・・安倍政権、生活保護費160億円カット…約8百万世帯が生活保護水準以下の生活か(Business Journal 2018年6月28日)
※「1億総活躍社会」を掲げる安倍晋三政権は、一方で生活保護基準の引き下げに執心してきた。2013年から、生活保護基準の最大10%にも及ぶ引き下げを断行。全国29都道府県で1000人近くが違憲訴訟を起こす事態になっている。さらには、今年10月から3年間かけて、平均1.8%、最大5%、年額160億円の引き下げが予定されている。
生活保護を「ナマポ」と揶揄し、「一般庶民の暮らし向きとは関係ない」と決め込むのは勝手だ。しかし、現実はそれほど甘くはない。日本の労働力人口約6500万人のうち、年収300万円以下は2500万人を超える。3世帯に1世帯が貯蓄ゼロ。生活保護世帯は164万世帯だが、その捕捉率は20%ともいわれ、現実には約800万世帯が生活保護水準以下の生活を強いられている。
ここ最近は、高齢者層の受給者増が目立つ。背景には、長引く不況と高齢化の影響がある。生活保護の問題は、決して他人事ではない。
衆議院第1議員会館大会議室で6月7日、「生活保護基準の設定はいかにあるべきか」と題する緊急院内学習会が催され、160人が参加した。注目されたのは基調講演。先ごろまで厚生労働省の生活保護基準部会(以下、部会)部会長代理を務めた、岩田正美・日本女子大学名誉教授が登壇した。
岩田氏は貧困研究の第一人者。部会の議論のなかでも、積極的に物申してきた。部会はともかく、霞が関で設置される審議会・検討会の類には疑念がつきまとう。構成員の人選は役所の意向を踏まえて決定。「御用学者」が覚えめでたく活躍する。「事務局」を務める役所のさじ加減で「論点整理」が進み、議論の方向付けがなされる。これが「審議会・検討会行政」の実態だ。
御用学者とは一線を画す岩田氏は、主に2つの限界を指摘した。まずは「水準均衡方式」の限界。高度成長期から、生活保護基準は低所得層と均衡することを目指して設計されてきた。低成長、経済縮小の時代に入った今、低所得層の実入りは確実に苦しくなっており、そこと均衡させれば生活保護基準も下げざるを得ない。
もう一点は、厚労省が根拠とする「全国消費実態調査」の限界。調査期間や回収率、補正の必要性などの点で、信頼に値するデータとなっていない。
この集会でのもうひとりの講演者である桜井啓太・名古屋市立大学准教授は、「最低賃金からみた生活保護基準引き下げの意味」について発言。生活保護が全国民の「最低限」であるのに対し、最低賃金は働く者の「最低限」を指し、両者は密接に関連している。生活保護が引き下げられれば、それにともなって最低賃金が引き下げられる可能性もある。
桜井氏は引き下げに向けて、ストーリーがつくられ共有される流れがあったと指摘。本来は働く者が「健康で文化的な生活」をするための最低基準だった最低賃金が、厚労省中央最低賃金審議会において恣意的にゆがめられてきた実態を具体的に示した。
生活保護が最低賃金を上回る逆転現象
生活保護基準が最低賃金を上回る「逆転現象」がなかなか改善しないなか、「最低賃金労働者は損をしている」「生活保護者はずるい」という感情の問題へのすり替えが進んでいった。この流れに乗るかたちで、自民党はマニフェストに「生活保護制度の見直し」を掲げ、着実に実行。一連の引き下げは、この流れのなかにある。
高度成長期と比べ、この国の余力は確実にやせ細っている。不慮の事故や病気といった異例の事態がひとつ二つ重なれば、誰もが生活保護を考慮しなければならない。
「どの国の施策を見ても、正解はない。それなりに苦労をして暫定的な制度を用いている」
岩田氏はそう強調した。憲法が保障する「健康で文化的」な暮らしのために、いくら必要なのか。行政が判断をためらってきたその基準は、私たち自身が議論し決めていかなければならない。
・強制退去拒む国除外=新在留資格で調整-政府(時事通信 2018年10月10日)
※菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で、外国人労働者の受け入れ拡大に向けて新たに創設する在留資格に関し、日本が強制退去を決めた外国人の身柄を引き取らない国は対象外とする方向で調整していることを明らかにした。今月下旬召集予定の臨時国会に政府が提出する関連法案に盛り込むことを検討する。
・一帯一路に北朝鮮や日韓組み入れ 中国遼寧省が計画(共同通信 2018年9月24日)
※中国東北部の遼寧省が、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に北朝鮮や日本、韓国を組み入れる計画を策定したことが24日、分かった。計画では中朝国境の都市、丹東から北朝鮮を経て韓国までつなぐ鉄道建設のほか、中朝間の経済協力を強化するための「丹東特区」建設も明記した。
もともと一帯一路は中国の西方を意識した構想で、朝鮮半島や日本など東方への延伸を中国の公式文書が明確に示すのは異例。最近の朝鮮半島情勢の緊張緩和や日中関係の改善を受けた形だ。ただ対北朝鮮制裁が続く状況では中朝間の本格的な経済協力は困難で、実現性は不透明だ。
・トランプ氏、父に巨額借金 自力「不動産王」は虚像か(共同通信 2018年10月3日)
※トランプ米大統領の巨額脱税関与疑惑に関連し、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は2日、トランプ氏が不動産業を営んでいた父から、総額で少なくとも6070万ドル(約69億円)の借金を重ね、大半を返済していなかったと報じた。現在の価値では1億4千万ドルに相当するという。
報道が事実であれば、自力で財を成し「不動産王」になったとするトランプ氏の主張が虚偽だったことになり、11月の中間選挙を前に野党民主党にとって攻撃材料となりそうだ。サンダース大統領報道官は「トランプ氏の家族に対する誤解を招く攻撃だ」と報道を全面的に否定した。
・防衛省:空自F2後継機は新規開発 既存改良はコスト高く(毎日新聞 2018年10月4日)
※防衛省は、航空自衛隊のF2戦闘機の後継機を新規開発する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。米英の3社から既存機種の能力向上型の導入を提案されていたが、コストや性能面から日本側の要求に合わないと判断した。年末に策定する次期中期防衛力整備計画に開発方針を盛り込み、外国との共同開発を視野に入れながら、エンジンなどで日本独自の技術開発も進める方向だ。
空自は現在92機のF2を保有するが、2030年代から耐用年数を超える。戦闘機の開発には10年以上かかるため、防衛省は(1)国際共同開発(2)国内開発(3)既存機の能力向上型の購入--の3案を検討してきた。今年末をめどに後継機の導入方針を定める考えだ。
16~18年度には国内外の企業や米英両政府に対し、戦闘機の新規開発や既存機の改修に関する情報提供を計3回求めた。今年7月までに、米ロッキード・マーチン社がF22、米ボーイング社がF15、英BAE社がユーロファイター・タイフーンの既存機をベースに能力を向上させる改修提案を行っていた。だが最新鋭のステルス性能を持つF22の改修はコストがかさみ、「米国政府による輸出禁止措置の解除の見通しについても、明確な説明がなかった」(防衛省幹部)という。他の2社の案も機体の性能が日本側の要求水準に及ばず、防衛省は既存機の能力向上型の採用を見送る方向だ。
ただ、数兆円規模の予算がかかる戦闘機の新規開発には困難が伴う。国内の生産・整備基盤を維持したい防衛産業団体や自民党の一部では国内開発を推す声が強いが、その場合は開発費全額が日本負担となる。戦闘機の開発実績が乏しい日本企業の主導は、技術面で不安が残るのも実情だ。
防衛省は09~18年度に約1900億円をかけてエンジン・電子システムなど次期戦闘機用の技術研究を行ったが、開発した国産エンジンはまだ基本性能を確認している段階で、飛行実験のメドは立っていない。
このため政府は、戦闘機開発を検討している英国や独仏連合との国際共同開発で、開発費を分担することも模索している。だが共同開発にも開発の時期や要求性能、開発分野の分担などを巡って調整が難航するリスクがある。一方、同盟国の米国は最新鋭のF35ステルス戦闘機を本格運用し始めたばかりで、次期機種の開発計画は具体化していない。防衛省では年末に新規開発という大枠を定めた上で、共同開発か国内開発かの最終判断は先送りし、技術開発や外国との交渉を進める案が出ている。
・東京都、ヘイト規制条例が成立 都道府県で初、五輪前の来年施行(2018年10月5日)
※2020年東京五輪・パラリンピックに向け、ヘイトスピーチを規制し、性的少数者(LGBT)への差別解消を目指す東京都の人権条例が、5日の都議会で賛成多数で可決、成立した。都によると、条例でヘイトスピーチを規制するのは都道府県では初といい、都は19年4月の全面施行を目指す。
条例は、五輪憲章にうたわれる人権尊重の理念を踏まえたもので、ヘイトスピーチに対しては、知事が基準を設け、公共施設の利用を制限できるとし、実施団体名の公表やネット上の書き込みや動画の削除要請も可能と定めた。
LGBTについては、不当な差別を禁止する努力規定を設け、基本計画を定めるとした。
・米で使用の電子機器にコメ粒大のチップ、中国が情報窃盗に利用と米報道(AFPBB 2018年10月5日)
※中国で製造され米国で使用されているコンピューター機器にコメ粒大のチップが組み込まれ、米テクノロジー部門の機密情報を盗もうとする中国政府の広範な活動の中で利用されていたと、米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)が4日報じた。
ブルームバーグによると、このチップはコメ粒ほどの大きさで、米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)と米アップル(Apple)向けに製造された機器に組み込まれていたという。他の企業や政府機関向けの機器にも使われた可能性がある。米当局にはアマゾンが最初に通報したという。
ブルームバーグによれば、3年前から秘密裏に行われ現在も継続中の調査で、コンピューター機器に「隠れた出入り口」が設けられていたことが判明。ハードウエアを用いる侵入手法はソフトウエアを用いる手法よりも効果的で、検知されにくいとされる。
匿名の米当局者の話としてブルームバーグが伝えたところによると、中国人民解放軍の部隊が関与して米国のコンピューター機器製造企業スーパーマイクロ・コンピューター(Super Micro Computer)向けに中国で製造された製品に問題のチップが組み込まれていた。スーパーマイクロ・コンピューターは、米国防総省のデータセンターや中央情報局(CIA)の無人機を使った作戦、海軍艦のネットワーク向けの機器も製造したという。
ブルームバーグによると、アマゾンはソフトウエア企業エレメンタル(Elemental)の買収に当たり、スーパーマイクロ・コンピューターがエレメンタル向けに製造した機器の安全性点検を実施した際に問題に気付いた。
問題のチップは、アップルや、アマゾンのクラウドコンピューティングサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」などのデータセンターで用いられるコンピューターの中枢部品であるマザーボード向けに設計されたものだという。
アップルは「どのサーバーにも、悪意をもって埋め込まれたなチップや、ハードウエアの変造、あるいは意図的に仕込まれた脆弱(ぜいじゃく)性は見つかっていない」と表明した。
アマゾンはAFPに対し「われわれは過去または現在のいかなる時点においても、エレメンタルやアマゾンのシステムで使われているスーパーマイクロ社のマザーボードで、変造されたハードウエアや悪意あるチップに関わる問題を発見していない」と述べた。
・海外に魔の手を伸ばす中国の「統一戦線工作」(JBpress 2018年10月5日)
樋口 譲次
※「統一戦線を組もう」とは、仲間内の日常会話でも使われる表現である。
