・日露首脳会談で安倍首相がやらかした「売国奴的交渉」の内実! ガセネタ喧伝の森喜朗、鈴木宗男らも共犯だ!(LITERA 2016年12月19日)

※経済協力先行で肝心の北方領土交渉の具体的進展がなかった日露首脳会談――。NHKなど大メディアは、“安倍外交”の完全敗北をまるで成果があったかのように偽装する大本営発表に終始したが、それでも自民党内から「国民の大半はがっかりしている」(二階俊博幹事長)という否定的発言が出るほど。地元・山口県長門市での“温泉会談”で最上級のもてなしをして、日露経済協力のお土産も渡したのに、2時間以上遅刻のプーチン大統領に「領土問題はゼロ回答」で押し切られた。

元経産官僚の古賀茂明氏は、首脳会談前から“惨敗”を予測していた。筆者の取材に対し古賀氏はこうコメントしている。

「ロシア側に『解散狙い』と手の内をばらした時点でダメです。『安倍政権が北方領土返還を総選挙の目玉にするのなら、思いっきり要求レベルを上げて金を引き出そう』とロシア側は考えるからです」

プーチンとの会談に同席したこともある民進党の鉢呂吉雄参院議員(「日露友好議員連盟」事務局長)も、「抽象的文言の羅列に止まる」「経済協力が先行する可能性は高い」と断言、日露首脳会談の結末をズバリ言い当てていた。

「メディアは“2島返還ムード”を盛り上げていますが、日露の事務ベースで返還交渉が進展しているようには見えません。逆にロシア側は『北方領土は第二次世界大戦で勝ち取ったもので決着済』と以前より強く主張、明らかに後退しています。日露議連で世耕弘成・経産大臣(ロシア経済分野協力担当大臣を兼務)に話を聞きましたが、『領土問題と日露経済協力は切り離している』と強調していました」(鉢呂氏談)

ロシアにジャパン・マネーを差し出すだけの“売国奴的交渉”を安倍首相がやらかしたのは、相手に足元を見られる最低レベルの外交交渉術と、情報分析能力の欠如が原因なのではないか。耳障りのいい楽観的情報ばかりを鵜呑みにして、「プーチン大統領は2島先行返還を決断する寸前で、あと一押しすれば、歴史的偉業を達成できる」と思い込んだようにみえてしまうのだ。

莫大な血税を投じて国益を損ねる外交交渉をした安倍首相の責任は重大だが、ガセネタを垂れ流して最高権力者を舞い上がらせたロシア通3人組――森喜朗元首相と鈴木宗男・新党大地代表と作家の佐藤優氏――も、“A級戦犯”と言われても仕方がないだろう。 

安倍首相に助言するなど北方領土問題で二人三脚を組んだ鈴木氏は、日露首脳会談が近づくにつれてメディアに頻繁に登場。これまでの「4島一括返還」を非現実的と批判しながら、「2島先行返還+α」を代わりに主張、官邸の広報宣伝役として12月15日に向けたムード作りに尽力した。安倍首相と密接な関係となったのは、今年4月の北海道5区補選。娘の貴子衆院議員と共に野党から自民党に寝返って与党系候補を応援し、次期総選挙は自民党から出馬予定の貴子氏の結婚披露宴には安倍首相が駆け付けたほどの“蜜月関係”となっている。

ちなみに宗男氏に三顧の礼で自民党への鞍替えを要請したのは、安倍首相と森元首相と伊達忠一参院議員。宗男氏はこの申し出を快諾。こうして新党大地は野党から与党に“鞍替え”することになったのだ。

そして今夏の参院選の前哨戦といわれた北海道5区補選(4月24日投開票)では、鈴木氏は自公推薦の和田義明候補の選対幹部を務め、ラストサンデー前日の4月16日に開かれた新党大地の総会には森元首相が駆け付けて応援演説した上で、鈴木氏を北方領土問題のキーマンとして、次のように絶賛した。

「(北方領土問題で)大切なのは日露のトップ、(安倍)首相と(プーチン)大統領が話し合って『こうだ』と決める。問題を解決しないと、日本の終戦は終っていかない。その積み重ねを鈴木さんがやってくれた。私が一生懸命お手伝いもした。そういう二人ですから」

