました。でも今はないんですよ。日本ではペットボトルは透明色ですが、それはなぜかと言うと、透明色の方がリサイクルしやすい材料になるからです。
ペットボトルのリサイクル率はアメリカが20%、欧州が40%、日本は85%。つまり、ペットボトルは生産される前からすでにリサイクルのことまで考えられた設計になっています。こういった設計が当たり前になる、循環型の社会を目指したい。そうすれば地下資源を浪費せずに、より地球環境に負荷をかけることのない経済社会になっていくはずです。
「私たちがやってきたことは地球環境にプラスになっているのか?」
杉村:レジ袋有料化もそうですが、この環境政策の中で、地球変動や温暖化対策に対して私たちは確実に効果のあることをやっているのか、という思いがあります。私たちはこの20年、ペットボトルのフタを分けたり、ゴミの分別をしたり、地味にやってきました。でも、その割には毎年夏は暑くなっているし、大雨などの災害で大きな被害が出ている。一生懸命やっているのに今ひとつ効果が感じられない。
小泉:まず、このまま私たちがすごく頑張って努力しても、この気温上昇は産業革命前と比べると、残念ながら抑制どころか維持することすらできないんです。
杉村:確かに、新型コロナウイルスなら全員がステイホームすれば収束する気がしますが、温暖化は1年間車を運転しなくても工場を止めても止められるとは思えません。
小泉:そこが難しいところなんですが、世界はパリ協定という枠組みの下で、地球の平均気温の上昇を産業革命前の水準と比べて2度以内に抑えよう、できれば頑張って1.5度以内に抑えようという方向で合意をして政策を進めています。「気温が下がらないんだったらやったって意味ないじゃん」とおっしゃるかもしれません。そういう考え方をお持ちのかたであれば、何も行動を起こさないであきめてしまうのかもしれません。でもその結果、計り知れない影響を被るのは我々の次の世代です。行動しないわけにはいかないですよね。
杉村:もっと国民ができることは何かないのでしょうか。
小泉:残念ながら劇的な処方箋はありません。でも、先ほど言ったように、ぼく自身1つひとつ生活の中で、環境を考えた変化を取り入れていますが、ガマンしてやっているわけではありません。本当に自分の中で楽しんでやっているんです。まずは、その感覚を一人でも多くの人と共有したい。
化石燃料、化石資源を使って生み出されるプラスチックにこれだけ依存している社会のあり方を私たちは変えられるかどうか。これができれば私たちの経済社会は生活の質を落とさずに、なおかつ環境には負荷が低くなる。産業としてもより持続可能になります。もはや、環境に取り組むことは経済や雇用の重荷ではなく、競争力の源泉です。レジ袋有料化をきっかけに、そんな認識が広がっていくように取り組みを進めていきたいと思います。杉村さんも読者の皆さんも、一人一人ができるところから行動を始めてみませんか?
※ブログ主コメント:・・・やはりこいつは馬鹿だった・・・ただの精神論じゃんか・・・そんなくだらないことのために国民に無駄な事を強いて・・・全部わかってやっているなら、ただの迷惑行為じゃん。ただのおまえの自己満足じゃん。ただのお前の実績作りじゃん。レジ袋が環境汚染のメインではないってわかってるじゃん。海洋汚染のメインは製造流通過程で使用されるプラスチックごみであって、個人(最終消費者)にできることはないってわかってるじゃん。しかも日本以外の民度の低いアジア諸国が海洋汚染の主な犯人じゃん。日本はほとんど関係ないじゃん。無意味なことに対して行動しないのは当たり前じゃん。不衛生なのを批判するのは当たり前じゃん。それを気にする必要はないとは不衛生でいいということなのか?ただ行動すれば無条件で善とされるわけではないのだぞ?
というか本当はわかっていなかっただろ?「レジ袋廃止無意味論者」に批判されてから、後付けで「実は実効性がないことはわかっていました。本当の目的は国民の意識を変えるためだった」とか、かっこつけて言ってるだけだろ?
・レジ袋有料化はエコじゃなかった…コペンハーゲン・コンセンサス・センター「無意味」(Share News Japan 2020年8月13日)
・デンマーク・コペンハーゲン・コンセンサス・センターのビョルン・ロンボルグ前所長は、「すべての国がビニール袋を禁止したとしても、ビニール袋は世界の海に浮いているプラスチックの質量の0.8%未満しか占めていない」とその無意味さを語っている。米カリフォルニア州では、ビニール袋を全面禁止にして年4000万ポンドのプラスチックを排除したはいいが、ごみ袋として再利用していたビニール袋がなくなったせいで別の素材のゴミ袋や紙バッグの消費が激増。より多くの二酸化炭素を出す羽目になったという(THE GLOBE AND MAIL 2019年6月17日)。
・前出のロンボルグ前所長は、大陸から海に流入するプラスチックごみのうち、OECD加盟国のものは5%以下。半分は中国・インドネシア・フィリピン・ベトナムの4カ国によるものであり、とりわけ中国のものが27%以上と指摘。重要なのは、この4カ国の廃棄物管理を注視することだと主張した。
・世界の海洋プラスチック廃棄物の9割は、わずか10の河川から流れ込んでいる(Newsweek 日本版 2018年7月12日)
※プラスチック廃棄物が海洋に流出し、海洋生態系を脅かすようになって久しい。現在も、世界全体で1年間に800万トン規模のプラスチック廃棄物が海洋に流れ込んでいるとみられている。
それでは、これらのプラスチック廃棄物は、いったいどこから海洋に流れ込んでいるのだろうか。
独ヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)の研究プロジェクトによると、海洋に流出しているプラスチック廃棄物のおよそ9割が、わずか10の河川から流れ込んでいるという。
その流出源として挙げられているのが、中国の長江、黄河、海河、珠江、中国とロシアとの国境付近を流れるアムール川、東南アジアを縦断するメコン川、インドのインダス川とガンジス・デルタ、アフリカ大陸東北部から地中海へと流れるナイル川、西アフリカのニジェール川で、いずれの流域も比較的人口の多い地域として知られている。

また、研究プロジェクトでは、プラスチック廃棄物の排出量とプラスチック廃棄物の不適切な処理との相関関係を分析し、流域で適正に処理されていない廃棄物が多いほど、河川から海に流出するプラスチック廃棄物の排出量が増えることを明らかにした。
