・自由貿易推進へ連携=「質の高いRCEP」で合意-日ASEAN経済相(時事通信 2017年4月10日)

※日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の特別経済相会合が8日、大阪市内で開かれた。閉幕後に発表した共同声明では、自由貿易の推進に向けて連携することを表明。日中韓やASEANなど16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉に関し、通関手続きの円滑化や知的財産権の保護など貿易・投資分野で「質の高いルールづくり」を目指すことで合意した。
 
世耕弘成経済産業相は会合終了後、「質の高いRCEP実現に向けて良いスタートとなった。グローバルな自由貿易推進に前向きなメッセージを送ることができた」と強調した。

・米、二国間の貿易交渉を日本に要求 経済対話の事前協議(朝日新聞DIGITAL 2017年4月13日)

※18日に予定されている初の日米経済対話の事前協議で、米国政府が日本政府に二国間の貿易交渉を要求してきたことが分かった。米側の関心が強い自動車や農業分野の市場開放が念頭にある。日本側は今のところ、二国間交渉には応じられないとの立場を伝えているが、日米の貿易不均衡問題が経済対話の主要な論点になるのは確実になった。

初会合には麻生太郎副総理とペンス副大統領が出席し、今後取り上げる具体的な議題を話し合う。踏み込んだ議論は次回以降とみられており、両国政府は担当省庁ごとに協議の場を設ける方向で調整している。当初は通商分野を担当するロス米商務長官ら関係閣僚の参加も検討されたが、初会合は麻生、ペンス両氏で協議する見通しだ。

両国政府の関係者によると、米側は先週、対日貿易赤字の削減に向けて、日米二国間の貿易交渉を議題にするよう強く要請した。具体的な交渉分野には触れていないという。交渉実務を担う米通商代表部(USTR)のライトハイザー次期代表候補の人事が議会の承認を得られていないなど、米側の陣容が整っていないためとみられる。ただ、米政府関係者は、実際に交渉に入れば「自動車、農業がメインになる」と話す。

経済対話について、2月の日米首脳会談では、財政・金融政策などマクロ経済政策▽インフラ投資やエネルギー分野での協力▽二国間の貿易に関する枠組み――の3点を扱うことで合意した。このうち貿易の部分について、日本側は「二国間交渉に関する合意ではない」と説明。米側には、アジア地域に貿易・投資ルールを定着させる方策を中心に議論するよう呼びかけている。

日本の経済官庁幹部は「日本は貿易協定のようなものを二国間でやるつもりはない。スタンスが違い、調整が必要だ」というが、米側の強い姿勢に押し切られる可能性もある。

二国間交渉に応じた場合、牛肉などの農産物について、環太平洋経済連携協定(TPP)で日本が受け入れた以上の関税引き下げを迫られる可能性が高い。ライトハイザー氏は3月、TPPの参加国と「二国間協定を進めたい」と語り、「農業の市場開放で第一の標的は日本だ」とも述べている。

日本の自動車市場についても注文がつくおそれがある。日本は自動車の輸入関税を撤廃しているが、米国の自動車産業は日本への輸出が少ないことに不満を募らせており、トランプ大統領は「日本の自動車貿易は不公平だ」と批判してきた。

・高齢化進む韓国の農家、高齢人口比率が初めて40%超(ハンギョレ新聞 2017年4月14日)

※韓国の農家人口10人に4人が高齢者であることが分かった。

統計庁が14日に発表した「2016年農林漁業調査結果」によれば、農家人口249万6000人のうち65歳以上の高齢者は100万6000人で、40.3%に達すると調査された。2015年の38.4%に比べて1.9%p高まった。韓国の高齢人口比率が13.2%(2015年基準)であることと比較すれば、全国平均より3倍以上高い。農家の高齢人口比率が40%を超えたのは、1949年に農業調査をして以来初めてだ。その反面、若年層は10未満から40代まですべての年齢帯で比率が下落した。

農業だけでなく漁業と林業での高齢化も急速に進行している。高齢人口比率が漁業では32.5%、林業では37.3%で、農家よりは低いが、前年比でそれぞれ2.1%p、2.8%p増えた。



(上)韓国の農家高齢人口比率 資料:2016年農林漁業調査

こうした農林・漁業人口の超高齢化現象は、食糧主権にも影響を及ぼす展望だ。農家の営農形態を見れば、昨年1年間で稲を主に耕作する農家は3万8200世帯減った。前年より8.2%も減少したことになる。稲を除き、小麦・麦・豆などの食糧作物を耕作する農家は2015年の13万8000世帯から昨年は7万6000世帯にほぼ半減した。統計庁農漁業統計課のホン・ビョンソク課長は「豆、麦、小麦などの食糧作物は、他の作物に比べて農作業が大変で高齢の方が栽培することは容易でないためと思われる」と説明した。コメ以外の食糧作物の自給率は、10.6%に過ぎず、こうした傾向が続くならば自給率はさらに低下せざるをえないと見られる。

・呑んべぇ天国の日本で飲み放題禁止、酒類広告規制の動きも(週刊ポスト2017年4月28日号)

※「タバコの次は飲酒規制だ」──厚労省内部からそんな声が聞こえてきた。同省は飲食店や公共の場所での喫煙を全面禁止する受動喫煙防止法案(健康増進法改正案原案)を3月にまとめ、今国会での成立を目指している。打撃を受ける飲食店や旅館業は反対を訴えているが、厚労省は「屋内全面禁煙は東京五輪に向けた国際公約」として押し切る構えを崩していない。

