・自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC ネトサポ)のネット世論誘導

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/24172abb0f4503a72a3238afe593806d


※日本のネット上には、自民党の工作員がいて、次のような構造になっています。

1. 最上位 自民党のネット戦略委員会や「トゥルースチーム(T2)」と電通、NTTなどの司令塔

2. 上位 「自民党ネットサポーターズクラブ」

3. 下位 洗脳・扇動されたネトウヨ

この1の部分について報道したのが

NHKニュースウォッチ9 2013年5月28日放送の

「ネット選挙運動解禁 自民党は・・・常時監視、反論、削除、自民党のネット工作」

でした。

常時監視、反論、削除、自民党のネット工作

このようなネット監視活動は、選挙期間中はもちろん、それ以外の時期も常時行われています。

自民党は2013年6月19日、参議院議員選挙でネットを活用した選挙活動を推進する特別チーム「Truth Team(T2)」を発足させました。

その主な業務は、自民党と立候補予定者対するネットでの書き込みを分析、監視し、

「ネット上に誤解に基づく情報があるならば、正確な情報を発信し修正する。」

こと。

チームのトップにはIT政策を担当する平井卓也衆議院議員が就任しています。チームは自民党のネットメディア局の議員約20人のほか、選挙スタッフやITベンダーのスタッフらで構成され、顧問弁護士2人も参加し、誹謗中傷の書き込みを発見した場合は、速やかに法的手段を取ったり削除要請をします。

立候補者らがアカウントを持つFacebookやTwitter、ブログのほか、2ちゃんねるなど一般の掲示板も分析、監視の対象にしています。

自民党本部ビルにはチーム専用の部屋を設けて、分析結果をビジュアル化する大型ディスプレイや、選挙区に散っている候補者やスタッフらと議論するためのビデオ会議の設備などを導入しました。

チームには技術支援でITベンダー6社が参画しています。

この6社とは、

1 タブレット端末やOSなどIT基盤を提供するご存知日本マイクロソフト、

2 分析システムなどを動かすクラウドを提供する同じく米国企業セールスフォース・ドットコム、

3 ツイッター、2ちゃんねる、ブログなどの口コミ分析に強いビッグデータ分析のホットリンク、

4 同じくビッグデータ分析のNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション、

5 口コミ監視のガイアックス、

6 口コミ分析やネットでのPR戦略などに強い日本経済新聞系のパースペクティブ・メディアです。

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションのソーシャルリスニング(情報収集・分析)。

ガイアックスが自民党に納入したソーシャルメディア投稿監視サービス。

こういう自民党のネット戦略を支えるのが自民党ネットサポーターズクラブ(通称 ネトサポ)です。

世耕弘成という自民党議員(内閣官房副長官)がいるのですが、彼は「日本のゲッペルス」と言われています(ゲッペルスは「プロパガンダの天才」と呼ばれたナチスドイツの国民啓蒙・宣伝大臣)。

この世耕議員が2005年に作ったチーム世耕が発展したのが今の自民党ネットサポーターズクラブで、2015年現在1万5000人以上の会員数を誇ります。

自民党ネットサポーターズクラブの代表は上でご紹介したTruth Team(T2)を作った平井卓也議員。自民党IT戦略特命委員長でもあります。

この人が、安倍首相にフェイスブックを勧めた張本人。

もともと、「ネットの匿名掲示板から出てきたような総理大臣」と言われる安倍首相にピタリとはまりました。

なお、自民党ネットサポーターズクラブの会員はボランティアとされていますが、中には、報酬をもらってネット工作をしている人もいます。

その主な活動は、ネット工作。すなわち、ネット上で安倍政権、自民党に有利は世論操作をすること。不利な報道やネット世論を叩くことです。

洗脳されたり、扇動されたりしている人は、自分では自分の頭で考えていると思っているから始末が悪いのです。書いていることは誰かが考えて流してくれたものの受け売りなので、定型的で、ワンパターンなのですが、本人が受け売りだと気づきません。

本当は、自民党がNTTなどの情報分析を使って、電通などと戦略を練って、自民党ネトサポに指令を出したり示唆をしたりして世論を操作しているのに乗せられているだけなのですが。

ネトウヨのほとんどの人は、お金ももらわず、「善意」で乗せられている可哀想な人たち。

早く目が覚めてくれるといいのですが。


・自民党がネット選挙の専任チームを発足、口コミ動向は候補者に毎日レポート(日経コンピュータ 2013年6月19日)

