公文書書き換え問題6 | 低脳劣等民族日本人に告ぐ 2
     

    ・籠池被告接見:野党「証言本当なら、昭恵氏喚問は必要」(毎日新聞 2018年3月23日)

     

    ※野党側「昭恵氏か籠池氏のどちらかがウソ言っている」

     

    学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、学園の籠池泰典前理事長=詐欺罪などで起訴=と野党議員が接見したことを受け、野党側は「安倍昭恵氏か籠池氏のどちらかがウソを言っていることになる」(共産党の小池晃書記局長)として、政府・与党に対して昭恵氏の証人喚問要求を一層強める構えだ。

     

    23日は立憲民主、希望、共産3党の議員が接見。籠池被告は、改ざん前の文書にあった安倍晋三首相の妻昭恵氏の発言を紹介したとされる自らの発言について「間違いない」と説明した。

     

    籠池被告の再度の証言に対し、立憲・福山哲郎幹事長は記者会見で「去年の喚問で証言した内容や、改ざん前の文書に書いてあることとほとんど変わらない」と指摘。野党は「籠池氏が事実を語っているかは分からない」(福山氏)と留保するが、少なくとも国有地売却を巡る交渉の際、籠池被告の発言を財務省が正しく文書に記録していた可能性が高い、とみている。

     

    来週は27日の佐川宣寿前国税庁長官の喚問に加え、26日には安倍首相が出席する参院予算委員会の開催も決まった。野党は接見を踏まえ、「妻に確認したところ(前に進めてくださいとは)言っていない」などと主張する首相との食い違いを追及する方針だ。

     

    さらに希望の党の玉木雄一郎代表は取材に「籠池氏が言っていることが本当なら、昭恵夫人は一連の取引に深く関わっていたことになる」と語り、昭恵氏の喚問が不可欠だとの認識を示した。

     

    野党は昭恵氏以外にも、佐川氏の前任の財務省理財局長だった迫田英典氏や、昭恵氏付の政府職員だった谷査恵子氏、今井尚哉首相秘書官らの喚問を要求している。週明け以降の国会審議で「佐川氏の喚問だけでは真相解明にはつながらない」と世論に印象づけ、政権を追い込みたい考えだ。

     
    ・安倍政権の足を引っ張る昭恵夫人の「罪深き言葉」たち(文春オンライン 2018年3月24日)
     

    ※森友学園問題が一向に収まらない。国有地売却に関する決裁文書の改ざんの真相は一向に明らかにならず、国会は空転を続けている。一連の問題にまつわる言葉を振り返ってみたい。

     

    太田充 財務省・理財局長

    「それは基本的に、総理夫人だということだと思います」

    朝日新聞デジタル 3月19日

     

    19日の参院予算委員会で、財務省の太田充理財局長は、改ざん前の決裁文書に政治家ではない安倍昭恵首相夫人の動向について記載されていた理由について、「総理夫人だということだと思います」と述べた。質問を行った共産党の小池晃氏は「まさに国会議員以上に配慮しなきゃいけない存在だから決裁文書に登場した」と指摘。昭恵夫人の森友学園への深い関与が、忖度の原因となっているというわけだ。 

     

    改ざん前の文書には、森友学園側から「安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と伝えられたと記されていた。安倍首相は「妻に確認したが、『そのようなことは申し上げていない』と話している」と否定したが、説得力はない。なにせ、昭恵夫人は森友学園が運営する幼稚園で講演し、「素晴らしい小学校ができる」「籠池園長、副園長の熱い熱い教育に対する思い、お手伝いできれば」と述べるほどの森友学園の熱烈な支持者だったのだ。改ざん前の決裁文書には、籠池泰典前理事長が2014年4月に小学校予定地で撮影されたという昭恵夫人と並んで写っている写真を提示したとも記されていた。

     

    「何かやろうとする時は利用していいよ」

     

    安倍昭恵 首相夫人

    「私には首相夫人という立場がある。何かやろうとする時は利用していいよ、と伝えています」

    『週刊文春』3月29日号

     

    昭恵夫人はかねてから自分の肩書や立場を「利用していい」と周囲に繰り返し語ってきた。実際に利用した筆頭の存在が籠池氏だ。かつて安倍首相は「名誉校長に安倍昭恵という名前があれば印籠みたいに恐れ入りましたとなるはずがない」(朝日新聞デジタル 2017年3月6日)と語ったが、籠池氏は明らかに昭恵夫人の名前を「印籠」として使って近畿財務局を屈服させた。

     

    安倍昭恵 首相夫人

    「私に注目していただいて、その活動にも注目していただける。それが私の役割なのかな」

    共同通信 2017年3月8日

     

