・なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ(産経新聞DIGITAL 2019年3月8日)


※政府が今国会提出を目指す著作権法改正案をめぐり、自民党が違法ダウンロード(DL)に関する項目の削除を求める方針を固めたのは、安倍晋三首相の「鶴の一声」があったからだった。なぜ言論規制につながりかねない改正案があっさり党の審査を通過したのか。与党として法案チェックの特権を持つ自民党に猛省を促したい。
※なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ
6日夜、党総務会メンバーで「MANGA議連」会長の古屋圭司元国家公安委員長は意を決して首相に電話で直談判した。
古屋氏「DL規制拡大は投網で小魚も一網打尽にする危険性があります」
首相「漫画家を保護するための法律のはずなのに、別の意図を持った法律になっているじゃないか」
首相は即座にDL規制拡大の項目削除を指示した。このまま総務会の了承を得て改正案を閣議決定すれば「首相はネットでの言論弾圧を狙っている」との批判を浴びかねない。そう考えたからだ。
改正案は本来の趣旨を大きく逸脱している。海賊版サイト被害を訴えてきた日本漫画家協会さえも、規制の範囲拡大に関しては「表現や研究などの萎縮はもとより、人権の制約につながることがないように十全な審議を要望する」という声明を出したことが証左だといえる。しかも文化庁は、漫画家協会のヒアリングさえ実施していなかった。
規制対象が著作物の写真まで拡大されれば、ネット上の活動は大幅に萎縮される。批判は建築家などのクリエーターにも広がり、自民党には慎重な審査を求める声が相次いでいた。
にもかかわらず自民党の文部科学部会や政策審議会はすんなりと改正案を了承してしまった。
古屋氏が1日の総務会で「ダウンロード規制の範囲が広すぎる。もっと議論が必要だ」と訴え、加藤勝信総務会長が部会に差し戻していなければ、すでに法案は閣議決定されていたはずだ。
安定政権が続き、自民党に慢心が広がっているのではないか。わけても「言論の自由」に関わる法案にはもっと目を光らせてほしい。(長嶋雅子)
※ブログ主注:産経新聞も偽装保守なので信用しないように。
・産経新聞「安倍首相の『鶴の一声』で違法DL項目削除へ!」→菅官房長官「全く承知していない」(BUZZAP! 2019年3月8日)
※菅官房長官も知らない内情を産経新聞が台詞付きで報道しています。詳細は以下から。
◆迷走と「印象操作」で批判殺到のダウンロード違法化
スクショはNGだけど「漫画村」はOKとなるなど、迷走が続き、漫画家らをはじめとした当事者らからも大きな批判を浴びていた海賊版対策のダウンロード違法化問題。
迷走だけに留まらず、文化庁が法案への賛成意見の水増しや慎重意見の省略、都合のよい海外事例のつまみ食いによる比較を行っていたことが明治大学知的財産法政策研究所によって明らかにされました。
◆甘利元経産相が部会で反対論を押し切る
このダウンロード違法化を盛り込んだ著作権法改正案については、自民党総務会から関係者からの聞き取り不十分として異例の差し戻しを受け、3月6日に党の文部科学部会と知的財産戦略調査会の合同会議が開催されました。
ここでは議員らから法案の修正や見送りを求める声が相次いだものの、党知財戦略調査会長の甘利明元経済財政担当相が「政治論としての判断」などと主張。
総務会の指摘する関係者の聞き取りが不十分も「手続き上の瑕疵」に過ぎず、法案の中身についての議論は済んだとし、修正せずに反対論を押し切って文化庁案のまま法改正を進めるよう求めました。
◆その夜、安倍首相の「鶴の一声」と産経が報道
