・中国の社会信用システムは、市民たちに得点を割り当て、社会的な行動を調整している(ABC News 2018年4月3日)
※中国政府の国家計画のための委員会である「国家発展改革委員会」の報告書によると、中国当局は「信用できない」と見なされた 700万人以上の中国市民の飛行機への搭乗を禁止し、300万人以上の人々の高速移動鉄道への乗車を禁止した。
この発表は、2020年までに中国に社会信用制度(SCS)を創出しようとする中国政府の野心的な試みの一貫だ。すなわち中国 14億人の市民に対して「得点付け」することで、良い個人行動と見なされた人たちに高い評価を与え、「体制に不服従である」ことに対して処罰を下すという試みだ。
中国の重慶市に住む 43歳のジャーナリストのリウ・フー(Liu Hu)氏は、昨年、飛行機を予約しようとした際に、航空会社のシステムのリストに彼の名前があることを知った。彼は飛行機への搭乗を拒否された。リウ氏は、自分が中国政府の社会信用システムに巻き込まれていることを知り、「物が言えないほど悄然とした」と ABC ニュースに語る。
リウ氏は、「不正な行いをした人物」のリストに載せられていた。その理由は、彼は 2015年に名誉毀損訴訟で敗訴したが、その罰金を支払っていないためだと裁判所の記録に記されているという。
しかし、リウ氏は罰金を支払ったと主張しており、「誰もこのことを私に通知していない」と述べる。
「中国政府は私をブラックリストに載せ、私が何もできないようにしている」と彼は言う。
リウ氏は、他の 700万人の中国市民と同様に、「信頼できない人物」としてブラックリストに載せられている。
そのため、リウ氏は星付きの各付けホテルに宿泊することはできない。また、家を買うもできないし、休日に遠方への旅行に行くこともできない。さらには、彼の 9歳の娘を私立学校へ入学させることもできないのだ。
そして 4月2日、中国当局は「信頼できない人物」とみなされる人々の資産を凍結する可能性についての発表をおこなった。
献血とボランティア活動でボーナスポイントが与えられる
この国家制度がまだ完全には実現されていない中で、中国の地方自治体の省や市や郡などの地方自治体レベルでは数十の試行的な社会的信用システムがすでにテストされている。
たとえば、中国東部の蘇州市では、すべての市民に 0ポイントから 200ポイントの尺度で評価されるポイントシステムが適用されている。蘇州市民は、最初はすべての人が 100ポイントの基礎得点を持つところから始まる。
このポイントは、慈善的な活動をおこなうことでボーナスポイントを獲得することができ、あるいは、法律や社会規範に違反した場合には、ポイントを失う可能性がある。
地元警察による 2016年の報告によると、上級ポイントの蘇州市民たちは、1リットル以上の献血をし、また、500時間以上のボランティア活動をして 134ポイントを獲得している。
蘇州市当局は、次のステップとして、交通機関の不正無賃乗車や、ビデオゲームでの不正行為、あるいはレストランなどの予約を無断で取り消す行為などについて、処罰の対象(ポイントを下げる)にしようとしているという。
深セン市の当局は最近、信号無視などの小さな犯罪を取り締まるための顔認識システムの運用と、その人たちのオンラインでのシャミング(ネットで「さらし者」というような意味)システムの使用を開始した。
深セン交通警察は交通規則を無視した人たちの詳細を公開している

アモイ市では、社会信用システムの開発が 2004年の初めに始まったが、当局はブラックリストに載せられた市民の携帯電話回線にメッセージを自動的に入れるシステムを適用していると伝えられている。
これは、社会的評価の低い人に電話をかけようとすると、その通話の前に「あなたが電話をかけた人物は、不誠実な信用できない人物です」という音声が入れられる。
消費行動によってプロファイルされた市民
また、多くの中国の民間企業は、複雑な分析システムを使用して、彼らの顧客のプロファイルを立てている。ここには 2020年から公式に使用できるさまざまな技術(顔認識やその人物のネット上での公開システム等)をさらに進化させる先行するプログラムの実施が含まれる。
顧客の消費パターンをとらえるソフトウェア(北京のデパート)

例えば、「セサミ・クレジット (Sesame Credit)」は、中国企業アリババ関連の会社アント・フィナンシャル社 (Ant Financial)によって開発された個人クレジットシステムだ。
このセサミ・クレジットのシステムは、中国などで非常に普及しているアリババの支払いプラットフォームであるアリペイ(Alipay)のアルゴリズムとデータを使用し、消費行動や他の要因の中で顧客の嗜好を評価する。
セサミ・クレジットのテクノロジーディレクター、リ・エイウン(Li Yingyun)氏は、「例えば、1日に 10時間もビデオゲームをプレイしている人は、遊んでいる人物と見なされることになるだろう」と中国のメディアに語った。
「おむつを頻繁に購入する人はおそらく子どものいる親として考えられ、責任感を持つ可能性が高い」
しかし、同社のウェブサイトによると、セサミ・クレジットは、このデータを公開して顧客をプロファイルしているのにもかかわらず、現在、中国当局と情報を共有していないと主張している。
Wifi 探索装置に夜間監視、そしてビッグデータ
一方、最近の報告によると、一部の地域では、中国は IJOP(Integrated Joint Operations Platform / 統合集積操作プラットフォーム)と呼ばれるものを採用している。これは中国市民の銀行の記録、コンピュータの詳細、法的な過去に関する情報をプールするハイテク型の監視システムだ。
社会信用システムと並行して実行され、複数の情報源または「センサー」からその情報を収集すると報告されている。
その情報取得取得方法の 1つのソースは CCTV カメラ(監視固定カメラ)によるものであり、そのうちのいくつかは、顔認識と赤外線機能を備えており、またカメラには「夜間視力」を与えており、必要だと警察当局が考える場所に配置されている。
街の様子を24時間記録し続ける固定カメラ

もう1つのソースは、コンピュータ、スマートフォン、その他のネットワークデバイスの固有の識別アドレスをプールする「 wifi sniffers (Wifi 捜索装置群)」だ。
このシステムはまた、ナンバープレート番号と市民識別カード番号を含む情報をセキュリティ・チェックポイントから収集すると伝えられている。
国際的な人権 NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)の上級中国研究者であるマヤ・ワン(Maya Wang)氏は、「これは基本的には、人々、特に当局が注意を要する人物とみなす群にわけられる人々の監視と記録を行っているものです」と語った。
「この中には、精神障害のある人たちや精神衛生上の問題を抱える人たち、あるいは、当局に対して苦情を申し立てる人たちや、請願を行う人たち、さらには、国家プロジェクトの名において、ウイグル人などのマイノリティたちが含まれている可能性があります」
「 IJOP システムは、疑わしいと思われる人々のリストを警察に送り、そしてその人たち拘束されます。社会的信用システムは、小さな罰を受けることがあり、さまざまな方法で人々を統制することを確約しているのです」
中国政府がこれらのプロジェクトを組み合わせることにより、社会を操作していくことは可能なのだろうか。
これについて、中国の国家保安についてのコンサルタントをしているサマンサ・ホフマン(Samantha Hoffman)氏は、先駆けて地方で行われてきたプロジェクトと、膨大な量のデータを統合して管理すれば、中国政府は 2020年までに絶対的な社会的および政治的統制を発揮し、「人々の行動を先取りして形作る」ことができるだろうと述べている。
ホフマン氏は、以下のように述べる。
「人々が、その行動が得点にマイナスの影響、あるいはプラスの影響を及ぼし、それが生活や人生そのものにも影響を与えていることに気づいた場合、人々はそれに応じた意思決定を行い、行動を調整していく可能性が高いでしょう」
しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチのワン氏は、中国当局が「社会から取り除く」ことをする可能性がある場合、問題は残ると述べる。
現在の中国では、政府の公安省が多数のデータベースを運営しているおり、それと共に地方当局もデータベースを運営しているが、これらのそれぞれのデータベースがどのように相互に関連しているか、そして、それらがどのように構造化され、どのように更新されているかを知ることは私たちには困難だ。
ワン氏は、「現時点では、ある程度はデータベースは更新されていますが、中央と地方で統合されていないため、統合は困難なのではないでしょうか」と述べた。
上海財政経済大学の財務教授で、国家社会信用制度の構築にも関わるフー・ナイホン(Hu Naihong)教授は、浙江省で開かれた2017年の会議で、以下のように述べている。
「トップレベルの設計、制度的枠組み、主要文書はすべて整っているが、まだ解決すべき問題が多い。最も深刻な問題は、すべてのプラットフォームが厳密にデータを収集しているが、それを適用する法的および概念的根拠が曖昧なことだ」
現在のアルゴリズムがブラックリスト内の無実の人々を間違って捕えたケースは数多くある。
2015年、江蘇省在住の 16歳の女子学生であるツォン・ペイ(Zhong Pei)さんは、ブラックリストに乗った。それは彼の父親が 2人の人物を殺害して、交通事故で死亡した後だった。
その後、ツォンさんは 4ヵ月間、裁判所の判決に異議を唱え続けた。2017年に、彼女はブラックリストから外れることができた。それにより彼女は列車に乗ることができるようになり、大学へ入学することもできる。
