・バーガーを食べても大丈夫? 肉食に玉虫色の結論 気候変動に関する国連報告書(AFPBB 2019年8月9日)

※地球温暖化を食い止めるために菜食主義者やビーガン(完全菜食主義者)になる必要はない。だが、人類が肉を食べるのを止めれば、温暖化対策は楽になるだろう――国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8日公表した「特別報告書」は、曖昧で食肉賛成派・反対派どちらにとっても不満足な内容となった。

気候変動と人間の食生活との関連性についてまとめたこれまでで最も包括的な報告書の要点は、非常に明白だ。気候変動は世界の食料供給を脅かしており、食料の生産方法でさえ地球温暖化に拍車をかけているということだ。

熱帯地方では、気温上昇により収穫量が減少し、主要穀物の農地が奪われ、食用植物の必要養分も失われ始めている。

一方、世界のフードシステム(食料の生産から流通・消費までの流れ)は、世界で排出される温室効果ガスの少なくとも4分の1を占めている。世界人口は今世紀半ばまでに20億人増加すると考えられているが、安易に食料生産量を増やせば、地球の平均気温は危険レベルをはるかに超えることになる。

今日、食料関連の温室効果ガス排出量の半分以上が畜産業によるものだ。うち半分は、羊や牛の飼育に関わるもので、牛の割合が特に高い。

英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)で栄養学と国際保健を専門とするアラン・ダングール(Alan Dangour)氏は、「今日発表されたIPCCの報告書で、私たちの食習慣が環境に多大な影響を及ぼしていることが確認された」と述べた。「フードシステムによる環境への影響を抑制するには、食生活における肉類の消費を減らすことが重要であることは明白だ」

■気候に対する二重の脅威

畜産業は、気候にとって二重の脅威となっている。特にブラジルの亜熱帯地域では、二酸化炭素を吸収する森林が放牧地や牛の餌となる大豆作物を育てる畑に変わっている他、家畜が排出する大量のメタンガスは温室効果ガスの発生源にもなっている。

米首都ワシントンに本部を置く政策シンクタンク「世界資源研究所(WRI)」によると、同量の牛肉の動物性たんぱく質と標準的な植物性たんぱく質を比較した場合、平均して肉牛の飼育には植物栽培の20倍の広さの土地が必要となり、温室効果ガス排出量も20倍となるという。

こうした理由から、植物性食品を中心とする「バランスの良い食生活」に移行することにより、気候変動の原因を大幅に減らすことができるとIPCCは結論付けている。

この結論は、菜食主義を全面的に支持しているようにみえるかもしれない。だがIPCCは、世界中の人々に対し肉食を一切やめるよう義務付けたり奨励したりしているわけではないと述べている。

「バランスの良い食生活」には、「雑穀やマメ、野菜、果物、木の実、種子」に加え「レジリエントで、持続可能的で、温室効果ガスの排出量が少ない動物性食品」も含まれると報告書は指摘している。

報告書の作成に関わった100人以上が、生産過程で二酸化炭素排出量が極めて多い赤身肉の禁止を求めるまでに至らなかったのにはいくつか理由があるようだ。そもそも報告書では、何も要求していない。

ポツダム気候影響研究所(Potsdam Institute for Climate Change Impacts)の元所長で報告書の共同執筆者であるヨハン・ロックストローム(Johan Rockstrom)氏は、「われわれが提案するバランスが取れた食生活とは、約100グラムの赤身の肉を毎日ではなく週に1度食べることだ」とAFPに語った。

・グリーンランド買いたいトランプ氏、「正気じゃない」とデンマーク(Bloomberg 2019年8月16日)

※トランプ米大統領がグリーンランドを買いたがっていると報じられたことを受け、この世界最大の島を自治領とするデンマークからは、冗談なのか本気なのか分からず戸惑う声やあきれる発言が出た。もちろん売るつもりはない。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたトランプ大統領のグリーンランドへの関心はデンマーク人を当惑させ、野党党首のラスムセン前首相は「エープリルフールの冗談に違いない」と発言。もう1人の野党メンバーは、トランプ氏は「正気じゃない」とコメント。一方、与党陣営からは「最悪のアイデア」だと憤慨する声が寄せられた。

しかし、WSJ紙が事情に詳しい関係者の話を基に報じたところによると、トランプ氏はグリーンランド購入への関心をこれまでに繰り返し表明。ホワイトハウスの顧問にこのアイデアを深く検討することまで求めたという。

トランプ氏は9月2、3両日にデンマークを公式訪問し、フレデリクセン首相やマルグレーテ女王と対面する。

WSJによると、ホワイトハウスも米国務省もコメント要請に応じなかった。

・北極圏で最高気温記録(Sputnik 2019年08月18日)

※アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、北極圏で観測史上最高の摂氏34.8℃を記録したことを伝えた。テクノロジーサイトGizmodoが書いている。

NOAAの情報によると、記録的温度は7月26日にスウェーデンの気象観測所マークスヴィンスで記録された。同観測所は北極圏の南端にある。

テクノロジーサイトGizmodoは、北極圏の記録的気温、アラスカ200キロ圏内に氷がないこと、シベリアの度重なる森林火災などは、地球住民が気候危機の最高潮にあることを証明している、と指摘している。

地球温暖化は、地球に対する主な気候の脅威と見なされている。現在の温暖化テンポ(10年間で0.2度)が維持されれば、地球の気温は2136年後には44度上昇するだろう。アナリストは、このレベルになると地球上の生命にとって危機的だと指摘。海面が上昇し、水が地上にあふれるようになる。

・公務員は個人カード年度内取得を 政府、普及率向上で実質義務化(共同通信 2019年8月19日)



