・在イラク米大使館で抗議デモ過激化 米は750人規模の部隊派遣へ(NHK NEWS web 2020年1月1日)

※イランが支援する武装組織の拠点をアメリカ軍が空爆したことに対し、イラクの首都バグダッドで、アメリカ大使館に対する抗議デモが過激化していることから、アメリカのエスパー国防長官は、750人規模の部隊を直ちに中東地域に派遣することを明らかにしました。

イラクでは、国内にあるイランが支援する武装組織の拠点をアメリカ軍が空爆したことに対し、武装組織の支持者らが首都バグダッドにあるアメリカ大使館の前で先月31日、抗議デモを行い、大使館の敷地を囲む壁に火を放ったり、石を投げたりするなど過激化しました。

これを受けて、アメリカのエスパー国防長官は31日夜、声明を出し、750人規模の部隊を直ちに中東地域に派遣することを明らかにしました。

その理由について「バグダッドなどでアメリカ人や施設に対する脅威のレベルが上がっていることを受けた適切かつ予防的な措置だ」としています。

一方、トランプ大統領はツイッターに「われわれの施設で死者が出るなどすれば、イランが全面的に責任を負う。イランは非常に『大きな代償』を支払うだろう。これは警告ではなく、脅しだ」と投稿し、イランがアメリカ大使館での抗議デモの背後にいるとして強くけん制しました。

アメリカ政府は、750人規模の部隊に加えて、さらに部隊を派遣する可能性も示唆していて、イランとの間で緊張が高まるのではないかという懸念が広がっています。


・米国防長官「先制攻撃も辞さず」 イランを強くけん制(NHK NEWS web 2020年1月3日)

※アメリカとイランの間で緊張が高まる中、アメリカのエスパー国防長官はイランや、イランが支援する勢力がアメリカへのさらなる攻撃を計画している可能性があるとしたうえで、アメリカ軍を守るため先制攻撃も辞さない方針を明らかにし、イランを強くけん制しました。

アメリカ軍は先月、イラクで攻撃を受け死傷者が出たことへの報復として、イランが支援するイスラム教シーア派の武装組織の拠点を空爆しましたが、これに対し武装組織を支持する民兵らが先月末から今月1日にかけて首都バグダッドにあるアメリカ大使館の前で抗議デモを行い、大使館に被害が出る事態となりました。

アメリカのエスパー国防長官は2日、国防総省で記者団に、「彼らが追加攻撃を計画している可能性を示すいくつかの兆候がある」と述べ、イランや、イランが支援する勢力がアメリカ軍などをねらったさらなる攻撃を計画している可能性があるという見方を示しました。

そのうえで、「もし攻撃の通告や何らかの兆候があれば、アメリカ軍や国民の命を守るため、先制攻撃を行う」と述べ、先制攻撃も辞さない方針を明らかにし、イランを強くけん制しました。

アメリカ政府は今回の事態を受け、750人規模の部隊を直ちに中東地域に派遣することを明らかにしているほか、追加部隊を派遣する可能性も示唆していて、イランとの間で緊張がさらに高まるのではないかという懸念が広がっています。


・トランプ大統領の指示でイラン精鋭部隊司令官を殺害-米国防総省(Bloomberg 2020年1月3日)

米トランプ米大統領が命じた米軍によるイラクでの空爆でイランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官1人が死亡した。米国とイランとの対立が深まる恐れがある。

米国防総省は2日夜、トランプ大統領の指示を受けたバグダッド国際空港付近での空爆により、革命防衛隊の有力者ソレイマニ司令官が死亡したと発表。ソレイマニ司令官は「米国の外交官やイラクや中東に駐留する米軍を攻撃する計画を積極的に策定していた」と説明した。

ソレイマニ司令官殺害を受け、米国とイランの緊張の高まりが他国も巻き込みかねない武力衝突につながるとの懸念が強まった。

イランの最高指導者ハメネイ師は、ソレイマニ司令官を殺害した者に対する「手厳しい報復」を表明。国営タスニム通信によれば、同国政府は3日間の服喪を宣言した。

イランのザリフ外相はツイッターで、米軍による同司令官殺害を「国際的なテロ行為」と非難。「米国は不正な冒険主義の結果について全責任を負うことになる」とし、「極めて危険で愚かなエスカレーション」だと批判した。



(上)ガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官

革命防衛隊コッズ部隊を率いていたソレイマニ氏は、イラン・イラク戦争の兵役経験者で、イラクとシリアにおける過激派組織「イスラム国(IS)」打倒に尽力し、米国の影響力に対抗する人物としてイランで称賛される著名人。ジョージタウン大学のシニアフェローで、米中央情報局(CIA)元職員のポール・ピラー氏は、イランは反撃を迫る「強い圧力」にさらされるだろうと述べ、対立がエスカレートする可能性はにわかに高まったと指摘した。