現在、先行的に行われている中国の社会信用制度は、主に、裁判所の命令に従わなかった人や負債を持つ人、また共産党に脅威を与える人たちや、党のルールや一般的な 「社会的安定」を脅かす人たち、そして、反体制派と政府に請願する人たちと、その家族が含まれている。
国家権力の乱用、法律違反
前述したブラックリストに掲載されたジャーナリストのリウ氏は、国際メディアの注目を集めているが、彼は、複数の「マイナス」のカテゴリーに該当するようだ。リウ氏は以前に、腐敗した中国政府の関係者を暴露した時、「噂を広めた」という理由で警察に拘束されてもいる。
中国の社会信用制度は、政府が裁判所命令を執行するために適切な試行をすることが期待される一方で、専門家たちは、それは市民の動きを制限し、教育への平等なアクセスを拒否することでもあり、基本的な人権の問題にもふれると述べている。
リウ氏は ABC ニュースに、「信用履歴の低い市民に、航空機や高速鉄道での旅行を禁止することは、市民権を侵害することだ。特に鉄道と航空は国有産業であり、すべての市民に輸送手段への平等なアクセスを与える義務がある」と述べた。
成長する監視システムと、全国に展開する顔認識などの技術と組み合わせることにより、中国政府は、社会的信用システムを介し、さらに市民を管理することが可能となっていく可能性を持つ。
しかし、その目的が「悪用」される可能性に対しての懸念は、多くの専門家から指摘され続けている。
・中国で浸透する「信用スコア」の活用、その笑えない実態(WIRED 2018年6月26日)
※人々の社会的な信用度をスコアとして数値化するシステムが、中国で浸透し始めた。スコアが上がればローン金利が下がったり病院で優待されるなどのメリットがある反面、信用度が下がれば公共交通機関の利用が制限されるなどの厳しい“罰則”も待っている。そんな中国で現実に起きている「笑えない実態」を紹介しよう。
たいていの場合、イギリスではクレジットスコア(金融機関が与信審査で参考にする数値)はクレジットカードやローンの申請の判断にしか使われない。しかし中国では、政府がより広範な「社会信用システム」なるものの構築を進めている。人々を日々の行動などさまざまな基準で採点し、14億人いる中国国民の「信用度」を査定することが最終的なゴールだ。
近未来の世界の悪夢のように聞こえるかもしれないが、運用はすでに始まっている。中国ではこの社会信用システムのせいで航空券や鉄道のチケットを売ってもらえなかったり、NPOなどの組織の立ち上げが禁止されたり、特定のデートサイトが利用できなくなるといった事態が現実に起きているのだ。一方で、スコアが高ければさまざまな「特典」が受けられる。
政府は14年にこのプロジェクトに着手した。20年までの全国展開を見込んでおり、個人の行動を追跡して採点するだけでなく、民間企業や政府職員の業務なども評価対象とする計画だ。
システムが完成すれば、すべての中国国民は公的および私的機関から提供された自分の個人データの統合ファイルをもつことになる。まだ試験運用の段階だが、現在はバラバラになっているデータベースをひとつにまとめる準備が行われている。
中国政府の独裁的な性質から、社会信用システムを、中国共産党への絶対服従を確実にするための社会監視制度だと批判する意見もある。ジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた「ビッグブラザー」の世界だというのだ。しかし、少なくともいまのところは、こういった批判が必ずしも的を射ているわけではない。
オランダのライデン大学で中国政治と中国法を研究するロヒール・クレーマースは、新システムは現状ではまとまりのない国民一人ひとりをつなぐ「エコシステム」だと説明する。政府の目的は体制に異議を唱える者を抑え込むことではなく(この手のことをやるためのツールは中国にはすでにたくさん存在する)、共産党政権を維持しながら、よりよい方法で社会秩序を管理していくことだという。
アリババの「芝麻信用」が急速に普及
しかし、社会信用システムは政府主導である一方で、民間セクターのシステムに頼っている部分も多くある。アリババグループの金融部門アント・フィナンシャルサービスグループは15年、「芝麻信用(セサミ・クレジット)」というシステムを導入した。これは中国初となる実用的なクレジットスコアサーヴィスで、同時に社会的信用の保証システムや、決済サーヴィス「Alipay(支付宝)」のユーザーロイヤリティーを高める仕組みとしても機能するものだ。
芝麻信用のスコアは最低が350点、最高が950点で、点数が高ければ低金利でローンを組めたり、賃貸物件の契約で敷金が不要になったりといった特典がある。またレンタルサーヴィスを利用する際にデポジットを払わなくてもいいなど、恩恵はさまざまな分野に及ぶ。
芝麻信用は中国では非常に人気が高いが、こうした民間企業の提供するクレジットスコアサーヴィスと、政府の準備する社会信用システムとの境界は曖昧になっている。例えば、中国の裁判所はアリババと協力していることが明らかになっている。裁判所が科した罰金の滞納者の情報をアリババと共有することで、該当者は芝麻信用でのスコアが下がるという仕組みだ。
官民どちらでもクレジットスコアの対象分野が急速に拡大するなか、こうしたシステムが世界でも例を見ない「ITを活用した独裁制」につながるのではないかという懸念が生まれつつある。政府に批判的な記事を書いてきたジャーナリストが、訴訟費用の未払いを理由に航空券の購入ができなくなったといった事例も報告されている。
それでもいまのところは、この下手をすればディストピアにつながりかねないプロジェクトの利点と成果を理解すると、不気味には思えるものの感心してしまう。それでは、中国政府の壮大な野心の運用実態を見ていこう。
優先的な医療ケアという特典
中国の公的医療機関はお役所的な仕事ぶりで有名で、患者はうんざりさせられることも多い。一方で、クレジットスコアを取り入れた効率化の試みが進んでいる。
病院の診察費は基本的に前払いで、これが混雑の一因となっている。上海の復旦大学附属華山医院では、芝麻信用のスコアが650以上の来院者に1,000元(約1万7,000円)の与信枠が与えられ、そこから自動的に料金が精算される。病院側は待ち時間の最大60パーセント短縮を目指しており、国内10カ所の病院で近く同様の仕組みが採用される見通しだ。
一方で社会信用システムは、患者や医療関係者を処罰する目的でも使われている。中国では近年、病院での診察や処置に不満を抱いた患者や家族が医療従事者に暴力を振るうといった事件が多発し、社会問題化している。政府は昨年7月、こうした問題を起こした者をブラックリストに載せる方針を打ち出した。また非合法の美容整形手術などに携わった医師も、スコアが下げられる。
ネットの世界にも実影響
15年に芝麻信用の技術チームを率いるリ・イングンが中国の財新メディアとのインタヴューで、「1日に10時間もパソコンゲームをしていれば怠惰な人間とみなされるだろうし、紙おむつを頻繁に買っていればよい親だと思われるだろう。前者は後者より低いスコアしか得られないかもしれない」という内容の発言をした。10時間をゲームに費やすだけならまだいいが、ズルをしようとすると実際にマイナス評価が下される。
米国発のシューティングゲーム「カウンターストライク:グローバルオフェンシブ」は中国でも高い人気を誇るが、国営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)の報道によれば、アカウントを作成するには身分証明書のほかに芝麻信用のアカウントが必要となる。そして「Aimbot」といったチートツールを使っていることがわかると、スコアが減点されるのだ。
結果として、現実世界でローンを組めなくなるなどの影響が出る可能性もある。中国のオンラインゲーム開発大手、完美世界(Perfect World)の李海毅は、「ゲーム業界の歴史上、最も厳しい罰則です」と言う。
K-POPの追っかけでもスコア低下
K-POPファンの行き過ぎた行動も警告を受けている。韓国のスターたちを見るために北京首都国際空港に集まったファンのせいで、運航スケジュールに遅れが生じるなどの事件があったことを受け(ファーストクラスに忍び込もうとしたファンもいたという)、規制当局はチェックインカウンターや搭乗口などで騒ぎを起こした者に対し、社会信用システムのスコアを下げることができるルールを設けた。
ファンはこれまで、格安航空券を購入するなどしてセキュリティゲートの向こうまで憧れのスターを追いかけていた。だが今後も同じことを繰り返せば、法的処罰は受けなくても自分の社会的「信用」に傷がつくというわけだ。
悪質な場合、一定期間は航空券の購入ができなくなる。また航空券の偽造や空港での盗難行為についても同様の措置が取られる。
高スコアならSNSでも好待遇
中国ではクレジットスコアが高ければデートの相手を見つけるのも簡単だ。マッチングアプリ「Tinder」を運営するMatch.comが出資することでも知られる「珍愛網(Zhenai.com)」は1億4,000万人が登録するマッチングサイトだが、芝麻信用で高スコアをもっていれば優先的に相手を紹介してもらえる。「百合網(Baihe.com)」では、ユーザーが同意すればプロフィールにスコアを表示できる。
ただ、これも度を越すと問題だ。アリババは16年11月、Alipayにユーザー同士が写真やメッセージを共有できる「サークル」と呼ばれる機能を追加した。一部のサークルは「女性限定」だったが、芝麻信用のスコアが750を超えていれば、男性でも女性限定サークルに投稿された写真にコメントを付けることができるシステムが採用された。
そして、男性側のコメントはたいていが、写真を投稿した女性に性的関係を求めるものだった。すぐさま、インターネットを利用した売春に等しいとして批判が殺到した。新機能を「Alipimp」[編註:pimpとは売春の仲介者]と呼んだブログ投稿もあり、最終的にサークル機能は削除された。
デポジットが不要になるケースも
