・「水道民営化」とは「水道私的独占化」。命の水のグローバル資本への売り渡しを絶対に許してはならない!!
https://twitter.com/kikuchi_8/status/1099373360310509568
〇大阪市が水道事業へのコンセッション方式導入を決定。「水道料金は現行水準を維持できる」と言うが、改悪PFI法では料金の設定は届出制(つまり議会の議決が必要ない)になっているのでそんな保証はどこにもないだろう。ケケ中モドキが街を牛耳っている大阪市が気の毒。https://mainichi.jp/articles/20190222/k00/00m/040/316000c
〇PFI法の(公共施設等の利用料金) 第二十三条第二項に「利用料金は、実施方針に従い、公共施設等運営権者が定めるものとする。この場合において、公共施設等運営権者は、あらかじめ、当該利用料金を公共施設等の管理者等に届け出なければならない。」とある。議会の承認がいらない届出制である。
〇他国の「民営水道」では料金は公共団体と業者のサービス契約で決められる場合もあるそうだが、届出制はそれより酷い。PFI発祥地の英国の会計検査院が「PFIは公的財政にプラスになるという証拠が乏しい」と言っている。RFI自体の発祥国の会計検査院がそのように言っている事実は非常に重いと言えよう。
〇英国会計検査院のレポートは「PFIが公的な財政にプラスであるという証拠が乏しいと結論した」由。コンセッションはPFIの一種。引用:NAO(英国会計検査院)は、英国が25年もPFIを経験しているにもかかわらず「PFIが公的財政に恩恵をもたらすというデータが不足」と報告した。http://www.mizujoho.com/mizujoho/about/tabid/89/Default.aspx?itemid=64&dispmid=467
〇水道私営化した都市が再公営化する場合は莫大な費用がかかる上、訴訟リスクもある。実際に再公営化を決断して訴訟を起こされた都市もある。その都市の国が包括的奴隷条約に入っているとISD発動の脅威がある。これが最大の壁となる。だから、TPPも日欧EPAも脱退が不可欠である。これを常に言い続ける。
〇料金設定は運営権者が決め届け出るだけ。自治体は料金設定に関し手綱を握ってないのにどうやって「料金を現行水準で維持」するのか?無責任!いや、確信犯か。引用:新たに施設利用料金の設定は自治体への届け出だけで済むようにし、議会承認は事後報告で済むように見直した。https://www.decn.co.jp/?p=100200
〇「利用料金の設定は条例で定められた利用料金の範囲内。だから料金設定についてはしっかり自治体がグリップを握っている。」という異論が想定できるが、この仕組みは料金の値上げを暗黙の前提とする誤魔化しの産物だと考える。例えば上限を現行の2倍に設定すれば2倍までは料金を上げられる訳である。
〇かといって上限を低く設定すれば儲からないので業者がつかない。水道私営化を強行するネオリベが牛耳る自治体ならば業者を呼び込む為に上限を現行より高く設定するに違いないと容易に想像できる。自治体が手綱を握る為の規定なら業者が提示する具体的な金額毎に議会承認を必要とする仕組みにするはず。
〇私営化を前提とする以上「条例で定める利用料金の範囲内」という制限を設けても、上限が現行より高くなるであろう事は容易に想像できる訳である。「利用料金の範囲」の上限を高く設定すると料金の値上がりはほぼ確実。低く設定すると業者がつかない。このディレンマ。私営化自体間違っているという事。
〇この場合、電気料金の規制はあまり参考にならないのでは?電力会社は私営ではあるが、料金の値上げには政府(経済産業大臣)の認可が必要。一方、水道にコンセッション方式を導入した場合はPFI法が適用されるので料金の設定に政府の認可は要らず届け出で済む。仕組みが違う。
〇水道私営化は利権に直結する為か妨害工作員が多数湧く傾向。ケケ中エピゴーネンが政界の周辺をうろうろ徘徊している限り「水道の広域統合」も私営化が前提としか思えない。ケケ中エピゴーネン「だったら水道事業の経営はどうする?」→「まずはあなた方利権屋や腐れネオリベが政界から消える事が先決」
〇水道私営化は自民党より公明党の方がより積極的である。自公政権では国交大臣は公明党の「指定席」化している。地方議会には水道私営化に反対する自民党議員もいる(例えば新潟県議会)。あまりにも熱心に水道私営化を喧伝したり、水道私営化の反対者にしつこく絡むのは創価信者の可能性があると思う。
〇水道私営化を熱心に宣伝する者は水メジャー本体は別とすると利害関係や動機からして①ケケ中以下の国内の利権屋②公明党の支持者(創価学会の信者)③維新の会の支持者(関西だと特に)が多いのではと想像する。動員力からすると②が最大だろう。
〇それは只の希望的観測だと思います。仮に「将来の値上げ回避」の為に「民営化」を手段としたとしても、営利企業に任せる訳ですから逆に値上がりする可能性が高いという事です。「民営化自体は只の手段だからもし値上がりしたらまた公営に戻せばよい」とお手軽にもいきません。
〇PFI発祥地の英国の会計検査院が「PFIが公的財政にプラスになるという証拠が乏しい」と報告しているのに、民営化(私営化)推進論者は「PFIで必ず上手くいく」と根拠なく断定し信じ込んでいるのが不思議だ。不思議というか、コアな連中は上手く行こうが行くまいが利権を貪ろうとしているだけだろうが。
〇水道民営化論者は「条例で定められる範囲内で料金が設定されるので届け出制でも料金の高騰はあり得ない。高騰したら議会の条例で上限を下げればよい。」と言うだろうが、仮に下げた場合に「不当な上限設定で損害を受けた」として私企業が訴えてくるリスクは考えているのだろうか?ISDSを忘れている。
〇世界の事例を見ても一端私営化したら簡単に公営に戻す事はできない。莫大な違約金を払ったり、訴訟を起こされるリスクがある。また、長い間私企業に水道事業を任せていたら公共団体からは水道事業を営む技術や人員が失われてしまって水企業に依存せざるを得なくなり、その点でも再公営化が困難になる。
〇結局包括的奴隷条約の問題に帰結する。水事業は日欧EPA。英国が加盟したらTPPも。「主権を失う」とは「立法権を制約される」と言い換える事が出来る。米韓FTA後の韓国では中央議会だけでなく地方議会でもISDSの発動を恐れてグローバル企業の利益に反する条例を作る事ができなくなったと言われている。
〇命に直結する水道の「民営化」と聞くと普通は不安になるはず。「民営化」を自信満々に喧伝する程の推進論者は余程特殊な背景があるのではと疑ってしまう。①利権屋か②公明党支持者か③関西だと維新の会の支持者が多そうである。数で言うと②が最大なので「水道民営化論者を見たらまずは創価と疑え」。
〇PFI法により水道料金の範囲を条例で定めても自治体に料金に関し手綱があるとは思えない理由を思いつくままに列挙する。①業者を呼び込む為に料金の上限を高く設定しようとする誘因が自治体に働く。そもそも水道民営化を実行しようとする時点でその自治体はネオリベが支配しているであろうから尚更。
〇②料金が高騰した場合に議会で上限を下げようとすると「不当な上限規制で損害を受けた」として私企業(特に外資、水メジャー)に訴えられるリスク(特にISDS)。これを恐れて上限を下げられなくなる。③時が経つほど技術や人員の点でも水企業への依存度が高くなり料金設定でも意向に逆らえなくなる。
〇④「料金の上限が下がり利益が出ないと判断した水企業が撤退するかもしれない」と恐れる自治体は中々上限を下げる決定ができないのではいか?年月が経ち水企業への依存度が高まる程この傾向が増すだろう。⑤命に直結し公共性の高い水事業は営利企業には向かない。経営の改善も公営を前提に考えるべき。
〇水は生命維持に直結する最重要資源。「水事業の私営化」と聞いたら大なり小なり不安を感じるのが普通の感覚だと思う。少なくとも慎重になるのが人間としての誠実な態度ではないかと思う。それを自信満々に「民営化で上手くいく」と喧伝する者とは何か人間としての深いレベルで相容れないものを感じる。
〇PFI発祥地の英国の会計検査院ですら「PFIは公的財政にプラスになるという証拠が乏しい」と言っているので「民営化で絶対に上手くいく」かのように自信満々に断言できるはずもないのである。ネオリベ全般に対して感じる印象は「不誠実なシニシスト」「情を欠いたサイコパス」「利己主義的なニヒリスト」
〇ああ、それは物の見事な詭弁(藁人形論法)ですね。別に私は「営利企業の独断で値上がりする」とは言ってませんので。営利企業を入れると営利企業の都合で行政や議会の決定が多大な制約を受けるという事です。それは「実質的」に営利企業が料金決定に力を持つという事です。
〇「価格の範囲の設定の権限は行政が持つ」では。正確に言うと「条例で定める範囲内」だと「営利企業の独断で値上がり」しますね。ここまではあなたも異論はないでしょう。その「条例で定める範囲」(特に上限が重要)の決定が営利企業の都合で多大な制約を受けるとの指摘です。
〇水メジャーや国内の利権屋以外で水道民営化(私営化)を強硬に主張しているのは公明党支持者(創価学会信者)や維新の会支持者が多いと分析していたが、大阪市の水道民営化関連で絡んでくるのはどうも後者が多いようである。維新の会はその新自由主義的な政策を見ても完全に自民党清和会の亜流である。
〇松井大阪府知事の父は笹川良一の側近だったと言われているので笹川一派と繋がり維新の会は人脈的にも自民党清和会と重なると言える。政策的にも自民党清和会と同じ新自由主義的な構造改革路線である。水道私営化に関しては維新の支持者の方が地方議会には反対派もいる自民の支持者より「熱心」である。
〇「ヴェオリアなど水道事業者がISDSで自治体を訴えてくるからこれまでの水道料金を維持する事は不可能」という端的なご指摘を頂いた。まさにこれに尽きる。英国がTPP参加するとTPPと日欧EPAで世界の三大水メジャーが含まれる事になる。結局は包括的奴隷条約の問題に帰結する。何が何でも脱退あるのみ!
