・LINEでも共謀成立の恐れ 法相「合意の手段を限定せず」(東京新聞web 2017年2月24日)
※政府が「共謀罪」と同じ趣旨で創設を目指す「テロ等準備罪」について、金田勝年法相は二十三日、衆院予算委員会の分科会で、犯罪を合意(共謀)する手段を限定しない考えを明らかにした。会議などでメンバーが対面して行う合意だけでなく、電話やメール、LINE(ライン)で合意が成立する可能性を認めた。広い範囲で会話や通信が捜査対象となる恐れがある。 (山田祐一郎)
民進党の山尾志桜里氏の「共謀は電話やメールなどでも認定され得るのか」という質問に、金田法相は「特段、限定をしない前提で検討している」と答弁。複数の人に同時送信するメーリングリストや、LINEのグループメールでの合意が成立するかどうかについては「そのような事例は証拠を慎重に検討していく」としながらも、手段の限定は検討していないとした。山尾氏は「誰がどのタイミングでどんな内容を送っているのか。それを閲覧し、どう返信しているかを幅広く監視しなければならなくなる」と指摘した。
日本刑法学会理事の葛野尋之(くずのひろゆき)一橋大教授(刑事法)は「最高裁の判例は、黙示的な意思の連絡があっただけでも共謀を認めている。申し出を受け、積極的に異議を述べなかったことから合意が成立したとされる可能性もある」と説明。「共謀と準備行為はもともと曖昧だが、疑いがあるだけで捜査の対象になる。今後、捜査で通信傍受や位置情報の探知がなされると、その範囲が拡散する恐れがある」と問題点を指摘する。
また、合意の定義を巡っては、二〇〇五年十月の衆院法務委員会で、法務省の大林宏刑事局長(当時)が「目くばせによって一斉に動くようなシステム化されたものであれば、十分成立する場合はある」との見解を示している。金田氏はこの日、合意の定義について「目くばせだけでは合意は成立しない」と述べたが、過去の共謀罪法案審議で政府が示した定義は「変わっていない」とも答弁。今回の法案でも一定の条件の下では「目くばせ」で合意が成立する場合があることを事実上認めた。山尾氏は「都合の良いところだけを発信するのは誤解を生み、不誠実だ」と批判した。
◆日弁連 反対の意見書
日弁連は二十三日、「共謀罪」と同じ趣旨で政府が創設を目指す「テロ等準備罪」について、テロ対策のために広範な共謀罪の新設が必要なわけではないとして、法案の国会提出に反対する意見書を法務省と外務省に提出した。共謀罪法案に反対する意見書は二〇〇六年、一二年に続いて三度目。昨年八月に政府の新たな共謀罪法案の検討が判明してからは初めて。
・森友問題でメディア懐柔…安倍首相が記者らと中華で宴会(日刊ゲンダイDIGITAL 2017年2月28日)
※“森友学園”問題が火を噴き、国会で連日追及されている安倍首相。27日突然、官邸担当の記者を集めて、赤坂の中華料理店で懇談をしている。「これ以上、森友学園のことは報じるな」という圧力だともっぱらだ。
「忙しい首相が、当日に『きょう懇談をしよう』と記者を誘うのは異例のことです。どの社もエッと驚いた。もちろん目的は“森友学園についての報道は控えめにして欲しい”という牽制でしょう。宴会は夜7時過ぎから2時間半つづき、森友学園についても釈明したそうです」(政界関係者)
官邸サイドは、懇談は数日前から決まっていたが、幹事社が各社に伝達しなかったと説明しているらしいが、いずれにしろ、このタイミングで2時間半も記者と宴席を囲んだのは、メディアが森友学園の疑惑を大きく報じ始めたことへの危機感の裏返しに違いない。
「さすがに安倍首相も慌てています。なにしろ、森友学園の問題は分かりやすい。国有地が格安で払い下げられ、その小学校の名誉校長に安倍夫人が就任している。しかも、森友学園の教育内容がメチャクチャときている。安倍首相が危機感を強めたのは、ワイドショーまで面白おかしく報じ始めたことです。これまで大新聞テレビは、安倍首相のスキャンダルを報じようとしなかった。安倍官邸がアメとムチでコントロールしてきたからです。でも、“赤信号みんなで渡れば怖くない”と、一斉に森友学園と安倍首相の関係を報じている。アンダーコントロールとはいかなくなり、危機感を抱いているはずです」(官邸事情通)
安倍首相と仲良く高級中華を食べた大手メディアは、森友学園のことを報じなくなるのか。国民は監視が必要だ。
・「人類を滅亡させないため、世界政府樹立を」ホーキング博士(左派No.1物理学者)が警告!(TOCANA 2017年3月12日)
※車椅子の理論物理学者スティーブン・ホーキング博士がまたしても人類に警鐘を鳴らしていたことが「The Times」(3月7日付)のインタビューで判明した。これまでにもAIの危険や人類の行く末について度々発言してきた博士が語る最新の危機をお伝えする。
■ヒトの本能が人類を滅亡させる
今回、ホーキング博士が焦点を当てるのは人類が持つ「攻撃性」だ。攻撃性を自制しなければ、将来必ず人類は滅亡するという。
「有史以来、生存の利点から攻撃性は人類にとって有効に機能してきました。ダーウィンの進化論によると、攻撃性は我々の遺伝子に組み込まれています。しかし、テクノロジーの長足の進歩に伴い、核戦戦争や細菌戦争が可能になった今、我々の持つ攻撃性が自らを絶滅へと追いやろうとしています。我々はこの遺伝された本能を論理と理性でコントロールしなくてはなりません」
第三次世界大戦が目前に迫るとも言われている今、大国同士の国家間戦争がもたらす被害は想像を絶するものになるはずだ。身近なところでは、今月6日に北朝鮮が4発の弾道ミサイルを日本海へ向けて発射したが、これもホーキング博士が危惧する事態の1つだろう。では、人類の攻撃性をコントロールするために何が必要だと博士は考えるのだろうか?
「抑制が効かなくなる前に、いち早く脅威を発見しなくてはなりません。そのためには何らかの世界政府が必要になります」
「私の発言は破滅的に聞こえるかもしれませんが、私は楽観主義者です。いずれ人類はこれらの危機に対処するため立ち上がるでしょう」
「世界政府」の具体的な在り方について博士は詳述していないが、おそらく、「暴力装置としての国家をコントロールするためには、国家の壁を越えた世界政府の樹立が必要」ということだろう。
「人類を滅亡させないため、世界政府樹立を」ホーキング博士(左派No.1物理学者)が警告!の画像3画像は「Thinkstock」より引用
博士は昨年も人類の協力を呼びかけていた。(英紙「The Guardian」(2016年12月1日付))
「私が最も懸念しているのは、人類が協力し合うことがこれほど必要な時代はかつてなかったということです」
「我々は気候変動、食糧生産、人口過多、他の生物種の殺戮、伝染病、海の酸性化など深刻な環境問題に直面しています」
■AIが“悪意なく”殺人を犯す未来
しかし、一部の保守派は博士の理想主義を「共産主義的」と考えているようだ。米統一教会系保守派新聞「Washington Times」(3月9日付)は、博士を「左派ナンバーワン物理学者」と呼び、「米国民の諸権利は政府ではなく神から与えられたため、世界政府とは相容れない」と持論を展開、博士の発言を「ばかげた話」と非難している。
果たして、博士が言うような「人類が協力しあう日」は今後訪れるのだろうか? 「Washington Times」の記事を読む限り、悲観的にならざるを得ない……。
さらに、ホーキング博士が危険視するのは人間の攻撃性だけではない。2015年、ホーキング博士は米オンライン掲示板「Reddit」で、AIが人類を皆殺しにする可能性に言及していた。博士によると、AIは“悪意なく”人間を大量虐殺する可能性があるという。
「AIの本当の脅威は彼らの悪意ではなく競争力です。超知性を持つAIは目的の達成のためにとてつもない能力を発揮するでしょう。ただ、その目的が我々と合致しない場合、人類は危機に陥ります」
「あなたは悪意をもってアリを踏み潰すような“アリ嫌い”ではないと思います。しかし、もしあなたが水力発電の開発プロジェクトを担当していて、その地域のアリ塚を水浸しにしてしまうとしたら、どうでしょう? その場合、(人間にアリを殺す意図が無くても)アリたちにとってはとても不幸な事態です。私が言っているのは、人類をこの不幸なアリたちの立場に置かないようにしよう、ということです」
人類を滅亡に追いやるのはヒトかAIか? いずれにしろ、人類がかつてないほど大きな岐路に立っていることは間違いないだろう。今後もホーキング博士の発言から目が離せない。
・再び敵基地攻撃能力の保有議論、北朝鮮のミサイル進展で(ロイター 2017年3月8日)
※北朝鮮の弾道ミサイル開発の進展を受け、政府・与党内で敵基地攻撃能力の保有議論が再び活発化してきた。これまで幾度となく浮上したテーマだが、費用や技術的な難しさに加え、地域の軍拡競争につながることなどを懸念する米国の支持を得られず、実現してこなかった。
議論を主導する自民党は、抑止力が高まるとして今年夏前までに政府への提言を再びまとめる考えだ。
<在日米軍基地の攻撃を想定>
敵基地攻撃能力は、F35のようなステルス戦闘機による空爆や、巡航ミサイルといった打撃力を使い、敵国内のミサイル発射装置などを破壊する能力。専守防衛を掲げ、抑制的な防衛力の整備を基本としてきた日本は、たびたび保有論が頭をもたげつつも、この能力を米軍に依存してきた。
しかし、同盟国の自助努力を訴えるトランプ政権が米国で誕生したことで、能力保有の検討を進めるべきとの声が自民党を中心に再び浮上。さらに今年2月と3月に発射された北朝鮮の弾道ミサイルが、議論に拍車をかけている。
自民党の今津寛・安全保障調査会長は「巡航ミサイルなのか、F35なのかは分からないが、(能力を)持つこと自体が抑止になる。それすらないと、北朝鮮から日本は何もしてこないと見られる」と話す。
政府・与党関係者が特に衝撃を受けたのが、今月6日に4発のミサイルを日本海へ発射した後、北朝鮮が国営通信を通じ、在日米軍基地への攻撃を想定した訓練だったと明らかにしたこと。脅威のレベルが上がったと、関係者は口をそろえる。
自民党内の議論を主導する小野寺五典・元防衛相は「相手の領土からミサイルが飛んできて日本を攻撃するというのは、かつては想定していなかった」と指摘する。「しかし技術が進み、北朝鮮のような何をするか想定できない国が、その技術を持ったとすれば、1発撃たれた後に2発目、3発目を撃たせないための能力も必要だ」と話す。
<「基礎研究は終わっている」>
日本政府は改良した迎撃ミサイルの配備を急ぐとともに、陸上配備型イージスなど新型迎撃ミサイルの導入の検討を進めている。その一方で、敵基地攻撃能力の研究も水面下で続けてきた。政府関係者の1人は「基礎研究は終わっている」と話す。
比較的容易なのは、沖縄県与那国島に島しょ防衛用の地対地ミサイルを配備すること。北朝鮮も射程に入れることが可能という。
米ロッキード・マーチン(LMT.N)製の射程1000キロの空対地ステルスミサイルや、もう少し飛距離が短いノルウェーのコングスベルグ社が開発したジョイント・ストライク・ミサイルをF35に積めば、すぐに能力が整う。
自民党は今から4年前にも敵基地攻撃能力の保有を政府に提言しているが、今ほど北朝鮮の弾道ミサイルの能力が高まっておらず、政府が正式に採用することはなかった。アジアの軍事バランスが崩れることなどを懸念した米国が、難色を示したことも影響した。
自民党は今国会の会期末までに政府への提言をまとめる。2019年度からの次期中期防衛力整備計画に反映させたい考えだが「そこまで待って良いのか。可能なものは18年度予算から取り組むべき」(自民党関係者)との意見も出ている。