しかし、国際政治の場において、外交戦、情報・世論戦、謀略戦、懐柔策などを複雑に絡めて展開される「統一戦線工作」は、奇々怪々として、国家に深刻な問題を投げかける。
というのも、中国が、習近平政権になって、海外における「統一戦線工作」を一段と強化しているからである。
先日、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という米国からの記事(「古森義久のあめりかノート」、産経新聞、平成30年9月23日付)が掲載された。
詳細は、この後に譲るとして、米国では、統一戦線方式と呼ばれる中国の対米工作に関する調査報告書が発表されたことをきっかけに、習近平政権が「統一戦線工作」によって米国の対中態度を変えようとしていることが明らかになった。
そして、米国全体の対中姿勢が激変し、官と民、保守とリベラルを問わず、「中国との対決」が米国のコンセンサスになってきたというものである。
この件については、筆者拙論「台湾に迫る危機、日本よどうする!」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54145、2018.9.20掲載)の中で、中国による台湾の国際空間からの締め出しや台湾国内でのスパイ活動などに触れたが、これらも「統一戦線工作」の一環である。
「統一戦線工作」とは、本来、革命政党である共産党が主敵を倒すために、第3の勢力に意図や正体を隠しながら接近・浸透し、丸め込んで巧みに操り、その目的を達成しようとする工作である。
ソ連共産党をはじめ、中国共産党、朝鮮労働党などが常套手段としたもので、これらの国では、今日でもその手法が重用され、国内の政敵のみならず、海外の敵対勢力に対して自国の立場や主張に有利な環境条件を作為しようと試みている。
なかでも中国は、特定の団体や個人を丸めこんだり、協力関係を築いたり、場合によっては逆に非難や圧力・恫喝、攻撃を行い、重要な情報を収集し、対象国での影響力を高め、国際社会における中国共産党への支持を取り付けるなど、世界中で「統一戦線工作」を活発に展開している。
日本も、手を拱いている場合ではない。
日本は、中国の覇権的拡大に対して最大の妨げとなる在日米軍基地を抱え、また尖閣諸島問題や歴史認識などで厳しく対立している。
さらに、中国が欲しがる最先端科学技術を保有するなど、中国にとって極めて重要な「統一戦線工作」の対象となっていることから、重大な関心を抱かざるを得ないのである。
習近平政権下の中国の「統一戦線工作」
習近平政権下での「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」の制定
中国共産党の「統一戦線工作」を掌る「中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)」設立の歴史は古く、中華人民共和国の建国から遡ること7年前の1942年である。
「統一戦線工作」上、最もよく知られているのが、抗日民族統一戦線としての中国国民党と中国共産党による「国共合作」である。
中央統戦部が重視されていることは、中国共産党中央委員会直属の組織であることからも明らかである。
その国家レベルの方針を決める中央統一戦線工作会議が、習近平中央委員会総書記の下、2015年5月に北京で開かれ、「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」(以下、統戦条例)を制定した。
実は、それまでに統一戦線をテーマにした正規の党内法規はなかったようで、統戦条例は統戦工作に関する初の法規として「統一戦線活動の制度化、規則化、手続き化の重要なメルクマール」(人民日報)と報じられている。
そして、習近平総書記は、中央統戦会議で「新しい形勢下の統一戦線工作」について強調し、これを全党挙げて重視することを明言したのである。
「統戦条例(試行)」制定をめぐる習近平の狙い
習総書記が掲げる国家目標は、「2つの百年」、すなわち中国共産党創設100周年にあたる2021年を中間目標とし、中華人民共和国建国100周年を迎える2049年を最終目標として「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を実現することだ。
統戦条例では、その国家目標への奉仕を強調しており、中国は「統一戦線工作」を「中華民族の偉大な復興」を果たすための重要な手段として位置づけているのである。
そして、中央統戦会議で習総書記は、国際社会から中国社会への影響力が強まっていることに加え、中国国内に政治的変化を求めるグループが存在するなど、中国を取り巻く内外情勢が「変化」しているとの情勢認識を示した。
これに基づき、国家目標を達成するには、変化に対応した「統一戦線工作」をますます強化発展させなければならないと述べている。
こうした方針を実行に移すにあたり、統戦条例では、対国内に関する部分はさておくとして、対海外に関する部分について、「香港・マカオ・台湾、海外への統一戦線工作」の章を設けている。
そのことから、統一戦線工作の対象が香港、マカオ、台湾のみならず、それ以外の海外へも向けられていることは明らかだ。
また、統戦条例の起草には、海外に居住している華僑や華人などの在外同胞に係わる業務を所管している国務院僑務弁公室も参加し、習総書記の中央統戦会議における講和では「留学した人材」を通じた世論コントロールについて述べている。
このことから、在外公館の現地外交官(工作員)のほかに、これらが海外での統一戦線工作に加担していることは容易に察しがつこう。
明らかになった米国における中国の統一戦線工作(具体例)
中国が世界の500か所以上に開設している「孔子学院」は、親中派(中国シンパ)を育成する「統一戦線工作」の一環としてのソフトパワー戦略と見られている。
その約40%が米国に集中し、学問の自由を阻害しているとして、ここ数年批判の声が高まっていた。
これを受けて、すでにシカゴ大学、ペンシルベニア州立大学など多くの大学が孔子学院の閉鎖に動き、スパイ活動やプロパガンダ活動などの容疑で米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始した模様だ。
そこで、改めて、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という産経新聞の記事を振り返ってみよう。
この記事の基になったのは、ワシントンの半官半民のシンクタンク「ウィルソン・センター」が、1年以上をかけ、コロンビア、ジョージタウン、ハーバードなど全米25の主要大学を対象として調査した学術研究の報告書(原題:『米国の高等教育における中国の政治的影響と妨害活動に関する予備的研究』)である。
同記事(報告書)で明らかになった中国の「統一戦線工作」の具体例を引用すると、下記の通りである。
(1)中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は事実上の工作員として米国の各大学に圧力をかけ、教科の内容などを変えさせてきた。
(2)各大学での中国の人権弾圧、台湾、チベット自治区、新疆ウイグル自治区などに関する講義や研究の内容に対してとくに圧力をかけてきた。
(3)その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや個々の学者への中国入国拒否などを武器として使う。
そして、「米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた」と総括されている。
工作の結果、米国の大学や学者が中国の反発を恐れて「自己検閲」をすることの危険性を特に強調している。
以上は、あくまで、全米の主要大学を対象とした中国の対米工作の特定部分についての調査結果にすぎない。
その工作が、その他の政・官・財界、軍隊、産業界、マスコミ、シンクタンクなど、米国の意思決定や国益を左右する中枢部に及んでいると考えるのは当然であり、その広がりを考えると、影響の重大さに震撼させられるのである。
中国の「統一戦線工作」の実態を理解し厳重な警戒を
日本政府は、中国の「統一戦線工作」の実態について、「警察白書」をもって公式に発表している。
平成29年「警察白書」は、第5章第2節1項「対日有害活動の動向と対策」の中で、「中国の動向」について、次のように記述している。
中国は、諸外国において多様な情報収集活動等を行っていることが明らかになっており、我が国においても、先端技術保有企業、防衛関連企業、研究機関等に研究者、技術者、留学生等を派遣するなどして、巧妙かつ多様な手段で各種情報収集活動を行っているほか、政財官学等、各界関係者に対して積極的に働き掛けを行うなどの対日諸工作を行っているものとみられる。
警察では、我が国の国益が損なわれることがないよう、こうした工作に関する情報収集・分析に努めるとともに、違法行為に対して厳正な取締りを行うこととしている。
在日中国人の数は約73万人。その中には、工作員として「選抜、育成、使用」される可能性の高い「留学生」約12.5万人、「教授・研究・教育」約2000人、「高度専門職」約5200人、「技術・人文知識・国際業務」約7.5万人などが含まれる。(政府統計の総合窓口「e-stat」、2017年12月現在)
また、中国から日本への旅行者は約637万人(2016年、日本政府観光局(JNTO)統計)であり、通年で、約710万人の中国人が日本に滞在していることになる。
正確な数字は明らかではないが、これほど多くの中国人の中には、相当数の工作員が含まれていると見なければならない。
中国には「国防動員法」があり、動員がかかれば、「男性公民は満18歳から満60歳まで、女性公民は満18歳から満55歳までの間、国防に従事する」義務がある。
在日中国人や中国人旅行者もその例外ではなく、日本国内において、彼らが在日工作員あるいは潜入した武装工作員(ゲリラ・コマンド)と連携し、情報活動や破壊活動などに従事する事態を十分に想定しておかなければならない。
加えて、北朝鮮およびロシアも、様々な形で対日有害活動を行っている。
一方、国内を見ると、日本共産党は、「しんぶん赤旗」(2007年11月29日付)において、読者の質問に答える形で「日本共産党は、一貫して統一戦線の結成と強化をめざしています」と表明している。
旧日本社会党であった社会民主党も、それ自体が中国や北朝鮮などとつながりを持った統一戦線としての性格を有しており、日本共産党との「社共共闘」も革新統一戦線である。
このように、日本は、中国をはじめとして、国内外の勢力が複雑に絡み合った「統一戦線工作」の渦中に置かれている。
そしてわが国の至る所で、日常茶飯事のごとく、国民の身近に工作が迫っている実態を理解し、厳重な警戒を怠ってはならないのである。
・北方領土、急激に軍事化 現れたスホイ35「撮影ダメ」(朝日新聞DIGITRAL 2018年10月10日)
※北方領土・択捉島のヤースヌイ空港で9月26日、旅客機に乗るためターミナルから歩き始めると、3機の戦闘機が見えた。ロシア軍が試験配備した新鋭戦闘機スホイ35だとみられる。地元メディアが8月上旬、その存在を伝えていた。
戦闘機との距離はわずか数十メートル。数人の乗客がカメラを向けると、警備員が慌てて近付き、腕でバツ印をつくって撮影を止めた。空港ビルにも以前はなかった撮影禁止のマークがあり、警備が厳しくなっていた。
ヤースヌイ空港が開業したのは2014年9月。開業式典には、ロシアのプーチン政権の実力者だった当時のイワノフ大統領府長官も駆けつけ、期待の高さをうかがわせていた。
それまで民間の航空路線があったブレベストニク空港(旧日本軍の天寧飛行場)は、ソ連時代にミグ戦闘機が常駐した戦略拠点だったが、濃霧による欠航が多かった。新空港は今年2月、軍民共用とする方針を発表。今後、軍事利用が増える可能性がある。
北方領土にはソ連末期、約1万人の地上軍が展開。戦車や対空ミサイルも配備されていたが、ソ連崩壊後は軍備の老朽化が進んだ。現在の駐留部隊は択捉島と国後島で計約3500人とみられるが、16年に新型地対艦ミサイルを配備。軍事施設の建設も進む。今月10日も北方領土周辺で射撃訓練を行ったとみられる。