    これは2017年3月に行われたイベントに出席した際の昭恵夫人の発言。自身の総理夫人という立場をよく理解していることがうかがえる。森友学園が設立しようとした小学校の名誉校長を引き受けたのも、世の中の目を森友学園に集めるためだったのだろう。昭恵夫人は森友学園で使用されていた教材を販売していた「鈴蘭会」でも名誉会長を務めていたが、そこでも「私の肩書を自由に使って」と話していた(朝日新聞デジタル 2017年3月9日)。

     

    安倍昭恵 首相夫人

    「後悔したり、先に起こることを心配したり、恐れたりするのではなく、日々の瞬間を大切にしたい」

    日刊スポーツ 3月18日

     

    森友学園問題が国会で紛糾し、野党からは昭恵夫人の国会招致を求める声があがっているが、当人はどこ吹く風。3月17日には愛知県の福祉関係のイベントに出席し、意味深な発言を行った。これからもどんどん言いたいことは言うし、やりたいことはやるという宣言のように見える。

     

    これには安倍政権に近い産経新聞も苛立ちを隠せない。3月21日朝刊に「拝啓 安倍昭恵さま」と題したコラムを掲載し、昭恵夫人が「政府・与党内だけでなく安倍首相を支持する層にも疑問符を広げ、政権の足を引っ張りつつある」として行動の自粛を求めた。昭恵夫人は近畿財務局の職員の自殺が明らかになった3月9日の夜、銀座で行われた知人のパーティーに出席していたことが明らかになっている。

     

    麻生太郎 副総理兼財務相

    「だいたい昭恵さんから始まったことだろ」

    『週刊文春』3月29日号

     

    責任論、辞任論が飛び交っている麻生太郎副総理兼財務相の苛立ちも募っているようだ。麻生氏は森友学園問題の影響で、アルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席を見送った。完全に“安倍夫妻のとばっちり”だ。麻生氏は以前から「だいたい昭恵さんから始まったことだろ」と漏らしていたという。

     

    また、安倍政権は今年度の予算が成立したところで麻生氏を辞任させる動きを見せているが、麻生氏自身は「なんで、安倍晋三、昭恵夫妻のせいで俺が責められ、辞めなくちゃいけないのか」と怒り心頭に発しているとのこと(AERA dot. 3月18日)。安倍首相と麻生氏の蜜月の終わりも近い。

     

    安倍晋三 首相

    「昭恵には怖くて聞けないんだよ」

    『週刊文春』3月29日号

     

    昭恵夫人に関することは首相側近といえども立ち入ることはできず、常に安倍首相を通して返事を聞くことになっているが、ある案件について返ってきた安倍首相の答えがこうだったという。

     

    籠池氏と昭恵夫人の関係について安倍首相も全ては把握していないのだろう。普通の夫婦だって配偶者の交友関係をすべて知っているわけではない。ましてや超多忙な夫と勝手気ままな妻のこと。「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言ってしまった手前、「怖くて聞けない」という気持ちは少し理解できる。首相が聞けないのなら、国会にお呼びしてみんなで聞いてみるのはどうだろう。

     

    財務省を一方的に悪者に仕立て上げる自民党議員の暴言

     

    太田充 財務省・理財局長

    「それはいくらなんでも、それはいくらなんでも、ご容赦ください」

    MBS NEWS 3月19日

     

    文書の改ざんについて、財務省を一方的な悪者に仕立て上げようという動きも進んでいる。3月19日の参院予算委員会で質問に立った自民党の和田政宗議員は、太田充理財局長が民主党政権時代に野田佳彦首相の秘書官を務めていたことを取り上げ、「増税派だからアベノミクスを潰すために、安倍政権を貶めるために意図的に変な答弁してるんじゃないですか」と投げかけた。“個人攻撃”のような質問に、それまで淡々と答弁していた太田理財局長も怒りを露わにして反論した。

     

    和田氏は「財務省は自民党にも官邸にも嘘をつき通した」「政治側にはやましいことは一つもない」とも断言している。また、「党や官邸が指示して隠蔽の扉をこじ開けなければ、財務省内部で完全に書き換えの事実は隠されていたかもしれません」とも言っていたが、改ざんの事実を暴いたのは和田氏が記事の信憑性に疑問を投げかけ続けていた朝日新聞である。和田氏の質問については、20日の衆院財務金融委員会で麻生太郎財務相が「その種のレベルの低い質問はいかがなものかと、軽蔑はします」と強い言葉で批判した(朝日新聞デジタル 3月20日)。

     

    22日には、近畿財務局でこの取引が「安倍事案」と呼ばれていたことが明らかになっている。局内では「『安倍事案』で自分たちだけでは判断できない」「官邸筋や本省から理不尽なことをやらされている」と語られていたという(しんぶん赤旗 3月22日)。はたして本当に「政治側にはやましいことは一つもない」のかどうか。23日に続き26日に行われる野党と籠池氏の接見、そして27日に行われる佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問以降の展開が注目される。