※自由民主党は2013年6月19日、参議院議員選挙でネットを活用した選挙活動を推進する特別チーム「Truth Team(T2)」を発足させた。主な業務は、自民党と立候補予定者79人に対するネットでの書き込みを分析、監視すること。書き込みの分析結果は毎日、立候補者に伝えて、機動的な選挙活動やネットでの情報発信に役立ててもらう狙いだ。Truth Teamという名前はバラク・オバマ米大統領が大統領選で立ち上げた「Obama Truth Team」にちなむという。

チームのトップにはIT政策を担当する平井卓也衆議院議員が就任した。チームは自民党のネットメディア局の議員約20人のほか、選挙スタッフやITベンダーのスタッフらで構成する。顧問弁護士2人も参加し、誹謗中傷の書き込みを発見した場合は、速やかに法的手段を取ったり削除要請をしたりするかを協議し、決断できるようにする。立候補者らがアカウントを持つFacebookやTwitter、ブログのほか、2ちゃんねるなど一般の掲示板も分析、監視の対象にする。

選挙のコミュニケーション戦略を担当する小池百合子広報本部長(衆議院議員)はチーム立ち上げの理由を「誹謗中傷への対応だけでなく、(ソーシャルメディアを)インタラクティブに活用していくため」と解説。チームを指揮する平井卓也議員は「自民党は野党に転落した2009年から(口コミ動向を把握する)ソーシャルリスニングに取り組んできた。口コミが一気に増える今回の参議院選挙は、大量のデータを収集する絶好の機会だ。選挙後も分析を継続し、選挙活動のほか政策立案にも生かしていきたい」と意気込みを語った(写真)。

平井議員によると、ソーシャルメディアの活用方法は各候補者の自主性に任せ、チームは分析結果の配信や誹謗中傷の早期発見などに徹するという。また「口コミ分析に基づいた当落予測や対策はやらない」としており、基本的には各候補者の活動を後押しする役割を担うことになる。

党本部ビルにはチーム専用の部屋を設けて、分析結果をビジュアル化する大型ディスプレイや、選挙区に散っている候補者やスタッフらと議論するためのビデオ会議の設備などを導入した。立候補者全員にタブレット端末を配り、毎日配信するレポートを同端末で見ながら、情報発信などに役立ててもらう。

チームには技術支援でITベンダー6社が参画した。タブレット端末やOSなどIT基盤を提供する日本マイクロソフト、分析システムなどを動かすクラウドを提供するセールスフォース・ドットコム、口コミ分析に強いホットリンクやNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション、口コミ監視のガイアックス(関連記事)、口コミ分析やネットでのPR戦略などに強いパースペクティブ・メディアである。

・ソーシャルメディアの投稿監視サービス、ガイアックスが自民党に納入(It pro 2013年6月19日)

※ガイアックスは2013年6月19日、ソーシャルメディア投稿監視サービスを自民党に納入したと発表した。参議院候補者の公式アカウントについて、第三者のコメントによる誹謗中傷やデマ、荒らし行為などを監視する。

Facebookについてはガイアックスが管理の委託も受け、必要に応じてコメントを消すなどの対応をする。Twitterはメンションを監視して、誹謗中傷やデマなどへの即時対応が必要な場合に自民党に連絡する。

ガイアックスは独自開発したソーシャルメディアの投稿監視ツールなどを持っている。今回のサービスでは、Focebookの個人ページへのコメント投稿をモニタリングするアプリケーションを新たに開発した。このアプリケーションを利用しつつ、有人監視と組み合わせてリスクを判定していく。

同社は自民党のソーシャルメディアのリスク対応チームにも参加。自社サービスとしてはレピュテーション(評判)分析などは実施しないが、ソーシャルメディア全般のリスク対応などをアドバイスしているという。

・ヘイトを利用する自民党のネット戦略(上)

他党の選挙妨害も!自民党の公認ネットサポーターの正体はネトウヨだった!?(LITERA 2015年1月10日)

「J-NSC 自民党ネットサポーターズクラブ公式サイト」より

※総選挙から1カ月。すっかり国民の信任を得た気になって自信満々の安倍首相と、盛り上がらない民主党の代表選挙を見ていると、このままずっと安倍政権が続きそうな気がして、頭がくらくらしてくる。