・トランプ大統領指示の空爆でイラン革命防衛隊司令官死亡(Bloomberg 2020年1月3日)

※トランプ米大統領の指示を受けた米軍によるイラクでの空爆で、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官が殺害されたのを受け、世界で最も重要な石油生産地域で軍事衝突が生じるとの懸念が強まった。

米国防総省の発表によると、バグダッド国際空港付近での空爆で殺害されたのは革命防衛隊コッズ部隊を率いていたソレイマニ司令官。石油施設や生産に影響は出たわけではないが、イランの屈指の有力司令官が殺害されたことで、米国とイランの対立はエスカレートする恐れがあり、中東全般が不安定化するリスクがある。


・「大統領の指示受けてイラン司令官を殺害」米国防総省が声明(NHK NEWS web 2020年1月3日)

※アメリカ国防総省はトランプ大統領の指示で、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官への攻撃を実施し、殺害したことを明らかにしました。イランの最高指導者は報復措置を取る考えを示しており、アメリカとイランの衝突につながることへの懸念が高まっています。

イラクの首都バグダッドの国際空港近くで3日、車列が攻撃を受け、複数の死傷者がでました。

アメリカ国防総省は声明を発表し、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の実力者として知られるソレイマニ司令官を標的にした攻撃を実施し、殺害したことを明らかにしました。

攻撃はトランプ大統領の指示で行われたということで、国防総省は、ソレイマニ司令官がイラクなどでアメリカの外交官や軍人を攻撃する計画を進め、多くのアメリカ人を死傷させたと主張しています。

そして「今回の攻撃はこの先のイランによる攻撃を防ぐためだった」として攻撃の正当性を強調したうえで「アメリカは、国民と国益を守るためには世界のどこにおいても必要なあらゆる措置を取る」と警告しています。

これに対しイランの最高指導者ハメネイ師は「ソレイマニ司令官の殉職は、アメリカに抵抗する意欲を倍増させるものだ。犯罪者には厳しい報復が待ち受けている」と述べ、アメリカに対して報復措置をとる考えを示しました。

アメリカ軍が直接、イラン国民からも人気が高い当局の実力者を殺害し、イランが報復措置に言及していることで、両国の衝突につながることへの懸念が高まっています。

攻撃現場の写真



イラク政府が公表した攻撃のあとの現場の写真には、暗闇の中で路上で自動車とみられるものが燃え上がっている様子が収められていて、周囲には部品のようなものが散乱しています。

また別の写真には、ガードレールの脇に燃えている物体が収められていますが、原形をとどめないほど壊れ何が燃えているのかは確認できません。

特殊任務の司令官 国民からの人気高い人物

殺害されたソレイマニ司令官は、イランの最高指導者ハメネイ師直轄の「革命防衛隊」の精鋭部隊を率い、国民から「英雄」と呼ばれるほど人気の高い実力者として知られていました。

ソレイマニ司令官の精鋭部隊は「コッズ部隊」の名で呼ばれ、中東でイランの影響力を拡大させる工作活動を指揮するなど外国での特殊任務を担っていて、司令官自身、イラン国内で絶大な影響力を持つと評価されています。

ハメネイ師からの信頼が厚く、大統領選挙への出馬を取りだたされたこともあります。ソレイマニ司令官の殺害を受けてハメネイ師に加えて、政界の有力者も相次いで声明を出し、このうちラリジャニ議長はソレイマニ司令官を「国民的な英雄だ」としたうえで「イラン国民は彼の死を黙って見過ごさない」と怒りをあらわにしました。

またイラン政府に近いことで知られるテヘラン大学のマランディ教授は、国営テレビの電話インタビューで「ソレイマニ司令官はイラン国民から広く尊敬を集め、極めて人気がある人物だ。ソレイマニ氏への攻撃はアメリカの大きな計算違いだ。イラクにいるアメリカ人は直ちに国を離れたほうがよい」と述べて、イラクにいるアメリカの外交官や軍人らを標的にした報復攻撃が考えられるとして、強く警告しました。

イランの国営テレビは司令官の殺害を受けて、テレビ画面の左上に黒い帯を表示し国をあげた追悼の意を表しました。


・司令官殺害 アメリカとイランはどう主張したか(NHK NEWS web 2020年1月3日)

※イラクの首都バグダッドで、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官が攻撃を受けて死亡しました。アメリカ国防総省は攻撃を行ったことを認め、アメリカとイラン両国の間で緊張が一段と高まっています。アメリカ国防総省は2日夜、声明を出し、イランの革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表しました。

米国防総省「この先のイランによる攻撃防ぐため」

声明では「大統領の指示を受けてアメリカ軍は海外に駐留する人員を保護するために断固たる防衛的措置を取り、アメリカがテロ組織に指定しているイランの革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害した」として、攻撃はトランプ大統領の指示によって行われたとしています。