     

    自殺した近畿財務局職員の父

    「まあ、おそらく政治家の上のほうの人らは、これ(自殺)ぐらいのことは、何とも思うとらんのでしょう。ハハハ」

    『女性自身』 3月22日号

     

    自殺した近畿財務局職員の父が取材に応えた。涙をこらえながら「それ(書類の改ざん)がいちばんいやだったんでしょう。とにかく、真っ正直一本の男でしたから」と語った後、関与を否定する昭恵夫人、安倍首相に対して「ああいう人はどんな神経しとるんかなと」と疑問を投げかけ、最後は上記のように言いながら乾いた笑いを見せたという。安倍首相には「なぜ改ざんされたのか、しっかり解明する責任が私にはある」(ロイター 3月19日)という自身の言葉のとおり、責任をもって全容を「しっかり解明」してもらいたい。

     
    ・理財局が削除部分にマーカーを引いて指示」自殺した近畿財務局職員の苦悩(AERA.dot 2018年3月25日)

    ※佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を目前に控え、森友疑惑の構図の骨格がみえてきた。

    「改ざんに関ったのは、財務省理財局と近畿財務局合わせて10人くらい。近畿財務局は当初、理財局の改ざん指示に対し、『そんなことするのか』『国会答弁はそちらの問題だ』などとかなりの拒否反応を示しました。だが、理財局が『近畿財務局がこんなことを決裁書に記すからだ』と反論するなど紛糾。数日間の押し問答が続き、双方の幹部が話し合った末に改ざんを決行することになった」(近畿財務局関係者)

     

    そして財務省で話し合いがあった後、近畿財務局に具体的な指示があったという。

     

    「14の決裁文書の削除箇所は理財局側がマーカーで線を引いて指示。やり取りはメールでその分量があまりに多く、『こんなにやるのか』と近畿財務局側が拒否するなど押し問答があったそうだ。だが、最後は『組織防衛のため』と本省が力で押し切った」(同前)

     

    近畿財務局の中には籠池泰典前森友学園理事長が安倍首相や昭恵夫人と親しいということで「籠池先生」と呼ぶ幹部もいたという。

     

    「それゆえに局内では『何とかうまく進めなければ』というプレッシャーが上から下まであったのは事実。『いい土地だから前に進めて』という昭恵夫人のセリフが文書に記されているが、局内の思いでもあったようだ。何とか前に進めなければいけないと。それが裏目に出過ぎて国会で問題になった」(同前)

     

    森友文書の改ざん問題の渦中、自殺した近畿財務局職員Aさんの故郷は岡山県だ。地元の岡山4区選出の希望の党・柚木道義衆議院議員(45)はAさんの自殺問題について、国会でも度々、言及してきた。柚木議員は語る。

     

    「公文書って、官僚にとっては命同然だそうです。その命を改ざんしろと言われたから、Aさんは命を絶ってしまったとしたら本当にお気の毒だと思います」

     

    改ざん作業で財務省理財局と近畿財務局にはそれぞれ実務的な窓口になる人間がいたという。

     

    「それが自殺したAさんで、最終的に改ざんをさせられた。かなり上のレベルから指示があり、削除する作業を何度も何度もやらされた。

    近畿財務局では森友を『総理案件』と呼び、Aさんは書き換え作業で本省に連絡をとって深夜まで帰れず仕事をしていたようです」(別の近畿財務局関係者)

     

    Aさんは亡くなる前、家族に向けた数行の遺書と、パソコンで作成されたA4用紙に5~6枚のメモを残したという。

     

    「決済文書の調書が詳しすぎると、書き換えさせられた」「首謀者は佐川局長」などと書かれていたと報じられた。

     

    野党6党が国会で開いた合同ヒアリング(3月15日)で財務省と警察庁の官僚を前に、柚木議員はこう詰め寄った。

     

    「財務省近畿財務局や当局がどこかに遺族をかくまい、遺書を公表しないようにしているということはありませんか」

     

    この質問に財務省担当者は「答えられません」と言うばかりだった。

     

    財務省本省の理財局国有財産業務課の30代のB係長も1月29日、自殺していた。理財局は本誌に対し、森友学園に関係する仕事はしていなかったと説明したが、真相は不明のままだ。

     

    「理財局の同じラインではあると思います」(柚木議員)

     

    東京に雪が降った日、Bさんが亡くなった都内の寮へ行くと、近所の人がこう話した。

     

    「ここは財務省の独身寮で男性の方が住んでます。独身といっても、若い職員だけでなく、けっこう年齢のいった職員もいますね」

     

