・小池都知事の「築地市場を守る」はどうなった?コロナの陰で進む「業者潰し」政策(AERA dot. 2020年6月17日)

※取引高世界一を誇る豊洲市場が、市場移転の混乱による傷口も癒えぬうちに、再び危機に瀕している。東京都が6月21日に施行する条例に、市場関係者から「日本の食文化を壊しかねない」との声が上がっているのだ。

発端は、2018年に成立した改正卸売市場法。これにより、これまで都道府県や人口20万人以上の都市に限られていた中央卸売市場の開設に民間業者の参入が認められるようになるなどの、規制緩和が進められた。

卸売市場では、卸売業者が全国から集荷した生鮮食品をせりなどで仲卸業者に売り渡し、仲卸業者が小売店や飲食店に販売している。

だが、法施行後は卸売業者が仲卸業者を介さずに直接、場外の小売店や飲食店に売ることもできるようになる(第三者販売禁止の廃止)。店側にとっては、仕入れコストが削減できるという理屈だ。
 
東京都は法改正を受けて都中央卸売市場条例を改正し、昨年12月、都議会で成立させた。東京中央市場労働組合の中澤誠委員長が怒りを込めて言う。

「公正な取引を行うための規制が取り払われ、価格決定がブラックボックス化する恐れがあります。これまでは純粋な需給バランスで適正な価格が付けられていましたが、価格吊り上げなどの操作が可能になってしまいます。例えば『委託物品の即日上場』といって、卸売業者は当日仕入れた魚はその日のうちに売らなければならないことになっています。卸売業者が魚を隠してしまって少量しか販売しなかったら、値段が吊り上がってしまうからです。今回、この規制も撤廃されました」

都は中央卸売市場の運営は続けていく方針だが、ほぼ改正法通りに規制を撤廃した。中澤氏が説明する。

「卸売市場法を所管する農水省は規制の撤廃については柔軟で、各自治体の判断に委ねたのです。例えば、札幌市は市場関係者と公式会議を約40回も行ったうえで、現行の規制の多くを残す決断をしています。ところが、東京都はきちんと議題に上げて公式会議を行ったのは、昨年10月28日の1度だけです。条例の中身は難しいし、市場関係者に十分な理解が得られたとは思えません。いかにも小池都政らしい乱暴なやり方です」

この公式会議は「都中央卸売市場取引業務運営協議会」といい、青果、水産物、食肉、花きなどの業界代表、都議会議員、生産者、消費者団体などが委員として参加している。

条例の施行で公正な取引が保たれないばかりか、「日本の食文化が危機に瀕する」と指摘するのは委員の1人、畔上(あぜがみ)三和子都議(共産)だ。

「市場は日本が育んできた食文化を維持する調整機能の役割も果たしています。例えば、大間のマグロは有名で高値で取引されますが、小さな漁港でもいい物が採れれば仲卸さんの目利きできちんと商品価値が評価されます。そういう公正さ公平さが零細の生産者の利益も守り、食の品質は全国的に保たれているのです」

特に懸念されるのは、第三者販売禁止の廃止だという。卸業者が仲卸を通さず、大手スーパーや外食産業と直接取引できるようになれば、事実上、大企業が価格決定権を持つことになりかねない。すでに市場を経由しない市場外取引は広がっているが、この傾向にいっそう拍車がかかる。

「欧米やオーストラリアでは、生鮮市場で巨大スーパーが買い占める割合が非常に高くなっています。日本が同じ事態になれば適正価格は崩れ、卸売市場は大手スーパーの物流センター化してしまいます。仲卸業者だけでなく、弱小の生産者や小売店、小規模スーパーはさらに苦境に追いやられます」(畔上都議)

築地から豊洲への移転におよそ6千億円もの事業費を投入しながら、豊洲市場は問題山積だ。18年10月に豊洲市場は開場したが、地下水の汚染や交通アクセスの不便さは解決されないままだ。

設計面でも仲卸業者の声を聞かなかったため使い勝手が悪く、ターレの事故が多発しており、死亡事故も2件起きている。建物の床積載荷重が少ないため、2・5トンフォークリフトが800キロまでしか運べない。仲卸従業員用の駐車場は市場まで徒歩約20分と遠いうえに、料金が月額1万8000円~2万円と高く、悪評ふんぷんだ。

そもそも豊洲市場自体が、大規模業者以外を切り捨てる思想の上に建てられたとの指摘もある。都知事選に立候補を表明している弁護士の宇都宮健児氏が語る。

「豊洲市場は巨大な冷蔵庫のようなもので、そもそも仲卸業者が仕事をしやすい設計にはなっていません。いま、規制緩和して経済を活性化させようとの考え方が主流になってしまっています。物品を大量集積して大量販売していく拠点として市場を位置づけていこうという考え方からすれば、仲卸は邪魔な存在なのです。豊洲移転は仲卸を潰す政策だったともいえます」

ことあるごとに「築地の食文化を生かす」などと言ってきた小池知事だが、それもパフォーマンスだったのか。

※仲卸を通さなくなれば当然仲卸は潰れる。

※要するに食料の流通のAMAZON化。食料の流通網がそっくり巨大資本に乗っ取られる。おそらく外国資本も含むのだろう。というかそれが目的だろう。国外勢力と共謀し、日本と日本人の公共財産(流通網などのインフラ含む)を売りとばす、レントシーカー=新自由主義者=売国奴どもを倒さなければならない。

※レントシーキング( rent seeking)とは、(国外含む)民間企業などが政府や官僚組織へ働きかけを行い、法制度や政治政策の変更を行うことで、自らに都合よく規制を設定したり、または都合よく規制の緩和をさせるなどして、超過利潤(レント)を得るための活動を指す。またこれらの活動を行う人をレントシーカーやロビイストなどと呼ぶ。