(上)マイナンバーカード

※政府が国・地方の全ての公務員に、個人番号の記載されたマイナンバーカードを2019年度末までに取得させることが19日、分かった。

月内から交付申請書を一斉に配って未取得者に手続きを強く促すほか、身分証との一体化を拡大して携帯が必須な状況を増やす計画で、実質的な義務化となる。

1割強で低迷している普及率を高めるため、公務員本人・扶養家族の計700万人超が率先して取得を済ませる。

マイナンバーカードは21年3月に健康保険証としての本格運用が始まる予定。これに伴う申請増加に備え、公務員が先に作って事務集中を避ける狙いもある。

・サウジ女性に海外渡航の自由 改革推進する皇太子、保守派の反応は(SankeiBiz 2019年8月31日)

※サウジアラビア旅券局は21日にツイッター上で「21歳以上の女性の旅券の発行申請や許可なく海外渡航する申請の受領を開始した」と述べ、21歳以上の女性が後見人の許可なく海外渡航が可能となったことなどを発表した2日付の官報が実施に移されたことを明らかにした。

あまり知られてはいないのだが、サウジでは現在も男性の従属下に女性を置く後見人制度と呼ばれる制度が生きており、サウジ女性は結婚や海外旅行、旅券の取得などでは後見人と呼ばれる女性の夫や父親、その他男性親族の承認が必要となっている。

こうした中、2日付の官報では次の3点が明らかにされた。第1は、サウジ旅券は申請した国民に発行され、21歳以上の人物であれば旅行の許可は必要ないという点である。これは、今後はサウジにおいても、女性が21歳以上であれば後見人の許可を得ずに海外旅行をすることが可能となったことを意味している。

第2は、サウジ女性も子供の出生届、結婚届、離婚届を行う権利を持ち、サウジ女性にも公式の家族書類が発行され、サウジ女性にも未成年者の子供の後見人としての権利が認められるという点である。これは、これまで男性だけに認められていたこれらの権利が、サウジ女性にも認められたことを意味している。

第3は、全てのサウジ国民は性別や障害、年齢に基づく差別を受けることなく働く権利を持つという点である。これは、これまでサウジ女性を除外してきた職種にもサウジ女性が就労できることを意味している。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、昨年の段階で、サウジ女性の自動車運転の禁止を廃止したほか、サウジ女性が大学で学んだり、手術を受ける際、さらには雇用する際に男性の後見人の許可は不要とするなどの改革を進めていた。

だが、他方で、こうした改革に対する国内保守派からの批判を意識したためなのか、サウジでは昨年から国内の著名な女性の人権活動家などが多数逮捕・拘禁され裁判にかけられ今日を迎えている。そのため、こうした新たな抑圧的な動きに嫌気のさした若いサウジ人女性が家族のもとを離れて逃亡し、海外亡命を求める事例が過去数カ月間で何件も起きている。

このようにサウジ国内には今でも男尊女卑の気風が強く残っている。それだけに、国内の保守的な聖職者をはじめとする保守派が、新たな措置にどのように反応するのか注目される。

・政府、全国共通の新ポイント発行 マイナンバーカードを活用(共同通信 2,019年9月1日)

※政府がマイナンバー(個人番号)カードを活用して2020年度に実施するポイント制度の概要が1日、分かった。

10月の消費税増税対策で、一部自治体が独自発行する「自治体ポイント」の拡充を検討していたが、変更して全国共通にするのが柱。民間のスマートフォン決済事業者と幅広く連携し、利用者がスマホに入金すると、地域を問わず使えるポイントを国費で上乗せする。20年10月に始め、入金2万円に対して5千円分(25%)を提供する案が有力だ。

本人認証やポイント管理にマイナンバーカードのシステムを使う点は変わらず、利用はカード取得が条件だ。

・マイナンバーカード「22年度末には全国民保有」目標(読売新聞 2019年9月3日)

※政府は3日午前、「デジタル・ガバメント閣僚会議」(議長・菅官房長官)を首相官邸で開き、マイナンバーカードの普及に向けた工程表を決めた。現在の交付枚数は約1772万枚だが、カードを健康保険証として使える制度の導入などを通じ、2023年3月末にほぼ全ての国民がカードを保有するとの目標を掲げた。

工程表ではカードの普及に向け、カードの所有者がスマートフォン向け決済サービスに現金をチャージすれば、全国で使える「マイナポイント」を付与する制度を20年7月以降に始めるとした。詳細な制度設計は今後詰める。

また、21年3月からカードを健康保険証として本格的に使えるようにし、23年3月には、ほぼ全ての医療機関で利用できるよう環境を整備する。

ポイントを付与する制度については当初、カードに組み込んだICチップ「マイキー」の情報に基づき、買い物などができる「自治体ポイント事業」を活用する方針だった。同事業は一部の自治体が導入しているが、広く普及しているスマホ決済サービスと連動させた制度の方が「より利便性が高い」と判断し、方針を変更した。

・ブーツや上着脱いで検査も…国交省、13日から空港の保安強化(読売新聞 2019年9月6日)

※国土交通省は6日、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会や来年の東京五輪・パラリンピックに備え、13日から国内の全空港で保安検査を強化すると発表した。国内線、国際線ともブーツや上着を脱ぐ必要が生じ、検査場の混雑が予想される。

国交省によると、大型の靴を履く人は全員脱いでもらった上で、靴をX線検査にかける。サンダルや革靴などの短靴は対象外。また、国際線の旅客が対象だったジャケットやコートなどのX線検査を国内線にも拡大する。さらに、無作為に選んだ客の体を専用の紙で拭き取り、拳銃や爆発物に使われる化学成分の有無を調べる検査を始める。