(後略)
・米国の新兵器システム、容易に侵入可能 報告書(AFPBB 2018年10月10日)
※米政府監査院(GAO)は9日、米国防総省が開発している新たな兵器システムに敵対勢力が容易に侵入できるとする報告書を発表した。
政府監査院は、敵対勢力にとって、探知されないままコンピューターの中枢や兵器システムのソフトウエアにアクセスし内部から操作を行うことがどれだけ簡単かを国防総省は認識していないと指摘した。
政府監査院はシステムの弱点としてまず、ずさんなパスワード管理と暗号化されていない通信を挙げている。システムのアクセスポイントの数は増加し続け、操作担当者自身がアクセスポイントを常によく理解しているとは限らないため、ネットワークにつながっていないシステムまでも極めて脆弱(ぜいじゃく)になっているという。
さらに同報告書はコンピューター依存型の兵器の設計・調達の過程にサイバーセキュリティー技術を組み込んでいないとして米軍を批判。兵器開発者自身がサイバーセキュリティー問題を適切に理解していないこともたびたびあると述べた。
報告書では「2人組のテストチームがたった1時間で兵器システムへの初期アクセスに成功し、兵器システムへの完全なアクセスを1日で達成した」例が挙げられている。
国防総省の兵器やその他のシステムは相互接続性が高まっており、ソフトウエアやネットワークへの依存が増え続けているため、危険性は高まっている。
・世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究(ロイター 2018年10月10日)
※精神疾患が世界各国で増加しており、対策が講じられなければ2010─30年に世界経済に最大16兆ドルの損失が生じるとの研究が発表された。ただ、推定される損失の内訳については詳述されていない。
研究は、世界の精神医学・公衆衛生、神経科学の専門家28人と精神疾患患者および擁護団体が行ったもので、リポート「ランセット・コミッション」にまとめられた。リポートは、危機の悪化は世界規模で人々や社会、経済に恒久的な害をもたらす可能性があるとしている。
リポートの共同執筆者であるビクラム・パテルハーバード大学医学部教授は記者団に、コストの一部はヘルスケアや医薬品その他の治療など直接的なものとなる一方、大半のコストは、生産性の悪化、社会福祉支出や教育、法や秩序といった間接的なものになると述べた。
また教授は、社会の高齢化や子どもが青年期まで成長する確率が上昇したことなどから、過去25年間で精神疾患関連の負担は「劇的に」増加していると指摘。にもかかわらず、問題解決のため「十分な投資を行っている国は存在しない。人間の健康の中で、精神の健康ほど無視されているものはない」と述べた。
世界保健機関(WHO)は、世界のうつ病患者は3億人前後、認知障患者は5000万人、統合失調症患者は2300万人、双極性障害は6000万人程度と推計している。
世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究© REUTERS 世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究
リポートはまた、うつ病などの精神疾患患者は多くの国で、拘束や拷問、収監などの人権侵害にさらされることが多いと指摘。精神疾患患者の基本的人権が否定されることのないよう、人権に根ざしたアプローチを求め、社会心理療法が医療専門家だけでなく、保健員や同輩、教師、聖職者によっても提供される仕組みへの移行を推奨した。
・梅毒2年連続5千人台…感染3週間で「しこり」 (読売新聞 2018年10月10日)
※国立感染症研究所は10日、性感染症の梅毒の感染報告者数が、今年1月から9月30日までの累計で5081人になったと発表した。年間の感染者数は、昨年の5824人(暫定値)に続いて5000人を超えた。
今年は、44年ぶりに5000人台を記録した昨年を上回る勢いで増えている。都道府県別では、東京1284人、大阪874人、愛知338人など、都市部で多くなっている。
梅毒は性的接触を通じて感染する。3週間程度で感染した部分にしこりができるなどし、その後、手足など全身に発疹が出る。症状は治まったり再発したりを繰り返す。
抗菌薬で治療できるが、放置すると脳や心臓などに異常が出る恐れがある。妊婦が感染した場合、胎盤を通しておなかの赤ちゃんに感染し、死亡することもある。
予防するには、コンドームを使用し、粘膜や皮膚が直接接触するのを避ける。それでも完全に防げるわけではなく、感染が疑われる場合、早めに医療機関を受診する
・船舶観光上陸許可制度:24人失踪 悪用歯止めかからず (毎日新聞 2018年10月12日)
※クルーズ船から船舶観光上陸許可制度を使って入国した外国人が失踪するケースが相次いでいる問題で、今年に入って長崎県内の港から上陸・失踪したのは24人で過去最多を更新したことが長崎県警への取材で分かった。法務省も対策を講じているものの、簡易な審査で入国できる制度の悪用に歯止めがかからない状況だ。
船舶観光上陸許可制度は2015年1月、訪日外国人増加を目的に導入された。法相が指定した船舶で来日し許可を受けた乗客は、一つの寄港地につき7日以内に帰船することを条件に、ビザや顔写真撮影なしで入国できる。法務省入国在留課によると、制度の開始から今年6月までに660万人以上がこの制度を使って入国し、計171人が失踪した。
17年のクルーズ船の寄港回数が267回で全国2位だった長崎港がある長崎。県警外事課によると、失踪者は15年11人▽16年8人▽17年10人--で今年は9月末時点で既に24人。法務省の担当者は、クルーズ旅行が安価になり利用しやすくなっていることや、同制度を使えば密航が容易といううわさがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に書き込まれていることなどを挙げる。
県警は7月、長崎、佐世保各港から入国後に失踪した男女8人と、それを手助けした男1人の中国人計9人を出入国管理法違反容疑で逮捕したと発表。このうち失踪した女(52)が同法違反(不法残留)罪で起訴され、懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた。8人は中国国内でSNSを通じて知り合い、就労目的を隠してクルーズ船から上陸し、埼玉県内の工場で偽名を使って働くなどしていた。県警外事課は「(同制度が)不法就労の温床になりかねない」と警鐘を鳴らす。
法務省は7月、失踪者が相次いだクルーズ船1隻について、同制度による指定を更新しない初めての措置を取るなど対策に力を入れ始めた。船会社から提供される乗客名簿の確認の徹底に加え、失踪者を出した船会社に再発防止も指導している。一方で、同省入国在留課の担当者は「現制度での失踪者をゼロにするのは難しい。失踪者は入国者のごく一部で、利便性と比べると制度の見直し議論はない」としている。
・オスだけで子どものマウス誕生 ゲノム編集で中国科学院(朝日新聞DIGITAL 2018年10月12日)
※オスのマウス2匹の精子の遺伝情報を元に、子どものマウスを誕生させることに、中国科学院のチームが成功した。自然界にはメスだけで子孫を残す例は多いが、オスだけの例は無い。近い将来のヒトへの応用は難しいが、発生の仕組みの解明につながる一方、生命倫理の面から議論を呼ぶ可能性がある。11日付の米科学誌「セル・ステムセル」(電子版)に掲載された。
オスに関係なく子どもを作ることは昆虫や魚類などで知られる。しかし哺乳類では自然な生殖にはオス(精子)とメス(卵子)が欠かせない。精子も卵子も性に関わる一部を除いて、基本的に同じ遺伝子がそろっているが、精子や卵子ができる過程で、働き方が変わり、両方がそろわないと発育が進まない。
研究チームは、オスのマウスの精子からES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)を作り、狙った遺伝子を改変できるゲノム編集を使って7カ所の遺伝子を取り除き、卵子に似せるよう細工した。
そしてほかのオスからとった精子とともに、メスの遺伝情報の入った核を取り除いた卵子のもとになる細胞に注入し、「代理母」となるマウスのメスに移植した。すると、オス2匹の遺伝情報しか持たない子が誕生した。ただ48時間で死んでしまったという。
・RCEP閣僚会合、年内妥結を再確認=世耕経産相「いよいよ大詰め」(時事ドットコム 2018年10月13日)
※日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が13日、シンガポールで開催され、年内の実質的妥結を目指す方針を再確認した。世耕弘成経済産業相は会合終了後、記者団に「前回8月のシンガポールでの閣僚会合から相当な進展があった。年内妥結に向けていよいよ大詰めの段階に入った」との認識を示した。
RCEPは18の交渉分野のうち、これまでに「税関手続き・貿易円滑化」「政府調達」など4分野で合意。今回の閣僚会合では、新たに合意した分野はなかったものの、会合終了後の共同声明によると、物品貿易、サービス貿易、投資を含む市場アクセスの分野で隔たりが狭まった。声明はまた、米中貿易摩擦を念頭に「年末までに妥結することが(自由貿易の)重要な試金石になる」と強調した。
・政府、難民受け入れ拡大へ 倍増視野、20年運用目指す(共同通信 2018年10月23日)
※政府は、母国を逃れ近隣諸国に滞在する難民を受け入れる「第三国定住制度」を改正し、入国枠を拡大する方向で検討することを決めた。人数は今後詰めるが、現行の「年約30人」の倍増を視野に入れる。ミャンマー難民に限定した対象国の拡大も検討。既に着手している地方への定住を、さらに促進する。首相官邸と関係省庁で協議し、東京五輪が開かれる2020年の運用開始を目指す。複数の政府関係者が22日、明らかにした。
24日から来日する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ高等弁務官に、こうした方針を伝え、事実上の国際公約とする。第三国定住の担い手となってきた欧米諸国で難民・移民に対する排斥感情が強まり、入国規制が強化される中、人道的見地から前向きな動きとなる。
日本は10年から、第三国定住制度による難民受け入れを実施。ミャンマー西部ラカイン州を中心に暮らすイスラム教徒少数民族ロヒンギャを含め、弾圧や迫害を受けてタイやマレーシアに滞在するミャンマー難民計174人(44家族)を受け入れてきた。
複数の政府関係者によると、来年秋に第10陣の第三国定住難民を受け入れ、20年から「次の10年」に入ることなどを機に、制度見直しに着手。年1回のペースで行ってきた受け入れを年2回とすることを検討する。
これに伴い、年間約30人を目安としてきた受け入れ枠を拡大。関係者によると、倍増させることを視野に入れている。ミャンマー以外のアジアの難民受け入れも検討。具体的な対象国について調整を進める。
定住先に関し、政府は昨年5月、首都圏中心から、人口減に悩む地方へ広げていくことを決めた。難民に対する理解を深め、各地で受け入れ体制を整えるため、地方定住をさらに進める。具体的な候補地は未定。
今秋から半年程度かけて検討を重ね、19年夏前に現行制度を改正、20年秋に受け入れる難民から拡大枠を適用するスケジュールを見込む。
・新日鉄住金に賠償命令=徴用工訴訟で韓国最高裁-河野外相、大使呼び抗議(時事通信2018年10月30日)
※第2次大戦中、日本の植民地支配を受けていた朝鮮半島から日本本土の製鉄所に徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取り、損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は30日、新日鉄住金側の上告を棄却し、1人当たり1億ウォン(約1000万円)の賠償を命じた二審判決が確定した。日本企業に賠償を命じる判決が確定したのは初めて。最高裁は2012年、「個人請求権は消滅していない」として高裁に審理を差し戻しており、この判断を踏襲した。