いや、冗談ではなく、このままでは民主党はいくら代表のクビをすげかえても自民党に勝てないかもしれない。それは自民党に”奴ら”がついているからだ。

先の総選挙。東京・JR池袋駅前で、民主党候補者の応援演説に駆けつけた枝野幸男幹事長に対して、こんな大声が投げつけられていた。

「マンセー! マンセー!」
「わしらに参政権よこさんかーい!」
「韓国の味方、民主党頑張れー!」
「わしら民団のために枝野センセイお願いしまーす!」
「蓮舫によろしくー!」

彼らの手には太極旗や北朝鮮の国旗。胸に「民団」と書かれたプラカードをぶら下げている者もいる。だが、明らかに様子がおかしい。民主党を応援しているようで、絶叫の合間には「日本を破壊しろ〜」「わしらと一緒に地獄に落ちよう」なる声も聞こえるのである。

そう、これは韓国・朝鮮人になりすまして、民主党の演説を妨害するネガティブキャンペーンだったのだ。ヘイトデモへのカウンターなど反レイシスト活動を行う、C.R.A.C.野間易通氏はこう話す。

「私も確認しましたが、彼らのなかに、在特会系デモの常連メンバーがいることは間違いありません。在特会の創始者・桜井誠自身も、12年の衆院選で同じように太極旗を振りながら民主党の演説に押し掛けていた写真がネットに出回っています。目的は、民主党が韓国や北朝鮮、在日コリアンの人たちから強烈に支持されていると、通行人に誤認させるためでしょう。つまり、彼らの考える“民主党=『反日国家』の支持政党”であるという印象づけ、ネガティブキャンペーンの一種です」

信じがたいような卑劣なやり口だが、こうしたなりすまし選挙妨害チームは枝野幹事長の演説だけでなく、さまざまな民主党候補の街頭演説に出没。結果的に民主党はネット上で演説スケジュールを事前公開することを一部中止せざるをえない状況に追い込まれた。たしかにこれでは、まともな選挙運動などできるはずもないだろう。

しかも、露骨なネガティブキャンペーンを張っていたのは彼ら「行動する保守」だけではなかった。自民党にもまた、ネット上のネガティブキャンペーンを仕掛ける部隊が存在していたのだ。

それは自民党の「公認」組織であるJ-NSCだ。J-NSCとは、自民党が2009年頃からネット上の支持者に呼びかけて設立したボランティア組織「自民党ネットサポーターズクラブ」、通称ネトサポ。自民党公式サイトによれば、会員資格は「日本国籍を有する18歳以上の方(自民党籍の有無は問いません) 本会の目的に同意し、規約、プライバシーポリシーに同意できる方」とされている。会員数は1万7000人以上で、自民党は彼らの活動を「公認」しているという関係だ。

J-NSCの活動内容は、ビラなどのポスティングや「インターネット等を活用した各種広報活動・情報収集活動・会員相互の交流活動」。自民党の政策や方針などをネットに日々書き込むこととされている。

いわば、ネットで自民党に有利な書き込みを行うステマ部隊なのだが、彼らの活動はたんに自民党を称賛するだけでない。ネット上で対立候補や他党に対するネガティブキャンペーンを張る中心的存在となっているという。

「週刊現代」(講談社)14年11月22日号には、自民党関係者によるこんな談話が掲載されている。

「J-NSCの会員専用サイト内にある掲示板に、例えば『△△党の××候補が、こんなことを言っている』と書き込むんです。すると、『有志』の会員が勝手にその候補者に対してネット上で匿名の批判を浴びせたり、ネガティブキャンペーンを展開してくれるというわけです」(「週刊現代」)

つまり、自民党自体が彼らを使って、他党への批判・悪口を誘導しているというのだ。

選挙期間中も、ネトサポの“活動”は日夜行われていた。実際、12月13日のTBS『報道特集』では、「地方から見た衆院選」と題して、アベノミクスの是非などが放送されたのだが、ツイッターでは、これに反応した複数のJ-NSC会員を公言するアカウントが、以下のようなツイートをしていたのである。

〈調査したら自民党が大勝しそうだったから、数少ない例外の選挙区を取材して長々と投票前日に放送するってのも、すがすがしいくらい露骨だよなwww悔しいんだろうなあwww〉
〈これだけ『大義』に溢れる選挙はないけどね。政策論争報道より反対のための反対に徹した @tbsらメディアの偽善か…。〉