続いて登壇した佐藤優氏も「(森元首相の話は)外務官僚出身の話ではないかと思った」と絶賛し、安倍首相の要請を次のように解説した。

「(2島先行返還の)“鈴木戦略”は今でも生きている。安倍首相が鈴木宗男さんの力を借りたかったのは、北方領土問題を動かすには野党側に新党大地がいると困るのだと(いうことです)」「権力基盤は盤石だから安倍政権の下で領土問題は動きますよ。3年から5年以内に歯舞と色丹が返ってくる。そうしたら根室並のインフラ整備を2島でするでしょう。国後島と択捉島も『日本のインフラ整備をしてもらった方がいい』という機運が出てくるから、10年でみれば、4島返還の可能性がある」

そして、鈴木氏がこう締めた。

「間違いなく日露関係は動くと思っています。去年(2015年)の12月28日、安倍総理から『官邸でお会いしたい』と言われて45分間話をしました。『来年(16年)はやる。歴史を作る』という話でありました」「安倍首相は率直に言っていました。『“ロシアに行く”と言うと、(米国から)“行くな”と言われる。“(ロシア首脳を日本に)呼べば”と言うと、“呼ぶな”と言われる。しかし来年(16年)は日本の立ち位置で俺が判断する』と。非常に力強い話でした。(安倍首相は)『鈴木さんがやってきた流れをしっかりと踏まえて日露関係に取組む』と言ってくれました」

しかし「2島先行返還の実現可能性は高い」と言い切ったロシア通3人組の予測は、見事に外れた。ロシアの食い逃げを許す屈辱的外交交渉の片棒を担いだと言われても仕方がないだろう。

一方、高笑いしているに違いないロシア側の鼻息は荒い。大型事業「シベリア鉄道の北海道延伸」(約1兆円)と「天然ガスパイプライン敷設(サハリン~日本)」(約7000億円)を提案しているのだ。12月17日付の読売新聞は、次のように報じた。

「ロシア極東発展省のシェラハエフ極東投資輸出局長は16日、東京都内で読売新聞などの取材に応じた。ロシア側が日本政府に提案したシベリア鉄道の北海道への延伸や、サハリンと北海道の間をパイプラインや送電線でつなぐ大型事業案について、『実現の可能性は大きい』と期待を込めて話した。パイプラインを延ばす計画では、『日本企業と積極的に話し合いをしている』と強調した」

また飯島勲著『リーダーの掟 プーチン絶賛の仕事術』(プレジデント社)を見ると、シベリア鉄道北海道延伸計画は「飯島プラン」と名付けられ、「私の残りの人生のすべてをかけて実現させようと考えている」と飯島氏は意気込んでいた。

「総事業費は九〇〇〇億円」とも試算。すでにサハリンには日本の統治時代に建設された鉄道があり、樺太(サハリン)と宗谷海峡を隔てた稚内の間の未着工区間は約90キロで、日本の工事単価「線路一キロメートル当たり一〇〇億円」をかけて9000億円と見積もっていた。そして飯島氏はこう結論づけた。

「プーチンにもこの『飯島プラン』は届けた。ついには、プーチンからの了承を書面で得ることができた。残るは、日本政府だ」

しかし元サハリン駐在の商社マンの杉浦敏広氏(環日本海経済研究所・共同研究員)は、「経済合理性をチェックすべき」と警告していた。

「サハリン島最南端のクリリオン岬から北海道最北端の稚内までトンネルを建設したり、架橋したりする構想ですが、物流がないのにトンネルや架橋しても無意味です。現場を知らない人たちが利権目当てでトンネル建設や架橋の話を出している感じですが、もう少し
冷静な議論が必要です。なおサハリンには日本が作った鉄道がありますが、狭軌(1067ミリ)で、シベリア鉄道の広軌(1520ミリ)に対応する必要もあります」(杉原氏談)

もう一つの目玉事業の「天然ガスパイプライン」も、ロシア側の提案に呼応するかのように自民党国会議員が「日露天然ガスパイプライン推進議員連盟」を設立。11月に提言・要望書をまとめていた。その内容は、サハリンから稚内(北海道)・むつ小川原(青森)・日立(茨城)を経て東京湾に至る1500キロに天然ガスパイプラインを設置する構想。建設費は7000億円と見積もられ、北海道内の部分と本州内の部分は陸上であった。

しかし、この事業についても杉浦氏は首を傾げていた。

「日本では土地代が高い。『鉄道や高速道路の下に敷くといい』という人がいるが、設置工事は30メートル位の幅で、穴を掘って重機でパイプを設置する大規模工事。想定より工事費が膨らむのは確実で、沿岸に海底パイプラインを建設する方が総工費は遥かに安いでしょう」

