古時計という男性フォークデュオが
1976(昭和51)年に発売したデビューシングルが
「ロードショー」という楽曲でした。
当時としてはわりとヒットしたので
覚えている方も多いかと思います。
今でも時々思い出してはレコードをかけて聴いたり、
カラオケで歌うこともあります。
古時計の二人は大場弘一、西田昌弘。
彼らが歌った日本テレビ系のドラマ
「ひまわりの道」の主題歌
「季節はずれの走馬灯」という曲もなかなかいい曲でした。
「ロードショー」は、作詞伊丹恵、作曲山本達夫。
最近は映画も全国一斉に封切られることが多くなりましたから
大都市圏を中心に先行形式で映画を上演する
ロードショーという興業形態も最近はほとんど聞きませんが。
♪ 映画館のロビーで
あなたの笑顔を 見てしまいました
私にではなく 誰か知らない人に
そそぐほほえみを~
映画館のロビーで、思いがけず
別の女性と映画を観に来ている
彼の姿を見てしまった主人公。
この設定がとても残酷で、
映画館の暗闇の中で
別れの予感を感じている女性の気持ちに
ついつい感情移入してしまいます。
♪ ベルが鳴っています
私の愛をおびやかすように
灯り消えました
泣いてもいいとおしえるように~
電話では忙しく逢えないと告げられていた彼女。
情景描写とともに哀しくせつない心の動きが
やさしくきれいな旋律に乗っかって…。
主人公の心情が伝わります。
♪ 幕が閉まります
あなたの愛も終わりでしょうか
灯りともります
わたしひとりをうつしだすように~
さて、この作詞をしている伊丹恵さん。
筆名が印象的ですのでずっと心に残っています。
最初にこの方を知ったのは1971(昭和46)年。
週刊明星の歌詞募集
湯原昌幸がシングル発売した
「君はいない」という曲の詞を書いていました。
伊丹恵作詞・若杉雨生補作詞、鈴木邦彦作曲。
アマチュアの詞としては新鮮で
とてもよく表現できていたので記憶に残っていました。
さらに1974(昭和49)年から1976(昭和51)年にかけて、
阿久悠さんがスポニチの新聞紙上で連載していた
「阿久悠の実践的作詞講座」の応募作に
伊丹恵という名前をよく見かけていました。
当然この時もアマチュアと思われ、
この直後に作詞家として
「ロードショー」を書かれたのではないかと思います。
その後、アルバムなどで
1~2曲この方が作詞した曲を見かけました。
数は少ないのですが、
私の中だけでは、記憶に残る作詞家です。