    寮から出てきた数人の職員に話しかけたが、両耳にぴったりイヤホンをして応答しなかった。箝口令が敷かれているのか。

     

    「今回の改ざん命令は究極のパワハラですよ。自殺ドミノになりかねない」(同前)

     

    一方、昨年夏から約8か月間、獄中にいる籠池前理事長は拘置所内でラジオや新聞で情報収集し、「決裁文書改ざんを知った時はびっくりした」という。

     

    3月23日に籠池被告と45分間、接見した今井雅人衆院議員(希望の党)と宮本岳志衆院議員(共産党)らはその内容を記者団にこう明かした。

     

    「『良い土地ですから前に進めてください』と昭恵さんは間違いなく言った」

    「(国有地)貸付のときから(売買)取引をするにあたって、その都度、谷(査恵子)さん(総理夫人付秘書)や昭恵さんに伝えしていた」

    「土地取引の状況も、谷さんや昭恵さんにその都度、報告していた」

     

    26日午前は自由党の森裕子参議院議、社民党の福島瑞穂参議院議らが接見予定だ。宮本議員は佐川喚問での連携をこう明かした。

     

    「今日も全員集まった会議をやっている。私達が今日聞いたことは、参院議員側に伝えて、彼女らがそれを引き継いでやる完全な連携プレーになっている」

     

    記者からの「証人喚問の隠し玉のヒントは?」との問いに「証人喚問を楽しみにして下さい」と詳しくは語らず。

     

    ただ、記者から「(籠池氏の代理人だった)酒井(康生)弁護士の関与がポイントではないか」と問われるとこう答えた。

     

    「疑惑が発覚した当時、理財局国有財産課長補佐(当時)が『籠池氏は10日間ほど雲隠れをしてほしい』と酒井弁護士を通じて依頼し、籠池さんがアパホテルに泊まっていた。その事実関係も改めて本人から伺った」(今井議員)

     

    佐川氏の証人喚問でどんな新事実が飛び出すのか。注目したい。

     

    ・森友改ざん:「総理夫妻の名は本省マター」近財OB明かす(毎日新聞 2018年3月25日)

     

    ※「本省マター」「上からの指示は絶対」--。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題で、現場となった財務省近畿財務局(大阪市中央区)のOB職員が毎日新聞の取材に応じ、財務局の体質を証言した。政治家からの問い合わせは日常的にあるが、国会に飛び火するような事案は「本省マター」と呼ばれていたという。OBは「本省の指示は絶対で断れない。改ざんの背景に、閉鎖的な組織体質があったのでは」と指摘する。

     

    財務局は、財務省の出先機関として全国9カ所にあり、近畿財務局は近畿2府4県を管轄する。職員は国家公務員だが、局長などの幹部を除いて大半は地方採用の「ノンキャリア」。異動も近畿財務局内でほぼ完結する。

     

    OBによると、国有地売却などの実務を担うのは財務局だが、法解釈が難しい事案や、国会で問題になるような事案は「本省マター」と呼ばれ、東京・霞が関の財務省にお伺いを立てるという。

     

    本省には国家公務員総合職試験(旧1種)などをパスした「キャリア」職員が数多くいる上、予算編成権をバックに「官庁の中の官庁」と呼ばれる財務省の権限は絶大。OBは「総理夫妻の名前が出てくる今回の事案は本省マターそのもの。文書改ざんも財務局が単独でやることはありえない」と話す。

     

    改ざん前の文書には、鴻池祥肇・元防災担当相ら複数の議員秘書が財務局に学園の要望を伝えたことが記載されていたが、いずれも財務局が本省の決裁を求める文書に記載が集中していた。

     

    OBは「財務局が民間との交渉でもめている時、政治家から『状況を教えて』などの問い合わせや陳情が来ることはよくある。決裁文書に詳しく書いておけば、本省からいろいろ聞かれずに済むから書いていたのではないか」と話す。

     

    改ざんを巡っては、本省が近畿財務局に指示したことが調査で判明しているが、具体的な指示系統は不明なままだ。OBは「一般的には、本省の課長や課長補佐から、財務局の局長や部長に連絡することが多い。メールで指示していたとすれば、直接的な表現は避け、森友学園の『M』などの頭文字を使っていたのではないか」と推測している。

     
    ・古賀茂明「改ざんを行う役所のしきたり 『君も悪だなあ』で上出来」(AERA.dot 2018年3月26日)
     

    ※「決裁文書を改ざんするとは驚きだ」という声をよく聞く。しかし、30年以上官僚をやっていた私から見ると、決裁文書の改ざんは、確かに稀ではあると思うが、決して驚くことではない。特に、今回の改ざんについては、官僚たちが置かれた環境とその心理から見ると、むしろ、さもありなんという印象だ。

