冬至のお祭り、サトゥルナリア祭

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クリスマスに関係したお祭りに、サトゥルナリア祭があります。

ローマ神話では主神ユピテル(英語名ジュピター,ギリシャ神話のゼウス)は、 前主神サトゥルヌス(英語名サターン,ギリシャ神話のクロノス)を倒して 主神の地位を得ますが、ユピテルはその後、サトゥルヌスを封印したと されています。

しかしサトゥルヌスはユピテルが年末一週間休む間だけ解放されるとされ、 その期間十二月十七日から二十三日まで人々はこの古き神と、 さまざまな精霊が人間と共存していた時代を祝福し、お祭りをしました。

それをサトゥルナリア祭といい、この祭が明けた十二月二十五日、 新年のお祭りが行われました。

冬至は、一年で一番日照時間の短い日。
この日を境に、だんだん日が長くなっていく日ですので、 太陽の復活と大地の復活を象徴していました。

サトゥルナリア祭では、その新しい力を得られるよう、 森から常緑樹の枝を取ってきて贈りあっていたようです。

サトゥルヌスは種まきと農耕の神で、 古代イタリアの廉潔で慈悲深い王であった、とされています。

山岳地帯に散在して暮らしていた未開の人々を集めて、 大地を耕す事を教え、律法を与え、平和な統治を行いました。

大地は豊かな実りをもたらし、奴隷も私有財産も存在せず、 戦いやもめ事が幸福なこの世を悩ます事はありませんでした。

万人が万物を平等に共有していたこの「黄金時代」は、この善神、慈悲の王が突然消え去って、終わりを告げたのです。

サトゥルヌス神と黄金時代の遺名は後の時代まで人々の記憶に残り、 この神を祀る数々の神廟が建てられ、イタリアの多くの山や丘に、 その名前がつけられました。

多くの民族は年に一度、農耕の、種まきや収穫の時期に、律法や道徳の制限を無視し、はめをはずす期間をもち、人々が浮かれ騒いで、 普段ではありえないばか騒ぎをするお祭りを持っていました。

サトゥルナリア祭は、その代表的なお祭りで、 この祭りの期間は、自由民と奴隷の間の垣根が取り払われ、 他の期間ならむち打ち刑、投獄、死刑になりかねない行為をしても、 赦されていました。

また、このお祭りで王の役を司ったものは、大勢の兵士を従え、三十日の祭りの間、いかなる行為も赦され、自由に振る舞えましたが、 祭りの終了時に、この世のために命を落とした善き神として、 命を落としました。

一月六日は顕現節、エピファニーと言うキリスト教のお祭りですが、 冬至の日=クリスマスの十二月二十五日から一月六日の十二日間は、 太陰暦の一年と太陽暦の一年を等しくするための古代の閏日だったと 考えられています。

その十二日間は、本来ないもの、太陰暦にも太陽暦にも属さない、 無秩序で月日や時の流れにも逆らう渦のようなものと、とらえられて いたようです。

そのためヨーロッパ各地では、 クリスマスから顕現節迄の十二日間には、さまざまな魔女や悪鬼、魔物が 飛び出し騒ぎだすと、伝説やお祭りなどの形で伝わっているようです。

※サトゥルヌス神。
ギリシャ神話ではクロノス。

子供によって天上の地位を追われる運命とされたクロノスは、妻レイアとの間に産まれた子を次々と飲み込んでしまいました。

レイアは一計を案じ、その子ゼウスの代わりに岩を飲み込ませ、ゼウスをガイアに育てさせました。

成長したゼウスは、ガイアにもらった吐き薬で兄弟達を救い出し、クロノス、ティタン神族と戦い、これらを地底の暗黒界タルタロスに封じました。

ギリシャとローマの神話は、同一視され、それぞれ信仰されていました。