一方で、「こちらが攻撃をした後に、相手がどういう反応をしてくるのか。基地を1つたたいたら、どんどん撃ち返される恐れもある。リスクについても検討する必要がある」(別の自民党関係者)と、慎重な議論を求める声もある。
・外国人の就農解禁=特区法改正案を閣議決定(時事通信 2017年3月10日)
※政府は10日の閣議で、地域限定で規制緩和を行う国家戦略特区法の改正案を決定した。高い専門性を持つ外国人が農業分野や観光などサービス分野で就労しやすくなるよう、在留要件を緩和することなどが柱。今国会での成立を目指す。
改正案には、現在3歳未満となっている小規模認可保育所の対象年齢を5歳まで拡大する規制緩和も盛り込んだ。また、自動運転など先端技術の実証実験の迅速化に向け、規制の抜本的な見直し策を1年以内に検討する方針を明記した。
地域の特産品を原料にした焼酎の少量生産を認める「焼酎特区」を創設する構造改革特区法の見直しと合わせ、一本の法律として国会に提出する。
・民泊、条件付き解禁へ=年180泊上限-届け出や罰則規定・新法案(時事ドットコム 2017年3月10日)
※政府は10日の閣議で、住宅やマンションの空き部屋を旅行者らに有償で貸し出す「民泊」のルールを定めた新法案を決定した。民泊物件の所有者らに届け出などを義務付け、違反者への罰則を設けた上で、営業を全国で解禁する。年間営業日数の上限は180泊とし、生活環境の悪化が懸念される地域では都道府県や政令市などが条例により短縮できるようにする。早ければ2018年1月からの施行を目指す。
民泊は現在、東京都大田区や大阪府など国家戦略特区で認められている他、旅館業法に基づきカプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」としての営業許可を受ければ実施可能。ただ、無許可営業が横行し、周辺住民とのトラブルなどが問題となっている。
新法案は、特区以外の地域や、簡易宿所を原則設置できない住宅地での民泊を解禁。一方で物件の所有者に(1)都道府県への届け出(2)衛生管理(3)苦情対応-などを義務付ける。物件管理を所有者から委託された業者や、米エアビーアンドビーのような仲介業者には国への登録を課す。
違反者に対する立ち入り検査の実施や罰則も定めた。物件の所有者が虚偽の届け出をしたり、営業停止命令などに従わなかったりした場合、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。
・無資格でも有償ガイドOK=通訳案内士法改正案を決定(時事ドットコム 2017年3月10日)
※政府は10日の閣議で、外国人旅行者に観光案内を行う「通訳案内士」の資格が無くても有償でガイドできるようにすることを柱とする通訳案内士法改正案を決定した。外国人旅行者の急増を踏まえ、既存の案内士だけでは数が足りないと判断。無資格者にも有償ガイドを解禁する。
自治体が行う研修を受ければ資格を得られる地域限定の「地域通訳案内士」も新設。大都市に集中している訪日客を地方に呼び込むことを目指す。
・在留外国人 最多238万人…永住者、20年で10倍(毎日新聞 2017年3月17日)
※法務省は17日、2016年末の在留外国人数が238万2822人(前年末比15万633人、6.7%増)だったと発表した。在留資格別では「永住者」が72万7111人(同2万6611人、3.8%増)と最も多く、いずれも統計を取り始めた1959年以降最多。在留外国人は96年の134万人余から20年で100万人余増の1.77倍だが、永住者は96年の約7万2000人から約10倍と大幅に増加した。
在留外国人はリーマン・ショックの影響などで09年から減少し、13年に増加に転じた。16年末は国別で(1)中国(69万5522人)(2)韓国(45万3096人)(3)フィリピン(24万3662人)(4)ベトナム(19万9990人)の順。一方、永住者はその間も一貫して増加。16年末の国別は未集計だが、15年末は(1)中国(22万人余)(2)フィリピン(12万人余)(3)ブラジル(10万人余)(4)韓国(6万人余)の順だった。
在留資格別では永住者に続き▽在日韓国・朝鮮人などの特別永住者33万8950人(前年末比2.8%減)▽留学27万7331人(同12.4%増)▽技能実習22万8588人(同18.7%増)の順。
15年の国勢調査で日本の総人口は1億2709万4745人で、10年調査から96万2607人減少したが、これには在留外国人も含まれ、永住者の急増が総人口の減少を緩やかにしていると言える。政府は「移民政策は取らない」との立場だが、首都大学東京の丹野清人教授(労働社会学)は「在留資格の更新が不要で職業制限もない永住者は実質的に移民だ」と指摘している。
・在留外国人、最多238万人=ベトナムが急増(時事ドットコム 2017年3月17日)
※法務省は17日、2016年末時点の在留外国人数が前年比6.7%増の238万2822人となり、2年連続で過去最多を更新したと発表した。今年1月1日現在の不法残留者数は3.9%増の6万5270人で、3年連続で増加した。いずれもベトナムからの人数が大きく伸びた。
在留外国人は、就労や留学などの中長期滞在者と特別永住者の合計。国別では、中国69万5522人、韓国45万3096人、フィリピン24万3662人。これにベトナムが19万9990人で続き、増加率は36.1%と突出して高かった。
不法残留は、韓国1万3265人、中国8846人、タイ6507人。ベトナムは34.9%増の5137人だった。
・外国人犯罪の勢力図に変化? ベトナム人の刑法犯が中国人抜く(産経ニュース 2016年11月27日)
※昨年1年間に全国の警察が摘発した外国人(永住者除く)刑法犯の事件のうち、ベトナム人によるものが2500件を突破し、国籍別で中国人を抜き1位となっていたことが26日、警察庁への取材で分かった。外国人犯罪の摘発件数が平成17年をピークに減少する一方、ベトナム人の犯罪は3倍以上に増加。捜査幹部は「中国人が中心となってきた外国人犯罪の勢力図が変化している」と警戒感を強めている。
警察庁によると、昨年の外国人の刑法犯の摘発件数のうち、ベトナム人によるものは2556件で1位。26年の1972件と比べ約1・3倍となった。
国別では、中国2390件、ブラジル1282件と続いた。凶悪犯(殺人、強盗、放火、強姦の各罪)に絞っても総数142件のうち、ベトナム人が最も多い34件となった。
外国人の刑法犯の摘発件数は17年の3万3037件をピークに年々減少しており、26年には初めて1万件を割り込み、昨年は9417件だった。
国籍別では、17年に1万1366件だった中国、6811件だったブラジルは、それぞれ10年で5分の1程度に減ったが、ベトナムは792件と3倍以上に増えた。
摘発が増加するベトナム人犯罪。関東・近畿地方の団地では外部から実態が把握しづらい「ベトナム人コミュニティー」が形成されており、「犯罪の温床」になる可能性もあると指摘する捜査関係者もいる。留学生が犯罪に加担することもあり、警視庁幹部は「中国人犯罪が激増した初期と似ている」と分析する。
■団地に「大麻工場」
「結束は固い。警察でも簡単には入ってこれない」
20代の“ベトナム出身”の男性は声を潜めてこう明かした。日本語をよどみなく話し、日本名を名乗るが、両親はベトナム戦争後の混乱から逃れて難民として来日した。
男性が語るのは、生まれ育った関東近郊の団地のことだ。築数十年が経過し、日本人はあまり住んでいないという。「1人が生活の拠点を作ると、ベトナムから親族や知人を次々と呼び寄せる。そうやってコミュニティーが広がる」
もちろん団地に住むベトナム人の多くは付近の工場や飲食店、土木作業の現場などで正規の職を得ている。しかし一部は犯罪を“生業”としているという。
数年前には団地に住むベトナム人が付近の倉庫を借り上げて運営していた「大麻工場」が摘発。ベトナム国内の犯罪組織と連携し、盗んだ工具や盗難バイクを「輸出」した事件もあった。「盗品売買や生活保護の不正受給などいろいろな犯罪が行われる。留学生と結託して犯行に及ぶこともある」という。
■「マフィア化」警戒
捜査当局はこうした各地のコミュニティーに加え、人的交流が活発化したことが犯罪増の要因と見る。
国際観光振興機構によると、昨年来日したベトナム人は18万5395人で、平成17年と比べ約8倍に増加した。また日本学生支援機構の統計では、26年度に2万6439人だったベトナム人留学生は、わずか1年で3万8882人に増えた。「こうした動きの中で現地の犯罪組織と在日ベトナム人が連携するケースが増えた」(捜査幹部)。
ベトナム人が起こした主な犯罪では27年9月、大阪市生野区でベトナム人同士の殺人事件が発生し4人が殺人容疑で逮捕。今年9月には東京都あきる野市の路上でアルバイト女性が襲われる通り魔事件があり、ベトナム人の男(22)が傷害容疑で逮捕された。
警視庁幹部は「中国人犯罪が激増した初期と似ている。窃盗などの軽微な犯罪が増え始め、出身者同士の凶悪事件が起きている。ベトナム人グループのマフィア化も懸念され、今後警戒が必要だ」と語っている。
・外国人労働者受け入れ リスク招く政府の場当たり的対応 加谷珪一氏(iRONNA 2017年3月19日)
※日本で働く外国人労働者の数が初めて100万人を突破した。政府は労働力不足を理由に、高度人材の受け入れに積極姿勢をみせるが、現実には技能実習制度などを通じて単純労働者の流入が急増している。場当たり的な対応では、いずれ「移民問題」に直面する。日本は外国人労働者をどこまで受け入れるべきか。(iRONNA)
◇
日本は外国人労働者を受け入れていない国だと思っている人も多いが、それは幻想である。厚生労働省が1月に発表した平成28年末の外国人労働者数は前年同月比19・4%増の108万3769人となり、4年連続で過去最高を記録した。
背景にあるのは、国内の深刻な人手不足である。日本は人口減少と高齢化が進んでおり、過去15年間で34歳以下の若年層人口は約22%減少し、60歳以上の人口は逆に43%も増加した。若年層の労働人口減少が顕著であることから、企業は常に人員確保に頭を悩ませている。
政府は建前上、就労目的での在留資格については専門的な職種に限っているが、現実には企業からの要請を受け「外国人技能実習制度」など、事実上の単純労働者受け入れ政策を行ってきた。この状況に拍車をかけているのが東京五輪による建設特需である。建設業に従事する労働者の数はピーク時と比較すると約25%、数にして170万人ほど減っており、建設現場では慢性的な人手不足が続いている。政府は外国人建設労働者の受け入れ枠をさらに拡大したい意向だ。
建前上、外国人労働者を制限していながら、なし崩し的に受け入れを増やしているわけだが、こうした、ちぐはぐな対応はリスクが大きい。
中核労働力の減少
外国人技能実習制度については、米国務省から人権侵害の疑いがあると指摘されており、現実に、賃金の未払いや、劣悪な環境での住み込み強要といった事例が発生している。この制度がやっかいなのは、れっきとした日本政府の事業であるという点だ。
政府がこうした事業に直接関与し、劣悪な労働環境を放置しているということになると、場合によっては国際政治の駆け引きにおいて格好の餌食となる可能性がある。日本はこれまで、似たようなケースで国益を何度も損なっていることを忘れてはならないだろう。
一方、日本の人手不足は極めて深刻だ。特に、企業の労働力の中核となっている35歳から59歳までの人口はこの先20年間に26%も減少してしまう。これまでは若年労働者の不足だけで済んでいたが、今後中核労働力の減少という大きな問題に直面し、持続的な経済成長を妨げかねない。