研究プロジェクトを主導した水理地質学者のクリスチャン・シュミット博士は「これら主要な河川の流域からのプラスチック廃棄物の排出量を半減させるだけでも、海洋汚染の軽減に大きな効果をもたらす」と指摘。「そのためには、廃棄物の分別回収やリサイクルなど、廃棄物マネジメントの改善をはかるとともに、一般市民に向けた啓発活動を積極的に行うことが不可欠だ」と説いている。
いわずもがな、海洋に流出するプラスチック廃棄物の量を減らすことこそ、プラスチックによる海洋汚染の防止につながる最も有効な対策だ。
プラスチック廃棄物の海洋流出をより効果的に食い止めるためには、この研究プロジェクトのように、プラスチック廃棄物の発生源や移動経路について科学的なアプローチからより詳しく解明していく必要もあるかもしれない。
・意外に大きかったレジ袋の恨み…小泉進次郎氏を涙の退庁に追いやった “トンデモ失策” の代償(SmartFLASH 2021年10月6日)
※10月5日、小泉進次郎前環境大臣が、後任の山口壮氏への引き継ぎを終え、庁舎を後にした。小泉氏は、引き継ぎにあたってどこか目を潤ませるようなそぶりも見せ、“涙の退庁” となった。
しかし、そんな姿に対し、国民の目は厳しかった。SNSでは、
《こんなに涙を信用できない人間、久しぶりに見た》
《ハンカチ大臣だね、小泉進次郎氏は、汗ではなく涙を拭く》
と厳しい意見が相次いだのだ。
小泉氏への厳しい視線について、政治記者がこう語る。
「小泉さんのレジ袋政策に、あらためて大きな批判が集まっているんです。小泉さんは、政策の目的について、環境改善効果を狙ったわけではないとしたうえで、『レジ袋の有料化をきっかけに、環境への問題意識を持ってほしい』と説明してきました。
しかし、日々の買い物でレジ袋がいるかどうかの確認作業が加わり、生活の煩わしさが増えました。持参したエコバッグに商品を入れて店を出てしまう万引きも急増し、レジ袋有料化でいったい誰が得をしているのかわからない状況です」
事態も動き始めている。10月5日には、元オリンピック担当大臣の桜田義孝氏が、自身のツイッターでこう発言した。
《地域の皆様からの要望で、レジ袋についてのご要望を頂いております。レジ袋有料化のメリットデメリットについて、私の盟友である山口つよし環境大臣に直接ご相談をさせて頂きました》
現在、このツイートには3.1万のいいねが集まり、賛同の声が寄せられている。
《有難うございます。本当に困ってます。レジ袋無料に戻して下さい》
《レジ袋がなくなり不便になって、便乗値上げされただけ。お店の方もいちいち確認するの大変そう。万引きも多くなったと聞くし、良いことなし》
《これは最近稀にみる愚策です 万引きが増え、コロナ禍なのにレジでの会話が増え、マイクロプラスチック削減のポイントはレジ袋じゃないと思います。宜しくお願いします》
初入閣でおこなった政策が、これほど大批判を浴びることを、小泉氏は予想していただろうか。岸田内閣では入閣を逃し、“トンデモ失策” の汚名返上はずいぶん先のことになりそうだ。
2020年7月1日)
※欧米では日本に先立ってレジ袋を有料化する取り組みが始まりましたが、同じ袋を使い回すと新型コロナウイルスの感染リスクが高まるなどとして、無料で提供する動きが再び広がっています。
アメリカ西部のカリフォルニア州は、2016年、全米で最も早く小売店などでのプラスチック製レジ袋の提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋を10セント、日本円で10円余りで販売する法律を導入しました。
しかし、州内での感染の拡大を受け、客が再利用できる袋を持ち込むと店員が感染するおそれが高まるなどとして、ことし4月、一転してレジ袋などを無料としました。
また、州内のサンフランシスコでは、客が再利用できるバッグやマグカップなどを店に持ち込むことを禁じる行政命令を出しました。
東部メーン州ではことし4月から、レジ袋の提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋に5セント以上、日本円で5円余りで販売する法律が施行される予定でしたが、やはり感染リスクを考慮して来年1月まで延期されることになりました。
また、イギリスのイングランドではゴミを減らすため、2015年からレジ袋を1枚5ペンス、日本円で6円余りで販売してきましたが、感染の拡大を受けネットスーパーを利用する人が増えたことから、配送作業に遅れが出たりしないよう、レジ袋を一時的に無料で提供することになりました。
・有料化「弱小企業をターゲットに」 憤るレジ袋メーカー(朝日新聞DIGITAL 2020年7月1日)
※7月1日からプラスチック製レジ袋が原則有料化された。分解されにくいプラごみを減らして海洋汚染を抑える目的で、消費者の意識改革もねらう。だがレジ袋をつくる業界にとっては、たまったものではない。レジ袋の原型を日本で初めて開発したとされる中川製袋(せいたい)化工(広島県大竹市)は、小売業界の発展を支えてきたと自負する。中川兼一社長に、胸の内を聞いた。
中川製袋化工
1929年、紙袋メーカーとして創業。包装用品の専門メーカー。中川兼一社長は3代目で、日本ポリオレフィンフィルム工業組合の常任理事も務める。
――容器包装リサイクル法の省令改正に伴い、すべての小売店でプラ製レジ袋の有料化が義務付けられました
「とうとう来たかという感覚だが、全く納得していない。小売業界の発展に、このレジ袋がどれだけ寄与してきたかと思うと、複雑な気持ちだ」
――その理由は
「なぜ、まずレジ袋なのか根拠を示してほしい。日本の廃プラの排出量は年900万トン。うち400万トンが容器の包装で、レジ袋はその中の20万トンにすぎない。政府は環境対策の大目玉としてレジ袋の有料化に踏み切ったが、残りの380万トンはどうするのか。議論はほとんど進んでいない」
――レジ袋だけ減らしても効果はわずかだと
「レジ袋がどれだけ環境に負荷を与えているか検証したうえで、環境政策を進めてほしい。ペットボトルや使い捨ての弁当箱を規制した方が、よほど廃プラは減る。大企業の食品や飲料メーカーではなく、私たちのような弱小企業をターゲットにした。環境対策のスケープゴートにされた気がしてしようがない。環境省の職員も私にこう言いました。レジ袋は身近で国民にわかりやすいんですと」
・本当にバカバカしい「レジ袋の追放運動」(MAG2 NEWS 2017年1月20日)
※ゴミの分別・リサイクルについて異を唱えてきた、中部大学の武田教授。今回は最近有料化されつつあるレジ袋や、ゴミを捨てるために有料のゴミ袋を買うという矛盾について持論を展開しています。
※家庭で有効活用できる「レジ袋」を削減する必要はあるのか?