しかもこのJ-NSC会員はかなりの部分で、いわゆるヘイト勢力やネトウヨともかぶっているようだ。たとえば、J-NSCのツイッターアカウントをチェックしてみたところ、アイコンに日章旗や旭日旗を飾っている者が少なくない。プロフィール欄にも、「反日」や「嫌韓嫌中」など、ネトウヨの決まり文句が並んでいる。具体的には以下のような感じだ。

〈左翼撲滅。憲法第9条廃止。自衛隊を国軍へ。原潜と核抑止力保有。交戦権明記。自主憲法制定。日教組解体。外国人参政権(帰化人親子4代参政権)反対。夫婦別姓反対。共同親権と面接交渉の法制化。国家と君が代への忠誠。愛国心教育。打倒中国韓国北朝鮮&左翼労組&民主党。北朝鮮は拉致被害者を返せ!通名禁止。在日特権廃止。J-NSC会員〉
〈嫌中韓。安倍政権絶対支持! *パチンコ廃止を求める会会員/J-NSC会員/在特会支持 ジンケン派や放射脳・サベツ主義者は嫌い。国の安全・平和は強力な軍事力がバックボーンにあってこそ。自衛隊を国軍に、憲法九条は改正必要!〉

他にも「日韓断交希望!嫌韓嫌中」「今、日本は売国奴の手によって切り売りされようとしています」「保守支持!日本大好き、韓流嫌い!」「特亜、マスゴミ、放射脳、地球市民、反日似非日本人は大嫌い」「ネトウヨ上等! 国士上等!!」といった自己紹介をしているJ-NSC会員がやたら多く、しかも「在特会支持」や「在日特権廃止」を堂々と公言するなど、ヘイト勢力との親和性も非常に高い。

こうしたネトサポは、ツイート内容に関しても、反吐がでそうな文言を書き散らしている。民主党や社民党、共産党の候補者を「キチガイ」「反日売国」と呼んで落選運動をするのは序の口。もっともよく見られるパターンは、ニュース記事のURLを貼りつつ、韓国や在日コリアンの人びとにヘイトの言葉を連ねるというものだ。引用するのもためらわれるが、こんな調子である。

〈金があろうが無かろうがチョンは全員狂ってるだろうがw〉
〈全国民が精神病のキチガイ民族に言われてもねえw #在日 #韓国〉

この状況のなか、一昨年、自民党の河野太郎衆議院議員は、ツイッターで、一般ユーザーから〈Twitterなどで人種・民族差別を煽り政治家などへの誹謗中傷を繰り返す人々のプロフィールを見ると自民党ネットサポーターズクラブ会員を名乗るケースが目立ちます。自民党として人種・民族差別、排外主義を許さない姿勢を示してください〉という指摘を受け、〈広報本部が断固たる対応をとっていきます〉とツイートした。

つまり、ネトサポたちが「人種・民族差別を煽り政治家などへの誹謗中傷を繰り返」している事実を認めているわけだが、この河野氏の呼びかけにも関わらず、現在でもネトサポの一部が民族差別的なツイートをしているのは上述のとおりである。

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は『安倍政権のネット戦略』(創出版)のなかで、こうした嫌韓的ネットユーザーの暴言が積み重なり、「自民党=愛国政党で日本を良い方向に導く政党」「民主党=売国政党で日本を中韓に売り渡し、崩壊させようとする闇の勢力」という「共通概念」が生まれたとしている。その上で、自民党は、ネトウヨがネガキャンをやり続けてくれるがゆえに、「彼らを自らの利益のために放置してきた」と記す。つまり、自民党はネトウヨと“共犯関係”にあるというのである。

ネトサポの“活動の場”はツイッターだけではない。その出自がネット右翼であるとするならば、より匿名性の高い2ちゃんねるでも誹謗中傷を行っていることは自明だろう。さらに、「宝島」(宝島社)13年10月号によれば、彼らが“活躍”する最たる場所は、動画共有サイト「ニコニコ動画」(以下、ニコ動)であるという。

ニコ動といえば、在特会らのヘイトデモの模様や、グロテスクな嫌韓・嫌中キャンペーン動画が多数投稿される“2ちゃんねるの動画版”。近年では政治関連のイベントも多く、党首討論会も生放送で行われており、保守的ネットユーザーやネトウヨらの罵詈雑言が飛び交う場所としても周知の通りだ。