その次に狙っているのが酒の販売から飲酒まで制限するアルコール規制なのだ。日本は世界的に見ても酒の規制が極めて少ない“呑んべぇ天国”だが、「まさか日本に禁酒法の時代が来るわけがない」とタカをくくって花見酒に浮かれていると痛い目を見る。

国民が例年より遅い桜の開花を待ちわびていた4月1日、厚労省に「アルコール健康障害対策推進室」という部署が新設された。国際的に広がるアルコール規制を日本でも推進するためだ。

タバコ規制と並んでアルコール規制は世界的な流れ。喫煙禁止の動きが急速に強まったのは、2003年のWHO(国際保健機関)総会で採択された「たばこ規制枠組条約」がきっかけだったが、アルコールについてもWHOは「世界で毎年約330万人が死亡している」として2010年に「アルコールの有害な使用を減らすための世界戦略」を採択した。

その中で各国が取り組む酒害対策の例として「酒の安売り禁止」「飲食店での飲み放題禁止」「酒類の広告規制」などをあげ、酒の値段の引き上げ(酒税の税率アップ)、公共の場所での販売規制などが推奨されている。

すでに世界では欧米はじめ、シンガポール、インド、タイなどアジア諸国にも規制の動きが急速に広がっている。日本も2013年に「アルコール健康障害対策基本法」を制定し、アルコール健康障害対策基本計画をまとめた。これは依存症対策などが中心だが、政府はそれに関連して昨年5月に改正酒税法を成立させ、ディスカウント店などの酒の「過剰な安売り」の規制に乗り出した。

広告を規制し、高い税率を課して価格を大幅にあげ、段階的に販売を規制していこうというのはまさにタバコ規制と同じやり方だ。

・「水道民営化」が今国会でコッソリ通過!? 料金値上げ、サービス低下につながる(週刊SPA! 2017年4月18日)

※「水道民営化」は国民の生活に密着した問題のはずだが、その法案の中身についてはほとんど報道されていない

安心で安価な水が24時間いつでも供給されることが当たり前――そんな日本の水道事業が、現在国会でコッソリと審議されている「水道法改正」法案で大きく変わる可能性があるという。

上下水道事業などで働く労働者の組合「全日本水道労働組合」の辻谷貴文・書記次長は「水道法改正そのものを一概に全否定するわけではありませんが、大きな問題があります」と語る。

◆「利益を出すこと」が目的の民間企業は、水道事業にはなじまない

「水道施設の老朽化や人材不足、災害時の対応など、水道事業の基盤強化は今回の水道法改正案の要であり、私たち現場の者も求めてきたことです。それ自体は良いことだと思いますが、改正案にある“官民連携の推進”については懸念しています。水道施設の運営権を民間企業に与えるという『コンセッション方式』が推進されるのですが、これは安価で安全な水を1秒たりとも絶やすことのないようにするという、日本の水道事業が担ってきた責任を損なうものになりかねません」(辻谷氏)

「コンセッション方式」とは、事業の運営権を民間企業に売り、その企業が事業を実施、水道料金を収入として企業が得るというもの。辻谷氏は「利益を出すことが最大の目的である民間企業は、水道事業とはなじまない」と言う。

「水道料金は、事業に経費がかかっても極力安くしないとなりませんし、人口減少で収益も下がり、多くの地域では赤字の事業です。そうなると、水道料金を値上げするか、水道管の維持・メンテナンスなどの必要経費も削ることになる。海外の事例では水道事業を任された民間企業が多額の経費を自治体に請求してきたという事例もあります。公営の水道事業から民営化して、成功したところはほとんどありません。フランスのパリ市のように、民営化したが再び公営化するという事例が相次いでいます」(辻谷氏)

◆民営化で失敗→再公営化という世界的な流れ

「トランスナショナル・インスティテュート」というNGOの調査によると、2002~2014年の間に、上下水道事業を再公営化した自治体は増え続けていて、世界で180もあるという。

「『成功事例』とされているイギリスのイングランドでの民営化も、サービス低下や漏水率の上昇、汚職の頻発など問題だらけで、世論調査では住民の70%が再公営化を望んでいる状況です。こうした例を見ても、コンセッション方式が失敗することは明らかだといえるでしょう」(同)

例えば、大阪市では耐用年数を超えた配管が5割を超える状況だという。他の自治体も耐震用の配管に変える必要がある。

「生活や命にかかわることなのに、国の政策の中で水道事業の優先順位は低い。今回の水道法改正を機に、多くの人々に日本の水道のあり方について考えていただければ……と思っています」(辻谷氏)

この「水道民営化」のほか、今国会では日本の食料自給に大きく関わる「種子法の廃止」や、原発の安全性や国民の被曝限度に関わる「原子力関連3法案の改正」など、大事な法案が目白押し。

・テロ等準備罪 法相「犯罪集団と無関係なら捜査対象外」(NHK NEWS web 2017年4月19日)

※後半国会の焦点となっている、共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案は、衆議院法務委員会で実質的な審議が始まりました。午後の審議で、民進党が「一般の人が捜査の対象にならないと言い切れるのか」とただしたのに対し、金田法務大臣は、組織的犯罪集団と関わりがなければ構成員であるという疑い自体が生じないとして、一般の人が捜査の対象になることはないと強調しました。

「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案は、テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が、重大な犯罪を計画し、メンバーのうちの誰かが犯罪の準備行為を行った場合などに、計画した全員が処罰の対象になるとしていて、19日の衆議院法務委員会で実質的な審議が始まりました。

