「ワンレン・ボディコン・舘ひろし!」など
バブルネタの芸人さん、平野ノラが人気です。
さすがにあの「しもしも~」の
ショルダーフォンを
持っていた人はごく一部の人だったように
記憶していますが、
何となく笑ってしまうのは
私もバブル世代の端くれということでしょうか。
バブルの時代といえば、
日本の流行歌においても
大きな変革の時代でありました。
今回はこの時代の歌について
取り上げてみようと思います。
バブル真っ只中の1990(平成2)年、
東西ドイツが統一
経済のグローバル化が進み、
日本人初の宇宙飛行士が誕生、
スーパーファミコンが発売された
この年のヒット曲は
BBクイーンズ「おどるポンポコリン」
沢田知可子「会いたい」
米米CLUB「浪漫飛行」
たま「さよなら人類」
サザンオールスターズ「真夏の果実」など。
この年のレコード大賞が
演歌・歌謡曲部門とポップス・ロック部門の2つに分かれ
堀内孝雄の「恋唄綴り」と「おどるポンポコリン」が
それぞれ受賞しました。
「恋唄綴り」は従来の演歌・歌謡曲とは
ひと味違ったロックサウンドで構成され、
ニューミュージックと演歌が
融合したような曲でした。
昭和の終焉とともにJ・ポップスが生まれ
1989(平成元)年に美空ひばりが逝去し、
日本の流行歌にとって大きく変革期でもありました。
今日は、そんな時代に発売された
ちあきなおみのアルバムを取り上げたいと思います。
1988(昭和63)年にレコード会社を移籍し
約10年ぶりにシングル「役者」を発売したちあきなおみは、
そのすぐ後にNHKの歌番組の
オリジナルソングのコーナーで披露していた
「紅とんぼ」が話題を集め、急遽シングルとして発売されました。
吉田旺作詞、
先日逝去された船村徹作曲のこの曲は
「昭和の締めくくりにふさわしい曲」と称され
ちあきなおみの情感のこもった歌が
久々にクローズアップされました。
しかし、1989(平成元)年、
ちあきなおみは今や伝説のステージとなる
「LADY DAY」に出演し、絶賛を浴びます。
ビリー・ホリデイの壮絶な生涯を演じた
この1人芝居ミュージカルの出演で
歌手ちあきなおみの何かが変わったと考えられます。
翌1990(平成2)年は「LADY DAY」を再演。
そしてこの年、歌謡路線から一転、
日本のアダルト向けポップスとして
オリジナルアルバム「かげろふ~色は匂へど~」を
発売することになります。
このアルバムの実質的なプロデューサーとして
関わったのが筒美京平。
シングルカットされた「色は匂へど」をはじめ
ここに収められた10曲の優れた作品は
ほとんど認知されませんでしたが、
2007(平成19)年に復刻盤CDが発売され、
その完成度の高さに魅了される音楽ファンが
少しずつ増えていることは事実です。
収録曲のうち筒美京平が6曲を作曲。
アンルイス「WOMAN」や池田聡「月の舟」
小柳ゆき「あなたのキスを数えましょう 〜You were mine〜」
などの作曲で知られる中崎英也、
スターダストレビューの根本要、柿沼清史が
それぞれ1曲ずつ作曲。
元C-C-Bのメンバーでシンガーソングライター、
関口誠人が作詞作曲した「曖昧2」が収録されています。
作詞家陣も松本隆、伊集院静、森浩美、ちあき哲也と
錚々たる顔ぶれです。
「色は匂へど」伊集院静作詞、筒美京平作曲
シングルカットされた曲なので
1番知られてはいますが、ひと言でおしゃれな曲。
♪ ひと目で惚れちゃった その日に“あいうえお”
夜明けの海を見てる 私は阿呆鳥~
詞とリズム、メロディのフィット感が抜群です。
「砂塵の町へ」森浩美作詞、筒美京平作曲
哀愁を感じるオリエンタル調楽曲。
アルバムタイトルの「かげろふ」は
この曲の雰囲気からつけられたような気がします。
「十六酔いフラッパー」ちあき哲也作詞、柿沼清史作曲
スィング感が心地よいジャジーな曲。
タイトルでわかるように、はすっぱな感じがいい。
♪ こんな 女に軽く ほれさせて 一枚上ね
しゃれで ほろ酔いチーク踊ったのに… 横浜ベイ~
横浜の歌コレクターである私としては
おすすめの曲です。
「合鍵」松本隆作詞、筒美京平作曲
とても上質な失恋の歌。
このアルバムの中では一番好きな曲です。
「WOMAN IN TOWN」森浩美作詞、根本要作曲
ソウルフルな曲を抑え気味な歌唱がいい。
洋楽に日本詞をつけたような印象。
「キリがないね」森浩美作詞、中崎英也作曲
「猫」松本隆作詞、筒美京平作曲
どちらもアダルトポップス感全開で魅力的です。
「曖昧2」関口誠人作詞作曲
♪ だったら何なのよ~
で始まるこの曲はランバダ風。
ダンス音楽にもぴったりハマっています。
「五分前」伊集院静作詞、筒美京平作曲
この曲も「合鍵」とともに一押しの曲。
少し抑え気味な感情が心に響きます。
「いかないで」森浩美作詞、筒美京平作曲
♪ あぁ、いかないで あぁ、消えないで
あぁ、美しい 思い出よ、恋よ~
アルバムラストを飾るにふさわしい味わい深い曲です。
:結局、収録曲10曲すべて魅力的で
ぜひ、多くの人に聴いてほしい曲ばかりということです。
どれも歌い歌というよりも
聴いて楽しむ歌かと思いますが、
しっかり覚えてカラオケにも
チャレンジしてみてください。
カラオケは
ジョイサウンドに全曲配信されていますが
残念なことにDAMは当初「色は匂へど」だけでした。
やっとここにきて、「十六酔いフラッパー」、
「いかないで」「砂塵の町へ」「曖昧2」が配信され、
残りの曲についても配信が待たれます。