・RCEP きょうから東京で交渉会合(NHK NEWS web 2018年6月25日)
※日本や中国など16か国が参加するRCEP=東アジア地域包括的経済連携の交渉会合が25日から開かれます。アメリカのトランプ政権が保護主義的な政策を打ち出す中、自由貿易の推進に向けて、どこまで交渉を進展させることができるかが焦点です。
RCEPは、日本や中国、インド、それにASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国など16か国が参加する経済連携協定で、25日から東京で事務レベルの交渉会合が始まります。
今回は、関税撤廃の割合などを定める「物品貿易」、「知的財産」や「電子商取引」など合わせて18の分野のうち、合意していない16の分野で年内の交渉の進め方などを話し合う見通しです。
RCEPでは、関税を撤廃する割合や知的財産権の保護などをめぐって、日本やオーストラリアなどが高い水準の自由化を目指しているのに対して、中国やインドは慎重な姿勢を崩さず、隔たりは埋まっていません。
29日まで行われる交渉会合に続いて、来月1日には東京で初めてとなる閣僚会合が開かれる予定です。
アメリカのトランプ政権による一連の保護主義的な政策をきっかけに、中国など世界各国との「貿易戦争」が現実味を帯びつつある中、自由貿易の推進に向けてどこまで交渉を進展させることができるかが焦点です。
RCEPとは
RCEP=東アジア地域包括的経済連携は、日本と中国、韓国、インド、それにASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国などアジア太平洋地域の16か国が参加する大型の経済連携協定です。
参加国の人口は世界の半分を占めるほか、GDP=国内総生産や貿易額では3割に上り、今後、さらに力強い経済成長も見込める地域です。
交渉は5年前の2013年から始まり、各国は年内の妥結を目指すとしています。
交渉分野は、物品の関税を撤廃する割合について話し合う「物品貿易」のほか、知的財産権を保護するルールに関する「知的財産」やインターネット上の取り引きなどのルールについて検討する「電子商取引」など18の分野にわたっています。
このうち、「中小企業」の育成や各国が「経済技術協力」を行う2つの分野は合意しています。
RCEPが注目される理由
RCEPのような「メガFTA」と呼ばれる大型の経済連携協定の中には、発効の道筋が見えてきているものもあります。
TPP=環太平洋パートナーシップ協定は、アメリカが離脱したものの、残る11か国で合意して署名にこぎつけたほか、日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定もすでに合意に達し、来月署名する予定です。
安倍総理大臣は、今月開かれたG7サミット=主要7か国首脳会議のあと記者会見で「日本は引き続き自由貿易の旗手として自由で公正なルールに基づくマーケットを世界へと広げていく、そのリーダーシップを力強く発揮していく」と述べています。
アメリカのトランプ政権の一連の保護主義的な政策によって、世界は「貿易戦争」も懸念される事態に陥っていますが、日本が主導してRCEPの合意も実現できれば、再び自由貿易体制が力を取り戻すことにつながると期待されています。
交渉では多くの課題も
注目されているRCEPですが、実際の交渉は多くの課題に直面しています。
18の交渉分野のうち、「物品貿易」では、オーストラリアやニュージーランドが関税を撤廃する品目の割合を高めるよう主張していますが、インドは、国内の産業を保護するため一定の水準にとどめたいとして、溝は埋まっていません。
一方で、どの程度域内の人の移動を認めるかについて検討している分野では、IT技術者を多く抱えているインドが、幅広い自由化を要求しているものの、雇用が奪われると懸念するASEAN各国が反発しています。
また、「知的財産」では、日本が海賊版対策の強化などを求めているのに対し、中国は態勢が整っていないなどとして慎重な姿勢を崩していません。
去年の首脳会合では、各国首脳が「閣僚と交渉官が交渉の妥結に向けて、2018年に一層努力するよう指示する」とした声明をまとめましたが、まだ多くの課題が残され、妥結は見通せていないのが実情です。