2010年頃には、保守タカ派系の衛星放送専門番組だった「日本文化チャンネル桜」の公式チャンネルが開設。時間帯視聴数ランキングの上位が嫌韓的ないしは右翼的な動画で埋まることもままあった。なお、昨年12月には、有料チャンネルで「在特会公式チャンネル」をスタートし、在特会による放送やブログを配信している。つまり、差別的言論さえも事実上黙認しているような動画サイトなのである。

そして、このニコ動での工作活動には、もうひとつ、自民党による“メディア掌握戦略”という背景がある。

・ヘイトを利用する自民党のネット戦略(下)

ネトウヨの温床「ニコ動」と自民党の関係 麻生太郎の親族も取締役に(LITERA 2015年1月11日)

※前回、J-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ、通称ネトサポ)を利用した、自民党による他党へのバッシング工作疑惑について紹介した。加えて、ネトサポのなかには少なからぬ数のネトウヨが存在しており、ツイッターなどでヘイトスピーチをまき散らしていることについても言及した。そこで今回はあらためて、自民党がいかにしてネット右翼をとりこんできたかについて詳述したい。

現在のネットと自民党の“蜜月関係”は、2000年代後半の “ローゼン麻生閣下”人気をぬきには語れないだろう。

麻生太郎がオタク界隈で人気を博すきっかけになったのは、安倍晋三、谷垣禎一と争った06年の総裁戦でのこと。「AERA」(朝日新聞出版)08年9月29日号によれば、弱小派閥だった麻生派の井上信治議員が麻生に「ぜひお得意のマンガの話をしてください」と進言したという。06年総裁選の初演説で、麻生は秋葉原駅前を強く希望した。そして演説の際、こう切り出した。

「自称オタクのみなさん、『キャプテン翼』、知ってる?」

この“庶民派サブカル路線”が大いに受け、その後ネット界隈で話題になったのは周知の事実。2ちゃんねるでは、「麻生が空港で『ローゼンメイデン』を読んでいた」という情報が出回った。強面の麻生と少女マンガ的絵柄のミスマッチが生み出す諧謔味は瞬く間に広まり、07年には『現代用語の基礎知識』(自由国民社)に「ローゼン麻生」の項目まで登場した。このネット・ムーブメントが自民党にあらたな“草狩り場”の存在を示唆したと推測される。事実08年、自民党はニコニコ動画(以下、ニコ動)内に「麻生自民党チャンネル」を設立している。

「宝島」(宝島社)13年10月号の記事にはこうある。麻生自民党が惨敗し、政権交代となった09年衆院選の前、ニコ動ユーザー85万人を対象とした世論調査では、自公で337議席の予想が出ていた。つまり“ニコ動世論”では麻生自民の圧勝だったわけである。これはネット世論と世間とが乖離している証明としてよく語られる逸話だが、裏を返せば、少なくともニコ動は自民党の独壇場であると言うことができる。

ここで注目すべきなのが、麻生一族とニコ動との関係だ。麻生の長男はニコ動の会社であるドワンゴの会長・川上量生氏の遊び仲間で、ニコ動立ち上げプロジェクトの初期に携わっていた。そして、現在もニコ動の親会社であるKADOKAWA・DWANGOの社外取締役には、麻生の甥が名を連ねているのである。

これを最初に報じた「FLASH」(光文社)08年12年16日号の取材に対して、麻生甥は「役員の立場において偏ったコンテンツ内容を指示、依頼したこともありません」と答えている。だが、今や巨大メディアとなったニコ動に、財界・政界の雄である麻生一族が関わっているという事実は“それ以上でもそれ以下でもない”と果たして断言できるだろうか?