産経新聞が3月8日7:27に掲載した記事によると、この6日夜、総務会メンバーで超党派のMANGA議連会長を務める古屋圭司元国家公安委員長が安倍首相に電話で直談判し、首相が「鶴の一声」で違法DL項目削除が決定されたとしています。産経新聞は以下のように両者の台詞も掲載。
古屋氏「DL規制拡大は投網で小魚も一網打尽にする危険性があります」
首相「漫画家を保護するための法律のはずなのに、別の意図を持った法律になっているじゃないか」
首相は即座にDL規制拡大の項目削除を指示した。このまま総務会の了承を得て改正案を閣議決定すれば「首相はネットでの言論弾圧を狙っている」との批判を浴びかねない。そう考えたからだ。
なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ - 産経ニュース
また、記事の最後ではめずらしく自民党にも苦言を呈しています。
安定政権が続き、自民党に慢心が広がっているのではないか。わけても「言論の自由」に関わる法案にはもっと目を光らせてほしい。
◆菅官房長官「全く承知していない」
産経新聞の報道では安倍首相が法案の危険性を見抜き、「鶴の一声」の指示によって違法DL項目を削除したことになっていますが、菅官房長官は記者会見で「総理から指示した事実があったということは全く承知していません」と、この報道を完全否定してしまいます。
菅官房長官は続けて「この改正については法案の国会提出を目指し、著作権を侵害しているコンテンツを違法化する範囲の拡大を含め、文科省において与党その他の関係者と調整を進めている」と発言。非常に真っ当な手順です。
つまり産経新聞は、菅官房長官すら承知していない法案の項目削除を安倍首相が指示したと、当人の台詞付きで報じている事になります。
◆立法プロセスとしてありなのかという問題
違法DL項目の削除自体は朗報と言えるかもしれませんが、官房長官も全く知らないままに、与党の部会で了承された法案が安倍首相の「鶴の一声」で変更されたとしたら、これはこれで危険な話。
しかもその理由が産経新聞の述べるような「『首相はネットでの言論弾圧を狙っている』との批判を浴びかねない」というものであれば、安倍首相が支持率や評判のために法案を恣意的に書き換えさせてしまったことになります。
そうなれば、もはやこれは先日小西洋之議員が口にしたように「法の支配」ではなく「人の支配」という話になってしまいますが…。
実はこの記事、産経新聞による強烈な安倍政権disなのでしょうか?
・眉唾】産経が「安倍総理からの強い指示で自民党が違法DL拡大見直し」と報道も、菅長官は「全く承知していない」と否定!ネット上は”安倍賛美”の声が続出!( ゆるねとにゅーす 2019年3月9日)
どんなにゅーす?
・「違法ダウンロード大幅拡大」を含んだ著作権法改正案が国会に提出される寸前になっている中、産経新聞が「安倍総理による”鶴の一声”の指示によって、自民党が違法ダウンロード拡大の項目の削除を行なう方針を固めた」と報じた。
・産経は、「漫画家を保護するための法律のはずなのに、別の意図を持った法律になっているじゃないか」と、MANGA議連会長の古屋圭司議員からの電話報告に怒る安倍総理の言葉を紹介。安倍総理自らが項目削除を命じたことが強調された産経の記事を機に、ネット上では安倍総理を賛美する声が続出している。
・一方で、菅官房長官は、この産経の報道について「全く承知していない」と否定。その上で「法案の国会提出を目指し、著作権を侵害しているコンテンツを違法化する範囲の拡大を含め、文科省において与党その他の関係者と調整を進めている」と従来通りの手続きを行なっていることを明言した。
※産経新聞「安倍首相の『鶴の一声』で違法DL項目削除へ!」→菅官房長官「全く承知していない」
菅官房長官も知らない内情を産経新聞が台詞付きで報道しています。
産経新聞による(世論工作臭漂う)報道によって、足並みを揃えたように安倍総理への称賛の声がネット上に溢れる!