そのうえで声明では「ソレイマニ司令官は、イラクや周辺地域でアメリカの外交官や軍人を攻撃する計画を進めていた。彼は過去、数か月にわたり、イラクの基地をねらった攻撃を画策し、アメリカ人やイラク人を死傷させた。また、今週起きたバグダッドのアメリカ大使館の襲撃を承認していた」と批判しています。

そして「今回の攻撃は、この先のイランによる攻撃を防ぐために行われた。アメリカは、国民と国益を守るために世界のどこにおいても必要なあらゆる措置を取る」と警告しています。

イラン最高指導者ハメネイ師 報復措置の考えを示す

国営メディアによりますと、イランの最高指導者のハメネイ師は「ソレイマニ氏の殉職はアメリカに抵抗する意欲を倍増させるものだ。犯罪者には厳しい報復が待ち受けている」と述べ、アメリカに対して報復措置をとる考えを示しました。またハメネイ師は国をあげて、3日間ソレイマニ司令官の死を悼むと宣言しました。

イランの国営メディアによりますと、イランのアシエナ大統領顧問は「トランプはこの地域でのアメリカを最も危険な状況に追い込んだ。レッドラインを超えたものは、このあと起こりうる事態に直面する用意をすべきだ」と述べ、軍事攻撃に踏み切る判断の分かれ目とも言われる「超えてはならない一線=レッドライン」を超えたという認識を示し、報復を強く警告しました。

イランのザリーフ外相は、みずからのツイッターに「ソレイマニ司令官を狙った暗殺行為は、アメリカの国際的なテロ行為であり、極めて危険で、愚かだ。アメリカは、みずからの悪事によるすべての結果の責任を負うことになる」と投稿し、アメリカを非難しました。


・トランプ大統領がイラン司令官の殺害を命令、ハメネイ師は「報復」誓う(AFPBB 2020年1月3日)

※イラクの首都バグダッドの国際空港で3日未明に起きたロケット弾攻撃で、米国防総省は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がイラン革命防衛隊(IRGC)の精鋭部隊「コッズ部隊(Quds Force)」のガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官の殺害を命じたことを明らかにした。
 
イラクのイスラム教シーア派(Shiite)武装勢力の連合体「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」がソレイマニ司令官の死亡を発表した直後、トランプ氏はツイッター(Twitter)に星条旗の画像を投稿していた。

一方、米下院外交委員会(House Committee on Foreign Affairs)のエリオット・エンゲル(Eliot Engel)委員長によると、議会への事前通達はなかったという。

イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は、3日間の服喪とともに「激しい報復」を宣言。モハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相は、「ソレイマニ司令官を標的とし暗殺するという米国の国際テロ行為は、非常に危険でばかげた(緊張状態の)エスカレーション(段階的拡大)だ」とツイッター上で非難し、「米国はならず者的な冒険主義がもたらすあらゆる結果の責任を負う」と警告した。また、イラン学生通信(ISNA)は、最高安全保障委員会(SNSC)が緊急招集されたと伝えた。

人民動員隊やイラク治安筋によると3日夜半過ぎ、バグダッド空港に複数のロケット弾が撃ち込まれ、ソレイマニ司令官と、人民動員隊の事実上の指導者とみなされ米国にテロリスト指定されていたアブ・マフディ・ムハンディス(Abu Mahdi al-Muhandis)副司令官ら少なくとも8人が死亡した。

バグダッドでは、米軍による親イラン派の強硬派組織「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ、Hezbollah Brigades)」への空爆で戦闘員25人が死亡したことを受けて、人民動員隊の構成員と支持者らが米大使館を包囲する事件が起きたばかりだった。

国防総省は米東部時間2日、バグダッド空港への攻撃について「海外に展開する米国の人員を守るための断固たる防衛措置」だと説明。「ソレイマニ司令官はイラクで米国の外交官と軍人に対する攻撃計画を積極的に練っていた。ソレイマニ司令官と指揮下のコッズ部隊は、米軍と同盟軍の兵士数百人の死と、数千人以上の負傷に対して責任がある」と述べた。

革命防衛隊は、ソレイマニ司令官が「米国の攻撃により殉教した」と発表。革命防衛隊元トップでイランの主要な諮問・仲裁機関である公益判別会議のモフセン・レザイ(Mohsen Rezai)議長は、「恐ろしい報復」を誓った。


・米軍、中東に3千人増派へ イランは「報復」警告(共同通信 2020年1月4日)

※米主要メディアは3日、イラン革命防衛隊の精鋭部隊司令官を米軍が殺害し、緊張が高まったのを受け中東に米兵約3千人を増派すると報じた。一方でイランは「厳しい報復」を警告した。米側では中東でイランが報復措置に踏み切る恐れがあるとの見方が出ている。