1) レジ袋の追放運動
およそ多くある環境運動の中でも、「アホ」の部類に入るものの一つが「レジ袋の追放」です。これほど科学を無視し、現実から遠ざかった事をすると、その影響は単に環境を汚すばかりではなく、科学の発展を阻害し、子供たちにも悪い影響があるでしょう。
レジ袋は石油から作る「ポリエチレン」というものでできています。石油というのは動物の死骸が腐敗したものですから、決して「人間の生活に都合の良いように作られたもの」ではありません。人間が欲しいと思う材料(たとえばエコバッグの材料になるポリエステル)と比べてポリエチレンは大量にできてしまいます。だから、ポリエチレンでできたレジ袋をできるだけ使うようにして、ポリエステルを節約することが環境的には大切です。
石油からポリエチレンとかポリエステル(ペット)などを採る産業を石油化学と言いますが、石油化学は、これまでなんとか「あまり皆が欲しくないものの用途をなんとか作る」のに腐心してきました。その代表格がポリエチレンのレジ袋、ポリプロピレンで作る自動車のバンパーなどです。つまりレジ袋や自動車のバンパーは「石油を有効に使い、資源を大切にすることができる代表的な製品」であり、それに対して買い物袋などは貴重なポリエステルを使うので、「できるだけ使わないようにする」のが科学の合理性のある使い方です。
また、レジ袋は万引きの予防になるほか、数回使えば破れたりするぐらい薄いので石油をあまり消費せずにすみ、さらに家庭では子供に何かを持たせたり、汚いものをくるんだり、ゴミを出したりするのに役立っていました。つまり、「資源を繰り返し使える」という意味でも最優等生だったのです。
「ゴミを入れるために新品の袋を買う」という馬鹿な行為に気づいているか
2) 有料ゴミ袋
捨てるゴミを入れるのに新品の袋を強制的に使わせるという「有料ゴミ袋」も「アホ丸出し」の一つです。ゴミ袋もゴミを入れれば立派なゴミですから、まずは「ゴミとして捨てるものを買う」という馬鹿らしいことをしています。
もともとゴミを捨てるのは、レジ袋でも段ボールでも「使い古していて、もう使えないもの」を使うのがもっとも良いことは誰でもわかります。捨てるのですから、捨てる寸前の物をまずは使い、それがなければやむを得ず何かを利用するのが筋です。
本当に環境を大切にし、資源の枯渇を心配するならそうするでしょう。
でも、自治体は小遣いを儲けようとしています。専用のゴミ袋を指定し、それを使わせることによって、なにがしかの利権を得ます。それは天下り先を作ることもあります。そして、無意味な制限(カルシウムを入れるとか、色分けするなど)をして「官が認定する」という手続きを作ります。
分別・リサイクルをしているのに、片方では捨てる袋を有料で買わせるというバカらしさにそろそろ市民が気がつかなければならないでしょう。
3) 毒物のリサイクル
分別リサイクルが始まらない前、市役所は一括してゴミを集め、焼却していました。そうすると焼却炉の上から有毒なガスが発生し、灰の中にはこれも毒物が含まれます。それはもともと工業製品の中に鉛(ガラスなど)、水銀(蛍光灯など)、ヒ素(電子回路など)が含まれているからで、それをあらかじめ分別しておくことはできません。製品の中に溶け込んでいるからです。
そこで、煙突から出す前に有毒なガスを除き、灰の中に含まれる毒物は貯蔵所で除いたり、排出を止めたりしていました。
ところが、分別・リサイクルが始まると、主婦は分別するといってもその中にある毒物を除くことができませんので、毒物が原料としてリサイクルした製品の中に入ります。たとえば、紙のリサイクルをすると新品の紙よりもリサイクルした紙の方が若干、「色」がついていますが、これは着色する成分を完全に除くことができないことを示しています。色も毒物も除きにくい化合物ですから、リサイクル品というのは次第に毒物で汚染されていきます。
著者が計算してみると、家庭にある物を分別リサイクルする場合、毒物が増えないようにするための限界は8%で、それ以上リサイクルすると次第に汚染が蓄積する事がわかりました。
ものを「循環する」ためには、人間の体にも腎臓などがあるように「有害なものを定期的に除去する」というシステムが必要ですが、現在のリサイクルシステムにはそれがありません。でも、この問題は逆転ホームランがあり、「現実には分別はしていても、リサイクルはせずにそのまま焼却しているので有害物質は蓄積しない」という皮肉な状態にあります。
いずれにしても、レジ袋追放、有料ゴミ袋、リサイクルなどをしていると、私たちの子供はとても困ることになるでしょう。
・「レジ袋は環境を破壊する」という真っ赤な大嘘(MAG2 NEWS 2019年5月16日)
※環境破壊の要因のひとつとして槍玉に挙げられているポリエチレン製のレジ袋。つい先日もセブン&アイホールディングスが「2030年までのレジ袋全廃の方針」を発表するなど、その「包囲網」は着々と狭まりつつあります。こんな流れに異を唱えるのは、中部大学教授の武田邦彦先生。武田教授はレジ袋はプラスチック製品の中でも「環境に良い製品」としてその理由を記すとともに、なぜレジ袋が悪者に仕立て上げられたのかを暴露しています。
※環境に良い製品「レジ袋」をなぜ排除しようとするのか?