〇水道私営化推進論者が反対者に「民を信用しない官尊民卑主義者」などと言っていて笑ってしまう(笑)。「水道民営化」の「民」とは「民間企業」の「民」。しかも、水メジャーは「超巨大私企業」である。「民」の「民衆」という語感で騙す典型的なネオリベレトリック過ぎて苦笑。
「「民営化」「民間にできる事は民間に」という場合も「民」とは「民衆」「国民」「住民」の「民」ではなく、「巨大民間企業」の「民」である。ベクテルやヴェオリアなどの超巨大私企業群は「民間企業」と言っても、一政府を屈服させる程の力を持っている。「民」という語感に騙されないように要注意。」
https://twitter.com/kikuchi_8/status/1041748444115722240
〇水道民営化関連で絡んで来た維新の会の支持者らしき者と話してみて分かったのは、維新信者は似非保守の安倍信者以上に露骨にネオリベ脳だという事。安倍信者は「保守」を偽装するネオリベだが、維新信者は偽装をしない分より露骨でダイレクトである。小泉一派に近いかもしれない。まあ、皆同類だが。
〇「住民」「民主主義」の「民」なら自治体の長や議会の議員は公選なので公営の方が民に近く私営の方が民から遠い。ネオリベは「巨大私企業」を「民」と呼んで「私営の方が民に近い」と印象操作する。「民」という表記を利用したすり替えのトリックだ。ロスチャイルド系超巨大多国籍企業のどこが「民」?
〇世界的に水ビジネスを展開し「ウォータバロン(水男爵)」と言われているヴェオリアやスエズを「民」と言うのはいくら何でも詐欺論法過ぎる(「民」どころか「男爵」!)。歴史的に言うとどちらもロスチャイルド財閥の系列である。英国のロスは文字通り「バロン」である。「民」の表現は無理過ぎる。
〇目を付けられてもコンセッション方式を導入しなければ「終わり」ではありません。多国籍企業とて制度がなければ何もできません。これは気構えとか精神論の問題ではなく制度や構造の問題です。意思決定のプロセスは単純に「強い」「弱い」ではなく様々な条件に左右されます。
〇例えば水企業への依存度が高くなると公共団体には水道事業を行う技術や人員が失われてくるので水企業が「撤退するぞ」と脅して来たら料金の値上げを認めざるを得なくなる(海外の実例あり)。これは公共団体側が状況を把握しているからこそである。つまり自治体がバカではないからこそ屈するのである。
〇「自治体が強いから、馬鹿ではないから大丈夫」とはヤンキー的な理屈。気構えのではなく制度や構造の問題。意思決定のプロセスは単純な「強い」「弱い」ではなく様々な条件に左右される。制度や構造も大きな要因。だから意思決定プロセスに不当な介入を及ぼされないような制度設計をするべきという事。
〇「強いか弱いか」「馬鹿かそうではないか」は「民営化するか否か」の段階で問われている。民営化を決定した時点で「弱く」「馬鹿」なのである。一端そういう制度設計をしてしまうと、後任者がどれ程個人的に強く賢くてもその制度を維持する以上は意思決定プロセスに不当な介入を及ぼされるのである。
〇米国・インディアナポリスではヴェオリアは「事業から撤退すると市当局を脅し、同社の逸失利益を埋め合わせるために年間190万ドルの追加支払いを約束させた。」と報告されている。水事業からの「撤退」は脅しになるのである。「命の水」を握られるとはそういう事である。http://www.mizujoho.com/Portals/0/PDF 世界的趨勢になった水道事業の再公営化.pdf
〇水企業から「料金を上げないと水事業から撤退するぞ」と脅されたとして、公共団体側にそれに代わって水供給を行える条件や見通しが何もない状態で「あ、そう。勝手にしろ!」と言う方が無責任でバ〇である。事は市民の命に関わる。「強い」とか「馬鹿ではない」とはそんな単純な話ではないのである。
〇再公営化に際し水企業がISD条項を発動した事例も当然ある。アルゼンチンのブエノスアイレスが水道事業を再公営化した際にスエズが国際投資紛争解決センター(ICSID。悪名高きISDSの訴訟を扱う世銀の疑似裁判所)に損害賠償請求の手続きを行った由。これを恐れて再公営化できない場合も多いと思われる。
〇水道民営化(私営化)は大きくは国連系の工作である。「ワシントンコンセンサス」に基づき世界銀行が世界中の水道民営化を後押ししてきた(融資の条件として水道民営化を要求。「金を貸すから水道寄こせ」、まさにヤクザの手口、国際闇金!)。水道民営化は国連が掲げるNWO計画「SDGs」の一環である。
〇世界銀行の水道民営化工作の中で起きたのがボリビアのコチャバンバ水紛争である。世界銀行はボリビアへの融資の条件として水道事業の私営化を要求。ボリビア政府をこれを飲み、ベクテル系の企業に売却された。結果、水道料金が高騰し、大規模が反対運動が起った。水道私営化工作の裏に世界銀行があり。
〇各国に公的事業の私営化を要求するのも世界銀行なら、それによって紛争が起きた場合にISDSの訴訟を扱うのも世銀の機関(国際投資紛争解決センター=ICSID)である。マッチポンプ構造である。世界銀行は公的団体と装っているが、国際金融資本や多国籍企業群の利益を最大化する為の代理機関に過ぎない。
〇フィリピンの水道民営化では当初は水道料金の値下げが約束されていたが、マニラッドという水道会社の水道料金は2003年1月までに当初の4倍まで跳ね上がったそうである。民間水道会社は営利企業なので損失が出ると真っ先に料金の値上げによって埋め合わせようとする傾向がある。http://www.jacses.org/sdap/water/report04.html
〇「水道民営化は只の手段」みたいに言う者がいたが、「水道民営化して上手くいかなければ再公営化すればよい」というお手軽な話ではない。再公営化事自体が多大な困難を伴うし、再公営化時にかかった株式の買戻し費用が再公営化後も料金に上乗せされて長く苦しんでいるドイツ・ベルリンの事例もある。
〇仏蘭西では「コンセッション」の歴史が長い(16世紀からとか)と言われるが、これは恐らく仏蘭西の貴族が猶太商人と結託して彼らに徴税請負や財政管理などを任せた事に起源があると見ている。所謂「宮廷猶太人」である。ロスチャイルドもかかる宮廷猶太人として台頭した。民営水道もこの流れだろう。
〇仏蘭西ではブルボン王朝時代も仏蘭西革命後も統治者や行政機構は猶太商人と骨絡みの歴史である。行政のアウトソーシングとか公的事業の民間委託とかはこの歴史と不可分だと見ている。決して褒められた事ではない。「お仏蘭西ではコンセッションは云百年の歴史」とか言って真似するのは愚かな事である。
〇「水道民営化」は正確には「水道私営化」。もっと正確には「水道私的独占化」である。一地域の水道事業の運営を特定の私企業が一社独占する。市場競争はない。水道民営化とは水道事業の公的独占から私的独占への移行。水道民営化論者が同時に水道の広域統合を主張するのは広域でないと儲からないから。
〇公的独占の場合は自治体や議会を通じた住民による統制があるが、私的独占の場合はそれが無いか極めて緩い。「民主主義」から遠いのは公的独占より私的独占の方である。命に関わる最重要インフラである水道は公共団体が担うべき。再公営化したパリ市では住民代表も水道事業体の理事会メンバーらしい。
〇ネオリベは「民営化」の「民」という語感を用いて「私営化する方が民主的」みたいな印象操作をするのが常。「民営化」の「民」は「民間企業」の「民」。しかもネオリベが言う民間企業は大抵の場合は超巨大多国籍企業。それを「民」と呼び公的事業を独占させる事が「民営化」。民主主義とは逆の方向性。
〇「ネオリベ」の「リべ」に関して無理にマウントをかまそうとする者がいたので一言するが、言われなくとも「リベラリズム=自由主義」を冠する思想にいくつか種類がある事くらいは承知している。特に米国で言う「リベラル」は英国のフェビアン社会主義に近い思想で、米国ではリベラル=左翼と目される。
