・なぜ政府は全国民にマイナンバーカードを持たせたいのか?2021年、健康保険証と一体化へ(MONEY VOICE 2019年3月10日)
※政府はマイナンバーカードを保険証として使えるようにすると発表しました。その目的は、国民の利便性向上よりも、カードをもっと普及させることにありそうです。なぜ政府は、全国民にマイナンバーカードを持たせたいのでしょうか。
個人は丸裸に。マイナンバーカードが取り込む情報はさらに拡大へ
マイナンバーカードが健康保険証に
菅義偉官房長官は2月15日、閣議後の会見で、マイナンバーカード普及に向け、消費活性化策や健康保険証と一体化する施策を取りまとめることを決めたと明らかにしました。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするということで、2021年3月からの施行を目指すことになります(編注:この報道に対して、日本医師会は「マイナンバーが保険証の代わりになるという誤解が一部で広がっているが、事実誤認だ」と指摘。「マイナンバーカードのICチップに搭載された情報で保険証の確認をするということ」と説明しています)。
その目的は「カードの利便性を高めて普及を促す」ことにあるようです。つまり、交付率12%程度にとどまっているマイナンバーカードの普及率を上げるためだということです。
平成28年1月から、社会保障・税・災害保障の行政手続きでマイナンバー利用が始まっているので、既に生活のいろんな場面で、マイナンバーが求められる経験をしているかと思います。
マイナンバー制度については、総務省ホームページは「マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される」と説明しています。
そもそもマイナンバーの導入目的は…
政府は、マイナンバー制度導入の目的について、
国民の利便性向上
行政の効率化
公正・公平な社会の実現
としています。
以下、それぞれについての説明を、ホームページにあるままに掲載します。
・国民の利便性向上
これまで、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になります。
・行政の効率化
マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。
・公正・公平な社会の実現
国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
出典:マイナンバー制度とマイナンバーカード – 総務省
マイナンバーカードを普及させたいだけ?
まず「行政の効率化」を行政側から見れば、国民一人ひとりの「事情」を番号だけで全てを把握することができるようになるという表現に置き換えられます。
同じく行政側から「公正・公平」の部分を見れば、「不正受給の防止」つまり社会保険料や税金の徴収漏れをなくすという表現ができますね。
マイナンバー制度挿入の3つの目的の中では、「国民の利便性」が一番インパクトが弱い感じになります。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする目的が「カードの利便性を高める」のであれば、この「国民の利便性向上」を具現化したものと言えなくはないですが、いままでの健康保険証も使えるわけで、マイナンバーカードを保険証として使えることにする目的は、国民の利便性向上よりも「マイナンバーカード普及」にあるように思えて仕方がありません。
政府はなぜ、そんなにも全国民にマイナンバーカードを持たせたいのでしょう。
もっと個人情報が欲しい政府
政府はなぜ、そんなにも全国民にマイナンバーカードを持たせたいのでしょう。
そこで、菅官房長官の発言「政府としては同カードの普及に向け政府システムを構築したこともあり、国民の利用が進まないと、国民生活の利便性向上や経済の生産性向上が進まないことになる。このため、普及に向けて総務相を中心に施策を検討していく」に注目してみました。
政府は「カード普及を前提に政府システムを構築した」とあります。マイナンバーカードが普及しないと政府が困るというのです。
なにが困るのでしょう。
「政府システム構築」とは、今以上にマイナンバーカードに盛り込まれる情報を増やす準備があるということなのでしょうか。そのためには国民全員がマイナンバーカードを持っていないと困るということなのでしょうか。
社会保障保険料や税金納付情報や、年金給付、福祉・介護手続や災害時支援利用状況を管理するマイナンバー制度に、あらたに健康保険証機能追加となることで、医療機関利用履歴や投薬履歴が加わります。
既に金融機関での口座開設には、金融機関の自主的対応として、マイナンバー提出を求められます。将来的には義務化され、個人資産情報もマイナンバーに盛り込まれることになるのでしょう。
都合よく個人情報が使われる?