レジ袋というのはプラスチック製品の中でも格別、「環境に良い製品」です。理由は簡単で、
1.石油の中でもっとも安価(エネルギーが少なくてできる)
2.石油の中でつねに余り気味
3.製造工程が進歩していて無駄が少ない
4.3回から4回も使える
5.最初は買い物用、途中では子供に持たせたり、汚いものを包んだりでき、最後はごみ捨てにも使える
6.水を通さない
という特徴があります。
まず、科学的な面ですが、石油は大昔の生物の死骸が腐ったものなので、人間の希望通りの組成(構造)をしていません。石油から取れる大切なものとしては、ガソリン、軽油、BTX成分(化学原料)などですが、大切なものをとる時に他の成分も一緒に出てしまいます。レジ袋の原料はポリエチレン(PE)というものですが、昔はほとんど用途がなく、石油精製工場で燃やしていました。その結果、値段が極端に安く、それで「レジ袋はただ」という感じになったのです。
どこにでもいる利権を目当てにゴミ袋を追放する人々
最近では、徐々に技術が進み、用途も広がっていますが、それでも安い石油製品の一つです。それでいながら、生活面では、買い物を運び、子供に持たせ、汚いものを捨てるときにもゴミを捨てるときにも役立ちます。さらに焼却炉で燃やすときにも、毒物がでず綺麗に燃えますし、台所からでる生ごみはそのままでは燃えませんが、レジ袋などがあるとよく燃えます。
ところが、社会には悪い人がいて、「レジ袋を追放すれば、自分は環境を大切にする良い子に見えるし、利権も転がってくる」と思って追放運動を仕掛けました。もちろん、スーパーなどはそれまでタダで出していたものを、お金が取れるのですから、しめたものです。
また、ダイオキシンの問題は、これもかつてダイオキシンが問題になった時に炭酸カルシウムなどを一緒に燃やすとダイオキシンが出にくいという間違った論文がでて、ごみ袋は「指定」でなければならないということになったのです。
指定ごみ袋も意味がないのですが、業者はもうかる(場合によっては役所もメリットがある)、収集の時には大きさが決まっているので集めやすいということで、なくなりません。
普通に考えれば、実に奇妙なことをしているのです。第一に、レジ袋はプラスチック製品のうちのごく一部で、環境には影響がないこと、第二に、レジ袋ほど繰り返し使うものはないのに、それを追放すること、第三に新しい指定ごみ袋を買ってそこにレジ袋に包んだゴミをいれ、そのままパッカー車で粉々になる、という状態は誰が見ても奇妙です。
自治体でも心ある人が住民に「本当はレジ袋などに入れてゴミを出しても同じですよ」といっても、主としてお婆さんや主婦から「そんなことして環境に悪いじゃない!」と言われるそうです。
一回ウソをつくとなかなか否定するのは難しいのですね。
・レジ袋有料化は「新たな増税」、負担を強いるが環境問題とは無関係な理由(DIAMOND ONLINE 2020年7月3日)
室伏謙一(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント)
※7月1日から始まったスーパーやコンビニなどでの「レジ袋の有料化」。プラスチックごみの海洋流出などの防止や国民の環境意識の高まりを目的としているようだが、実際は環境問題とは無関係であり、人々に「無用の負担」を強いるだけの誤った政策である。総務省の元官僚であり、総務省の外局の公害等調整委員会で公害・環境問題も担当した筆者が解説する。
※7月から始まったレジ袋の有料化 日本のプラごみの再利用率は高い
7月1日からプラスチック製の買い物袋、いわゆるレジ袋の有料化が始まった。一方で、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の買い物袋やバイオマスプラスチックの配合率が25%以上の買い物袋、さらに厚さが50マイクロメートル以上の買い物袋は対象外とされている。
今回の有料化、経済産業省の説明資料によれば、その一番の背景はプラスチックごみの海洋流出問題であるとされている。そこでプラスチック製の買い物袋を有料化することで、「その袋が本当に必要か考えてもらうきっかけに」するとともに、「マイバッグの持参などの消費者のライフスタイルの変革を促し、過剰な使用を抑制」すること狙っているのだそうだ。
しかし、同じ資料によれば、日本の陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量は、2010年の推計で年2万~6万トンと、もっとも多い中国の年132万~353万トンと比べると、大幅に少ない。それでも出ていると言えば出ていることになるのだろうが、一般社団法人プラスチック循環利用協会による『プラスチックとリサイクル8つの「?」』によれば、廃プラスチックの総排出量に占める有効利用量(リサイクルに焼却灰の再資源化などを含む)の占める割合は、2018年の実績で84%と高い水準となっている。
プラスチックのリサイクル方法には、
(1)マテリアルリサイクル(リサイクルしてプラスチック製品化)
(2)ケミカルリサイクル(化学原料に再生)
(3)サーマルリサイクル(燃料化など)
があり、2018年の実績で、一般系廃プラスチックでは、
(3)が59%
(1)が17%
(2)が6%
となっており、単純焼却は12%、埋め立ては6%となっている。つまりは「燃料化して燃やすことが多い」ということだ。
これについて「リサイクルとは名ばかりで燃やしているだけではないか」といった批判があるようだ。
もっとも、ただ燃やしているのではなく、貴重なエネルギー源として使用しているのであれば、それも立派なリサイクルであるし、実際リサイクルの方向性として液化、燃料化というのは元々あり得たわけであり、「燃やす」という一点のみをもってそのリサイクル性を否定するのは、乱暴であり、批判のための批判としか言いようがないだろう。
従って、日本はプラスチックごみが、多くはないとはいえ海洋に流出してしまってはいるが、リサイクルなどの有効利用は高度に行われているといえる状況であり、プラスチック製のレジ袋を有料化してごみの大幅な減量などを図らなければならない状況にあるとは言い難いのではないか。
日本が率先してレジ袋を有料化する違和感
そもそもプラスチックごみの海洋流出は「プラスチック製品を使うかどうか」という問題ではなく、ごみになったプラスチック製品を「ごみとして、廃棄物として適正かつ効率的に処理する仕組みが整備され、機能しているのか」ということに関する問題である。
平たく言えば、「十分な規模のごみ処理場が整備され、滞りなく稼働し、分別なども含めたごみ収集制度が完備され、国民もそれを理解し、それを守っているかどうか」という話。別の言い方をすれば、「廃棄物処理行政がしっかりと機能しているのか」という話である。
つまり、プラスチックごみを大量に海洋に流出させてしまっている国というのは、それができていない可能性が高いということだ。