※日本や中国など16か国が参加するRCEP=東アジア地域包括的経済連携の交渉会合が25日から開かれます。アメリカのトランプ政権が保護主義的な政策を打ち出す中、自由貿易の推進に向けて、どこまで交渉を進展させることができるかが焦点です。
RCEPは、日本や中国、インド、それにASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国など16か国が参加する経済連携協定で、25日から東京で事務レベルの交渉会合が始まります。
今回は、関税撤廃の割合などを定める「物品貿易」、「知的財産」や「電子商取引」など合わせて18の分野のうち、合意していない16の分野で年内の交渉の進め方などを話し合う見通しです。
RCEPでは、関税を撤廃する割合や知的財産権の保護などをめぐって、日本やオーストラリアなどが高い水準の自由化を目指しているのに対して、中国やインドは慎重な姿勢を崩さず、隔たりは埋まっていません。
29日まで行われる交渉会合に続いて、来月1日には東京で初めてとなる閣僚会合が開かれる予定です。
アメリカのトランプ政権による一連の保護主義的な政策をきっかけに、中国など世界各国との「貿易戦争」が現実味を帯びつつある中、自由貿易の推進に向けてどこまで交渉を進展させることができるかが焦点です。
RCEPとは
RCEP=東アジア地域包括的経済連携は、日本と中国、韓国、インド、それにASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国などアジア太平洋地域の16か国が参加する大型の経済連携協定です。
参加国の人口は世界の半分を占めるほか、GDP=国内総生産や貿易額では3割に上り、今後、さらに力強い経済成長も見込める地域です。
交渉は5年前の2013年から始まり、各国は年内の妥結を目指すとしています。
交渉分野は、物品の関税を撤廃する割合について話し合う「物品貿易」のほか、知的財産権を保護するルールに関する「知的財産」やインターネット上の取り引きなどのルールについて検討する「電子商取引」など18の分野にわたっています。
このうち、「中小企業」の育成や各国が「経済技術協力」を行う2つの分野は合意しています。
RCEPが注目される理由
RCEPのような「メガFTA」と呼ばれる大型の経済連携協定の中には、発効の道筋が見えてきているものもあります。
TPP=環太平洋パートナーシップ協定は、アメリカが離脱したものの、残る11か国で合意して署名にこぎつけたほか、日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定もすでに合意に達し、来月署名する予定です。
安倍総理大臣は、今月開かれたG7サミット=主要7か国首脳会議のあと記者会見で「日本は引き続き自由貿易の旗手として自由で公正なルールに基づくマーケットを世界へと広げていく、そのリーダーシップを力強く発揮していく」と述べています。
アメリカのトランプ政権の一連の保護主義的な政策によって、世界は「貿易戦争」も懸念される事態に陥っていますが、日本が主導してRCEPの合意も実現できれば、再び自由貿易体制が力を取り戻すことにつながると期待されています。
交渉では多くの課題も
注目されているRCEPですが、実際の交渉は多くの課題に直面しています。
18の交渉分野のうち、「物品貿易」では、オーストラリアやニュージーランドが関税を撤廃する品目の割合を高めるよう主張していますが、インドは、国内の産業を保護するため一定の水準にとどめたいとして、溝は埋まっていません。
一方で、どの程度域内の人の移動を認めるかについて検討している分野では、IT技術者を多く抱えているインドが、幅広い自由化を要求しているものの、雇用が奪われると懸念するASEAN各国が反発しています。
また、「知的財産」では、日本が海賊版対策の強化などを求めているのに対し、中国は態勢が整っていないなどとして慎重な姿勢を崩していません。
去年の首脳会合では、各国首脳が「閣僚と交渉官が交渉の妥結に向けて、2018年に一層努力するよう指示する」とした声明をまとめましたが、まだ多くの課題が残され、妥結は見通せていないのが実情です。