陸上で大規模工事となれば、地元の建設業者の仕事が増える。当然、推進してくれた自民党国会議員に政治献金や選挙応援をしたくなるのは言うまでもない。陸上ルートにはそんな狙いが込められているようにみえて仕方がないのだ。「日露経済協力を旗印にした地元への利益誘導(公共事業推進)」と疑われても仕方がないだろう。

シベリア鉄道の北海道延伸についても、実現にはJR北海道の再建が不可欠だ。延伸先の稚内からの宗谷線などの道内路線の約半分を廃線にする計画を出すほどの経営危機にあるためで、地元記者はこんな疑いの眼差しを向けていた。

「安倍政権が本気なら『シベリア鉄道延伸に向けてJR北海道をテコ入れします』と宣言、JR北海道はもちろん地元の自治体や国会議員らとの協議を始めていないとおかしい。夢を実現するための課題の洗い出しや対策実施に向けた議論に着手しないのでは、自民党の選挙対策のための税金バラマキと批判されても仕方がないでしょう」

こんな悪夢の近未来図が浮かんでこないだろうか。

〈北方領土返還交渉が進展しない一方、日露経済協力事業が先行してロシア側の食い逃げと自民党にプラスになる関連工事増加が現実のものになっていく〉

今回の日露首脳会談は、日本の国益を損なう“売国奴的外交交渉”だったのではないのだろうか。今後の厳しい検証が必要だ。


・見えてきた「領土返還なき日露平和条約」の可能性(JB PRESS 2019年1月21日)

黒井文太郎

※1月22日に安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領との首脳会談に臨む。だが首脳会談に先駆けて開催された外相会談では、ロシア側から北方領土に関して厳しい要求が突き付けられた。北方領土交渉は今後どのような展開があり得るのか。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が現実的な視点から交渉の行方を占う。


※ロシア側には2島すら引き渡す意思はない
 
2019年1月14日の日露外相会談が物議を醸している。相手方のラブロフ外相が「まず日本は4島がロシア領と認めよ」「北方領土という用語を使用するな」などと強い要求をしたからだ。
 
ロシア政府はかねてから4島はロシア領だと主張しており、日露間に「領土問題は存在しない」との立場だが、これからまさに交渉を進めようという矢先に、日本側も譲れない主権放棄を迫るというのは、いきなり先制パンチを放ったようなかたちになった。
 
これに対し、日本政府は会談の内容について説明することを拒否。ただ「日本側の考えを先方に伝えた」と公表するに留めた。これはロシア側の強い態度に、日本側が打つ手を失っていることを示している。最近、日本政府は対露交渉について具体的な話を一切しなくなっているが、それはロシア側から色よい反応が引き出せていないことの証明だ。今回の外相会談でも、通常は会談後に行われる共同記者会見を日本側の要望で取りやめるなど、日本政府は逃げの一手に終始している。今年の年初には「安倍政権の狙いは、日露交渉で得点を挙げて選挙で勝つこと」などといった超楽観的な観測記事も出ていたが、もはや一気に吹き飛んだような雰囲気である。
 
もっとも、ロシアがこれまで1ミリすら領土返還の約束をしていなかった事実から、筆者などは「プーチン政権には2島引き渡しの意思すらない」とかねて指摘してきた。今回のラブロフ外相の強硬姿勢も、十分に予想範囲内である。安倍政権としては、期待どおりにいかずに戸惑っているかもしれないが、そもそも「首脳同士の信頼関係があれば、2島は確実。あとはプラスアルファだ」というような楽観的な見方自体が、ロシア側の言動をきちんと分析できていない誤認識である。

本来なら、いくらなんでもここまで双方に根本的な立場の相違があれば、領土引き渡し交渉など不可能である。だが、驚いたことに安倍首相自身は、1月16日に官邸で交渉推進派の旗振り役である鈴木宗男元議員と会談し、外相会談について「順調な滑り出しだった」と発言したという。安倍首相は1月22日にプーチン大統領との首脳会談が予定されているが、とにかく平和条約締結に並々ならぬ強い希望を持っており、何があっても交渉を前に進めるつもりなのだろう。
 
では、今後、どういった流れがあり得るだろうか?
 