日本政府は、1965年の日韓請求権協定により、個人分を含む請求権問題は「完全かつ最終的に解決済み」との立場。韓国最高裁は判決で「強制動員の慰謝料(賠償)請求権は、協定の適用対象に含まれているとみることはできない」と結論付けた。日本政府の見解を全面否定した形で、韓国政府の対応次第では日韓関係を揺さぶる外交問題に発展するのは避けられない。
安倍晋三首相は記者団に「国際法に照らしてあり得ない判断だ。毅然(きぜん)と対応する」と表明。河野太郎外相は李洙勲駐日韓国大使を呼び、抗議した。
一方、韓国の李洛淵首相は「(最高裁の)判断を尊重し、関連事項を綿密に検討する」と説明。「関連部署や民間専門家らと共に、さまざまな要素を総合的に考慮し、政府の対応策を用意していく」と表明した。
新日鉄住金は「日韓請求権協定と日本政府の見解に反するもので、極めて遺憾。判決内容を精査し、日本政府の対応状況なども踏まえ、適切に対応する」とのコメントを出した。
進行中の10件以上の元徴用工らの訴訟で同様の判決が相次ぐのは必至で、日本企業が賠償に応じなければ、韓国国内にある資産が差し押さえられる可能性がある。韓国政府に申告されている「強制動員被害者」は22万人を超え、日本企業を相手取る賠償請求訴訟が続発する恐れもある。日韓の経済関係も大きな打撃を受けそうだ。
韓国最高裁は個人請求権を認めた12年の判断で時効も認めなかった。これを受け、13年の差し戻し控訴審で、ソウル高裁が新日鉄住金に対し1人当たり1億ウォンの賠償を命令。同社は「国家間の合意を否定するなど不当な判決だ」として上告したが、裁判は事実上、ストップしていた。最高裁は今年8月、判事全員が参加する審理を開始した。
元徴用工の訴訟をめぐっては、最高裁が日韓関係の悪化を懸念した朴槿恵前政権の意向をくみ、判決を先送りしていた疑惑が浮上。最高裁関係者が逮捕されている。
・スウェーデン、4000人超がマイクロチップを皮膚下に埋め込み(マイナビニュース 2018年10月30日)
※The Independentに10月26日(米国時間)に掲載された記事「Swedish cyborg craze sees more than 4,000 Swedes insert chips under their skin|The Independent」が、Biohaxが過去5年間にマイクロチップを人に埋め込んだ回数が4000回を超えたと伝えた。4000名を超えるスウェーデン人の皮膚の下にはマイクロチップが埋め込まれていることになると説明している。
マイクロチップはRFID (Radio-Frequency Identification)技術に対応しており、親指と人差し指の間の皮膚の下に埋め込まれる。RFIDは非接触のICカードやスマートフォンなどで広く使われている技術。皮膚下にRFIDに対応したチップを埋め込むことで、物理的なICカードを持ち歩くことなく、同様のことができるようになるとされている。
スウェーデンの国鉄システムではすでにBiohaxのマイクロチップを切符やICカードの代わりに利用できるようになっており、ICカードや紙の切符を購入することなく電車が利用できる状態になっているという。
マイクロチップの埋め込みを推進している団体は、こうした技術を利用することでプラスティックカードの利用を減らすことができるため、プラスチックゴミの削減などにもつながると説明している。
・米大統領、「出生地主義」の市民権廃止を検討 選挙控え移民対策(ロイター 2018年10月31日)
※トランプ米大統領は市民権を持たない人や不法移民の間に米国で生まれた子どもの市民権を認めない方向で検討する考えを表明した。中間選挙が来週に迫る中で移民政策の見直しを打ち出し、保守派の支持を獲得する狙いがあるとみられる。
ニュースサイトのアクシオスが30日に掲載したインタビューで語った。
米国が出生地の子どもに市民権を与える制度を巡っては、一部保守派が廃止を呼び掛けていた。トランプ氏は「ばかげたことで、終わらせる必要がある」と語った。
トランプ氏は大統領令を活用する考えを示した。どのような行動を取るかは不明で、詳細を示さなかった。
米国内で出生した子どもには憲法修正第14条の下、市民権が付与され、大統領の権限で改正することはできない。
今回の動きに対し、米国自由人権協会(ACLU)移民人権プロジェクトのトップは「明らかに憲法違反」と指摘。「大統領は大統領令で憲法規定を覆すことはできない。試みようとする考え自体がばかげている」と批判した。
・TPP、12月30日発効へ 自由経済圏で保護主義対抗(共同通信 2018年10月31日)
※ニュージーランドのパーカー貿易・輸出振興相は31日、記者会見し、オーストラリア政府から米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)の国内手続きを終えたとの通知を受けたと発表した。手続き終了は6カ国目。TPPは6カ国以上の国内手続きが終了してから60日後に発効するため、12月30日に発効することが決まった。
域内の工業製品や農産品の関税は段階的に引き下げられる。日本政府は今後、参加国の拡大に注力し、保護主義の対抗軸になる自由経済圏づくりを目指す。
日本は自動車など工業製品の輸出で追い風となるが、牛肉など安い農産品の流入で国内農業は競争力強化が課題だ。
※タイトルからして偏向と誤誘導丸出し。何が保護主義だ。国内の産業を守ることは当たり前のことだ!
・<入管法改正案>外国人労働者受け入れ上限設けず(毎日新聞 2018年11月1日)
※山下貴司法相は1日の衆院予算委員会で、外国人労働者受け入れ拡大のための在留資格新設を柱とする入管法改正案に関し、受け入れ人数の上限は設けない方針を示した。受け入れ見込み数は「法案審議に資するよう精査する」と述べ、改正案が実質審議入りする時期にも公表する可能性に言及した。一方、主に途上国の外国人が対象の「技能実習制度」で来日した技能実習生のうち、今年1~6月に4279人が失踪したことも明らかにした。政府は2日、改正案を閣議決定する。
新在留資格は、最長5年の「特定技能1号」▽在留期間の更新可能な「特定技能2号」の2種。政府は人手不足が深刻な14分野で受け入れを検討している。
山下氏は受け入れ人数に「数値として上限は設けない」と述べた上で、外国人労働者と受け入れ先が締結する雇用契約などが実質的な歯止めになるとの見解も示した。立憲民主党の長妻昭代表代行への答弁。
安倍晋三首相は予算委で「移民政策をとることは考えていない。誤解を払拭(ふっしょく)したい」と重ねて強調。根本匠厚生労働相は、労働基準法などの労働法制が、労働者の国籍にかかわらず適用されると説明した。長妻氏は外国人技能実習生の失踪が過去最多ペースだと指摘し、「(受け入れを)どんどん広げていくのは無責任だ」と批判した。
・外国人労働者、初年度4万人想定(共同通信 2018年11月3日)
※来年4月から外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案に絡み、関係省庁が、来年度の1年間に新たな在留資格で受け入れる外国人を14業種で計約4万人と想定していることが2日、政府関係者への取材で分かった。同様に受け入れ続けた場合、在留者は将来的に数十万人規模となる。精査を経て、来週にも受け入れ対象業種や規模が公表される予定。政府は改正案を閣議決定、衆院に提出した。与党は8日の審議入りを目指している。
政府は会期末までに成立させた後、年内に制度の意義を盛り込んだ基本方針を閣議決定し、外国人の生活環境整備に向けた対応を急ぐ。
・官邸主導で見切り発車=新在留資格、制度生煮え-国会審議に不透明感〔深層探訪〕(時事ドットコム 2018年11月3日)
※外国人労働者の受け入れ拡大のため新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案が国会に提出された。単純労働の受け入れに道を開く歴史的な政策転換と言えるだけに与党内には慎重論もあったが、首相官邸が主導する形で押し切った。ただ、政府は受け入れ人数の見込みすら示せないなど突貫工事で仕上げた経緯は明らかで、来週にも始まる国会審議には不透明感も漂う。
◇自民あっけなく
「外国人労働者を増やすのはニーズがあるからだ。人手不足が経済成長を阻害する大きな要因になり始めている」。安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、新在留資格創設の意義を強調した。
外国人労働者の受け入れ拡大は本来、自民党保守派が慎重姿勢を取り続けてきた政策。保守派の代表格と目される首相がその旗振り役を務めるようになったのは、このままでは政権の看板である経済政策「アベノミクス」が腰砕けになるとの危機感からだ。
政府関係者によると、発端は菅義偉官房長官に地元から「人材難で介護施設を開けない」との訴えが寄せられたことだった。調べてみると、他業種の人手不足も判明。長官は首相に相談し、2人で来年4月の新制度スタートの流れを固めた。準備作業が本格化したのは昨年夏ごろだ。
改正案を審査した自民党法務部会は結論ありきだった。先月22日の議論開始時点で、党は26日の了承を目指す日程を早々に公表。出席者からなぜ急ぐのかただされると、法務省は「首相と官房長官から来年4月と発言があった」と苦しい受け答えを余儀なくされた。
部会の審査終了は数日ずれ込んだものの、最終関門の総務会は政府の想定通り30日に了承。6月に閣議決定された「骨太の方針」に新在留資格が書き込まれ、レールが敷かれていたことも慎重論者の勢いをそいだ。「党はあっけなかったな」。政府高官は余裕の表情でこう語った。
◇二転三転
だが、新在留資格は「生煮え」の感を拭えない。短い準備期間がもろに影響したとみられる。
「こんなんで法案を出すな」。2日の立憲民主党の会合で法務省は、新在留資格の特定技能1号と同2号が従来の永住許可要件に挙がる「就労資格」に当たるかをめぐり、「1号は該当しない」「1号は検討中」「1、2号とも検討中」と答えを二転三転。出席者から容赦ない怒号が飛んだ。
詳細が詰まっていない論点は枚挙にいとまがない。政府は1号の対象として外食業など14業種、2号は建設業など5業種程度を検討しているが、受け入れ人数の見込みは示していない。
また、外食業なら調理人やウエーターなど具体的にどのような職種を募集するかも未確定。職種が固まらない以上、職種ごとに課される技能試験や日本語試験の内容も決まらない。
政府は全世界から労働者を募集する方針だが、どの国で試験を実施するのか、何語で試験を行うのかも未定。「本当に間に合うのか」と不安の声が与野党問わず上がるのはこのためだ。
そもそも、政府は「新在留資格は移民受け入れ政策ではないか」との根本的な疑問にも説得力のある答えを示せていない。移民制度を「一定規模の外国人と家族を期限なく受け入れることで国家を維持する政策」と位置付ける首相は2日の衆院予算委でも新制度について「移民政策ではない」と繰り返したが、自民党にも「国際的に通用しない定義だ」と批判が出ている。
立憲や国民民主党は本来、外国人受け入れに前向きな意見が強い。ただ、両党を支持する連合は新在留資格に否定的。統一地方選や参院選を来年に控え、安倍政権への対決姿勢を強めていることもあり、「見切り発車では禍根を残す」(枝野幸男立憲代表)と徹底審議を要求している。
・日米が対中国共同作戦を初策定 尖閣有事想定、新任務も(共同通信 2018年11月4日)
※日米両政府が2015年改定の日米防衛協力指針(ガイドライン)に基づき、自衛隊と米軍による初の対中国共同作戦計画の策定作業を進めていることが3日、分かった。沖縄県・尖閣諸島での有事を想定し、来年3月までの取りまとめを目指すが、計画内容に関する調整が難航する可能性もある。複数の政府関係者が明らかにした。16年3月に施行した安全保障関連法の新任務も盛り込むとみられる。軍拡を続ける中国に対抗し、一体化を加速させる日米の実態が一層鮮明になった。