ニコ動はその性質上、意見が偏りやすいメディアだ。ご存知のとおり、このサイトにはリアルタイムコメント機能というものがあり、ときに画面は罵詈雑言で溢れんばかりになる。そして、この“コメントの嵐”が作り出す空気を拒絶するユーザーは、その動画にあえて肯定的なコメントを残すことなくスクリーンを閉じる。ゆえに、実際にはコメントをしている人数は少数でも、あるコンテンツが多数の否定的なコメントで埋め尽くされれば、その動画に触れる一般の視聴者にも、露骨にネガティブなイメージをあたえるのである。

そして、前回説明したとおり、このコメント投稿を担っているのが自民党のネット別動部隊・J-NSCなのだ。実際、ネトサポによる“暴言工作”を自民党議員自らが先導していたことも判明している。東京新聞が報じたところによると、13年6月28日にニコ動で中継された党首討論で、当時社民党党首だった福島瑞穂が発言した際に「黙れ、ばばあ!」とスマートフォンで書き込んだ議員がいたという。

その人物とは平井卓也衆議院議員。自民党ネットメディア局長であり、他ならぬJ-NSCの代表である。平井議員は日本維新の会(当時)共同代表・橋下徹の討論会欠席が伝えられたときにも「橋下、逃亡か?」と書き込み、安倍首相の発言に際しては「あべぴょん、がんばれ」とコメントを残したとされている。

J-NSC代表がじきじきにこのようなカキコミをしているのだから、ネトサポの真の目的が何かは想像するまでもない。

もっとも、ネトサポがいくら暴言やヘイトスピーチを垂れ流そうが、自民党はあくまで「一部のボランティアが暴走しているだけで、党は抑止を勧告している」というポーズを崩さないだろう。だが、ネトサポの活動は、ニコ動での国会中継や政治系の動画でも発揮され、印象操作に一役買っている。ゆえにニコ動での自民党人気は極端なものとなっているというのが通説だ。安倍首相がニコ動内で党首討論会を望むのには理由があったのである。今や在特会の公式チャンネルまでもスタートさせたニコ動は、“安倍ちゃん人気”を継続させようとする意図から、ヘイトスピーチを野放しにしていると受け取られてもしかたがないだろう。

また、同じく13年参院選の直前には、自民党はネット上の有権者の声などを分析するチームを設立し、国内IT企業と契約して、誹謗中傷やデマ、あらし行為などを監視する「ソーシャルメディア投稿監視サービス」を導入している。これは、ツイッターやブログのカキコミを常に監視下に置き、不都合ならば削除を要請しているということを意味する。すなわち、ネット世論工作と平行して、ネット言論の監視・統制まで行われているのである。


整理するとこうなる。自民党は“ローゼン閣下”の人気をみて、ネット民に目をつけた。そして、ネット右翼の嫌韓・反マスメディア感情を現実の政治へと注ぎ込む漏斗として、麻生一族が関わるニコニコ動画を活用した。さらに、他党へのネガティブキャンペーンを行う別動部隊としてJ-NSCを組織化し、ネトウヨを動員した。

前回の冒頭で民主党の選挙運動を妨害する“マンセー隊”について紹介したが、その正体は在特会関係のデモに参加する者たちであり、彼らの一部は、ネット上で醸成されてきた嫌韓言論やヘイトデマによって成長し、路上に進出してきたネット民である。これと自民党によるネット世論工作はひとつの線で結ばれているように見える。ネットの排外主義・人種差別を制するどころか、政治に利用した結果、自民党は“ヘイトの増幅器”と化してしまったと言っていいだろう。

そして、ネトウヨによる他党攻撃に、与党自民党が間接的に加担しているということは、日本の政治が地に落ちてしまったことを意味している。つまり実際には、この国の与党は“ネトウヨなしではまわらない”のである。

現在、安倍政権はヘイトスピーチに対して表向きは「日本人の誇りを傷つける。しっかり対処しなければならない」「極めて残念で、あってはならない」などといった見解を示している。だが、これは明らかに建前にすぎない。「河野談話や村山談話を継承する」としている従軍慰安婦問題や侵略戦争問題でもそうだが、安倍首相は表向き、国際社会に配慮した発言をしつつ、実際にはまったく逆のことをやっている。穏健リベラル派の議員を冷遇し、歴史修正主義的発言を連発する極右・ヘイト系の議員を重用。さらに、ヘイトまがいの若手候補者を次々に公認する……。

おそらく、こういうダブルスタンダードを使い分けながら、じわりじわりと、国のかたちを変えていこうというのが安倍首相のもくろみなのだろう。その最終形は憲法改正、国防軍創設、そして国民の人権を制限する国家主義の構築。そのためには、ネトウヨを使って近隣諸国への憎悪を煽ることは不可欠な手段なのである。

(梶田陽介)

・ネット人気も当然? 小池百合子は“自民党ネトサポ”の親玉だった! 都知事選では自民党から会員を奪取か(LITERA 2016年7月27日)