まず、ロシア側が突きつけている「4島をロシア領と認めよ」との要求が大きな障壁になる。ロシア側としては、この主張を取り下げることはあり得ない。かといって、そこは日本側も公式には譲れない。そこで安倍首相とすれば、とりあえずこの問題を突き詰めることは避け、交渉打ち切りを回避して、今後も前向きに進めていくことを確認することになるだろう。ロシア側も「日ソ共同宣言(以下、56年共同宣言)を基礎として平和条約締結を目指す」こと自体は合意しているので、決裂したいわけではあるまい。
 
しかし、安倍政権がどうしても平和条約締結を目指すなら、日本側にできることは、いずれは主権問題を曖昧にしたまま条約締結を進めるという選択しかない。4島がロシア領だと明言はできないが、日本領だともあえて主張はしないという選択だ。
 
主権問題に触れない平和条約であれば、ロシア側も受け入れる可能性がある。というのも、これは日本側からすれば主権問題の一時棚上げだが、ロシア側からすれば、すでに4島を実効支配している以上、「領土問題は存在しない」ことを追認することにほかならないからだ。
 
安倍政権としては、北方領土の主権放棄は政治的に論外だろうが、ロシアと「56年共同宣言を基礎とする平和条約締結」が合意されていることを前面に出し、「条約締結後の2島引き渡しが可能だ」とどこまでも主張し続けて国内で押し切る以外に、平和条約締結の道はない。そのような内容の平和条約に価値があるか否かという問題はともかく、安倍政権があくまで平和条約締結を目指すなら、そう選択するしかない。


ロシアにとっての「56年共同宣言」
 
さて、では仮に主権問題を曖昧にしたまま平和条約締結が合意されたとしよう。曖昧にするということは、現状容認と同義であり、未解決の領土問題は存在しないことに事実上はなる。日本側は主権の要求を実質的に放棄したことになるのだ。
 
しかし、日本側はその代わりに、56年共同宣言に明記されていた「2島引き渡し」を要求することになる。だが、ロシア側はそれを受け入れることはないだろう。その布石をプーチン政権はすでに打っている。
 
ロシア側は共同宣言を基礎とする平和条約締結に合意しているが、共同宣言はあくまで基礎とするだけのことであり、そのとおりに実行するとはプーチン政権は一度も約束していない。すでにプーチン大統領自身が「主権については書かれていない」「引き渡し期限が書かれていない」「どういった条件で引き渡すか書かれていない」などという屁理屈を連発し、2島引き渡し条項の死文化を図っている。また、もともと最初に共同宣言の有効性が言及された2001年のイルクーツク声明から一貫して「双方受け入れ可能な解決を」との合意がなされており、いくらでも引き渡しの履行を先延ばしできることが担保されている。
 
さらに、今回の外相会談後の記者会見でラブロフ外相は、56年共同宣言当時と60年の日米安全保障条約改定後の軍事同盟の状況の根本的変化に言及している。つまり、現在は56年当時と状況が違うので、共同宣言のとおりにはいかないことを指摘したのである。これは、現行の日米安全保障条約による日米同盟の現状を、2島引き渡し条項の履行を回避する口実にされることを示している。


領土問題は形骸化していく?
 
こうしてみると、もしも本当に安倍首相が日露平和条約締結に邁進するなら、今後の道筋が自ずと浮かび上がる。
 
前述したように、主権問題を曖昧にしたまま、平和条約締結が合意されるとしよう。日本側は主権放棄を認めることはできないため、苦し紛れに「一時棚上げ」というスタンスを示すしかないが、実質的にはまぎれもなく主権放棄だ。
 
そして、次に日本が期待する2島引き渡しについては、現行の日米安全保障条約による状況の変化などを口実に、ロシア側が履行をしぶることになる。56年共同宣言を基礎とする合意がある以上、明確に引き渡しの無効をあえて宣言することはないだろうが、その条件について合意ができていないということで、履行は延々と先延ばしにされるだろう。ただし、安倍政権サイドはそれを外交上の失敗とは認めたくないだろうから、日本政府側も延々と「2島引き渡し交渉は継続中」と言い続けることになる。安倍政権がいつまで「両国首脳の信頼関係があれば、平和条約締結後に少なくとも2島は確実に引き渡してもらえるし、うまくすればさらにプラスアルファを得られるはずだ」との根拠のない楽観論を信じ続けるのかはわからないが、いずれその見通しの甘さに気づくときは来るだろう。
 