この対策として(1)外国人労働者を受け入れる(2)女性や高齢者の就業を増やして労働力不足を補う(3)イノベーションを活用して生産性を向上させる、という選択肢がある。日本は無意識的に(1)を選択してきたわけだが、労働をめぐる環境はこのところ大きく変化している。
対策はAI化で
そこで有効なのはAI(人工知能)だろう。ロボットの導入で余剰となった人材を、人手が足りない分野にシフトさせることができれば、供給制限で経済が停滞するという事態を回避できる。というよりも、全世界的にAIの普及が進む以上、これを積極的に活用していかなければ、相対的に高い成長を目指すことが難しくなっているのだ。日本も労働力不足という問題に対して、外国人労働者の受け入れではなく、AI化で対応するのが望ましい。
ただ、これには問題もある。企業の現場にAIが普及すると、当然のことながら仕事の範囲が変わり、組織の人材を再配置する必要が出てくる。こうした動きは社内だけでは完結しないので、最終的には転職市場を通じた人材の流動化が必須となる。日本人はこうした人材の流動化に対する抵抗感が極めて大きく、これがAI化の進展を遅らせてしまう可能性があるのだ。
労働力不足は、日本の国力低下に直結する、まさに「国益」に関するテーマであり、場当たり的な対応を続けることはもはや許容されないだろう。変化をかたくなに拒んだ結果、AI化が進まず、外国人労働者の数だけが増えるという事態になってはまさに本末転倒である。
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【プロフィル】加谷珪一 かや・けいいち 経済評論家。昭和44年、仙台市生まれ。東北大工学部卒業後、日経BP社記者として入社。野村証券グループの投資ファンド運用会社を経て独立し、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。著書に『教養として身につけておきたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)など。
・米銀行家D・ロックフェラー氏死去、101歳(ロイター 2017年3月21日)
※米大富豪で慈善家としても知られるデービッド・ロックフェラー氏が20日、ニューヨーク郊外の自宅で心不全のため死去した。101歳だった。ロックフェラー家の報道担当者が明らかにした。「眠るように安らかな最期」だったという。
ニューヨークのロックフェラー・センターを作ったジョン・ロックフェラー2世の息子で、スタンダード・オイルを創業した石油王ジョン・ロックフェラーの唯一生存する孫だった。
マンハッタンに生まれ、1936年にハーバード大を卒業。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学んだ後、1940年にシカゴ大学で経済学の博士号を取得。1969年から1981年まで、米銀大手チェース・マンハッタン(現JPモルガン・チェース)の会長を務め、各国政府や多戸籍企業との密接な関係を築いた。
米フォーブス誌によると、同氏の資産は2017年3月時点で推定33億ドル。ニューヨーク近代美術館やロックフェラー大学などに、生涯で20億ドル近くを寄付したと報じられている。
※3月20日は春分の日。
・ロックフェラー家の当主 デービッドさん死去 101歳(NHK NEWS web 2017年3月21日)
※世界有数の富豪、アメリカのロックフェラー家の当主で日本とも関わりの深い銀行家のデービッド・ロックフェラーさんが20日、心不全のため亡くなりました。101歳でした。
デービッド・ロックフェラーさんは1915年、石油王のジョン・ロックフェラーの孫として、アメリカ・ニューヨークで生まれ、ハーバード大学を卒業後、1946年に当時のチェース・ナショナル銀行に入りました。
その後、1969年から81年までチェース・マンハッタン銀行の会長を務め、積極的な海外進出を進めた一方、大学や美術館などに多額の寄付をしたことでも知られています。
アメリカの経済界を代表して、各国の首脳と数多く面会し、世界に人脈を築いたほか、日本とも関わりが深く、1973年には民間レベルで北米と西ヨーロッパ、日本の間で理解を深め、各国政府に政策提言を行う「三極委員会」を立ち上げました。また、1994年に天皇陛下がアメリカを訪問された際には、ニューヨーク近郊にある邸宅に招いています。
ロックフェラー家の報道担当者によりますと、ロックフェラーさんは20日、自宅で心不全のため、101歳で亡くなったということです。
・デビッド・ロックフェラー氏死去 101歳、親日家の銀行家(日本経済新聞 2017年3月21日)
※米巨大石油会社スタンダード・オイルを興した大富豪ロックフェラー家のデビッド・ロックフェラー氏が20日、ニューヨーク郊外の自宅で心不全のため死去した。101歳だった。同氏のスポークスマンよると、自宅で睡眠中に安らかに亡くなったという。
デビッド氏は石油会社の創業者ジョン・ロックフェラー氏の孫で大手米銀チェース・マンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)の最高経営責任者(CEO)などを務めた。
1915年、ニューヨーク市で6人兄弟の末っ子として生まれた。36年ハーバード大学卒、40年シカゴ大学で経済学博士号取得。ラガーディア・ニューヨーク市長の秘書を経て、46年に旧チェース・ナショナル銀行入行、69年にチェース・マンハッタン銀行の会長兼CEOに就任した。
銀行経営者として海外事業を拡大し、世界の政界や経済界に広い人脈を築き、民間外交に活躍した。芸術や文化などを通じた慈善事業にも力を入れ、母親が設立に関わったニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事として長く運営に関与した。
親日家としても知られ、94年の天皇陛下のニューヨーク訪問時にはロックフェラー家の邸宅に招いた。ニューヨークの日米親睦団体、ジャパン・ソサエティーはデビッド氏の兄で故ジョン・ロックフェラー3世が会長を務めた。
デビッド氏の父、ジョン・ロックフェラーJr氏が建てたニューヨークのランドマーク、ロックフェラーセンターを一族が89年に三菱地所に売却した際には、デビッド氏が米国民からの批判の矢面に立った。
・デービッド・ロックフェラー氏が死去 101歳 三代目当主、世界文化賞名誉顧問(産経ニュース 2017年3月21日)
※米国の富豪ロックフェラー家の三代目当主で銀行家のデービッド・ロックフェラー氏が20日、米ニューヨークの自宅で死去した。101歳だった。死因は心不全。ロイター通信などが伝えた。
1915年、ニューヨーク生まれ。61年にチェース・マンハッタン銀行会長に就任し、69年から81年にかけて最高経営責任者を務めた。78年から日本関連団体「ジャパン・ソサエティー」名誉会長。91年には勲一等瑞宝章を受章した。高松宮殿下記念世界文化賞の創設時から90年まで国際顧問を務めた後、名誉顧問に就いた。
・デービッド・ロックフェラー氏死去、101歳(読売新聞 2017年3月21日)
※米石油大手エクソンモービルの母体となるスタンダードオイルを創業した大富豪、ジョン・ロックフェラー氏の孫で、米銀大手チェース・マンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)の最高経営責任者(CEO)などを務めたデービッド・ロックフェラー氏が20日、死去した。
米メディアが伝えた。101歳だった。
1936年にハーバード大を卒業し、ニューヨーク市長の秘書などをした後、46年に旧チェース・ナショナル銀行に入った。69年から10年以上にわたってCEOを務め、海外事業を拡大し、世界の政界や経済界などに深い人脈を築いた。
一方で、芸術や文化、美術などの社会貢献事業にも強い関心を寄せ、母親が設立に関わり、世界的に有名なニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事として長く運営に関わるなどした。
・D・ロックフェラー氏死去、101歳 米石油王最後の孫(AFP 2017年3月21日)
※米銀行チェース・マンハッタン(Chase Manhattan)元会長で、政界や慈善活動分野でも大きな影響力を持ったデービッド・ロックフェラー(David Rockefeller)氏が20日、死去した。101歳。広報担当者が明らかにした。
同担当者によると、ニューヨーク(New York)北郊ポカンティコヒルズ(Pocantico Hills)の自宅で睡眠中、うっ血性心不全により亡くなった。
米石油大手エクソンモービル(ExxonMobil)の前身であるスタンダード・オイル(Standard Oil)の創業者ジョン・D・ロックフェラー(John D. Rockefeller)氏の孫で唯一存命していたデービッド氏は、チェース・マンハッタンを1960~70年代に率いた。同行はその後、合併によりJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)となっている。
米経済誌フォーブス(Forbes)が20日に発表した世界長者番付では、資産33億ドル(約3700億円)で581位だった。
同氏の経済界における功績の一つに、1972年にリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領が旧ソ連と中国を訪問した後、モスクワ(Moscow)と中国本土にそれぞれ米銀として初となる支店を開設したことが挙げられる。また同広報担当者の話では、中東や中南米、日本でチェース・マンハッタンの事業拡大を指揮したのも同氏だった。
ロックフェラー氏は米内外の政界における重鎮としても有名で、100か国近くの首脳らと会談し、米資本主義を声高に擁護する姿勢でも知られていた。
・水道管の破裂事故「毎年1000件」で水道料金は30%も上がる(Smart FLASH 2017年3月11日)
※■ボロボロになった水道管
「いつまでもあると思うな親と金」という諺があるが、そこに水道が加わっていることをご存知だろうか。
老朽化した水道管の破裂事故は毎年1000件を超える。全国に張り巡らされた水道管の総延長は約66万キロだが、そのうち12%以上が法定耐用年数40年を超えている(2012年時点)。
一方で更新率は年間0.76%程度。厚生労働省は市町村に更新を急ぐよう求めるが、財政難から追いつかず、すべての更新には130年以上かかる計算だ。管の寿命を考えると、130年の間にはさらに数回の更新が必要になるだろう。
重くのしかかる設備管理費、人口減少……水道事業が維持できなくなる地域では、飲み水はペットボトルで届け、生活用水は給水車が週2回程度、地域の拠点まで運ぶという未来予想図もある。
実際、管が古くなり、破損する事故は毎年多発している。
2014年、福岡県北九州市のJR黒崎駅前にある商店街そばの歩道で突然アスファルトが裂け、水が噴き出した。47年前に埋められた水道管に亀裂が入ったためだ。水道管の漏水は北九州市内で毎年70~80件確認されている。
同じく2014年、滋賀県大津市の市役所北側の歩道から水が噴き出し、一時、隣接道路などに溢れた。古い水道管の漏水が原因とみられ、周辺の約2万世帯で濁水や水圧低下などの影響が出た。
2015年には、京都市山科区の府道で路面から水が噴き出した。噴出は一時15メートルの高さに達し、約6時間後に収まった。地中1.5~2メートルの水道管が破損し、路面にある鉄製の蓋の隙間から水が噴き出したのだ。