「社会システムのIT化」という部分でのマイナンバーカード利用は意味があるとは思います。ただ、国民の全ての情報を管理する行政および政府側との信頼関係が築かれているのかどうかが大事だと思います。
マイナンバー制度に反対する人たちの多くは、情報を管理する側が信用できない、つまり、安心して情報管理を任せられないという基本的な信頼関係が築けていないところに大きな問題があると指摘しているように思います。
時の政権の都合の良いように個人情報が利用される…。
昨今の不正、隠蔽、捏造の数々を見ていると、とてもこの国の行政は信用できないという感情が起こっても無理はないでしょう。
民間企業の情報漏えい、個人情報の不正流用(民間に限りません)、その対処方法を見ていても、とても安心できないという思いは容易に理解できます。
繰り返しますが、「社会システムのIT化」という部分でのマイナンバーカード利用は意味があると思います。
さらに、菅官房長官の「経済の生産性向上」という言葉は何を意味しているのでしょう。
マイナンバーカード活用などの社会構造の変化は、キャッシュレス化等を含め、インフラ整備が必要となり、当然そこには大きなお金が動くことになります。
マイナンバー制度に取り込まれる個人情報はさらに拡大する
データ管理や制度運用など、政府や自治体、業者に依存するところが大きく、自分達の力ではどうしようもないところに「安全」というものを委ねることになります。
すでにネット社会となっているので、個人情報守秘という概念は「あってないようなもの」とも言えますが、とくにここ最近の相次ぐ政府や自治体、企業の信用を落とすような出来事が多すぎる現象は、わたしたちに対して「利便性」を求めることで大事なものを手放す覚悟を求めているような気がしてなりません。
自助努力や自己防衛は、今後、そのあり方は変わってくるわけで、未来社会を生きることは、自分達のことは自分達で守るという覚悟を持つことだと思います。
それゆえ「知らない」ことの怖さを十分に自覚し、貪欲に情報を求め、国や社会への依存体質から早く抜け出すように心がけなければならないと思います。
まちがいなくマイナンバー制度に取り込まれる個人情報は拡大し、個人は丸裸にさせられます。
その環境で、いかに自分自信のアイデンティティを死守して、自分たちの財産を守るかを考えなければならないと思いますね。
・マイナンバーカード未取得「理由提出を」 各省庁職員に(朝日新聞DIGITAL 2019年11月25日)
※国家公務員らによるマイナンバーカードの一斉取得を進めるため、各省庁が全職員に対し、取得の有無や申請しない理由を家族(被扶養者)も含めて尋ねる調査をしている。内閣官房と財務省の依頼を受けたもので、氏名を記入して上司に提出するよう求めている。調査を受けた職員からは、法律上の義務でないカード取得を事実上強要されたと感じるとの声が出ている。
政府はマイナンバーカードを2021年3月から健康保険証として使えるようにする計画で、6月に閣議決定した「骨太の方針」に、国と地方の公務員らによる今年度中のカード取得の推進を盛り込んだ。22年度末までに国内のほとんどの住民がカードを保有するとも想定し、「普及を強力に推進する」としている。
朝日新聞は各省庁などに送られた7月30日付の依頼文を入手した。内閣官房内閣参事官と国家公務員共済組合(健康保険証の発行者)を所管する財務省給与共済課長の役職名で、骨太の方針に基づき、各省庁などの部局長から全職員に対し、家族も含めてカード取得を勧めるよう依頼。10月末時点の取得状況の調査と集計・報告、12月末と来年3月末時点の集計・報告を求めている。
文書に添付された調査用紙には個人名の記入欄、家族を含む取得の有無や交付申請の状況、申請しない場合は理由を記す欄があり、「所属する部局長に提出してください」ともある。
財務省給与共済課によると、調査対象は国家公務員や独立行政法人職員ら共済組合員約80万人と被扶養者約80万人を合わせた約160万人。同課は取材に「回答に理由を記載するかは自由で、決して強制ではない。人事の査定に影響はない」と話している。調査は取得に向けた課題を洗い出すためで、今後は各省庁などを通じて取得率の低い部局に取得を促すという。
マイナンバー法で、マイナンバーは全住民に割り振られているが、カードを取得するかどうかは任意だ。調査を受けた経済産業省の関係者は「公務員は政府の方針に従い、率先してカードを持つべきだというのは分かるが、記名式で家族の取得しない理由まで聞かれ、取得の強要と感じた」。財務省の関係者は「取得を迫るようなやり方に違和感を覚える。3年余でほぼ全住民が保有すると閣議で風呂敷を広げたせいで、普及に必死になっている」と漏らす。
地方公務員ら約310万人については総務省が6月から調査。同省福利課によると、職員の名前は明記させず、本人や家族の取得の有無を職場全体で取りまとめる形で行った。取得しない理由などは尋ねていない。担当者は「事務作業の負担を考えて調査項目は必要最低限にした」と話す。