そうして領土問題が形骸化していく一方、平和条約締結により、両国の経済協力は大幅に拡大される。それはロシア側に大きな利益をもたらすと同時に、日本側にもある程度は利益をもたらす。このまま平和条約を結ばずに現状維持を続ける選択と、主権問題に触れない平和条約を締結する選択は、2島すら返還されないということでは同じ結果になるが、それぞれ別種のプラスとマイナスの面がある。日本政府側とすれば、最大の問題である主権問題については、実質的な主権放棄を「2島引き渡し交渉が継続中」とごまかしながら、その他の日本側の幾ばくかのプラス面を国内的には大々的にアピールしていくしかない。
 
ただ、国際的な安全保障環境からみると、現在、旧西側陣営との対立が急速に高まっているプーチン政権に、旧西側陣営の日本が政治的にますます擦り寄っていくことは、日本の国際的な信用度を落とすことになるということには留意する必要があるだろう。


・安倍首相の“妄想”に露外相激怒 平和条約締結は決裂一直線(日刊ゲンダイDIGITAL 2019年2月26日)

※どうやらカンカンのようだ――。安倍首相が「領土問題を解決して平和条約を締結する」と表明していることに、ロシアのラブロフ外相がブチ切れている。

もはや“牽制”というレベルを超え、ほとんど安倍首相のことを“ウソつき”呼ばわりだ。

ラブロフ外相は、ベトナムと中国の歴訪前に、両国メディアのインタビューに答え、24日にロシア外務省が公表した。

安倍首相は6月に平和条約の枠組み合意を目指しているが、ラブロフ外相は「誰も一度も、枠組み案など見たことがない。日本側が何を考えているか、私には分からない」と一蹴。安倍首相が北方領土を含む平和条約締結問題に「必ず終止符を打つ」と意気込んでいることについて、こうこき下ろした。

「正直言って、その確信がどこから来ているのか分からない。プーチン大統領も私も、他の誰も、そうした発言につながる根拠は与えていない」

要するに、「何も決まっていないのに、なに勝手なこと言ってんだ!」ということだ。


■「勝手に話を作るな」と言っているに等しい

筑波大の中村逸郎教授(ロシア政治)が言う。

「ラブロフ外相は、これまでも4島の主権や北方領土という呼称について発言してきましたが、今回は質が違います。『勝手に話を作るな』と言っているに等しい。ロシア側が一切根拠を与えていないのに、平和条約締結について、確信に満ちて語る安倍首相の姿勢と人格を批判しているのです。安倍首相があまりにも話を盛り、しかも繰り返して口にするので、さすがに堪忍袋の緒が切れたのでしょう」

さらにラブロフ外相は畳みかけた。

「日本は米国主導の反ロ的な国連決議には賛成するのに、ロシアの提案には反対か棄権ばかり」

「5月のトランプ大統領訪日時、ロシアとの平和条約もテーマだという。日本にそこまで独立性がないとは、(呆れて)何も言えない」

中村教授が続ける。

「日本では、ラブロフ外相に“強硬論”を言わせて、最後はプーチン大統領がうまくまとめるという見方がありますが、違うと思います。日本人は自分たちに都合よく解釈しすぎです。2人のスタンスは同じでしょう」

安倍首相は25日、ラブロフ発言について「いちいち反応するつもりはない」とダンマリ。国民は現実を直視した方がいい。


・「日米同盟を離脱せよ」プーチンが日ロ平和条約締結へ難題(日刊ゲンダイDIGITAL 2019年3月16日)

※日ロ平和条約は絶望的――。15日付のロシア紙「コメルサント」は、プーチン大統領が日ロ平和条約締結交渉について「まず日本が日米安保条約から離脱しなければならない」と語ったと報じた。

14日にモスクワで行われたロシア産業家・企業家連盟の会合の非公開討議で述べたという。

安倍首相は島が日本に引き渡された場合も米軍展開の可能性はないと説明しているが、プーチンは米軍基地を造らせない「現実的な手段はない」との見方を示した。

プーチンは非公式の調査で現地住民の99%が日本への引き渡しに反対しているとも述べ、こうした意見を無視するわけにはいかないと説明。日本との対話は途切れさせてはいけないが、「深呼吸する必要がある」と述べたという。

日米同盟離脱という難条件は事実上、あきらめろというメッセージだ。安倍首相も深呼吸して頭を冷やした方がいい。