本来進めるべきはそうした国々がしっかりとした廃棄物処理の仕組みを導入するよう促し、それを支援することのはずである(政府の「インフラシステム輸出戦略」には「海洋プラスチックごみ対策にも資する廃棄物処理」も盛り込まれているが、これはどうなったのだろう?)。
それを「問題がない」とは言わないが、微小な日本が率先してレジ袋有料化を制度化するというのには非常に違和感を覚える。
「なぜなのか」と考えると、その原因の一つとして、日本において環境問題やごみ問題を考えるときに、両者が峻別(しゅんべつ)されず、混同されたままになっていることがあるように思う。
そこで、両者の関係性について、ごみ問題はどうしたら環境問題になりうるのかという観点から整理してみたい。
「レジ袋=環境問題」は「根拠なきイメージ論」の域を出ない
日本で「環境」や「環境問題」というものが意識されるに至ったきっかけは、昭和30年代から40年代の高度成長期に各地で発生した公害問題であろう。「公害」という言葉もこのころに生まれた。「公害」とは、環境基本法第2条第3項において次のとおり定義されている。
「環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう」
簡単に言えば、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、悪臭および地盤沈下のことであり、これらを総称して「典型7公害」とも呼ばれている。
現在では「公害」という言葉よりも「環境問題」という言葉が多く使われるようになっているが、要するに、「環境問題」とは概念としては存在するが具体的な現象としては「典型7公害」であり、従って、ごみ問題についても、例えば、不法投棄されることによって悪臭、土壌汚染、水質汚濁などが生じて初めて「環境問題」になるのである。
大規模な産業廃棄物の不法投棄事件として注目を集めた豊島産業廃棄物不法投棄事件は、総務省の外局である公害等調整委員会に係属したが、その際の正式名称は「豊島産業廃棄物水質汚濁等調停申請事件」であった。
つまり、不法投棄によって瀬戸内海の豊島近海に水質汚濁が生じたことなどを具体的な被害として「環境問題」としたということである(なお、産業廃棄物の不法投棄は問題ではないということではなく、不法投棄によって生じた「公害」、「環境問題」を入り口として考えられているということである)。
よって、レジ袋が無料のままで、使用後従前どおり捨てられ、廃棄物として処理されること自体は「環境問題」とは直接関係はないのである。
仮に「環境問題」になるとすれば、ごみ焼却場でレジ袋を燃やすことによって、例えば大気汚染が発生して初めて「環境問題」になる。
しかし、ごみ焼却場は大気汚染物質の外部への飛散防止のための装置が早くから導入されており、関係法令の規制基準を超える大気汚染等が発生することは考えられない。現在ではごみ焼却場の性能も飛躍的に向上してきているようであり、なおさらである。
仮に大気汚染が発生したとすれば、それは一義的にはごみ焼却場の運営の問題、当該焼却場を管理運営する地方公共団体の廃棄物処理行政の問題であって、直ちにレジ袋による「環境問題」になるわけではないのである。
そもそもプラスチック製レジ袋の多くはそれ自体がリサイクル製品であるし、燃やしても有害物質を発生させないものもある。「レジ袋=環境問題」と短絡的に捉えるのは、「根拠なきイメージ論」の域を出ないものだと言ってしまった方がいいかもしれない。
「レジ袋の有料化」という誤った政策の施行を機に考えるべきこと
ここで少し日本の「公害」「環境問題」関係の行政機関や制度について触れておこう。
かつての「公害」と言えば、重厚長大型産業の事業所から垂れ流された汚水や排出された有害物質によるものであり、水俣病のように健康被害のみならず命を落とされた方々もいる。こうした「公害」による被害を防止するため、昭和46年に環境庁が設置され、環境に関するさまざまな規制法が制定、充実強化されていった。
一方で、「公害」は、加害者は大企業、被害者は一般市民、つまり「強者vs弱者」という構図であることが多く、被害と原因の因果関係の証明も容易ではなかった。
そうした弱者救済を、簡易迅速に行うことを目的として「公害紛争処理制度」が設けられ、環境庁発足より半年早く昭和45年に中央公害審査委員会が、47年にはこれが改組・機能強化されて公害等調整委員会が設置された(同委員会はかつては総理府の外局、現在は総務省の外局であり、筆者は総務省在籍時に同委員会事務局にも勤務したことがある)。
このように、日本では「公害」や「環境問題」に対して、規制と被害者救済の両面で比較的早い段階から必要な制度の整備が進められており、その点では日本は先進的な国であるといえよう。ちなみにこの公害紛争処理制度、同種同様の制度が設けられているのは、日本以外では台湾と韓国のみである。
「環境問題」を漠としてしか捉えられないというのは、「環境」教条主義や原理主義につながり、過激な「環境」活動にまで発展する危険性さえある。同時に、人の活動を過剰に(往々にして法令の根拠なく)規制したり、今回のレジ袋有料化のように「無用の負担」を強いたりすることにもつながるものである。
キャッシュポイント還元の終了と同時に実施されることから、レジ袋有料化は「新たな増税」とまで言われている。確かに、今回の有料化にかこつけて、プラスチック製のみならず紙製のものまで有料化するところもある。これではただの便乗値上げである。
「環境、環境」と唱えたり、レジ袋をもらわずにエコバッグやマイバッグなるものを持ち歩くのは悪いことではない。しかし、それらは「環境問題」とは無関係なのであるから、結果的に「自己満足の世界」にすぎない。本来なら、あくまでも「自分の世界」で完結していただきたいところだ。
その上で、今回の「レジ袋の有料化」という誤った政策の施行を機に、「公害」や「環境問題」について先進国といえる日本の歩んできた道も振り返りつつ、「環境問題」とは何なのか、その本質や実態についての認識を新たにしていただきたいものである。
・レジ袋製造会社の本音「ポリ袋、実はエコ」 その理由に納得(grape 2020年7月5日)
※2020年7月1日から全国で始まった、プラスチック製レジ袋の有料化。
経済産業省は、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があるとしてレジ袋の有料化の目的を「それが本当に必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけにしたい」としています。
有料化の対象となるのは、持ち手のついたプラスチック製の買物袋。
ですが、厚さが50マイクロメートル以上で繰り返し使えるもの、海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの、バイオマス素材の配合率が25%以上のものは有料化の対象外となります。