もう少し穏健な特典もある。一部の都市では、芝麻信用のスコアが高ければ、ホテルやレンタカーなどでデポジットの支払いが免除される。一方で、政府主導のパイロットプログラムにより、社会的に問題と見なされる行為への「罰則」として、交通機関や公的サーヴィスの利用に制限がかけられる可能性も出てきた。
政府は今月、「信用を下げる重大な行為」に関与した169人について、1年間にわたり鉄道の利用を禁止する決定を下したと明らかにした。しかも社会信用システムのウェブサイトでは、169人全員の氏名が公開されている。
上海市に近い蘇州市では独自の信用システムが運用されており、公共交通や公共サーヴィスの利用料を払わない、ネットで嘘の商品レヴューや口コミを投稿する、ホテルを予約したのに連絡なしで勝手にキャンセルする(ノーショー)といった行為が見つかると、200ポイントが引かれる。ただ、このシステムは名前だけは牧歌的で、地元の銘菓や茶の材料としても親しまれているモクセイ(桂花)にちなんで「蘇州市民桂花信用分」と呼ばれている。
社会組織の立ち上げも監視
社会信用システムが国民の監視強化につながるのではないかという懸念を裏付ける証拠のひとつとして、「違法な社会組織」の取り締まりに利用されている点が挙げられる。行政事務などを担当する民政部は5月、組織名に「国際」や「中国」といった単語を使うことで政府機関とつながりがあるかのように装う違法組織が増えており、こうした組織にかかわったものは社会信用システムのスコアに影響が出るだけでなく、ブラックリストにも記載されると発表した。
ただ、具体的にどのような組織が「違法」と見なされるかについては不明瞭で、背後には政治的な問題が絡んでいるとされる。政府は最近、外国資本のNGOへの規制を強化したほか、国内の各種団体に対し、規約や憲章に共産党の方針の「骨子」を盛り込むよう求めている。目的は「政治的に正しい方向に進む」ようにするためだ。
低スコアでは高級品のネット通販に制約
中国の最高裁判所に相当する最高人民法院は15年から、裁判所の科した罰金の未払い者の情報を芝麻信用と共有している。該当者は芝麻信用のスコアが下がるだけでなく、アリババの運営する「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tmall)」といったサイトで一定額以上の高級品を購入できなくなる。
これくらいならそほれど大きな影響はないかもしれないが、もちろん罰則をより強化することも可能だ。中国のある研究者は英字紙『チャイナ・デイリー』の取材に対し、中国ではモバイル決済が非常によく普及しているため、滞納を繰り返すなどした悪質な違反者はモバイル決済のアカウントに制限をかけられ、朝食を買ったり、職探しのために公共交通機関を利用するといったことをできなくなるだろうと話している。
そこまではいかないだろうと思われるかもしれない。だが中国では17年夏、2,500万元(約4億2,300万円)の借金の返済から逃れるために美容整形をして他人になりすまそうとした女性のニュースが、社会をにぎわせている。
・中国昨年2千万人超、飛行機などの利用禁止 社会信用スコアで(ロイター 2019年3月7日)
※中国当局が現在進めている「社会信用システム」の下で、昨年、約2千万人以上の国民が「信用スコアが低い」との理由で、航空券や高速鉄道のチケット購入を禁止されたことが明らかになった。
独メディア・ドイチェベレ中国語電子版3月4日付によると、中国社会信用情報センターの記録では、2018年中国当局は、「違法案件の当事者1750万人」に対して国内外への旅行を制限し、航空券の購入を禁止した。また、他の550万人に対して高速鉄道や列車の利用を禁じた。
薬物所持、脱税、罰金の未払い、交通違反などを社会信用システムの規制対象と定めている一方で、デモの参加やソーシャルメディアでの体制批判の発言も「違法行為」と認定される。
中国当局は2014年「社会信用システム構築の計画概要(2014~2020)」を発表した。社会信用システムでは、中国全国民の個人情報をデータベース化し、「違法行為」や地方奉仕、社会貢献の有無などで、国民の「信用スコア」を決める。信用スコアの低い国民の名前をブラックリストに載せ、一般公開している。
昨年のゴールデンウィーク期間中、安徽省合肥市など10都市の高速鉄道駅では1カ月にわたり、ブラックリスト入りの市民の写真と個人情報を大型スクリーンに映し出していた。
今年1月、河北省は現在地から500メートル以内にいるブラックリスト入り人物を検索する、スマートホン向けアプリを開発した。該当者の住所、身分証明書番号、違反内容などを閲覧できる。
国際社会は、中国当局はこのシステムを通じて、14億人の国民に対する監視を強めており、人権侵害に当たるとして強く批判している。
ペンス米副大統領は昨年10月、中国の社会信用システム制度について、「ジョージ・オーウェルの描いた超監視社会のようで、人々の生活を含むあらゆる面をコントロールしようとしている」と非難した。
・日本人が想像できない中国の信用スコアと身分証制度
2019年06月28日
http://www.thutmosev.com/archives/80247613.html
※信用スコアは素晴らしいか?
最近日本では中国から始まった信用スコアを素晴らしいと褒めたたえるのが流行っています。
中国では個人の債務情報や犯罪歴、交通違反から学校の成績などあらゆる情報を国家が握っています。
この結果家賃を滞納すると信用スコアが下がり、鉄道の切符を買えないという事が起きています。
まったく無関係な事で信用スコアの点数が減点されていくので、ネットで政府への不満を書いても減点されます。
親の信用情報も影響を与えるので、チベットやウイグル人の子供は「中国人向けの」幼稚園に入れない。
ウイグル人に生まれたと言うだけで一生鉄道に乗れず、政府が決めた居住区以外への移動や集会も禁止されている。
こんな信用スコア制度の元になったのは身分証制度で、国民全員がICチップを内蔵したIDカードを義務付けられていました。
日本では報道されないが、あらゆる行為でIDカード提示が義務付けられ、常に個人情報が照会されています。
身分証くらいなんの問題もなさそうですが、例えば長距離バスのチケットを買う時、その人が「旅行する資格がある人か」自動的に照会されます。
信用スコアが一定の点数以下の人は公共交通機関を利用できないので、売って貰えないだけでなく公安に拘束されます。
鉄道に乗るにも一定の点数が必要、レンタカーを借りるにも点数が必要、ホテルに泊まるにも必要なのです。
従って信用スコアが低かったり公安に利用を禁止されている人は、カードを要求されないような手段で移動したり宿泊先を探さねばならない。
信用スコアが低いと食事も拒否される
最近おもしろいニュースがあり、中国人観光客に東京都庁のレストランが人気だと書かれていました。
都庁のレストランは600円から1000円以内で美味しい料理が食べられるのだが、中国人は別なことに注目しました。
北京庁舎に相当する東京都庁に入るのに身分証が不要で、中で食事をするのにIDカードが不要だと言う点でした。
庁舎のレストランなので東京都知事や政府要人が食事をするかも知れず、トランクに爆弾などを詰めてテロを計画する人間がいるかもしれません。
それを「敵国の」中国人を荷物検査もせずに入場させ、誰でも自由に利用できることに驚くのです。
90年代までの中国は国内を移動するにも工作証と移動許可証の携帯が必要でした。
こうした制度は共産主義国に共通で、旧ソ連圏や今も北朝鮮などで行われています。
90年代に身分証番号を記載した身分証が配布され、2003年から非接触式のICカードが使用されるようになった。
最近はスマホを持ち歩く人が多くなり、スマホを身分証にする検討もされていて、顔認証などのIT技術も使用されている。
ネットで政府批判すると一生を棒に振る
中国の主要駅全てや公共施設や街中に防犯カメラが設置され、コンピュータで通行人の顔を照会している。
信用スコアが低い人や手配中の人が防犯カメラに映ると、公安や警察に情報が伝えられ、必要なら拘束される。
このシステムは現在急速に進歩していて、数年後には中国全土でどこにいても追跡できるようになる。
こんな国で生きる人はレストランで荷物検査や身分証チェックされないだけで驚くようになる。
中国ではインターネットに書き込むのに政府の許可と登録が必要で、もちんろん信用スコアが低い人はネット利用できない。
中国でブログを開設するには政府が指定した複数の検査官の審査を受ける必要があり、かなり厳しい。
過去3年ほどで政府に批判的な事を書いた中国のブログはすべて閉鎖され、運営者が行方不明になった例も多い。
中国ではブログやSNSを書くのも命がけで、つい勢いで政府批判を書いたがために、一生を棒に振る人も居る。
中国にはどこにいても政府の監視がついて回り、隠れる場所はどこにもありません。
・中国で借金をすると一族全員末代まで追われる
2019年08月13日
http://www.thutmosev.com/archives/80679391.html#more

(上)2008年にほとんどゼロだった家計債務が急増している
※中国には個人破産制度がない
中国では今個人の借金がすごい勢いで増えていて、家計債務の増加率がGDP成長率の2倍に達しています。
これがどのくらい凄いかというと、日本の成長率は1%なのでその2倍でも2%だが、中国の成長率は6.5%なので2倍だと13%に達します。
毎年個人債務の合計が13%も増加したら、数年後にどうなるかは想像がつきます。
最近中国の消費が急増しているという話を耳にすると思いますが、その消費は全て借金で購入しています。
日本旅行も爆買いも不動産も自動車も、株式投資もネット消費もスマホ決済も、ぜんぶ借金で消費しています。
最近中国では信用スコアによって無審査でお金を借りれる制度が誕生し、かなりの勢いで普及しています。
これは無審査なのではなく個人情報全てをアリババに把握されているので、申し込んだ時には審査が終了しているのです。
中国には個人情報保護はないので、アリババに登録すると無断でどこかから集めたデータで信用スコアを作ります。