老朽化した管は交換や修理が必要だが、人口減が続く自治体は水道料金の回収額も減少し、水道管を取り替える予算の捻出に苦しむ。
■水道料金は最低でも30%上がる
水道料金値上げは各地で始まっている。2017年4月には、徳島県阿南市が25%、滋賀県大津市は19%、山口県山陽小野田市が15%の値上げを予定している。これは全国的な傾向で、今後も大幅な値上げが予測される。
『人口減少時代の水道料金はどうなるのか?』(新日本監査法人、2015年)によると、現在の水道施設をそのまま維持しようとした場合、2040年度までに水道料金の値上げが必要な事業体は1221(調査対象の98%)、そのうち604事業体で30%超の値上げが必要という結果だ。
全国で最も水道料金が高額になる青森県深浦町では1カ月の水道料金が1万7688円、年間水道料金は21万2256円になる。
深浦町によると「10数カ所に水道施設が点在し、維持管理費が高くつく。地形の起伏が激しく、ポンプで水を送るため、電気料金の値上げでさらに厳しくなる。そこに老朽化や人口減少の影響が出てくる」という。
水道事業を下支えしているのは地域の住民数だ。
「東京などの大都市は水道管1キロに1万人くらいがぶらさがっている。地方都市では1000人ぶらさがっている。過疎化した村では100人以下のところもある。これによって水道料金は変わってくる」(日本水道協会)
給水人口が多く、下支えする人数が多ければ、施設を更新しても水道料金は安くなる。一方、小規模自治体は下支えする人数が少ない。そうしたところが水道や浄水施設の更新を行えば水道料金は高くなる。
過剰な設備投資の借金が重くのしかかるケースもある。政令指定都市のなかで水道料金が札幌市についで高い仙台市によると、「1923年から99年までに5回、水道事業の拡張を行い、企業債を発行した。その利息が高くついている。泉市と合併した経緯があり、地域が広いわりに人口密度が低い。よって水道管の距離が長くなり、整備が大変な状態」という。
水道料金が高い町で人口流出がさらに進んだら、最終的には水道が断絶してしまうこともあるかもしれない。生活用水は自分でタンクをもって数キロ離れた給水所にくみに行かなければならない可能性もある。
そうしたなか厚生労働省は、今国会で水道法改正案を提出する見込みだ。水道事業者に対し、水道施設の戦略的な更新・耐震化、給水人口に見合った統廃合を行うことを求め、国が支援する。これは維持管理のむずかしくなった水道施設をいかに持続させるかを狙ったものだ。
だが、これに加え、地方自治体が水道事業の運営権を民間企業に売却することが可能になる改正条項が盛り込まれる。水道の民営化である。いったいどういうことか。(水ジャーナリスト・橋本淳司)
・水道法改正で「日本の水」がハゲタカ外資に乗っ取られる!(Smart FLASH 2017年3月17日)
※2013年4月19日、麻生太郎副総理は、米国の戦略国際問題研究所で行われた記者会見で「世界中ほとんどの国で、民間会社が水道を運営しているが、日本では、国営もしくは市営・町営である。これらをすべて民営化する」と発言した。実際には、民営水道の給水人口は8億人程度なので「世界中ほとんどの国で、民間会社が水道を運営している」は間違いだ。
水道の民営化とは聞き慣れない言葉だが、今国会で提出が見込まれる「水道法改正案」が可決すれば、水道の企業運営が実現する。
水道事業をリードしているのは欧州企業で、なかでもヴェオリア・エンバイロメント社とGDFスエズ社が2大巨頭とされる。ともにフランス企業だが偶然ではない。
フランスは自治体の規模が小さく、人口6500万人に対し、自治体数は3万7000もある(日本は人口1億2700万人、自治体数約1743)。うち9割の自治体の人口は2000人足らずのため、各自治体は交通、ゴミ収集、水道などの行政サービスを民間企業に任せてきた。
1980年代、フランスの上下水道の市場が飽和し、大統領のトップ外交によって海外進出が図られた。ヴェオリア、スエズは先行者の利を活かし、民営化された世界の水道事業を握り、「水メジャー」「ウォーターバロン(水男爵)」などと呼ばれた。
■ヴェオリアとスエズの歴史
ヴェオリアは、ナポレオン三世の勅命によって、1853年にリヨン市で創業した会社が母体となっている。現在は4つの事業会社(水、エネルギー、廃棄物処理、公共輸送)のコングロマリットで、グループの売上げは年間3兆円を超える。水道事業は世界100カ国で行われ、売上げは約1兆円。
スエズは、1869年に開通したスエズ運河を建設・運営していた会社が元になっており、上下水道事業を行うスエズ・エンバイロンメント社が事業を行っている国は130カ国に及ぶ。売上げはヴェオリアとほぼ同規模だ。
活況する水ビジネスに対し「生命にかかわる水を商売にしてはならない」という反対意見は根強い。それは1990年代を中心に多くの失敗事例があるからだ。
水メジャーのやり方で問題視されたのは「フルコスト・プライシング」といって、事業にかかった費用の全額を地域の受益者から取り戻すというやり方だ。
事業に費用がかかれば、水道料金はどんどん上がる。富裕層には問題ないが、貧困層は安全な水にアクセスできなくなる。極論を言えば、金持ちしか使えない水道になる可能性がある。また、投資に見合ったリターンがなければ、クールに撤退してしまうケースも多い。
南米ボリビアのコチャバンバ市では、1999年、水道事業が民営化された。その結果、水道料金が何倍にも値上がりし、最低月給が100ドル以下なのに、水道代が20ドルにも上がった。市民はストライキをはじめとする大抗議行動を行い、街の機能は停止。結局、水道事業は公営に戻った。
アルゼンチンでも、民営化後に水道料金が上がり、支払えない人は供給停止された。市民は大規模な抗議行動を重ね、現在、水道事業は公営に戻っている。
■なぜイギリスの水道は民営化されたのか
こうしたケースは発展途上国特有のもので、先進国には該当しないという声がある。そこでイギリスのケースを紹介する。水道企業はヴェオリア、スエズという2大勢力だが、かつてはテムズウォーターを含め「3大水メジャー」といわれた。
テムズウォーターは1989年、イギリスの深刻な財政難から生まれた。当時のサッチャー首相は「小さな政府」の実現を公約し、公共事業だった電話、ガス、空港、航空会社などを次々と民営化した。
しかし、それでも水道事業の経営は改善できなかった。水道料金は上昇し、水の質は低下した。1990年代になると、水質検査に合格する水道水は85%に低下し、漏水件数も増えた。その一方で、株主配当や役員報酬は十分な金額が支払われた。
1999年、ブレア政権になると、民間水道会社は強制的に料金引き下げを強いられた。この結果、各社の経営は悪化し、国際的な買収合戦が始まった。公共性の高い水道事業は「投資先」の一つとなり、転売や乱売が繰り返された。
イギリスでは、株式の売却により水道事業を民営化したことで、結果として政府は財政的な収益を得ることができた。しかし、水道料金の値上げ、水質の低下、外国企業による支配などの問題へ発展した。日本でも水道が民営化されれば、同様のことが起きる可能性がある。(水ジャーナリスト・橋本淳司)
・必ずや失敗する「水道民営化」100兆円の水ビジネス参入(Smart FLASH 2017年3月23日)
※日本の水道経営は非常に厳しくなっている。右肩上がりの経済を前提とした過去の設備投資の結果、巨額の借入金が残っている。その額は、上水道で約11兆円、下水道で約32兆円にのぼる(2010年総務省調べ)。
最近は水道管の破裂事故が頻発している。日本水道協会の調査では、全国の水道管のうち、法定耐用年数40年を過ぎた管は約3万8000km。ほぼ地球1周分にあたり、今後はさらに増えていくことになる。
こうした状況を解決するため、今国会で「水道法」改正案が提出される見込みだ。切り札となるのが、水道民営化である。
民間大手と東京大学などが参画する「産業競争力懇談会」は、2008年3月、「水処理と水資源の有効活用技術」と題する報告書を発表した。ここで「食料とエネルギーの海外依存度が高い日本は、国家戦略として水ビジネスを推進する必要がある」と報告されている。
世界の水ビジネスは60兆円を超えるが、そのほとんどは施設の管理・運営で50兆円。ほかに、EPCと呼ばれる建設などの技術分野が10兆円と推定されていた。これが2025年には、管理・運営は100兆円、EPCが10兆円へ拡大すると見込まれる。
日本企業は水道の管理・運営の海外実績はほとんどないため、この巨大市場を取り逃がしてしまう可能性が高い。そのため、運営ノウハウを早急に身につける必要がある。経済産業省は水道事業に官民一体となって取り組み、国内の水関連産業が世界シェアの6%を獲得することを目標にしている。
今回の「水道法」改正に盛り込まれるのが、「コンセッション」による水道運営の導入である。簡単にいえば、施設は公が保有するが、運営権は民間がもつ形である。水道事業へのコンセッションは政府目標として2014~16年度に6自治体程度の具体化を目指していたが、現状はゼロだ。
■コンセッション方式の懸念点
コンセッション方式を進めようとしている大阪市の例を見てみよう。大阪市水道局の収益は約650億円で、この15年間で24%減少している。経営の見直しのため、施設は大阪市が保有、運営は民間が行うという「上下分離型コンセッション」というスタイルを編み出した。
このプランを推進する竹中平蔵・慶応義塾大学教授は、「運営権を民間に売れば公的部門にもお金が入ってくる。そして公的部門に入った資金を別のインフラ投資に向けることができる」(関係者を集めた講演)と評した。大阪市も30年間で910億円のコストを削減し、将来的な水道料金値上げを回避する計画だ。
民間企業の創意工夫によって事業収益が高まるというのは一般的な考え方だ。たとえば空港を民営化すれば、商業施設やホテルなど新たな付帯事業を創出し、大きな利益を得られるだろう。だが、どう考えても水道に付帯事業を創出するのは難しい。
しかも、役員報酬の支払い、法人税の支払いなど、民間ならではのコストも発生してしまう。大阪市の場合、法人税の支払いは30年間で570億円と見積もられている。大阪市は国に対して税負担軽減措置を求めているが、税負担の公平さを大きく欠くことになる。
■なぜ水道事業の再公営化が行われたのか
日本では、「水道事業は公から民の流れにある」という考え方が一般的だが、1990年代、2000年代を通じてコンセッションが成功した例はない。また、パリ、ベルリン、ジャカルタなど世界の主要都市において、いったん民営化した上下水道事業の「再公営化」が進んでいる。
たとえばアメリカのアトランタ市では、1998年12月、市営で行っていた水道事業を、民間企業UWS社(仏スエズ社の子会社)に委託するコンセッション契約を締結した。しかし、わずか4年後の2003年1月に契約は解除され、再び市の直営に戻った。
その理由は、配水管損傷で水が出ない、泥水が地上に噴出した、そうしたトラブルへの対応の遅れなどだ。UWS社は「アトランタ市が施設の現状を十分に情報開示しなかったため、想定外の作業負担を強いられた」などと主張したが、公益性の高い水道の運営が難しいことが明らかになった。
大阪市では、「時間がかかるので水道施設の資産査定は行わない。それこそが上下分離を選択した理由」としている。地下に埋まっている水道管がどれだけ老朽化しているかわからない状態で民間に運営を任せれば、アトランタと同様のトラブルが発生するだろう。