この中で、民進党の逢坂誠二氏が「捜査の段階では組織的犯罪集団として白か黒か分からず、その場合、一般の人が組織的犯罪集団という嫌疑がかけられている団体の一員になる可能性がある。一般の人が捜査の対象になる可能性は否定できないのではないか」とただしました。

これに対し、金田法務大臣は「犯罪を計画したという嫌疑があったとしても、計画に組織的犯罪集団が関与している疑いが無ければ、テロ等準備罪の捜査が行われることはない。また、一般の人が組織的犯罪集団と関わりが無ければ、構成員であるという疑いは生じず、捜査の対象とはならない」と述べました。

また金田大臣は、法案に処罰の対象団体の例として「テロリズム集団その他」と記されていることについて、「この言葉がある場合と無い場合とで犯罪の成立範囲が異なることはないが、一般の方々がテロ等準備罪の対象とはならないことを明確にするものだ」と説明しました。

一方、金田大臣は「犯罪実行の準備行為が行われていない段階であっても、例えばテロが計画され実行される蓋然性があって必要性が認められる場合には、任意捜査を行うことが許されると考える」と述べました。

午後の審議では、民進党が質疑を求めていた岸田外務大臣が出席しなかったため、民進党と共産党が抗議して、審議が中断することもありました。


処罰対象の277の犯罪は?

共謀罪の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案で、処罰の対象となる犯罪は277あります。政府は重大な犯罪のうち、「テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるもの」に限定したとしています。

このうち、「組織的な殺人」や「ハイジャック」、「サリンの発散」など110の犯罪がテロの実行に関連するものです。
また、「覚醒剤の密輸」や「人身売買」、「組織的な詐欺」、「マネーロンダリング」など暴力団などの資金獲得につながるような犯罪も多数含まれています。

一方で、野党や専門家などからは、テロとの関係や組織的犯罪集団の関与が想定しにくい犯罪も対象になっているという指摘も出ています。
例えば、「墳墓発掘死体損壊」や「保安林での森林窃盗」。これらは国会でも「墓荒らしを事前に防ぐことでどうしてテロが予防できるのか」とか、「保安林でキノコを採るのもテロの資金源になるのか」といった疑問が示されています。

このほか、「著作権侵害」は被害者の告訴がなければ罪に問えない「親告罪」で、国会では「被害者が権利侵害される前に現実的に告訴できるのか」という質問も出ました。

また、「組織的な信用毀損や業務妨害」が含まれていることに労働組合や市民団体の弁護士は、企業に不都合な主張や国への抗議活動を計画しただけで処罰の対象になるのではないかとの懸念を示しています。

このほか、犯罪の行為者が公務員などの「収賄」や、労働基準法に基づく「強制労働」、会社法に関わる犯罪などについても、どのように組織的犯罪集団が関わるのかわかりにくいという指摘が出ています。


277の犯罪 専門家の見解は

「テロ等準備罪」を新設する法案で処罰の対象となる犯罪が277あることについて、国際テロに詳しく法制化に賛成の立場の日本大学の安部川元伸教授は「世界各地でテロが頻発していることを踏まえれば国際条約の締結のためにも『テロ等準備罪』は必要不可欠だ。しかし、項目が多岐にわたり、法案の必要性がわかりにくくなっている。よりテロ対策に特化した法案にすることで国民の命を守るという意思を明確に示すべきだ」と話しています。

一方、元裁判官で法制化に反対の立場の木谷明弁護士は「明確に組織的犯罪集団が関わる犯罪といえるのか、関係性がはっきりとわからない項目が多すぎる。捜査権限の拡大によって捜査機関の一方的な見解で一般市民が捜査の対象となることが危惧される。裁判所は、令状を請求された際にテロのような犯罪の可能性を明確に否定することはできず、司法のチェック機能が働く保障もない」と話しています。

・テレ朝・玉川徹のツッコミに自民党が共謀罪の正体をポロリ「目的はテロ対策じゃない」「市民の座り込み抗議にも適用」(LITERA 2017年4月21日)

※共謀罪の目的はやっぱりテロ対策じゃなかった!

ついに国会審議がはじまった共謀罪。19日の衆院法務委員会で安倍首相は、「我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴になることを防ぐ上において極めて重要」などと“テロ対策”であることを強調したが、もはやこんな詭弁が通用するわけがない。

というのも、今回の共謀罪の取りまとめ役となっている自民党法務部会長である古川俊治参院議員が、「テロだけじゃない」とテレビで断言したからだ。

その発言が飛び出したのは、昨日20日に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の人気コーナー「そもそも総研」でのこと。コーナー進行役の玉川徹氏が共謀罪の重要人物である古川議員に取材を行ったのだが、そこで古川議員が語った内容は、まさに共謀罪の恐ろしさを裏付けるものだった。

たとえば、安倍政権は共謀罪の捜査対象はテロ組織などの「組織的犯罪集団」に限られているというが、277ものの犯罪のうち、ひとつでも2人以上で計画や準備行為をしたと見なされれば「組織的犯罪集団」とされてしまう。そこでもっとも懸念されているのが、沖縄における基地反対のように、一般市民が参加する運動が「組織的な威力業務妨害罪にあたる」として共謀罪を適用されるのではないか、という問題だ。

そこで玉川氏は、沖縄のように基地建設を阻止するために市民たちがトラック車両を現場に通さないよう座り込みで抗議する、そのことのために銀行でお金を下ろすなどしたときにも共謀罪は適用されるのか?ということを古川議員に質問。すると、古川議員はこう述べたのだ。