〇「ネオリベ」とは1980年代以降に台頭したネオ・リベラル(新自由主義)の事である。初期の古典的自由主義が個人の自由を国家権力の横暴から如何に守るかという所に主眼があった(ミルの「自由論」が典型)のに対し、新自由主義は企業という組織体の利益の最大化に主眼がある点が大きな違いだと考える。
〇比重を個人に置くか、組織に置くかで変わってくる。自由主義は基本的には個人を想定するが、現代の経済活動は大規模化した企業組織を単位として営まれるので、古典的な自由主義観をそのまま適用したのではかえって個人の自由が阻害される場合が出てきた。憲法で「私人間効力」が問題になるのもそれ故。
〇個人と組織は社会的な実力に大きな差があるので個人間の関係を想定する古典的な自由主義観を個人と組織の関係にそのまま当てはめるとかえって個人が巨大組織によって自由を侵害される場合が出てくる。特に現代は寡占化が進み巨大多国籍企業は一国の政府を凌駕する力を持つ場合があるので尚更である。
〇「民営化」を「民に事業を任せるので民主的」とする印象操作がおかしいのは、水メジャーのような超巨大多国籍企業と一個人を「官に対する民」という枠で一括りにしているからである。一個人にとっては多国籍企業は一政府に匹敵するような強大な相手である。しかも政府と違い公選による統制もできない。
〇「ネオリベは「民営化」の「民」という語感を用いて「私営化する方が民主的」みたいな印象操作をする」と書いたが、これは理論的に言うと「古典的自由主義観を大規模化した企業を単位として営まれる現代の経済社会にそのまま当てはめる」事に基づく。現代は単純な「官VS民」の二元論では割り切れない。
〇これは包括的奴隷条約の問題を「国VS国」の枠組みで捉える誤謬と似ている。包括的奴隷条約はグローバル資本が主権を握る為の枠組みなので主権国家同士の関係ではなく「グローバル資本VS国家」という構図である。グローバル資本は一国の政府を屈服させる力を持つ。単純な「官VS民」の図式では見誤る。
〇グローバル資本の手先やら利権屋が「民間議員」を名乗って政府の政策をコントロールするような状況で「官VS民」という枠組みに固執するのは馬鹿げている。今の政府中枢は完全にグローバル資本の利益代理人。「官VS民」という枠組みは「見誤る」というよりそう誤認させる為に意図的に流布しているのだろう。
・日本初の水道事業民営化。運営会社の議決権株式はヴェオリア・ジェネッツ社が51%保有(YAHOO!ニュース 2021年8月31日)
橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
※自民党議員の懸念「外資は経営方針が変わる危険性がある」「宮城県だけが先行している」
7月5日、宮城県議会は、上下水道と工業用水の運営権を、20年間、民間企業に一括売却する議案を可決した。
このとき与党会派2人、野党会派1人が採決を棄権した。事業を受託する企業群に外資系企業の日本法人が入っていることが理由だ。「経済安全保障の観点から見過ごせない」「現状では判断できない」と説明した。
それは、どういうことなのか。経緯を振り返りながら、考えてみたい。
2018年12月6日、衆院本会議において改正水道法が成立。改正案にはコンセッション方式の導入(運営権を長期間、民間に売却)も盛り込まれた。
コンセッション方式は、行政が公共施設などの資産を保有したまま、民間企業に運営権を売却・委託する民営化手法の1つ。関西空港、大阪空港、仙台空港、浜松市の下水道事業などがこの方式で運営されている。その方式が水道事業にも持ち込まれ、実質的な民営化へ門戸を広げた。
法改正の2年前、2016年12月19日に開催された第3回未来投資会議は「公的資産の民間開放」というテーマで行われた。そこで水道事業へのコンセッション方式の導入が議論されている。
竹中平蔵議員(当時)は以下のように発言している。
「上下水道は、全国で数十兆円に上る老朽化した資産を抱えております。フランスやイギリスなどヨーロッパでは民間による上下水道運営が割と普通になっており、年間売り上げが数兆円に上るコンセッションや、しかも非常にダイナミックにIoTを取り入れて、第4次産業革命と一体になって水道事業をやっていくというのが出てきている」(同会議議事録より引用)
すなわちコンセッションとは、公共サービスを民間開放することで経済成長をうながす新自由主義政策である。
しかも、民間企業は国内、国外を問わない。
第3回未来投資会議から2か月後。
2017年2月9日、宮城県庁でコンセッション方式を検討する会合が開かれた。内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、大手商社、金融機関などの担当者約90人が出席した。
ここでは「全国の先駆けとなる」「行政では見えぬノウハウ、付加価値が民間なら見えるものがある」など、コンセッション方式に前向きな声が上がった。
参加企業は「安定的収入が見込め、今後伸びる分野と考える。公共サービスを担うことは、企業の社会的価値を高めることにもつながる。チャレンジしたい」と発言した。
参加企業には、さらなる民営化を求める声もあった。「料金を官が決めるままならば効果を見出しにくい」と企業に料金設定を求める意見。「将来的には市町村が担う家庭への給水も民営化すべきだ。蛇口までの一体的な運営が最適」「県の関与を残さない完全民営化をすべき」という意見などである。
ただ、外資の参入に安全保障上の懸念を示す議員は与党内にも多かった。改正水道法成立直後、村井嘉浩知事を支える宮城県議会の自民党会派は勉強会を開き、「外資は経営方針が変わる危険性がある」「宮城県だけが先行している」「雇用は守られるのか」などと懸念を示した。
は市場全体が停滞、縮小する過程で、自国の利益を増やそうとすると、他国の利益を奪うことになる。資金力とノウハウに長じる巨大外資によって、国内企業の仕事が奪われる可能性などが議論された。
それでも知事は着々と政策を進めた。2019年12月、宮城県は独自のコンセッション方式である「みやぎ型管理運営方式」導入に向けた条例改正を行なう。上水道(用水供給)、下水道、工業用水の9事業をまとめ、20年間、民間に運営を任せることを決めた。
ヴェオリア・ジェネッツ社が議決権株式の51%を保有
その後、2020年に業者選定に入った。応募したのは以下の3グループ。
※メタウォーターを代表とするグループ(構成企業:ヴェオリア・ジェネッツ(株)、オリックス(株)、(株)日立製作所、(株)日水コン、メタウォーターサービス(株)、東急建設(株)、(株)復建技術コンサルタント、産電工業(株)、(株)橋本店 )
※JFEエンジニアリングを代表とするグループ(構成企業:東北電力(株)、三菱商事(株)、(株)明電舎、水ingAM(株)、(株)ウォーターエージェンシー、(株)NJS、(株)日本政策投資銀行)
※前田建設工業を代表とするグループ(構成企業:スエズウォーターサービス(株)、月島機械(株)、東芝インフラシステムズ(株)、(株)日本管財環境サービス、日本工営(株)、東日本電信電話(株)、東急(株)、月島テクノメンテサービス(株))
専門家が企業グループの提案書を審査し(企業名は非公開)、200点満点で点数化。
1位のメタウォーターのグループは170.41点。構成企業の出資で運転管理・維持会社(新OM会社)を設立し、地域から雇用創出を図る構想を打ち出した。これが「地域貢献」「危機管理」などの点数を押し上げたと見られた。
2位は前田建設工業のグループで156.33点。JFEエンジニアリングのグループは下水道事業で断続的に赤字時期があったことなどから失格となった。
こうして事業を受託したのは、メタウォーターのグループの特定目的会社。名称は「株式会社みずむすびマネジメントみやぎ」で、メタウォーター社が議決権株式の51%を保有する。