アトランタでは再公営化したわけだが、そのための株式買い戻し額は巨額なものとなった。日本では「一度民間に任せてダメならまた公営化」などと簡単に言う人もいるが、民営化は慎重になるべきだろう。(水ジャーナリスト・橋本淳司)
※政府が「共謀罪」と同じ趣旨で創設を目指す「テロ等準備罪」について、金田勝年法相は二十三日、衆院予算委員会の分科会で、犯罪を合意(共謀)する手段を限定しない考えを明らかにした。会議などでメンバーが対面して行う合意だけでなく、電話やメール、LINE(ライン)で合意が成立する可能性を認めた。広い範囲で会話や通信が捜査対象となる恐れがある。 (山田祐一郎)
民進党の山尾志桜里氏の「共謀は電話やメールなどでも認定され得るのか」という質問に、金田法相は「特段、限定をしない前提で検討している」と答弁。複数の人に同時送信するメーリングリストや、LINEのグループメールでの合意が成立するかどうかについては「そのような事例は証拠を慎重に検討していく」としながらも、手段の限定は検討していないとした。山尾氏は「誰がどのタイミングでどんな内容を送っているのか。それを閲覧し、どう返信しているかを幅広く監視しなければならなくなる」と指摘した。
日本刑法学会理事の葛野尋之(くずのひろゆき)一橋大教授(刑事法)は「最高裁の判例は、黙示的な意思の連絡があっただけでも共謀を認めている。申し出を受け、積極的に異議を述べなかったことから合意が成立したとされる可能性もある」と説明。「共謀と準備行為はもともと曖昧だが、疑いがあるだけで捜査の対象になる。今後、捜査で通信傍受や位置情報の探知がなされると、その範囲が拡散する恐れがある」と問題点を指摘する。
また、合意の定義を巡っては、二〇〇五年十月の衆院法務委員会で、法務省の大林宏刑事局長(当時)が「目くばせによって一斉に動くようなシステム化されたものであれば、十分成立する場合はある」との見解を示している。金田氏はこの日、合意の定義について「目くばせだけでは合意は成立しない」と述べたが、過去の共謀罪法案審議で政府が示した定義は「変わっていない」とも答弁。今回の法案でも一定の条件の下では「目くばせ」で合意が成立する場合があることを事実上認めた。山尾氏は「都合の良いところだけを発信するのは誤解を生み、不誠実だ」と批判した。
◆日弁連 反対の意見書
日弁連は二十三日、「共謀罪」と同じ趣旨で政府が創設を目指す「テロ等準備罪」について、テロ対策のために広範な共謀罪の新設が必要なわけではないとして、法案の国会提出に反対する意見書を法務省と外務省に提出した。共謀罪法案に反対する意見書は二〇〇六年、一二年に続いて三度目。昨年八月に政府の新たな共謀罪法案の検討が判明してからは初めて。
・森友問題でメディア懐柔…安倍首相が記者らと中華で宴会(日刊ゲンダイDIGITAL 2017年2月28日)
※“森友学園”問題が火を噴き、国会で連日追及されている安倍首相。27日突然、官邸担当の記者を集めて、赤坂の中華料理店で懇談をしている。「これ以上、森友学園のことは報じるな」という圧力だともっぱらだ。
「忙しい首相が、当日に『きょう懇談をしよう』と記者を誘うのは異例のことです。どの社もエッと驚いた。もちろん目的は“森友学園についての報道は控えめにして欲しい”という牽制でしょう。宴会は夜7時過ぎから2時間半つづき、森友学園についても釈明したそうです」(政界関係者)
官邸サイドは、懇談は数日前から決まっていたが、幹事社が各社に伝達しなかったと説明しているらしいが、いずれにしろ、このタイミングで2時間半も記者と宴席を囲んだのは、メディアが森友学園の疑惑を大きく報じ始めたことへの危機感の裏返しに違いない。
「さすがに安倍首相も慌てています。なにしろ、森友学園の問題は分かりやすい。国有地が格安で払い下げられ、その小学校の名誉校長に安倍夫人が就任している。しかも、森友学園の教育内容がメチャクチャときている。安倍首相が危機感を強めたのは、ワイドショーまで面白おかしく報じ始めたことです。これまで大新聞テレビは、安倍首相のスキャンダルを報じようとしなかった。安倍官邸がアメとムチでコントロールしてきたからです。でも、“赤信号みんなで渡れば怖くない”と、一斉に森友学園と安倍首相の関係を報じている。アンダーコントロールとはいかなくなり、危機感を抱いているはずです」(官邸事情通)
安倍首相と仲良く高級中華を食べた大手メディアは、森友学園のことを報じなくなるのか。国民は監視が必要だ。
・「人類を滅亡させないため、世界政府樹立を」ホーキング博士(左派No.1物理学者)が警告!(TOCANA 2017年3月12日)
※車椅子の理論物理学者スティーブン・ホーキング博士がまたしても人類に警鐘を鳴らしていたことが「The Times」(3月7日付)のインタビューで判明した。これまでにもAIの危険や人類の行く末について度々発言してきた博士が語る最新の危機をお伝えする。
■ヒトの本能が人類を滅亡させる
今回、ホーキング博士が焦点を当てるのは人類が持つ「攻撃性」だ。攻撃性を自制しなければ、将来必ず人類は滅亡するという。
「有史以来、生存の利点から攻撃性は人類にとって有効に機能してきました。ダーウィンの進化論によると、攻撃性は我々の遺伝子に組み込まれています。しかし、テクノロジーの長足の進歩に伴い、核戦戦争や細菌戦争が可能になった今、我々の持つ攻撃性が自らを絶滅へと追いやろうとしています。我々はこの遺伝された本能を論理と理性でコントロールしなくてはなりません」
第三次世界大戦が目前に迫るとも言われている今、大国同士の国家間戦争がもたらす被害は想像を絶するものになるはずだ。身近なところでは、今月6日に北朝鮮が4発の弾道ミサイルを日本海へ向けて発射したが、これもホーキング博士が危惧する事態の1つだろう。では、人類の攻撃性をコントロールするために何が必要だと博士は考えるのだろうか?
「抑制が効かなくなる前に、いち早く脅威を発見しなくてはなりません。そのためには何らかの世界政府が必要になります」
「私の発言は破滅的に聞こえるかもしれませんが、私は楽観主義者です。いずれ人類はこれらの危機に対処するため立ち上がるでしょう」
「世界政府」の具体的な在り方について博士は詳述していないが、おそらく、「暴力装置としての国家をコントロールするためには、国家の壁を越えた世界政府の樹立が必要」ということだろう。
「人類を滅亡させないため、世界政府樹立を」ホーキング博士(左派No.1物理学者)が警告!の画像3画像は「Thinkstock」より引用
博士は昨年も人類の協力を呼びかけていた。(英紙「The Guardian」(2016年12月1日付))
「私が最も懸念しているのは、人類が協力し合うことがこれほど必要な時代はかつてなかったということです」
「我々は気候変動、食糧生産、人口過多、他の生物種の殺戮、伝染病、海の酸性化など深刻な環境問題に直面しています」
■AIが“悪意なく”殺人を犯す未来
しかし、一部の保守派は博士の理想主義を「共産主義的」と考えているようだ。米統一教会系保守派新聞「Washington Times」(3月9日付)は、博士を「左派ナンバーワン物理学者」と呼び、「米国民の諸権利は政府ではなく神から与えられたため、世界政府とは相容れない」と持論を展開、博士の発言を「ばかげた話」と非難している。
果たして、博士が言うような「人類が協力しあう日」は今後訪れるのだろうか? 「Washington Times」の記事を読む限り、悲観的にならざるを得ない……。
さらに、ホーキング博士が危険視するのは人間の攻撃性だけではない。2015年、ホーキング博士は米オンライン掲示板「Reddit」で、AIが人類を皆殺しにする可能性に言及していた。博士によると、AIは“悪意なく”人間を大量虐殺する可能性があるという。
「AIの本当の脅威は彼らの悪意ではなく競争力です。超知性を持つAIは目的の達成のためにとてつもない能力を発揮するでしょう。ただ、その目的が我々と合致しない場合、人類は危機に陥ります」
「あなたは悪意をもってアリを踏み潰すような“アリ嫌い”ではないと思います。しかし、もしあなたが水力発電の開発プロジェクトを担当していて、その地域のアリ塚を水浸しにしてしまうとしたら、どうでしょう? その場合、(人間にアリを殺す意図が無くても)アリたちにとってはとても不幸な事態です。私が言っているのは、人類をこの不幸なアリたちの立場に置かないようにしよう、ということです」
人類を滅亡に追いやるのはヒトかAIか? いずれにしろ、人類がかつてないほど大きな岐路に立っていることは間違いないだろう。今後もホーキング博士の発言から目が離せない。
・再び敵基地攻撃能力の保有議論、北朝鮮のミサイル進展で(ロイター 2017年3月8日)
※北朝鮮の弾道ミサイル開発の進展を受け、政府・与党内で敵基地攻撃能力の保有議論が再び活発化してきた。これまで幾度となく浮上したテーマだが、費用や技術的な難しさに加え、地域の軍拡競争につながることなどを懸念する米国の支持を得られず、実現してこなかった。
議論を主導する自民党は、抑止力が高まるとして今年夏前までに政府への提言を再びまとめる考えだ。
<在日米軍基地の攻撃を想定>
敵基地攻撃能力は、F35のようなステルス戦闘機による空爆や、巡航ミサイルといった打撃力を使い、敵国内のミサイル発射装置などを破壊する能力。専守防衛を掲げ、抑制的な防衛力の整備を基本としてきた日本は、たびたび保有論が頭をもたげつつも、この能力を米軍に依存してきた。
しかし、同盟国の自助努力を訴えるトランプ政権が米国で誕生したことで、能力保有の検討を進めるべきとの声が自民党を中心に再び浮上。さらに今年2月と3月に発射された北朝鮮の弾道ミサイルが、議論に拍車をかけている。
自民党の今津寛・安全保障調査会長は「巡航ミサイルなのか、F35なのかは分からないが、(能力を)持つこと自体が抑止になる。それすらないと、北朝鮮から日本は何もしてこないと見られる」と話す。
政府・与党関係者が特に衝撃を受けたのが、今月6日に4発のミサイルを日本海へ発射した後、北朝鮮が国営通信を通じ、在日米軍基地への攻撃を想定した訓練だったと明らかにしたこと。脅威のレベルが上がったと、関係者は口をそろえる。
自民党内の議論を主導する小野寺五典・元防衛相は「相手の領土からミサイルが飛んできて日本を攻撃するというのは、かつては想定していなかった」と指摘する。「しかし技術が進み、北朝鮮のような何をするか想定できない国が、その技術を持ったとすれば、1発撃たれた後に2発目、3発目を撃たせないための能力も必要だ」と話す。
<「基礎研究は終わっている」>
日本政府は改良した迎撃ミサイルの配備を急ぐとともに、陸上配備型イージスなど新型迎撃ミサイルの導入の検討を進めている。その一方で、敵基地攻撃能力の研究も水面下で続けてきた。政府関係者の1人は「基礎研究は終わっている」と話す。
比較的容易なのは、沖縄県与那国島に島しょ防衛用の地対地ミサイルを配備すること。北朝鮮も射程に入れることが可能という。
米ロッキード・マーチン(LMT.N)製の射程1000キロの空対地ステルスミサイルや、もう少し飛距離が短いノルウェーのコングスベルグ社が開発したジョイント・ストライク・ミサイルをF35に積めば、すぐに能力が整う。
自民党は今から4年前にも敵基地攻撃能力の保有を政府に提言しているが、今ほど北朝鮮の弾道ミサイルの能力が高まっておらず、政府が正式に採用することはなかった。アジアの軍事バランスが崩れることなどを懸念した米国が、難色を示したことも影響した。
自民党は今国会の会期末までに政府への提言をまとめる。2019年度からの次期中期防衛力整備計画に反映させたい考えだが「そこまで待って良いのか。可能なものは18年度予算から取り組むべき」(自民党関係者)との意見も出ている。