年収や消費金額や家賃金額や延滞、借金総額や住宅ローン、親の資産や借金もアリババは全て把握しています。
なので申し込んだ瞬間に「融資額1万元」などと表示され、あたかも無審査でお金を貸してくれる錯覚に陥ります。
90年代から2000年代に日本ではサラ金や闇金が流行ったが、中国版サラ金はもっとえげつない事をします。
中国人の平均年収は北京上海で100万円以上、都市部で80万、地方で40万円、農村部で20万円のように大きな格差が存在しています。
1人の借金が一族全員の借金になる
しかも同じ北京上海でも100万円以上は一流企業の正社員だけ、農民工と呼ばれる非正規労働者は半分以下となっています。
なので中国には「平均」年収のような考え方が当てはまらず、北京の上級公務員は200万円以上だが貧困農民はまだ年収3万円以下です。
アリババ等のアプリキャッシングは少額を借りて返済することで限度額が上がり、最終的に年収の10倍まで借りれます。
年収の10倍では返済不能で回収できない気がするが、中国の法律ではその心配がないのです。
中国には自己破産で借金が帳消しになる制度が無く、しかも本人が返せない借金は親戚一同の共同債務になります。
さらに本人がなくなっても借金は消えず、すべての親戚に子々孫々まで請求が続くのです。
親族の連帯責任であるため、親族に一人でも債務不良者が居ると一族の信用スコアを下げられます。
家族ではもっと被害が大きく、例えば父が借金したまま行方不明だと、子供が大学に入学できなかったりします。
信用情報は売買され共有されているので、アパートの入居を拒否されたり、社会のあらゆる場面で不利益をこうむります。
アプリキャッシングを滞納したために電車やバスのチケットを販売拒否されるといった例も実際に起きています。
中国でGDPの2倍の速度で個人債務が急増しているという怖さが、ここにあるのです。
消費による経済成長というのも、不良債務を生み出してバブル崩壊する可能性が高い。
・中国で受け入れられた信用スコアは、なぜ日本で炎上するのか?(ITmediaビジネスONLINE 2019年7月29日)
秀村雨
※先日Yahoo!スコアに対する批判がネット上で拡散した。Yahoo!スコアとは、ヤフーIDを持っている人の利用状況からスコアリングが行われ、そのスコアに応じて特典がもらえるサービスである。
スコアリングとは、その人の属性(収入や年齢、勤務先等)や行動(サービスの利用状況等)によって、顧客に点数をつけ、それをビジネスに利用することだ。
このサービスに対する主な批判として「スコアリングが知らぬ間に始まっていた」「スコアは対象者にも非公開」「スコアの利用方法が不明」「説明が不十分」といったことがあった。
筆者の育った中国では、スコアリングが当たり前のように行われ、多くの人がそれを受け入れている。そこで先行してうまくいっている中国の事例を紹介し、日本はどのような対応をすべきか考えてみたい。
●中国政府が計測する「信用」と民間企業が提供する「信用スコア」
中国の民間企業が提供する「信用スコア」と、政府の「信用」は違う話なのだが混同されている。まずはそこから説明が必要だろう。
中国政府が国民の「信用」を計測しているという話が話題になった。こちらは信用がないと飛行機にも搭乗できず、生活に支障をきたすなど恐ろしい話として取り上げられることが多い。
中国政府が行う信用計測は、2018年1月に設立された「百行征信」(バイハンクレジット)によって行われる。バイハンクレジットは中国政府系団体と8社の民間会社から成る団体であり、保険料の未納、賠償金の未払いなど社会的不正を行った人をブラックリスト化し、ペナルティを課すものだ。ブラックリストに載った人は飛行機の搭乗が禁止されるのはこちらの話である。
また中国の信用スコアというと、「芝麻信用」(じーましんよう)が有名である。アリババグループが提供する信用スコアで、18年時点でアクティブユーザーが5億2000万人、中国全土に普及している信用スコアだ。
これは中国で広く普及する決済システム「アリペイ」の利用、利用率が高いネットショッピング淘宝(タオバオ)の利用状況、その他、公共料金、金融の利用などからスコアリングされ、個人特性、支払い能力、返済履歴、人脈、素行といった5つの要素からスコアリングされる。
●中国政府の「信用」の話を切り離して考える
中国政府が行う信用計測は、普通に生活をしている限り不利益を被ることはない。これに対して、信用スコアは多くの中国人にとって非常に身近なものである。
芝麻信用で高いスコアになると、さまざまなベネフィットが受けられる。特に、信用スコアが高いと、ビザの発給申請をアリペイ経由でできるサービスは、非常にメリットが大きい。なぜなら中国人はどこの国に行くにも必ずビザが必要となり、申請にも非常に時間がかかるからだ。
申請には銀行口座の残高も調べられ、基準を満たしていなければビザは取れない。これに対して、例えばカナダのビザならば、芝麻の信用スコア750点以上でアリペイから申請できる。銀行の口座残高の確認もいらない。
その他、海外旅行に行った時の免税申請を並ばずにできる、ホテルやレンタカー、充電器、レンタルバイクのデポジットがいらない、プリペイド携帯が後払いで良くなる、信用でお金が借りられる、といったさまざまなメリットがある。
●信用スコアはクレカのポイントと同じ
多くの中国人はこのような信用スコアを、日本でいうクレジットカードのポイント程度にしか考えていない。芝麻信用は個人のスコアを本人に公開しているが、平均点は公表されていない。どれくらいのスコアが一般的な水準なのか友人に聞いてみたところ、600点以下の人はいなかった。
天津の李さん(男性)は31歳の公務員で芝麻信用スコアは742点。現在は奥さんが妊娠中なので行けないが、以前は夫婦で外食をしたりショッピングに行ったりするなどアリペイを使っていた。信用スコアについては「あまり気にしていない。買い物をしているうちにいつのまにかスコアが上がっていた」という。
上海の載さん(女性)は35歳の会社員。彼女はショッピングが好きだが、今は1歳の子供の面倒を見るのに忙しく、ネットで買い物する機会が増えた。「信用スコアが上がるといろいろお得なので、なるべくタオバオで買い物してスコアが上がるようにしている」という。
このように、買い物をすると増えるお得なポイント程度の、ライトな捉え方をされていることが分かる。
日本でもマーケティングリサーチを行うと、男性はポイントカードに無頓着な人が多い傾向にあり、女性は何枚もポイントカードを持ち歩いてきちんとお得なベネフィットを受けようとする傾向が見られる。これに近い状況が信用スコアについてもあるようだ。
●Yahoo!スコア炎上に見られる問題点
今回のYahoo!スコアに関する最大の問題は、中国のように消費者から受け入れられる前に、「企業が自分たちの利益のために強引に進めている」という悪い印象が最初についてしまったことだ。「スコア非公開」「スコアの利用方法が不明」になっていることによって、「消費者が知らないうちに企業が何か良からぬことを企てている」という印象を与えてしまったのだ。
また生活の網羅性が低いという課題もある。アリペイは中国で非常に幅広く利用されていて、公共料金も多くの人がそれで支払っている。ECサイトのタオバオも非常に利用率が高い。これらを全てトータルすると、ほぼ全ての個人消費を網羅している実感がある。したがって、そこから算出されるスコアリングも「違和感がない」と感じられやすくなっている。
対するYahoo!スコアは、「その程度の消費実態の網羅性で、個人をスコアリングするなんておかしい」と、正確性や精度に対する信頼度がまだ低いという利用者の感覚もある。
Yahoo!スコアも本来は、消費者がベネフィットを感じられるサービスであるべきだった。知らないうちに同意(オプトイン)になっており、自分のスコアは見ることができず、何に使われるのかも不明であり、ユーザーベネフィットも伝わってこない、そんなサービスが受け入れられるわけがない。
買い物をすればだんだん上がっていくスコアなら、単純に「お得につながるスコア」をうたえばいい。分かりやすく、スコアによって次回割引率が変わってくるといえば「買い物をすればするほど、お得になるんだな」と理解される。新しいサービスだからこそ「単純明快さ」が求められる。
●その他の日本のスコアリングサービス
現在、日本で話題性のあるスコアリングサービスとしては、ほかにJ.ScoreとLINE Scoreがある。
J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社が提供するサービスである。年齢、性別、学歴、勤務先の業種と職種、正社員かどうか、持家かどうかなど18種類の情報を入力し、AIによってスコアが判定される。最高点は1000点。これによって融資の金利が決まる。融資の用途は教育資金がメイン。AIは将来性まで加味してスコアリングするという。
LINE Scoreは2019年6月にリリースされた新しいサービスで、LINE Financialとみずほ銀行、オリエントコーポレーションの合弁会社が提供する。スコアリングは年齢、性別、未既婚、子供の有無、住居タイプ、職業、業種、会社規模、年収、社会保険の種類といったアンケートによって取得する情報と、LINEプラットフォーム上での行動特性から行われる。今後はLINEポケットマネーという融資サービスの融資条件に、LINE Scoreが使われる予定である。融資額の上限や利率がスコアによって決まる。
これら2つのサービスは、どちらも融資に連動させるという意味で、従来の信用概念に近い。したがって、Yahoo!スコアより受け入れられやすいだろう。
これらのサービスは今後、消費者金融やカードローンといったキャッシングと競合してくる。スコアリングはこれまでよりもきめ細かく個人の信用度を測るサービスなので、これまでよりも有利な条件で融資を受けられる人が多数出てくるだろう。そのとき、「他の会社でも信用スコアに基づいて有利に融資を受けたい」というニーズが出てくれば、信用スコアが他社に提供されるベネフィットが出てくると思われる。