※投開票日が間近に迫る東京都知事選挙。各候補とも街頭演説や挨拶回りだけでなく、FacebookやツイッターなどSNSを活用した空中戦を繰り広げているが、なかでもこのネット利用に熱心なのが、優勢が伝えられる小池百合子氏だ。

地域訪問や街頭演説の模様を写真に収め、すぐさまツイッターにアップ。キーカラーだという緑色のものを身につけるよう支持者に要請し、演説を見物する群衆の姿とともに「感動!感動!感動!」「もはやこの動きは誰にも止められません」などと猛烈にアピールしている。

そして、小池氏がアップした写真をもとにネット右翼たちが「パヨク逝ったwww」「ブサヨの短い夏は終わった模様^^;」などと書き込み、これをネトウヨ系まとめサイトが記事にして投稿。現在、こうして“小池氏圧勝のネット世論”が醸成されているのだ。

まさに狙いどおり、と小池氏はほくそ笑んでいるだろう。というのも、もともと小池氏は、ネット工作別働隊・J-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ、通称ネトサポ)の監督責任者を務めるなど、自民党の“ネトウヨ動員戦略”の中心にいたからだ。

念のため確認しておくと、J-NSCとは、自民党が下野時、有志に呼びかけて設立した党「公認」のボランティア集団。その活動内容は、自民党の政策や方針などをネットに日々書き込むこととされているが、実態は、ネット上で他党のネガティブキャンペーンを行う“別働ステマ部隊”だ。J-NSCの会員専用サイト内には掲示板があって、ここに自民党関係者が他党に関する情報を書き込み、ネトサポが拡散する仕組みだ。

J-NSCについて記事にした「週刊現代」(講談社)2014年11月22日号には、自民党関係者によるこんな談話が掲載されている。

「J-NSCの会員専用サイト内にある掲示板に、例えば『△△党の××候補が、こんなことを言っている』と書き込むんです。すると、『有志』の会員が勝手にその候補者に対してネット上で匿名の批判を浴びせたり、ネガティブキャンペーンを展開してくれるというわけです」

こうしたネトサポの問題は本サイトでも何度か取り上げてきたが、周知の通り、J-NSC会員の多くがネット上で韓国や中国への悪罵を連ねるネトウヨだ。実際、ツイッターのプロフィールをサーチできるウェブサービス「ツイプロ」で「J-NSC」を検索してみると、その会員を自称するアカウントのプロフィール欄には以下のような文言を確認できた。

「日韓断交希望!嫌韓嫌中」「今、日本は売国奴の手によって切り売りされようとしています」「保守支持!日本大好き、韓流嫌い!」「特亜、マスゴミ、放射脳、地球市民、反日似非日本人は大嫌い」「ネトウヨ上等! 国士上等!!」

ようするに自民党はこうしたヘイトスピーチを繰り返すネトウヨを組織して他党のバッシングを展開してきたわけだが、そもそも自民党には、NTTあがりの世耕弘成官房副長官や電通出身の平井卓也ネットメディア局長などを中心に、メディアを使って世論を誘導するなど、選挙で有利な状況を作り出すためのコミ戦(コミュニケーション戦略)部隊が存在する。J-NSCもその一環だ。

なかでも注目すべきは、ネット選挙が解禁された13年参院選前に発足したネット対策特別チーム、平井ネット局長率いる「Truth Team(T2)」だ。その主な業務は、専門の業者に委託するかたちでツイッターやブログの書き込みなどを24間監視し、自民党に不利な情報があれば管理人に削除要請をすること。他にもスキャンダルなどネガティブな情報が検索エンジンに引っかかりにくくさせるための「逆SEO(検索エンジン最適化)」まで行っている。

そして、このT2が誕生したときに自民党の広報本部長を務めていたのが、何を隠そう小池百合子氏なのだ。しかも小池氏は、10年にはJ-NSCの設立総会で「相談役」に就任していた。つまり自民党のなかで、専門的なネット対策チームで指揮をとる平井ネット局長などの“上司”にあたる小池氏は、ネトサポ誕生時からその監督責任者の立場にあったわけである。なお小池氏は、2013年参院選前、前述したネット工作についてNHKの取材にこう答えている。

