・二酸化炭素の1万倍の温室効果ガス、増加が明らかに RSS(海外環境・CSR通信 2010年02月02日)

※過去10年にわたり、世界的に温室効果ガスの排出削減努力が行われてきたが、米海洋大気庁(NOAA)や科学者らの研究によると、二酸化炭素(CO2)より1万倍以上の強力な温室効果を持ち、大気中での寿命が300年近くある温室効果ガス、トリフルオロメタン(HFC-23)の排出量は増加しているという測定結果が出た。

トリフルオロメタンと呼ばれるこの物質は、エアコンや冷蔵庫の冷却剤として使用されるクロロジフルオロメタン(HCFC-22)の副産物で、人間活動が生み出す最も強力な温室効果ガスのひとつといわれている。これまでHFC-23の排出量がその他の温室効果ガスに比べて少量であったために、気候変動に及ぼす影響がそれほど多大であるとされてこなかった。

NOAAの研究者は「HFC-23の排出を減らそうとする世界的な努力がなくては、大気中のHFC-23量は増加する一方だ。」と述べている。
・気象庁、温室効果2万倍のガスなど監視体制強化へ(日本経済新聞 2010年12月19日)

※少量だが温室効果が二酸化炭素(CO2)の約2万倍の六フッ化硫黄や、約300倍の一酸化二窒素など地球温暖化の原因となる"スーパー温室効果ガス"の監視体制強化を、気象庁が日本最東端の小笠原諸島・南鳥島などで計画している。

いずれも京都議定書で排出削減の対象だが、六フッ化硫黄はアジアで定点観測している地点がほとんどなく、監視体制の整備が課題だった。

六フッ化硫黄は電子機器の絶縁体などに使う化学物質。大気中濃度の世界平均はCO2の約380PPMに対し、6~7ppt(1PPMは100万ppt)程度だが、1990年代から約2倍に増え、ほぼ全量が人為的排出とされる。

国立環境研究所が年4回、沖縄・波照間島で大気を採取し分析してきたが、気象庁は南鳥島気象観測所と岩手県大船渡市の大気環境観測所の2カ所で来年度から週1回観測する方針だ。

一酸化二窒素は、農業活動や化学工業から排出。同庁が90年から大船渡市で観測してきたが、南鳥島を観測点に追加する計画。

南鳥島は東京から約1860キロと都市化の影響が少なく、長期環境監視に適している。採取した大気を容器に詰めて自衛隊機で運び、気象庁本庁で分析する。

来年度予算で温暖化監視強化費約3億3千万円を要求。同庁の須田一人全球大気監視調整官は「有効な温暖化防止策には、少量でも温室効果が桁違いに高いガスの監視は重要」としている。