     

    このコラムが配信される翌日には、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われるので、そこで、佐川氏が正直に真実を話せばかなりいろいろなことがわかるが、その場合であっても、それをそのまま鵜呑みにすることはできない。嘘をついていなくても、一つの事実を立場が違う人間が見ると、違って見えることはよくあるからだ。

     

    ましてや、刑事訴追の恐れを理由に、佐川氏がほとんど喋らなければ、真相解明はほとんど進まないという可能性も十分にある。

     

    そこで、今回のコラムでは、いずれの場合でも役に立ちそうな役所の文化と掟に関する情報を皆さんに提供することにしたい。

     

    ■改ざんに走らせる役所と「掟」

     

    官僚の世界には、独特の文化としきたりがある。役所特有のものもあれば、他の組織にもあるが役所において特にその傾向が強く出るというものもある。これらのうち、今回の改ざんとその原因となった国有地不当値引きに関連すると思われるものをごく一部ではあるが、いくつか紹介してみよう。

     

    まず、役所には、問題が起きた時に上に責任を押し付ける者は「無能」の烙印が押される文化がある。逆に上の責任をうまく回避させつつ自分も何とか生き延びるのが最も賢い部下である。

     

    ただし、実際には、部下が上司に責任を「それとなく」押し付けようとすることはよくある。責任のなすりつけ合いだ。現場によって、その時々で、様々な上司と部下の駆け引きがなされている。今回の改ざんでもそういうことがあったはずだ。そのため、誰に本当に責任があるのかを見極めるのは、非常に難しくなる。

     

    次に、役所では、責任逃れのための“知恵”、つまり悪知恵を働かせるのが頼もしい部下だという文化がある。部下が、上司に「君も“悪”だなあ」と言わせれば上出来だ。その意味では、上司の責任が問われるような事態が生じたときは、出世を望む官僚にとっては腕の見せ所になる。

     

    今回の文書改ざんでも、部下からいろいろな悪知恵が出された可能性がある。ただし、それらは、全てがうまく行ったときにだけ、褒められることであって、失敗に終われば、ただの「猿知恵」で終わるだけでなく、その責任を問われることになる。

     

    また、これは役所に限らないことだが、組織防衛と個人の責任に関する厳然とした掟がある。仮にある時点で、その組織の誰もが避けられない選択であると認めた行為であっても、一つ悪事を働けば、その後は、それを行った現場の人間が第一の責任者にされることだ。ひとたび「組織のために」悪事を働けば、その後は、「自分の身を守るために」悪事を重ねる「負のスパイラル」に陥ることが不可避だ。その行為は組織のためという大義名分をかざしながら、同時に自己保身目的で行われるという二重の性格を持つ。

     

    そして、組織は、都合が悪くなれば、「自己保身のために行った」という名目で、現場の人間を切りに来る。しかし、多くの場合、現場の人間はそれに気づくのが遅れる。気づいたときは、自分だけが悪者になっているのだ。

     

    さらに、役所独特の上下関係のしきたりがある。それは、キャリア(国家公務員1種試験合格者)とノンキャリア(2種と3種試験合格者)、本省採用と地方採用、年次・役職の順位という階層社会の存在だ。

     

    上に対して忠誠を尽くせば、それは必ず人事上の待遇で見返りが与えられるのは、他の組織と同じだが、役所では、特に本省のキャリアに対して命がけの忠誠を尽くすこと、いわゆる泥をかぶる覚悟を示せば、財務局採用(財務省本省で採用されるのではなく、地方支部である地方財務局独自で採用され、基本的にその財務局の中で昇進していく役人)のノンキャリ職員でも退職後の天下りを含めてかなりの厚遇を受けられる。本省採用のノンキャリア職員も同様だ。

     

    なお、地方の財務局のトップには本省からキャリア官僚が派遣されるが、特に、近畿財務局は地方財務局の中では最高ランクにあり、悪くても局長確実と言われる人が来る。近畿財務局の職員としては、下にも置かぬ扱いをしなければならないし、逆にその局長にうまく取り入ることができれば、人事上の厚遇が期待できる。

    また、上下関係と言えば、年功序列の意識が他の民間企業などよりもはるかに強いのも役所の特色だ。「1年違えば虫けら同然」という言葉がそれを物語っている。管理職と課長補佐以下では雲泥の差だ。

     

    最後に、霞が関の中で、財務省は他の役所に比べて一格上の存在だという暗黙の了解がある。他の役所同士はライバルとして競争しているが、財務官僚は、無条件でその上に立つという意識が今でも残っている。彼らから見ると、他省庁の役人は、財務省に入れなかった落伍者という意識だ。

     