一方、実際の運営とメンテナンスを行うのは、特定目的会社が出資し新設した新OM会社「株式会社みずむすびサービスみやぎ」だ。コンセッションに懸念を示す議員であっても、地域の雇用創出を図る構想は好ましいと考えていた。
だが、今年6月、新OM会社の議決権株式の保有者が明らかになると宮城県議会は再び揺れた。この会社は、フランスの大企業ヴェオリア傘下のヴェオリア・ジェネッツ社が議決権株式の51%を保有していることがわかった。
ちなみにヴェオリア・ジェネッツの親会社のヴェオリア社は、今年5月、スエズ社を買収。売上高約370億ユーロの巨大企業が誕生している。(参考記事:「世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念(Yahoo!ニュース/橋本淳司))
この点について自民党議員に衝撃が走った。議会の一般質問のなかで自民党の渡辺拓議員はみやぎ型の導入に慎重姿勢を表明。ヴェオリア・ジェネッツの参加に不信感を表明した。
7月2日の同県議会建設企業委員会での賛否は、賛成4、反対4で割れ、県政史上初となる委員長裁決で決定した。
さらに7月5日採決の際、冒頭述べたように採決の際には自民党のベテラン議員2名が棄権している。
新自由主義政策を主導してきたのは米国である。1995年にWTO(世界貿易機関)を設立し、経済自由主義に基づく国際経済秩序づくりが進められた。その米国が態度を一変させている。
ジェイクサリバン米大統領補佐官は「何でも貿易の拡大に求めるような安易な発想を改めるべき。例えば、安全保障の担当者たちは、TPPを、その中身を精査することもなく支持するという過ちを犯した。自由貿易が互恵的であるという貿易理論の前提から疑うべき」と新自由主義、グローバリゼーションの終焉を思わせる発言をした。さらに、「安全保障にとっては、国家債務より過少投資の方がより大きな脅威。安全保障の担当者たちは、インフラ、技術開発、教育など、長期的な競争力を決定する分野への積極的な政府投資の必要性を認識すべき」としている。
情報として明らかにすべき点
この問題を整理するとき、新自由主義に反対する立場から、外国資本に国内の水道をまかせるより国内企業にまかせるべきだという意見と、そもそもコンセッションは複雑なので官民連携は別の方法でやるべきという意見がある。
この2つは分けて議論する必要がある。
ここではコンセッションについて考えてみたい。一般的に言われているコンセッションのメリット、デメリットは以下の通り。
著者作成
コンセッションは、契約とモニタリングが重要だ。それは内資でも外資でも関係ない。パリ市の水道をヴェオリアにコンセッション契約でまかせたら料金が上がったというケースがあるが、パリ市にとってヴェオリアは内資である。
8月20日、宮城県は、業務の透明性を確保する「情報公開規定」を企業側が取りまとめる見通しを明らかにした。
しかしながら、みやぎ型における情報の透明度は高いとは言えない。懸念点を以下にまとめておきたい。
契約の変更理由や具体的内容……もともと県が作成した「実施契約書(案)」が、県と企業グループの「競争的対話」によって変更されている。対象は、「知的財産権対象技術の取り扱い」「契約不適合条項に係る免責規定」「突発的かつ一時的な対象時の対策費用負担」「第三者への委託に係る事務作業の簡素化」など。これについて宮城県は「問題ない」としているが、1つ1つの変更理由や具体的内容を説明する必要がある。
コスト削減の実行性と災害対策……コスト削減額は337億円と大きいが、村井知事は県議会で「契約書事項ではなく約束」と答弁している。一括購入や分析・管理の集中管理・制御、効率的な人員配置などを行うというが、反対にコスト削減がサービス低下につながらないか注意する必要がある。たとえば、水道事業で大きなコストは配管工事、配管の維持管理。この費用を先延ばしすると支出が抑えられる。気候変動の今後の趨勢からすると、危機管理はこれまで以上に重要。効率一辺倒でコスト削減を繰り返してきたが、人員含め多少の余裕が災害時に市民を守る。
新OM会社の情報開示……今後20年で水道事業におけるCPS/IoT活用が進む。「みやぎ型」の契約満了する2040年までに、さまざまなノウハウが新OM会社に蓄積されることは間違いない。OM会社は、変えのきかない独占的な企業になる可能性がある。県が契約を結ぶのは特定目的会社であり、その会社が設立する新OM会社と県のあいだには契約がない。再委託先に、どのようにモニタリングを行なうかも不明確だ。
コンセッション導入から数年は能力のある職員がいて、企業の業務が適正かを監督できるし、災害時には現場で対応することもできる。
だが、導入から一定の年月が経過すると水道事業に精通した職員は減る。一方でCPS/IoT活用は進む。管理監督する立場にある水道職員の知見が不足する。契約の終了する20年後には、水道事業を経験している職員の多数が退職している。運営企業が業務にまずい点があっても、発注元は即座に業務停止を命令することはできない。水道は生活必需品だからだ。
コンセッション契約を更新せざるを得ない状況になり、民間企業に有利な契約内容になる可能性もある。
次第に企業に丸投げになり、県は管理が難しくなる。ここがコンセッション最大のデメリットではないか。
橋本淳司
水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
水ジャーナリスト。武蔵野大学客員教授。アクアスフィア・水教育研究所代表。Yahoo!ニュース個人オーサーワード2019。国内外の水問題と解決方法を取材。自治体・学校・企業・NPO・NGOと連携しながら、水リテラシーの普及活動(国や自治体への政策提言やサポート、子どもや市民を対象とする講演活動、啓発活動のプロデュース)を行う。近著に『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る 水ジャーナリストの20年』(文研出版)、『水がなくなる日』(産業編集センター)など。
https://twitter.com/kikuchi_8/status/1099373360310509568
〇大阪市が水道事業へのコンセッション方式導入を決定。「水道料金は現行水準を維持できる」と言うが、改悪PFI法では料金の設定は届出制(つまり議会の議決が必要ない)になっているのでそんな保証はどこにもないだろう。ケケ中モドキが街を牛耳っている大阪市が気の毒。https://mainichi.jp/articles/20190222/k00/00m/040/316000c
〇PFI法の(公共施設等の利用料金) 第二十三条第二項に「利用料金は、実施方針に従い、公共施設等運営権者が定めるものとする。この場合において、公共施設等運営権者は、あらかじめ、当該利用料金を公共施設等の管理者等に届け出なければならない。」とある。議会の承認がいらない届出制である。
〇他国の「民営水道」では料金は公共団体と業者のサービス契約で決められる場合もあるそうだが、届出制はそれより酷い。PFI発祥地の英国の会計検査院が「PFIは公的財政にプラスになるという証拠が乏しい」と言っている。RFI自体の発祥国の会計検査院がそのように言っている事実は非常に重いと言えよう。
〇英国会計検査院のレポートは「PFIが公的な財政にプラスであるという証拠が乏しいと結論した」由。コンセッションはPFIの一種。引用:NAO(英国会計検査院)は、英国が25年もPFIを経験しているにもかかわらず「PFIが公的財政に恩恵をもたらすというデータが不足」と報告した。http://www.mizujoho.com/mizujoho/about/tabid/89/Default.aspx?itemid=64&dispmid=467
〇水道私営化した都市が再公営化する場合は莫大な費用がかかる上、訴訟リスクもある。実際に再公営化を決断して訴訟を起こされた都市もある。その都市の国が包括的奴隷条約に入っているとISD発動の脅威がある。これが最大の壁となる。だから、TPPも日欧EPAも脱退が不可欠である。これを常に言い続ける。