「違法ダウンロード大幅拡大」を含んだ著作権改正案が国会に提出される直前だった中、これが「安倍総理の鶴の一声」によって、急遽、自民党が違法DLに関する項目の削除を行なう方針を固めたと産経新聞が報じました。
この産経報道を機に、ネット上では、足並みを揃えたように安倍総理に対する称賛の声が躍る事態になっています。
しかし、菅官房長官は、この産経新聞の報道を「全く承知していない」と話しているようだし、この産経報道はいささか眉に唾を付けて受け取っておいた方が良さそうだね。
まず、今回の産経報道において、大いに不自然なのは、日常的に自民党を礼賛している産経新聞が突然、「言論・表現の自由」を守る重要性を説きだしては、自民党の対応をかなり大きく踏み込んで強く批判している点だ。
「言論・表現統制」に繋がる自民党の改憲案を大きく称賛してきた産経新聞のこれまでの姿勢からみても、これはかなり不自然だし、今回の記事は、世論の反対も無視して法案提出を推し進めている自民党を”悪者”にした上で、これを寸前のところでストップをかけた(とされる)安倍総理の好印象を国民に刷り込む「明確な目的」があることがうかがえる。
その上で、古屋圭司議員と安倍総理双方の、具体的な電話のセリフまで報じているというのも、これもいささか不自然で、(安倍官邸からの指示を受けつつ)国民に向けて安倍総理の「ヒーローぶり」をストーリー交じりで広く伝える目的で、この記事が作られた可能性がありそうだ。
そして、(日頃から安倍政権をアシストする目的のデマや捏造記事を繰り返し報じてきた)産経新聞の記事を完全に鵜呑みにした上で、安倍総理を大きく讃える声が一斉にネット上で上がっているのも、これも不自然な動きではないかと思います。
そして、もう一つ注目しなければならないのは、違法ダウンロード大幅拡大の「言論・表現統制に繋がる内容」を、世論の反対を完全無視して強引に国会提出しようとしていたのが、安倍総理と深いレベルで繋がっている甘利氏だったということだ。
この甘利氏や文化庁が推し進めていた内容は、これまで自民党が強行採決してきた秘密保護法や共謀罪、さらにいえば自民党の改憲案の内容ともリンクしており、こうした内容について安倍総理が突然強い不快感を示し、「(言論・表現の自由を守るために)項目の削除を指示した」という話は、これまでの行動とも完全に矛盾しており、やはりおかしい部分がある。
政権発足以降、安倍政権が一貫して推し進めてきたのが、まさに、「(国会の冒涜・立憲主義の軽視・三権分立の形骸化などの)民主主義の破壊」「言論・表現の自由の抑制」「基本的人権の軽視」「全体主義化」などであり、安倍総理が突然これを軌道修正するような動きを取るのは、普通に考えてもかなり不自然だ。
菅官房長官がこの報道を全面的に否定していることも気になる動きだけど、もし、自民党が実際に法案の見直しに動いたのだとしたら、これは、「一旦ソフトな内容で法案を通し、その後段階的に法改正を行なうことで、本格的な言論・表現統制を推し進めていく」ことが考えられるし、このタイミングで安倍総理に対する好印象を国民に刷り込み、これにより選挙に勝利した後に、「本来の目的」を推し進めていく狙いがあることが考えられるね。
とにかく、産経新聞が報じている時点で、信憑性に大きな疑問符がつく状況ですし、この報道を鵜呑みにして、安易に喜んだり安心するのはかえって危険であるような気がします。
このような報道が出てきた以上、安倍総理も世論の反対の盛り上がりをかなり気にしている様子がうかがえますし、今後もしっかりと気を引き締めながら、「違法ダウンロード拡大法案」の行方をウォッチしていく必要がありそうです。
・ダウンロード規制見送り 著作権法改正案提出せず(日本経済新聞 2019年3月13日)
※政府は13日、違法ダウンロードへの規制を強化する著作権法改正案について、今国会への提出を見送る方針を決めた。無許可で投稿された音楽や動画に限っていたダウンロード規制の対象を漫画や雑誌などの静止画にも拡大する内容だったが、漫画家をはじめとした著作権者側の理解を得られていないと判断した。
自民党文部科学部会と知的財産戦略調査会が13日午前に幹部会合を開き、文化庁に改正案の練り直しを求めた。
改正案は海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」の規制も盛り込んでいた。違法ダウンロードの規制強化とともに、今国会への提出は見送りになる。
改正案は権利者の許可を得ないで投稿されたと知りながらダウンロードする行為の禁止対象を、すべての著作物に広げる。海賊版サイトだけでなく、個人のブログなどからのダウンロードやスマートフォン(スマホ)で画面を撮影、保存する「スクリーンショット」も含まれる可能性がある。常習的にダウンロードを繰り返す場合は刑事罰を科す。
これに対し、漫画家ら利益を保護される著作権者側から「ネットの利用を萎縮させる」との慎重論が出ていた。自民党の文科部会などの合同会議は2月22日に改正案をいったん了承したものの、3月1日の党総務会で「関係者の理解を得られていない」と慎重論が出て、差し戻されていた。
自民党内では海賊版対策を急ぐべきだとする賛成派と、議論は拙速だとして法案修正などを求める反対派が対立した。党文科部会側としても一致点を早期に見いだすのは困難と判断した。
・【巧妙】「違法ダウンロード大幅拡大」法案、今国会での提出は見送りに!安倍総理・自民党への”好印象”を刷り込みつつ、選挙後に再度提出してくる可能性!( ゆるねとにゅーす 2019年3月13日)
どんなにゅーす?