一方で、「こちらが攻撃をした後に、相手がどういう反応をしてくるのか。基地を1つたたいたら、どんどん撃ち返される恐れもある。リスクについても検討する必要がある」(別の自民党関係者)と、慎重な議論を求める声もある。
・外国人の就農解禁=特区法改正案を閣議決定(時事通信 2017年3月10日)
※政府は10日の閣議で、地域限定で規制緩和を行う国家戦略特区法の改正案を決定した。高い専門性を持つ外国人が農業分野や観光などサービス分野で就労しやすくなるよう、在留要件を緩和することなどが柱。今国会での成立を目指す。
改正案には、現在3歳未満となっている小規模認可保育所の対象年齢を5歳まで拡大する規制緩和も盛り込んだ。また、自動運転など先端技術の実証実験の迅速化に向け、規制の抜本的な見直し策を1年以内に検討する方針を明記した。
地域の特産品を原料にした焼酎の少量生産を認める「焼酎特区」を創設する構造改革特区法の見直しと合わせ、一本の法律として国会に提出する。
・民泊、条件付き解禁へ=年180泊上限-届け出や罰則規定・新法案(時事ドットコム 2017年3月10日)
※政府は10日の閣議で、住宅やマンションの空き部屋を旅行者らに有償で貸し出す「民泊」のルールを定めた新法案を決定した。民泊物件の所有者らに届け出などを義務付け、違反者への罰則を設けた上で、営業を全国で解禁する。年間営業日数の上限は180泊とし、生活環境の悪化が懸念される地域では都道府県や政令市などが条例により短縮できるようにする。早ければ2018年1月からの施行を目指す。
民泊は現在、東京都大田区や大阪府など国家戦略特区で認められている他、旅館業法に基づきカプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」としての営業許可を受ければ実施可能。ただ、無許可営業が横行し、周辺住民とのトラブルなどが問題となっている。
新法案は、特区以外の地域や、簡易宿所を原則設置できない住宅地での民泊を解禁。一方で物件の所有者に(1)都道府県への届け出(2)衛生管理(3)苦情対応-などを義務付ける。物件管理を所有者から委託された業者や、米エアビーアンドビーのような仲介業者には国への登録を課す。
違反者に対する立ち入り検査の実施や罰則も定めた。物件の所有者が虚偽の届け出をしたり、営業停止命令などに従わなかったりした場合、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。
・無資格でも有償ガイドOK=通訳案内士法改正案を決定(時事ドットコム 2017年3月10日)
※政府は10日の閣議で、外国人旅行者に観光案内を行う「通訳案内士」の資格が無くても有償でガイドできるようにすることを柱とする通訳案内士法改正案を決定した。外国人旅行者の急増を踏まえ、既存の案内士だけでは数が足りないと判断。無資格者にも有償ガイドを解禁する。
自治体が行う研修を受ければ資格を得られる地域限定の「地域通訳案内士」も新設。大都市に集中している訪日客を地方に呼び込むことを目指す。
・在留外国人 最多238万人…永住者、20年で10倍(毎日新聞 2017年3月17日)
※法務省は17日、2016年末の在留外国人数が238万2822人(前年末比15万633人、6.7%増)だったと発表した。在留資格別では「永住者」が72万7111人(同2万6611人、3.8%増)と最も多く、いずれも統計を取り始めた1959年以降最多。在留外国人は96年の134万人余から20年で100万人余増の1.77倍だが、永住者は96年の約7万2000人から約10倍と大幅に増加した。
在留外国人はリーマン・ショックの影響などで09年から減少し、13年に増加に転じた。16年末は国別で(1)中国(69万5522人)(2)韓国(45万3096人)(3)フィリピン(24万3662人)(4)ベトナム(19万9990人)の順。一方、永住者はその間も一貫して増加。16年末の国別は未集計だが、15年末は(1)中国(22万人余)(2)フィリピン(12万人余)(3)ブラジル(10万人余)(4)韓国(6万人余)の順だった。
在留資格別では永住者に続き▽在日韓国・朝鮮人などの特別永住者33万8950人(前年末比2.8%減)▽留学27万7331人(同12.4%増)▽技能実習22万8588人(同18.7%増)の順。
15年の国勢調査で日本の総人口は1億2709万4745人で、10年調査から96万2607人減少したが、これには在留外国人も含まれ、永住者の急増が総人口の減少を緩やかにしていると言える。政府は「移民政策は取らない」との立場だが、首都大学東京の丹野清人教授(労働社会学)は「在留資格の更新が不要で職業制限もない永住者は実質的に移民だ」と指摘している。
・在留外国人、最多238万人=ベトナムが急増(時事ドットコム 2017年3月17日)
※法務省は17日、2016年末時点の在留外国人数が前年比6.7%増の238万2822人となり、2年連続で過去最多を更新したと発表した。今年1月1日現在の不法残留者数は3.9%増の6万5270人で、3年連続で増加した。いずれもベトナムからの人数が大きく伸びた。
在留外国人は、就労や留学などの中長期滞在者と特別永住者の合計。国別では、中国69万5522人、韓国45万3096人、フィリピン24万3662人。これにベトナムが19万9990人で続き、増加率は36.1%と突出して高かった。
不法残留は、韓国1万3265人、中国8846人、タイ6507人。ベトナムは34.9%増の5137人だった。
・外国人犯罪の勢力図に変化? ベトナム人の刑法犯が中国人抜く(産経ニュース 2016年11月27日)
※昨年1年間に全国の警察が摘発した外国人(永住者除く)刑法犯の事件のうち、ベトナム人によるものが2500件を突破し、国籍別で中国人を抜き1位となっていたことが26日、警察庁への取材で分かった。外国人犯罪の摘発件数が平成17年をピークに減少する一方、ベトナム人の犯罪は3倍以上に増加。捜査幹部は「中国人が中心となってきた外国人犯罪の勢力図が変化している」と警戒感を強めている。
警察庁によると、昨年の外国人の刑法犯の摘発件数のうち、ベトナム人によるものは2556件で1位。26年の1972件と比べ約1・3倍となった。
国別では、中国2390件、ブラジル1282件と続いた。凶悪犯(殺人、強盗、放火、強姦の各罪)に絞っても総数142件のうち、ベトナム人が最も多い34件となった。
外国人の刑法犯の摘発件数は17年の3万3037件をピークに年々減少しており、26年には初めて1万件を割り込み、昨年は9417件だった。
国籍別では、17年に1万1366件だった中国、6811件だったブラジルは、それぞれ10年で5分の1程度に減ったが、ベトナムは792件と3倍以上に増えた。
摘発が増加するベトナム人犯罪。関東・近畿地方の団地では外部から実態が把握しづらい「ベトナム人コミュニティー」が形成されており、「犯罪の温床」になる可能性もあると指摘する捜査関係者もいる。留学生が犯罪に加担することもあり、警視庁幹部は「中国人犯罪が激増した初期と似ている」と分析する。
■団地に「大麻工場」
「結束は固い。警察でも簡単には入ってこれない」
20代の“ベトナム出身”の男性は声を潜めてこう明かした。日本語をよどみなく話し、日本名を名乗るが、両親はベトナム戦争後の混乱から逃れて難民として来日した。
男性が語るのは、生まれ育った関東近郊の団地のことだ。築数十年が経過し、日本人はあまり住んでいないという。「1人が生活の拠点を作ると、ベトナムから親族や知人を次々と呼び寄せる。そうやってコミュニティーが広がる」
もちろん団地に住むベトナム人の多くは付近の工場や飲食店、土木作業の現場などで正規の職を得ている。しかし一部は犯罪を“生業”としているという。
数年前には団地に住むベトナム人が付近の倉庫を借り上げて運営していた「大麻工場」が摘発。ベトナム国内の犯罪組織と連携し、盗んだ工具や盗難バイクを「輸出」した事件もあった。「盗品売買や生活保護の不正受給などいろいろな犯罪が行われる。留学生と結託して犯行に及ぶこともある」という。
■「マフィア化」警戒
捜査当局はこうした各地のコミュニティーに加え、人的交流が活発化したことが犯罪増の要因と見る。
国際観光振興機構によると、昨年来日したベトナム人は18万5395人で、平成17年と比べ約8倍に増加した。また日本学生支援機構の統計では、26年度に2万6439人だったベトナム人留学生は、わずか1年で3万8882人に増えた。「こうした動きの中で現地の犯罪組織と在日ベトナム人が連携するケースが増えた」(捜査幹部)。
ベトナム人が起こした主な犯罪では27年9月、大阪市生野区でベトナム人同士の殺人事件が発生し4人が殺人容疑で逮捕。今年9月には東京都あきる野市の路上でアルバイト女性が襲われる通り魔事件があり、ベトナム人の男(22)が傷害容疑で逮捕された。
警視庁幹部は「中国人犯罪が激増した初期と似ている。窃盗などの軽微な犯罪が増え始め、出身者同士の凶悪事件が起きている。ベトナム人グループのマフィア化も懸念され、今後警戒が必要だ」と語っている。
・外国人労働者受け入れ リスク招く政府の場当たり的対応 加谷珪一氏(iRONNA 2017年3月19日)
※日本で働く外国人労働者の数が初めて100万人を突破した。政府は労働力不足を理由に、高度人材の受け入れに積極姿勢をみせるが、現実には技能実習制度などを通じて単純労働者の流入が急増している。場当たり的な対応では、いずれ「移民問題」に直面する。日本は外国人労働者をどこまで受け入れるべきか。(iRONNA)
◇
日本は外国人労働者を受け入れていない国だと思っている人も多いが、それは幻想である。厚生労働省が1月に発表した平成28年末の外国人労働者数は前年同月比19・4%増の108万3769人となり、4年連続で過去最高を記録した。
背景にあるのは、国内の深刻な人手不足である。日本は人口減少と高齢化が進んでおり、過去15年間で34歳以下の若年層人口は約22%減少し、60歳以上の人口は逆に43%も増加した。若年層の労働人口減少が顕著であることから、企業は常に人員確保に頭を悩ませている。
政府は建前上、就労目的での在留資格については専門的な職種に限っているが、現実には企業からの要請を受け「外国人技能実習制度」など、事実上の単純労働者受け入れ政策を行ってきた。この状況に拍車をかけているのが東京五輪による建設特需である。建設業に従事する労働者の数はピーク時と比較すると約25%、数にして170万人ほど減っており、建設現場では慢性的な人手不足が続いている。政府は外国人建設労働者の受け入れ枠をさらに拡大したい意向だ。
建前上、外国人労働者を制限していながら、なし崩し的に受け入れを増やしているわけだが、こうした、ちぐはぐな対応はリスクが大きい。
中核労働力の減少
外国人技能実習制度については、米国務省から人権侵害の疑いがあると指摘されており、現実に、賃金の未払いや、劣悪な環境での住み込み強要といった事例が発生している。この制度がやっかいなのは、れっきとした日本政府の事業であるという点だ。
政府がこうした事業に直接関与し、劣悪な労働環境を放置しているということになると、場合によっては国際政治の駆け引きにおいて格好の餌食となる可能性がある。日本はこれまで、似たようなケースで国益を何度も損なっていることを忘れてはならないだろう。
一方、日本の人手不足は極めて深刻だ。特に、企業の労働力の中核となっている35歳から59歳までの人口はこの先20年間に26%も減少してしまう。これまでは若年労働者の不足だけで済んでいたが、今後中核労働力の減少という大きな問題に直面し、持続的な経済成長を妨げかねない。