〇料金設定は運営権者が決め届け出るだけ。自治体は料金設定に関し手綱を握ってないのにどうやって「料金を現行水準で維持」するのか?無責任!いや、確信犯か。引用:新たに施設利用料金の設定は自治体への届け出だけで済むようにし、議会承認は事後報告で済むように見直した。https://www.decn.co.jp/?p=100200
〇「利用料金の設定は条例で定められた利用料金の範囲内。だから料金設定についてはしっかり自治体がグリップを握っている。」という異論が想定できるが、この仕組みは料金の値上げを暗黙の前提とする誤魔化しの産物だと考える。例えば上限を現行の2倍に設定すれば2倍までは料金を上げられる訳である。
〇かといって上限を低く設定すれば儲からないので業者がつかない。水道私営化を強行するネオリベが牛耳る自治体ならば業者を呼び込む為に上限を現行より高く設定するに違いないと容易に想像できる。自治体が手綱を握る為の規定なら業者が提示する具体的な金額毎に議会承認を必要とする仕組みにするはず。
〇私営化を前提とする以上「条例で定める利用料金の範囲内」という制限を設けても、上限が現行より高くなるであろう事は容易に想像できる訳である。「利用料金の範囲」の上限を高く設定すると料金の値上がりはほぼ確実。低く設定すると業者がつかない。このディレンマ。私営化自体間違っているという事。
〇この場合、電気料金の規制はあまり参考にならないのでは?電力会社は私営ではあるが、料金の値上げには政府(経済産業大臣)の認可が必要。一方、水道にコンセッション方式を導入した場合はPFI法が適用されるので料金の設定に政府の認可は要らず届け出で済む。仕組みが違う。
〇水道私営化は利権に直結する為か妨害工作員が多数湧く傾向。ケケ中エピゴーネンが政界の周辺をうろうろ徘徊している限り「水道の広域統合」も私営化が前提としか思えない。ケケ中エピゴーネン「だったら水道事業の経営はどうする?」→「まずはあなた方利権屋や腐れネオリベが政界から消える事が先決」
〇水道私営化は自民党より公明党の方がより積極的である。自公政権では国交大臣は公明党の「指定席」化している。地方議会には水道私営化に反対する自民党議員もいる(例えば新潟県議会)。あまりにも熱心に水道私営化を喧伝したり、水道私営化の反対者にしつこく絡むのは創価信者の可能性があると思う。
〇水道私営化を熱心に宣伝する者は水メジャー本体は別とすると利害関係や動機からして①ケケ中以下の国内の利権屋②公明党の支持者(創価学会の信者)③維新の会の支持者(関西だと特に)が多いのではと想像する。動員力からすると②が最大だろう。
〇それは只の希望的観測だと思います。仮に「将来の値上げ回避」の為に「民営化」を手段としたとしても、営利企業に任せる訳ですから逆に値上がりする可能性が高いという事です。「民営化自体は只の手段だからもし値上がりしたらまた公営に戻せばよい」とお手軽にもいきません。
〇PFI発祥地の英国の会計検査院が「PFIが公的財政にプラスになるという証拠が乏しい」と報告しているのに、民営化(私営化)推進論者は「PFIで必ず上手くいく」と根拠なく断定し信じ込んでいるのが不思議だ。不思議というか、コアな連中は上手く行こうが行くまいが利権を貪ろうとしているだけだろうが。
〇水道民営化論者は「条例で定められる範囲内で料金が設定されるので届け出制でも料金の高騰はあり得ない。高騰したら議会の条例で上限を下げればよい。」と言うだろうが、仮に下げた場合に「不当な上限設定で損害を受けた」として私企業が訴えてくるリスクは考えているのだろうか?ISDSを忘れている。
〇世界の事例を見ても一端私営化したら簡単に公営に戻す事はできない。莫大な違約金を払ったり、訴訟を起こされるリスクがある。また、長い間私企業に水道事業を任せていたら公共団体からは水道事業を営む技術や人員が失われてしまって水企業に依存せざるを得なくなり、その点でも再公営化が困難になる。
〇結局包括的奴隷条約の問題に帰結する。水事業は日欧EPA。英国が加盟したらTPPも。「主権を失う」とは「立法権を制約される」と言い換える事が出来る。米韓FTA後の韓国では中央議会だけでなく地方議会でもISDSの発動を恐れてグローバル企業の利益に反する条例を作る事ができなくなったと言われている。
〇命に直結する水道の「民営化」と聞くと普通は不安になるはず。「民営化」を自信満々に喧伝する程の推進論者は余程特殊な背景があるのではと疑ってしまう。①利権屋か②公明党支持者か③関西だと維新の会の支持者が多そうである。数で言うと②が最大なので「水道民営化論者を見たらまずは創価と疑え」。
〇PFI法により水道料金の範囲を条例で定めても自治体に料金に関し手綱があるとは思えない理由を思いつくままに列挙する。①業者を呼び込む為に料金の上限を高く設定しようとする誘因が自治体に働く。そもそも水道民営化を実行しようとする時点でその自治体はネオリベが支配しているであろうから尚更。
〇②料金が高騰した場合に議会で上限を下げようとすると「不当な上限規制で損害を受けた」として私企業(特に外資、水メジャー)に訴えられるリスク(特にISDS)。これを恐れて上限を下げられなくなる。③時が経つほど技術や人員の点でも水企業への依存度が高くなり料金設定でも意向に逆らえなくなる。
〇④「料金の上限が下がり利益が出ないと判断した水企業が撤退するかもしれない」と恐れる自治体は中々上限を下げる決定ができないのではいか?年月が経ち水企業への依存度が高まる程この傾向が増すだろう。⑤命に直結し公共性の高い水事業は営利企業には向かない。経営の改善も公営を前提に考えるべき。
〇水は生命維持に直結する最重要資源。「水事業の私営化」と聞いたら大なり小なり不安を感じるのが普通の感覚だと思う。少なくとも慎重になるのが人間としての誠実な態度ではないかと思う。それを自信満々に「民営化で上手くいく」と喧伝する者とは何か人間としての深いレベルで相容れないものを感じる。
〇PFI発祥地の英国の会計検査院ですら「PFIは公的財政にプラスになるという証拠が乏しい」と言っているので「民営化で絶対に上手くいく」かのように自信満々に断言できるはずもないのである。ネオリベ全般に対して感じる印象は「不誠実なシニシスト」「情を欠いたサイコパス」「利己主義的なニヒリスト」
〇ああ、それは物の見事な詭弁(藁人形論法)ですね。別に私は「営利企業の独断で値上がりする」とは言ってませんので。営利企業を入れると営利企業の都合で行政や議会の決定が多大な制約を受けるという事です。それは「実質的」に営利企業が料金決定に力を持つという事です。
〇「価格の範囲の設定の権限は行政が持つ」では。正確に言うと「条例で定める範囲内」だと「営利企業の独断で値上がり」しますね。ここまではあなたも異論はないでしょう。その「条例で定める範囲」(特に上限が重要)の決定が営利企業の都合で多大な制約を受けるとの指摘です。
〇水メジャーや国内の利権屋以外で水道民営化(私営化)を強硬に主張しているのは公明党支持者(創価学会信者)や維新の会支持者が多いと分析していたが、大阪市の水道民営化関連で絡んでくるのはどうも後者が多いようである。維新の会はその新自由主義的な政策を見ても完全に自民党清和会の亜流である。
〇松井大阪府知事の父は笹川良一の側近だったと言われているので笹川一派と繋がり維新の会は人脈的にも自民党清和会と重なると言える。政策的にも自民党清和会と同じ新自由主義的な構造改革路線である。水道私営化に関しては維新の支持者の方が地方議会には反対派もいる自民の支持者より「熱心」である。
〇「ヴェオリアなど水道事業者がISDSで自治体を訴えてくるからこれまでの水道料金を維持する事は不可能」という端的なご指摘を頂いた。まさにこれに尽きる。英国がTPP参加するとTPPと日欧EPAで世界の三大水メジャーが含まれる事になる。結局は包括的奴隷条約の問題に帰結する。何が何でも脱退あるのみ!