    今回、財務省が国会に提出した決裁文書と異なる文書を発見した国土交通省が、財務省にそれを連絡してコピーを渡した後、財務省が元の文書がないと国会に言い続けるのを黙って見ていたのは、安倍官邸への忖度もあるが、財務省に逆らうことをためらう空気もあった可能性がある。

     

    ■勲章をもらえる行為がトカゲのしっぽ切りで終わる悲劇

     

    今回の森友のケースでは、森友学園に破格の安値で土地を売却する時点で、近畿財務局は本省の指揮下で動いていた。さらに言えば、本省の指示で「嫌々ながら」無理をした可能性も高い。

     

    また、本省の判断には、昭恵夫人の関与が大きな影響を与えていたことは、明らかだ。

     

    それを端的に物語るのが、「財務省より格下の経産省」の「ノンキャリ」の「課長補佐」級に過ぎない下っ端官僚である谷査恵子氏(当時、昭恵夫人秘書)が「格上の財務省」の「キャリア」の「管理職」である田村嘉啓氏(当時、財務省理財局国有財産審理室長)に対等に問い合わせをしていたことだ。このように省の格差、キャリア・ノンキャリアの格差、年次・役職の格差三つを乗り越えて対等に話をするということは通常ではありえない。そんなことをしようとしただけで、「お前はバカか?!」ということになる。

     

    その問い合わせに田村氏が丁寧に回答したのだとしたら、二重、三重の驚きである。この事実を見れば、非常に大きな力が背後で働いたと考えざるを得ない。官僚100人に聞けば、ほぼ100人全員がそう言うだろう。

     

    昭恵夫人が関わっているとなれば、準総理案件だから、ことの顛末は詳細に次官まで報告されていたと考えるのが自然だろう。もちろん、官邸にも総理秘書官を通じて逐一報告して了解を求めたはずだ。

     

    そう考えると、最初の安値販売は、その時点では、それはあくまで、安倍総理、あるいは昭恵夫人のためであり、しかも、それは組織としてもやむを得ない選択として事務方トップの了承ないし指示があって行われたと見るのが最も自然だ。つまり、その責任は財務事務次官や官邸にある可能性が高いと言える。

     

    しかし、これらの報告・了承・指示についての文書はないか、あっても開示される可能性は極めて低い。官僚の上層部は簡単にリークしたりしないし、極めて慎重に動くから、そもそもメモを作っていなかったり、作っても本当に破棄していたりする。したがって、この点はうやむやになる可能性が高い。

     

    問題を複雑にするのは、役所では、1年、2年で頻繁に人事異動があり、一つの案件が多くの人の手によって行われることである。例えば、佐川氏が批判の対象となるのは当然であるが、一方で、佐川氏を悪の権化のようにとらえるのは的外れだ。それは、麻生大臣や安倍総理の責任を問えということではない。事務方でも、もっと責任が重い人間がいるという意味だ。

     なぜなら、問題の核心は、森友学園に不当に割安の価格で土地を売却したことであり、この売却を決めた時、佐川氏はまだ理財局長ではなかった。決めたのは、その前任者である迫田英典氏である。佐川氏は、その後に理財局長に就任し、在任中にこの問題が発覚して、前任者の尻ぬぐいをするという気の毒な立場に置かれたのだ。

     

    この問題に最初に気づいたとき、佐川氏には二つの選択肢があった。前任者の過ちを公に認めて、自分の手を汚すことを避けるか、前任者を庇って自ら共犯者となり不正を隠ぺいするかである。佐川氏は後者を選んだ。これは、どんな組織でもありがちなことだ。自分だけいい子になって責任を逃れるのは簡単だが、それをやると、組織に対する忠誠心を疑われ、上司の評価が下がる可能性があるからだ。

     

    特に、森友のケースでは、不正を明らかにすれば、次官に睨まれるだけでは済まない。安倍総理の恨みを買い、次の人事でクビ(勇退)になると佐川氏は考えただろう。しかも、そのリスクはほぼ100%確実と言っても良い。逆らった者は徹底的に潰す。それが安倍政権の特色だからだ。

     

    一方、隠ぺいした場合、野党に追及され、マスコミの批判を受けるかもしれないが、国会では安倍1強の状況だし、メディアも親安倍と反安倍が拮抗している。安倍政権下では、国会で黒を白と言っても通るのをたびたび目にしてきた佐川氏から見れば、隠ぺいで逃げ切りという選択にかけた方が、まだ自分の出世の可能性が残ると考えたとしても、不思議ではない。現に、彼は、安倍政権を守ろうとした功績もあって、その後無事国税庁長官に昇格できた。ここまでは、佐川氏の狙った展開だった。

     

    ■佐川氏は本当に極悪人か?