「選挙中にですね、この候補者おかしいとかなんか言われるとですね、それは、大変なダメージになるわけですね」

小池氏は“ネットで悪口を言われてはたまらないので取り締まってるんですよ”とのたまっているが、自民党がネトウヨを組織化してライバルのバッシングを展開してきたのはれっきとした事実だ。これは完全にブーメランというやつだろう。


事実、小池氏が広報本部長だった13年の参院選の前後にJ-NSCを自称するツイッターアカウントがどんな発言を行っていたかあらためて調べてみると、〈TVタックルに佐藤まさひささんや、片山さつきさんが~\(^o^)/#テレ朝〉などと自民党候補の告知に熱心なだけではなかった。ネトサポたちは、ニュースやネトウヨ系まとめサイトのURLを引用しながら野党や対立候補のネガキャンをこれでもかと繰り出し、さらには、自民党に不利な情報や報道を打ち消すための悪罵まで振りまいていたのだ。こんな感じである。

〈すっから缶の頭にはウジが沸いてるのな〉(菅直人氏が安倍氏を提訴したことについて)

〈大げさな絆創膏だね、酔っ払い女に絡まれただけでしょ。言論の自由を守るために闘いますだってさ、臍が茶を沸かすだね、左翼野郎!〉(当時民主党候補の鈴木寛氏が演説中に女性に殴られた事件について)

〈国賊、売国奴の民主党、岡崎トミ子は日本国に損害を与えている。多かれ少なかれ、民主党は皆同じ穴の狢〉

〈公務員当時に背任行為を疑われ、米国からは怪しい奴と言われ、ご家族も不信感を持ち輩を総理が批判することは至極当然ですね。モナ男(註:細野豪志氏の蔑称)はやっぱり浅はかで駄目ですね〉(安倍首相が田中均・元外務審議官をFacebookで批判したことに細野氏が自制を促したことについて)

〈民主党といえば無能。民主党といえばパフォーマンス。民主党といえば反省なし。民主党といえば売国。民主党といえばマスゴミの手先。他にも色々〉

とくに目に付いたのは、ネトサポたちが産経新聞ウェブ版のニュースをよく引用することだ。自民党はこうした安倍応援団メディアの記事をネトサポに送って、それをもとにバッシングを繰り広げることを促していたのではないかとも推測できる。

いずれにせよ、小池氏が広報本部長として、自民党のネット工作やJ-NSCの相談役をしていたことは、結果的に“財産”になったのは間違いない。小池氏が広報本部長として自民党のネット工作に携わったノウハウを都知事選でもフルに利用していると考えるべきだろう。

今回の都知事選でJ-NSC会員のツイートを調べてみると、案の定、鳥越俊太郎候補に対する悪辣な言葉を盛んにばら撒いているが、一方で自民党が推薦している増田寛也候補をヨイショするようなものは比較的少なく、むしろ一部のネトサポたちは小池氏や元在特会会長の桜井誠候補を応援している様子が見て取れた。

「今回、J-NSCのほうで小池応援の指示が出ているとは思えませんが、J-NSC会員の多くはネット右翼と重なっています。とくに、ツイッターで会員だと公言するようなアカウントは中国・韓国への悪質なヘイトスピーチを繰り返すなどコアなネトウヨ層ですから、岩手県知事時代に外国人参政権に賛成していた増田よりも、反対を明確にしている小池や桜井誠を心情的に推したい。つまり、自民党の意図とは別に、ある意味では勝手に小池氏をネットで支援しているという状況です。まあ、ネトウヨのなかには『桜井さんは泡沫だから票割れ防ぐために小池さんにしよう!』みたいな動きもあるようですが(苦笑)」(週刊誌記者)

つまり、今回の立候補で自民党から公認を得られないことを計算していた小池氏は、韓国人学校への都有地貸与の白紙化や、外国人参政権反対などネトウヨ受けする公約を打ち出し、まず“安倍自民党シンパ”の支持者を割った。そしてやはり、選挙戦でどの候補よりもSNSを活用しているのは、かつての自分の“手下”であるネトサポ、そしてネトウヨたちに猛アピールするためとしか思えない。

“自民党にパージされても腐敗した都政に挑むジャンヌ・ダルク”なるセルフプロデュースで無党派層を狙い、さらに自前のヘイト体質や中身のない極右思想を売り物にネトウヨ・ネトサポの支援を取り付ける小池氏。この節操のない政治家を、本当に日本の首都の首長にしてしまっていいのだろうか。

(編集部)