・2019年3月13日、安倍政権は、違法ダウンロードの大幅拡大を含む著作権法改正案の今国会での提出を見送る方針を固めた。
・同改正案は、当初進めていた「漫画の海賊版の規制」を大きく超え、あらゆる著作物をダウンロードしたりスクショを取る行為すらも違法になるような内容に変貌していた中、当初法改正を求めていた漫画家・出版社のみならず、自民党支持者の間でも懸念や反対の声が起こっていた。
※選挙が近かったことが影響したか、「違法ダウンロード大幅拡大」法案は今国会での提出見送りに!
各ネットメディアが率先して報じてきたことが功を奏したか、違法ダウンロード大幅拡大の内容を含んだ、著作権法改正案の今国会での提出が見送りになりました。
ネット上では、深い安堵の声が相次いでいる上に、「国会提出を止めた」とされる安倍総理や一部の自民党議員への称賛の声が相次いでいます。
安倍政権にとっても非常に重要な国政選挙を控えていること、そして、自民党の支持者の間でも、強い懸念や反対の声が上がっていたことが大きく影響したのは間違いないだろう。
当サイトでは、(安倍総理の懐刀の一人である)甘利氏がこの法案について、多くの反対の声を無視して今国会での強行採決に息巻いていたことを紹介したけど、これがいつのまにか、自民党が「文化庁の暴走を止めた」「法案を下ろすために尽力した」という話にすり替わり、自民党への賛美の声が多く上がる状況に変貌してしまった。
これは、言ってみれば、「国民の反対の声」を逆手に取った、安倍政権による巧妙な世論工作で、(産経新聞などの)配下のマスコミを使って、「自民党が法案提出阻止に動いた」とのイメージを作り出し、安倍政権への賛美を喚起させた上で選挙に勝利し、自らの権力を盤石のものにしたところで、改めて(満を持して)国民を統制・抑圧・支配するための同法案を国会に出してくることを疑っておくのが良さそうだ。
(そういう意味では、この法案についての国民の反応をうかがいつつ、はじめからこうした展開をある程度”計画”していた可能性もありそうだ。)
なんせ、これまでも、秘密保護法や共謀罪など、国民の表現や言論の自由を著しく制限する法案を強行的に通してきた安倍政権ですからね。
安倍総理が懸命に腐心している改憲案も同じ性質を持ち合わせていますし、今回の動きに大きく喜んだり、自民党や安倍総理に対して好印象を抱いてしまっている人々は、安倍政権が展開している世論誘導にまんまと引っかかってしまっている可能性がありますね。
そうだね。
共謀罪や水道民営化なども、一旦はボツになった末に最後は強行採決されてしまったし、今後も一切の気を緩めずに、同法案の行方について、厳しく注視し続けていく必要がありそうだ。
※ブログ主注:私も同意見です。おそらく今度はどさくさに紛れて(ショックドクトリン)こっそり通そうとするかもしれません。言論統制はNWO体制≒共産主義社会に不可欠ですから。確信犯なのです。諦めるはずがないのです。日本国民は常に反対の声を上げ続けるようにお願いいたします。しかし自民党を潰すにしても、どこも両建ての傀儡なので、国民の利益を真に代表する政治組織の結成が緊急を要します。


※政府が今国会提出を目指す著作権法改正案をめぐり、自民党が違法ダウンロード(DL)に関する項目の削除を求める方針を固めたのは、安倍晋三首相の「鶴の一声」があったからだった。なぜ言論規制につながりかねない改正案があっさり党の審査を通過したのか。与党として法案チェックの特権を持つ自民党に猛省を促したい。
※なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ
6日夜、党総務会メンバーで「MANGA議連」会長の古屋圭司元国家公安委員長は意を決して首相に電話で直談判した。
古屋氏「DL規制拡大は投網で小魚も一網打尽にする危険性があります」
首相「漫画家を保護するための法律のはずなのに、別の意図を持った法律になっているじゃないか」
首相は即座にDL規制拡大の項目削除を指示した。このまま総務会の了承を得て改正案を閣議決定すれば「首相はネットでの言論弾圧を狙っている」との批判を浴びかねない。そう考えたからだ。
改正案は本来の趣旨を大きく逸脱している。海賊版サイト被害を訴えてきた日本漫画家協会さえも、規制の範囲拡大に関しては「表現や研究などの萎縮はもとより、人権の制約につながることがないように十全な審議を要望する」という声明を出したことが証左だといえる。しかも文化庁は、漫画家協会のヒアリングさえ実施していなかった。
規制対象が著作物の写真まで拡大されれば、ネット上の活動は大幅に萎縮される。批判は建築家などのクリエーターにも広がり、自民党には慎重な審査を求める声が相次いでいた。
にもかかわらず自民党の文部科学部会や政策審議会はすんなりと改正案を了承してしまった。
古屋氏が1日の総務会で「ダウンロード規制の範囲が広すぎる。もっと議論が必要だ」と訴え、加藤勝信総務会長が部会に差し戻していなければ、すでに法案は閣議決定されていたはずだ。
安定政権が続き、自民党に慢心が広がっているのではないか。わけても「言論の自由」に関わる法案にはもっと目を光らせてほしい。(長嶋雅子)
※ブログ主注:産経新聞も偽装保守なので信用しないように。
・産経新聞「安倍首相の『鶴の一声』で違法DL項目削除へ!」→菅官房長官「全く承知していない」(BUZZAP! 2019年3月8日)
※菅官房長官も知らない内情を産経新聞が台詞付きで報道しています。詳細は以下から。
◆迷走と「印象操作」で批判殺到のダウンロード違法化
スクショはNGだけど「漫画村」はOKとなるなど、迷走が続き、漫画家らをはじめとした当事者らからも大きな批判を浴びていた海賊版対策のダウンロード違法化問題。
迷走だけに留まらず、文化庁が法案への賛成意見の水増しや慎重意見の省略、都合のよい海外事例のつまみ食いによる比較を行っていたことが明治大学知的財産法政策研究所によって明らかにされました。
◆甘利元経産相が部会で反対論を押し切る
このダウンロード違法化を盛り込んだ著作権法改正案については、自民党総務会から関係者からの聞き取り不十分として異例の差し戻しを受け、3月6日に党の文部科学部会と知的財産戦略調査会の合同会議が開催されました。
ここでは議員らから法案の修正や見送りを求める声が相次いだものの、党知財戦略調査会長の甘利明元経済財政担当相が「政治論としての判断」などと主張。
総務会の指摘する関係者の聞き取りが不十分も「手続き上の瑕疵」に過ぎず、法案の中身についての議論は済んだとし、修正せずに反対論を押し切って文化庁案のまま法改正を進めるよう求めました。
◆その夜、安倍首相の「鶴の一声」と産経が報道
産経新聞が3月8日7:27に掲載した記事によると、この6日夜、総務会メンバーで超党派のMANGA議連会長を務める古屋圭司元国家公安委員長が安倍首相に電話で直談判し、首相が「鶴の一声」で違法DL項目削除が決定されたとしています。産経新聞は以下のように両者の台詞も掲載。
古屋氏「DL規制拡大は投網で小魚も一網打尽にする危険性があります」