※中国政府の国家計画のための委員会である「国家発展改革委員会」の報告書によると、中国当局は「信用できない」と見なされた 700万人以上の中国市民の飛行機への搭乗を禁止し、300万人以上の人々の高速移動鉄道への乗車を禁止した。
この発表は、2020年までに中国に社会信用制度(SCS)を創出しようとする中国政府の野心的な試みの一貫だ。すなわち中国 14億人の市民に対して「得点付け」することで、良い個人行動と見なされた人たちに高い評価を与え、「体制に不服従である」ことに対して処罰を下すという試みだ。
中国の重慶市に住む 43歳のジャーナリストのリウ・フー(Liu Hu)氏は、昨年、飛行機を予約しようとした際に、航空会社のシステムのリストに彼の名前があることを知った。彼は飛行機への搭乗を拒否された。リウ氏は、自分が中国政府の社会信用システムに巻き込まれていることを知り、「物が言えないほど悄然とした」と ABC ニュースに語る。
リウ氏は、「不正な行いをした人物」のリストに載せられていた。その理由は、彼は 2015年に名誉毀損訴訟で敗訴したが、その罰金を支払っていないためだと裁判所の記録に記されているという。
しかし、リウ氏は罰金を支払ったと主張しており、「誰もこのことを私に通知していない」と述べる。
「中国政府は私をブラックリストに載せ、私が何もできないようにしている」と彼は言う。
リウ氏は、他の 700万人の中国市民と同様に、「信頼できない人物」としてブラックリストに載せられている。
そのため、リウ氏は星付きの各付けホテルに宿泊することはできない。また、家を買うもできないし、休日に遠方への旅行に行くこともできない。さらには、彼の 9歳の娘を私立学校へ入学させることもできないのだ。
そして 4月2日、中国当局は「信頼できない人物」とみなされる人々の資産を凍結する可能性についての発表をおこなった。
献血とボランティア活動でボーナスポイントが与えられる
この国家制度がまだ完全には実現されていない中で、中国の地方自治体の省や市や郡などの地方自治体レベルでは数十の試行的な社会的信用システムがすでにテストされている。
たとえば、中国東部の蘇州市では、すべての市民に 0ポイントから 200ポイントの尺度で評価されるポイントシステムが適用されている。蘇州市民は、最初はすべての人が 100ポイントの基礎得点を持つところから始まる。
このポイントは、慈善的な活動をおこなうことでボーナスポイントを獲得することができ、あるいは、法律や社会規範に違反した場合には、ポイントを失う可能性がある。
地元警察による 2016年の報告によると、上級ポイントの蘇州市民たちは、1リットル以上の献血をし、また、500時間以上のボランティア活動をして 134ポイントを獲得している。
蘇州市当局は、次のステップとして、交通機関の不正無賃乗車や、ビデオゲームでの不正行為、あるいはレストランなどの予約を無断で取り消す行為などについて、処罰の対象(ポイントを下げる)にしようとしているという。
深セン市の当局は最近、信号無視などの小さな犯罪を取り締まるための顔認識システムの運用と、その人たちのオンラインでのシャミング(ネットで「さらし者」というような意味)システムの使用を開始した。
深セン交通警察は交通規則を無視した人たちの詳細を公開している

アモイ市では、社会信用システムの開発が 2004年の初めに始まったが、当局はブラックリストに載せられた市民の携帯電話回線にメッセージを自動的に入れるシステムを適用していると伝えられている。
これは、社会的評価の低い人に電話をかけようとすると、その通話の前に「あなたが電話をかけた人物は、不誠実な信用できない人物です」という音声が入れられる。
消費行動によってプロファイルされた市民
また、多くの中国の民間企業は、複雑な分析システムを使用して、彼らの顧客のプロファイルを立てている。ここには 2020年から公式に使用できるさまざまな技術(顔認識やその人物のネット上での公開システム等)をさらに進化させる先行するプログラムの実施が含まれる。
顧客の消費パターンをとらえるソフトウェア(北京のデパート)

例えば、「セサミ・クレジット (Sesame Credit)」は、中国企業アリババ関連の会社アント・フィナンシャル社 (Ant Financial)によって開発された個人クレジットシステムだ。
このセサミ・クレジットのシステムは、中国などで非常に普及しているアリババの支払いプラットフォームであるアリペイ(Alipay)のアルゴリズムとデータを使用し、消費行動や他の要因の中で顧客の嗜好を評価する。
セサミ・クレジットのテクノロジーディレクター、リ・エイウン(Li Yingyun)氏は、「例えば、1日に 10時間もビデオゲームをプレイしている人は、遊んでいる人物と見なされることになるだろう」と中国のメディアに語った。
「おむつを頻繁に購入する人はおそらく子どものいる親として考えられ、責任感を持つ可能性が高い」
しかし、同社のウェブサイトによると、セサミ・クレジットは、このデータを公開して顧客をプロファイルしているのにもかかわらず、現在、中国当局と情報を共有していないと主張している。
Wifi 探索装置に夜間監視、そしてビッグデータ
一方、最近の報告によると、一部の地域では、中国は IJOP(Integrated Joint Operations Platform / 統合集積操作プラットフォーム)と呼ばれるものを採用している。これは中国市民の銀行の記録、コンピュータの詳細、法的な過去に関する情報をプールするハイテク型の監視システムだ。
社会信用システムと並行して実行され、複数の情報源または「センサー」からその情報を収集すると報告されている。
その情報取得取得方法の 1つのソースは CCTV カメラ(監視固定カメラ)によるものであり、そのうちのいくつかは、顔認識と赤外線機能を備えており、またカメラには「夜間視力」を与えており、必要だと警察当局が考える場所に配置されている。
街の様子を24時間記録し続ける固定カメラ

もう1つのソースは、コンピュータ、スマートフォン、その他のネットワークデバイスの固有の識別アドレスをプールする「 wifi sniffers (Wifi 捜索装置群)」だ。
このシステムはまた、ナンバープレート番号と市民識別カード番号を含む情報をセキュリティ・チェックポイントから収集すると伝えられている。
国際的な人権 NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)の上級中国研究者であるマヤ・ワン(Maya Wang)氏は、「これは基本的には、人々、特に当局が注意を要する人物とみなす群にわけられる人々の監視と記録を行っているものです」と語った。
「この中には、精神障害のある人たちや精神衛生上の問題を抱える人たち、あるいは、当局に対して苦情を申し立てる人たちや、請願を行う人たち、さらには、国家プロジェクトの名において、ウイグル人などのマイノリティたちが含まれている可能性があります」
「 IJOP システムは、疑わしいと思われる人々のリストを警察に送り、そしてその人たち拘束されます。社会的信用システムは、小さな罰を受けることがあり、さまざまな方法で人々を統制することを確約しているのです」
中国政府がこれらのプロジェクトを組み合わせることにより、社会を操作していくことは可能なのだろうか。
これについて、中国の国家保安についてのコンサルタントをしているサマンサ・ホフマン(Samantha Hoffman)氏は、先駆けて地方で行われてきたプロジェクトと、膨大な量のデータを統合して管理すれば、中国政府は 2020年までに絶対的な社会的および政治的統制を発揮し、「人々の行動を先取りして形作る」ことができるだろうと述べている。
ホフマン氏は、以下のように述べる。
「人々が、その行動が得点にマイナスの影響、あるいはプラスの影響を及ぼし、それが生活や人生そのものにも影響を与えていることに気づいた場合、人々はそれに応じた意思決定を行い、行動を調整していく可能性が高いでしょう」
しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチのワン氏は、中国当局が「社会から取り除く」ことをする可能性がある場合、問題は残ると述べる。
現在の中国では、政府の公安省が多数のデータベースを運営しているおり、それと共に地方当局もデータベースを運営しているが、これらのそれぞれのデータベースがどのように相互に関連しているか、そして、それらがどのように構造化され、どのように更新されているかを知ることは私たちには困難だ。
ワン氏は、「現時点では、ある程度はデータベースは更新されていますが、中央と地方で統合されていないため、統合は困難なのではないでしょうか」と述べた。
上海財政経済大学の財務教授で、国家社会信用制度の構築にも関わるフー・ナイホン(Hu Naihong)教授は、浙江省で開かれた2017年の会議で、以下のように述べている。
「トップレベルの設計、制度的枠組み、主要文書はすべて整っているが、まだ解決すべき問題が多い。最も深刻な問題は、すべてのプラットフォームが厳密にデータを収集しているが、それを適用する法的および概念的根拠が曖昧なことだ」
現在のアルゴリズムがブラックリスト内の無実の人々を間違って捕えたケースは数多くある。
2015年、江蘇省在住の 16歳の女子学生であるツォン・ペイ(Zhong Pei)さんは、ブラックリストに乗った。それは彼の父親が 2人の人物を殺害して、交通事故で死亡した後だった。
その後、ツォンさんは 4ヵ月間、裁判所の判決に異議を唱え続けた。2017年に、彼女はブラックリストから外れることができた。それにより彼女は列車に乗ることができるようになり、大学へ入学することもできる。