日米は米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用を確認している。
※「1億総活躍社会」を掲げる安倍晋三政権は、一方で生活保護基準の引き下げに執心してきた。2013年から、生活保護基準の最大10%にも及ぶ引き下げを断行。全国29都道府県で1000人近くが違憲訴訟を起こす事態になっている。さらには、今年10月から3年間かけて、平均1.8%、最大5%、年額160億円の引き下げが予定されている。
生活保護を「ナマポ」と揶揄し、「一般庶民の暮らし向きとは関係ない」と決め込むのは勝手だ。しかし、現実はそれほど甘くはない。日本の労働力人口約6500万人のうち、年収300万円以下は2500万人を超える。3世帯に1世帯が貯蓄ゼロ。生活保護世帯は164万世帯だが、その捕捉率は20%ともいわれ、現実には約800万世帯が生活保護水準以下の生活を強いられている。
ここ最近は、高齢者層の受給者増が目立つ。背景には、長引く不況と高齢化の影響がある。生活保護の問題は、決して他人事ではない。
衆議院第1議員会館大会議室で6月7日、「生活保護基準の設定はいかにあるべきか」と題する緊急院内学習会が催され、160人が参加した。注目されたのは基調講演。先ごろまで厚生労働省の生活保護基準部会(以下、部会)部会長代理を務めた、岩田正美・日本女子大学名誉教授が登壇した。
岩田氏は貧困研究の第一人者。部会の議論のなかでも、積極的に物申してきた。部会はともかく、霞が関で設置される審議会・検討会の類には疑念がつきまとう。構成員の人選は役所の意向を踏まえて決定。「御用学者」が覚えめでたく活躍する。「事務局」を務める役所のさじ加減で「論点整理」が進み、議論の方向付けがなされる。これが「審議会・検討会行政」の実態だ。
御用学者とは一線を画す岩田氏は、主に2つの限界を指摘した。まずは「水準均衡方式」の限界。高度成長期から、生活保護基準は低所得層と均衡することを目指して設計されてきた。低成長、経済縮小の時代に入った今、低所得層の実入りは確実に苦しくなっており、そこと均衡させれば生活保護基準も下げざるを得ない。
もう一点は、厚労省が根拠とする「全国消費実態調査」の限界。調査期間や回収率、補正の必要性などの点で、信頼に値するデータとなっていない。
この集会でのもうひとりの講演者である桜井啓太・名古屋市立大学准教授は、「最低賃金からみた生活保護基準引き下げの意味」について発言。生活保護が全国民の「最低限」であるのに対し、最低賃金は働く者の「最低限」を指し、両者は密接に関連している。生活保護が引き下げられれば、それにともなって最低賃金が引き下げられる可能性もある。
桜井氏は引き下げに向けて、ストーリーがつくられ共有される流れがあったと指摘。本来は働く者が「健康で文化的な生活」をするための最低基準だった最低賃金が、厚労省中央最低賃金審議会において恣意的にゆがめられてきた実態を具体的に示した。
生活保護が最低賃金を上回る逆転現象
生活保護基準が最低賃金を上回る「逆転現象」がなかなか改善しないなか、「最低賃金労働者は損をしている」「生活保護者はずるい」という感情の問題へのすり替えが進んでいった。この流れに乗るかたちで、自民党はマニフェストに「生活保護制度の見直し」を掲げ、着実に実行。一連の引き下げは、この流れのなかにある。
高度成長期と比べ、この国の余力は確実にやせ細っている。不慮の事故や病気といった異例の事態がひとつ二つ重なれば、誰もが生活保護を考慮しなければならない。
「どの国の施策を見ても、正解はない。それなりに苦労をして暫定的な制度を用いている」
岩田氏はそう強調した。憲法が保障する「健康で文化的」な暮らしのために、いくら必要なのか。行政が判断をためらってきたその基準は、私たち自身が議論し決めていかなければならない。
・強制退去拒む国除外=新在留資格で調整-政府(時事通信 2018年10月10日)
※菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で、外国人労働者の受け入れ拡大に向けて新たに創設する在留資格に関し、日本が強制退去を決めた外国人の身柄を引き取らない国は対象外とする方向で調整していることを明らかにした。今月下旬召集予定の臨時国会に政府が提出する関連法案に盛り込むことを検討する。
・一帯一路に北朝鮮や日韓組み入れ 中国遼寧省が計画(共同通信 2018年9月24日)
※中国東北部の遼寧省が、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に北朝鮮や日本、韓国を組み入れる計画を策定したことが24日、分かった。計画では中朝国境の都市、丹東から北朝鮮を経て韓国までつなぐ鉄道建設のほか、中朝間の経済協力を強化するための「丹東特区」建設も明記した。
もともと一帯一路は中国の西方を意識した構想で、朝鮮半島や日本など東方への延伸を中国の公式文書が明確に示すのは異例。最近の朝鮮半島情勢の緊張緩和や日中関係の改善を受けた形だ。ただ対北朝鮮制裁が続く状況では中朝間の本格的な経済協力は困難で、実現性は不透明だ。
・トランプ氏、父に巨額借金 自力「不動産王」は虚像か(共同通信 2018年10月3日)
※トランプ米大統領の巨額脱税関与疑惑に関連し、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は2日、トランプ氏が不動産業を営んでいた父から、総額で少なくとも6070万ドル(約69億円)の借金を重ね、大半を返済していなかったと報じた。現在の価値では1億4千万ドルに相当するという。
報道が事実であれば、自力で財を成し「不動産王」になったとするトランプ氏の主張が虚偽だったことになり、11月の中間選挙を前に野党民主党にとって攻撃材料となりそうだ。サンダース大統領報道官は「トランプ氏の家族に対する誤解を招く攻撃だ」と報道を全面的に否定した。
・防衛省:空自F2後継機は新規開発 既存改良はコスト高く(毎日新聞 2018年10月4日)
※防衛省は、航空自衛隊のF2戦闘機の後継機を新規開発する方針を固めた。政府関係者が明らかにした。米英の3社から既存機種の能力向上型の導入を提案されていたが、コストや性能面から日本側の要求に合わないと判断した。年末に策定する次期中期防衛力整備計画に開発方針を盛り込み、外国との共同開発を視野に入れながら、エンジンなどで日本独自の技術開発も進める方向だ。
空自は現在92機のF2を保有するが、2030年代から耐用年数を超える。戦闘機の開発には10年以上かかるため、防衛省は(1)国際共同開発(2)国内開発(3)既存機の能力向上型の購入--の3案を検討してきた。今年末をめどに後継機の導入方針を定める考えだ。
16~18年度には国内外の企業や米英両政府に対し、戦闘機の新規開発や既存機の改修に関する情報提供を計3回求めた。今年7月までに、米ロッキード・マーチン社がF22、米ボーイング社がF15、英BAE社がユーロファイター・タイフーンの既存機をベースに能力を向上させる改修提案を行っていた。だが最新鋭のステルス性能を持つF22の改修はコストがかさみ、「米国政府による輸出禁止措置の解除の見通しについても、明確な説明がなかった」(防衛省幹部)という。他の2社の案も機体の性能が日本側の要求水準に及ばず、防衛省は既存機の能力向上型の採用を見送る方向だ。
ただ、数兆円規模の予算がかかる戦闘機の新規開発には困難が伴う。国内の生産・整備基盤を維持したい防衛産業団体や自民党の一部では国内開発を推す声が強いが、その場合は開発費全額が日本負担となる。戦闘機の開発実績が乏しい日本企業の主導は、技術面で不安が残るのも実情だ。
防衛省は09~18年度に約1900億円をかけてエンジン・電子システムなど次期戦闘機用の技術研究を行ったが、開発した国産エンジンはまだ基本性能を確認している段階で、飛行実験のメドは立っていない。
このため政府は、戦闘機開発を検討している英国や独仏連合との国際共同開発で、開発費を分担することも模索している。だが共同開発にも開発の時期や要求性能、開発分野の分担などを巡って調整が難航するリスクがある。一方、同盟国の米国は最新鋭のF35ステルス戦闘機を本格運用し始めたばかりで、次期機種の開発計画は具体化していない。防衛省では年末に新規開発という大枠を定めた上で、共同開発か国内開発かの最終判断は先送りし、技術開発や外国との交渉を進める案が出ている。
・東京都、ヘイト規制条例が成立 都道府県で初、五輪前の来年施行(2018年10月5日)
※2020年東京五輪・パラリンピックに向け、ヘイトスピーチを規制し、性的少数者(LGBT)への差別解消を目指す東京都の人権条例が、5日の都議会で賛成多数で可決、成立した。都によると、条例でヘイトスピーチを規制するのは都道府県では初といい、都は19年4月の全面施行を目指す。
条例は、五輪憲章にうたわれる人権尊重の理念を踏まえたもので、ヘイトスピーチに対しては、知事が基準を設け、公共施設の利用を制限できるとし、実施団体名の公表やネット上の書き込みや動画の削除要請も可能と定めた。
LGBTについては、不当な差別を禁止する努力規定を設け、基本計画を定めるとした。
・米で使用の電子機器にコメ粒大のチップ、中国が情報窃盗に利用と米報道(AFPBB 2018年10月5日)
※中国で製造され米国で使用されているコンピューター機器にコメ粒大のチップが組み込まれ、米テクノロジー部門の機密情報を盗もうとする中国政府の広範な活動の中で利用されていたと、米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)が4日報じた。
ブルームバーグによると、このチップはコメ粒ほどの大きさで、米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)と米アップル(Apple)向けに製造された機器に組み込まれていたという。他の企業や政府機関向けの機器にも使われた可能性がある。米当局にはアマゾンが最初に通報したという。
ブルームバーグによれば、3年前から秘密裏に行われ現在も継続中の調査で、コンピューター機器に「隠れた出入り口」が設けられていたことが判明。ハードウエアを用いる侵入手法はソフトウエアを用いる手法よりも効果的で、検知されにくいとされる。
匿名の米当局者の話としてブルームバーグが伝えたところによると、中国人民解放軍の部隊が関与して米国のコンピューター機器製造企業スーパーマイクロ・コンピューター(Super Micro Computer)向けに中国で製造された製品に問題のチップが組み込まれていた。スーパーマイクロ・コンピューターは、米国防総省のデータセンターや中央情報局(CIA)の無人機を使った作戦、海軍艦のネットワーク向けの機器も製造したという。
ブルームバーグによると、アマゾンはソフトウエア企業エレメンタル(Elemental)の買収に当たり、スーパーマイクロ・コンピューターがエレメンタル向けに製造した機器の安全性点検を実施した際に問題に気付いた。
問題のチップは、アップルや、アマゾンのクラウドコンピューティングサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」などのデータセンターで用いられるコンピューターの中枢部品であるマザーボード向けに設計されたものだという。
アップルは「どのサーバーにも、悪意をもって埋め込まれたなチップや、ハードウエアの変造、あるいは意図的に仕込まれた脆弱(ぜいじゃく)性は見つかっていない」と表明した。
アマゾンはAFPに対し「われわれは過去または現在のいかなる時点においても、エレメンタルやアマゾンのシステムで使われているスーパーマイクロ社のマザーボードで、変造されたハードウエアや悪意あるチップに関わる問題を発見していない」と述べた。
・海外に魔の手を伸ばす中国の「統一戦線工作」(JBpress 2018年10月5日)
樋口 譲次
※「統一戦線を組もう」とは、仲間内の日常会話でも使われる表現である。