また、有料レジ袋の価格、売り上げの使途は、事業者自ら設定することができます。
有料化の対象とならないのは、紙袋、布の袋、持ち手のない袋。そのため多くの店が紙袋へ切り替え、エコバッグの使用を推奨しています。
『ポリ袋は実はエコなんです』
ビニール袋やポリ袋のオリジナル印刷、製造を行う清水化学工業は、このレジ袋の有料化に異論を唱えています。
「ポリ袋から紙袋へ切り替えの際に、参考程度でいいですので弊社の声をお聞きください」と書かれたウェブサイトでは、レジ袋について勘違いされがちな点を13のポイントに絞って紹介。
1.ポリエチレンは理論上、発生するのは二酸化炭素と水、そして熱。ダイオキシンなどの有害物質は発生しない。
2.石油精製時に(ポリ)エチレンは必然的にできるので、ポリエチレンを使用する方が資源の無駄がなく、エコ。ポリエチレンは石油をガソリン、重油等に精製した残り・余りもの。
3.ポリ袋は薄いので、資源使用量が少量で済む。
4.ポリ袋は見かけほどごみ問題にはならない。目に見えるごみの1%未満、自治体のごみのわずか0.4%。
5.繰り返し使用のエコバッグより、都度使用ポリ袋は衛生的。
6.ポリ袋はリユース率が高い。例)レジ袋として使用した後ごみ袋として利用
7.自治体によってはサーマルリサイクルし、ごみ焼却燃料になり、重油燃料の使用量がその分減少し、無駄とならない。総二酸化炭素排出量は、サーマルリサイクルしても、そうしない場合と大差ない。
8.ポリ袋は紙袋の70%のエネルギーで製造可能。
9.ポリ袋の輸送に必要なトラックの量は、紙袋の7分の1。
10.ポリ袋の製造に必要な水の量は、紙袋の25分の1。
11.ポリ袋は紙袋に比べ、ごみにしてもかさばらない。
12.紙袋は再生できるものと再生できないものがある。ラミネート加工されているものや紐の種類によっては再生処理できない。
13.紙袋は間伐材とはいえ森林資源を利用。
清水化学工業 ーより引用
さらに、環境省のデータでは海洋プラごみの容積で見ると、ポリ袋は全体の0.3%。
海洋プラゴミで最も多い飲料ペットボトルは12.7%を占めています。
清水化学工業は、「海洋プラごみ対策としてレジ袋を紙袋に代替しても限定的な効果」と訴えました。
ネット上では、清水化学工業の訴えにさまざまな意見が寄せられています。
・分かりやすいと思う。でも海や川にポイ捨てをする人もいるのが現実なんだよな…。
・環境保全をするのはいいことだけど、この事実は絶対に知っておくべきだと思う。しかも、この時期は新型コロナウイルス感染症があるからエコバッグは危険。
・優しい文章だけど本当は怒っていそう。衛生面を考えるとエコバッグは不安。
・0.3%を多いと感じるか、少なく感じるかは人それぞれ。レジ袋以外にもプラスチックを減らす取り組みをしないと意味がないのでは。
一部の店では、環境に優しいレジ袋に切り替えて無料で提供を続けているところもあります。
衛生面や、利用する機会によってエコバッグとレジ袋をうまく使い分けることができるといいですね。
・小泉進次郎環境相に杉村太蔵が直撃! 今なぜレジ袋有料化か(NEWSポストセブン 2020年8月9日)
※プラスチック製のレジ袋の有料化がスタートし、1か月が過ぎた。エコバッグを利用しつつ、「これがプラスチックゴミの削減に本当に役に立つのか」と疑問に思っている人は少なくないはず。元衆議院議員でタレントの杉村太蔵氏(40才)もその一人。なぜレジ袋は有料化されたのか? そんな疑問を抱いて太蔵氏が向かった先は環境省。旗振り役の小泉進次郎環境大臣(39才)を直撃した。
杉村:レジ袋は1枚3~5円ほどですが、いろんな用途に活用できますし、随分便利なものですよね。私は5円ぐらいなら払ってもいいと思っていたのですが、店で「レジ袋いりますか?」と毎回聞かれるので最近はちょっと申しわけない気持ちになってきました。見ていると、レジ袋を使う人は少し減ってきているのかなと思いますね。
小泉:それはうれしいですね。
杉村:ただ、はっきり言って、レジ袋を使わなくなるとどのくらいプラスチックゴミの削減につながるのかはピンときません。実際、どうなんでしょうか?
小泉:たいしてつながらないです。
杉村:そうなんですか?
小泉:推奨している大臣が「たいしてつながらないです」というコメントをすると、「えっ!?」と思われるかもしれませんが、レジ袋有料化の目的は量ではないんです。900万tあるプラスチックゴミのうち、レジ袋が占める割合は2、3%程度です。もともと、レジ袋を使わなくなったとしても、削減できるプラスチックゴミの量は微々たるものだということをわかった上で始まっているんです。
お菓子の“過剰包装廃止”を訴える女子高生に「感謝したい」
杉村:それなのになぜ始まったのですか?
小泉:目的が違うんです。目的は、レジ袋有料化をきっかけに、世界的な課題になっているプラスチックに問題意識を持ってもらうこと。杉村さんも「有料化して何の意味があるんだろう?」と疑問を持たれた時点でプラスチックゴミのことを考えているとも言えますよね。
杉村:なるほど。それが大事なんですね。プラスチックゴミと言えば、小泉大臣はある女子高生が「お菓子のプラスチックの過剰包装をなくしてください」という署名活動をやっていたのをご存じですか?
小泉:本当ですか?
杉村:2か月で1万8000人以上も署名が集まったんですよ。すごいと思いませんか?
小泉:それは想像以上ですね。
杉村:ただ、率直に言って、この運動をしている女子高生に対して“包装をやめたら衛生上どうなのか”といった批判もあります。
小泉:今は何をしても批判されますからね。でも、彼女はプラスチックに問題意識を持ったから行動を起こしたわけですよね。行動していない人からの批判は気にすることはないし、ぼくはその女子高生にありがとうと伝えたいです。どうしてそういう問題意識を持ったのか聞いてみたいですね。民間企業も、ぜひその声を商品開発に取り入れてほしいですね。
ただ、プラスチックをゼロにすることは難しいと思います。やはりプラスチックのおかげで衛生面が維持されているところもありますし、今のところプラスチック全てを代替素材にできないのも事実です。大事なことは、減らせる部分は徹底的に減らす。代替できるところは徹底的に代替する、ということです。だから、その女子高生が問題意識を持ったお菓子の中で、プラスチックを使わなくても大丈夫なところは何なのか、代替可能なところは何なのか。より持続可能な商品を求める次世代の声を真剣に受け止める企業があったら、結果として、将来的にはそういう企業が成長するのではないでしょうか。
コロナ禍でのレジ袋有料化は正しかったのか
杉村:新型コロナウイルスの収束がまだ見えない中、欧米ではレジ袋の有料をやめて無料化するところが出てきました。フェイスシールドなどプラスチックでできているものは数多くあり、コロナ禍でプラスチックの需要が高まっているのも事実です。それについて小泉大臣はどうお考えですか?
