作曲家が、自ら歌を歌うというのが、
最近の傾向として目立ちます。


皆さん、本来はシンガーソングライターだった
ということかもしれません。


一昨年、「吾亦紅」が大ヒットしたすぎもとまさとは
以前記事にしたように、
昨年9月には
アルバム「Heartful & Soulful」発売。


シングルの新曲も近々発売される予定です。


三木たかしは愛弟子保科有里に提供した
「さくらの花よ 泣きなさい」のカップリングに
自ら声をふりしぼって歌った同曲を収めています。


そして、先日取り上げた
佐瀬寿一の「新宿赫い雪」。


作詞家ではありますが、

もともと伝書鳩というグループの一員として
「目覚めた時には晴れていた」などを歌っていた
荒木とよひさも作家生活45周年記念として
本人作詞作曲歌の「追伸」を発売しました。


そんな作家自らが歌う
癒し系の曲に注目が集まる中、

「石狩挽歌」や「舟歌」などのヒットメーカー、浜圭介が

歌手として、昨年10月にリリースした「誘蛾灯」も
少しずつ認知されはじめています。


作詞は「吾亦紅」のちあき哲也。


作曲はもちろん本人、浜圭介。


もともと牧幸次の名で歌手として
「波止場のロック」でデビュー。


大木賢名義で「これが愛さ」、
浜真二名義で「おんな道」
などを歌った後に作曲家に転身。


歌手の奥村チヨさんの夫としても有名ですね。


桂銀淑とのデュエット曲の定番
「北空港」をはじめ、
歌手としての活躍もずっと続けていましたが、

今回は、歌手浜圭介の魅力が
十分味わえる曲に仕上がっています。


これまでたくさんの歌い手に曲を書いてきたが、
まだ表現しきれていない
新しい世界があるのではないかと思い、
作詞のちあき哲也に
「新しい詞ができたら送ってくれないか」
とお願いしていたそうです。


何編か送られてきたうちのひとつが
この「誘蛾灯」で、早速曲をつけたが
この歌の世界を歌える歌手がいない。


で、結局自分で歌うことになったそうです。


仕上がった曲を有線に流してもらったところ

「この歌は誰が歌っているのか」という問い合わせが
殺到して、有線チャートを上昇。


反響に背中を押されるように
CDの発売となったそうです。


♪ 犬の鎖に引きずられ 川辺を歩けば
  柿の実色の夕空に 警笛(ふえ)鳴らす 二輛の電車
  母の夕餉も 手が欲しい頃
  そろそろ小太郎 帰ろうか~


都会で男といろいろあって、
故郷へ逃げるように帰って来た女性が
故郷で家族と暮らす日々の中で
少しずつ心が癒えて行く、といった内容。


故郷の原風景や家族への想いが
しみじみと伝わり、
素朴な温もりをしみじみと感じます。


詞の素晴らしさはもちろん

ナイーブで繊細な曲と歌唱。


大人の歌謡曲を好まれる方に

この「誘蛾灯」もぜひ、味わっていただきたいと思います。