しかし、国際政治の場において、外交戦、情報・世論戦、謀略戦、懐柔策などを複雑に絡めて展開される「統一戦線工作」は、奇々怪々として、国家に深刻な問題を投げかける。
というのも、中国が、習近平政権になって、海外における「統一戦線工作」を一段と強化しているからである。
先日、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という米国からの記事(「古森義久のあめりかノート」、産経新聞、平成30年9月23日付)が掲載された。
詳細は、この後に譲るとして、米国では、統一戦線方式と呼ばれる中国の対米工作に関する調査報告書が発表されたことをきっかけに、習近平政権が「統一戦線工作」によって米国の対中態度を変えようとしていることが明らかになった。
そして、米国全体の対中姿勢が激変し、官と民、保守とリベラルを問わず、「中国との対決」が米国のコンセンサスになってきたというものである。
この件については、筆者拙論「台湾に迫る危機、日本よどうする!」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54145、2018.9.20掲載)の中で、中国による台湾の国際空間からの締め出しや台湾国内でのスパイ活動などに触れたが、これらも「統一戦線工作」の一環である。
「統一戦線工作」とは、本来、革命政党である共産党が主敵を倒すために、第3の勢力に意図や正体を隠しながら接近・浸透し、丸め込んで巧みに操り、その目的を達成しようとする工作である。
ソ連共産党をはじめ、中国共産党、朝鮮労働党などが常套手段としたもので、これらの国では、今日でもその手法が重用され、国内の政敵のみならず、海外の敵対勢力に対して自国の立場や主張に有利な環境条件を作為しようと試みている。
なかでも中国は、特定の団体や個人を丸めこんだり、協力関係を築いたり、場合によっては逆に非難や圧力・恫喝、攻撃を行い、重要な情報を収集し、対象国での影響力を高め、国際社会における中国共産党への支持を取り付けるなど、世界中で「統一戦線工作」を活発に展開している。
日本も、手を拱いている場合ではない。
日本は、中国の覇権的拡大に対して最大の妨げとなる在日米軍基地を抱え、また尖閣諸島問題や歴史認識などで厳しく対立している。
さらに、中国が欲しがる最先端科学技術を保有するなど、中国にとって極めて重要な「統一戦線工作」の対象となっていることから、重大な関心を抱かざるを得ないのである。
習近平政権下の中国の「統一戦線工作」
習近平政権下での「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」の制定
中国共産党の「統一戦線工作」を掌る「中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)」設立の歴史は古く、中華人民共和国の建国から遡ること7年前の1942年である。
「統一戦線工作」上、最もよく知られているのが、抗日民族統一戦線としての中国国民党と中国共産党による「国共合作」である。
中央統戦部が重視されていることは、中国共産党中央委員会直属の組織であることからも明らかである。
その国家レベルの方針を決める中央統一戦線工作会議が、習近平中央委員会総書記の下、2015年5月に北京で開かれ、「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」(以下、統戦条例)を制定した。
実は、それまでに統一戦線をテーマにした正規の党内法規はなかったようで、統戦条例は統戦工作に関する初の法規として「統一戦線活動の制度化、規則化、手続き化の重要なメルクマール」(人民日報)と報じられている。
そして、習近平総書記は、中央統戦会議で「新しい形勢下の統一戦線工作」について強調し、これを全党挙げて重視することを明言したのである。
「統戦条例(試行)」制定をめぐる習近平の狙い
習総書記が掲げる国家目標は、「2つの百年」、すなわち中国共産党創設100周年にあたる2021年を中間目標とし、中華人民共和国建国100周年を迎える2049年を最終目標として「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を実現することだ。
統戦条例では、その国家目標への奉仕を強調しており、中国は「統一戦線工作」を「中華民族の偉大な復興」を果たすための重要な手段として位置づけているのである。
そして、中央統戦会議で習総書記は、国際社会から中国社会への影響力が強まっていることに加え、中国国内に政治的変化を求めるグループが存在するなど、中国を取り巻く内外情勢が「変化」しているとの情勢認識を示した。
これに基づき、国家目標を達成するには、変化に対応した「統一戦線工作」をますます強化発展させなければならないと述べている。
こうした方針を実行に移すにあたり、統戦条例では、対国内に関する部分はさておくとして、対海外に関する部分について、「香港・マカオ・台湾、海外への統一戦線工作」の章を設けている。
そのことから、統一戦線工作の対象が香港、マカオ、台湾のみならず、それ以外の海外へも向けられていることは明らかだ。
また、統戦条例の起草には、海外に居住している華僑や華人などの在外同胞に係わる業務を所管している国務院僑務弁公室も参加し、習総書記の中央統戦会議における講和では「留学した人材」を通じた世論コントロールについて述べている。
このことから、在外公館の現地外交官(工作員)のほかに、これらが海外での統一戦線工作に加担していることは容易に察しがつこう。
明らかになった米国における中国の統一戦線工作(具体例)
中国が世界の500か所以上に開設している「孔子学院」は、親中派(中国シンパ)を育成する「統一戦線工作」の一環としてのソフトパワー戦略と見られている。
その約40%が米国に集中し、学問の自由を阻害しているとして、ここ数年批判の声が高まっていた。
これを受けて、すでにシカゴ大学、ペンシルベニア州立大学など多くの大学が孔子学院の閉鎖に動き、スパイ活動やプロパガンダ活動などの容疑で米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始した模様だ。
そこで、改めて、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という産経新聞の記事を振り返ってみよう。
この記事の基になったのは、ワシントンの半官半民のシンクタンク「ウィルソン・センター」が、1年以上をかけ、コロンビア、ジョージタウン、ハーバードなど全米25の主要大学を対象として調査した学術研究の報告書(原題:『米国の高等教育における中国の政治的影響と妨害活動に関する予備的研究』)である。
同記事(報告書)で明らかになった中国の「統一戦線工作」の具体例を引用すると、下記の通りである。
(1)中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は事実上の工作員として米国の各大学に圧力をかけ、教科の内容などを変えさせてきた。
(2)各大学での中国の人権弾圧、台湾、チベット自治区、新疆ウイグル自治区などに関する講義や研究の内容に対してとくに圧力をかけてきた。
(3)その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや個々の学者への中国入国拒否などを武器として使う。
そして、「米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた」と総括されている。
工作の結果、米国の大学や学者が中国の反発を恐れて「自己検閲」をすることの危険性を特に強調している。
以上は、あくまで、全米の主要大学を対象とした中国の対米工作の特定部分についての調査結果にすぎない。
その工作が、その他の政・官・財界、軍隊、産業界、マスコミ、シンクタンクなど、米国の意思決定や国益を左右する中枢部に及んでいると考えるのは当然であり、その広がりを考えると、影響の重大さに震撼させられるのである。
中国の「統一戦線工作」の実態を理解し厳重な警戒を
日本政府は、中国の「統一戦線工作」の実態について、「警察白書」をもって公式に発表している。
平成29年「警察白書」は、第5章第2節1項「対日有害活動の動向と対策」の中で、「中国の動向」について、次のように記述している。
中国は、諸外国において多様な情報収集活動等を行っていることが明らかになっており、我が国においても、先端技術保有企業、防衛関連企業、研究機関等に研究者、技術者、留学生等を派遣するなどして、巧妙かつ多様な手段で各種情報収集活動を行っているほか、政財官学等、各界関係者に対して積極的に働き掛けを行うなどの対日諸工作を行っているものとみられる。
警察では、我が国の国益が損なわれることがないよう、こうした工作に関する情報収集・分析に努めるとともに、違法行為に対して厳正な取締りを行うこととしている。
在日中国人の数は約73万人。その中には、工作員として「選抜、育成、使用」される可能性の高い「留学生」約12.5万人、「教授・研究・教育」約2000人、「高度専門職」約5200人、「技術・人文知識・国際業務」約7.5万人などが含まれる。(政府統計の総合窓口「e-stat」、2017年12月現在)
また、中国から日本への旅行者は約637万人(2016年、日本政府観光局(JNTO)統計)であり、通年で、約710万人の中国人が日本に滞在していることになる。
正確な数字は明らかではないが、これほど多くの中国人の中には、相当数の工作員が含まれていると見なければならない。
中国には「国防動員法」があり、動員がかかれば、「男性公民は満18歳から満60歳まで、女性公民は満18歳から満55歳までの間、国防に従事する」義務がある。
在日中国人や中国人旅行者もその例外ではなく、日本国内において、彼らが在日工作員あるいは潜入した武装工作員(ゲリラ・コマンド)と連携し、情報活動や破壊活動などに従事する事態を十分に想定しておかなければならない。
加えて、北朝鮮およびロシアも、様々な形で対日有害活動を行っている。
一方、国内を見ると、日本共産党は、「しんぶん赤旗」(2007年11月29日付)において、読者の質問に答える形で「日本共産党は、一貫して統一戦線の結成と強化をめざしています」と表明している。
旧日本社会党であった社会民主党も、それ自体が中国や北朝鮮などとつながりを持った統一戦線としての性格を有しており、日本共産党との「社共共闘」も革新統一戦線である。
このように、日本は、中国をはじめとして、国内外の勢力が複雑に絡み合った「統一戦線工作」の渦中に置かれている。
そしてわが国の至る所で、日常茶飯事のごとく、国民の身近に工作が迫っている実態を理解し、厳重な警戒を怠ってはならないのである。
・北方領土、急激に軍事化 現れたスホイ35「撮影ダメ」(朝日新聞DIGITRAL 2018年10月10日)
※北方領土・択捉島のヤースヌイ空港で9月26日、旅客機に乗るためターミナルから歩き始めると、3機の戦闘機が見えた。ロシア軍が試験配備した新鋭戦闘機スホイ35だとみられる。地元メディアが8月上旬、その存在を伝えていた。
戦闘機との距離はわずか数十メートル。数人の乗客がカメラを向けると、警備員が慌てて近付き、腕でバツ印をつくって撮影を止めた。空港ビルにも以前はなかった撮影禁止のマークがあり、警備が厳しくなっていた。
ヤースヌイ空港が開業したのは2014年9月。開業式典には、ロシアのプーチン政権の実力者だった当時のイワノフ大統領府長官も駆けつけ、期待の高さをうかがわせていた。
それまで民間の航空路線があったブレベストニク空港(旧日本軍の天寧飛行場)は、ソ連時代にミグ戦闘機が常駐した戦略拠点だったが、濃霧による欠航が多かった。新空港は今年2月、軍民共用とする方針を発表。今後、軍事利用が増える可能性がある。
北方領土にはソ連末期、約1万人の地上軍が展開。戦車や対空ミサイルも配備されていたが、ソ連崩壊後は軍備の老朽化が進んだ。現在の駐留部隊は択捉島と国後島で計約3500人とみられるが、16年に新型地対艦ミサイルを配備。軍事施設の建設も進む。今月10日も北方領土周辺で射撃訓練を行ったとみられる。