これらは五輪・パラリンピック終了後も継続する。

※オリンピックを口実に

・共産党に衝撃、しんぶん赤旗がついに100万部割れ(JBpress 2019年9月10日)

※今年(2019年)の8月28日の「しんぶん赤旗」に、なかなか衝撃的な一文が掲載された。「『しんぶん赤旗』と党の財政を守るために」と題する岩井鐵也財務・業務委員会責任者の訴えである。次のように始まっている。

「いま、全党は、志位和夫委員長の日本共産党創立97周年記念講演『共闘の4年間と野党連合政権への道』での解明を力に、『日本共産党の躍進こそ、野党連合政権への最大の力』『共闘の力を強め、日本を救うためにも、日本共産党を強く大きく』と決意を固め、党の自力強化への奮闘が広がりつつあります」

「日本共産党の躍進こそ、野党連合政権への最大の力」とは、ずいぶん大きく出たものだが、もちろんそれが証明されたことはない。「党の自力強化への奮闘が広がりつつあります」というのも、共産党では何十回、何百回と繰り返されてきた虚勢を張るときのセリフである。「いま全党は党大会決定を力に、意気高く前進を始めています」とか、「党幹部の訴えに感動した党員が、広範な国民への入党呼びかけ、『しんぶん赤旗』の購読を呼びかける活動に参加し始めています」などという景気づけの文章が発表されるというのが、共産党の常套手段なのである。

この景気づけの文章と共に、「党勢拡大月間」とか「機関紙拡大運動」などが提起されるのだ。この種の文章だけ見ていると、共産党が日々党の勢力を伸ばしているかのような錯覚を受ける程である。

だが実態はと言えば、ほとんど成功したことがないのだ。志位氏自身が1970年代中頃以降は、「○○月間」「○○大運動」が提起しても一度も成功したことがないこと、ほぼ半世紀近く成功していないということを率直に認めている。党員の数は減り続け、機関紙である「しんぶん赤旗」も減り続けてきたのである。

共産党の財政が大きな危機に直面

岩井氏の訴えに戻ろう。

「率直にお伝えしなければならないことがあります。それは、『しんぶん赤旗』は、安倍政権に立ち向かい、日韓問題はじめ国際政治の真実を明らかにし、憲法と暮らしを守るとともに、市民と野党の共闘を発展させ野党連合政権への道を切り開いていくうえでかけがえのない役割を発揮していますが、その日刊紙・日曜版の読者が8月1日の申請で100万を割るという重大な事態に直面し、この後退が『しんぶん赤旗』発行の危機をまねいていることです。そして、『しんぶん赤旗』の事業は党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割を担っています。『しんぶん赤旗』の危機は、党財政の困難の増大そのものです」

わずか1年半前の2017年1月に行われた第27回党大会で志位氏は、「しんぶん赤旗」の部数を113万部と報告していたので13万部以上減ったと言うことである。

新聞の発行部数というのは、共産党だけではなく、どこの新聞社も正直には発表していないはずだ。共産党もかつては350万部と言っていたこともある。ちょうど手元に1994年に行われた第20回党大会の報告があるが、そこでは読者数が250万人を超えたと述べている。350万部も250万部も大雑把な数字ではあるが、少なくとも現在の2倍以上、あるいは3倍以上の読者を有していたことは間違いなかろう。

それが100万部を割ったということを正直に明らかにしたというのは、共産党としては画期的なことである。もはやなりふり構っていられないということだろう。

岩井氏も正直に述べているように、共産党の活動を財政面で支えてきたのは「しんぶん赤旗」の購読料である。発表されている政治資金収支報告で一番新しいものは2017年分である。これによると党費収入は6億2841万円(収入に占める比率は3%)、寄付が8億3732万円(同3.9%)なのに対して、機関紙誌・書籍等事業収入は、179億8771万円(同84.6%)となっている。月刊誌や幹部の書籍も含まれているが、圧倒的に「しんぶん赤旗」である。その機関紙が減り続けているというのは、共産党が財政面で大きな危機に直面しているということだ。

かつては読まない党員はいなかった

岩井氏の訴えの一番の趣旨は、だから党員は頑張って新聞を増やせということなのだ。岩井氏はこう言う。

「『しんぶん赤旗』の現状打開は急務です。参院選のたたかいは党勢拡大の新たな条件と可能性をつくりだしています。それは、ともに選挙戦をたたかった方々の入党や、『しんぶん赤旗』購読の報告が、各地から次々寄せられていることからも明らかだと思います。この8月、党員拡大を根幹としつつ、党の財政の困難をなんとしても打開するために、読者拡大で必ず前進をかちとり、党勢拡大の連続的な前進・飛躍へと転じる契機にするための奮闘を心から訴えます。

全党の力で『しんぶん赤旗』と党の財政を守ってください。お願いします」

またいつもの調子なのである。「党勢拡大の新たな条件と可能性」などどこにもないからこそ減り続けているのだ。「『しんぶん赤旗』購読の報告が、各地から次々寄せられている」なら、どうして減るのか。いつまでこんなデタラメを言っているつもりなのか。無責任の極みと言うしかあるまい。

100万部を割った「しんぶん赤旗」の内訳は、毎日発行の日刊紙が20万弱、週1回発行の日曜版が約80万部くらいだそうだ。相当前からそうなのだが、日刊紙は赤字なのだ。当然である。全国紙なのに20万部程度では、どうあがいても黒字にはならない。その赤字分を日曜版の黒字で補ってきていたのだ。党員が約28万人と言われているので、3分の1の党員が日刊紙を読んでいないということである。私が入党した半世紀前には、日刊紙を読まない党員など皆無だった。それだけで党員の資格がないと見なされたものだ。

