国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による日本政府に対する質問状について(解説)
           
海渡 雄一(共謀罪NO!実行委員会)

2017年5月20日


国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、5月18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシー権と表現の自由を制約するおそれがあるとして深刻な懸念を表明する書簡を安倍首相宛てに送付し、国連のウェブページで公表した。

書簡では、法案の「計画」や「準備行為」、「組織的犯罪集団」の文言があいまいで、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる277の犯罪が広範で、テロリズムや組織犯罪と無関係の犯罪を多く含んでいることを指摘し、いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があるとしている。
 
さらに、共謀罪の制定が監視を強めることになることを指摘し、日本の法制度において、プライバシーを守るための法的な仕組み、監視捜査に対する令状主義の強化や、ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前に許可するための独立した機関の設置などが想定されていないことを指摘している。また、我が国の裁判所が、警察の捜査に対する監督として十分機能していないとの事実認識を示している。
 
そのうえで、政府に対して、法案とその審議に関する情報の提供を求め、さらに要望があれば、国連から法案の改善のために専門家を派遣する用意があることまで表明している。
 
日本政府は、この書簡に答えなければならない。
 
また、日本政府は、これまで共謀罪法案を制定する根拠として国連越境組織犯罪防止条約の批准のためとしてきた。同じ国連の人権理事会が選任した専門家から、人権高等弁務官事務所を介して、国会審議中の法案について、疑問が提起され、見直しが促されたことは極めて重要である。
 
日本政府は、23日にも衆議院で法案を採決する予定と伝えられるが、まず国連からの質問に答え、協議を開始し、そのため衆議院における法案の採決を棚上げにするべきである。そして、国連との対話を通じて、法案の策定作業を一からやり直すべきである。

----------------------------------------------
プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏
共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳

書簡の全文は次のところで閲覧できる。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf


プライバシーに関する権利に関する特別報告者のマンデート

2017年5月18日


内閣総理大臣 閣下

私は、人権理事会の決議28/16に基づき、プライバシーに関する権利の特別報告者としての私の権限の範囲において、このお手紙を送ります。

これに関連して、組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、いわゆる「共謀罪」法案に関し入手した情報について、閣下の政府にお伝え申し上げたいと思います。もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性があります。

入手した情報によりますと次の事実が認められます:

組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案、いわゆる共謀罪法案が2017年3月21日に日本政府によって国会に提出されました。

改正案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に拡大することを提案したとされています。
 
手持ちの改正案の翻訳によると、新しい条文は次のようになります:


6条
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。


安倍晋三首相 閣下
内閣官房、日本政府


さらにこの改正案によって、「別表4」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処罰の対象に加わることになりました。これほどに法律の重要な部分が別表に委ねられているために、市民や専門家にとって法の適用の実際の範囲を理解することが一層困難であることが懸念がされています。

加えて、別表4は、森林保護区域内の林業製品の盗難を処罰する森林法第198条や、許可を受けないで重要な文化財を輸出したり破壊したりすることを禁ずる文化財保護法第193条、195条、第196条、著作権侵害を禁ずる著作権法119条など、組織犯罪やテロリズムとは全く関連性のないように見える犯罪に対しても新法が適用されることを認めています。

新法案は、国内法を「国境を越えた組織犯罪に関する国連条約」に適合させ、テロとの戦いに取り組む国際社会を支援することを目的として提出されたとされます。しかし、この追加立法の適切性と必要性については疑問があります。

政府は、新法案に基づき捜査される対象は、「テロ集団を含む組織的犯罪集団」が現実的に関与すると予想される犯罪に限定されると主張しています。
 
しかし、「組織的犯罪集団」の定義は漠然としており、テロ組織に明らかに限定されているとはいえません。
 
新たな法案の適用範囲が広い点に疑問が呈されていることに対して、政府当局は、新たな法案では捜査を開始するための要件として、対象とされた活動の実行が「計画」されるだけでなく、「準備行為」が行われることを要求していると強調しています。
 