トランプ氏は3日、南部フロリダ州で記者団に、司令官が「過去20年間、中東でテロを実行してきた」と指摘、殺害は「戦争を防ぐため」の自衛措置だったと強調した。報復警告に対しては「必要な行動は何でも取る用意がある」とけん制した。

増派されるのは陸軍空挺部隊でクウェートに展開する見通し。


・イラン、軍事行動を宣言 司令官殺害は「開戦に等しい」(朝日新聞 2020年1月4日)

※米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことを受け、イランのラバンチ国連大使は3日、米CNNの取材に応じ、「我々は目を閉じていられない。間違いなく報復する。厳しい報復だ」と語った。「軍事行動」に出るとも宣言した。両国間の緊張は一層高まっている。

ラバンチ氏はソレイマニ司令官の殺害について「イラン国民に対する戦争行為だ」と批判。「イランに対する開戦に等しく、(二国間関係は)新たな段階に入った」と述べた。

ラバンチ氏はまた、グテーレス国連事務総長と安全保障理事会に対し、「国連憲章を含む国際法の基本原則を完全に侵害しており、明らかな国家テロだ」とする書簡を3日に送付した。


・トランプ氏主張の「イランの米大使館攻撃計画」、裏付け情報ないと米国防長官(Reuters 2020年1月13日)

※エスパー米国防長官は12日、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害の理由としてトランプ大統領が主張した米大使館4カ所への攻撃計画について、裏付けとなる情報を情報当局から得ていないと述べた。CBSの番組で述べた。

トランプ大統領は10日、ソレイマニ司令官を殺害する前に、イランはおそらくバグダッドの米大使館に狙いを定め、4カ所の米大使館を攻撃しようとしていたとFOXニュースに語った。

エスパー長官は、トランプ大統領の発言について、「大統領が言ったのは、大使館に対するさらなる攻撃の可能性がおそらくあるということだ。その見解は私も共有した」と述べる一方で「大統領は証拠を示さなかった」と述べた。

エスパー氏は、情報当局者がその点について具体的な証拠を提供したのかと、さらに問われると「4カ所の大使館の件については、無い」と答えた。


・ポンペオ国務長官はトランプ政権がネオコンの戦略を継承していることを明らかに

2020.01.15

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202001140000/

※マイク・ポンペオ国務長官は1月13日にスタンフォード大学のフーバー研究所で講演、​ガーセム・ソレイマーニーの暗殺はアメリカへの挑戦を抑止することが目的​だと語った。ドナルド・トランプ大統領はソレイマーニーの存在がアメリカにとって差し迫った脅威であるように説明していたが、そうしたおとぎ話に執着すると自らを追い込むことになるので、軌道修正を図っているのかもしれない。

ネオコンはライバルだったソ連が1991年12月に消滅した直後、政界制覇にとって邪魔な存在を潰し、支配力の源泉になるエネルギー資源を支配する政策を国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で打ち出した。ポンペオの発言はこの方針に沿っている。

DPG草案は国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。この政策が作成された当時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ。DPG草案作成の最高責任者は国防長官のリチャード・チェイニーだ。

この政策のアイデアを考えたのは国防総省内部のONA(ネット評価室)で室長を務めていたアンドリュー・マーシャルだと言われている。

マーシャルは親イスラエル派で、冷戦時代にソ連の脅威を誇張した情報を流し、CIAの分析部門と対立していた人物として知られている。マーシャルのソ連脅威論を広める役割を負っていたCIAのチームBの中にウォルフォウィッツも参加してた。マーシャルは中国脅威論の発信源でもある。

バラク・オバマ政権のネオコンはロシアとEUを分断し、ロシアへの軍事的な圧力と強めるためにウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行した。2014年2月のことだ。それを見たロシアと中国は急接近し、今では戦略的な同盟関係を結んでいる。

オバマ政権は2010年の終わりからムスリム同胞団を使い、中東から北アフリカにかけての地域で「カラー革命」を仕掛けた。いわゆる「アラブの春」だ。

その一環で2011年春にはリビアやシリアでムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵を使い、軍事侵略を始めた。その実態を誤魔化すため、西側ではこの戦争を「内戦」と呼ぶ。

リビアでの戦闘でアメリカ/NATOがアル・カイダ系武装集団と連携している事実を知る人が増え、2014年には新しいタグ「ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)」をつけた武装集団を売り出している。

ダーイッシュを含むジハード傭兵の武装集団は2015年9月にシリア政府の要請で介入したロシア軍によって壊滅状態になるが、地上でダーイッシュと戦っていたのがソレイマーニーの率いる部隊。アメリカ軍がソレイマーニーを暗殺した後、ダーイッシュは「神の御業」だと賞賛しているのだが、この暗殺によってアメリカは中東での孤立を深めている。