首相「漫画家を保護するための法律のはずなのに、別の意図を持った法律になっているじゃないか」
首相は即座にDL規制拡大の項目削除を指示した。このまま総務会の了承を得て改正案を閣議決定すれば「首相はネットでの言論弾圧を狙っている」との批判を浴びかねない。そう考えたからだ。
なぜ自民は了承したのか 首相の「鶴の一声」で違法DL項目削除へ - 産経ニュース
また、記事の最後ではめずらしく自民党にも苦言を呈しています。
安定政権が続き、自民党に慢心が広がっているのではないか。わけても「言論の自由」に関わる法案にはもっと目を光らせてほしい。
◆菅官房長官「全く承知していない」
産経新聞の報道では安倍首相が法案の危険性を見抜き、「鶴の一声」の指示によって違法DL項目を削除したことになっていますが、菅官房長官は記者会見で「総理から指示した事実があったということは全く承知していません」と、この報道を完全否定してしまいます。
菅官房長官は続けて「この改正については法案の国会提出を目指し、著作権を侵害しているコンテンツを違法化する範囲の拡大を含め、文科省において与党その他の関係者と調整を進めている」と発言。非常に真っ当な手順です。
つまり産経新聞は、菅官房長官すら承知していない法案の項目削除を安倍首相が指示したと、当人の台詞付きで報じている事になります。
◆立法プロセスとしてありなのかという問題
違法DL項目の削除自体は朗報と言えるかもしれませんが、官房長官も全く知らないままに、与党の部会で了承された法案が安倍首相の「鶴の一声」で変更されたとしたら、これはこれで危険な話。
しかもその理由が産経新聞の述べるような「『首相はネットでの言論弾圧を狙っている』との批判を浴びかねない」というものであれば、安倍首相が支持率や評判のために法案を恣意的に書き換えさせてしまったことになります。
そうなれば、もはやこれは先日小西洋之議員が口にしたように「法の支配」ではなく「人の支配」という話になってしまいますが…。
実はこの記事、産経新聞による強烈な安倍政権disなのでしょうか?
・眉唾】産経が「安倍総理からの強い指示で自民党が違法DL拡大見直し」と報道も、菅長官は「全く承知していない」と否定!ネット上は”安倍賛美”の声が続出!( ゆるねとにゅーす 2019年3月9日)
どんなにゅーす?
・「違法ダウンロード大幅拡大」を含んだ著作権法改正案が国会に提出される寸前になっている中、産経新聞が「安倍総理による”鶴の一声”の指示によって、自民党が違法ダウンロード拡大の項目の削除を行なう方針を固めた」と報じた。
・産経は、「漫画家を保護するための法律のはずなのに、別の意図を持った法律になっているじゃないか」と、MANGA議連会長の古屋圭司議員からの電話報告に怒る安倍総理の言葉を紹介。安倍総理自らが項目削除を命じたことが強調された産経の記事を機に、ネット上では安倍総理を賛美する声が続出している。
・一方で、菅官房長官は、この産経の報道について「全く承知していない」と否定。その上で「法案の国会提出を目指し、著作権を侵害しているコンテンツを違法化する範囲の拡大を含め、文科省において与党その他の関係者と調整を進めている」と従来通りの手続きを行なっていることを明言した。
※産経新聞「安倍首相の『鶴の一声』で違法DL項目削除へ!」→菅官房長官「全く承知していない」
菅官房長官も知らない内情を産経新聞が台詞付きで報道しています。
産経新聞による(世論工作臭漂う)報道によって、足並みを揃えたように安倍総理への称賛の声がネット上に溢れる!