しかしながら、「計画」の具体的な定義について十分な説明がなく、「準備行為」は法案で禁止される行為の範囲を明確にするにはあまりにも曖昧な概念です。

これに追加すべき懸念としては、そのような「計画」と「準備行動」の存在と範囲を立証するためには、論理的には、起訴された者に対して、起訴に先立ち相当程度の監視が行われることになると想定されます。
 
このような監視の強化が予測されることから、プライバシーと監視に関する日本の法律に定められている保護及び救済の在り方が問題になります。

NGO、特に国家安全保障に関する機密性の高い分野で活動するNGOの業務に及ぼす法律の潜在的影響についても懸念されています。政府は、法律の適用がこの分野に影響を及ぼすことがないと繰り返しているようです。
 
しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さが、例えば国益に反する活動を行っていると考えられるNGOに対する監視などを正当化する口実を作り出す可能性があるとも言われています。

最後に、法律原案の起草に関する透明性の欠如と、今月中に法案を採択させようとする政府の圧力によって、十分な国民的議論の促進が損なわれているということが報告で強調されています。

提案された法案は、広範な適用がされる可能性があることから、現状で、また他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。
 
とりわけ私は、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点について曖昧な定義になっていること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用される危険を懸念します。

法的明確性の原則は、刑事的責任が法律の明確かつ正確な規定により限定されなければならないことを求め、もって何が法律で禁止される行為なのかについて合理的に認識できるようにし、不必要に禁止される行為の範囲が広がらないようにしています。現在の「共謀罪法案」は、抽象的かつ主観的な概念が極めて広く解釈され、法的な不透明性をもたらすことから、この原則に適合しているようには見えません。

プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に影響を受けるように見えます。更なる懸念は、法案を押し通すために早められているとされる立法過程が、人権に悪影響を及ぼす可能性がある点です。立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限することになります。
 
マンデートは、特にプライバシー関連の保護と救済につき、以下の5点に着目します。


1 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにするためには監視を増強することになる中にあって、適切なプライバシー保護策を新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考えられます。


2 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化することも何ら予定されていないようです。


3 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するための独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようです。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施する個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。


4 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があります。すなわちこれらの機関の活動が適法であるか、または必要でも相当でもない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督です。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査のために監視の許可を求めてきた際の裁判所による監督と検証の質という問題が含まれます。


5 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範な機会を与えることになることから、新法の適用はプライバシーに関する権利に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁判所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信傍受令状請求のほとんどが認められたようです(数字によれば、却下された令状請求はわずか3%以下に留まります。)


私は、提案されている法改正及びその潜在的な日本におけるプライバシーに関する権利への影響に関する情報の正確性について早まった判断をするつもりはありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が1978年に批准した自由権規約(ICCPR)17条1項によって保障されているプライバシーに関する権利に関して国家が負っている義務を指摘させてください。
 
自由権規約第17条第1項は、とりわけ個人のプライバシーと通信に関する恣意的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保護される権利を有することを規定しています。
 
さらに、国連総会決議A/RES/71/199も指摘いたします。そこでは「公共の安全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」とされています。

人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を解明する職責を有しております。つきましては、以下の諸点につき回答いただけますと幸いです。


1.上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせください。


2.「組織犯罪の処罰及び犯罪収入の管理に関する法律」の改正法案の審議状況について情報を提供して下さい。


3.国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関して情報を提供してください。


4.法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が法案を検討し意見を述べる機会があるかどうかを含め、その詳細を提供してください。


要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及びその他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と助言を提供することを慎んでお請け致します。

最後に、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これは即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。したがって、閣下の政府に対し、この書簡が一般に公開され、プライバシーに関する権利の特別報告者のマンデートのウェブサイトに掲載されること、また私の懸念を説明し、問題となっている点を明らかにするために閣下の政府と連絡を取ってきたことを明らかにするプレスリリースを準備していますことをお知らせいたします。