現在、先行的に行われている中国の社会信用制度は、主に、裁判所の命令に従わなかった人や負債を持つ人、また共産党に脅威を与える人たちや、党のルールや一般的な 「社会的安定」を脅かす人たち、そして、反体制派と政府に請願する人たちと、その家族が含まれている。
国家権力の乱用、法律違反
前述したブラックリストに掲載されたジャーナリストのリウ氏は、国際メディアの注目を集めているが、彼は、複数の「マイナス」のカテゴリーに該当するようだ。リウ氏は以前に、腐敗した中国政府の関係者を暴露した時、「噂を広めた」という理由で警察に拘束されてもいる。
中国の社会信用制度は、政府が裁判所命令を執行するために適切な試行をすることが期待される一方で、専門家たちは、それは市民の動きを制限し、教育への平等なアクセスを拒否することでもあり、基本的な人権の問題にもふれると述べている。
リウ氏は ABC ニュースに、「信用履歴の低い市民に、航空機や高速鉄道での旅行を禁止することは、市民権を侵害することだ。特に鉄道と航空は国有産業であり、すべての市民に輸送手段への平等なアクセスを与える義務がある」と述べた。
成長する監視システムと、全国に展開する顔認識などの技術と組み合わせることにより、中国政府は、社会的信用システムを介し、さらに市民を管理することが可能となっていく可能性を持つ。
しかし、その目的が「悪用」される可能性に対しての懸念は、多くの専門家から指摘され続けている。
・中国で浸透する「信用スコア」の活用、その笑えない実態(WIRED 2018年6月26日)
※人々の社会的な信用度をスコアとして数値化するシステムが、中国で浸透し始めた。スコアが上がればローン金利が下がったり病院で優待されるなどのメリットがある反面、信用度が下がれば公共交通機関の利用が制限されるなどの厳しい“罰則”も待っている。そんな中国で現実に起きている「笑えない実態」を紹介しよう。
たいていの場合、イギリスではクレジットスコア(金融機関が与信審査で参考にする数値)はクレジットカードやローンの申請の判断にしか使われない。しかし中国では、政府がより広範な「社会信用システム」なるものの構築を進めている。人々を日々の行動などさまざまな基準で採点し、14億人いる中国国民の「信用度」を査定することが最終的なゴールだ。
近未来の世界の悪夢のように聞こえるかもしれないが、運用はすでに始まっている。中国ではこの社会信用システムのせいで航空券や鉄道のチケットを売ってもらえなかったり、NPOなどの組織の立ち上げが禁止されたり、特定のデートサイトが利用できなくなるといった事態が現実に起きているのだ。一方で、スコアが高ければさまざまな「特典」が受けられる。
政府は14年にこのプロジェクトに着手した。20年までの全国展開を見込んでおり、個人の行動を追跡して採点するだけでなく、民間企業や政府職員の業務なども評価対象とする計画だ。
システムが完成すれば、すべての中国国民は公的および私的機関から提供された自分の個人データの統合ファイルをもつことになる。まだ試験運用の段階だが、現在はバラバラになっているデータベースをひとつにまとめる準備が行われている。
中国政府の独裁的な性質から、社会信用システムを、中国共産党への絶対服従を確実にするための社会監視制度だと批判する意見もある。ジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた「ビッグブラザー」の世界だというのだ。しかし、少なくともいまのところは、こういった批判が必ずしも的を射ているわけではない。
オランダのライデン大学で中国政治と中国法を研究するロヒール・クレーマースは、新システムは現状ではまとまりのない国民一人ひとりをつなぐ「エコシステム」だと説明する。政府の目的は体制に異議を唱える者を抑え込むことではなく(この手のことをやるためのツールは中国にはすでにたくさん存在する)、共産党政権を維持しながら、よりよい方法で社会秩序を管理していくことだという。
アリババの「芝麻信用」が急速に普及
しかし、社会信用システムは政府主導である一方で、民間セクターのシステムに頼っている部分も多くある。アリババグループの金融部門アント・フィナンシャルサービスグループは15年、「芝麻信用(セサミ・クレジット)」というシステムを導入した。これは中国初となる実用的なクレジットスコアサーヴィスで、同時に社会的信用の保証システムや、決済サーヴィス「Alipay(支付宝)」のユーザーロイヤリティーを高める仕組みとしても機能するものだ。
芝麻信用のスコアは最低が350点、最高が950点で、点数が高ければ低金利でローンを組めたり、賃貸物件の契約で敷金が不要になったりといった特典がある。またレンタルサーヴィスを利用する際にデポジットを払わなくてもいいなど、恩恵はさまざまな分野に及ぶ。
芝麻信用は中国では非常に人気が高いが、こうした民間企業の提供するクレジットスコアサーヴィスと、政府の準備する社会信用システムとの境界は曖昧になっている。例えば、中国の裁判所はアリババと協力していることが明らかになっている。裁判所が科した罰金の滞納者の情報をアリババと共有することで、該当者は芝麻信用でのスコアが下がるという仕組みだ。
官民どちらでもクレジットスコアの対象分野が急速に拡大するなか、こうしたシステムが世界でも例を見ない「ITを活用した独裁制」につながるのではないかという懸念が生まれつつある。政府に批判的な記事を書いてきたジャーナリストが、訴訟費用の未払いを理由に航空券の購入ができなくなったといった事例も報告されている。
それでもいまのところは、この下手をすればディストピアにつながりかねないプロジェクトの利点と成果を理解すると、不気味には思えるものの感心してしまう。それでは、中国政府の壮大な野心の運用実態を見ていこう。
優先的な医療ケアという特典
中国の公的医療機関はお役所的な仕事ぶりで有名で、患者はうんざりさせられることも多い。一方で、クレジットスコアを取り入れた効率化の試みが進んでいる。
病院の診察費は基本的に前払いで、これが混雑の一因となっている。上海の復旦大学附属華山医院では、芝麻信用のスコアが650以上の来院者に1,000元(約1万7,000円)の与信枠が与えられ、そこから自動的に料金が精算される。病院側は待ち時間の最大60パーセント短縮を目指しており、国内10カ所の病院で近く同様の仕組みが採用される見通しだ。
一方で社会信用システムは、患者や医療関係者を処罰する目的でも使われている。中国では近年、病院での診察や処置に不満を抱いた患者や家族が医療従事者に暴力を振るうといった事件が多発し、社会問題化している。政府は昨年7月、こうした問題を起こした者をブラックリストに載せる方針を打ち出した。また非合法の美容整形手術などに携わった医師も、スコアが下げられる。
ネットの世界にも実影響
15年に芝麻信用の技術チームを率いるリ・イングンが中国の財新メディアとのインタヴューで、「1日に10時間もパソコンゲームをしていれば怠惰な人間とみなされるだろうし、紙おむつを頻繁に買っていればよい親だと思われるだろう。前者は後者より低いスコアしか得られないかもしれない」という内容の発言をした。10時間をゲームに費やすだけならまだいいが、ズルをしようとすると実際にマイナス評価が下される。
米国発のシューティングゲーム「カウンターストライク:グローバルオフェンシブ」は中国でも高い人気を誇るが、国営テレビ局である中国中央電視台(CCTV)の報道によれば、アカウントを作成するには身分証明書のほかに芝麻信用のアカウントが必要となる。そして「Aimbot」といったチートツールを使っていることがわかると、スコアが減点されるのだ。
結果として、現実世界でローンを組めなくなるなどの影響が出る可能性もある。中国のオンラインゲーム開発大手、完美世界(Perfect World)の李海毅は、「ゲーム業界の歴史上、最も厳しい罰則です」と言う。
K-POPの追っかけでもスコア低下
K-POPファンの行き過ぎた行動も警告を受けている。韓国のスターたちを見るために北京首都国際空港に集まったファンのせいで、運航スケジュールに遅れが生じるなどの事件があったことを受け(ファーストクラスに忍び込もうとしたファンもいたという)、規制当局はチェックインカウンターや搭乗口などで騒ぎを起こした者に対し、社会信用システムのスコアを下げることができるルールを設けた。
ファンはこれまで、格安航空券を購入するなどしてセキュリティゲートの向こうまで憧れのスターを追いかけていた。だが今後も同じことを繰り返せば、法的処罰は受けなくても自分の社会的「信用」に傷がつくというわけだ。
悪質な場合、一定期間は航空券の購入ができなくなる。また航空券の偽造や空港での盗難行為についても同様の措置が取られる。
高スコアならSNSでも好待遇
中国ではクレジットスコアが高ければデートの相手を見つけるのも簡単だ。マッチングアプリ「Tinder」を運営するMatch.comが出資することでも知られる「珍愛網(Zhenai.com)」は1億4,000万人が登録するマッチングサイトだが、芝麻信用で高スコアをもっていれば優先的に相手を紹介してもらえる。「百合網(Baihe.com)」では、ユーザーが同意すればプロフィールにスコアを表示できる。
ただ、これも度を越すと問題だ。アリババは16年11月、Alipayにユーザー同士が写真やメッセージを共有できる「サークル」と呼ばれる機能を追加した。一部のサークルは「女性限定」だったが、芝麻信用のスコアが750を超えていれば、男性でも女性限定サークルに投稿された写真にコメントを付けることができるシステムが採用された。
そして、男性側のコメントはたいていが、写真を投稿した女性に性的関係を求めるものだった。すぐさま、インターネットを利用した売春に等しいとして批判が殺到した。新機能を「Alipimp」[編註:pimpとは売春の仲介者]と呼んだブログ投稿もあり、最終的にサークル機能は削除された。
デポジットが不要になるケースも
もう少し穏健な特典もある。一部の都市では、芝麻信用のスコアが高ければ、ホテルやレンタカーなどでデポジットの支払いが免除される。一方で、政府主導のパイロットプログラムにより、社会的に問題と見なされる行為への「罰則」として、交通機関や公的サーヴィスの利用に制限がかけられる可能性も出てきた。