(後略)
・米国の新兵器システム、容易に侵入可能 報告書(AFPBB 2018年10月10日)
※米政府監査院(GAO)は9日、米国防総省が開発している新たな兵器システムに敵対勢力が容易に侵入できるとする報告書を発表した。
政府監査院は、敵対勢力にとって、探知されないままコンピューターの中枢や兵器システムのソフトウエアにアクセスし内部から操作を行うことがどれだけ簡単かを国防総省は認識していないと指摘した。
政府監査院はシステムの弱点としてまず、ずさんなパスワード管理と暗号化されていない通信を挙げている。システムのアクセスポイントの数は増加し続け、操作担当者自身がアクセスポイントを常によく理解しているとは限らないため、ネットワークにつながっていないシステムまでも極めて脆弱(ぜいじゃく)になっているという。
さらに同報告書はコンピューター依存型の兵器の設計・調達の過程にサイバーセキュリティー技術を組み込んでいないとして米軍を批判。兵器開発者自身がサイバーセキュリティー問題を適切に理解していないこともたびたびあると述べた。
報告書では「2人組のテストチームがたった1時間で兵器システムへの初期アクセスに成功し、兵器システムへの完全なアクセスを1日で達成した」例が挙げられている。
国防総省の兵器やその他のシステムは相互接続性が高まっており、ソフトウエアやネットワークへの依存が増え続けているため、危険性は高まっている。
・世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究(ロイター 2018年10月10日)
※精神疾患が世界各国で増加しており、対策が講じられなければ2010─30年に世界経済に最大16兆ドルの損失が生じるとの研究が発表された。ただ、推定される損失の内訳については詳述されていない。
研究は、世界の精神医学・公衆衛生、神経科学の専門家28人と精神疾患患者および擁護団体が行ったもので、リポート「ランセット・コミッション」にまとめられた。リポートは、危機の悪化は世界規模で人々や社会、経済に恒久的な害をもたらす可能性があるとしている。
リポートの共同執筆者であるビクラム・パテルハーバード大学医学部教授は記者団に、コストの一部はヘルスケアや医薬品その他の治療など直接的なものとなる一方、大半のコストは、生産性の悪化、社会福祉支出や教育、法や秩序といった間接的なものになると述べた。
また教授は、社会の高齢化や子どもが青年期まで成長する確率が上昇したことなどから、過去25年間で精神疾患関連の負担は「劇的に」増加していると指摘。にもかかわらず、問題解決のため「十分な投資を行っている国は存在しない。人間の健康の中で、精神の健康ほど無視されているものはない」と述べた。
世界保健機関(WHO)は、世界のうつ病患者は3億人前後、認知障患者は5000万人、統合失調症患者は2300万人、双極性障害は6000万人程度と推計している。
世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究© REUTERS 世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究
リポートはまた、うつ病などの精神疾患患者は多くの国で、拘束や拷問、収監などの人権侵害にさらされることが多いと指摘。精神疾患患者の基本的人権が否定されることのないよう、人権に根ざしたアプローチを求め、社会心理療法が医療専門家だけでなく、保健員や同輩、教師、聖職者によっても提供される仕組みへの移行を推奨した。
・梅毒2年連続5千人台…感染3週間で「しこり」 (読売新聞 2018年10月10日)
※国立感染症研究所は10日、性感染症の梅毒の感染報告者数が、今年1月から9月30日までの累計で5081人になったと発表した。年間の感染者数は、昨年の5824人(暫定値)に続いて5000人を超えた。
今年は、44年ぶりに5000人台を記録した昨年を上回る勢いで増えている。都道府県別では、東京1284人、大阪874人、愛知338人など、都市部で多くなっている。
梅毒は性的接触を通じて感染する。3週間程度で感染した部分にしこりができるなどし、その後、手足など全身に発疹が出る。症状は治まったり再発したりを繰り返す。
抗菌薬で治療できるが、放置すると脳や心臓などに異常が出る恐れがある。妊婦が感染した場合、胎盤を通しておなかの赤ちゃんに感染し、死亡することもある。
予防するには、コンドームを使用し、粘膜や皮膚が直接接触するのを避ける。それでも完全に防げるわけではなく、感染が疑われる場合、早めに医療機関を受診する
・船舶観光上陸許可制度:24人失踪 悪用歯止めかからず (毎日新聞 2018年10月12日)
※クルーズ船から船舶観光上陸許可制度を使って入国した外国人が失踪するケースが相次いでいる問題で、今年に入って長崎県内の港から上陸・失踪したのは24人で過去最多を更新したことが長崎県警への取材で分かった。法務省も対策を講じているものの、簡易な審査で入国できる制度の悪用に歯止めがかからない状況だ。
船舶観光上陸許可制度は2015年1月、訪日外国人増加を目的に導入された。法相が指定した船舶で来日し許可を受けた乗客は、一つの寄港地につき7日以内に帰船することを条件に、ビザや顔写真撮影なしで入国できる。法務省入国在留課によると、制度の開始から今年6月までに660万人以上がこの制度を使って入国し、計171人が失踪した。
17年のクルーズ船の寄港回数が267回で全国2位だった長崎港がある長崎。県警外事課によると、失踪者は15年11人▽16年8人▽17年10人--で今年は9月末時点で既に24人。法務省の担当者は、クルーズ旅行が安価になり利用しやすくなっていることや、同制度を使えば密航が容易といううわさがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に書き込まれていることなどを挙げる。
県警は7月、長崎、佐世保各港から入国後に失踪した男女8人と、それを手助けした男1人の中国人計9人を出入国管理法違反容疑で逮捕したと発表。このうち失踪した女(52)が同法違反(不法残留)罪で起訴され、懲役1年、執行猶予3年の判決を受けた。8人は中国国内でSNSを通じて知り合い、就労目的を隠してクルーズ船から上陸し、埼玉県内の工場で偽名を使って働くなどしていた。県警外事課は「(同制度が)不法就労の温床になりかねない」と警鐘を鳴らす。
法務省は7月、失踪者が相次いだクルーズ船1隻について、同制度による指定を更新しない初めての措置を取るなど対策に力を入れ始めた。船会社から提供される乗客名簿の確認の徹底に加え、失踪者を出した船会社に再発防止も指導している。一方で、同省入国在留課の担当者は「現制度での失踪者をゼロにするのは難しい。失踪者は入国者のごく一部で、利便性と比べると制度の見直し議論はない」としている。
・オスだけで子どものマウス誕生 ゲノム編集で中国科学院(朝日新聞DIGITAL 2018年10月12日)
※オスのマウス2匹の精子の遺伝情報を元に、子どものマウスを誕生させることに、中国科学院のチームが成功した。自然界にはメスだけで子孫を残す例は多いが、オスだけの例は無い。近い将来のヒトへの応用は難しいが、発生の仕組みの解明につながる一方、生命倫理の面から議論を呼ぶ可能性がある。11日付の米科学誌「セル・ステムセル」(電子版)に掲載された。
オスに関係なく子どもを作ることは昆虫や魚類などで知られる。しかし哺乳類では自然な生殖にはオス(精子)とメス(卵子)が欠かせない。精子も卵子も性に関わる一部を除いて、基本的に同じ遺伝子がそろっているが、精子や卵子ができる過程で、働き方が変わり、両方がそろわないと発育が進まない。
研究チームは、オスのマウスの精子からES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)を作り、狙った遺伝子を改変できるゲノム編集を使って7カ所の遺伝子を取り除き、卵子に似せるよう細工した。
そしてほかのオスからとった精子とともに、メスの遺伝情報の入った核を取り除いた卵子のもとになる細胞に注入し、「代理母」となるマウスのメスに移植した。すると、オス2匹の遺伝情報しか持たない子が誕生した。ただ48時間で死んでしまったという。
・RCEP閣僚会合、年内妥結を再確認=世耕経産相「いよいよ大詰め」(時事ドットコム 2018年10月13日)
※日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が13日、シンガポールで開催され、年内の実質的妥結を目指す方針を再確認した。世耕弘成経済産業相は会合終了後、記者団に「前回8月のシンガポールでの閣僚会合から相当な進展があった。年内妥結に向けていよいよ大詰めの段階に入った」との認識を示した。
RCEPは18の交渉分野のうち、これまでに「税関手続き・貿易円滑化」「政府調達」など4分野で合意。今回の閣僚会合では、新たに合意した分野はなかったものの、会合終了後の共同声明によると、物品貿易、サービス貿易、投資を含む市場アクセスの分野で隔たりが狭まった。声明はまた、米中貿易摩擦を念頭に「年末までに妥結することが(自由貿易の)重要な試金石になる」と強調した。
・政府、難民受け入れ拡大へ 倍増視野、20年運用目指す(共同通信 2018年10月23日)
※政府は、母国を逃れ近隣諸国に滞在する難民を受け入れる「第三国定住制度」を改正し、入国枠を拡大する方向で検討することを決めた。人数は今後詰めるが、現行の「年約30人」の倍増を視野に入れる。ミャンマー難民に限定した対象国の拡大も検討。既に着手している地方への定住を、さらに促進する。首相官邸と関係省庁で協議し、東京五輪が開かれる2020年の運用開始を目指す。複数の政府関係者が22日、明らかにした。
24日から来日する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグランディ高等弁務官に、こうした方針を伝え、事実上の国際公約とする。第三国定住の担い手となってきた欧米諸国で難民・移民に対する排斥感情が強まり、入国規制が強化される中、人道的見地から前向きな動きとなる。
日本は10年から、第三国定住制度による難民受け入れを実施。ミャンマー西部ラカイン州を中心に暮らすイスラム教徒少数民族ロヒンギャを含め、弾圧や迫害を受けてタイやマレーシアに滞在するミャンマー難民計174人(44家族)を受け入れてきた。
複数の政府関係者によると、来年秋に第10陣の第三国定住難民を受け入れ、20年から「次の10年」に入ることなどを機に、制度見直しに着手。年1回のペースで行ってきた受け入れを年2回とすることを検討する。
これに伴い、年間約30人を目安としてきた受け入れ枠を拡大。関係者によると、倍増させることを視野に入れている。ミャンマー以外のアジアの難民受け入れも検討。具体的な対象国について調整を進める。
定住先に関し、政府は昨年5月、首都圏中心から、人口減に悩む地方へ広げていくことを決めた。難民に対する理解を深め、各地で受け入れ体制を整えるため、地方定住をさらに進める。具体的な候補地は未定。
今秋から半年程度かけて検討を重ね、19年夏前に現行制度を改正、20年秋に受け入れる難民から拡大枠を適用するスケジュールを見込む。
・新日鉄住金に賠償命令=徴用工訴訟で韓国最高裁-河野外相、大使呼び抗議(時事通信2018年10月30日)
※第2次大戦中、日本の植民地支配を受けていた朝鮮半島から日本本土の製鉄所に徴用された韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)を相手取り、損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は30日、新日鉄住金側の上告を棄却し、1人当たり1億ウォン(約1000万円)の賠償を命じた二審判決が確定した。日本企業に賠償を命じる判決が確定したのは初めて。最高裁は2012年、「個人請求権は消滅していない」として高裁に審理を差し戻しており、この判断を踏襲した。