〇水道私営化推進論者が反対者に「民を信用しない官尊民卑主義者」などと言っていて笑ってしまう(笑)。「水道民営化」の「民」とは「民間企業」の「民」。しかも、水メジャーは「超巨大私企業」である。「民」の「民衆」という語感で騙す典型的なネオリベレトリック過ぎて苦笑。
「「民営化」「民間にできる事は民間に」という場合も「民」とは「民衆」「国民」「住民」の「民」ではなく、「巨大民間企業」の「民」である。ベクテルやヴェオリアなどの超巨大私企業群は「民間企業」と言っても、一政府を屈服させる程の力を持っている。「民」という語感に騙されないように要注意。」
https://twitter.com/kikuchi_8/status/1041748444115722240
〇水道民営化関連で絡んで来た維新の会の支持者らしき者と話してみて分かったのは、維新信者は似非保守の安倍信者以上に露骨にネオリベ脳だという事。安倍信者は「保守」を偽装するネオリベだが、維新信者は偽装をしない分より露骨でダイレクトである。小泉一派に近いかもしれない。まあ、皆同類だが。
〇「住民」「民主主義」の「民」なら自治体の長や議会の議員は公選なので公営の方が民に近く私営の方が民から遠い。ネオリベは「巨大私企業」を「民」と呼んで「私営の方が民に近い」と印象操作する。「民」という表記を利用したすり替えのトリックだ。ロスチャイルド系超巨大多国籍企業のどこが「民」?
〇世界的に水ビジネスを展開し「ウォータバロン(水男爵)」と言われているヴェオリアやスエズを「民」と言うのはいくら何でも詐欺論法過ぎる(「民」どころか「男爵」!)。歴史的に言うとどちらもロスチャイルド財閥の系列である。英国のロスは文字通り「バロン」である。「民」の表現は無理過ぎる。
〇目を付けられてもコンセッション方式を導入しなければ「終わり」ではありません。多国籍企業とて制度がなければ何もできません。これは気構えとか精神論の問題ではなく制度や構造の問題です。意思決定のプロセスは単純に「強い」「弱い」ではなく様々な条件に左右されます。
〇例えば水企業への依存度が高くなると公共団体には水道事業を行う技術や人員が失われてくるので水企業が「撤退するぞ」と脅して来たら料金の値上げを認めざるを得なくなる(海外の実例あり)。これは公共団体側が状況を把握しているからこそである。つまり自治体がバカではないからこそ屈するのである。
〇「自治体が強いから、馬鹿ではないから大丈夫」とはヤンキー的な理屈。気構えのではなく制度や構造の問題。意思決定のプロセスは単純な「強い」「弱い」ではなく様々な条件に左右される。制度や構造も大きな要因。だから意思決定プロセスに不当な介入を及ぼされないような制度設計をするべきという事。
〇「強いか弱いか」「馬鹿かそうではないか」は「民営化するか否か」の段階で問われている。民営化を決定した時点で「弱く」「馬鹿」なのである。一端そういう制度設計をしてしまうと、後任者がどれ程個人的に強く賢くてもその制度を維持する以上は意思決定プロセスに不当な介入を及ぼされるのである。
〇米国・インディアナポリスではヴェオリアは「事業から撤退すると市当局を脅し、同社の逸失利益を埋め合わせるために年間190万ドルの追加支払いを約束させた。」と報告されている。水事業からの「撤退」は脅しになるのである。「命の水」を握られるとはそういう事である。http://www.mizujoho.com/Portals/0/PDF 世界的趨勢になった水道事業の再公営化.pdf
〇水企業から「料金を上げないと水事業から撤退するぞ」と脅されたとして、公共団体側にそれに代わって水供給を行える条件や見通しが何もない状態で「あ、そう。勝手にしろ!」と言う方が無責任でバ〇である。事は市民の命に関わる。「強い」とか「馬鹿ではない」とはそんな単純な話ではないのである。
〇再公営化に際し水企業がISD条項を発動した事例も当然ある。アルゼンチンのブエノスアイレスが水道事業を再公営化した際にスエズが国際投資紛争解決センター(ICSID。悪名高きISDSの訴訟を扱う世銀の疑似裁判所)に損害賠償請求の手続きを行った由。これを恐れて再公営化できない場合も多いと思われる。
〇水道民営化(私営化)は大きくは国連系の工作である。「ワシントンコンセンサス」に基づき世界銀行が世界中の水道民営化を後押ししてきた(融資の条件として水道民営化を要求。「金を貸すから水道寄こせ」、まさにヤクザの手口、国際闇金!)。水道民営化は国連が掲げるNWO計画「SDGs」の一環である。
〇世界銀行の水道民営化工作の中で起きたのがボリビアのコチャバンバ水紛争である。世界銀行はボリビアへの融資の条件として水道事業の私営化を要求。ボリビア政府をこれを飲み、ベクテル系の企業に売却された。結果、水道料金が高騰し、大規模が反対運動が起った。水道私営化工作の裏に世界銀行があり。
〇各国に公的事業の私営化を要求するのも世界銀行なら、それによって紛争が起きた場合にISDSの訴訟を扱うのも世銀の機関(国際投資紛争解決センター=ICSID)である。マッチポンプ構造である。世界銀行は公的団体と装っているが、国際金融資本や多国籍企業群の利益を最大化する為の代理機関に過ぎない。
〇フィリピンの水道民営化では当初は水道料金の値下げが約束されていたが、マニラッドという水道会社の水道料金は2003年1月までに当初の4倍まで跳ね上がったそうである。民間水道会社は営利企業なので損失が出ると真っ先に料金の値上げによって埋め合わせようとする傾向がある。http://www.jacses.org/sdap/water/report04.html
〇「水道民営化は只の手段」みたいに言う者がいたが、「水道民営化して上手くいかなければ再公営化すればよい」というお手軽な話ではない。再公営化事自体が多大な困難を伴うし、再公営化時にかかった株式の買戻し費用が再公営化後も料金に上乗せされて長く苦しんでいるドイツ・ベルリンの事例もある。
〇仏蘭西では「コンセッション」の歴史が長い(16世紀からとか)と言われるが、これは恐らく仏蘭西の貴族が猶太商人と結託して彼らに徴税請負や財政管理などを任せた事に起源があると見ている。所謂「宮廷猶太人」である。ロスチャイルドもかかる宮廷猶太人として台頭した。民営水道もこの流れだろう。
〇仏蘭西ではブルボン王朝時代も仏蘭西革命後も統治者や行政機構は猶太商人と骨絡みの歴史である。行政のアウトソーシングとか公的事業の民間委託とかはこの歴史と不可分だと見ている。決して褒められた事ではない。「お仏蘭西ではコンセッションは云百年の歴史」とか言って真似するのは愚かな事である。
〇「水道民営化」は正確には「水道私営化」。もっと正確には「水道私的独占化」である。一地域の水道事業の運営を特定の私企業が一社独占する。市場競争はない。水道民営化とは水道事業の公的独占から私的独占への移行。水道民営化論者が同時に水道の広域統合を主張するのは広域でないと儲からないから。
〇公的独占の場合は自治体や議会を通じた住民による統制があるが、私的独占の場合はそれが無いか極めて緩い。「民主主義」から遠いのは公的独占より私的独占の方である。命に関わる最重要インフラである水道は公共団体が担うべき。再公営化したパリ市では住民代表も水道事業体の理事会メンバーらしい。