「仮に完全にトラックを防止するっていう目的だけにみんなが集まると、仮にですよ、仮にね。極めて具体的な計画でやる。具体的な計画といったら危険性が出てくるということですから、まさにやろうとしているということなんですね。そして、そのための実行準備行為をやったという段階じゃないと、これ適用になりませんから」

沖縄の基地反対運動にも共謀罪は適用されると、自民議員が明言

ここですかさず玉川氏は「逆にいえば、そこまでやれば適用できるということですよね」と言うと、古川議員は「そうなれば、組織的犯罪集団として認定される可能性はありますね」と明言したのである。

つまり、トラック阻止を計画し準備しただけで「組織的犯罪集団」となり、共謀罪で逮捕されてしまう、というのだ。安倍首相は「一般市民が対象になることはない」と繰り返し強調するが、とんだ大嘘ではないか。

反対運動だけではない。例として、原発のような国策を推進する企業に対してSNS上で集団で批判を書き込むといった行為を信用毀損・業務妨害罪にあたるとして共謀罪が適用される可能性について、古川議員はこのように言い切った。

「故意があるということは確定的に何か証拠に出ていて、かつ、その具体的な計画で、まさに実行の段階に入って、それで実行準備行為があるという段階になれば、それはその犯罪は成立するので、あり得ることです」

この古川法務部会長の説明によって、共謀罪とはやはり、テロとはまったく関係がない一般市民に、権力者の思うがまま、いくらでも適用できる法案だということがよくわかるだろう。しかも、古川議員はこんなことまで言い出したのだ。

「テロなんて言ってませんよ、この法律だって」

「それはいろんな意味でですよ、テロだけじゃないですね」

「テロ等準備罪」とテロの脅威を利用した嘘っぱちのネーミングに置き換えたのは安倍政権だが、その取りまとめ役たる法務部会会長である古川議員は自らが、“この法案はテロだけが取り締まりの目的じゃない”ときっぱり宣言したのである。

ようするに、「テロ等準備罪」というのは詭弁でしかないと自民党議員によってお墨付きが出たわけだが、問題は、安倍首相がこうした詭弁を弄して国会議論を掻き混ぜ、共謀罪を押し通そうとしていることだ。

安倍首相の答弁「「そもそも」の意味は「基本的に」と辞書にあった」は嘘?

実際、前述した19日の衆院法務委では、民進党・山尾志桜里議員が、安倍首相は1月の予算委では「そもそも犯罪を犯すことを目的としている集団でなければなりません」と言っていたのに、その3週間後にはオウム真理教を例に出し「当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります」と説明を一変させたことを指摘。「“そもそも発言”を前提とすれば、オウム真理教は『そもそも宗教法人』なので対象外ですね? どちらが正しいんですか?」と質問を行った。

すると安倍首相は、藪から棒にこんなことを言い出した。

「“そもそも”という言葉の意味について、山尾委員は『はじめから』という理解しかないと思っておられるかもしれませんが、『そもそも』という意味には、これは、辞書で調べてみますと(中略)これは『基本的に』という意味もあるということも、ぜひ知っておいていただきたいと。これは多くの方々はすでにご承知の通りだと思いますが、山尾委員は、もしかしたら、それ、ご存じなかったかもしれませんが、これはまさに『基本的に』ということであります。つまり、『基本的に犯罪を目的とする集団であるか、ないか』が、対象となるかならないかの違いであって。これは当たり前のことでありまして」

姑息にも程があるが、「そもそも」という言葉を「基本的に」という意味で使うことは一般的にほとんどないだろう。たとえば三省堂の『大辞林』では、名詞用法としては〈(物事の)最初。起こり。どだい。副詞的にも用いる〉とし、接続詞としては〈改めて説き起こすとき,文頭に用いる語。いったい。だいたい〉と説明している。「基本的に」という意味は書かれていない。

同様にネット上でも「『基本的に』なんて意味で『そもそも』と言うか?」と疑問が呈され、朝日新聞は『広辞苑』『日本語大辞典』『大辞林』『日本国語大辞典』を調査し、どの辞書も〈「基本的に」とする記述はない〉と記事にしている。さらに辞書をテーマにした「四次元ことばブログ」では、30種類以上の辞書を調べても、戦前の辞書まで遡って調べても、「そもそも」を「基本的に」と語釈する辞書は見つからなかったとレポートしている。

無能・金田勝年法相に答弁させないために、前代未聞の国会ルール破り

ぜひ安倍首相にはわざわざ調べてみた辞書が何であるのか明かしていただきたいものだが、言うまでもなく、山尾議員はそんなことを問いただしたかったわけでは決してなく、“誰がターゲットとなるのか”という重要な問題が本題だったはず。それを自分の発言責任を放り出して、根拠もない自己弁護で議論を進展させようとしないのだ。

だが、今後もこのような詭弁に詭弁を重ねるバカバカしい議論がつづいていくことは必至だろう。しかも、この日の法務委では、まともな答弁ができない金田勝年法相の“代打”として、要求されてもいない林真琴刑事局長を政府参考人として出席させることを強行採決。前代未聞の国会ルール破りを展開した。

しかし、こんな滅茶苦茶なやり方で、どんな問題法案だって押し通せてしまうのが安倍“独裁”政権である。冒頭に紹介した『モーニングショー』のように、いまこそメディアは共謀罪の危険性と安倍政権の暴挙を暴き立てていかなくてはならないのだ。

・種子法廃止法が成立 民間に多品種開発促す 安定供給に懸念も(どうしんweb 2017年4月15日)