「しんぶん赤旗」が増えることはもうない

今から8年前のことになるが、「『しんぶん赤旗』日刊紙発行の危機打開のために――全党の同志のみなさんに訴えます」という文書が日本共産党中央委員会名で出されたことがある。そこには次のように書かれていた。

「日刊紙の読者数は、この10年余の間に36万人から、24万人余に後退しています。『しんぶん赤旗』は(中略)読者からの購読料が収入の中心です。読者数の後退は収入の減少に直結します」

「日刊紙をすべての党員が購読することです。一人ひとりの党員の日刊紙未購読の状況にはそれぞれの事情があると思いますが、日々の『しんぶん赤旗』を読み、日本共産党員として誇りと確信をもって生き、活動するためにも、ぜひ、みなさんが日刊紙を購読することを訴えます」

だが、この訴えが実ることはなかった。

新聞読者数の減少は、一般紙も同じことだ。私宅の真向かいに若夫婦が住んでいるが、新聞は取っていない。私は集合住宅に住んでおり、定期的に古新聞回収業者が回ってきて、ゴミ袋、トイレットペーパー、ポケットティッシュなどと交換してくれる。1階の階段脇に降ろしておくだけで大丈夫なので重宝している。一度、どのぐらい出ているか見回ってみたが、ほとんど出ていない階段もあった。いかに新聞が読まれていないかがよく分かった。

今やニュースはスマホやパソコンでいくらでも見ることが可能な時代である。別に共産党の前途を心配しているわけではないが、赤字垂れ流しの日刊紙の廃止も真剣に検討すべき状況になってきたということだろう。共産党はすでに「しんぶん赤旗」の電子版を発行している。いずれ日刊紙は、電子版だけに切替える──。岩井氏の訴えは、おそらくそのことを見通してのものではないか。

・当面、対話外交路線か 米最強硬派・ボルトン氏解任(東京新聞web 2019年9月12日)



※トランプ米大統領は十日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を解任したとツイッターで発表した。「私は彼の提案の多くに反対し、政権の他の人も同じだった」と意見の相違を強調。最強硬派の解任が対北朝鮮やイランなど重要政策に影響を与えるのは必至だ。
 
国家安全保障問題担当の大統領補佐官は政権の外交・安保政策の司令塔。ボルトン氏は前任のマクマスター氏の更迭により昨年四月に就任した。政権発足後、二年半余りで三人が交代するのは異例だ。トランプ氏は来週、後任を任命する方針で、米メディアではビーガン北朝鮮担当特別代表やマクレガー元米陸軍大佐らの名前が挙がっている。
 
ボルトン氏は、北朝鮮やイラン、ベネズエラなどに対する強硬路線をけん引し、当初はトランプ氏の信頼も厚かった。
 
しかし、トランプ氏が来年の大統領選をにらみ、硬軟織り交ぜた取引(ディール)外交で成果を急ぐ一方、ボルトン氏は対立する国への武力行使や体制転換も辞さない方針を「ぶれずに信念で追求する」(日米関係筋)とされる。このためトランプ氏は次第にいら立ちを募らせた。ボルトン氏は、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの秘密交渉にも反対、解任の決定打となった。
 
強硬一辺倒だったボルトン氏の重しがなくなり、対外政策の振り子は当面、対話や交渉路線に重心が移るとみられる。後任にも目されるビーガン氏は、北朝鮮に核放棄など「完全な非核化」を迫ってきたボルトン氏とはすでに一線を画し、核やミサイル開発の凍結により見返りを提供する考えを示している。
 
対イランでは、トランプ氏、ポンペオ国務長官とも先月以降、ロウハニ大統領との首脳会談に前のめりな姿勢をみせる。今月下旬には米ニューヨークで国連総会が開かれ、北朝鮮、イランとの交渉がどう展開するかが「ボルトン後」を占う試金石となる。
 
・トランプ氏「北朝鮮政策で大きな過ち」 ボルトン氏批判(日本経済新聞 2019年9月12日)

※トランプ米大統領は11日、解任したボルトン前大統領補佐官の北朝鮮政策に関連して「とても大きな過ちを犯した」と批判した。同氏が唱えた北朝鮮の核放棄を先行させた後に見返りを与える「リビア方式」について「彼がそれを話したとき交渉は著しく妨害された」と主張した。対北朝鮮政策での両氏の溝を改めて露呈した。

トランプ氏は「彼がリビア方式に言及したのはひどかった。強硬かどうかという話ではなく、賢いやり方ではない」と語った。中東政策やベネズエラ問題でも「彼とは相いれなかった」と説明した。

リビアのカダフィ政権は先に核計画を放棄し、その後に制裁緩和などの見返りを受けた。米国はカダフィ氏に体制保証をせず、後に同政権は民衆蜂起で崩壊した。このため、北朝鮮は同方式とそれを唱えたボルトン氏を非難したことがある。

トランプ氏はボルトン氏の後任について「ふさわしい人物が5人いる」とし、来週に指名すると改めて語った。

・ボルトンの首刎ね、捕らぬ狸の皮算用(JBpress 2019年9月14日)

※ドナルド・トランプ米大統領がネオコン(新保守主義)生き残りの強硬派、ジョン・ボルトン大統領国家安全保障担当補佐官の首を刎ねた。

ボルトン氏は切腹(辞任)を願い出たが、斬首した。

首を刎ねた後も「君はいくつものの重大なミスを犯した」と口汚く罵った。

ボルトン氏がジョージ・W・ブッシュ(子)政権下で政府高官として無謀なイラク侵攻を推進させた「前歴」まで持ち出して批判した。

トランプ大統領は政権発足から963日現在で2人の国家安全保障担当補佐官、2人の大統領首席補佐官、司法長官、連邦捜査局(FBI)長官を更迭。

国務長官、国土安全保障長官、労働、厚生、内務、在郷軍人各長官を次々と辞任に追いやった。

さすがに「狂犬マティス」国防長官は反発して辞表を叩きつけた。

トランプ大統領は昨今、金融政策を巡って自分の意のままにならないジェローム・パウエル連邦制度準備委員会(FRB)の解任すらほのめかしている。いずれ首を刎ねるつもりなのだろう。