〇ネオリベは「民営化」の「民」という語感を用いて「私営化する方が民主的」みたいな印象操作をするのが常。「民営化」の「民」は「民間企業」の「民」。しかもネオリベが言う民間企業は大抵の場合は超巨大多国籍企業。それを「民」と呼び公的事業を独占させる事が「民営化」。民主主義とは逆の方向性。
〇「ネオリベ」の「リべ」に関して無理にマウントをかまそうとする者がいたので一言するが、言われなくとも「リベラリズム=自由主義」を冠する思想にいくつか種類がある事くらいは承知している。特に米国で言う「リベラル」は英国のフェビアン社会主義に近い思想で、米国ではリベラル=左翼と目される。
〇「ネオリベ」とは1980年代以降に台頭したネオ・リベラル(新自由主義)の事である。初期の古典的自由主義が個人の自由を国家権力の横暴から如何に守るかという所に主眼があった(ミルの「自由論」が典型)のに対し、新自由主義は企業という組織体の利益の最大化に主眼がある点が大きな違いだと考える。
〇比重を個人に置くか、組織に置くかで変わってくる。自由主義は基本的には個人を想定するが、現代の経済活動は大規模化した企業組織を単位として営まれるので、古典的な自由主義観をそのまま適用したのではかえって個人の自由が阻害される場合が出てきた。憲法で「私人間効力」が問題になるのもそれ故。
〇個人と組織は社会的な実力に大きな差があるので個人間の関係を想定する古典的な自由主義観を個人と組織の関係にそのまま当てはめるとかえって個人が巨大組織によって自由を侵害される場合が出てくる。特に現代は寡占化が進み巨大多国籍企業は一国の政府を凌駕する力を持つ場合があるので尚更である。
〇「民営化」を「民に事業を任せるので民主的」とする印象操作がおかしいのは、水メジャーのような超巨大多国籍企業と一個人を「官に対する民」という枠で一括りにしているからである。一個人にとっては多国籍企業は一政府に匹敵するような強大な相手である。しかも政府と違い公選による統制もできない。
〇「ネオリベは「民営化」の「民」という語感を用いて「私営化する方が民主的」みたいな印象操作をする」と書いたが、これは理論的に言うと「古典的自由主義観を大規模化した企業を単位として営まれる現代の経済社会にそのまま当てはめる」事に基づく。現代は単純な「官VS民」の二元論では割り切れない。
〇これは包括的奴隷条約の問題を「国VS国」の枠組みで捉える誤謬と似ている。包括的奴隷条約はグローバル資本が主権を握る為の枠組みなので主権国家同士の関係ではなく「グローバル資本VS国家」という構図である。グローバル資本は一国の政府を屈服させる力を持つ。単純な「官VS民」の図式では見誤る。
〇グローバル資本の手先やら利権屋が「民間議員」を名乗って政府の政策をコントロールするような状況で「官VS民」という枠組みに固執するのは馬鹿げている。今の政府中枢は完全にグローバル資本の利益代理人。「官VS民」という枠組みは「見誤る」というよりそう誤認させる為に意図的に流布しているのだろう。
・日本初の水道事業民営化。運営会社の議決権株式はヴェオリア・ジェネッツ社が51%保有(YAHOO!ニュース 2021年8月31日)
橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
※自民党議員の懸念「外資は経営方針が変わる危険性がある」「宮城県だけが先行している」
7月5日、宮城県議会は、上下水道と工業用水の運営権を、20年間、民間企業に一括売却する議案を可決した。
このとき与党会派2人、野党会派1人が採決を棄権した。事業を受託する企業群に外資系企業の日本法人が入っていることが理由だ。「経済安全保障の観点から見過ごせない」「現状では判断できない」と説明した。
それは、どういうことなのか。経緯を振り返りながら、考えてみたい。
2018年12月6日、衆院本会議において改正水道法が成立。改正案にはコンセッション方式の導入(運営権を長期間、民間に売却)も盛り込まれた。
コンセッション方式は、行政が公共施設などの資産を保有したまま、民間企業に運営権を売却・委託する民営化手法の1つ。関西空港、大阪空港、仙台空港、浜松市の下水道事業などがこの方式で運営されている。その方式が水道事業にも持ち込まれ、実質的な民営化へ門戸を広げた。
法改正の2年前、2016年12月19日に開催された第3回未来投資会議は「公的資産の民間開放」というテーマで行われた。そこで水道事業へのコンセッション方式の導入が議論されている。
竹中平蔵議員(当時)は以下のように発言している。
「上下水道は、全国で数十兆円に上る老朽化した資産を抱えております。フランスやイギリスなどヨーロッパでは民間による上下水道運営が割と普通になっており、年間売り上げが数兆円に上るコンセッションや、しかも非常にダイナミックにIoTを取り入れて、第4次産業革命と一体になって水道事業をやっていくというのが出てきている」(同会議議事録より引用)
すなわちコンセッションとは、公共サービスを民間開放することで経済成長をうながす新自由主義政策である。
しかも、民間企業は国内、国外を問わない。
第3回未来投資会議から2か月後。
2017年2月9日、宮城県庁でコンセッション方式を検討する会合が開かれた。内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、大手商社、金融機関などの担当者約90人が出席した。
ここでは「全国の先駆けとなる」「行政では見えぬノウハウ、付加価値が民間なら見えるものがある」など、コンセッション方式に前向きな声が上がった。
参加企業は「安定的収入が見込め、今後伸びる分野と考える。公共サービスを担うことは、企業の社会的価値を高めることにもつながる。チャレンジしたい」と発言した。
参加企業には、さらなる民営化を求める声もあった。「料金を官が決めるままならば効果を見出しにくい」と企業に料金設定を求める意見。「将来的には市町村が担う家庭への給水も民営化すべきだ。蛇口までの一体的な運営が最適」「県の関与を残さない完全民営化をすべき」という意見などである。
ただ、外資の参入に安全保障上の懸念を示す議員は与党内にも多かった。改正水道法成立直後、村井嘉浩知事を支える宮城県議会の自民党会派は勉強会を開き、「外資は経営方針が変わる危険性がある」「宮城県だけが先行している」「雇用は守られるのか」などと懸念を示した。
は市場全体が停滞、縮小する過程で、自国の利益を増やそうとすると、他国の利益を奪うことになる。資金力とノウハウに長じる巨大外資によって、国内企業の仕事が奪われる可能性などが議論された。
それでも知事は着々と政策を進めた。2019年12月、宮城県は独自のコンセッション方式である「みやぎ型管理運営方式」導入に向けた条例改正を行なう。上水道(用水供給)、下水道、工業用水の9事業をまとめ、20年間、民間に運営を任せることを決めた。
ヴェオリア・ジェネッツ社が議決権株式の51%を保有
その後、2020年に業者選定に入った。応募したのは以下の3グループ。
※メタウォーターを代表とするグループ(構成企業:ヴェオリア・ジェネッツ(株)、オリックス(株)、(株)日立製作所、(株)日水コン、メタウォーターサービス(株)、東急建設(株)、(株)復建技術コンサルタント、産電工業(株)、(株)橋本店 )