     

    私の経験から言えば、佐川氏が隠ぺい路線を採ることを決めた時、前任の迫田氏に事実関係の確認と今後の方針についての相談を行った可能性が極めて高い。迫田氏はもちろん隠ぺい路線に賛成しただろうし、彼がそれを勧めた可能性も十分にある。

     

    また、佐川氏は、官房長や次官にも当然相談していると思う。なぜなら、安値販売について、佐川氏は全く責任がないので、次官などに相談するのにためらう必要はないからだ。さらに、次官に相談しておけば、いざというときに庇ってもらうことができるという計算もしたはずだ。

     

    その際、上に責任を押し付ける態度を取れば「無能」の烙印が押される文化があるということは前に述べたとおりだ。局長くらいの幹部クラスが次官に相談する時は、「次官、どうしましょうか」という白紙の相談はしない。それでは、責任を次官に丸々押し付けることになる。次官がのみやすい対応策を自分の側から提案するのが常識だ。おそらく、「すでに不当な安値販売をしてしまったので、それを認めれば財務省の責任を問われます。安倍総理夫妻のことを考えれば、どう考えても隠ぺいするしかありません」という提案を佐川氏側からしたと考えるのが自然だ。そして、「これは、私限りの判断で行います」と言えば最高の模範解答になる。次官は、「知らなかった」ことにできるからだ。

     

    ただし、それは表向きの話で、裏では、次官は極力佐川氏を守る義理があるということになる。やくざの世界と同じ構造だ。

     

    次官が仮にこれを知ったとして、この時麻生財務相に話をしたかどうかだが、これは微妙だ。次官と麻生氏との個人的関係や、次官から見たその時点における安倍・麻生の距離感などによって、どちらの可能性もあるとは思う。

     

    ただし、安値販売の顛末の詳細はともかく、文書の中に国会議員や昭恵夫人の名前が入っていて、これが削除されたということは、次官が大臣に報告した可能性は高い。後に政局にもなりかねない問題だから、これを自民党第2派閥を率いる麻生大臣に報告しておかないと、後でわかった時に、「役所の問題だと考えました」という言い訳が通用しないからだ。

     

    こうして佐川理財局長が隠ぺいの方針を固め、確信犯として「知らぬ存ぜぬ」路線を貫くことになると、困るのは現場の近畿財務局である。国会における自分たちのトップの言動と自分たちが記録した内容が異なり、板挟み状態に陥る。ただし、本省の指示で行ったとはいえ、近畿財務局自身が安値販売に手を染めた実行犯だという負い目もあるから、改ざんに強く反対できない。悪いとはわかっているが、もはや後戻りできないということでやってしまったのだろう。

     

    財務省は、今、「全て佐川が悪い」という新たな路線での意思統一を図り、それで何とか切り抜ける作戦だ。しかし、省内や近畿財務局の関係者には、安値販売に手を染めた者、そこにはかんでいないが改ざんに携わった者、何の責任もない者など様々な立場の役人がいる。こういうときは、亀裂が生じてリークが出やすい。

     

    おそらく、本省幹部は、夏の人事に向けたアメとムチの作戦で何とか組織に対する忠誠心を維持できると読んでいるだろうが、果たしてそれが功を奏するのかどうか。

     

    失敗すれば、財務省崩壊につながる大惨事になる。

     

    国民から見れば、財務省崩壊で真相解明につながるのであれば、望むところなのだが…。

     
    ・財務省が森友学園側に口裏合わせ求めた疑い 国有地売却問題で(N
     
    森友学園に国有地がごみの撤去費用などとして8億円余り値引きされて売却された問題で、去年2月、財務省が学園側に口裏合わせを求めていた疑いが出てきました。当時、国会で財務省は野党側から「実際に大量のごみの撤去を確認したのか」などと追及されていましたが、そのさなか財務省の職員が学園側に対し「トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしい」などと、うその説明をするよう求めていたことが関係者への取材でわかりました。大阪地検特捜部はこうしたやり取りを把握していて詳しい経緯を捜査しています。
    森友学園への国有地売却をめぐる問題は去年2月8日に発覚しました。

    大阪・豊中市の国有地について財務省近畿財務局がおととし6月、鑑定価格の9億5600万円からごみの撤去費用などとしておよそ8億2000万円を値引きし、1億3400万円で学園側に売却していたことが明らかになりました。

    国有地の地中に埋まったごみの撤去費用は通常、不動産鑑定士など民間の専門業者が見積もりを行いますが、財務省は小学校の開校時期が迫っていたなどとして国土交通省大阪航空局に見積もりを依頼する異例の対応を取りました。

    大阪航空局は調査の結果として、くいを打つ場所は深さ9.9メートル、校舎などを建設する場所は深さ3.8メートルまでごみがあると推計しごみの撤去費用を8億2000万円と算定しました。