閣下の政府の回答も、上記ウェブサイトに掲載され、人権理事会の検討のために提出される報告書に掲載いたします。

閣下に最大の敬意を表します。


ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者


※米国の愛国者法やFEMA、仏蘭西の戒厳令の常態化、国連のTOC条約による「共謀の犯罪化」の推進→共謀罪、ビッグデータの集積、非親告罪化、緊急事態条項、マイナンバーなど世界中で進行している権力と情報の一点集中化。これらは相互に無関係ではなく相互に密接に関連したNWO征略だと考える。

清和会一味を筆頭とする売国政治勢力と非課税特権によって集金マシーンとしての機能を持つカルトと職業犯罪者を構成員とする所謂裏社会は「三位一体」である。これら全てと癒着する警察幹部がいる以上「共謀罪」を作る事は極めて危険である。売国奴や犯罪者を政府から追放する事が何より重要である。

売国政治屋が売国法案で国を売り飛ばし、カルトが金を集めたり工作活動に従事し、裏社会の職業犯罪者が裏仕事を担当する。これらが全て一体となって日本を蝕む対日侵略勢力が構成されている。これらの勢力の大本は海外の国際金融資本を中心とした国際的権力ネットワーク=国際秘密力=裏権力である。

共謀罪を安倍一味の「愛国的政策」と思い込むのは論外だが、「極右軍国主義者の策謀」と矮小化して背後の国際的関係を見落とすのも片手落ちだ。共謀罪とは「テロ対策」を口実に権力の集中化を進める裏権力の要求に従って推進され国内の走狗共がそのおこぼれに預かろうとしているというのが実態である。

共謀罪の背景もTPPと同じく「外圧」だ。引用:FATFは資金洗浄・テロ資金供与対策に協力しない国を「非協力国」として公表しており、日本にはテロ組織などに対する拠点・物資の提供といった「現物供与」の罰則規定や共謀罪の創設を要求している。

野田政権は米英や欧州で作る「FATF」という政府間機関から圧力を受けて共謀罪創設を「国際公約」していた。結局共謀罪創設策動の背後には外圧がある訳である。民主も自民も対立を演じているが所詮は両建に過ぎない。TPPとまるで同じ構図だ。

日本解体を狙う「反日勢力」は右の系統と左の系統がおり根は一つである。ネオリベ政策で現実に利益を受ける層や職業的安倍信者(つまり工作員)以外の安倍信者は「反日勢力」を左の系統のみと思い込んでいる為に右の系統の「反日勢力」に取り込まれているのである。実に巧妙な左右両建構造の罠である。

反日右翼と反日左翼を定義する。「反日右翼=愛国保守を偽装するネオリベ・ネオコン勢力。実態はグローバリストで国際資本の手先。」「反日左翼=リベラルを偽装する暴力集団。表向き人権や平和を唱えるが実際は暴力を好む。日本の貶めと解体が真の狙い。」保守やリベラルとの違いを見極める必要あり。

保守を偽装しながらグローバル化を推進し壊国を行なう勢力を表現するには「ネット右翼」より「反日右翼」と言う方が明確である。「ネット右翼」は反日右翼より外延が狭い下位概念である。反日右翼はネット右翼に限られない。CSISの手先で朝鮮カルトと繋がっている似非保守知識人も反日右翼である。

安倍一味は「軍国主義」と言う程の主体性も無い。単なる裏権力の「犬」である。裏権力から命じられた事を実行しているに過ぎない。旧民主党も同じ。TPP、特定秘密保護法、マイナンバー、共謀罪など裏権力案件は民主党政権時代からの引継ぎ。「与党VS野党」ではなく「国民VS走狗」が真の構図。

売国Aチームと売国Bチームに分かれて分担作業しつつ壊国を実行する両建構造が全ての元凶である。反日右翼は売国Aチームを支持し、反日左翼は売国Bチームを支持し、左右両建で不毛な争いを展開する事で共謀罪等の重要課題の本質から人々の目を逸らしてまんまと裏権力の壊国政策を実現しようとする。