小泉:おっしゃる通り一部の国でマイバッグ禁止など実施されていますが、マイバッグから感染するというエビデンスはないんです。大事なのは、きちんと感染対策を行い、外から帰ってきたときは手洗いとうがいをしっかり行う。マイバッグも汚れているなら洗っていただく。求められていることが「0リスク」だとしたら、それは議論できません。「0リスク」というのはないですから。その中でどうやって経済活動、社会活動を考えていくのか。そこは丁寧なコミュニケーション、まさにリスクコミュニケーションが大事です。丁寧に説明していきたいと思います。
杉村:それにしても、なぜ環境問題に取り組むと批判する人が出てくるのでしょうか。
小泉:結局、杉村さんが最初におっしゃった「これをやって意味があるんですか」ということだと思います。地球規模で解決しないといけない課題にもかかわらず、アクションが圧倒的に小粒に見える。だから、「それって自己満足なの?」と思われるし、「やっている感」のツッコミが入りやすい。そんな感じがしますでしょ?
杉村:ものすごくそう感じます。
「シリコン袋にフルーツを入れて持ち歩いている」
小泉:ぼくも環境大臣になり家庭を持って色々変わりました。エコバッグ、マイバッグはもちろん、できる限りペットボトルを使わないようにマイボトルを持ち歩いています。最近では食品用のラップや袋の代わりに、シリコン製の袋を使うようになりました。何回でも使えてデザインもいいですね。その容器にフルーツなどを入れ鞄の中に入れて持ち歩いて食べたりしています。
電子レンジで食品を温めるときも、知り合いからお皿をフタとして使ってラップ代わりにすればラップを使わなくて済むと聞いて、そうしています。こうしたことは、何も行動を取らない人たちからすれば修行僧のように我慢する、ストイックなことをしている、サスティナブルかぶれのように映る側面もあるかもしれません。ですが、ぼくからするとゲーム感覚なんです。1つひとつ自分が変わっていくことが楽しいんですよ。
杉村:楽しいですか?
小泉:楽しいですよ。“これもこうやって切り替えられた”という喜びがあります。自分が変化しているから環境大臣としての発言やアクションも、自分の中で力がこもるんですよ。「私、これやってますよ」と。
杉村:節約感覚と同じようなものでしょうか?
小泉:節約とは違いますね。単純に、できる限り環境に負荷をかけない生き方を選択するかどうか。確かに自分一人の行動が変わっただけで環境は変わらないと思います。だけど、自分だけでもそういったことを考えて行動しようと思えるかどうかは、最後は人生観だったり人生哲学だったりするのでは? そこをできる限り多くの人たちが取り組みやすいように、仕組みとしてやれるかどうかだと思っているんです。
杉村:でも、レジ袋が削減されました、プラスチックゴミが削減されたとしても、その先には一体どんなゴールがあるのですか?
小泉:わかりやすい例で言うと、ペットボトルです。ペットボトルはどんどん技術開発が進んで、1本で使うプラスチックの量もどんどん軽量化されています。杉村さんがテニス、ぼくが野球をしていた時代は、ペットボトルの底は樹脂でした。フタだけアルミというペットボトルもありました。でも今はないんですよ。日本ではペットボトルは透明色ですが、それはなぜかと言うと、透明色の方がリサイクルしやすい材料になるからです。
ペットボトルのリサイクル率はアメリカが20%、欧州が40%、日本は85%。つまり、ペットボトルは生産される前からすでにリサイクルのことまで考えられた設計になっています。こういった設計が当たり前になる、循環型の社会を目指したい。そうすれば地下資源を浪費せずに、より地球環境に負荷をかけることのない経済社会になっていくはずです。
「私たちがやってきたことは地球環境にプラスになっているのか?」
杉村:レジ袋有料化もそうですが、この環境政策の中で、地球変動や温暖化対策に対して私たちは確実に効果のあることをやっているのか、という思いがあります。私たちはこの20年、ペットボトルのフタを分けたり、ゴミの分別をしたり、地味にやってきました。でも、その割には毎年夏は暑くなっているし、大雨などの災害で大きな被害が出ている。一生懸命やっているのに今ひとつ効果が感じられない。
小泉:まず、このまま私たちがすごく頑張って努力しても、この気温上昇は産業革命前と比べると、残念ながら抑制どころか維持することすらできないんです。
杉村:確かに、新型コロナウイルスなら全員がステイホームすれば収束する気がしますが、温暖化は1年間車を運転しなくても工場を止めても止められるとは思えません。
小泉:そこが難しいところなんですが、世界はパリ協定という枠組みの下で、地球の平均気温の上昇を産業革命前の水準と比べて2度以内に抑えよう、できれば頑張って1.5度以内に抑えようという方向で合意をして政策を進めています。「気温が下がらないんだったらやったって意味ないじゃん」とおっしゃるかもしれません。そういう考え方をお持ちのかたであれば、何も行動を起こさないであきめてしまうのかもしれません。でもその結果、計り知れない影響を被るのは我々の次の世代です。行動しないわけにはいかないですよね。
杉村:もっと国民ができることは何かないのでしょうか。
小泉:残念ながら劇的な処方箋はありません。でも、先ほど言ったように、ぼく自身1つひとつ生活の中で、環境を考えた変化を取り入れていますが、ガマンしてやっているわけではありません。本当に自分の中で楽しんでやっているんです。まずは、その感覚を一人でも多くの人と共有したい。
化石燃料、化石資源を使って生み出されるプラスチックにこれだけ依存している社会のあり方を私たちは変えられるかどうか。これができれば私たちの経済社会は生活の質を落とさずに、なおかつ環境には負荷が低くなる。産業としてもより持続可能になります。もはや、環境に取り組むことは経済や雇用の重荷ではなく、競争力の源泉です。レジ袋有料化をきっかけに、そんな認識が広がっていくように取り組みを進めていきたいと思います。杉村さんも読者の皆さんも、一人一人ができるところから行動を始めてみませんか?