※稲や麦、大豆の種子の生産、普及を都道府県に義務付ける主要農作物種子法の廃止法案は14日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。種子生産に民間企業の参入を促す狙いだが、民進、共産両党などは「種子の安定供給に支障が出る可能性がある」などとして反対した。来年4月1日に施行される。

種子法は戦後の食糧増産を目的に、1952年に制定された。

都道府県が優良品種の審査、指定、栽培などを行ってきたが、優良品種は都道府県が自ら開発した品種に偏っており、政府はこの状況を問題視。種子生産の民間参入を妨げ、多様な品種開発を阻害しているとして廃止を提案した。

採決に先立つ討論で、民進党の徳永エリ氏(道選挙区)は種子法廃止により外資参入が進む可能性を指摘し、「種子価格の高騰を招きかねない」と批判。共産党の紙智子氏(比例代表)も「都道府県にとって育種予算確保の根拠がなくなる」と反対した。

法案は賛成158票、反対73票で可決、成立した。

主要農作物種子法は昨年の規制改革推進会議の議論から半年余りで廃止が決まり、道内の農業関係者からは疑問の声が上がった。法が廃止される来年4月以降、どこが種子の生産や普及を担うことになるのか、関係者は注視している。

「道は長年、責任を持って種子を生産、普及させてきた。この体制を維持するためには、条例などの検討が必要ではないか」。道立総合研究機構上川農業試験場の元場長で、品種開発などに携わってきた紙谷元一さん(63)=空知管内長沼町=はそう指摘した。

道は、種の生産をホクレンや農協に委託し、農場の審査や奨励品種を決める試験などを行っている。道総研中央農試では、種を低温貯蔵するなど品質の管理に努めている。紙谷さんは「種の生産や普及には時間も費用もかかるため、民間では担いきれない。行政が果たす役割は大きい」と話し、同法が民間参入を妨げてきたとする規制改革推進会議の見解に疑問を呈した。

・稲、麦、大豆の種子法廃止 現場に広がる不安(神戸新聞NEXT 2017年4月18日)

※稲、麦、大豆の種子の生産・普及を都道府県に義務づける「主要農作物種子法(種子法)」の廃止法が今国会で成立した。国が進める農業競争力強化に向けた規制緩和の一環だが、兵庫県内の農家など現場からは不安の声が上がっている。国は民間企業の種子ビジネスへの参入を促すとするが、都道府県が予算の根拠とする法律がなくなることで地域の種子の品質向上や安定供給のシステムが崩れかねないとの懸念が広がる。

廃止法は、昨年9月に政府の規制改革推進会議で課題として提起された後、都道府県や農家への説明なしに、唐突に示された。兵庫県農産園芸課は「寝耳に水。後の仕組みを決めずに廃止するやり方はこれまでにはないこと」と戸惑いを隠せない。

稲、麦、大豆は、種子法に基づいて都道府県が供給や審査で大きな役割を担ってきた。気象など地域特性に合った「奨励品種」を決め、農家に供給する高品質の種子を採取する原原種や原種の農場を定めて生産する仕組みをつくってきた。

兵庫では、稲は八つの種子組合が生産を担う。その一つ、JA兵庫西しそう種子生産組合(宍粟市)は、キヌヒカリなど10品種の稲と麦を約100ヘクタールで栽培する。他品種などが混ざらないための抜き取りなど管理を徹底。品種の純度と品質への信頼性が高い同組合産の種子は、ほかの約20県にも供給されている。

事務局を担当する同JAしそう営農生活センターの山下久和係長は「日本米のブランド力を高めようというときに、その基礎となる優れたシステムをなぜ崩そうとするのか分からない」と表情を曇らせる。

廃止法は14日に成立。従来通り国の予算措置などを求める付帯決議が採択されたが、種子の海外流出など多くの懸念が関係者から指摘されている。

種子ビジネスに詳しい京都大大学院の久野秀二教授は「種子は地域で受け継いできたいわば『公共財』であり国家戦略の要。それを種子を巧みに囲い込む外資のビジネスの世界に放り込んで、農家が種が自由に使えなくなることはないのか。考えるべき課題は多い」としている。


【主要農作物種子法】 優良な種子の生産や普及を促進するため1952年に制定された。対象は稲、麦、大豆で、野菜や花などは含まれない。都道府県は、同法を根拠に農業試験場の運営などに必要な予算を手当てしている。86年の規制緩和で民間企業が開発した種子も一部で使われている。廃止法の施行日は2018年4月1日。

・【種子法廃止】種子の自給は農民の自立(JA COM 2017年3月30日)

※国民財産の払下げ狙い?

農林水産省は主要農作物種子法を「廃止する」法案を今国会に提出し3月23日に衆議院農林水産委員会が可決した。今後、参議院で審議が行われるが、同法の廃止は国民の基礎的食料である米、麦、大豆の種子を国が守るという政策を放棄するもので、種子の供給不安、外資系企業の参入による種子の支配などの懸念が国民の間で広がっている。法律が果たしてきた役割を議論せず、廃止ありきの政府の姿勢は問題だとして3月27日に有志が呼びかけて開いた「日本の種子(たね)を守る会」には全国から250人を超える人々が集まり、「種子の自給は農民の自立、国民の自立の問題」などの声があがったほか、議員立法で種子法に代わる法律を制定することも食と農の未来のために必要だとの意見も出た。集会の概要をもとに問題を整理する。

◆農と食のあり方左右

集会では京都大学大学院経済学研究科の久野秀二教授(国際農業分析)が「大義なき主要農産物種子法の廃止―公的種子事業の役割を改めて考える」と題して講演をした。
 
久野教授は種子(たね)の位置づけについて「もっとも基礎的な農業資材。種子のあり方が農と食のあり方を左右し、農と食のあり方が種子のあり方(品種改良)を規定する」と強調した。
 