※JFEエンジニアリングを代表とするグループ(構成企業:東北電力(株)、三菱商事(株)、(株)明電舎、水ingAM(株)、(株)ウォーターエージェンシー、(株)NJS、(株)日本政策投資銀行)
※前田建設工業を代表とするグループ(構成企業:スエズウォーターサービス(株)、月島機械(株)、東芝インフラシステムズ(株)、(株)日本管財環境サービス、日本工営(株)、東日本電信電話(株)、東急(株)、月島テクノメンテサービス(株))
専門家が企業グループの提案書を審査し(企業名は非公開)、200点満点で点数化。
1位のメタウォーターのグループは170.41点。構成企業の出資で運転管理・維持会社(新OM会社)を設立し、地域から雇用創出を図る構想を打ち出した。これが「地域貢献」「危機管理」などの点数を押し上げたと見られた。
2位は前田建設工業のグループで156.33点。JFEエンジニアリングのグループは下水道事業で断続的に赤字時期があったことなどから失格となった。
こうして事業を受託したのは、メタウォーターのグループの特定目的会社。名称は「株式会社みずむすびマネジメントみやぎ」で、メタウォーター社が議決権株式の51%を保有する。
一方、実際の運営とメンテナンスを行うのは、特定目的会社が出資し新設した新OM会社「株式会社みずむすびサービスみやぎ」だ。コンセッションに懸念を示す議員であっても、地域の雇用創出を図る構想は好ましいと考えていた。
だが、今年6月、新OM会社の議決権株式の保有者が明らかになると宮城県議会は再び揺れた。この会社は、フランスの大企業ヴェオリア傘下のヴェオリア・ジェネッツ社が議決権株式の51%を保有していることがわかった。
ちなみにヴェオリア・ジェネッツの親会社のヴェオリア社は、今年5月、スエズ社を買収。売上高約370億ユーロの巨大企業が誕生している。(参考記事:「世界「3大水メジャー」がついに「一強」になった歩みと今後の展開や懸念(Yahoo!ニュース/橋本淳司))
この点について自民党議員に衝撃が走った。議会の一般質問のなかで自民党の渡辺拓議員はみやぎ型の導入に慎重姿勢を表明。ヴェオリア・ジェネッツの参加に不信感を表明した。
7月2日の同県議会建設企業委員会での賛否は、賛成4、反対4で割れ、県政史上初となる委員長裁決で決定した。
さらに7月5日採決の際、冒頭述べたように採決の際には自民党のベテラン議員2名が棄権している。
新自由主義政策を主導してきたのは米国である。1995年にWTO(世界貿易機関)を設立し、経済自由主義に基づく国際経済秩序づくりが進められた。その米国が態度を一変させている。
ジェイクサリバン米大統領補佐官は「何でも貿易の拡大に求めるような安易な発想を改めるべき。例えば、安全保障の担当者たちは、TPPを、その中身を精査することもなく支持するという過ちを犯した。自由貿易が互恵的であるという貿易理論の前提から疑うべき」と新自由主義、グローバリゼーションの終焉を思わせる発言をした。さらに、「安全保障にとっては、国家債務より過少投資の方がより大きな脅威。安全保障の担当者たちは、インフラ、技術開発、教育など、長期的な競争力を決定する分野への積極的な政府投資の必要性を認識すべき」としている。
情報として明らかにすべき点
この問題を整理するとき、新自由主義に反対する立場から、外国資本に国内の水道をまかせるより国内企業にまかせるべきだという意見と、そもそもコンセッションは複雑なので官民連携は別の方法でやるべきという意見がある。
この2つは分けて議論する必要がある。
ここではコンセッションについて考えてみたい。一般的に言われているコンセッションのメリット、デメリットは以下の通り。
著者作成
コンセッションは、契約とモニタリングが重要だ。それは内資でも外資でも関係ない。パリ市の水道をヴェオリアにコンセッション契約でまかせたら料金が上がったというケースがあるが、パリ市にとってヴェオリアは内資である。
8月20日、宮城県は、業務の透明性を確保する「情報公開規定」を企業側が取りまとめる見通しを明らかにした。
しかしながら、みやぎ型における情報の透明度は高いとは言えない。懸念点を以下にまとめておきたい。
契約の変更理由や具体的内容……もともと県が作成した「実施契約書(案)」が、県と企業グループの「競争的対話」によって変更されている。対象は、「知的財産権対象技術の取り扱い」「契約不適合条項に係る免責規定」「突発的かつ一時的な対象時の対策費用負担」「第三者への委託に係る事務作業の簡素化」など。これについて宮城県は「問題ない」としているが、1つ1つの変更理由や具体的内容を説明する必要がある。
コスト削減の実行性と災害対策……コスト削減額は337億円と大きいが、村井知事は県議会で「契約書事項ではなく約束」と答弁している。一括購入や分析・管理の集中管理・制御、効率的な人員配置などを行うというが、反対にコスト削減がサービス低下につながらないか注意する必要がある。たとえば、水道事業で大きなコストは配管工事、配管の維持管理。この費用を先延ばしすると支出が抑えられる。気候変動の今後の趨勢からすると、危機管理はこれまで以上に重要。効率一辺倒でコスト削減を繰り返してきたが、人員含め多少の余裕が災害時に市民を守る。
新OM会社の情報開示……今後20年で水道事業におけるCPS/IoT活用が進む。「みやぎ型」の契約満了する2040年までに、さまざまなノウハウが新OM会社に蓄積されることは間違いない。OM会社は、変えのきかない独占的な企業になる可能性がある。県が契約を結ぶのは特定目的会社であり、その会社が設立する新OM会社と県のあいだには契約がない。再委託先に、どのようにモニタリングを行なうかも不明確だ。
コンセッション導入から数年は能力のある職員がいて、企業の業務が適正かを監督できるし、災害時には現場で対応することもできる。
だが、導入から一定の年月が経過すると水道事業に精通した職員は減る。一方でCPS/IoT活用は進む。管理監督する立場にある水道職員の知見が不足する。契約の終了する20年後には、水道事業を経験している職員の多数が退職している。運営企業が業務にまずい点があっても、発注元は即座に業務停止を命令することはできない。水道は生活必需品だからだ。
コンセッション契約を更新せざるを得ない状況になり、民間企業に有利な契約内容になる可能性もある。
次第に企業に丸投げになり、県は管理が難しくなる。ここがコンセッション最大のデメリットではないか。
橋本淳司
水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
水ジャーナリスト。武蔵野大学客員教授。アクアスフィア・水教育研究所代表。Yahoo!ニュース個人オーサーワード2019。国内外の水問題と解決方法を取材。自治体・学校・企業・NPO・NGOと連携しながら、水リテラシーの普及活動(国や自治体への政策提言やサポート、子どもや市民を対象とする講演活動、啓発活動のプロデュース)を行う。近著に『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る 水ジャーナリストの20年』(文研出版)、『水がなくなる日』(産業編集センター)など。