この対策として(1)外国人労働者を受け入れる(2)女性や高齢者の就業を増やして労働力不足を補う(3)イノベーションを活用して生産性を向上させる、という選択肢がある。日本は無意識的に(1)を選択してきたわけだが、労働をめぐる環境はこのところ大きく変化している。
対策はAI化で
そこで有効なのはAI(人工知能)だろう。ロボットの導入で余剰となった人材を、人手が足りない分野にシフトさせることができれば、供給制限で経済が停滞するという事態を回避できる。というよりも、全世界的にAIの普及が進む以上、これを積極的に活用していかなければ、相対的に高い成長を目指すことが難しくなっているのだ。日本も労働力不足という問題に対して、外国人労働者の受け入れではなく、AI化で対応するのが望ましい。
ただ、これには問題もある。企業の現場にAIが普及すると、当然のことながら仕事の範囲が変わり、組織の人材を再配置する必要が出てくる。こうした動きは社内だけでは完結しないので、最終的には転職市場を通じた人材の流動化が必須となる。日本人はこうした人材の流動化に対する抵抗感が極めて大きく、これがAI化の進展を遅らせてしまう可能性があるのだ。
労働力不足は、日本の国力低下に直結する、まさに「国益」に関するテーマであり、場当たり的な対応を続けることはもはや許容されないだろう。変化をかたくなに拒んだ結果、AI化が進まず、外国人労働者の数だけが増えるという事態になってはまさに本末転倒である。
◇
【プロフィル】加谷珪一 かや・けいいち 経済評論家。昭和44年、仙台市生まれ。東北大工学部卒業後、日経BP社記者として入社。野村証券グループの投資ファンド運用会社を経て独立し、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。著書に『教養として身につけておきたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)など。
・米銀行家D・ロックフェラー氏死去、101歳(ロイター 2017年3月21日)
※米大富豪で慈善家としても知られるデービッド・ロックフェラー氏が20日、ニューヨーク郊外の自宅で心不全のため死去した。101歳だった。ロックフェラー家の報道担当者が明らかにした。「眠るように安らかな最期」だったという。
ニューヨークのロックフェラー・センターを作ったジョン・ロックフェラー2世の息子で、スタンダード・オイルを創業した石油王ジョン・ロックフェラーの唯一生存する孫だった。
マンハッタンに生まれ、1936年にハーバード大を卒業。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学んだ後、1940年にシカゴ大学で経済学の博士号を取得。1969年から1981年まで、米銀大手チェース・マンハッタン(現JPモルガン・チェース)の会長を務め、各国政府や多戸籍企業との密接な関係を築いた。
米フォーブス誌によると、同氏の資産は2017年3月時点で推定33億ドル。ニューヨーク近代美術館やロックフェラー大学などに、生涯で20億ドル近くを寄付したと報じられている。
※3月20日は春分の日。
・ロックフェラー家の当主 デービッドさん死去 101歳(NHK NEWS web 2017年3月21日)
※世界有数の富豪、アメリカのロックフェラー家の当主で日本とも関わりの深い銀行家のデービッド・ロックフェラーさんが20日、心不全のため亡くなりました。101歳でした。
デービッド・ロックフェラーさんは1915年、石油王のジョン・ロックフェラーの孫として、アメリカ・ニューヨークで生まれ、ハーバード大学を卒業後、1946年に当時のチェース・ナショナル銀行に入りました。
その後、1969年から81年までチェース・マンハッタン銀行の会長を務め、積極的な海外進出を進めた一方、大学や美術館などに多額の寄付をしたことでも知られています。
アメリカの経済界を代表して、各国の首脳と数多く面会し、世界に人脈を築いたほか、日本とも関わりが深く、1973年には民間レベルで北米と西ヨーロッパ、日本の間で理解を深め、各国政府に政策提言を行う「三極委員会」を立ち上げました。また、1994年に天皇陛下がアメリカを訪問された際には、ニューヨーク近郊にある邸宅に招いています。
ロックフェラー家の報道担当者によりますと、ロックフェラーさんは20日、自宅で心不全のため、101歳で亡くなったということです。
・デビッド・ロックフェラー氏死去 101歳、親日家の銀行家(日本経済新聞 2017年3月21日)
※米巨大石油会社スタンダード・オイルを興した大富豪ロックフェラー家のデビッド・ロックフェラー氏が20日、ニューヨーク郊外の自宅で心不全のため死去した。101歳だった。同氏のスポークスマンよると、自宅で睡眠中に安らかに亡くなったという。
デビッド氏は石油会社の創業者ジョン・ロックフェラー氏の孫で大手米銀チェース・マンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)の最高経営責任者(CEO)などを務めた。
1915年、ニューヨーク市で6人兄弟の末っ子として生まれた。36年ハーバード大学卒、40年シカゴ大学で経済学博士号取得。ラガーディア・ニューヨーク市長の秘書を経て、46年に旧チェース・ナショナル銀行入行、69年にチェース・マンハッタン銀行の会長兼CEOに就任した。
銀行経営者として海外事業を拡大し、世界の政界や経済界に広い人脈を築き、民間外交に活躍した。芸術や文化などを通じた慈善事業にも力を入れ、母親が設立に関わったニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事として長く運営に関与した。
親日家としても知られ、94年の天皇陛下のニューヨーク訪問時にはロックフェラー家の邸宅に招いた。ニューヨークの日米親睦団体、ジャパン・ソサエティーはデビッド氏の兄で故ジョン・ロックフェラー3世が会長を務めた。
デビッド氏の父、ジョン・ロックフェラーJr氏が建てたニューヨークのランドマーク、ロックフェラーセンターを一族が89年に三菱地所に売却した際には、デビッド氏が米国民からの批判の矢面に立った。
・デービッド・ロックフェラー氏が死去 101歳 三代目当主、世界文化賞名誉顧問(産経ニュース 2017年3月21日)
※米国の富豪ロックフェラー家の三代目当主で銀行家のデービッド・ロックフェラー氏が20日、米ニューヨークの自宅で死去した。101歳だった。死因は心不全。ロイター通信などが伝えた。
1915年、ニューヨーク生まれ。61年にチェース・マンハッタン銀行会長に就任し、69年から81年にかけて最高経営責任者を務めた。78年から日本関連団体「ジャパン・ソサエティー」名誉会長。91年には勲一等瑞宝章を受章した。高松宮殿下記念世界文化賞の創設時から90年まで国際顧問を務めた後、名誉顧問に就いた。
・デービッド・ロックフェラー氏死去、101歳(読売新聞 2017年3月21日)
※米石油大手エクソンモービルの母体となるスタンダードオイルを創業した大富豪、ジョン・ロックフェラー氏の孫で、米銀大手チェース・マンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)の最高経営責任者(CEO)などを務めたデービッド・ロックフェラー氏が20日、死去した。
米メディアが伝えた。101歳だった。
1936年にハーバード大を卒業し、ニューヨーク市長の秘書などをした後、46年に旧チェース・ナショナル銀行に入った。69年から10年以上にわたってCEOを務め、海外事業を拡大し、世界の政界や経済界などに深い人脈を築いた。
一方で、芸術や文化、美術などの社会貢献事業にも強い関心を寄せ、母親が設立に関わり、世界的に有名なニューヨーク近代美術館(MoMA)の理事として長く運営に関わるなどした。
・D・ロックフェラー氏死去、101歳 米石油王最後の孫(AFP 2017年3月21日)
※米銀行チェース・マンハッタン(Chase Manhattan)元会長で、政界や慈善活動分野でも大きな影響力を持ったデービッド・ロックフェラー(David Rockefeller)氏が20日、死去した。101歳。広報担当者が明らかにした。
同担当者によると、ニューヨーク(New York)北郊ポカンティコヒルズ(Pocantico Hills)の自宅で睡眠中、うっ血性心不全により亡くなった。
米石油大手エクソンモービル(ExxonMobil)の前身であるスタンダード・オイル(Standard Oil)の創業者ジョン・D・ロックフェラー(John D. Rockefeller)氏の孫で唯一存命していたデービッド氏は、チェース・マンハッタンを1960~70年代に率いた。同行はその後、合併によりJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)となっている。
米経済誌フォーブス(Forbes)が20日に発表した世界長者番付では、資産33億ドル(約3700億円)で581位だった。
同氏の経済界における功績の一つに、1972年にリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領が旧ソ連と中国を訪問した後、モスクワ(Moscow)と中国本土にそれぞれ米銀として初となる支店を開設したことが挙げられる。また同広報担当者の話では、中東や中南米、日本でチェース・マンハッタンの事業拡大を指揮したのも同氏だった。
ロックフェラー氏は米内外の政界における重鎮としても有名で、100か国近くの首脳らと会談し、米資本主義を声高に擁護する姿勢でも知られていた。
・水道管の破裂事故「毎年1000件」で水道料金は30%も上がる(Smart FLASH 2017年3月11日)
※■ボロボロになった水道管
「いつまでもあると思うな親と金」という諺があるが、そこに水道が加わっていることをご存知だろうか。
老朽化した水道管の破裂事故は毎年1000件を超える。全国に張り巡らされた水道管の総延長は約66万キロだが、そのうち12%以上が法定耐用年数40年を超えている(2012年時点)。
一方で更新率は年間0.76%程度。厚生労働省は市町村に更新を急ぐよう求めるが、財政難から追いつかず、すべての更新には130年以上かかる計算だ。管の寿命を考えると、130年の間にはさらに数回の更新が必要になるだろう。
重くのしかかる設備管理費、人口減少……水道事業が維持できなくなる地域では、飲み水はペットボトルで届け、生活用水は給水車が週2回程度、地域の拠点まで運ぶという未来予想図もある。
実際、管が古くなり、破損する事故は毎年多発している。
2014年、福岡県北九州市のJR黒崎駅前にある商店街そばの歩道で突然アスファルトが裂け、水が噴き出した。47年前に埋められた水道管に亀裂が入ったためだ。水道管の漏水は北九州市内で毎年70~80件確認されている。
同じく2014年、滋賀県大津市の市役所北側の歩道から水が噴き出し、一時、隣接道路などに溢れた。古い水道管の漏水が原因とみられ、周辺の約2万世帯で濁水や水圧低下などの影響が出た。
2015年には、京都市山科区の府道で路面から水が噴き出した。噴出は一時15メートルの高さに達し、約6時間後に収まった。地中1.5~2メートルの水道管が破損し、路面にある鉄製の蓋の隙間から水が噴き出したのだ。
老朽化した管は交換や修理が必要だが、人口減が続く自治体は水道料金の回収額も減少し、水道管を取り替える予算の捻出に苦しむ。