    しかし、国会では値引き額の算定の根拠があいまいで不当な値引きではないかなどという質問が相次ぎました。

    去年2月17日の衆議院予算委員会では、野党側が「8億円分のごみを撤去すると1万2200立方メートルの残土を搬出することになり、それをやるとダンプカー4000台分ぐらいになる。4000台のダンプカーが行き交うことになるが、財務省は実際に工事をやったかどうか確認したのか」などと質問しました。

    また、財務省の職員が学園側に電話したとされる去年2月20日の衆議院予算委員会では、野党側が「8億円分の廃棄物を撤去する土の量を計算すると、およそ2万7000立方メートルになる。これを搬出するとなると10トントラック3460台分が必要になる。こういう作業が実際にやられているかどうか財務省は確認したのか」と質問しました。

    これに対し佐川前理財局長は「学校を建設するにあたって必要な廃棄物の撤去を適切に行ったというのは近畿財務局で確認している」とか、「地下の埋設物については土地を売却したあとに学園側が適切に撤去したというふうに聞いているが、売却後なので具体的な撤去の状況は把握していない」などと答弁していました。

    森友学園をめぐってはその後、決裁文書の改ざんが明らかになりましたが、その時期について財務省は、学園側への電話と同じ時期の去年2月下旬から始まったと説明しています。

    値引き額の算定方法について会計検査院は去年11月、「十分な根拠を確認できず資料が保存されていないため十分な検証が行えない」などとする検査結果を国会に提出していました。

     

    ・国会で異様な慌てぶり 太田理財局長が隠した秘密会議同席(日刊ゲンダイ 20

     

    ※異常なまでの“逃げの答弁”だった。財務省の森友文書改ざんについて、国会で批判の矢面に立つ太田充理財局長が、問題のカギとなる“秘密会議”に出席していたことが発覚した。

    会議が開かれたのは、朝日新聞が最初に森友問題を報じてから約2週間後の昨年2月22日。当時の佐川宣寿理財局長が菅官房長官と面会し、財務省側が報道後初めて森友問題の詳細を説明した場だった。

    4日のNHK報道によると、会議の2日前には、国有地値引きの根拠である地中ゴミの撤去工事を巡り、理財局職員が森友側に口裏合わせのウソをつくよう求めていた疑いも浮上。昨年2月下旬に財務省が改ざんに手を染め出す頃に開かれた会議で一体、何が話し合われたのか。

    ■文書改ざんの“主犯”のような動揺

    今月3日の衆院財務金融委員会で答弁に立った太田局長の慌てた様子は、よほど重要なやりとりがあったことをうかがわせる。

     

    立憲民主の川内博史議員に「誰が同席したのか」と問われると、太田局長は妙に焦った様子で「最終的な責任を持って説明したのは理財局長」「出席者を細かく答える必要はない」と繰り返すばかりで、逃げの一手。食い下がる川内氏に、ようやく「事実関係を確認させて欲しい」と答え、審議は一度打ち切りに。再開後、確認を済ませた太田局長は、ため息交じりに「同席者は総務課長と総括審議官」と明かしたのだった。

    まるで他人事のように同席者の役職名だけを打ち明けたが、よくよく調べてみると、当時の総括審議官は太田局長自身だ。15年7月から2年間、職務に就いている。

    「総括審議官は、財務省大臣官房で官房長に次ぐ『ナンバー2』。省内のあらゆる案件を把握すべき立場です。佐川氏が証人喚問で、前任者から森友案件について引き継がれていなかった旨を証言しましたから、太田氏の方が事情に精通しているはずです。昭恵夫人の名前があった改ざん前の文書の存在を知っていた可能性もあり得ます」(野党関係者)

    太田局長は必死になって“秘密会議”への同席を隠していたわけだ。ひょっとして、改ざんの“主犯”は太田局長か。

     

    ・財務省の口裏合わせ依頼 籠池被告の発言も(日テレNEWS24 2018年4月11日)

     

    ※森友学園への国有地売却をめぐり、財務省が学園側にウソの口裏合わせを依頼していた問題で、新たに籠池泰典被告の発言内容も訂正するよう求めていたことが分かった。

    これまで財務省は、8億円の値引きの根拠となる廃棄物の撤去費用について、去年2月20日に森友学園側にウソの口裏合わせを依頼したことを認めている。

    その後の関係者への取材で、前理事長の籠池被告が、「撤去費用は1億円くらい」と説明したという新聞報道についても、財務省理財局の職員が学園側に訂正を求めるよう要請していたことが新たに分かった。

    このほかにも近畿財務局の職員が、学園側に撤去費用は分からないという書面にサインするよう求めたことも分かっていて、大阪地検特捜部は、財務省側がたびたび口裏合わせを行った経緯を調べている。