「違法ダウンロード大幅拡大」を含んだ著作権改正案が国会に提出される直前だった中、これが「安倍総理の鶴の一声」によって、急遽、自民党が違法DLに関する項目の削除を行なう方針を固めたと産経新聞が報じました。
この産経報道を機に、ネット上では、足並みを揃えたように安倍総理に対する称賛の声が躍る事態になっています。
しかし、菅官房長官は、この産経新聞の報道を「全く承知していない」と話しているようだし、この産経報道はいささか眉に唾を付けて受け取っておいた方が良さそうだね。
まず、今回の産経報道において、大いに不自然なのは、日常的に自民党を礼賛している産経新聞が突然、「言論・表現の自由」を守る重要性を説きだしては、自民党の対応をかなり大きく踏み込んで強く批判している点だ。
「言論・表現統制」に繋がる自民党の改憲案を大きく称賛してきた産経新聞のこれまでの姿勢からみても、これはかなり不自然だし、今回の記事は、世論の反対も無視して法案提出を推し進めている自民党を”悪者”にした上で、これを寸前のところでストップをかけた(とされる)安倍総理の好印象を国民に刷り込む「明確な目的」があることがうかがえる。
その上で、古屋圭司議員と安倍総理双方の、具体的な電話のセリフまで報じているというのも、これもいささか不自然で、(安倍官邸からの指示を受けつつ)国民に向けて安倍総理の「ヒーローぶり」をストーリー交じりで広く伝える目的で、この記事が作られた可能性がありそうだ。
そして、(日頃から安倍政権をアシストする目的のデマや捏造記事を繰り返し報じてきた)産経新聞の記事を完全に鵜呑みにした上で、安倍総理を大きく讃える声が一斉にネット上で上がっているのも、これも不自然な動きではないかと思います。
そして、もう一つ注目しなければならないのは、違法ダウンロード大幅拡大の「言論・表現統制に繋がる内容」を、世論の反対を完全無視して強引に国会提出しようとしていたのが、安倍総理と深いレベルで繋がっている甘利氏だったということだ。
この甘利氏や文化庁が推し進めていた内容は、これまで自民党が強行採決してきた秘密保護法や共謀罪、さらにいえば自民党の改憲案の内容ともリンクしており、こうした内容について安倍総理が突然強い不快感を示し、「(言論・表現の自由を守るために)項目の削除を指示した」という話は、これまでの行動とも完全に矛盾しており、やはりおかしい部分がある。
政権発足以降、安倍政権が一貫して推し進めてきたのが、まさに、「(国会の冒涜・立憲主義の軽視・三権分立の形骸化などの)民主主義の破壊」「言論・表現の自由の抑制」「基本的人権の軽視」「全体主義化」などであり、安倍総理が突然これを軌道修正するような動きを取るのは、普通に考えてもかなり不自然だ。
菅官房長官がこの報道を全面的に否定していることも気になる動きだけど、もし、自民党が実際に法案の見直しに動いたのだとしたら、これは、「一旦ソフトな内容で法案を通し、その後段階的に法改正を行なうことで、本格的な言論・表現統制を推し進めていく」ことが考えられるし、このタイミングで安倍総理に対する好印象を国民に刷り込み、これにより選挙に勝利した後に、「本来の目的」を推し進めていく狙いがあることが考えられるね。
とにかく、産経新聞が報じている時点で、信憑性に大きな疑問符がつく状況ですし、この報道を鵜呑みにして、安易に喜んだり安心するのはかえって危険であるような気がします。
このような報道が出てきた以上、安倍総理も世論の反対の盛り上がりをかなり気にしている様子がうかがえますし、今後もしっかりと気を引き締めながら、「違法ダウンロード拡大法案」の行方をウォッチしていく必要がありそうです。
・ダウンロード規制見送り 著作権法改正案提出せず(日本経済新聞 2019年3月13日)
※政府は13日、違法ダウンロードへの規制を強化する著作権法改正案について、今国会への提出を見送る方針を決めた。無許可で投稿された音楽や動画に限っていたダウンロード規制の対象を漫画や雑誌などの静止画にも拡大する内容だったが、漫画家をはじめとした著作権者側の理解を得られていないと判断した。
自民党文部科学部会と知的財産戦略調査会が13日午前に幹部会合を開き、文化庁に改正案の練り直しを求めた。
改正案は海賊版サイトに誘導する「リーチサイト」の規制も盛り込んでいた。違法ダウンロードの規制強化とともに、今国会への提出は見送りになる。
改正案は権利者の許可を得ないで投稿されたと知りながらダウンロードする行為の禁止対象を、すべての著作物に広げる。海賊版サイトだけでなく、個人のブログなどからのダウンロードやスマートフォン(スマホ)で画面を撮影、保存する「スクリーンショット」も含まれる可能性がある。常習的にダウンロードを繰り返す場合は刑事罰を科す。
これに対し、漫画家ら利益を保護される著作権者側から「ネットの利用を萎縮させる」との慎重論が出ていた。自民党の文科部会などの合同会議は2月22日に改正案をいったん了承したものの、3月1日の党総務会で「関係者の理解を得られていない」と慎重論が出て、差し戻されていた。
自民党内では海賊版対策を急ぐべきだとする賛成派と、議論は拙速だとして法案修正などを求める反対派が対立した。党文科部会側としても一致点を早期に見いだすのは困難と判断した。
・【巧妙】「違法ダウンロード大幅拡大」法案、今国会での提出は見送りに!安倍総理・自民党への”好印象”を刷り込みつつ、選挙後に再度提出してくる可能性!( ゆるねとにゅーす 2019年3月13日)
どんなにゅーす?