その種子のあり方については、農民による育種から政策としての公的種子事業へと発展してきた。
 
主要農産物種子法(以下、種子法)は昭和27年、「戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国・都道府県が主導して、優良な種子の生産・普及を進める必要があるとの観点から制定」された。これは今国会に提出された種子法廃止法案について農水省が作成した概要説明資料の記述である。まさに「国家的要請」として、公的種子事業が制度化されたことが示されている。
 
この種子法によって稲・麦・大豆の種子を対象として、都道府県が自ら普及すべき優良品種(奨励品種)を指定し、原種と原原種の生産、種子生産ほ場の指定、種子の審査制度などが規定され、都道府県の役割が位置づけられた。
 
では、なぜ廃止されることになったのか。すでに指摘されているように昨年(2016)の規制改革推進会議農業WG(ワーキング・グループ)の議論からである。久野教授はこの間の経緯を議事録から整理して報告した。当初、生産資材価格の引き下げの議論なかで種子法に関連する項目は一切なかった。それが10月6日の農業WGで「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農産物種子法は廃止する」と問題提起される。
 
理由は、戦略物資である種子・種苗について「国は国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する」というもの。そもそも「国家戦略」としてなぜ「民間活力を最大限に活用」することになるのか、など議論となってしかるべき点は多いが、ほとんど議論された形跡はないという。
 
専門委員である本間正義東大教授が「この法律のどこが具合が悪いということについて、もう少し詳しい説明をされたほうがいい」との意見を述べているが、それ以上の議論はない。
 
そして今年1月の農業WGでの法律廃止の趣旨説明で農水省の山口総括審議官は、▽世界的にも戦略物資として位置づけられているので民間事業者によって生産供給が拡大していくようにする、▽都道府県と民間企業の競争条件が対等になっていない。奨励品種制度などはもう少し民間企業に配慮が必要、などの理由を挙げ、「ということで、今回この法律自体は廃止させていただきたい」と説明した。

◆種子ビジネスの攻勢

農水省のこうした説明について久野教授はいくつもの疑問点を指摘し批判した。
 
そもそも種子の生産の拡大を強調するが公共育種によって不足しているわけではないこと、国家戦略として位置づけるのなら民間に任せるのではなく、より公的な管理が重要になるはずではないか。そしてそもそも生産資材価格の引き下げがテーマだったはずなのに、低廉な種子を供給してきた制度の廃止は、種子価格の上昇を招くのではないのかというものだ。
 
いくつもの疑問があるが、もっとも意味不明なのが、種子法廃止法案を国会に提出した際の理由である。それは「最近における農業をめぐる状況の変化に鑑み、主要農作物種子法を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」という一文だ。"最近における農業をめぐる状況の変化"といいながら、どこにも説明されていない「意味不明」(久野教授)の文書、これで国会審議などできるのだろうか。
 
その国会審議では農水省の姿勢ががらり変わったことも示された。
 
平成19年(2007)4月20日の規制改革会議では、民間委員から民間の品種が奨励品種になることは極めて困難になっている、との意見が出されたが、それに対して当時、農水省(竹森農産振興課長)は「奨励品種に採用する品種については公的機関が育成した品種に限定していない。民間育成品種についても一部奨励品種に採用されている。奨励品種制度が新品種の生産・販売・普及の妨げになっていないと考える」と回答していた。これは衆院農林水産委員会で野党議員が指摘した(日本共産党・畠山和也議員)。
 
今回の説明とはまったく逆である。この間になぜ認識が変わったのか。久野教授はこの背景にあるものは、農業の成長産業化の名のもとの政府・財界による新たな農業・農協攻撃であり、また、植物遺伝子資源を囲い込んで種子事業を民営化し、公共種子・農民種子を多国籍企業開発の特許種子に置き換えようとする種子ビジネスの攻勢だと強調した。それは世界の動きでもある。

◆企業は利益二重取り

「食料改悪は許せない」とJA水戸の八木岡組合長 種子法の廃止の影響はそうした世界の動きに沿ったものとして出てくるだろうという。
 
廃止にともなって、国や都道府県が持つ育種素材や施設を民間に提供し、連携して品種開発を進めるという。しかし、それは公的機関が税金を使って育成した品種という国民の財産を民間企業へ払い下げることになるのではないか。外資の参入は現行の種子法のもとでも自由となっており、廃止によって新規参入を促すものでないと農水省は説明するが、官民連携という名の国民財産の払い下げが行われるのであれば話は違ってくるだろう。
 
さらに都道府県が開発・保全してきた育種素材をもとにして民間企業が新品種などを開発、それで特許を取得するといった事態が許されるのであれば、材料は「払い下げ」で入手し、開発した商品は「特許で保護」という二重取りを認めることにならないか。
 
法的な根拠がなくなってしまえば都道府県の主要農作物種子事業の予算も根拠もなくなる。安定的に種子を確保できるのか。あるいは都道府県間での競争の激化も考えられる。そうなると、種子の需給調整を全国で図ることも困難になるだろう。同時に、久野教授は米国やカナダなどでも公的種子事業の意義と危機感が議論されていることを紹介した。
 
米国では州立大学が公共品種の開発、提供を行っており、小麦の最大生産州カンザスでは州立大学と州農業試験場の種子の供給量が1、2位を占め公共品種の役割を一定程度維持しているという。
 