政権とは、自分が長年やってきた不動産・ゴルフ・ギャンブル企業のようなつもりでいるのだ。

気に入らない重役や役員は鶴の一声で解雇するワンマン社長の手口だ。

保守派は評価二分

米メディアはこのボルトン更迭に様々な解説を載せている。

保守系メディアでもトランプ政権では屈指の外交専門家が去るのを惜しむジャーナリストもいれば、「官僚制度に住み着いてたサナダムシが退治された」と歓迎するジャーナリストもいる。

フォックスニュースの人気キャスターでトランプ大統領の「影のアドバイザー」といわれてるタッカー・カールソン記者はまさに後者だ。

ボルトン氏とは犬猿の仲だった。

リベラル派や中道派では、トランプ外交に幅ができる可能性が出てきたと評価する論評が目立っている。

『ザ・ニューヨーカー』のコラムニスト、スーザン・グラッサー氏はこう指摘している。

「ボルトンは去った。ソロバン勘定的世界観(Transactional world view)のトランプ大統領と、タカ派教理主義者(Hawkish catechism)のボルトン氏との路線対立にケリがついた」

「ボルトン氏という口うるさい保守派教理主義者がいなくなったおかげで、大統領は北朝鮮の金正恩(朝鮮労働党委員長)だけでなく、『世界の悪玉』とされてきたイラン、アフガニスタンのタリバンの最高指導者と白昼堂々取引することができるようになった」

果たして、トランプ大統領の「ソロバン勘定的世界観」では何が狙いなのか。

来年の大統領選での再選もある。が、もっと欲しいものがある。ノーベル平和賞だ。

(かって安倍晋三首相がトランプ氏をノーベル平和賞候補として推薦したことを知らされて有頂天になったことはすでに世界中が知っている)

『ジ・アトランティック』のトーマス・ライト氏はこう言い切っている。

「これでトランプ大統領は(将来書くだろう)回顧録に『取引外交とノーベル平和賞の追求』という新たな章を付け加える」

「この章には、イラン最高指導者との史上初の首脳会談、タリバン最高指導者や金正恩委員長との交渉、さらにはロシアのウラジーミル・プーチン大統領との軍縮交渉などが網羅される」

「トランプ大統領にとっては交渉内容や具体的な成果などはどうでもいい。(ノーベル平和賞選定委員会が同賞に値すると判断するだけの、つまり史上初、米大統領としては初めての、という)クレジットがありさえすればいいのだ」

ボルトン補佐官が去ったことで過激な外交路線からよりマイルドな路線になるかどうか、などという予測はやめた方がいいかもしれない。

はっきりした外交哲学も政治理念もないトランプ大統領はこれまで以上にその場しのぎの、思いつき外交に突き進む可能性の方が大きいのだ。

だとすれば、大統領が何をするかを予見する尺度は「ソロバン勘定外交」以外にないのかもしれない。ボルトンという「右ネジ」がなくなってしまったのだから。

強硬路線より激しい気性に辟易

元米外交官で、現在主要シンクタンクの客員研究員は、ボルトン氏解任を巡る様々な反応を踏まえて筆者にこう指摘している。

「トランプ大統領がボルトン氏を更迭するだろうという噂は以前からあった。解任するのは時間の問題だった」

「ホワイトハウスで働く私の知人によれば、大統領がボルトン氏を切った理由は、同氏の強硬外交路線が政権内部で突出していたこともあるが、彼の激しい気性に大統領は匙を投げたという」

「ボルトン氏は行く先々で敵を作る。部下や同僚を苛める。自分が常にお山の大将じゃないと気が済まない。気に食わないことがあると、激怒し、怒鳴り散らす。一緒に働く人は誰一人彼を信用しない」

「しかも持論を支持してもらうため、議会共和党の数人の議員に情報を流す。フォックス・ニュースのインタビューに積極的に応じては、あたかも大統領を代弁するかのようにコメントをしていた」

では、トランプ大統領は、そんなボルトン氏をなぜ補佐官に任命したのだろうか。件の研究員は続ける。

「トランプ大統領がボルトン氏を国家安全保障担当補佐官にしたのは、当時、三顧の礼で迎え入れたH・R・マクマスター陸軍大将が突如辞めてしまったからだ」

「ボルトン氏はその時、ホワイトハウスに数人いる外交担当顧問の一人だった。むろん周辺はブッシュ親子に仕えた共和党内でも外交政策の一人者として評価していたことは確かだ」

「大統領としては身近にいたボルトン氏を渡りに船とばかりに補佐官に任命したのだ」

「ボルトン氏には強力な後ろ盾がいた。億万長者でトランプ氏の最大の政治献金者のシェルドン・アデルソン氏。そのアデルソン氏がボルトン氏をトランプ大統領に推薦したのだ」

「別の後ろ盾は、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相を中心とするイスラエル政財界と米国内のユダヤロビーだ。ボルトン氏が反イランの急先鋒なのはそのためだった」