政府は今月、「信用を下げる重大な行為」に関与した169人について、1年間にわたり鉄道の利用を禁止する決定を下したと明らかにした。しかも社会信用システムのウェブサイトでは、169人全員の氏名が公開されている。
上海市に近い蘇州市では独自の信用システムが運用されており、公共交通や公共サーヴィスの利用料を払わない、ネットで嘘の商品レヴューや口コミを投稿する、ホテルを予約したのに連絡なしで勝手にキャンセルする(ノーショー)といった行為が見つかると、200ポイントが引かれる。ただ、このシステムは名前だけは牧歌的で、地元の銘菓や茶の材料としても親しまれているモクセイ(桂花)にちなんで「蘇州市民桂花信用分」と呼ばれている。
社会組織の立ち上げも監視
社会信用システムが国民の監視強化につながるのではないかという懸念を裏付ける証拠のひとつとして、「違法な社会組織」の取り締まりに利用されている点が挙げられる。行政事務などを担当する民政部は5月、組織名に「国際」や「中国」といった単語を使うことで政府機関とつながりがあるかのように装う違法組織が増えており、こうした組織にかかわったものは社会信用システムのスコアに影響が出るだけでなく、ブラックリストにも記載されると発表した。
ただ、具体的にどのような組織が「違法」と見なされるかについては不明瞭で、背後には政治的な問題が絡んでいるとされる。政府は最近、外国資本のNGOへの規制を強化したほか、国内の各種団体に対し、規約や憲章に共産党の方針の「骨子」を盛り込むよう求めている。目的は「政治的に正しい方向に進む」ようにするためだ。
低スコアでは高級品のネット通販に制約
中国の最高裁判所に相当する最高人民法院は15年から、裁判所の科した罰金の未払い者の情報を芝麻信用と共有している。該当者は芝麻信用のスコアが下がるだけでなく、アリババの運営する「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tmall)」といったサイトで一定額以上の高級品を購入できなくなる。
これくらいならそほれど大きな影響はないかもしれないが、もちろん罰則をより強化することも可能だ。中国のある研究者は英字紙『チャイナ・デイリー』の取材に対し、中国ではモバイル決済が非常によく普及しているため、滞納を繰り返すなどした悪質な違反者はモバイル決済のアカウントに制限をかけられ、朝食を買ったり、職探しのために公共交通機関を利用するといったことをできなくなるだろうと話している。
そこまではいかないだろうと思われるかもしれない。だが中国では17年夏、2,500万元(約4億2,300万円)の借金の返済から逃れるために美容整形をして他人になりすまそうとした女性のニュースが、社会をにぎわせている。
・中国昨年2千万人超、飛行機などの利用禁止 社会信用スコアで(ロイター 2019年3月7日)
※中国当局が現在進めている「社会信用システム」の下で、昨年、約2千万人以上の国民が「信用スコアが低い」との理由で、航空券や高速鉄道のチケット購入を禁止されたことが明らかになった。
独メディア・ドイチェベレ中国語電子版3月4日付によると、中国社会信用情報センターの記録では、2018年中国当局は、「違法案件の当事者1750万人」に対して国内外への旅行を制限し、航空券の購入を禁止した。また、他の550万人に対して高速鉄道や列車の利用を禁じた。
薬物所持、脱税、罰金の未払い、交通違反などを社会信用システムの規制対象と定めている一方で、デモの参加やソーシャルメディアでの体制批判の発言も「違法行為」と認定される。
中国当局は2014年「社会信用システム構築の計画概要(2014~2020)」を発表した。社会信用システムでは、中国全国民の個人情報をデータベース化し、「違法行為」や地方奉仕、社会貢献の有無などで、国民の「信用スコア」を決める。信用スコアの低い国民の名前をブラックリストに載せ、一般公開している。
昨年のゴールデンウィーク期間中、安徽省合肥市など10都市の高速鉄道駅では1カ月にわたり、ブラックリスト入りの市民の写真と個人情報を大型スクリーンに映し出していた。
今年1月、河北省は現在地から500メートル以内にいるブラックリスト入り人物を検索する、スマートホン向けアプリを開発した。該当者の住所、身分証明書番号、違反内容などを閲覧できる。
国際社会は、中国当局はこのシステムを通じて、14億人の国民に対する監視を強めており、人権侵害に当たるとして強く批判している。
ペンス米副大統領は昨年10月、中国の社会信用システム制度について、「ジョージ・オーウェルの描いた超監視社会のようで、人々の生活を含むあらゆる面をコントロールしようとしている」と非難した。
・日本人が想像できない中国の信用スコアと身分証制度
2019年06月28日
http://www.thutmosev.com/archives/80247613.html
※信用スコアは素晴らしいか?
最近日本では中国から始まった信用スコアを素晴らしいと褒めたたえるのが流行っています。
中国では個人の債務情報や犯罪歴、交通違反から学校の成績などあらゆる情報を国家が握っています。
この結果家賃を滞納すると信用スコアが下がり、鉄道の切符を買えないという事が起きています。
まったく無関係な事で信用スコアの点数が減点されていくので、ネットで政府への不満を書いても減点されます。
親の信用情報も影響を与えるので、チベットやウイグル人の子供は「中国人向けの」幼稚園に入れない。
ウイグル人に生まれたと言うだけで一生鉄道に乗れず、政府が決めた居住区以外への移動や集会も禁止されている。
こんな信用スコア制度の元になったのは身分証制度で、国民全員がICチップを内蔵したIDカードを義務付けられていました。
日本では報道されないが、あらゆる行為でIDカード提示が義務付けられ、常に個人情報が照会されています。
身分証くらいなんの問題もなさそうですが、例えば長距離バスのチケットを買う時、その人が「旅行する資格がある人か」自動的に照会されます。
信用スコアが一定の点数以下の人は公共交通機関を利用できないので、売って貰えないだけでなく公安に拘束されます。
鉄道に乗るにも一定の点数が必要、レンタカーを借りるにも点数が必要、ホテルに泊まるにも必要なのです。
従って信用スコアが低かったり公安に利用を禁止されている人は、カードを要求されないような手段で移動したり宿泊先を探さねばならない。
信用スコアが低いと食事も拒否される
最近おもしろいニュースがあり、中国人観光客に東京都庁のレストランが人気だと書かれていました。
都庁のレストランは600円から1000円以内で美味しい料理が食べられるのだが、中国人は別なことに注目しました。
北京庁舎に相当する東京都庁に入るのに身分証が不要で、中で食事をするのにIDカードが不要だと言う点でした。
庁舎のレストランなので東京都知事や政府要人が食事をするかも知れず、トランクに爆弾などを詰めてテロを計画する人間がいるかもしれません。
それを「敵国の」中国人を荷物検査もせずに入場させ、誰でも自由に利用できることに驚くのです。
90年代までの中国は国内を移動するにも工作証と移動許可証の携帯が必要でした。
こうした制度は共産主義国に共通で、旧ソ連圏や今も北朝鮮などで行われています。
90年代に身分証番号を記載した身分証が配布され、2003年から非接触式のICカードが使用されるようになった。
最近はスマホを持ち歩く人が多くなり、スマホを身分証にする検討もされていて、顔認証などのIT技術も使用されている。
ネットで政府批判すると一生を棒に振る
中国の主要駅全てや公共施設や街中に防犯カメラが設置され、コンピュータで通行人の顔を照会している。
信用スコアが低い人や手配中の人が防犯カメラに映ると、公安や警察に情報が伝えられ、必要なら拘束される。
このシステムは現在急速に進歩していて、数年後には中国全土でどこにいても追跡できるようになる。
こんな国で生きる人はレストランで荷物検査や身分証チェックされないだけで驚くようになる。
中国ではインターネットに書き込むのに政府の許可と登録が必要で、もちんろん信用スコアが低い人はネット利用できない。
中国でブログを開設するには政府が指定した複数の検査官の審査を受ける必要があり、かなり厳しい。
過去3年ほどで政府に批判的な事を書いた中国のブログはすべて閉鎖され、運営者が行方不明になった例も多い。
中国ではブログやSNSを書くのも命がけで、つい勢いで政府批判を書いたがために、一生を棒に振る人も居る。
中国にはどこにいても政府の監視がついて回り、隠れる場所はどこにもありません。
・中国で借金をすると一族全員末代まで追われる
2019年08月13日
http://www.thutmosev.com/archives/80679391.html#more

(上)2008年にほとんどゼロだった家計債務が急増している
※中国には個人破産制度がない
中国では今個人の借金がすごい勢いで増えていて、家計債務の増加率がGDP成長率の2倍に達しています。
これがどのくらい凄いかというと、日本の成長率は1%なのでその2倍でも2%だが、中国の成長率は6.5%なので2倍だと13%に達します。
毎年個人債務の合計が13%も増加したら、数年後にどうなるかは想像がつきます。
最近中国の消費が急増しているという話を耳にすると思いますが、その消費は全て借金で購入しています。
日本旅行も爆買いも不動産も自動車も、株式投資もネット消費もスマホ決済も、ぜんぶ借金で消費しています。
最近中国では信用スコアによって無審査でお金を借りれる制度が誕生し、かなりの勢いで普及しています。
これは無審査なのではなく個人情報全てをアリババに把握されているので、申し込んだ時には審査が終了しているのです。
中国には個人情報保護はないので、アリババに登録すると無断でどこかから集めたデータで信用スコアを作ります。
年収や消費金額や家賃金額や延滞、借金総額や住宅ローン、親の資産や借金もアリババは全て把握しています。