日本政府は、1965年の日韓請求権協定により、個人分を含む請求権問題は「完全かつ最終的に解決済み」との立場。韓国最高裁は判決で「強制動員の慰謝料(賠償)請求権は、協定の適用対象に含まれているとみることはできない」と結論付けた。日本政府の見解を全面否定した形で、韓国政府の対応次第では日韓関係を揺さぶる外交問題に発展するのは避けられない。
安倍晋三首相は記者団に「国際法に照らしてあり得ない判断だ。毅然(きぜん)と対応する」と表明。河野太郎外相は李洙勲駐日韓国大使を呼び、抗議した。
一方、韓国の李洛淵首相は「(最高裁の)判断を尊重し、関連事項を綿密に検討する」と説明。「関連部署や民間専門家らと共に、さまざまな要素を総合的に考慮し、政府の対応策を用意していく」と表明した。
新日鉄住金は「日韓請求権協定と日本政府の見解に反するもので、極めて遺憾。判決内容を精査し、日本政府の対応状況なども踏まえ、適切に対応する」とのコメントを出した。
進行中の10件以上の元徴用工らの訴訟で同様の判決が相次ぐのは必至で、日本企業が賠償に応じなければ、韓国国内にある資産が差し押さえられる可能性がある。韓国政府に申告されている「強制動員被害者」は22万人を超え、日本企業を相手取る賠償請求訴訟が続発する恐れもある。日韓の経済関係も大きな打撃を受けそうだ。
韓国最高裁は個人請求権を認めた12年の判断で時効も認めなかった。これを受け、13年の差し戻し控訴審で、ソウル高裁が新日鉄住金に対し1人当たり1億ウォンの賠償を命令。同社は「国家間の合意を否定するなど不当な判決だ」として上告したが、裁判は事実上、ストップしていた。最高裁は今年8月、判事全員が参加する審理を開始した。
元徴用工の訴訟をめぐっては、最高裁が日韓関係の悪化を懸念した朴槿恵前政権の意向をくみ、判決を先送りしていた疑惑が浮上。最高裁関係者が逮捕されている。
・スウェーデン、4000人超がマイクロチップを皮膚下に埋め込み(マイナビニュース 2018年10月30日)
※The Independentに10月26日(米国時間)に掲載された記事「Swedish cyborg craze sees more than 4,000 Swedes insert chips under their skin|The Independent」が、Biohaxが過去5年間にマイクロチップを人に埋め込んだ回数が4000回を超えたと伝えた。4000名を超えるスウェーデン人の皮膚の下にはマイクロチップが埋め込まれていることになると説明している。
マイクロチップはRFID (Radio-Frequency Identification)技術に対応しており、親指と人差し指の間の皮膚の下に埋め込まれる。RFIDは非接触のICカードやスマートフォンなどで広く使われている技術。皮膚下にRFIDに対応したチップを埋め込むことで、物理的なICカードを持ち歩くことなく、同様のことができるようになるとされている。
スウェーデンの国鉄システムではすでにBiohaxのマイクロチップを切符やICカードの代わりに利用できるようになっており、ICカードや紙の切符を購入することなく電車が利用できる状態になっているという。
マイクロチップの埋め込みを推進している団体は、こうした技術を利用することでプラスティックカードの利用を減らすことができるため、プラスチックゴミの削減などにもつながると説明している。
・米大統領、「出生地主義」の市民権廃止を検討 選挙控え移民対策(ロイター 2018年10月31日)
※トランプ米大統領は市民権を持たない人や不法移民の間に米国で生まれた子どもの市民権を認めない方向で検討する考えを表明した。中間選挙が来週に迫る中で移民政策の見直しを打ち出し、保守派の支持を獲得する狙いがあるとみられる。
ニュースサイトのアクシオスが30日に掲載したインタビューで語った。
米国が出生地の子どもに市民権を与える制度を巡っては、一部保守派が廃止を呼び掛けていた。トランプ氏は「ばかげたことで、終わらせる必要がある」と語った。
トランプ氏は大統領令を活用する考えを示した。どのような行動を取るかは不明で、詳細を示さなかった。
米国内で出生した子どもには憲法修正第14条の下、市民権が付与され、大統領の権限で改正することはできない。
今回の動きに対し、米国自由人権協会(ACLU)移民人権プロジェクトのトップは「明らかに憲法違反」と指摘。「大統領は大統領令で憲法規定を覆すことはできない。試みようとする考え自体がばかげている」と批判した。
・TPP、12月30日発効へ 自由経済圏で保護主義対抗(共同通信 2018年10月31日)
※ニュージーランドのパーカー貿易・輸出振興相は31日、記者会見し、オーストラリア政府から米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)の国内手続きを終えたとの通知を受けたと発表した。手続き終了は6カ国目。TPPは6カ国以上の国内手続きが終了してから60日後に発効するため、12月30日に発効することが決まった。
域内の工業製品や農産品の関税は段階的に引き下げられる。日本政府は今後、参加国の拡大に注力し、保護主義の対抗軸になる自由経済圏づくりを目指す。
日本は自動車など工業製品の輸出で追い風となるが、牛肉など安い農産品の流入で国内農業は競争力強化が課題だ。
※タイトルからして偏向と誤誘導丸出し。何が保護主義だ。国内の産業を守ることは当たり前のことだ!
・<入管法改正案>外国人労働者受け入れ上限設けず(毎日新聞 2018年11月1日)
※山下貴司法相は1日の衆院予算委員会で、外国人労働者受け入れ拡大のための在留資格新設を柱とする入管法改正案に関し、受け入れ人数の上限は設けない方針を示した。受け入れ見込み数は「法案審議に資するよう精査する」と述べ、改正案が実質審議入りする時期にも公表する可能性に言及した。一方、主に途上国の外国人が対象の「技能実習制度」で来日した技能実習生のうち、今年1~6月に4279人が失踪したことも明らかにした。政府は2日、改正案を閣議決定する。
新在留資格は、最長5年の「特定技能1号」▽在留期間の更新可能な「特定技能2号」の2種。政府は人手不足が深刻な14分野で受け入れを検討している。
山下氏は受け入れ人数に「数値として上限は設けない」と述べた上で、外国人労働者と受け入れ先が締結する雇用契約などが実質的な歯止めになるとの見解も示した。立憲民主党の長妻昭代表代行への答弁。
安倍晋三首相は予算委で「移民政策をとることは考えていない。誤解を払拭(ふっしょく)したい」と重ねて強調。根本匠厚生労働相は、労働基準法などの労働法制が、労働者の国籍にかかわらず適用されると説明した。長妻氏は外国人技能実習生の失踪が過去最多ペースだと指摘し、「(受け入れを)どんどん広げていくのは無責任だ」と批判した。
・外国人労働者、初年度4万人想定(共同通信 2018年11月3日)
※来年4月から外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案に絡み、関係省庁が、来年度の1年間に新たな在留資格で受け入れる外国人を14業種で計約4万人と想定していることが2日、政府関係者への取材で分かった。同様に受け入れ続けた場合、在留者は将来的に数十万人規模となる。精査を経て、来週にも受け入れ対象業種や規模が公表される予定。政府は改正案を閣議決定、衆院に提出した。与党は8日の審議入りを目指している。
政府は会期末までに成立させた後、年内に制度の意義を盛り込んだ基本方針を閣議決定し、外国人の生活環境整備に向けた対応を急ぐ。
・官邸主導で見切り発車=新在留資格、制度生煮え-国会審議に不透明感〔深層探訪〕(時事ドットコム 2018年11月3日)
※外国人労働者の受け入れ拡大のため新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案が国会に提出された。単純労働の受け入れに道を開く歴史的な政策転換と言えるだけに与党内には慎重論もあったが、首相官邸が主導する形で押し切った。ただ、政府は受け入れ人数の見込みすら示せないなど突貫工事で仕上げた経緯は明らかで、来週にも始まる国会審議には不透明感も漂う。
◇自民あっけなく
「外国人労働者を増やすのはニーズがあるからだ。人手不足が経済成長を阻害する大きな要因になり始めている」。安倍晋三首相は2日の衆院予算委員会で、新在留資格創設の意義を強調した。
外国人労働者の受け入れ拡大は本来、自民党保守派が慎重姿勢を取り続けてきた政策。保守派の代表格と目される首相がその旗振り役を務めるようになったのは、このままでは政権の看板である経済政策「アベノミクス」が腰砕けになるとの危機感からだ。
政府関係者によると、発端は菅義偉官房長官に地元から「人材難で介護施設を開けない」との訴えが寄せられたことだった。調べてみると、他業種の人手不足も判明。長官は首相に相談し、2人で来年4月の新制度スタートの流れを固めた。準備作業が本格化したのは昨年夏ごろだ。
改正案を審査した自民党法務部会は結論ありきだった。先月22日の議論開始時点で、党は26日の了承を目指す日程を早々に公表。出席者からなぜ急ぐのかただされると、法務省は「首相と官房長官から来年4月と発言があった」と苦しい受け答えを余儀なくされた。
部会の審査終了は数日ずれ込んだものの、最終関門の総務会は政府の想定通り30日に了承。6月に閣議決定された「骨太の方針」に新在留資格が書き込まれ、レールが敷かれていたことも慎重論者の勢いをそいだ。「党はあっけなかったな」。政府高官は余裕の表情でこう語った。
◇二転三転
だが、新在留資格は「生煮え」の感を拭えない。短い準備期間がもろに影響したとみられる。
「こんなんで法案を出すな」。2日の立憲民主党の会合で法務省は、新在留資格の特定技能1号と同2号が従来の永住許可要件に挙がる「就労資格」に当たるかをめぐり、「1号は該当しない」「1号は検討中」「1、2号とも検討中」と答えを二転三転。出席者から容赦ない怒号が飛んだ。
詳細が詰まっていない論点は枚挙にいとまがない。政府は1号の対象として外食業など14業種、2号は建設業など5業種程度を検討しているが、受け入れ人数の見込みは示していない。
また、外食業なら調理人やウエーターなど具体的にどのような職種を募集するかも未確定。職種が固まらない以上、職種ごとに課される技能試験や日本語試験の内容も決まらない。
政府は全世界から労働者を募集する方針だが、どの国で試験を実施するのか、何語で試験を行うのかも未定。「本当に間に合うのか」と不安の声が与野党問わず上がるのはこのためだ。
そもそも、政府は「新在留資格は移民受け入れ政策ではないか」との根本的な疑問にも説得力のある答えを示せていない。移民制度を「一定規模の外国人と家族を期限なく受け入れることで国家を維持する政策」と位置付ける首相は2日の衆院予算委でも新制度について「移民政策ではない」と繰り返したが、自民党にも「国際的に通用しない定義だ」と批判が出ている。
立憲や国民民主党は本来、外国人受け入れに前向きな意見が強い。ただ、両党を支持する連合は新在留資格に否定的。統一地方選や参院選を来年に控え、安倍政権への対決姿勢を強めていることもあり、「見切り発車では禍根を残す」(枝野幸男立憲代表)と徹底審議を要求している。
・日米が対中国共同作戦を初策定 尖閣有事想定、新任務も(共同通信 2018年11月4日)
※日米両政府が2015年改定の日米防衛協力指針(ガイドライン)に基づき、自衛隊と米軍による初の対中国共同作戦計画の策定作業を進めていることが3日、分かった。沖縄県・尖閣諸島での有事を想定し、来年3月までの取りまとめを目指すが、計画内容に関する調整が難航する可能性もある。複数の政府関係者が明らかにした。16年3月に施行した安全保障関連法の新任務も盛り込むとみられる。軍拡を続ける中国に対抗し、一体化を加速させる日米の実態が一層鮮明になった。
日米は米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用を確認している。