役割を取り違えたバッド・コップ

むろん、ボルトン氏ほど外交経験豊かで国際問題に精通している政府高官はトランプ政権にはいない。

大統領も当初は、重宝していた。こと国際問題に関し、ボルトン氏が知らないことはなかった。

トランプ大統領に対する同氏のブリーフィングは理路整然としていたが、持論を振りかざした。やがて大統領にとって、タカ派的教理主義が耳障りになってくる。

事実関係だけを単純な言葉で端的に説明してほしい大統領はボルトン氏のブリーフィングを段々、遠ざけるようになる。

それでもボルトン氏を切れなかったのは、大統領にとってはまだ使いようがあったからだ。

『バニティ・フェアー』のT・A・フランク記者はそのあたりについて書いている。

「トランプ大統領は外交交渉でボルトン補佐官に『バッド・コップ』(Bad Cop=悪い警官)を演じてもらいたかった。むろん自分は『グッド・コップ』(Good Cop=良い警官)だ」

「『バッド・コップ』の役割は容疑者(交渉相手)に対し、敵意をむき出しにして脅すことにある。その後で登場する『グッド・コップ』は手のひらを返したように容疑者(交渉相手)を宥めすかして最終的には自供(妥協・譲歩)を引き出す」

「普通の『バッド・コップ』であれば、『グッド・コップ』により効果的な仕事をさせるのが役割だ」

「ところがボルトン氏は大統領の威を着て相手を脅し、怒鳴り散らし、相手を怒らせ、交渉は決裂状態になってしまうことがしばしばだった」

まさに対北朝鮮との非核化交渉では、ボルトン氏はいわゆる『リビア方式』*1を唱えて、北朝鮮を怒らせてしまった。

*1=リビアのカダフィ政権が2003年米国などと行った非核化交渉で適用された方式。リビアが核兵器および関連施設を完全に放棄し、非核化を実現したうえで経済制裁を解除するというものもの。

トランプ大統領は、ボルトン更迭の理由の一つにその一件を持ち出した。

自分があれだけ一生懸命やってきた対北朝鮮交渉に水を差された恨みはいまも忘れられないのだろう。

ビーガン北朝鮮政策特別代表の名前も

トランプ大統領は、ボルトン氏の後任を15日から始まる週に発表すると明言している。候補者は5人いるとまで言っている。

米メディアによれば、候補者は以下の通りだ。

●チャールズ・カパーマン大統領国家安全保障担当副補佐官(68)

ボルトン氏の更迭後、後任が正式に決まるまでの代行になっているが、そのまま補佐官に昇格する可能性がある。

南カリフォルニア大学で博士号を取得している。博士号論文は『SALT(戦略兵器制限交渉)第2次交渉を巡る論争』。

ロナルド・レーガン政権では外交政策顧問。ロッキード・マーティンやボーイング関連のコントラクターなどを経て、ボルトン氏に招かれて国家安全保障会議(NSC)入りしている。

●スティファン・ビーガン北朝鮮政策特別代表(56)

米フォード・モーターの政府関連業務担当副社長の時にマイク・ポンペオ国務長官に国務省入りを勧められて現職に就く。

ミシガン大学でロシア問題専攻。ロシア人の知人も多く、米ロ評議会議員などを務めている。ブッシュ政権(子)ではNSCスタッフとしてロシア政策を担当していた。

●ブライアン・フック・イラン担当特別代表(57)

レックス・テラーソン国務長官(当時)が政策立案局長に任命、ポンペオ長官の上級顧問となり、その後現職。

アイオワ大学で法学博士号を取得。ブッシュ政権(子)では国務次官補(国際機構担当)や大統領特別補佐官を歴任している。

大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問と親しい。

●ダグラス・マクレガー退役陸軍大佐(42)

米陸軍士官学校卒。バージニア大学で博士号を取得。1991年の湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加している。

退官後は著述活動に入り、戦争に関する多数の著者がある。フォックス・ニュースの番組にコメンテイターとして頻繁に出演している。

●リチャード・グレネル駐独大使(52)

ハーバード大学ケネディ行政大学院で修士号を取得。ブッシュ政権(子)の米国連代表部スポークスマンに任命され、ボルトン国連大使時代を含め7年間務めた。

その後、ミット・ロムニー共和党大統領候補の選挙陣営に参加。

2017年トランプ大統領から駐独大使に任命された。国連大使や駐カナダ大使に任命されるのではないかとの憶測もあった。同性愛者であることを公言している。

率直に持論を述べる挑戦的な性格であることでも知られている。

●ロブ・ブレア大統領首席補佐官代行補佐官(28)