マイナンバーカードは16年1月に交付が始まった。利便性の低さや個人情報の漏洩(ろうえい)への懸念などから普及が進まず、11月1日現在の交付枚数は約1823万枚、取得率は全住民の14・3%にとどまる。総務省所管の団体は7月、普及が進むとの政府の想定に基づいて5500万枚分の製造を2業者に発注している。
※政府はマイナンバーカードを保険証として使えるようにすると発表しました。その目的は、国民の利便性向上よりも、カードをもっと普及させることにありそうです。なぜ政府は、全国民にマイナンバーカードを持たせたいのでしょうか。
個人は丸裸に。マイナンバーカードが取り込む情報はさらに拡大へ
マイナンバーカードが健康保険証に
菅義偉官房長官は2月15日、閣議後の会見で、マイナンバーカード普及に向け、消費活性化策や健康保険証と一体化する施策を取りまとめることを決めたと明らかにしました。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにするということで、2021年3月からの施行を目指すことになります(編注:この報道に対して、日本医師会は「マイナンバーが保険証の代わりになるという誤解が一部で広がっているが、事実誤認だ」と指摘。「マイナンバーカードのICチップに搭載された情報で保険証の確認をするということ」と説明しています)。
その目的は「カードの利便性を高めて普及を促す」ことにあるようです。つまり、交付率12%程度にとどまっているマイナンバーカードの普及率を上げるためだということです。
平成28年1月から、社会保障・税・災害保障の行政手続きでマイナンバー利用が始まっているので、既に生活のいろんな場面で、マイナンバーが求められる経験をしているかと思います。
マイナンバー制度については、総務省ホームページは「マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される」と説明しています。
そもそもマイナンバーの導入目的は…
政府は、マイナンバー制度導入の目的について、
国民の利便性向上
行政の効率化
公正・公平な社会の実現
としています。
以下、それぞれについての説明を、ホームページにあるままに掲載します。
・国民の利便性向上
これまで、市区町村役場、税務署、社会保険事務所など複数の機関を回って書類を入手し、提出するということがありました。マイナンバー制度の導入後は、社会保障・税関系の申請時に、課税証明書などの添付書類が削減されるなど、面倒な手続が簡単になります。
・行政の効率化
マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。
・公正・公平な社会の実現
国民の所得状況等が把握しやすくなり、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらに本当に困っている方へのきめ細かな支援が可能になります。
出典:マイナンバー制度とマイナンバーカード – 総務省
マイナンバーカードを普及させたいだけ?
まず「行政の効率化」を行政側から見れば、国民一人ひとりの「事情」を番号だけで全てを把握することができるようになるという表現に置き換えられます。
同じく行政側から「公正・公平」の部分を見れば、「不正受給の防止」つまり社会保険料や税金の徴収漏れをなくすという表現ができますね。
マイナンバー制度挿入の3つの目的の中では、「国民の利便性」が一番インパクトが弱い感じになります。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする目的が「カードの利便性を高める」のであれば、この「国民の利便性向上」を具現化したものと言えなくはないですが、いままでの健康保険証も使えるわけで、マイナンバーカードを保険証として使えることにする目的は、国民の利便性向上よりも「マイナンバーカード普及」にあるように思えて仕方がありません。
政府はなぜ、そんなにも全国民にマイナンバーカードを持たせたいのでしょう。
もっと個人情報が欲しい政府
政府はなぜ、そんなにも全国民にマイナンバーカードを持たせたいのでしょう。
そこで、菅官房長官の発言「政府としては同カードの普及に向け政府システムを構築したこともあり、国民の利用が進まないと、国民生活の利便性向上や経済の生産性向上が進まないことになる。このため、普及に向けて総務相を中心に施策を検討していく」に注目してみました。
政府は「カード普及を前提に政府システムを構築した」とあります。マイナンバーカードが普及しないと政府が困るというのです。
なにが困るのでしょう。
「政府システム構築」とは、今以上にマイナンバーカードに盛り込まれる情報を増やす準備があるということなのでしょうか。そのためには国民全員がマイナンバーカードを持っていないと困るということなのでしょうか。
社会保障保険料や税金納付情報や、年金給付、福祉・介護手続や災害時支援利用状況を管理するマイナンバー制度に、あらたに健康保険証機能追加となることで、医療機関利用履歴や投薬履歴が加わります。
既に金融機関での口座開設には、金融機関の自主的対応として、マイナンバー提出を求められます。将来的には義務化され、個人資産情報もマイナンバーに盛り込まれることになるのでしょう。
都合よく個人情報が使われる?