カナダの小麦は95%が公共品種で、長期的・安定的な予算配分による公的育成プログラムの有効性が立証されているという。
 
ただ、豪州では2000年代から政府が育種事業から徐々に撤退し民間企業の投資が増加、英国でも公的小麦育種事業が民営化(1987年)されたという。米国でも地域差があり、アーカンソー州の米は州立大学で育成された品種が大半だが、栽培面積では民間育成品種が7割を超えるなど徐々に増大しているという。米国では1980年代に民間への技術協力を法制度で決めるなど、民間移転が進んでいるが、一方で公共品種が食料安全保障、持続可能性、教育などの役割を果たすと評価する動きも決してなくなっているわけではないようだ。また、種子事業を民営化した英国では統合的な研究システムが分断した「失われた15年」という反省も出ているという。

◆JAはもっと関心を

食と農の危機を訴える京都大学久野教授 参加者からは種子生産の実態も報告された。
 
もっとも懸念されたのは種子法廃止でこれまで培ってきた現場の技術や体制が混乱しないかということ。根拠法がなくなり財政的な裏づけがなくなれば米の原種価格は5倍以上になると指摘もあった。生産資材価格の引き下げと逆行する。
 
JA水戸の八木岡努代表理事組合長も集会に参加。「JA水戸も県内の種場農協の一つ」だとして28人の部会で米5品種、麦・大豆3品種ずつ生産していることを紹介した。
 
部会では種子を維持するため何度も選抜を繰り返し病害虫防除にも細心の注意を払う。それによって「次第に地域特性が出て、品質や味にまで影響する」と地域に根ざした種子生産の実態を強調した。
 
それが作りやすさだけで海外からの品種で生産することになれば、たとえば「学校給食でもおいしくないコメになる」と懸念する。
 
八木岡組合長は地域で育んだ種子から生産した農産物という点を改めて評価すべきだとし「JAであれば単なる食材ではなく教材として提供できる」と強調し「農業改革が農協改革になり、今度は食料改悪にしてはいけない。農協関係者の出席が少なかったが、もっと関心を持つべきだ」と訴えた。
 
久野教授は食料主権の一つとして種子主権も主張するとともに、世界で取り組まれている種子保護の運動とも連帯すべきなどと主張した。

・TPP アメリカ抜きの11か国で発効を議論へ(NHK NEWS web 2017年4月20日)

※麻生副総理兼財務大臣は、ニューヨークで講演し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、離脱を決めたアメリカ以外の11か国による発効に向けた議論が来月から始まるという見通しを明らかにしました。

麻生副総理兼財務大臣は、G20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席するためアメリカを訪れており、19日、ニューヨークのコロンビア大学で講演しました。

麻生副総理は、講演のあとの質疑の中で、今月18日に日本で行われたアメリカのペンス副大統領との初めての経済対話について、「日本とアメリカで作り上げられたルールをアジア太平洋でも広めていこうと思う」と述べ、日米が主導して貿易と投資のルールをアジアに広げたいという考えを示しました。

そのうえで麻生副総理は、アメリカが離脱を決めたTPPについて、「アメリカなしで11か国で進めようという話はどういう形でまとまるか分からないが、ことし5月のAPEC=アジア太平洋経済協力会議に合わせて開く参加国会合で出てくる」と述べて、アメリカ以外の11か国による発効に向けた議論が来月から始まるという見通しを明らかにしました。

さらに麻生副総理は、アメリカが強い意欲を示している日本との2国間のFTA=自由貿易協定の締結に向けた交渉について「2国間となると、アメリカから日本が得るものを計算した場合、TPPほどの水準に達しないということは、はっきりしている」と述べて、アメリカ側をけん制しました。


官房長官「主導的に議論進める」

TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、政府は、アメリカのトランプ大統領が離脱を表明したあとも、アメリカを除く11か国での発効を目指すことは想定していないという立場をとってきました。

こうした中、菅官房長官は午前の記者会見で「TPP協定は激論に激論をし時間を重ねて合意にこぎつけた。合意した高いレベルでのルールを実現していくことについてどのようなことができるのか各国と議論するのはある意味で当然だ」と述べました。

そのうえで菅官房長官は「来月、TPP参加国の閣僚会合を開いて今後の方向性の議論を行う予定だ。TPPについてわが国が求心力を保って各国と緊密に連携してあらゆる選択肢を排除せず、何がベストかを主導的に議論を進めていくというのがわが国の立場だ」と述べ、アメリカを除く11か国で発効させることも含め各国との間で主導的に議論したいという考えを示しました。

また菅官房長官は、アメリカが日本との間でFTA=自由貿易協定の交渉入りに意欲を示していることについて「日米経済対話ではFTAの具体的な言及はなかった。どのような枠組みが最善であるかを含めて今後、建設的に議論したい」と述べました。


日商会頭「非常に歓迎している」

日本商工会議所の三村会頭は、20日の定例の記者会見で「今の世界で、TPPに匹敵するような多国間でレベルの高い協定をすぐに成立させるのは非常に難しく、協定を死なせてはいけない」と述べました。
そのうえで三村会頭は「議論には、う余曲折があるかもしれないが、日本が考え方をしっかり持てば一つの動きになるので、非常に歓迎している」と述べ、アメリカ以外の11か国でTPPの発効を目指す動きを歓迎する考えを示しました。

・中国人のビザ発給要件、5月8日から緩和 外務省(日本経済新聞 2017年4月21日)

※外務省は21日、5月8日から中国人のビザ(査証)の発給要件を緩和すると発表した。中所得程度の中国人とその家族に対し、3年間なら何度でも日本を訪問できる「数次ビザ」を発給する。最初は観光目的に限る。中国国外に住んでいる中国人にもビザの発給要件を緩める。外務省は「日中間の交流を拡大し、観光立国と地方創生に取り組む」と説明している。