ミック・マルバニー行政管理予算局(OMB)局長当時、補佐官として国家安全保障関連予算を担当していた。

コーネル大学を経て、タフト大学フレッチャー法律外交大学院で修士号を取得。

トランプ大統領にすっかり気に入られており、ボルトン補佐官が出席しない安全保障問題討議には参加しているという。

万一国家安全保障担当補佐官に任命されれば史上最年少の補佐官となる。

バンディ、キッシンジャー時代は遠い彼方

かって筆者が日本の新聞社のワシントン特派員としてホワイトハウス詰めだった頃、大統領国家安全保障担当補佐官はヘンリー・キッシンジャー博士だった。

リチャード・ニクソン大統領の絶大な信頼を得て、キッシンジャー博士は国務長官(当時はウィリアム・ロジャーズ氏)よりも外交立案・実施では絶対権限を持っていた。

米中関係正常化、ベトナム和平工作でもまるで忍者のごとく神出鬼没の隠密外交を展開した。沖縄返還交渉でも重要なことをすべて秘密裏に進めていた。

冒頭に引用した元外交官でシンクタンク研究員は当時、国務省でキッシンジャー補佐官の快刀乱麻の外交活動を眺めていた一人だ。

「初代補佐官は、ドワイト・アイゼンハウアー第34代が1953年に任命したロバート・カトラ―氏だ」

「その後、補佐官の存在はどんどん大きくなり、ジョン・F・ケネディ第35代大統領のマクジョージ・バンディ氏、ユージン・ロストウ氏は最もパワフルな存在になった」

「その後最も存在感を示したのは、キッシンジャー補佐官だ。だがその後の政権ではこのポストはそれほど重要ではなくなっていく」

「大統領が誰かにもよるが、トランプ大統領にとっては国家安全保障担当補佐官なんてホワイトハウスのスタッフの一員くらいの評価なのだろうね」

「ボルトン氏の後任が誰になっても大統領の外交方針や戦略に大きな影響を及ぼすとは思えないね」

一連の騒動について民主党の重鎮、ナンシー・ペロシ下院議長は、一言こうコメントしている。

「大騒ぎすることなんかないわ。トランプ政権内の混乱を象徴する事件の一つに過ぎないからよ」

・イエメン軍、サウジ空軍基地の軍事施設にドローン攻撃を開始

2019年9月4日

https://blog.goo.ne.jp/aya-fs710/e/1becc31ad158979133df9c43437ddb3f



※イエメンの作戦司令センターのメディア局が提供するこの写真は、2019年7月7日にイエメンのサナアで展示されているQasef-2K(Striker-2K)戦闘ドローンを示しています。

イエメン軍のスポークスマンは、陸軍のトルーパーと人気委員会の同盟戦闘機が、国内で製造されたカセフ-2K(ストライカー-2K)戦闘ドローンの戦隊を使用して、サウジアラビアの南西部のアジールで軍用機の格納庫に対する一連の空爆を開始したと言います。

ヤハヤ・サリー准将は、火曜日遅くに首都リヤドの南884キロに位置するキング・ハリド空軍基地の指定された目標を無人航空機が非常に正確に攻撃したと述べた。

イエメン政府高官は、リヤド政権が戦争で荒廃したアラブ国に対する軍事侵略、包囲、容赦ない襲撃を続ける限り、報復攻撃が続くことを強調した。

・10のイエメンドローンがサウジアラムコの施設を襲った、陸軍は言う

2019年9月14日

https://blog.goo.ne.jp/aya-fs710/e/849006c7719ae6a4eb6a96350ea61163

※イエメン国軍のスポークスマンは、アラブ諸国の戦闘ドローンが、アブカイクの東部都市にあるサウジアラビアの主要なアラムコ施設に対して報復攻撃を開始し、王国最大の石油プラントに大きな損害を与えたと語った。



ヤヒヤ・サリー准将は土曜日に、アル・マシラ衛星ニュースチャンネルが放送するテレビ放送された住所で発表した。

彼は、イエメン軍がAbqaiq油処理施設とKhurais油田を攻撃するために10個のドローンを送ったと言いました。

彼は、サウジアラビア主導のイエメンに対する戦争が続けば、王国に対する同様の攻撃の数が増えると警告した。

「サウジ政府の唯一の選択肢は、私たちへの攻撃を止めることです」と彼は強調した。

その日早く、サウジ内務省は声明でサイトが「無人偵察機によって標的にされた」ことを確認した。

同社は、ブチャクにあるAbqaiq油処理施設を「世界最大の原油安定化プラント」と評しています。

サウジアラビア東部のダーランの南西約60 km(37マイル)のアブカイクには、世界最大の石油加工工場があります。ペルシャ湾から輸出されるほとんどのサウジ石油はそこで処理されます。

・サウジ石油施設にドローン攻撃 イエメン「フーシ派」攻撃主張(NHK NEWS web 2019年9月14日)

※サウジアラビア東部にある世界最大規模の石油施設などが、ドローンによる攻撃を受け、火災が発生したと国営通信が伝えました。隣国イエメンのサウジアラビアと対立する反政府勢力「フーシ派」が攻撃を行ったことを主張し、被害の状況次第では世界の原油価格への影響も出ることから注目が集まっています。

サウジアラビアの国営通信が14日伝えたところによりますとサウジアラビア東部のアブカイクとクライスにある国営石油会社「サウジアラムコ」の2か所の石油施設がドローンによる攻撃を受けて火災が発生したということです。

このうち、アブカイクで撮影された映像では施設から複数の煙が立ち上る様子が確認できます。

アブカイクには産出された原油を輸出用に精製する施設があり、処理能力は日量700万バレルと世界最大規模でサウジアラビアの原油輸出の生命線となっています。

この攻撃について、隣国イエメンのサウジアラビアと対立する反政府勢力「フーシ派」は14日、10機のドローンで2か所の施設を攻撃したと主張する声明を出しました。

石油施設への攻撃の詳しい状況は明らかになっておらず、被害の状況次第では世界の原油価格への影響も出ることから注目が集まっています。

・サウジ、石油生産の半分停止=無人機攻撃、世界供給不安も(時事通信 2019年09月15日)

※サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は14日、東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油関連施設への無人機攻撃を受け、攻撃された2カ所での石油生産を一時的に停止したことを明らかにした。サウジと敵対するイランが後ろ盾のイエメン反政府武装組織フーシ派が犯行を主張。フーシ派はサウジ重要拠点への攻撃拡大を警告しており、今後も世界の原油供給に悪影響が広がる恐れがある。

死傷者はいなかったが、サウジ全体の産油量の約半分、世界供給分の約5%に当たる日量570万バレルの生産が中断された。再開に向けた復旧作業が続けられ、生産不足分の一部は備蓄を取り崩して賄う方針。ただ、ロイター通信によると、全面再開には数週間かかる見通し。供給不安が長引けば、国際原油価格が高騰する可能性もある。

・米国務長官、イラン非難 「前代未聞の攻撃」(共同通信 2019年9月15日)

※ポンペオ米国務長官は14日、サウジアラビアの石油施設に対する無人機の攻撃についてツイッターでイランの仕業だと名指しした上で「世界のエネルギー供給に対する前代未聞の攻撃を仕掛けた」と激しく非難した。