「社会システムのIT化」という部分でのマイナンバーカード利用は意味があるとは思います。ただ、国民の全ての情報を管理する行政および政府側との信頼関係が築かれているのかどうかが大事だと思います。
マイナンバー制度に反対する人たちの多くは、情報を管理する側が信用できない、つまり、安心して情報管理を任せられないという基本的な信頼関係が築けていないところに大きな問題があると指摘しているように思います。
時の政権の都合の良いように個人情報が利用される…。
昨今の不正、隠蔽、捏造の数々を見ていると、とてもこの国の行政は信用できないという感情が起こっても無理はないでしょう。
民間企業の情報漏えい、個人情報の不正流用(民間に限りません)、その対処方法を見ていても、とても安心できないという思いは容易に理解できます。
繰り返しますが、「社会システムのIT化」という部分でのマイナンバーカード利用は意味があると思います。
さらに、菅官房長官の「経済の生産性向上」という言葉は何を意味しているのでしょう。
マイナンバーカード活用などの社会構造の変化は、キャッシュレス化等を含め、インフラ整備が必要となり、当然そこには大きなお金が動くことになります。
マイナンバー制度に取り込まれる個人情報はさらに拡大する
データ管理や制度運用など、政府や自治体、業者に依存するところが大きく、自分達の力ではどうしようもないところに「安全」というものを委ねることになります。
すでにネット社会となっているので、個人情報守秘という概念は「あってないようなもの」とも言えますが、とくにここ最近の相次ぐ政府や自治体、企業の信用を落とすような出来事が多すぎる現象は、わたしたちに対して「利便性」を求めることで大事なものを手放す覚悟を求めているような気がしてなりません。
自助努力や自己防衛は、今後、そのあり方は変わってくるわけで、未来社会を生きることは、自分達のことは自分達で守るという覚悟を持つことだと思います。
それゆえ「知らない」ことの怖さを十分に自覚し、貪欲に情報を求め、国や社会への依存体質から早く抜け出すように心がけなければならないと思います。
まちがいなくマイナンバー制度に取り込まれる個人情報は拡大し、個人は丸裸にさせられます。
その環境で、いかに自分自信のアイデンティティを死守して、自分たちの財産を守るかを考えなければならないと思いますね。
・マイナンバーカード未取得「理由提出を」 各省庁職員に(朝日新聞DIGITAL 2019年11月25日)
※国家公務員らによるマイナンバーカードの一斉取得を進めるため、各省庁が全職員に対し、取得の有無や申請しない理由を家族(被扶養者)も含めて尋ねる調査をしている。内閣官房と財務省の依頼を受けたもので、氏名を記入して上司に提出するよう求めている。調査を受けた職員からは、法律上の義務でないカード取得を事実上強要されたと感じるとの声が出ている。
政府はマイナンバーカードを2021年3月から健康保険証として使えるようにする計画で、6月に閣議決定した「骨太の方針」に、国と地方の公務員らによる今年度中のカード取得の推進を盛り込んだ。22年度末までに国内のほとんどの住民がカードを保有するとも想定し、「普及を強力に推進する」としている。
朝日新聞は各省庁などに送られた7月30日付の依頼文を入手した。内閣官房内閣参事官と国家公務員共済組合(健康保険証の発行者)を所管する財務省給与共済課長の役職名で、骨太の方針に基づき、各省庁などの部局長から全職員に対し、家族も含めてカード取得を勧めるよう依頼。10月末時点の取得状況の調査と集計・報告、12月末と来年3月末時点の集計・報告を求めている。
文書に添付された調査用紙には個人名の記入欄、家族を含む取得の有無や交付申請の状況、申請しない場合は理由を記す欄があり、「所属する部局長に提出してください」ともある。
財務省給与共済課によると、調査対象は国家公務員や独立行政法人職員ら共済組合員約80万人と被扶養者約80万人を合わせた約160万人。同課は取材に「回答に理由を記載するかは自由で、決して強制ではない。人事の査定に影響はない」と話している。調査は取得に向けた課題を洗い出すためで、今後は各省庁などを通じて取得率の低い部局に取得を促すという。
マイナンバー法で、マイナンバーは全住民に割り振られているが、カードを取得するかどうかは任意だ。調査を受けた経済産業省の関係者は「公務員は政府の方針に従い、率先してカードを持つべきだというのは分かるが、記名式で家族の取得しない理由まで聞かれ、取得の強要と感じた」。財務省の関係者は「取得を迫るようなやり方に違和感を覚える。3年余でほぼ全住民が保有すると閣議で風呂敷を広げたせいで、普及に必死になっている」と漏らす。
地方公務員ら約310万人については総務省が6月から調査。同省福利課によると、職員の名前は明記させず、本人や家族の取得の有無を職場全体で取りまとめる形で行った。取得しない理由などは尋ねていない。担当者は「事務作業の負担を考えて調査項目は必要最低限にした」と話す。
マイナンバーカードは16年1月に交付が始まった。利便性の低さや個人情報の漏洩(ろうえい)への懸念などから普及が進まず、11月1日現在の交付枚数は約1823万枚、取得率は全住民の14・3%にとどまる。総務省所管の団体は7月、普及が進むとの政府の想定に基づいて5500万枚分の製造を2業者に発注している。