・「VXは北朝鮮で製造」 オウム中川死刑囚が手紙で明かす(TBS NEWS 2017年4月21日)

※北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏が猛毒のVXで殺害された事件について、オウム真理教元幹部の中川智正死刑囚が「VXは北朝鮮で製造された」「目薬や香水の小さい容器で運ぶことが可能だ」などと記した手紙を、拘置所から出していたことがわかりました。

「VXは北朝鮮で製造され、マレーシアに持ち込まれたと思います」(中川智正 死刑囚)

教団によるVX殺害事件やサリンの製造に関わった中川死刑囚が、毒物の世界的権威であるコロラド州立大学のアンソニー・トゥー名誉教授に宛てて、12日付で出した手紙の内容です。

「マレーシア国内で市販の薬品からVXを合成するのは無理です。一方でVXは運搬が容易です。目薬や香水の容器1本に入れて運ぶことが可能です」(中川死刑囚)

手紙には、中川死刑囚がVXを扱った際の経験についても綴られています。

「私が誤って自分の手にVXを付けたとき、遅くとも1分以内に熱傷のようなひりひりとした痛みが始まりました」(中川死刑囚)

こうした経験から中川死刑囚は、実行犯として逮捕された2人の女性について、「VXを使用するにしても安全な方法は他にあった」として、「自爆テロ犯のような使い捨てだったと思う」と指摘しています。

「VXを治療したのは世界で彼一人しかいない。(今後は)その治療のことを詳しく書いたほうが他の人に役に立つ」(コロラド州立大学 アンソニー・トゥー名誉教授)

・「犯罪集団に一変」は合意の確認が必要 法務省局長(NHK NEWS web 2017年4月21日)

※「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案について、法務省の林刑事局長は、一般の団体が組織的犯罪集団に一変したと認定するためには、団体の内部で犯罪目的の集団に変わるという合意があったと、確認することが必要だという認識を示しました。

「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案は、テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が、ハイジャックや薬物の密輸入などの重大な犯罪を計画し、メンバーの誰かが準備行為を行った場合、計画した全員を処罰するとしています。

これについて、法務省の林刑事局長は、21日の衆議院法務委員会で、過去に犯罪を犯していない一般の団体が組織的犯罪集団に一変したと認定するためには、団体の内部で犯罪目的の集団に変わるという合意があったと確認することが必要だという認識を示しました。

21日の委員会では、林局長をこの法案の審議の参考人として出席させることと、来週25日に参考人質疑を行うことを、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で議決しましたが、林局長の出席は委員の求めに応じて認める形にすればよいとする民進党や共産党が抗議し、林局長が答弁する際に両党の委員が詰め寄る場面もありました。

・準備行為前でも捜査対象 「共謀罪」、政府が見解(朝日新聞DIGITAL 2017年4月22日)



※犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案について、政府は21日の衆院法務委員会で、テロなどの犯罪計画の疑いがあれば「準備行為」の前でも捜査できるとの見解を示した。過去の法案と同様、犯罪の既遂、未遂を問わず、計画段階で捜査対象になることが明らかになった。

政府は資金や物品の用意、現場の下見などの「準備行為」を犯罪成立の要件として新たに加え、準備行為がなければ処罰の対象にならないと説明。過去3度廃案になった共謀罪法案とは「明らかに別物」(菅義偉官房長官)と主張してきた。

この日の法務委では、民進党の階猛氏が「準備行為が行われた後でないと捜査は開始できないのか」と質問。法務省の林真琴刑事局長が「テロの計画が実行される蓋然(がいぜん)性があり、犯罪の嫌疑があれば、準備行為が行われていない段階でも、任意捜査を行うことが許される」と答えた。

任意捜査は内偵や事情聴取など裁判所の令状が必要ない捜査。民進党の山尾志桜里氏は審議で「一般人も広く網がかけられ、監視されるようになる」と批判した。一方、過去の法案では計画段階でも可能だった逮捕や家宅捜索といった令状に基づく強制捜査について、金田勝年法相は「(今回の法案では)準備行為が行われておらず、罪が成立していない段階ではできない」と否定した。

・中学から第2外国語必修へ 都立小中高一貫校で計画(朝日新聞DIGITAL 2017年4月27日)

※東京都教育委員会は27日、2022年度の開校を目指す都立の小中高一貫校で、中学校から第2外国語を必修とし、小学校でも希望者向けに課外授業を行う方針を決めた。文部科学省などによると、中学校で第2外国語を必修とする例は珍しいという。

都教委によると、公立の小中高一貫校の開設は全国初の試み。国際的に活躍できる人材の育成などを目指しており、外国語教育に力を入れたい考えだ。

都立小中高一貫校では、7年生(中1)から第2外国語として仏語、中国語、スペイン語などのうち一つを必修にする。都教委は学習指導要領に縛られない指導ができる国の教育課程特例校制度を使うことなどを検討している。1~6年生の段階でも、希望する児童には授業外で第2外国語に触れる機会を設ける。

英語の授業も1年生から行い、6年生で英検3級(中学卒業程度)、卒業時に英検準1級(大学中級程度)水準の習得をめざす。

大手学習塾の栄光ゼミナールによると、第2外国語学習には一部の私立中が取り組んでいるという。

都教委は、都立立川国際中等教育学校(立川市)に付属小を新設して小中高一貫校とし、抽選と適性検査で入学者を選考する予定だ。