反日右翼は共謀罪を安倍一味固有の政策と思い込んでいるが共謀罪は民主党の野田政権も推進していた。共謀罪は与野党グルで推進してきた裏権力案件である。安倍一味がやる事なら何でも「愛国的政策」と思い込んで条件反射的に賛同する反日右翼は愚劣過ぎる。故意の確信犯は工作員=売国犯罪者である。

反日右翼は人権擁護法案には反対したが共謀罪には賛成する。反日左翼は共謀罪には反対するが人権擁護法案には賛成する。恣意的な権力行使の拡大という点で人権擁護法案も共謀罪も同一傾向の法案である。にも拘らず一方は賛成し他方は反対するのは党派意識やイデオロギーによる。左右両建で本質を隠蔽。

今の我が国の根本問題は単なる法律の問題ではなく政府中枢が売国勢力に占拠されているという事実上の問題である。共謀罪にしろ非親告罪化にしろ「政府の中枢が売国勢力に支配されている」という前提で考える必要がある。法律制定の主体が売国勢力なら法律自体も日本人の利益に反するものばかりとなる。

共謀罪の背景にある「共謀の犯罪化」という国際的潮流は国連が主導して作り出したものだが、「親告罪の非親告罪化」というトレンドもTPPの中に「著作権侵害の非親告罪化」が盛り込まれている事から見ても裏権力の連中が作り出したものだと見ている。反抗分子を弾圧する凶器にするつもりなのだろう。

TPPに「著作権侵害の非親告罪化」が盛り込まれているのは「共謀の犯罪化」と同じく国際秘密力による権力強化策つまりNWO征略の一環だと見ている。共謀罪創設と非親告罪化は密接に関連している。どちらも裏権力の走狗化した官憲に巨大な権限を与えて裏権力批判者を弾圧する狙いではないだろうか。

反日右翼は徹頭徹尾人工的に作られた政治勢力だと見る。裏権力側に都合がよすぎる。中東の「イスラム原理主義者」が近代になって米英の諜報機関によって育成されたのと同じではないだろうか。「イスラム原理主義者」がイスラム世界を破壊するように反日右翼は「愛国保守」を偽装しつつ日本を破壊する。

ネオリベ・ネオコン・グローバリズムの推進という反日右翼の主張は欧米支配層の代弁そのものであり、あまりにも裏権力側に都合が良すぎる。日本人の中から自発的に出てきた主張とは到底思えない。もし「自国ファースト」現象ならいくらか反グローバリズム的要素があるはずだが、それがまるでないのだ。

安倍がどんなにグローバル化政策をやっても安倍がする事ならなんでも擁護するネット右翼の主張は裏権力に都合が良すぎる。まさにお誂え向きの観がある。「愛国保守」の仮面を被るオピニオンリーダーが「安倍さんは愛国保守」と言えば一般保守は信じ込むので「愛国心」を動員して壊国のやり放題である。

米メディアは熱心なトランプ支持者を「オルタナ右翼」などと呼ぶが彼らは安倍信者よりは賢い。トランプ支持者は何が自分達米国民の利益かを分かった上でアメリカファーストを支持した(トランプが傀儡か否かは別)。それに対して安倍信者は自分達の利益にもならない安倍のネオリベ政策を支持している。

庶民の利益にならないネオリベ政策を批判する欧米の右翼勢力は己の利害計算ができる点では自らの利益にならないネオリベ政策に賛同するネット右翼よりは賢いと言える。ネット右翼現象の特殊性はネオリベやグローバリズムへの批判に向かわず逆に推進する点。元々「自国ファースト主義」とは無縁である。

「ネット右翼の中核は日本人ではない」と言われる理由がここにある。ネオリベもネオコンもグローバリズムも日本の利益に反する。これらは日本人の中から自発的に出てくる主張とは思われない。ある時点から意図的に行われた思想工作の産物としか思えない。工作の主体は裏権力の手先のカルトだと思う。

何事も両建なので「自国ファースト主義」の潮流自体に裏権力がテコ入れしている可能性もあるが、ネット右翼現象の方が人工的な思想工作臭が強い。前者は少なくとも庶民の不満が背景にあるが、後者の主張は明らかに庶民の利益から遊離しており裏権力や日本解体勢力に都合よく構成されているからである。