・2019年3月13日、安倍政権は、違法ダウンロードの大幅拡大を含む著作権法改正案の今国会での提出を見送る方針を固めた。
・同改正案は、当初進めていた「漫画の海賊版の規制」を大きく超え、あらゆる著作物をダウンロードしたりスクショを取る行為すらも違法になるような内容に変貌していた中、当初法改正を求めていた漫画家・出版社のみならず、自民党支持者の間でも懸念や反対の声が起こっていた。
※選挙が近かったことが影響したか、「違法ダウンロード大幅拡大」法案は今国会での提出見送りに!
各ネットメディアが率先して報じてきたことが功を奏したか、違法ダウンロード大幅拡大の内容を含んだ、著作権法改正案の今国会での提出が見送りになりました。
ネット上では、深い安堵の声が相次いでいる上に、「国会提出を止めた」とされる安倍総理や一部の自民党議員への称賛の声が相次いでいます。
安倍政権にとっても非常に重要な国政選挙を控えていること、そして、自民党の支持者の間でも、強い懸念や反対の声が上がっていたことが大きく影響したのは間違いないだろう。
当サイトでは、(安倍総理の懐刀の一人である)甘利氏がこの法案について、多くの反対の声を無視して今国会での強行採決に息巻いていたことを紹介したけど、これがいつのまにか、自民党が「文化庁の暴走を止めた」「法案を下ろすために尽力した」という話にすり替わり、自民党への賛美の声が多く上がる状況に変貌してしまった。
これは、言ってみれば、「国民の反対の声」を逆手に取った、安倍政権による巧妙な世論工作で、(産経新聞などの)配下のマスコミを使って、「自民党が法案提出阻止に動いた」とのイメージを作り出し、安倍政権への賛美を喚起させた上で選挙に勝利し、自らの権力を盤石のものにしたところで、改めて(満を持して)国民を統制・抑圧・支配するための同法案を国会に出してくることを疑っておくのが良さそうだ。
(そういう意味では、この法案についての国民の反応をうかがいつつ、はじめからこうした展開をある程度”計画”していた可能性もありそうだ。)
なんせ、これまでも、秘密保護法や共謀罪など、国民の表現や言論の自由を著しく制限する法案を強行的に通してきた安倍政権ですからね。
安倍総理が懸命に腐心している改憲案も同じ性質を持ち合わせていますし、今回の動きに大きく喜んだり、自民党や安倍総理に対して好印象を抱いてしまっている人々は、安倍政権が展開している世論誘導にまんまと引っかかってしまっている可能性がありますね。
そうだね。
共謀罪や水道民営化なども、一旦はボツになった末に最後は強行採決されてしまったし、今後も一切の気を緩めずに、同法案の行方について、厳しく注視し続けていく必要がありそうだ。
※ブログ主注:私も同意見です。おそらく今度はどさくさに紛れて(ショックドクトリン)こっそり通そうとするかもしれません。言論統制はNWO体制≒共産主義社会に不可欠ですから。確信犯なのです。諦めるはずがないのです。日本国民は常に反対の声を上げ続けるようにお願いいたします。しかし自民党を潰すにしても、どこも両建ての傀儡なので、国民の利益を真に代表する政治組織の結成が緊急を要します。