■水道料金は最低でも30%上がる
水道料金値上げは各地で始まっている。2017年4月には、徳島県阿南市が25%、滋賀県大津市は19%、山口県山陽小野田市が15%の値上げを予定している。これは全国的な傾向で、今後も大幅な値上げが予測される。
『人口減少時代の水道料金はどうなるのか?』(新日本監査法人、2015年)によると、現在の水道施設をそのまま維持しようとした場合、2040年度までに水道料金の値上げが必要な事業体は1221(調査対象の98%)、そのうち604事業体で30%超の値上げが必要という結果だ。
全国で最も水道料金が高額になる青森県深浦町では1カ月の水道料金が1万7688円、年間水道料金は21万2256円になる。
深浦町によると「10数カ所に水道施設が点在し、維持管理費が高くつく。地形の起伏が激しく、ポンプで水を送るため、電気料金の値上げでさらに厳しくなる。そこに老朽化や人口減少の影響が出てくる」という。
水道事業を下支えしているのは地域の住民数だ。
「東京などの大都市は水道管1キロに1万人くらいがぶらさがっている。地方都市では1000人ぶらさがっている。過疎化した村では100人以下のところもある。これによって水道料金は変わってくる」(日本水道協会)
給水人口が多く、下支えする人数が多ければ、施設を更新しても水道料金は安くなる。一方、小規模自治体は下支えする人数が少ない。そうしたところが水道や浄水施設の更新を行えば水道料金は高くなる。
過剰な設備投資の借金が重くのしかかるケースもある。政令指定都市のなかで水道料金が札幌市についで高い仙台市によると、「1923年から99年までに5回、水道事業の拡張を行い、企業債を発行した。その利息が高くついている。泉市と合併した経緯があり、地域が広いわりに人口密度が低い。よって水道管の距離が長くなり、整備が大変な状態」という。
水道料金が高い町で人口流出がさらに進んだら、最終的には水道が断絶してしまうこともあるかもしれない。生活用水は自分でタンクをもって数キロ離れた給水所にくみに行かなければならない可能性もある。
そうしたなか厚生労働省は、今国会で水道法改正案を提出する見込みだ。水道事業者に対し、水道施設の戦略的な更新・耐震化、給水人口に見合った統廃合を行うことを求め、国が支援する。これは維持管理のむずかしくなった水道施設をいかに持続させるかを狙ったものだ。
だが、これに加え、地方自治体が水道事業の運営権を民間企業に売却することが可能になる改正条項が盛り込まれる。水道の民営化である。いったいどういうことか。(水ジャーナリスト・橋本淳司)
・水道法改正で「日本の水」がハゲタカ外資に乗っ取られる!(Smart FLASH 2017年3月17日)
※2013年4月19日、麻生太郎副総理は、米国の戦略国際問題研究所で行われた記者会見で「世界中ほとんどの国で、民間会社が水道を運営しているが、日本では、国営もしくは市営・町営である。これらをすべて民営化する」と発言した。実際には、民営水道の給水人口は8億人程度なので「世界中ほとんどの国で、民間会社が水道を運営している」は間違いだ。
水道の民営化とは聞き慣れない言葉だが、今国会で提出が見込まれる「水道法改正案」が可決すれば、水道の企業運営が実現する。
水道事業をリードしているのは欧州企業で、なかでもヴェオリア・エンバイロメント社とGDFスエズ社が2大巨頭とされる。ともにフランス企業だが偶然ではない。
フランスは自治体の規模が小さく、人口6500万人に対し、自治体数は3万7000もある(日本は人口1億2700万人、自治体数約1743)。うち9割の自治体の人口は2000人足らずのため、各自治体は交通、ゴミ収集、水道などの行政サービスを民間企業に任せてきた。
1980年代、フランスの上下水道の市場が飽和し、大統領のトップ外交によって海外進出が図られた。ヴェオリア、スエズは先行者の利を活かし、民営化された世界の水道事業を握り、「水メジャー」「ウォーターバロン(水男爵)」などと呼ばれた。
■ヴェオリアとスエズの歴史
ヴェオリアは、ナポレオン三世の勅命によって、1853年にリヨン市で創業した会社が母体となっている。現在は4つの事業会社(水、エネルギー、廃棄物処理、公共輸送)のコングロマリットで、グループの売上げは年間3兆円を超える。水道事業は世界100カ国で行われ、売上げは約1兆円。
スエズは、1869年に開通したスエズ運河を建設・運営していた会社が元になっており、上下水道事業を行うスエズ・エンバイロンメント社が事業を行っている国は130カ国に及ぶ。売上げはヴェオリアとほぼ同規模だ。
活況する水ビジネスに対し「生命にかかわる水を商売にしてはならない」という反対意見は根強い。それは1990年代を中心に多くの失敗事例があるからだ。
水メジャーのやり方で問題視されたのは「フルコスト・プライシング」といって、事業にかかった費用の全額を地域の受益者から取り戻すというやり方だ。
事業に費用がかかれば、水道料金はどんどん上がる。富裕層には問題ないが、貧困層は安全な水にアクセスできなくなる。極論を言えば、金持ちしか使えない水道になる可能性がある。また、投資に見合ったリターンがなければ、クールに撤退してしまうケースも多い。
南米ボリビアのコチャバンバ市では、1999年、水道事業が民営化された。その結果、水道料金が何倍にも値上がりし、最低月給が100ドル以下なのに、水道代が20ドルにも上がった。市民はストライキをはじめとする大抗議行動を行い、街の機能は停止。結局、水道事業は公営に戻った。
アルゼンチンでも、民営化後に水道料金が上がり、支払えない人は供給停止された。市民は大規模な抗議行動を重ね、現在、水道事業は公営に戻っている。
■なぜイギリスの水道は民営化されたのか
こうしたケースは発展途上国特有のもので、先進国には該当しないという声がある。そこでイギリスのケースを紹介する。水道企業はヴェオリア、スエズという2大勢力だが、かつてはテムズウォーターを含め「3大水メジャー」といわれた。
テムズウォーターは1989年、イギリスの深刻な財政難から生まれた。当時のサッチャー首相は「小さな政府」の実現を公約し、公共事業だった電話、ガス、空港、航空会社などを次々と民営化した。
しかし、それでも水道事業の経営は改善できなかった。水道料金は上昇し、水の質は低下した。1990年代になると、水質検査に合格する水道水は85%に低下し、漏水件数も増えた。その一方で、株主配当や役員報酬は十分な金額が支払われた。
1999年、ブレア政権になると、民間水道会社は強制的に料金引き下げを強いられた。この結果、各社の経営は悪化し、国際的な買収合戦が始まった。公共性の高い水道事業は「投資先」の一つとなり、転売や乱売が繰り返された。
イギリスでは、株式の売却により水道事業を民営化したことで、結果として政府は財政的な収益を得ることができた。しかし、水道料金の値上げ、水質の低下、外国企業による支配などの問題へ発展した。日本でも水道が民営化されれば、同様のことが起きる可能性がある。(水ジャーナリスト・橋本淳司)
・必ずや失敗する「水道民営化」100兆円の水ビジネス参入(Smart FLASH 2017年3月23日)
※日本の水道経営は非常に厳しくなっている。右肩上がりの経済を前提とした過去の設備投資の結果、巨額の借入金が残っている。その額は、上水道で約11兆円、下水道で約32兆円にのぼる(2010年総務省調べ)。
最近は水道管の破裂事故が頻発している。日本水道協会の調査では、全国の水道管のうち、法定耐用年数40年を過ぎた管は約3万8000km。ほぼ地球1周分にあたり、今後はさらに増えていくことになる。
こうした状況を解決するため、今国会で「水道法」改正案が提出される見込みだ。切り札となるのが、水道民営化である。
民間大手と東京大学などが参画する「産業競争力懇談会」は、2008年3月、「水処理と水資源の有効活用技術」と題する報告書を発表した。ここで「食料とエネルギーの海外依存度が高い日本は、国家戦略として水ビジネスを推進する必要がある」と報告されている。
世界の水ビジネスは60兆円を超えるが、そのほとんどは施設の管理・運営で50兆円。ほかに、EPCと呼ばれる建設などの技術分野が10兆円と推定されていた。これが2025年には、管理・運営は100兆円、EPCが10兆円へ拡大すると見込まれる。
日本企業は水道の管理・運営の海外実績はほとんどないため、この巨大市場を取り逃がしてしまう可能性が高い。そのため、運営ノウハウを早急に身につける必要がある。経済産業省は水道事業に官民一体となって取り組み、国内の水関連産業が世界シェアの6%を獲得することを目標にしている。
今回の「水道法」改正に盛り込まれるのが、「コンセッション」による水道運営の導入である。簡単にいえば、施設は公が保有するが、運営権は民間がもつ形である。水道事業へのコンセッションは政府目標として2014~16年度に6自治体程度の具体化を目指していたが、現状はゼロだ。
■コンセッション方式の懸念点
コンセッション方式を進めようとしている大阪市の例を見てみよう。大阪市水道局の収益は約650億円で、この15年間で24%減少している。経営の見直しのため、施設は大阪市が保有、運営は民間が行うという「上下分離型コンセッション」というスタイルを編み出した。
このプランを推進する竹中平蔵・慶応義塾大学教授は、「運営権を民間に売れば公的部門にもお金が入ってくる。そして公的部門に入った資金を別のインフラ投資に向けることができる」(関係者を集めた講演)と評した。大阪市も30年間で910億円のコストを削減し、将来的な水道料金値上げを回避する計画だ。
民間企業の創意工夫によって事業収益が高まるというのは一般的な考え方だ。たとえば空港を民営化すれば、商業施設やホテルなど新たな付帯事業を創出し、大きな利益を得られるだろう。だが、どう考えても水道に付帯事業を創出するのは難しい。
しかも、役員報酬の支払い、法人税の支払いなど、民間ならではのコストも発生してしまう。大阪市の場合、法人税の支払いは30年間で570億円と見積もられている。大阪市は国に対して税負担軽減措置を求めているが、税負担の公平さを大きく欠くことになる。
■なぜ水道事業の再公営化が行われたのか
日本では、「水道事業は公から民の流れにある」という考え方が一般的だが、1990年代、2000年代を通じてコンセッションが成功した例はない。また、パリ、ベルリン、ジャカルタなど世界の主要都市において、いったん民営化した上下水道事業の「再公営化」が進んでいる。
たとえばアメリカのアトランタ市では、1998年12月、市営で行っていた水道事業を、民間企業UWS社(仏スエズ社の子会社)に委託するコンセッション契約を締結した。しかし、わずか4年後の2003年1月に契約は解除され、再び市の直営に戻った。
その理由は、配水管損傷で水が出ない、泥水が地上に噴出した、そうしたトラブルへの対応の遅れなどだ。UWS社は「アトランタ市が施設の現状を十分に情報開示しなかったため、想定外の作業負担を強いられた」などと主張したが、公益性の高い水道の運営が難しいことが明らかになった。
大阪市では、「時間がかかるので水道施設の資産査定は行わない。それこそが上下分離を選択した理由」としている。地下に埋まっている水道管がどれだけ老朽化しているかわからない状態で民間に運営を任せれば、アトランタと同様のトラブルが発生するだろう。
アトランタでは再公営化したわけだが、そのための株式買い戻し額は巨額なものとなった。日本では「一度民間に任せてダメならまた公営化」などと簡単に言う人もいるが、民営化は慎重になるべきだろう。(水ジャーナリスト・橋本淳司)