ネット右翼はネオリベ・ネオコン・グローバリズムに賛同する立場なので最近世界を席巻していると言われる「自国ファースト主義」とは真逆である。「自国ファースト主義」はネオリベ(一部富裕層の優遇)・ネオコン(不当な軍事介入)・グローバリズム(移民政策)の全てに異を唱える潮流だからである。

安倍一味を「極右ファシスト」などと批判するのはあまり的を得ていない。左右両建なので間違いとも言えないが、安倍は国家社会主義者とは逆の新自由主義者であり、「右翼」と言ってもネオコンなのでむしろ「左翼」に近い立場である。「国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去った」と言う程の無国境主義者。

トランプ支持熱の背景には米国の庶民の身に迫る悲壮感があったが、ネット右翼の安倍支持は自らの得にもならないネオリベ政策を支持する時点で単なる観念的な「支持」と分かる。「愛国保守っぽいので支持」という程度である。安倍一味は「自国ファースト主義」とは逆のグローバル化推進の立場である。

ネオリベ政策で利益を得る層や職業的工作員、ネトサポ以外で安倍一味を支持する者達は安倍一味を「愛国保守」と思い込んでいる。TPP、種子法廃止、水道民営化、移民政策等の推進を見ても安倍一味は明らかに新自由主義系である。表看板ではなく実際の政策を見れば単なる売国一味と分かるはずである。

反日右翼は「愛国保守」ではなく単なるネオリベである。ネオリベが「愛国保守」を名乗っているだけなのに騙される人がいる。反日右翼の中心である清和会一味に対して効果的な批判を加えるには彼らの「愛国保守」という偽装を剥がして「ネオリベ・ネオコン勢力」という真の姿を正確に捉える必要がある。

反日右翼工作員の「安倍擁護」の常套手段は民進党を「反日勢力」と叩く事で安倍一味を相対的に浮上させるというインチキ話法である。民進が反日勢力だからといって自民が反日勢力でないという事にはならない。自民も反日勢力だ。与野党両建グル構造なので自民と民進(旧民主)は同じ穴のムジナである。

YouTubeなんかに朝鮮カルト工作員が作製したと思しき安倍を擁護し民進党を叩く動画がたくさん上がっているが、あれなどは「民進党を「反日勢力」と叩く事で安倍一味を相対的に浮上させるというインチキ話法」の典型である。宣伝の論調はどれも似通っており同一系統の組織的工作だと推測される。

売国奴が自分が売国奴である事を誤魔化す為に他の売国奴を叩くという手口。売国Aチームと売国Bチームがあるとして、AチームはBチームを叩いて誤魔化し、BチームはAチームを叩いて誤魔化す。どちらに転んでも売国勢力とその背後の裏権力の支配が継続する。これが巧妙な両建支配システムである。

反日右翼は反日左翼を叩く事で相対的に自派閥を浮上させ自らが売国勢力である事を誤魔化そうとする。売国壊国しかしない安倍一味を擁護するには政策自体の弁護が無理なので民進党を叩いて相対的に安倍一味を浮上させるしかない訳である。予め「両建」を知っていればかかるインチキ話法には騙されない。

小泉以来「改革派VS抵抗勢力」という二分法で売国政策を正当化してきたが、同じ手口を使い回すネオリベ。「改革」とは「壊国」の事であり国を売り飛ばして国際資本とその走狗に利益誘導する「政策」の事である。今さら言うまでもない。

ネオリベ勢力が言う「改革」とは郵政民営化(外資に国民の虎の子を提供)、TPP(国家主権の売り渡し)、「国家戦略特区」による利益誘導、種子法廃止、水道民営化など壊国・売国政策ばかりである。「改革」という言葉が持つプラスイメージを利用して壊国という実態を誤魔化す「言葉の魔術」である。

https://twitter.com/kikuchi_8https://twitter.com/kikuchi_8