※ブログ主コメント:・・・やはりこいつは馬鹿だった・・・ただの精神論じゃんか・・・そんなくだらないことのために国民に無駄な事を強いて・・・全部わかってやっているなら、ただの迷惑行為じゃん。ただのおまえの自己満足じゃん。ただのお前の実績作りじゃん。レジ袋が環境汚染のメインではないってわかってるじゃん。海洋汚染のメインは製造流通過程で使用されるプラスチックごみであって、個人(最終消費者)にできることはないってわかってるじゃん。しかも日本以外の民度の低いアジア諸国が海洋汚染の主な犯人じゃん。日本はほとんど関係ないじゃん。無意味なことに対して行動しないのは当たり前じゃん。不衛生なのを批判するのは当たり前じゃん。それを気にする必要はないとは不衛生でいいということなのか?ただ行動すれば無条件で善とされるわけではないのだぞ?
というか本当はわかっていなかっただろ?「レジ袋廃止無意味論者」に批判されてから、後付けで「実は実効性がないことはわかっていました。本当の目的は国民の意識を変えるためだった」とか、かっこつけて言ってるだけだろ?
・レジ袋有料化はエコじゃなかった…コペンハーゲン・コンセンサス・センター「無意味」(Share News Japan 2020年8月13日)
・デンマーク・コペンハーゲン・コンセンサス・センターのビョルン・ロンボルグ前所長は、「すべての国がビニール袋を禁止したとしても、ビニール袋は世界の海に浮いているプラスチックの質量の0.8%未満しか占めていない」とその無意味さを語っている。米カリフォルニア州では、ビニール袋を全面禁止にして年4000万ポンドのプラスチックを排除したはいいが、ごみ袋として再利用していたビニール袋がなくなったせいで別の素材のゴミ袋や紙バッグの消費が激増。より多くの二酸化炭素を出す羽目になったという(THE GLOBE AND MAIL 2019年6月17日)。
・前出のロンボルグ前所長は、大陸から海に流入するプラスチックごみのうち、OECD加盟国のものは5%以下。半分は中国・インドネシア・フィリピン・ベトナムの4カ国によるものであり、とりわけ中国のものが27%以上と指摘。重要なのは、この4カ国の廃棄物管理を注視することだと主張した。
・世界の海洋プラスチック廃棄物の9割は、わずか10の河川から流れ込んでいる(Newsweek 日本版 2018年7月12日)
※プラスチック廃棄物が海洋に流出し、海洋生態系を脅かすようになって久しい。現在も、世界全体で1年間に800万トン規模のプラスチック廃棄物が海洋に流れ込んでいるとみられている。
それでは、これらのプラスチック廃棄物は、いったいどこから海洋に流れ込んでいるのだろうか。
独ヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)の研究プロジェクトによると、海洋に流出しているプラスチック廃棄物のおよそ9割が、わずか10の河川から流れ込んでいるという。
その流出源として挙げられているのが、中国の長江、黄河、海河、珠江、中国とロシアとの国境付近を流れるアムール川、東南アジアを縦断するメコン川、インドのインダス川とガンジス・デルタ、アフリカ大陸東北部から地中海へと流れるナイル川、西アフリカのニジェール川で、いずれの流域も比較的人口の多い地域として知られている。

また、研究プロジェクトでは、プラスチック廃棄物の排出量とプラスチック廃棄物の不適切な処理との相関関係を分析し、流域で適正に処理されていない廃棄物が多いほど、河川から海に流出するプラスチック廃棄物の排出量が増えることを明らかにした。
研究プロジェクトを主導した水理地質学者のクリスチャン・シュミット博士は「これら主要な河川の流域からのプラスチック廃棄物の排出量を半減させるだけでも、海洋汚染の軽減に大きな効果をもたらす」と指摘。「そのためには、廃棄物の分別回収やリサイクルなど、廃棄物マネジメントの改善をはかるとともに、一般市民に向けた啓発活動を積極的に行うことが不可欠だ」と説いている。
いわずもがな、海洋に流出するプラスチック廃棄物の量を減らすことこそ、プラスチックによる海洋汚染の防止につながる最も有効な対策だ。
プラスチック廃棄物の海洋流出をより効果的に食い止めるためには、この研究プロジェクトのように、プラスチック廃棄物の発生源や移動経路について科学的なアプローチからより詳しく解明していく必要もあるかもしれない。
・意外に大きかったレジ袋の恨み…小泉進次郎氏を涙の退庁に追いやった “トンデモ失策” の代償(SmartFLASH 2021年10月6日)
※10月5日、小泉進次郎前環境大臣が、後任の山口壮氏への引き継ぎを終え、庁舎を後にした。小泉氏は、引き継ぎにあたってどこか目を潤ませるようなそぶりも見せ、“涙の退庁” となった。
しかし、そんな姿に対し、国民の目は厳しかった。SNSでは、
《こんなに涙を信用できない人間、久しぶりに見た》
《ハンカチ大臣だね、小泉進次郎氏は、汗ではなく涙を拭く》
と厳しい意見が相次いだのだ。
小泉氏への厳しい視線について、政治記者がこう語る。
「小泉さんのレジ袋政策に、あらためて大きな批判が集まっているんです。小泉さんは、政策の目的について、環境改善効果を狙ったわけではないとしたうえで、『レジ袋の有料化をきっかけに、環境への問題意識を持ってほしい』と説明してきました。
しかし、日々の買い物でレジ袋がいるかどうかの確認作業が加わり、生活の煩わしさが増えました。持参したエコバッグに商品を入れて店を出てしまう万引きも急増し、レジ袋有料化でいったい誰が得をしているのかわからない状況です」
事態も動き始めている。10月5日には、元オリンピック担当大臣の桜田義孝氏が、自身のツイッターでこう発言した。
《地域の皆様からの要望で、レジ袋についてのご要望を頂いております。レジ袋有料化のメリットデメリットについて、私の盟友である山口つよし環境大臣に直接ご相談をさせて頂きました》
現在、このツイートには3.1万のいいねが集まり、賛同の声が寄せられている。
《有難うございます。本当に困ってます。レジ袋無料に戻して下さい》
《レジ袋がなくなり不便になって、便乗値上げされただけ。お店の方もいちいち確認するの大変そう。万引きも多くなったと聞くし、良いことなし》
《これは最近稀にみる愚策です 万引きが増え、コロナ禍なのにレジでの会話が増え、マイクロプラスチック削減のポイントはレジ袋じゃないと思います。宜しくお願いします》
初入閣でおこなった政策が、これほど大批判を浴びることを、小泉氏は予想していただろうか。岸田内閣では入閣を逃し、“トンデモ失策” の汚名返上はずいぶん先のことになりそうだ。