なので申し込んだ瞬間に「融資額1万元」などと表示され、あたかも無審査でお金を貸してくれる錯覚に陥ります。
90年代から2000年代に日本ではサラ金や闇金が流行ったが、中国版サラ金はもっとえげつない事をします。
中国人の平均年収は北京上海で100万円以上、都市部で80万、地方で40万円、農村部で20万円のように大きな格差が存在しています。
1人の借金が一族全員の借金になる
しかも同じ北京上海でも100万円以上は一流企業の正社員だけ、農民工と呼ばれる非正規労働者は半分以下となっています。
なので中国には「平均」年収のような考え方が当てはまらず、北京の上級公務員は200万円以上だが貧困農民はまだ年収3万円以下です。
アリババ等のアプリキャッシングは少額を借りて返済することで限度額が上がり、最終的に年収の10倍まで借りれます。
年収の10倍では返済不能で回収できない気がするが、中国の法律ではその心配がないのです。
中国には自己破産で借金が帳消しになる制度が無く、しかも本人が返せない借金は親戚一同の共同債務になります。
さらに本人がなくなっても借金は消えず、すべての親戚に子々孫々まで請求が続くのです。
親族の連帯責任であるため、親族に一人でも債務不良者が居ると一族の信用スコアを下げられます。
家族ではもっと被害が大きく、例えば父が借金したまま行方不明だと、子供が大学に入学できなかったりします。
信用情報は売買され共有されているので、アパートの入居を拒否されたり、社会のあらゆる場面で不利益をこうむります。
アプリキャッシングを滞納したために電車やバスのチケットを販売拒否されるといった例も実際に起きています。
中国でGDPの2倍の速度で個人債務が急増しているという怖さが、ここにあるのです。
消費による経済成長というのも、不良債務を生み出してバブル崩壊する可能性が高い。
・中国で受け入れられた信用スコアは、なぜ日本で炎上するのか?(ITmediaビジネスONLINE 2019年7月29日)
秀村雨
※先日Yahoo!スコアに対する批判がネット上で拡散した。Yahoo!スコアとは、ヤフーIDを持っている人の利用状況からスコアリングが行われ、そのスコアに応じて特典がもらえるサービスである。
スコアリングとは、その人の属性(収入や年齢、勤務先等)や行動(サービスの利用状況等)によって、顧客に点数をつけ、それをビジネスに利用することだ。
このサービスに対する主な批判として「スコアリングが知らぬ間に始まっていた」「スコアは対象者にも非公開」「スコアの利用方法が不明」「説明が不十分」といったことがあった。
筆者の育った中国では、スコアリングが当たり前のように行われ、多くの人がそれを受け入れている。そこで先行してうまくいっている中国の事例を紹介し、日本はどのような対応をすべきか考えてみたい。
●中国政府が計測する「信用」と民間企業が提供する「信用スコア」
中国の民間企業が提供する「信用スコア」と、政府の「信用」は違う話なのだが混同されている。まずはそこから説明が必要だろう。
中国政府が国民の「信用」を計測しているという話が話題になった。こちらは信用がないと飛行機にも搭乗できず、生活に支障をきたすなど恐ろしい話として取り上げられることが多い。
中国政府が行う信用計測は、2018年1月に設立された「百行征信」(バイハンクレジット)によって行われる。バイハンクレジットは中国政府系団体と8社の民間会社から成る団体であり、保険料の未納、賠償金の未払いなど社会的不正を行った人をブラックリスト化し、ペナルティを課すものだ。ブラックリストに載った人は飛行機の搭乗が禁止されるのはこちらの話である。
また中国の信用スコアというと、「芝麻信用」(じーましんよう)が有名である。アリババグループが提供する信用スコアで、18年時点でアクティブユーザーが5億2000万人、中国全土に普及している信用スコアだ。
これは中国で広く普及する決済システム「アリペイ」の利用、利用率が高いネットショッピング淘宝(タオバオ)の利用状況、その他、公共料金、金融の利用などからスコアリングされ、個人特性、支払い能力、返済履歴、人脈、素行といった5つの要素からスコアリングされる。
●中国政府の「信用」の話を切り離して考える
中国政府が行う信用計測は、普通に生活をしている限り不利益を被ることはない。これに対して、信用スコアは多くの中国人にとって非常に身近なものである。
芝麻信用で高いスコアになると、さまざまなベネフィットが受けられる。特に、信用スコアが高いと、ビザの発給申請をアリペイ経由でできるサービスは、非常にメリットが大きい。なぜなら中国人はどこの国に行くにも必ずビザが必要となり、申請にも非常に時間がかかるからだ。
申請には銀行口座の残高も調べられ、基準を満たしていなければビザは取れない。これに対して、例えばカナダのビザならば、芝麻の信用スコア750点以上でアリペイから申請できる。銀行の口座残高の確認もいらない。
その他、海外旅行に行った時の免税申請を並ばずにできる、ホテルやレンタカー、充電器、レンタルバイクのデポジットがいらない、プリペイド携帯が後払いで良くなる、信用でお金が借りられる、といったさまざまなメリットがある。
●信用スコアはクレカのポイントと同じ
多くの中国人はこのような信用スコアを、日本でいうクレジットカードのポイント程度にしか考えていない。芝麻信用は個人のスコアを本人に公開しているが、平均点は公表されていない。どれくらいのスコアが一般的な水準なのか友人に聞いてみたところ、600点以下の人はいなかった。
天津の李さん(男性)は31歳の公務員で芝麻信用スコアは742点。現在は奥さんが妊娠中なので行けないが、以前は夫婦で外食をしたりショッピングに行ったりするなどアリペイを使っていた。信用スコアについては「あまり気にしていない。買い物をしているうちにいつのまにかスコアが上がっていた」という。
上海の載さん(女性)は35歳の会社員。彼女はショッピングが好きだが、今は1歳の子供の面倒を見るのに忙しく、ネットで買い物する機会が増えた。「信用スコアが上がるといろいろお得なので、なるべくタオバオで買い物してスコアが上がるようにしている」という。
このように、買い物をすると増えるお得なポイント程度の、ライトな捉え方をされていることが分かる。
日本でもマーケティングリサーチを行うと、男性はポイントカードに無頓着な人が多い傾向にあり、女性は何枚もポイントカードを持ち歩いてきちんとお得なベネフィットを受けようとする傾向が見られる。これに近い状況が信用スコアについてもあるようだ。
●Yahoo!スコア炎上に見られる問題点
今回のYahoo!スコアに関する最大の問題は、中国のように消費者から受け入れられる前に、「企業が自分たちの利益のために強引に進めている」という悪い印象が最初についてしまったことだ。「スコア非公開」「スコアの利用方法が不明」になっていることによって、「消費者が知らないうちに企業が何か良からぬことを企てている」という印象を与えてしまったのだ。
また生活の網羅性が低いという課題もある。アリペイは中国で非常に幅広く利用されていて、公共料金も多くの人がそれで支払っている。ECサイトのタオバオも非常に利用率が高い。これらを全てトータルすると、ほぼ全ての個人消費を網羅している実感がある。したがって、そこから算出されるスコアリングも「違和感がない」と感じられやすくなっている。
対するYahoo!スコアは、「その程度の消費実態の網羅性で、個人をスコアリングするなんておかしい」と、正確性や精度に対する信頼度がまだ低いという利用者の感覚もある。
Yahoo!スコアも本来は、消費者がベネフィットを感じられるサービスであるべきだった。知らないうちに同意(オプトイン)になっており、自分のスコアは見ることができず、何に使われるのかも不明であり、ユーザーベネフィットも伝わってこない、そんなサービスが受け入れられるわけがない。
買い物をすればだんだん上がっていくスコアなら、単純に「お得につながるスコア」をうたえばいい。分かりやすく、スコアによって次回割引率が変わってくるといえば「買い物をすればするほど、お得になるんだな」と理解される。新しいサービスだからこそ「単純明快さ」が求められる。
●その他の日本のスコアリングサービス
現在、日本で話題性のあるスコアリングサービスとしては、ほかにJ.ScoreとLINE Scoreがある。
J.Scoreは、みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社が提供するサービスである。年齢、性別、学歴、勤務先の業種と職種、正社員かどうか、持家かどうかなど18種類の情報を入力し、AIによってスコアが判定される。最高点は1000点。これによって融資の金利が決まる。融資の用途は教育資金がメイン。AIは将来性まで加味してスコアリングするという。
LINE Scoreは2019年6月にリリースされた新しいサービスで、LINE Financialとみずほ銀行、オリエントコーポレーションの合弁会社が提供する。スコアリングは年齢、性別、未既婚、子供の有無、住居タイプ、職業、業種、会社規模、年収、社会保険の種類といったアンケートによって取得する情報と、LINEプラットフォーム上での行動特性から行われる。今後はLINEポケットマネーという融資サービスの融資条件に、LINE Scoreが使われる予定である。融資額の上限や利率がスコアによって決まる。
これら2つのサービスは、どちらも融資に連動させるという意味で、従来の信用概念に近い。したがって、Yahoo!スコアより受け入れられやすいだろう。
これらのサービスは今後、消費者金融やカードローンといったキャッシングと競合してくる。スコアリングはこれまでよりもきめ細かく個人の信用度を測るサービスなので、これまでよりも有利な条件で融資を受けられる人が多数出てくるだろう。そのとき、「他の会社でも信用スコアに基づいて有利に融資を受けたい」というニーズが出てくれば、信用スコアが他社に提供されるベネフィットが出てくると思われる。