ポンペオ氏は「イランはロウハニ大統領とザリフ外相が外交するふりをしながら、サウジに対する100近い攻撃の背後にいる」と糾弾した。

サウジの石油施設への攻撃についてはイエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行声明を出したが、ポンペオ氏は「イエメンからの攻撃だという証拠はない」と指摘。世界各国にイランを非難するよう求めた。

※キチガイ福音派シオニスト ボルトンの戯言に騙されないようにwww

・米批判は「無意味」=サウジ攻撃でイラン外務省(時事通信 2019年09月15日)

※イラン外務省報道官は15日、ポンペオ米国務長官がサウジアラビア石油施設への無人機攻撃に関してイランの責任を指摘したことについて、「やみくもな嫌疑には意味がない」と批判した。国営メディアが伝えた。ザリフ外相もツイッターに「ポンペオ長官は最大限の圧力が失敗し、最大限の欺瞞(ぎまん)に頼っている。イランを批判しても惨事は終わらない」と投稿した。
 
攻撃については、イランが支援するイエメン反政府武装組織フーシ派が犯行を主張したが、ポンペオ氏は「イエメンからの攻撃である証拠はない。イランは世界のエネルギー供給への前例のない攻撃を仕掛けた」と非難した。これに対し、外務省報道官は「(イランの)評判を損ない、将来の行動に道を開くための言動だ」と反論した。

・「相互防衛条約」を協議=イスラエル首相と電話会談-トランプ氏(時事通信 2019年9月15日)

※トランプ米大統領は14日、ツイッターで、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、米国とイスラエルの「相互防衛条約」実現について協議したことを明らかにした。その上で、今月下旬にニューヨークで行われる国連総会に合わせて会談し、同条約について協議を続けるのを「楽しみにしている」と強調した。

トランプ氏は「(条約は)両国の素晴らしい同盟関係をさらに強固に結びつけるだろう」と指摘。17日のイスラエル総選挙で苦戦するネタニヤフ氏を側面支援した形だ。トランプ氏は自身の支持基盤である親イスラエルのキリスト教福音派に配慮し、イスラエル寄りの姿勢を取っており、ネタニヤフ氏とも親密な関係を築いている。

ネタニヤフ氏はツイッターで、トランプ氏の発言に謝意を示し、「国連総会での会談で歴史的な防衛条約を推進することを楽しみにしている」と応じた。ただ、イスラエルのメディアによると、同国軍幹部の間では、相互防衛条約は軍の行動を縛りかねないと懸念する声もある。 

・米大統領、サウジ攻撃への報復示唆(共同通信 2019年9月16日)

※トランプ米大統領は15日、サウジアラビアの石油施設に対する攻撃について「われわれは犯人を知っており、検証次第で臨戦態勢を取る」とツイッターで強調し、報復を示唆した。

・サウジ石油施設攻撃、根拠ない非難は無責任=中国外務省(ロイター 2019年9月16日)

※中国外務省は16日、14日に起きたサウジアラビアの石油施設への攻撃について、証拠もなく特定の対象を非難するのは無責任とし、冷静な対応を呼び掛けた。

国営石油会社サウジアラムコの2カ所の石油施設が14日に攻撃され、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行声明を出した。だが、ポンペオ米国務長官は、イエメンからの攻撃だという証拠はないと主張。米政府高官は、イランが関与したことを示す証拠があると述べた。トランプ米大統領は15日、米国は臨戦態勢ができている、とツイッターに投稿した。

中国外務省の華春瑩報道官は16日の会見で、冷静と自制を呼び掛けた。

「徹底的な調査もせず、だれの仕業か考えるのは責任ある行動とは思わない。中国は、対立を拡大、助長するような動きには反対という立場だ」とし「関係当事者に、地域の緊張を高める行動を避けるよう要請する。すべての当事者が自制し、中東の平和と安定の保護に共に取り組めることを希望する」と述べた。

中国は、経済、外交、エネルギー分野でサウジ、イラン双方と緊密な関係にあり、両国に対する対応では慎重な配慮を求められている。

・サウジ施設攻撃、米が衛星画像公表 イラン側は関与否定(朝日新聞DIGITAL 2019年9月16日)

※サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けた問題で、イラン政府に責任があると主張する米政府は15日、現場の衛星画像などを公表した。施設の北西側が被弾しているといい、政府高官はイランやイラク方面からの攻撃の可能性が高いとの見方を示した。イランは関与を否定しているが、トランプ米大統領も「検証結果次第で臨戦態勢をとる」とツイートしており、米国とイランの間の緊張がさらに高まる恐れがある。

14日に攻撃されたのは、サウジ東部にある国営石油会社の石油施設2カ所。南側に位置する隣国イエメンの反政府武装組織フーシが、10機のドローンで攻撃したと犯行を表明しているが、ポンペオ米国務長官は「イランが攻撃を行った」と主張している。

ロイター通信によると、米政府高官は15日、石油施設の19カ所に着弾の跡があることを示す衛星画像を公開した。攻撃にはドローンだけでなく、巡航ミサイルが併用されたとの情報なども挙げ、「イランに責任があることは間違いない」と述べたという。

トランプ氏もツイートで「我々は犯人を知っていると信じる理由がある」としつつ、「誰が攻撃をしたのかについて(サウジ)王国から(見解を)聞くのを待っている」と発信。サウジによる検証を待って対応策を判断する考えを示した。

これに対し、イラン外務省のムサビ報道官は16日の定例会見で「イランが関与したという米国の批判は根拠がなく、受け入れられない」と強調。イラン政府のラビイー報道官も「イエメン内戦の根本的な問題に取り組まず、事実無根の批判を続けている」と語った。